※この作品はR-18です。

NTRハイスクール   作:みっくん

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今回はエロなしです。これでいいのかR-18作品……

メインヒロインみたいになってしまったイリナちゃんです。


イリナ①

 紫藤イリナは心を深い絶望に堕としていた。

 

 彼女は教会の戦士で幼い頃から悪魔を倒す悪魔祓いとしての修業を積んできた。父親がエクソシストな事もあり憧れを追いかける形ではあったものの、自身の信仰する主の為に剣を振るう戦士になるために懸命に生きてきた。

 

 やっとの事で七つに分かれた聖剣のひと振りを授けられるほどの実力を手にした彼女の胸に到来したのは歓喜の嵐だった。自分のこれまでは間違っていなかった主は見てくれていたと。だけどそんな喜びも一瞬で消えた。

 

 偶然彼女の所属する教会に、教会の上層部である天界からミカエルが視察に訪れた。天界のミカエルと言えば主の最側近だった筈。話でも出来ないかと様子を窺っているとショッキングな内容を聞いてしまった。もう信仰すべき主はこの世にいないのだと。

 

 それを聞いてからの彼女の荒れ様は酷かった。全ての者を信じることが出来ず、自身のパートナーとなった青い髪の少女すら拒絶し逃げるように教会を飛び出した。

 

 最近教会では大きな出来事があった。秘蔵している聖剣が何者かによって強奪されたのだ。強奪犯は日本にある駒王町へ向かったとの事でイリナとパートナーはそこへ派遣されることとなっており、事前に手渡されたチケットと少ない金だけを持ち出した。

 

 更に彼女を絶望が襲う。幼い頃に少し一緒に過ごしただけと言えど、幼馴染とも呼べる少年が悪魔になっていたのだ。彼女は悪魔祓いだ。悪魔は倒すものだと教育されており、幼馴染が討伐対象になっていた事実にギリギリだった心が遂に折れた。幼い頃に住んでいた駒王であれば安らぐかもしれない。その一心で来たのにコレだ。彼女はもう何もかも捨てたくなった。手持ちの金ではホテルを借りる事も難しく、あとは野垂れ死ぬだけだ。そう諦観し、瞳を閉じていたら声を掛けられた。

 

「あの……大丈夫ですか?」

 

 今のイリナは黒いフードを被っており、控えめに言っても常人の格好ではない。フードから覗く瞳も濁っており、健常者であれば声を掛ける事すら戸惑うだろう。だというのにこの目の前に立つ少年は声を掛けてきた。不思議な人だと思いつつも無視を決める。今の自分と話しても彼の為にならない。自分はもう全てを捨てたのだ。

 

「もしかして行く場所がないんですか?……でしたらウチに来て下さい。狭いアパートですけどこんな道端よりかは温かいですよ」

 

 何も言わずにいるイリナを他所に、勝手に手を取ると何処かへと連れてかれる。抵抗する力も残っていないイリナは彼に引かれるように彼の自宅へと運ばれた。あぁ自分はこれから彼の慰み者になるのかと諦めてもいた。どうせ何もできない自分だが、優しい彼の為になるのであればこの身を捧げようと最後の最後に捨てきれていなかった祈りをする。

 

 しかし彼女の想像通りにはならず、彼は彼女を部屋に上げると台所でお湯を沸かし始めた。

 

「雨は降ってないですけど今日は少し肌寒いですね。お茶を入れるのでもう少し待ってください。お茶は何がいいですか?ウチには緑茶と紅茶がありますけど」

 

「……紅茶が良いです」

 

「分かりました。あ、テレビやそこらへんに転がっている雑誌を勝手に見ても構いませんよ」

 

 イリナが上げられた部屋は意外と片付いていた。教会で人生の半分以上を過ごしてきた彼女にとって異性と二人っきりになるのは幼い頃以来の経験だ。無意識に紅潮する頬を隠す様に近くに会った漫画を手に取る。

 

「あ、これ……」

 

 偶然にも手に取ったのは『ドラグ・ソボール』だった。紅くなっていた頬に涙が流れる。イリナの脳裏に蘇るのは幼い頃の思い出。幼馴染の少年が好きな漫画で一緒に遊んでいたイリナも良く読んでいた物だ。もうあの頃のようには戻れないんだなと涙が零れるも涙は止まる気配を見せない。

 

「えっと……大丈夫ですか?紅茶入りましたけど」

 

「……大丈夫です。えっと……そのありがとうございます。私みたいな不審者を上げてもらって」

 

「いえいえ、困った時はお互い様ですよ。熱いので気を付けてくださいね」

 

 受け取ったカップに口を付ける。彼の言った通り露に近づいた季節だというのに今日は少し肌寒かった。私服の上にフード付きのコートを着ていても寒いぐらいだった。手に取ったカップは湯気をホカホカと立て、じんわりとした温かさを教えてくれる。

 

「……おいしい」

 

「それは良かった。とある先輩のおかげで最近紅茶を入れるのが上手くなったんですよ。先輩の入れる紅茶が美味しくて教えてもらってるんです。お口にあったようで良かった」

 

「あの……私紫藤イリナって言います。名前を聞いてもいいでしょうか」

 

「あ、自己紹介がまだでしたね。自分は御手洗隆って言います。紫藤さんはどうして道端にいたんですか」

 

「……貴方は神を信じるでしょうか。私はそんな神を信じ、裏切られ逃げだしたんです」

 

「そう、ですか。というと今日泊る家もないんですよね……あー、初めて会う男と一緒が嫌でなければ紫藤さんが立ち直るまでの間、好きに滞在してもらっても構いませんよ」

 

「貴方ってよくお人好しって言われないかしら」

 

 初めて会ったばかりの女に劣情を抱かずに、下心を無しに泊って行けと言える男がどれだけ居るだろうか。身の丈を超える欲望は禁止とされてきたイリナでも流石にこの男がお人好しだと分かる。

 

 紫藤イリナという少女は現在の目が濁っている点を除いても十分に美少女に分類される女の子だ。アイドル顔負けな整った顔。光沢の麻色の髪をツインテールに普段はしているがフードを被る関係上、今はストレートに下ろしている。戦士と鍛えた引き締まった身体に、女性としての柔らかさをこれでもかと兼ね備えている。豊満なバストは87と年齢が高校生である事を考えれば驚きのサイズだ。筋肉に覆われながらも、女性らしく肉付きの良い太腿。戦士としての修行で適度に焼けた肌は彼女の可憐さを増幅させる。

 

 そんな美少女な彼女を下心なしで、それどころか胸部に視線も向けずに会話をしている彼はどういう人物なのだろうか。絶望で暗いイリナの心の中に唯一灯った光。即ち、御手洗という少年を知りたくなった。どういう生活をして、どういう性格をしているのだろうか。お人好しだけが人の性格の全てではない。彼は何を見て嬉しく思うのか、悲しく思うのか。ドロッとした瞳が更に濁りながらも彼女はおくびにも出さず彼を見つめる。

 

「んー、そんなに言われた覚えないけどなぁ。というか俺って一部を除いたらあんまり人と話すわけじゃないし」

 

「ふーん。そう……でも、ありがとね。あ、お世話になるならフードを被っているのは駄目だよね。んしょっと……これからよろしくお願いします」

 

 ぺこりと頭を下げるイリナ。これが御手洗とイリナの出会いの始まりであり、また共同生活の始まりでもあった。

 

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「はい隆くん。お弁当だよ。今日は上手く作れたから大丈夫だと思う」

 

「ん、ありがと。それにしても良く毎日作ってくれるね。別に毎日じゃなくてもいいのに」

 

「家に泊めてもらってるんだもの。これぐらい苦ではないわ。寧ろ迷惑じゃないかしら。最近はマシになったものの、自分でも思うぐらいには美味しくなかったお弁当やご飯を食べさせられてさ」

 

「いやいや、例え不味くても男にとっては嬉しいもんだよ。自分の為に女の子がご飯を作ってくれるんだもん」

 

「えへへ、そっか。迷惑じゃないなら良いんだ」

 

 あれから一月ほどの時が経過した。

 

 彼との関係は良好と言っても良いだろう。毎日顔を合わせるからか名前の呼び方も変わり、今では男女間を超えた親友だとさえ思える。ただ、驚いたのは只の人間である彼がグレモリーという有名な悪魔と契約をしていた事だ。人間でありながら魔のモノのオーラを持っていたことに疑問を持ち、彼の交友関係を聞いてみたら一発で分かった。

 

 その後、件のグレモリーと実際に会話し、彼女の考えに私も同調した。明日生きる気力すらなかった私を拾い、こうして家に置いている彼を守るために動いている彼女。何か恩を返す事が出来ればと思っていた私に良い提案だった。まだ彼とは結ばれていないが、それも時間の問題だろう。彼に私という女を意識させるために、最初に借りた彼のワイシャツで毎日夜を過ごしている。女の私には少し大きい程度ながらも下着の上にワイシャツだからかくっきりと身体のラインが浮かぶ。彼の赤くなる顔を見るだけで心が満たされる。

 

 戦士として生きてきたが、このまま女として生きるのも悪くないかもしれない。ただ気になるのは私の元パートナーの少女だ。任務を放棄し、教会から逃げ出した私とは違い忠実に任務に従い駒王へとやって来てたようだ。この街を管理しているグレモリーに余計な援護は要らないと豪語し、現在は街に滞在して、強奪犯を追っているらしい。その後の彼女がどうなったかは聞いてないので確かに心配になる気持ちはあるが、彼女の事よりも自分が優先するのは隆の事だ。

 

 複数の悪魔と身体を重ね、グレモリーいやリアスさんの教育の成果か順調にハーレム王への資質を開花させているらしい。普段私に見せている表情とは別に身体を重ねている時の彼の顔は色々と凄いらしい。本能で従いたくなるって言ってた気がする。

 

 彼が学園に通っている間に私はこの街を散歩する。元悪魔祓いとしての実力は伊達ではなく、この街にやってきた位の低いはぐれ悪魔を討伐し、その見返りにリアスさんから討伐料金とやらを貰い彼に払っている。彼には自身の事情を全て話している。実力はあるものの、経験が少なく、それでいて武器がない私に無理するなと彼は心配そうに言ってくれるのが心地良い。誰かに心配されるだなんて何時ぶりだろうか。

 

 武器がないと思っていた私にも武器があったのに気が付いたのは一週間ほど前だ。元パートナーの少女は天然の聖剣使いだったようで、天然は天然を惹きつけるのか私も天然の聖剣使いだったのだ。彼のために命をかけると誓った私の願いに呼応してくれたのか嘗て手にした聖剣以上の力を持つ聖剣を手にすることが出来た。

 

 力に溺れる事も慢心も増長もせずに黙々とはぐれ悪魔を狩る。教会に居た頃には知らなかった事ばかりだ。教会では悪魔は絶対悪のように教えられたがリアスさんのように人の良いタイプの悪魔がいる事を知った。だからはぐれ悪魔にも事情があるのかもしれない。リアスさんが言うには全てのはぐれが悪いわけではないらしい。だけどイリナにも事情がある。御手洗との同棲生活の為にお金を稼ぐのと、彼を守るだけの実力、経験を積むという大事な事情が。

 

「さて、今日は誰が来るのかしらね。最近は腕試しにもなりそうな実力のはぐれが来ないのよね。ちょっと拍子抜けだわ」

 

 駒王町には多くのはぐれ悪魔が集う。一番の理由はグレモリー家が管理しているからだろう。悪魔が管理している事もあり魔王をはじめ良識的な悪魔が来訪する事が多い。一見無害を装うはぐれ達にとってはこれ以上ない土地で、生きていくためにも何かを食わなきゃいけないから人間を襲うには持って来いだ。

 

 更にははぐれ達を纏め、大昔にあった戦争をもう一度と望む戦争推進派が送り込んできたりする。今まではリアスが昼間に使い魔を放ち、駒王全体を監視。何か問題があれば授業を抜け出し、討伐に向かっていたのだが今は違う。イリナという悪魔にとって天敵である聖なる武器を持っている彼女が昼間散歩という名の悪魔祓いをしているので、授業に真面目に取り組むことが出来るようになった。

 

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 無事に?やって来たはぐれを倒し帰路に着いたイリナ。

 

 手を洗いうがいを終えたら夕食の準備だ。彼に美味しいものを食べてもらいたいの一心で毎日頑張っているのだが中々上手くいかない。お弁当に出す程度であれば最近になってマシレベルになったのだが、夕食のような多くの料理を出す時はまだまだへたっぴだ。

 

「今日はハンバーグにしよっかな。隆くんの好物だって言ってたし」

 

 冷蔵庫からハンバーグの種になる食材を取り出し早速調理開始。

 

 開始する事30分。後は焼くだけとなった具材を置いて彼の帰りを待つだけだ。夕食の準備を終えたら次にイリナがする事はお風呂洗いに洗濯物の取り込み、畳み込みだ。まるで夫を支える良き妻のように甲斐甲斐しく、それでいて楽しそうに家事をする。

 

 洗濯物を畳み終えた頃に御手洗は帰ってきた。手には何やら袋を持っていて何かを買って帰ってきたようだ。

 

「おかえりなさい隆くん」

 

「ただいまイリナ。今日はお土産にケーキを買ってきたよ。そろそろイリナと出会って一か月になるしその記念も込めて」

 

「別にいいのに。でもありがと。夕飯の後にでも食べましょうか。今日は隆君の好きだって言ってたハンバーグに挑戦してみたの」

 

「おぉ、それは有難い。じゃあ俺はお風呂を入れてくるから、夕飯の準備よろしく」

 

「はーい」

 

 見た目の割に綺麗な内装をしているアパートの一室は意外と広い。部屋が三つもあるのだがコレには深いわけがある。元々この部屋はアパートの管理人になる人が住むためにと改装したようで、改装したものの納得がいかず結果的に売りに出されたのだ。一人暮らしをする息子のためにと余り高くない家賃で探していた両親が見つけた中々住み心地の良い家なのだ。

 

 風呂にトイレも付いていて、この値段のアパートを探そうにも他は無いのではなかろうかってぐらいに恵まれている。浴槽に栓をし、お湯を蛇口から出し放置する。その間に制服から着替え御手洗はお湯が溜まったのを確認し、食卓の置いてある居間へと戻る。

 

「じゃあいただきます」

 

「いただきます」 

 

 最初は彼女の癖も抜けず、祈りを食事前にしたが最近ではいただきますと簡素な挨拶で済ませている。彼女曰く自身の力を手にしたため、教会の戦士に与えられる力はもう必要ないとの事。

 

 卓上には既に湯気の立つ夕食が並べられていた。少し形の崩れたハンバーグ。箸で割ってみると中にもキッチリ火が通っているようで肉汁が溢れ出る。表面には焦げ目がついているのもポイントだ。デミグラスソースを掛けており口に運ぶと幸せの味が広がる。

 

「ん、美味しい」

 

「ほんと?なら良かった。隆くんの好物だから頑張って作った甲斐があったよ。お代りもあるからどんどん食べてね」

 

 一月前までは一人で食事をしていて少し寂しさを感じていた。だけど、今はイリナという同居人と一緒で楽しい。しかもイリナは美少女だ。クラスメイトであり、表向きにはリアスの彼氏である兵藤一誠とかに知られると大変な事になるぐらい羨ましい状況だろう。

 

 礼儀も正しく、会話も弾むぐらいには引き出しを持っている。彼女の境遇を考えれば仕方のない事かもしれないが、これを機にもう一度新しい人生を始めて欲しい。今はリアスの依頼を受ける形で金銭を得ているみたいで、食事代とか色々言って御手洗に渡している。だが、御手洗はその金には手を付けず、両親からの仕送りとバイトの金で生活している。寂しくはなるが何時か彼女が羽ばたく日の為に。

 

 食事を済ませ、交代で風呂に入る。最初は戸惑ったものの、一月も一緒に暮らしていれば人間慣れるものだ。どちらかが先に入った後でも特段意識することなく入浴することが出来る。ただ最近御手洗の頭を悩ませているのがイリナの格好だ。

 

 出かける時の服装は至ってまともだというのに、部屋着だけは肌を曝け出すような服装を着ている時が多い。寝間着は御手洗のワイシャツを下着の上に着込んで下にはズボンを履かないという謎な格好をしている。おかげでもろに見えている生足や柔らかそうな太腿が気になるし、更に上にあるパンツすらも時々見える。もう少し同居人が男であることを意識してはくれないだろうか。それとも御手洗が男として見られていないのか。最近リアスや朱乃、アーシアという見目麗しい女性たちとの肉体関係を築いている事もあって少しは自信を持っていたのだが、凹んでしまう。

 

「あっ!明日は私リアスさんに呼ばれてるから遅くなるね。夕飯は作っておくから先に食べちゃってて」

 

「ん、分かった。でも遅くなりすぎるなよ?この町だって安全ではないんだから。特に駒王学園には変態三人組って言う迷惑な連中がいるからな。イリナみたいな美少女を見かけたらストーキングされるかもしれないな。んー、防犯ブザーでも持っていくか?商店街の景品で貰った奴が押し入れに仕舞ってあるし」

 

「もう、隆くんは心配性だなぁ。でもありがと。誰かに心配されるってすっごく嬉しい事だって思い出させてくれたからね。折角だしブザーを持っていくよ」

 

 御手洗の言葉に頬を紅潮させながらイリナは呟く。

 

 寝室には二人の布団が敷いてあり、間に買ってきたカーテンで仕切っている。着替えやら何やらを見られたりするとイリナが大変だからと御手洗が自主的に買ってきて設置したものだ。イリナは別に見られてもいいのにと思っているが、彼の心遣いに嬉しくなってしまっている。

 

 




今回から時系列を決めました。

一応現時点で月光校庭のエクスカリバー編としました。しかも早速原作崩壊……タグに入れておきます。

ていうかイリナをこういう扱いする予定はなかったんです。でも朝目覚めて脳裏にひらめいたストーリーを書いてみたらこんな事に……

キャラ崩壊も付けようかな。原作のイリナさんとは違うキャラになりそうだし。ていうかイリナの内心が今まで一番書きやすかったなぁ。
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