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「メイリンがまだ見つからないですって!? どうして!? 極道組織は壊滅したはずじゃない! だったら、捕まっていたメイリンも解放されてるはずよ!」
「落ち着きなさいよ、ルナ!」
極道組織との決戦を終え、疲れ切った体を回復カプセルで癒すために休息を取った私たちが目を覚ました時に聞かされたのは、ルナの妹であるメイリンの行方が未だに掴めていないという情報だった。
私たちに協力してくれている男性たちは、重苦しい表情を浮かべながらその辺りの事情について話し始める。
「確かに極道組織は壊滅したさ。だが、この街にはまだあと2つの組織が残ってる。マフィアとギャング、その2組織が極道組織の壊滅と共に動き出したんだ」
「……極道組織が持っていた領土や店、女を全て掻っ攫っていったってわけね」
アンジュの言葉に男が大きく頷く。
その反応を見たルナマリアは、顔を真っ青にするとその場にへたり込んでしまった。
「折角、これで妹を助け出せると思ったのに……!」
「ルナ……」
彼女の落胆も当然だ。ここまで厳しく、羞恥に塗れた戦いを続けてこられたのも、その先にある目標があったからこそなのだから。
妹を救い出し、この世界から脱出する……その目標がようやく一歩進んだかと思ったら、即座に遠のいてしまったとくれば、誰だって凹みはするだろう。
「それで、メイリンさんの行方は全くわかっていないんですか? せめてどちらの組織に捕まったのかでもわかれば、少しは今後の方針が立てられると思うんですが……」
「悪い、それもわかってないんだ。正直、青龍地区と玄武地区に流れ込んでくる奴らのせいで情報が交錯してる部分もある。そんな中でメイリンちゃんの行方を探るのは、無理な話ってもんだ」
申し訳なさそうにしながら、男はクスハの質問にそう答えた。
結局、取り戻しかけたメイリンの身柄は再び男たちの手に渡り、その行方すらもわかっていないという状況に絶望感が満ちる中、拳を握り締めたルナマリアが勢いよく立ち上がると、猛然とした勢いで拠点から飛び出そうとする。
「ルナ! どこに行くつもり!?」
「決まってるでしょう! 情報を得るためにも、朱雀と白虎地区に潜入するのよ! ここでじっとしてたって、どうにもならないわ!」
危険を顧みず、妹のために行動を起こそうとするルナマリア。
少々焦り気味のその様子には危うさが感じられるが、彼女の気持ちを思えば当然と言えば当然の行動だろう。
しかして、そんな彼女に対して真っ向からの否定意見をアンジュが口にする。
「待ちなさいよ。今、そんな風に動いたって事態が好転するとは思えないわ。まずは足場を固める必要があるんじゃないかしら?」
「足場を固めるって、どういうことですか?」
「決まってるでしょう? 極道組織が壊滅したことで、青龍と玄武地区は何処の組織の影響も受けていないフリー地帯になってる。このどちらかを抑えて、私たち女性グループの行動拠点とすることで、娼婦として働かされている女の人たちを受け入れるための体制を整えるべきよ」
今後の活動を考え、じっくりと足場固めをしようという提案をするアンジュの意見もまた、至極真っ当なものだった。
確かに、このままこの拠点で動き続けるのも限界があるし、ジンバラ公園に女性を送り続けて身柄を隠してもらうのも同様だ。
ならばいっそ、一地区をまるまる手に入れて、そこを私たちが自由に行動出来る拠点として作り上げた方がいいのでは……という彼女の言葉には、男たちも頷きを見せている。
「でも、そんなことをしてもリスクの方が大きいわ! 女たちが集まってるって聞いたら、マフィアもギャングもこっちを狙ってくるに決まってる! 最悪、2組織が協力して攻め込んでくる可能性もあるのよ!?」
「なら、このままゲリラみたいに潜伏しながら戦えっていうの? 地区を治めて、体制を整えることが出来れば、戦力だって増えるかもしれないじゃない! そうすれば、2組織と互角に戦えるだけの力だって手に入るはずだわ!」
両者の意見は、どちらも間違っていない。
極道組織の壊滅に合わせて各陣営が慌ただしく動き回っている今だからこそ、危険地帯である敵の拠点に潜入して情報を得られる可能性も跳ね上がっているし、そこから次の行動を迅速に決めることも出来るだろう。
結局、全組織を壊滅させなければ私たち女性の権利が取り戻されないというのならば、電撃作戦を遂行するに越したことはない。
極道組織を壊滅させた勢いのままに突っ走ってしまおうというのがルナマリアの意見だ。
対して、アンジュはそれとは逆だが今だから出来る策だということは共通している。
極道組織から解放され、残る2つの組織に狙われている女性たちを集め、青龍・玄武の区画を手に入れることで、今後の活動を余裕を持って行えるようにしようというその意見は、ルナマリアとは逆の長期戦を見越した作戦だ。
確かに、女性たちが集まることで2つの組織から狙われやすくなるというリスクもあるが、メリットも大いに存在している。
何より、私たちが男たちの手から地域を解放し、自分たちのものとしたというニュースが広まれば、この街の女性たちの心にも希望の火が灯るはずだ。
攻めの作戦か、守りに入るのか。どちらも正しく、間違いではないが、相応のリスクがある。
いったい、どちらの意見に賛成するべきかと私が悩んでいると、言い争いを続ける2人の間に割って入ったクスハがこう提案を口にした。
「待って下さい! なら、ここは戦力を半分にしませんか? 潜入グループと拠点確保グループで2:2に分かれて、それぞれ行動を起こすんです」
「戦力を半分に……? でも、それで共倒れになる可能性も十分にあるんじゃ……?」
「かもしれませんが、仲間内で異なるビジョンを描いたまま行動することの方がもっと危険だと私は思います。幸い、今は敵も混乱しているし、少人数で行動したとしても多少の無理は利くはずですよ」
「……潜入任務は少人数で行った方がいいとは私も思うわ。単独行動よりも2人の方が何かと便利だし、反対する理由はないわね」
「私も、特に反対はしないわ。青龍か玄武、どちらかの地域に人数を集中させれば2人でもどうにかなりそうだしね」
クスハの意見に、ルナマリアもアンジュも賛成を意を示してくれた。
問題はその戦力の割り振りだが……ここで、3人は私の方を見ると、その決断を委ねてくる。
「カレンさん。あなたはどちらの作戦に参加しますか? 潜入任務か、拠点制圧か、お好きな方を選んでください。私は、もう1つの作戦に参加することにしますから」
「ええっと……?」
ルナマリアと共に敵の拠点に潜入し、情報を探る任務に就くか?
アンジュと共に混沌状態になっている拠点を抑え、自分たちの地区を作り上げる作戦を遂行するか?
どちらでも新たな戦力との出会いが待っている気がするし、SEXバトルも避けられないような気がする。
ここは大事な選択だ。悩みに悩み、考え続けた末に、私が出した結論は――!!