前話のタイトル変更しました。
紛れもない事実で頭の中で整理がつかなくても受け入れるしかなかった。
お父さんが眠っている冷凍カプセル室に案内されるとコールドスリープ中で奇跡的に感染はしていないとのこと。
家族が無事だと安心したのもつかの間、同じ学校に通っていた同級生や部活仲間、担任の先生は残念ながら冷凍カプセル室には入ってはなく、感染して亡くなってしまった。
「お父さん以外はもう、いないんですね……」
「申し訳ございません……」
「いえ、山田さんは何も悪くありませんよ。お父さんを助けてくれてありがとうございます」
ここで当たり散らすのは筋違いで、この人だって精一杯やっているんだ。
冷凍カプセル室から出ていき、これからの事は明日から話をするようで与えられた部屋で休む。
「どうして、どうしてなんだよ……なんで、みんないなくなっちまうんだよ」
涙が溢れるように流れて布団で拭いても止まらず、声を殺しながら泣き続けた。
◇
悠が部屋で泣き疲れて寝ている時間。真耶はモニター越しに報告をしていた。
「水原怜人さんの放送は予想外の出来心でしたがそのおかげで一応ながら納得してくれました」
『それで《メイティング》のほうはどうなの?』
「私個人の判断でまだ実施しておりません」
『なにを勝手なことをしている!自分がなにをしたのか分かっているのか!』
「ですが年齢的には20歳となり、大人になりましたが精神年齢はまだ子供です。状況を理解して受け入れるには時間が必要です」
目が覚めて世界がMKウィルスによって男性が死滅して女性しかいないと説明されても頭の整理がつかず、人類を救うために子作りするのは余計な負担をかける事になると答える真耶。
上司の言葉は正しくあるが真耶の発言も間違ってはいない。
「頭の回転は速いようなのでメイティングの実行は可能です。遅れた分は必ず取り戻しますので」
『当たり前だ。では、切るぞ』
上司はぶっきらぼうに通信を切って一人の空間になってため息をついた。
「無理もないよね。せっかく病気を治したのに世界がおかしくなって、友達もみんな死んじゃったから」
別のモニターから悠が眠っている姿を見てもし、自分に弟がいたならという特別な感情を含めて胸が痛かった。
◇
頭が重いが部活をしていた感覚が残っていて目が覚めた。寝た時間は覚えてないが時計を見ると七時だった。
「夢……じゃないのか」
のそりとベッドから離れてクローゼットにある私服に着替えてから窓の外を見る。
(ここの周辺は綺麗なのに離れると廃墟みたいだ)
俺がいる場所は五年前と変わらないが、そこから一歩踏み出すとボロボロの建物へと変貌する。UW職員とコールドスリープで生き残った男性の家族のみが豊かな暮らしをしてそれ以外の女性は配給される食べ物を与えている話と聞いた。
「曾おじいちゃんが言ってた戦争時代の光景みたい」
「真田様、起きてますか?」
「はい、どうぞ」
「失礼します」
扉を開けると訪問者が山田さんとお母さんで朝ご飯を食べるために食堂で移動するそうだ。
席に座るとメニューを渡される。
「すいません、あまり食べる気しないんで」
「悠、食べないと身体が持たないでしょう」
「わかったよ。じゃあ、サンドイッチとオレンジジュースで」
無理してでも食べろということで手軽に栄養が摂れる物を選んだ。ウェイトレスがサンドイッチとオレンジジュースを持ってきて目が合うとニコリと笑ってくれた。
皿に盛られたサンドイッチをとって一口食べると今まで食べた物の中で圧倒的な……料理漫画で例えるなら、口からレーザーを出しながら美味しいと連呼して走り回りそうだ。
「うまい」
「今、美味しいって言ったよね」
「良かった~不味いとか言われたらどうしようかと思ってた」
厨房には女性の料理人が数名いて、軽く頭をさげると頬を弛ませて嬉そうにしている。
「これってあの人たちが作ったんですか?」
「ナンバー1の男性……水原様とは別の男性の方が人が作った食事のほうが食欲が湧くとのことで超一流の料理人が作った食事を提供しております」
「機械のほうで作れば楽なのに」
「一般人の食事は機械が作ってます」
「どうしてです?」
「悠はそれほど特別なのよ。高級レストランの料理を好きなだけ食べれてラッキーだと思えばいいわ」
まあ、お母さんがそう言うなら納得しておこう。
綺麗なお姉さんが俺のために一生懸命作って、美味しいと言うと嬉しいそうにはしゃいでくれるのも悪い気はしない。
「追加の注文しても良いんですよね?」
「えぇ、和洋中、フレンチにイタリアン。数々の一流料理人がいますので遠慮しないでどうぞ」
「じゃあ、このカレー……色んなのがあるのか。ここはポークカレーにして、デザートにチーズケーキをお願いします」
ウェイトレスに注文するとしばらくしてポークカレーとチーズケーキが置かれる。
カレーは様々なスパイスが黄金比率を一寸狂いなく発揮してまるで口の中でカーニバルをしているようで、チーズケーキも甘さ控えてになめらかな舌触りでカレーのスパイシーさを中和してくれる。
「ごちそうさまでした」
「ご満足頂けてなりよりです。これからの事ですが真田様には専属のボディーガードとナースをつけされていただきます」
「ボディーガードとナース?」
「はい。真田様の専属になるのを事前に報告しておりまして、今日は親睦を兼ねて交流会をします」
朝ごはんを食べてからまだ八時過ぎなのに俺よりもはやく起きているんだ。
お母さんは残念ながらお別れで山田さんについて行き、俺の専属になる女性が待っている部屋の扉を開けた。
「あっ、この子が例の男の子ですか?私はボディーガードを務めます
「
台場カノンさんは桃色の髪をショートポニーに纏めた二十歳くらいの女性で、服装は密林での行動を意識したミリタリーグリーンのノースリーブなワンピースを着ていている。
間桐サクラさんは長い紫髪に白衣を纏っていて俺と同い年に見えるのか、ナースというより保険委員の女子のような印象だ。
「はじめまして、真田悠って言います」
「それぞれ自己紹介も終わったようですし、交流会としましょうか」
「あっ、クッキー作ったんですが食べますか?」
「でしたら、お茶を淹れますね。真田様は何飲みます」
「こ、紅茶でお願いします」
台場さんは自作クッキーを出すと間桐さんは備え付けの飲み物セットからティーパックの紅茶を人数分出してカップに入れるお湯を注いだ。
「うまっ、台場さんって料理できるんですね」
「私のことはカノンって呼んでください。これから一緒にいるんで堅苦しいのは無しでいきましょう」
「だったら、お互いにいつもの話し方にしましょう。俺が男だからといってよそよそしいと、こっちまで緊張しちゃんで」
「そう言うんでしたら、これからは悠くんと言います」
「でしたら、私も真田さんと呼んでいいですか?」
「なら、私は悠さんって呼びます」
「好きな呼び方でいいよ」
「はいっ!このクッキーは自信作なんでどんどん食べてください」
カノンが作ったクッキーは種類があってジャムを乗せた物や抹茶や紅茶を混ぜた物もあって見た目や香りを楽しむ。話題の中心は男である俺の事で興味津々なのか色々と聞いてくる。
「悠さんはコールドスリープ中に二十歳を迎えましたが、身体の調子はどうですか」
「大会中はちょっと痛かったけど、今はもうすっかり治った。細胞硬化症になったのは中学校三年で、じいちゃんが学校は高校まではちゃんと通えって口酸っぱくして言っててな。じいちゃんの時代はそれが普通だったというか」
「もし、良ければ先輩って呼んでも良いですか?私も学校に通っていたんですが、男の人との会話はしたことがなくて」
「さっき言ったけど好きに呼んでいいから」
「ありがとうございます。先輩は大会って言いましたが中学校はどんな部活をしてました?」
「剣道部だよ、サクラは?」
「私は弓道部に所属してまして部長をしてました」
「俺も部長だったんだ。大会は身体が痛かったせいで準優勝で終わって、細胞硬化症がなかったら絶対優勝してたから悔しくて最後は泣きまくった」
他の周りに迷惑をかけないようにタオルで顔を隠して泣いたのは今でも覚えているが、皮肉にも細胞硬化症のおかげでこうして生きている。
優勝した人ともう会えないのが残念だ。高校の大会か学校同士の試合をしたかったのに。
「先輩はまた学校に通いたいですか?」
「通いたいかな。中学校は卒業しないでコールドスリープしたから卒業証書とかないし」
中卒はだらしないとおじいちゃんが強く言ってて、もし可能なら通信制や家庭教師でいいから高校の授業は受けたい。
(でも、俺は細胞硬化症にならなくて死ぬと分かっていても──)
みんなと一緒に卒業したかった。
◇
自分が通っていた学校でどんな風に過ごしたか話をして楽しんでいるとお昼時間となって食堂に行く。
「サクラもけっこう食べるんだな」
「恥ずかしながらここの料理は美味しいですからつい」
「わかります。悠さんのボディーガードになるって聞いたあとに食堂行ったらプロの料理人のご飯も私たちに運ばれたから」
サクラの周りには食べ終わった皿が重なっていて、食べるほうだと言うのにスタイルが良い。カノンもスレンダーながらも出ているところはしっかりと出ていて女性らしいふくよかな体型。
真耶さんは言うまでもなく、自己主張が激しい胸をテーブルに乗せている。
「サクラもだけど周防さんもよく食べるけど、スタイル良いよね」
「周防さん?」
「
真耶さんが端末機を使ってディスプレイに表示された女性はサクラと同じ紫色の長い髪をしていて、カノンたちのような可愛いではなく、妖艶で美しいという言葉が似合う。
「それで周防さんの担当である水原様は他と違ってメイティングを拒んでいるようです」
「メイティング?」
「悠さんは今は20歳だけどコールドスリープしたのは15歳……男の子だからエッチな本とかあるよね?それをやるってこと」
「なっ……!」
「あっ、そうだ。今年出来たあの部屋に行きましょう」
「いいですね。そこなら詳しい内容も話せますし、先輩も分かりやすいかと」
何処かに連れて行きたい部屋があると食べ終わった皿をウェイターに任せて食堂を出る。
連れて来られたのは部屋には何も変哲のないただのモニターが置かれているだけで触ってみてもおかしなものはないが、真耶さんがボタンに触れると女性が入浴している場面が映る。
「お、おふっ……!」
「これはマジックミラーでして大浴場からこちら側は見えません」
男に見られているのも露知らず堂々と裸体を晒していてドリンクを飲みながら会話をしたり、胸の大きい人が揉まれてじゃれ合ったりと各々が入浴を楽しんでいる。
「ここにいる女性は誰を呼んでも構いません。若くて健康的な身体で悠くんとのメイティングに拒む人はいません」
「いないなら悠さんが望む女性を見つけ出しますよ。なにせ女性は50億人もいますから、どんな女性がタイプなのか教えてくれますか?」
「先輩は誰を選びますか?いっそのこと大浴場に行っても構いませんよ?」
端末機を見せるカノンと肩に触れて背中から顔を出してモニターを見るサクラ。
エッチしても問題ないどころがやって下さいとお願いしている事に顔を真っ赤にする。
「今はまだ決められません。いろいろありすぎて落ち着ける場所で休みたい」
今すぐメイティング……エッチなことをしろと言われても心の準備はできていない。頭を冷やして落ち着きを取り戻してからじゃないと。
マジックミラーの部屋を出て自室に戻り、ベッドにダイブして枕に顔を押し付ける。
「お疲れですね、先輩」
「お昼寝しますか?」
「ちょっと休めば良くなるから」
真耶さんは仕事があって途中で別れてしまい、不安そうにするサクラとカノンに心配かけないように笑いかけてベッドで横になる。
そのまま寝ようかなと思う目をつぶるとマジックミラーから見た女性の裸が頭の中に浮かんでしまい、下半身から熱と固さを感じて手で隠す。
「先輩、おっぱい触りますか?」
「はっ?サクラ、なにを言って」
「男性は性的欲求を抱くと勃起するのですよね?私とカノンさんで良ければ発散しますよ?」
「私たちもメイティングはしっかり学んでますから」
二人とも服越しから胸を押し上げて十分な大きさで、それらを好きしても良いと言われて思わず、生唾をゴクリと飲む。
後ろに手を組んで前屈みになっている二人におそるおそる豊満な乳房に触れるとビクンと肩を震わせた。
「ご、ごめん」
「い、いえ……男の子に触られるのは初めてでビックリして」
「いやと言う訳じゃないからね。その……もっと触っていいから」
右手はサクラの乳房。左手はカノンの乳房に触れて大きさを確かめるように撫でる。サクラは切なそうな声を出し、カノンは恥ずかしながら目を閉じている。
(柔らかい……サクラもカノンも俺に触られて嬉しいんだ)
会って間もない男に胸を弄ばれているのに嫌な顔ひとつ見せない。次のステップとして服を脱いで欲しいと頼むと一度、頷いてから白衣とワンピースを脱いで下着を外して床に落とした。
「どうぞ……先輩の好きにしてください」
「私もサクラも望んでここにいますから」
ベッドに入り込む、二人の女の子が俺の肌に触れた。
作者「第二回目は最近話題のHeaven's Feelルートのメインヒロイン、間桐サクラです」
サクラ「みなさん、どうも。間桐サクラです。さっそくですが私を選んだ理由を教えてください」
作者「後輩枠が欲しいのと専属ナースが必要という設定でEXTRAに登場するサクラは健康管理AIということで採用しました」
サクラ「なるほど。私の名前がカタカナというはstay nightとの桜(私)と分別するためですよね?」
作者「はい。EXTRAでも漢字の桜ですがややこしいのでカタカナにしました」
サクラ「あと、読者が気になっていると思いますが水原様が世界宣言したとき、単行本で言いますと二巻目になってから先輩が起きるようにしたんですか?」
作者「コールドスリープして20歳になったけど眠ったのは15歳なのでどんなに説明しても悠自身が認めようとはしないんですよ。大人ならある程度考えて理解しますけど悠の精神はまだ子供なので確実な証拠が欲しかった」
サクラ「複雑ですね。同じ学校の友達がみんな亡くなった事実を突き付けられたら残酷でしょう」
作者「では、今回はここまで」
サクラ「ありがとうございました」