腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
いよいよ最後の種目のリレーを迎える。この種目は全学年合同で、各クラス6人ずつ選出して、1人あたり200メートル走る。まあ俺は不参加で応援のみだけだ。
もう赤組と白組の対決は負けが決まってるので最低でも100クラスポイントは引かれる。それは仕方ないが学年ごとの順位はわからない。
学年ごとの順位によってクラスポイントの変化もある。1位は50ポイント、2位は0ポイント、3位はマイナス50ポイントで4位がマイナス100
ポイントだ。
で、現在1年生の部で1位争いをしてるのは白組のウチとCクラスだ。ウチが1位なら体育祭後にマイナス50ポイント引かれるが、2位ならマイナス100ポイントも引かれてしまうから是非とも1位を取りたい。
(つかアレだけ頑張ってもポイントを引かれるのはムカつくな)
そう思う中、選手が入場する。各クラスから6人なので1学年24人、3学年で72人参加だ。
72人の内、36人が俺達Bクラスのテントに近づいて、残りが教員テントの近くに配置される。
(しかしDクラスは終わったな)
須藤は戻ってきてないし、正式な選手でもある三宅もグラウンドにいないし、正式な選手が2人もいない事になる。堀北や平田、小野寺や前園も悪くないが須藤に比べたら数段劣ってるし。
そうこうしていると第一走者が並ぶ。ウチからは陸上部の矢島。最初に主導権を握るべく俺が選んだ。アンカーは同じ陸上部の木下にしている。
パァンッ
ピストル音が鳴り、12人が一斉にスタートする。矢島は上級生の男子相手にも負けずに戦い、最終的には2位で第二走者の小宮にバトンを渡す。
小宮はバスケ部で鍛えているからかなり速いが、背後から圧倒的な速さで迫る2人の生徒がいて、最終的に片方に抜かされて3位で第三走者の龍園にバトンを渡す。
龍園も悪くないが運動部って訳でもなく、少しずつ2位との差が出てきて更に1人に抜かされて4位となる。
と、ここで奇跡が起こった。龍園の後ろの後ろにいる6位の人は7位以下と団子状態だったのだが、コーナーを曲がる際に転んでしまい後続を巻き込んでしまったのだ。
6位以下が全員転ぶ中、龍園は4位をキープしながら第四走者の伊吹にバトンを渡すがチャンスだ。
・推薦参加競技の点数配分について
全学年合同リレーの点数配分だが、1位には150点、2位に90点、3位に45点、4位に30点、5位に24点、6位に18点、7位に12点、8位に6点、9位以下は0点だ。
で、一番のライバルである1年Cクラスは巻き込み事故で転んだので6位以下は殆ど確実だから場合によっては点差を拡げて学年1位になるチャンスだ。
伊吹もそれを理解したようで僅かにだが速くなったように見えて、そのまま1人を抜いて3位になり、第五走者は石崎にバトンを渡す。視界の隅ではグ6位以下の第四走者が走り始めたばかりだから5位以上は絶対だな。
石崎はウチの代表6人で1番遅いが、幸いにも石崎と競っている第五走者はそこまで大差がなく、石崎は2位との差を詰めている。しかし4位の選手が石崎との距離を少しずつ詰めている。これは結構ギリギリか……
そして2年Aクラスが真っ先にアンカーにバトンを渡し、アンカーの南雲副会長が猛スピードでゴールに向かう。かなりの速さで下手したらビリを抜かせるんじゃね?……ってくらい速い。
そして石崎はといえばギリギリで2位に浮上するが、4位の生徒が3位に落ちた生徒と並んでいて、差は1メートルもない状況でアンカーとなる。
アンカーの木下は確実に2位を取るべく全力で走っているが、競っている2人もアンカーとしてかなりの速さを持っていて、抜かされてはいないが差を広げられていない。何かのキッカケ次第では抜かされてるだろう。
ここで5位の人もアンカーになるが、1位の南雲副会長とは100メートル以上、2位3位4位とは40メートルくらい離れているので抜かれないのは明白だ。
皆の応援が響く中、ビリが第五走者となり、数秒後に南雲副会長がゴールをして歓声が上がる。2年Aクラスはぶっち切りだな。
しかし1位は読めたのでどうでも良い。問題は2位だ。
俺達Bクラスが息を呑みながら見守る中、グラウンドでは木下が全力で走っていて差をキープしている。差を広げてもなく、縮められる事もないってのは中々珍しいな。
と、ここでゴールまで2メートルを切った時だった。木下は歩幅を広げて思い切りジャンプして頭から突っ込みながら無理やりゴールの線を越えた。何つー執念だよ?
予想外の行動に呆然とするが係員の先生は倒れている木下の様子を見ながら、間髪いれずにやってきた2人に「3」と「4」と書かれている旗を渡す。どうやら木下は2位と判断されたようだ。
結果は2位で90点入る。3位は45点、4位が30点とかなり差があるので、ありがたい。
木下は起き上がり、顔を泥だらけにして足から血を流しながらもこちらにサムズアップしてきたので、ウチのクラスは大盛り上がりだ。最後の執念が勝ちに繋がったのだから当然だろう。
そうこうしている間にも次々とゴールをするが、堀北会長がアンカーの3年Aクラスは巻き込み事故に巻き込まれる中、いち早く抜け出たので6位でゴールする。
で、肝心の1年Cクラスはアンカーの柴田が奮戦してギリギリ8位に入って6点入った。0点なら良かったのに……
何にせよこれで全種目は終わり、後は閉会式のみだ。俺達はクラスごとにグラウンドの中央に並ぶと、1年の学年主任の真嶋先生がボロカスになったまま壇上に上がる。
星之宮先生を見ればウチのクラスの最前列にいる龍園に殺意を剥き出しにしているし、今回の体育祭で1番肉体にダメージがあったのは真嶋先生かウチのクラスの山峰だろう。つか種目に参加してない教師が1番ダメージを受けているって……
「では最初に結果を発表する。まず全体の結果だが……赤組の勝利」
その言葉に赤組は喜び白組からはがっかりした声が上がる。白組に所属しているクラスは問答無用で100もクラスポイントを引かれるから当然だけどな。
「続いて学年ごとの結果を発表する。後ろの電光掲示板を見るように」
真嶋先生が自身の後ろにある掲示板を指差すと文字が表記されるので1年生の部を見てみると……
1位 1年Cクラス
2位 1年Bクラス
3位 1年Aクラス
4位 1年Dクラス
ギリギリだがCクラスに負けてしまった。大差ではなくギリギリなのが余計に悔しい。
体育祭開始時点のクラスポイントは……
Aクラス 1164ポイント
Bクラス 866ポイント
Cクラス 721ポイント
Dクラス 1ポイント
って感じだったが今回の体育祭の結果により……
Aクラス
赤組の勝利 0ポイント
学年3位 マイナス50ポイント
1164-50=1114
Bクラス
白組の敗北 マイナス100ポイント
学年2位 0ポイント
866-100=766
Cクラス
白組の敗北 マイナス100ポイント
学年1位 50ポイント
721-50=671
Dクラス
赤組の勝利 0ポイント
学年4位 マイナス100ポイント
1-100=マイナス99ポイント(但しクラスポイントにマイナス制度がないので実質0ポイント)
となった。アレだけ頑張ったのに全クラスマイナスで、Aクラスとは差が開き、Cクラスとの差は縮まったので俺達からしたら悪い結果だろう。
それから学年最優秀生徒が発表されているが興味ないので適当に聞き流していると、閉会式は終了した。
後は山峰と網倉の接触事故に関する審議だな。
「龍園。例の審議については俺が弁護人として出るか?」
「いや、弁護人は金田にやらせる。既に審議についての策は練っているが、お前の出番は一之瀬達の前で俺の意見に反対することで終わりだ。後は任せとけ」
そんな風に言ってくる。内容から察するに一之瀬に「比企谷八幡は龍園翔の部下であるが、やり方全てに賛成しているわけではない」と思わせるのはわかる。今後の試験で不意をつくためだろう。
しかしどうやってCクラスを叩くんだ?立場的に一之瀬は審議に出ないだろうが勝ち目があるのか?
疑問に思っていると龍園は肩を叩いてくる。
「それよりもお前にはやるべき事があるだろ?ほら」
そして指を差した先を見れば……
「お疲れ様でした八幡君。この後、私に付き合って貰いたいのですが宜しいですね?」
満面の笑みを浮かべた有栖が退場ゲートに立っていた。
体育祭は終われど、俺の勝負はここからのようだ。
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