2040年。
科学技術の発展と新エネルギーによってあらゆるものの機械化が進み、AIに生活基盤のほぼすべてを依存して安定した生活を送っていた。
「あの、せめて卒業式まで待ってくれませんか。それまで耐えますし、俺はみんなと卒業してからならケジメつけられるんでお願いします」
「いや、残念だがそれは無理な相談だ。検査が終わり次第、細胞硬化症の治療のためにコールドスリープに入ってもらう」
淡々と説明する医師に拒否権はなく、看護師に連れられて検査を終わらせて入院着に着替えると、しばらくお別れなのか家族との面会は許可してくれた。
「
「うん……」
携帯情報端末を起動させると空中投影されて悠と同い年くらいの男子たちが写し出される。
『悠、なんか五年くらいかかるって聞いたけど俺たち待ってるから!』
『卒業式は無理でも成人式なら会えるから心配すんなよ』
『病気に負けんじゃねぇぞ!』
『五年後には全国大会優勝してるから自慢しまくってやるから!』
『お前の腕じゃあ無理だろ』
『なんだと!』
ワイワイガヤガヤと学生らしく騒いでいて、映像が切れる。同じ学舎を共に過ごした大事な仲間との卒業できないのは心が張り裂けそうにつらいが涙は流さず、携帯情報端末を使って自分の姿を映す。
「部活を引退して卒業まで一緒にいられないのは寂しいけど、ずっとお別れって意味じゃないから起きたら必ず会いに行くから待っててろよ。みんなは俺の最高の友達だ!後輩たちもちゃんと部活やれろな!」
言いたいことを全て言い切って携帯情報端末を外して看護師に呼ばれて冷凍カプセルに入る。家族が泣きながら見守るなか、彼はゆっくりと意識を手放す。
◇
目を覚ますと窮屈な冷凍カプセルではなく、ベッドの上だった。寝ていたのにどうしてベッドに運んだのか考えようとしたら女性に声をかけられる。
「おはようございます。
「あ、おはよう……ございます」
朝の挨拶をされたので返すとまるで足の指先から頭のてっぺんまで見るように視線を動かす。
年齢は二十歳前半のおっとりとした人みたいで緑髪の女性で眼鏡をかけているが、一番目にしたのは女性の象徴としては規格外の胸。
ゆったりした服を着ているにも関わらず、その乳房は自己主張が激しく、呼吸をするたびに静かに揺れている。
「寝起きで申し訳ありませんが身体検査をしますのでついて来てください」
「は、はい。あの、俺が寝てから何年経ちました?」
「真田様がコールドスリープされてから5年……今は西暦2045年です」
「そんなに経ったのか……みんなはもう20歳になって大学とか会社で働いてるのかな」
「そう……ですね」
なんか疲れているようだが見習いっぽい感じだし、病院で働く人は大変だよな。
シャワーで身体を綺麗にしてから女性医師に診てもらうが熱っぽい視線が気になるも黙って受けておく。
「はい、検査の結果。無事に細胞硬化症は完治しております」
「やった、ありがとうございます!本当に治ったんだ、はやくお父さんとお母さんに連絡しないと。あの、両親は病院にいるんですよね?」
「はい。では、外に駐車しております車にお乗りください」
入院着から自分が着ていた私服に着替えると先ほどの見習い看護師さんも一緒についてきて病院の外にある車に乗るがスーツにサングラスをかけた女性も同伴して挟まれるように座ると車が走り出す。
(外の景色が見えないけど、なんでだろうな)
細胞硬化症は実例が非常に少ない珍しい病気だから完治した患者がそのまま外に出たらニュースに報道されるからなのかな?
「申し遅れました。真田悠様の専属担当官を務めます
「はぁ……」
見習い看護師ではなく、担当官と呼ばれる仕事をする山田さんはペコリと頭をさげて、こちらも同じように頭をさげる。
「あの、家族と連絡したいんですけど。お父さんとお母さんはどこにいるんですか?」
「家族との面会する時間は必ず設けますので、もうしばらくお待ちください」
そう言われたら黙って頷くしかない。しかし、女性三人が相席とはなんとも息苦しい。
しばらくして車が停まると扉を開けてもらうと目の前に広がったのは大きな建物のようで、入ると同時に違和感がある。
(男性職員が見えない……)
どこを歩いても男性職員を見かけるどころか姿すら確認出来ない。それに俺に視線が集中していて、まるで珍獣を見ているような視線が気味が悪い。
控え室のような扉の前でノックして開けると
「お母、さん……」
「ゆう……悠!」
俺を見るなり駆け寄って抱きしめた。長年寝ていたという自覚はないがお母さんからすれば五年振りの再開だもんな。
「中三の頃と変わらないわね」
「お母さんはすっかり年とったね。お父さんは?」
「お父さんは……」
「そこは私が説明します。感動の再開に水を差すようで申し訳ありませんがとても大事な話ですので」
山田さんは対面するように座って、俺の隣に座るお母さんは心なしか手を握っている。
「今からお話するのは非現実的と思うかもしれませんが聞いてください」
山田さんが静かに説明する。
俺がコールドスリープした後、細胞硬化症とは別の新種のウィルスが襲い、感染した人は僅か三日で死に至るという恐ろしいウィルスが世界中で起こった。
新種のウィルスが確認されめたった三ヶ月で世界中に拡がり次々と死者を出して、100億人といた人類が半分まで減ってしかもそのウィルスはかなり特殊で
そして人口が減ったことにより現代科学も衰退して俺がコールドスリープする前の科学技術のほとんどがロストテクノロジーとなってしまった。
そのウィルスが原因で秩序を保つのが難しく、世界規模の暴動がはじまり、事態を重くみた世界各国政府は全世界の統治権をUW──ユナイデット・エイメンという女性のみで構成された国際連盟に委譲。
今もなお、AIを総動員してワクチン開発をしているとき、細胞硬化症にかかった男性が免疫を持ち、コールドスリープから解除してウィルスに感染することなく、外界で活動できることが分かったという。
UWは細胞硬化症にかかった男性の遺伝子で新種のウィルスのワクチンを開発すべく、僅かに生き残った男性はコールドスリープ状態にして眠っている。
「以上が今、現在における世界情勢です」
「……ははっ、すごい出来た話ですね。お母さん、これって歴史の勉強なのか?」
あまりにも突飛な話でお母さんに質問をするも、うつむいたまま黙っている。
細胞硬化症が完治したのはまだ良いがここまで外の風景なんて一度も見せてもらってないし、お父さんがいないなんておかしすぎる。
「なあ、お母さん。お父さんはトイレ?別の場所で待ってるの?」
「…………」
「からかってるならマジで本気で怒るよ?俺だって──」
『これから世界同時放送を始めます。本日は日本国民……いえ世界の皆様に重大な報告があります』
手を掴んでいるお母さんの手を払い抜けようとしたら、備え付けのテレビから映像が放送される。
「報告?うえから何も聞いてないのに」
『この世界で生きられる男性が見つかったのです。紹介しましょう
女性キャスターの姿から二十歳の好青年に変わる。
『みなさんはじめまして、水原怜人と言います。俺……僕は数日前にコールドスリープから目覚めました。はっきりした理由は分かりませんが僕の体内には
「この人は確か、周防さんが担当している」
山田さんが何が言っているが俺は固唾を飲んでテレビを観る。
『僕はMKウィルスを駆逐する特効薬を作るつもりです。どうか、みなさんのご協力をお願いします!』
立ち上がって頭をさげる水原さんの映像にテレビの電源が切れる。
「先に言っておきますが今の放送は私も聞いてません」
「あの人が特効薬を作るって言ったけど、
「通称『男殺しウィルス』と言います。水原様があのような発言をしたのは予想外でしたが、当時、細胞硬化症でコールドスリープに入った男性のみが免疫を獲得していたことです。真田様を含める数名だけがこの世界で人として種を残す貴重な資源なのです」
「もう、わかりましたよ。こんな放送を出されたら信じるしかないじゃないですか」
「では、改めて言います」
椅子から立ち上がって俺の前で忠誠を誓うように跪く。
「真田悠様。どうか人類を救うために子作りをしていただきたいのです」
頭の中がパンクしそうで諦感するしかなくなった。病気が治ったのにお父さんもいないし、考えるのを放棄した。
あとがきは作者の私と終末のハーレム学園に登場するキャラとのトークタイムです。
作者「今回の第一回目は童顔爆乳でドジっ子眼鏡の山田真耶です」
真耶「どうも、山田真耶です。作者は私を登場させた理由はなんですか?」
作者「原作のISが好きなのと現状説明するに適したキャラで、担当官としても十分かと思って採用しました」
真耶「そうなんですか。選んでくれてありがとうございます」
作者「主人公が中学生なのはナンバーズの中で男子が原作の土井くんのみなので男子同士の絡みも見たいなと」
真耶「けっこう考えてますね」
作者「おねしょたが大好きなもの理由の一つですが」
真耶「あはは……」
作者「こんな感じでキャラ登場の理由や裏話をしてきます。今回はここまで」
真耶「では、また次回会いましょう」