たったひとりのメンバーのために
どうやらわたしは、この舞台が嫌いではなかったらしい。
「アイドルだって~女のコだもん~♪」
普通にライブアイドルやってた頃は、あざといチラリズムなんて狙っていたけれど……
「他の~みんなと~だって~、何も、変わらないんだか~ら~♪」
こうして素っ裸じゃ、チラリと覗く場所なんて、割れ目の中の具くらいしかないわ。そこだって、振り付けの中で指で広げちゃってるけど。一緒に壇上で踊ってる三人揃って。
「ほらねっ♪」
曲が終わって、決めポーズは股間を開くVサイン。客席から息を呑む声が聞こえてくる。ここで人気を得るためには、見せるだけじゃダメ。この後の
「では、本日のお相手は――」
パッパッパ、と客席にライトが照らされる。いつものような抽選ではなく、今回のわたしは出来レースだ。天井から振り下ろされる光の帯のすぐ外側で悔しそうにしている女の隣で、男に驚く様子はない。彼は、最初から承知のうえで、ここへ招待されているのだから。
他の客たちに混ざって、ステージに上がってくる目当ての男。そんな彼らの服を、わたしたちは一枚ずつ脱がしていく。上から、順に。ズボンのあたりは……あえて外から撫でて焦らしたりしながら。男の肌が剥かれていく度に、隣の席にいた女の顔は赤みを増していく。ただそれは、彼氏が他の女に恥部を委ねているからではない。あなたも……本当は、わたしのようにシてみたいのでしょう? この、きらびやかなステージで。その橋渡しができるのは、他ならぬこのわたし。そのために、あの女は恋人を売ったのだ。……なぁんて、それは責めすぎかもね。別段、こうして楽しむのはいまに始まったことでもないし。
「あ、あぁん、はぁ……っ❤」
男を丸裸にしたところで、わたしたちのショーは本番を迎える。文字通り、本番を。軽くお口で艷やかにしてやったところで、男たちは横になるよう促される。客に主導権を握らせると面倒、という事情はあるけれど……コイツが相手なら上になって欲しいのが本音だ。
色々あったけれど、もう数え切れないほど抱き合ったわね。その中で得てきた悦びは、すっかり
「……ん♪」
ちゅぷ、と肉の中に頭を埋めただけで、その滑らかさに
求め合っているのだから、わたしは足踏みなどしていられない。指を添える必要すらなく、腰のうねりだけで彼の、男としての
「あ、あ……ん……」
硬く長くて太い。それは認めよう。けれど、彼の真価はそれではない。そんな熱いモノを、的確に狙ってくれるところにある。
「ん、ん、あ、あぁ……」
やっぱり、自分で求めては楽しさも半減だ。意識の外から、
「あ、あぁん、やぁん、はぁん……っ」
工祐のアソコは……くぅ……演技なんて必要ないほどわたしの
「すごい……すごいのぉ……おちんちん……おちんちんすごいぃ❤」
嬌声をマイクで拡張されるのもすっかり慣れた。けれど、これでは耳元でも囁やけない。わたしの気持ちを吐露してやることで、困りながらも恥じらってくれる情けない男の顔を見せてくれる。それが、わたしをさらなる高みへと飛ばしてくれるのに。
でも……あぁ……そろそろ、ね。彼だって、もうギリギリだもの。わたしが
けれど……腰の動きは止められないし、胸を摘み上げる指先も緩められない。あとに戻れないのであれば、せめて、華々しく――
「あっ、はっ、あ……
あえて堪えることはなく、グニャリ、ビクリと脈動に身を投げる。すると――
ビュルッ! ビュプッ! ビュクン……ッ!
はぁ……あぁ……
すぐに別れが待っているけど、わたしは堂々と男の胸にしなだれかかる。声はマイクに拾われてしまうから、最後までアイドル『
「はぁ……ん、すっごく良かった……ありがとね❤」
ちゅ、と交わす口づけは軽い。本当はもっとネットリと楽しみたいのだけど。むしろ、このまま抱きしめていてほしい。けれど……はぁ、どうしてプライベートでも抱き合える相手と、不自由な仕事で抱き合わなきゃならないのかしら。わたしがそうするように突きつけたからだけど。ナニやってんだか、我ながら。
***
暗い欲望が渦を巻くこの街は、夜が更けこもうとも眠らない。この劇場も、朝まで裸踊りを披露し続けることだろう。わたしが呼んだあのふたりが、この場でそれに付き合い続けることはない。
だがしかし。
一旦席を外しはしたが、いずれ戻ってくるはずだ。然るべき姿となって。
あぁ、今頃ステージ上では……
例え眠らない街でも気を緩ませている隙はあるらしい。その合間を縫うように、彼女らはここへやってくる。スマホで連絡を入れておきながら、そこで用件に触れることはない。それは、ここへの来訪さえも、ふたりの余興のうちだからか。
すでに、プロデューサと話はつけてある。あとは結果を伝えるだけなのだけど――わたしはいい。ホールの外は閑散としているし、そもそも、ここは
しかし、一歩建物から出れば、そんな言い訳は通じない。例え、こんな街だとしても――いえ、こんな街だからこそ、より危険であるともいえる。
けれど……なんの心配もいらないのでしょうね。アイツは何故か、人の動きが読めるみたいだから。
正面玄関がキィと開く。外から入ってきたのは、男女のふたり組。ただ、その姿が異様なのは、揃って靴しか履いていないところ。大して育っていない胸を恥ずかしげもなく垂らし、股間の毛玉もオトナにしては頼りない。そんな無様な女はさておき、隣の男の方はつい気になってしまう。運動らしい運動なんてしていないのに……まあ、日夜オンナ五人をオトコひとりで相手していれば、自然と身体も締まってくるのか。何より、天井に向けて力強くそそり
今度は立場が逆転しているからか、女は不愉快なほど機嫌がいい。
「こんばんは、先程は素敵なステージをありがとうございました」
まったくコイツらときたら、この館の関係者でもないのに大胆なことで。……ああ、いや、業務提携は結んでいるから、完全に無関係でもない。だとしたら余計にヤバイか、それとも、相応しいというべきか。
ショーの最中は簡単に手放した男の腕を、いまではグッと力強く握っている。ない胸を懸命に押し付けるように。もう指一本触らせない、という意思表示か。そういうところも、気に入らない。
「ええ、こちらこそ、素敵なチンコをご馳走様」
と、嫌がらせのつもりで言ってみるも。
「ふふ、お粗末様……なぁんて、言えませんね♪」
この女は、彼氏が他の女を抱くことに何の抵抗もないみたいだ。野外露出に限定することで、生粋の痴女しか寄って来ないからでしょうけど。……あぁ、自分もそれにカウントしまっていることが憎らしいわ。
コイツらにとって、ここはデートの途中で立ち寄ったに過ぎない。ゆえに、すぐさま本題に切り込んでくる。
「で、約束通り……打診はしてくれたんでしょーね!? そのために、わざわざコースケ君を……!」
すぐにでも再びふたりきりになりたいのだろう。ゆえに、手早く話を終わらせようとするが……まあ、こちらとしても、こんな状況で長話に興じる趣味はない。だから、端的に告げてやった。
「はいはい、ちゃんとゆったわよ。OKだって」
まったくコイツは……ひとに頼み事をしておいて、いざ話が通ったらアホ面晒して固まっている。
「……へ? 観客まで全員、場内に入る時点で……ですよ?」
「半数をカップル席に、ってとこまで全部通ったわ」
それなりに、時間はかかったけどね。まあ、プロデューサはよく頑張ってくれたわ。
この返答に、言い出した本人が一番動揺している。
「じ、自分で言うのもアレですけど……大丈夫なんでしょうか……?」
全裸で街を出歩くほどの女が、恐縮している姿は少し面白い。叶えてくれたプロデューサにこそ、この反応を見せてやりたかったが……ここはわたしが、胸を張っておいてやろう。彼からもらった言葉を添えて。
「大丈夫よ、ここは、そういう街だから」
***
一ヶ月後のイベント当日。わたし
「意外ですねぇ。ストリップなんだから最初は服を着ろ、って言われると思ってました」
本当にコイツは、こういう姿がよく似合う。ブーツを履き、腕袋を着け、付け襟チョーカーは巻いているけど、胸も股間も丸出しだ。本人曰く、恥部を包むともどかしいらしい。だからこそ、ストリップの過程は気にしていた。が、今回は時間が押していることもあり、そのあたりはすっ飛ばして全裸スタートである。
「観客のことを考えたら、主役が服を着るわけにもいかないでしょ」
「むぅ、観客ですか」
わたしたちはロビーの方に、その観客たちと会いに行くのだ。今日はどこまでも特別ライブなのだから、ファンサービスは欠かせない。だというのに、この女は曲がり角から覗き見るなり、さっと引き下がってしまう。
「うわ、うわ……すごい……みんな、裸ですぅ……」
「あなたが望んだ光景でしょう?」
とはいえ、誰もがあの日の晩のコイツらのように、堂々と扉を押し開けているわけではない。小走りに駆け込んで……まあ、それが外で服を剥かれた者の正常な反応だ。
彼らは、今日のライブのためにやってきた観客たちである。しかし、途中で寄り道してきてもらった。少し前、近所にできた二四時間営業のスパに。そこの脱衣所に身ぐるみのすべてを残し――ああ、靴とリストバンドだけは着けているか――車でこっそり送り届けてもらったのだ。
ゾロゾロとなだれ込んでくるのは、素っ裸の男たち。
「意外といえば……あなたがこの企画を持ちかけてきたこと自体が意外だわ」
「そうですかね?」
コイツが長らく、この舞台に興味を持っていたことは知っていた。しかし、ここまで実現困難な条件をつけてきた、ということは、そこまで乗り気でなかったに違いない。
その理由には、なんとなく憶測がつく。
「あなたからすれば、ステージくらいじゃ普通の部屋も同然じゃない?」
「まぁ、ホントのところは」
でしょうね。コイツは以前、コンビニの店長と話をつけて店内で堂々と致したことがある。が、そこまでしておきながら、感想は『室内とあまり変わらない』とのこと。なんとも酷い言い草だ。ならば、こんな建物内など野外プレイのうちには入らないのだろう。それはコイツもこうして認めた。
そのうえで。
「けど……」
不愉快なまでに清々しい笑顔をわたしに向ける。
「やっぱり、キラキラな舞台には憧れるじゃないですか」
そういうことなら、ちょっと前に叶えてやったのに。
「こないだのリハーサルじゃ満足できなかったの?」
どーしてもステージに上がってみたい、というから、工祐とのセックスと引き換えにリハーサルに混ぜてやったのだ。ちゃんと、メンバーと同じ衣装まで着せて。
なのに。
「観客がいないと盛り上がらないというか……」
生粋の露出狂であるこの女は、裸であることに無駄な誇りを持っている。それが、世間では受け入れられないと知りながら。だからこそ、眩い光の中で裸になっているわたしたちが羨ましかったのだろう。未だ恥じらいを捨てきれていないのに。
「ふっ、ついに見せたがりの方も開花したのかしら?」
この女は、裸で外を出歩きたがるが、
「ちがっ……だからせめて、皆様にも脱いでもらおうかと……」
このコは露出仲間であれば寛大になる、という気質らしく……それでわたし自身も、野外プレイという形で彼氏にちょくちょく抱いてもらっていた。なので、観客をも露出仲間に取り込む、という形で納得しようとしたんでしょうね。さらには、半数をカップル席にしろ、とまで付け加えてきた。最大一〇〇人の男に囲まれるのは、露出仲間であっても厳しかったらしい。
ただ、男女同等の条件では女に来てもらえるはずがない。ストリップどころか、何十人もの全裸男と向き合って長時間過ごすのである。普通に考えて難しい。ゆえに、カップル割りとして、チケット代は格安にせざるを得ない。はっきりいって、無茶に無茶を重ねた難題である。こんなことを言い出せば、わたしがプロデューサに正気を疑われかねない。だからこそ、きの子の方にも色々と要求させてもらったけれど。こないだのまな板ショーも含めて。
もらうものはもらったうえで、わたしはプロデューサにダメ元で話を振ってみた。すると……本当に、あの男は真摯である。こんな馬鹿げた提案に対して真面目に耳を傾け、こうして実現させてくれたのだ。多くのメンバーから好かれるのも不思議はないし……プロデューサからの頼みだからこそ、
「わ、わ……ホントに……未兎ちゃん?」
「そだよー、おっぱいにサインしたげよっか?」
ロビーの方では、女のコが未兎の前で恐縮してる。サインをもらうにも、荷物は全部置いてふたりとも素っ裸だけど。
そして、あちら側ではちょっとオバチャン入った方々が。
「会えて嬉しいです! アイドルの頃から応援してました!」
「リリはずっとアイドルだっちゅーねん! でも、ありがとーっ♪」
わたしも地下ではそれなりに動員してきたつもりだけど……さすがに地上波のふたりには負けるわ。コスト回収のための特別価格チケットは即日完売したらしい。何しろ……普段はひとりかふたりしか選ばれないまな板を、全員に確約しているのである。カップル席は対象外だが、半数の五〇人をたった三人で。正直わたしは、いまから気が重い。
それでも、仕事は仕事だ。アイドルたちとのフリートークも、タイムテーブルに含まれている。
「そんじゃ、わたしもファンサしてくるけど……一緒に来る?」
「行きませんっ!」
きの子は研修生扱いなので、含まれていないし告知もされてない。だから、置いていくことにした。この数の厭らしい視線にはついてこれないでしょうし。
わたしはひとり、短い廊下を通って広間へ出てみた。下心丸出しの男たちはこれまで裸の女ふたりに釘付けになっていたのに、新たなひとり加わっただけで一気にこちらへ流れてくる。
「希ちゃん! 今夜こそ……エッチできるね!」
このオッサン、ライブアイドルの頃からキモかったわぁ。
とはいえ。
「おめでと♪ 本番を楽しみにしてるね」
そんな男と相手してやる自分の寛大さも、まあ、嫌いじゃない。
三〇分のファンとの交流会――普段なら、禁止されてるボディタッチをやらかすアホもいるけれど、今日は全員に
それを発散させるように、ライブは大盛りあがりだ。
「「「マスタァ! ベイション! エレクチオンッッッ!!」」」
花道を挟んでオッサン側は本当にすごい。できれば、ここでカロリーを消費しておいてほしいところだけど。
メンバーは慣れてるからともかく、きの子は初めての舞台だ。しかも、ここまで醜悪な熱気を孕んでいるのは珍しい。それでも……ちゃんと練習の成果は見せてくれている。
「これが~ホントのホントの私~♪」
ダンスも歌もしっかりしたものだ。多分、最初で最後のつもりで必死に練習したんでしょうね。舞台袖で見守っている彼氏の心境はいかがなものかしら。恋人が何十人もの男たちから視姦されているわけだけど。
「見えないところも見せてあげたい~♪」
その場に座って……足上げクイクイ。割れ目を披露するための厭らしい振り付けも、毅然としてこなしている。必死に笑顔も作っているけど、紅潮だけは隠せない。いくら露出仲間だと思い込もうとしても、恥ずかしいものは恥ずかしいか。
「私もう……オトナだから♪」
歌のパートは終わり、わたしたちはステップを踏みながら前盆に集合。ピタっと寄り添いポーズを決めると、床の方が勝手にゆるゆる回り始める。客席全体にアピールするために。あら、カップル席の女、男にすがりついてフラフラしてるわ。男は男で、女の足の付け根を撫でたりして。そろそろ、お楽しみの時間ね。
「それでは、皆様お待ちかね! 全員サービス、まな板ショーの始まりです!」
ワーっと歓声は上がるが、一挙に押し寄せてくることはない。順番は予め決まっているから、ひとりずつ。
「み、み……未兎さん……僕、ずっと未兎さんのファンで……!」
「そんな未兎と、これからえっちしちゃうんだよ~♪ 嬉しい?」
「応援し続けて早二〇年……ようやく、俺もリリちゃんと……!」
「リリ、二〇年前はまだ生まれてないんだけど。でも、よろしくね❤」
きっと彼らは、これまでずっとまな板抽選に漏れてきたんでしょうねー。興奮と緊張で鼻息も荒そうだわ。
そして、そんなわたしたちと並んで、股を広げている自称研修生。
「それじゃ、あたしたちも……ね?」
客たちの相手は決まっており、きの子に手を出せる男はひとりもいない。だからこそ、滾っている全裸男たちに囲まれながらも落ち着いて求められるのでしょうね。たったひとりの、彼氏に向けて。
「はぅ、はうぅ……すごい……すごいですぅ……♪」
一番広いステージの上で、早速交わり始めている。広くても、客席からは一番遠いから。正規メンバーの寝床は花道である。
回る前盆はメンバー三人でローテーションだけど、最初は理々から。
「いえ~い、男子のみんな~、サカってるぅ~?」
立ちバックで撞かれながら、楽しそうに手を振ってるわ。カップルたちも……少なくとも、男は我慢できないだろうし、こういうイベントに連れてこられた時点で女の方も覚悟してたんでしょ。すぐ両隣でアンアンしてるカップルに挟まれながら、正面やら後背やら様々な座位で楽しんでる。
さてさて、もうひとりの元アイドルは……と。
「んふ、あはぁ……ほーら、男ならもっと頑張りなさいっ……たらぁ……!」
未兎の相手、見るからに短小だったものねぇ。せめて強く打ってくれないと
だからこそ、お相手がひとりの女は余裕綽々である。
「んふぅ……あたしが上の方がぁ……見渡せましたかね♪」
早くも別の体位を考えてるとは、なんとも贅沢なこと。
そんなふたりに挟まれて、わたしの最初のお相手は――
「よろしく、お願いします」
五〇人を三人で担当すると、どうしても、ひとり足りなくなる。だからこそ……わたしもわたしで、贅沢な
「うん、一緒に楽しもうね❤」
裸でわたしに迫る男は、他ならぬ今回の立役者である。が、サクラはサクラなので、あくまで他人行儀に。けれど、それに少し寂しさを感じる……なんて、わたしらしくないか。ここまで頑張ってくれたのだから、それなりにこの
何より、コイツとのセックスは……そんなに嫌いじゃない。これまで掃いて捨てるほどの男を相手にしてきた中でも、かなりうまい方に入る。
「あ、ん、あん……」
制限時間はひとり五分。この切羽詰まった中でも……こうして、キスは欠かさない。唇をつなげたままの乳首への愛撫も。そんなことされたら……こちらからも、抱きしめたくなってしまう。
「はむ、あむ、んん……❤」
ヘッドセットはつけっぱなしだから、じゅるじゅると口の中で絡め合ってる音も拾われちゃってるみたい。けど……はぁ、吐息一つひとつも熱くなってる。
「あ、あ、ん、あむぅん……」
胸に手をかけながらも、時間がないのは承知なのでしょうね。早くもアソコに攻め込んできて……あ、あ、あぁ……❤
「む、ぅ、ぁぅ……んむぅぅぅ……っ」
これは……あぁ……やっぱり男から撞かれる方が……もちろん、ちゃんと気遣ってくれることが必須条件だけど。そうっ、そこ! そこを、そうやって……そんなイイモノで、グリグリされたら……
「あむぅぅぅん……っ!」
正直、キスで口を塞いでくれているのは助かる。もし、自由に言葉を話せたら、いつものように誘惑してしまうかもしれない。
そう、思っていたのに――
「……あ」
そろそろラストスパートか。動きやすいように、プロデューサは身体を起こしてしまった。わたしから唇を離して。
わたしを見下ろして微笑みかけてくれる裸のプロデューサ。それは、わたしを気持ちよくしてくれるために。けれど……うぅ……わたしが……いまのわたしが欲しいのは……
「やぁんっ、あぁ……もっと、もっとぉ……」
伸ばした両腕を察して、男の身体が少しだけ下りてくる。脇を、腰を、精一杯撫でていると……あぁ……わたしの胸に……またあの手が……
「はあっ、あぁ……っ」
そんなに摘まれたら……こんなの……こんなの……っ
「好き、好きぃ……っ❤」
彼にはもっと頑張ってほしいから。わたしが
「好きなのぉ……そうやって、胸を攻められるのも……そ、そうやって……もっとぉ……っ」
アソコをズンズン撞かれるのも!
「いいっ、いい! もっと強く! もっと強くわたしを撞いてぇっ!」
この声を、工祐には聞かせたくなかった。本気で
けれど……もう無理だ。これから訪れるであろう熱を前にしたら、
「お願い!
そろそろなのでしょう!? だから、その瞬間は最高潮の中で迎えたい!
ズブズブとわたしの
「んんんんん~~~~~っ❤❤❤」
ビクビクッ、ビクビクッ! ビクゥッ、ビクゥ……ッ!
ビュルッ、ビュクッ、ドクッ、ドクッ、ドクドク……ドクドク……
熱い……
「ん、ん、ん……」
舌で舌を味わいながら、ビュルッ、ビュルッ、と熱い勢いをまだ
「希さん、ありがとうございました」
「あ、ウン……はい……」
その呼び名で、わたしの心がズンと冷めきっていく。舞台裏で抱いてもらっているときは、ちゃんと“優加さん”って読んでくれてたのに。誰よ、希って。まあ、わたしなのだけど。
プロデューサ自身がイベント進行を妨げるわけにはいかない。次の男にわたしを譲るため、速やかに股から立ち去っていく。こんなヤリ捨てみたいなの、全然プロデューサらしくない。チンコだけ移植した別の男みたいだ。
不覚にも、わたしの視線は男の背中を追っていたらしい。きの子のヤツは余計な気を回してきた。
「……終わった後、抱きます?」
お互いヘッドセットをつけているので、その名前は伏せている。けど、声色と、わたしへの眼差しを見れば、伝えたいことは明らかだ。
「いいわよ。そんな体力残ってないでしょうし」
わたしらしくない返事が、きの子の顔をより暗いものにする。いつもの自分なら……疲れているときこそ、工祐に癒してもらいたいと思うはずなのに。けれど、今夜は――少なくともいまは、そんな気分になれそうになかった。
きの子は二回目を味わうために工祐の上に跨っている。なのに、繋がっていない。シュンと男の胸にそのまま項垂れている。
あー……もう! そんな顔されたらわたしが凹んでるみたいじゃない!
「さっ、次は誰っ? 希のおまんこ、おちんちん待ちきれないのぉ♪」
女のコたちもみんな一回ずつ済んだみたいだから、細い花道でわたしたちはポジションチェンジだ。今度は未兎が前盆で、四つん這いになって男にお尻を突きつけている。どうやら男はバックを所望したらしい。四足動物となった元アイドルは、ゆっくりと場内を見回しながら、ギャラリーに向けて檄を飛ばす。
「あ~、そこのお兄さん! 自分でシコシコしちゃってる! 女のコの
ぶっちゃけ、座席で射精されると掃除が面倒くさいという理由が大きい。が、男たちにとって……この空間は耐え難いでしょうね。実際、クールダウンするために場内から離れている人も少なくない。とはいえ、全裸なので建物から出ることはできないのだけど。きの子じゃあるまいし。
さーて、わたしも早く相手してあげないとファンがお漏らししちゃうからね。ゴロンと天井を見上げて、両手で腿を引き寄せる。
「ほらほら~、希のおまんこだよ~♪ 早く……早くおちんちん
実のところ、今回が前盆の番でなくて良かったかもしれない。もし、会場中を見渡せるそこに立たされてしまったら……あの人がここにいないことを、思い知らされてしまっただろうから。