※この作品はR-18です。

聖杯少女と調律師   作:風剣

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コミケの待機列でこつこつ書いてました



神稚児の奉仕

 

 それが、健康を重視したものであるか否かは別として。

 

 おおよそほとんどの魔術師にとって、己の身体の管理は根源への到達や相伝の刻印や技術を磨く使命にも迫る最優先事項に等しい。

 男か女か。中肉中背か筋骨隆々か。朝食は摂ったか否か。同じ基盤、同じ儀式、同じ適性を持つ者で魔術を行使したとしても、それらの前提条件の差異によって魔術の成功率と完成度は著しく変動する。

 血液の成分、栄養の配分、身体の特徴。人体に秘められたあらゆる情報を網羅し掌握してようやく魔術師は己の魔術を真の意味で支配できるといっても過言ではない。

 

 とはいえ。そういった魔術の行使にあたっての前準備も、芥子菜のそれは比較的軽い方であった。

 

 ペットボトルになみなみと満ちたミネラルウォーターを傾け口に含んだ錠剤を飲み下す。購買で購入したパンの包み紙を丸めて制服のポケットに突っ込み、やがて煙草を取り出しては口に咥えてライターで火を灯した少年の姿に、顔を両の手で覆った白の少女が絞り出すような声を漏らした。

 

「ふ、不良……」

「絵面は……おおよそ教師が想定し得る最悪よねえ。今飲んでた錠剤だって色とりどりでやばいクスリにしか見えなかったし……」

「確かその煙草も、お手製のハーブ?か何かを調合してるって言ってたような……」

「余計に違法感が増している……」

 

 散々な言われようだった。震え声のイリヤに同調したクロエと美遊の加わった集中攻撃に天を仰いで暮人も苦笑し……特に反論の言葉も思い浮かばずに煙を吐き出す。

 一応この場は自分たち以外の生徒や教員がいないことを確認した時点で封鎖しているが……屋上とはいえ中等部の校舎で、しかも生徒を騙って在籍している少年が奇怪な薬や煙草を服用する様子はとても他者に見せられるものではない。付き合っていることになっている――実際の関係はそれどころではない――学内最上の美少女3人を連れ込んでのこれだから猶更だった。

 

「……まあ、理性トばしたり快楽ホルモンやらを過剰に分泌するようなものではないとだけ言っておくよ。合法とはとても言えたものではないけれども」

 

 そもそも数々の調律依頼をこなすにあたっての薬の多用が祟ったこともあり外見年齢が中高生の中間くらいで止まることになったのだ、誤って服用してしまった場合の危険度は下手なドラッグを鼻で笑う代物だが――それについてはおいておく。薬も用法次第で毒になるのはよく知られた話だった。

 

「全部調律の下準備、なんだよね……? うぅ、なんか申し訳なさを感じる……」

「罪悪感感じてるんならそうだな、取り敢えず膝を貸してくれ」

「え、膝!? 別にそのくらいならいいけど……どうぞ……」

 

 言質は取った。困惑しながらも姿勢を整えて露出した膝をぽんぽんと叩く少女の善意につけこんで後頭部を柔肌の上に乗せる。

 ずしりと膝上に乗せられる重み。突然の発言に困り顔になりながらも、暮人の頭をそっとなでようとして……彼の要求を普通に受け入れて膝枕をしてしまっている事実に気付いて固まる。

 

「……あれ、なんで私あっさり受け入れ……なんか感覚が狂ってる気がする……!?」

「毒されてる毒されてる、普段のあれそれからして爛れきってるしそうなるのもおかしくないと思うけどね……。あ、私も~~~~」

「……わ、私も」

「!?」

 

 学生の身で体験するにはあまりに過激なスキンシップをとっている自覚はあった。当然のように少年を膝枕してしまっていたことにイリヤが戦慄しているのに苦笑しながらも、クロエもまた猫が頬擦りするようにイリヤの腰にしがみついては頭を膝に乗せる。便乗して美遊まで狭いスペースに強引に入り込んで膝上に頭部を乗せるのに目を白黒させた。

 

「え、いやちょ流石にこれは重っ……暮人くん一旦どいて──いやスカートめくらないで!?」

「面積確保すれば3人でもいけるいける。ほらその手を離したまえ」

「いやー!足が潰されるー!」

 

 悲鳴をあげて脚を露出させようとスカートを掴んでくる魔手に抗うイリヤだったが――不意に伸ばされた腕に肩を押され体勢を崩す。

 屋上のフェンスに上体を押しつけられ目を白黒させた少女に、ずずいと近寄ったクロエはにっこりと笑って。

 

「重いとか潰されるとか、随分と失礼なことを言ってくれるじゃないイリヤ……そんなことを言って、乙女の地雷を踏んだ報いを受ける覚悟はできてるのかしらぁ~~?」

「く、クロエが本格的に敵に回った!? ワタシワルクナイモン!」

 

 何をー!? このー!

 頭を預けていた膝が離れていくのをやや名残惜しく思いながらも間近で暴れられて押され蹴られてはかなわぬと離れつつじゃれあうようにして掴み合う2人の少女を見守る。仲睦まじいのはいいことではあるが、同じ顔の少女が言い争っている様子は出逢って数ヶ月の過ぎた今でも奇妙に感じさせられるものだった。

 

「確か聖杯戦争とやらで封じられた人格が別たれたんだっけか……? クラスカードとの融合も相まってかほとんど境界記録帯(ゴーストライナー)みたいなもんになってるのに、ああも人間やってるとはなあ……」

 

 まあ、特異といえばそれこそイリヤも美遊も負けたものではない。片やアインツベルンの遺した根源にも至り得る聖杯、片や神稚児信仰を体現した天然もの、それも並行世界の住民である。時計塔の締め付けを逃れてでも魔術師がつけ狙うのも仕方ないというものだった。

 ――だからといって、みすみすくれてやるつもりもないのだが。

 

「――おいで、美遊」

「……? どうしたの暮人くん――ぁ」

 

 屋上から見渡すことのできる街並みをぼんやりと見つめながらどっかと座り込み、くいくいと黒髪の少女を手招いて。知ってか知らずか無防備に近付いてきた美遊を抱き寄せてあぐらをかく上に少女の身体を乗せる。

 すっぽりと腕の中に納まる華奢な身体に、思わず呆れたように目を白黒させる。イリヤも君ももっと飯を食って肉を付けた方が良いんだがなと漏らすと、その瞳を瞬かせて首を傾げられた。

 

「太い方が良いの?」

「んーーー……いや、そうでもないな。どちらかと言うと好みはスリムな方だけど……そろそろ娶るのも視野に入れてるからなあ」

 

 子ども産んでもらうなら身体はしっかり作ってもらいたいところではある、と。そう呟くのにギョッとしたように目を見開いた美遊は、眠たげに細められた暮人の目を見つめ、小さく呟いた。

 

「もしかして、私――でも、薬はちゃんと飲んで」

「いやいやそれはない。多少そういった管理にだらしなくなってきた自覚はあるけど、そういう意思もないのに孕ませるほど職人意識も廃れちゃいないさ」

「っ……」

 

 ただ、欲しくなったというだけの話だと。襟元から制服の中に手を差し込んでは柔肌に指を這わせる彼の言葉に背筋の逆立つものを感じながらも――胸の中で溢れだす悦びを否定することはせずに。それでも意識して淡泊な口調を維持して、未だに掴み合っている瓜二つの少女たちを見ながら問いかける。

 

「それは……っ、イリヤたち、には……?」

「……クロエはともかくイリヤはなあ。魔術師殺しの鉛弾喰らっても生存できる準備整えてからになるかな……」

「、ひゃ……」

 

 つまるところ。

 聖杯を狙う魔術師たちや逆に保護せんとする者たちと真っ向からやり合うだけの武力もコネも薄く、あくまで調律に特化した術師でしかない暮人にとって、異世界からの渡航者であり、真っ当な戸籍も存在せず、イリヤたち以外との人間関係も薄い美遊が最も彼にとって都合の良い女であるという話であって。

 それと同時に、美遊だけに飽き足らず――それこそ多少の無理を押してでも――クロエやイリヤを手籠めにする気概であることも、語っていた。

 密着したまま制服の内側に突っ込んだ手で未発達ながらも確かな柔らかさを持つ膨らみを弄びながらもあくまで自分本位な言動であることも自覚しているのか、少年もまた苦笑し。美遊の胸の中央に触れた手で調律用に刻んだ呪紋を励起させながら、あっさりと呟く。

 

「ん、ふぅ……」

「まあ、選択肢を固定させるつもりはないさ。3人とも他の男に渡すには余りにも惜しいからいっそ全員……なんて思わないでもないけれども強制はしないよ。……少なくとも、今のところは」

 

 なにせ中学生だ。約3年の時間を使って何をするかは自由、進路の検討も学業に勤しむのも知己との友愛を深めるのも良い。それは昨年の戦いでまざまざと特異性を発露させてしまった彼女たちが日常に踏みとどまることのできる唯一の機会であり――魔術師としての道が生まれた時から決まっていた自分には、決して与えられることのなかったものだった。

 ……魔術師として歩んだ人生を嫌悪する訳ではないが。だからこその拗れた執着も、ないではなかった。

 だけれど。今は──、

 

「あー、美遊が抜け駆けしてイチャイチャしてる!」

「め、目を離した隙にもうあんな風に……でも美遊があんな顔してるの見ると……こう、変なスイッチ入りそう……」

 

 気は済んだのか、制服を乱れさせながらも掴み合いを終えたらしいイリヤたちが密着するこちらの様子を見守るのに術式の前準備をしていた手の動きを止め、熱を灯した呪刻の疼きに切なげに声を漏らす美遊を支えるようにして立ち上がる。

 そこで。にこやかに笑って、耳元に口を寄せそっと囁きかけた。

 

「そうそう、調律のことなんだけども。今回は――」

「……ぇ?」

 

 続いた言葉に、思わずといったように美遊は目を丸くして。

 一拍の間を置いて、恥じらいに頬を紅く染めながらも――小さく、頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局のところ。

 肝心なのはモチベーションなのだ。

 

 扱いを間違えれば――適切な用法であったとしてもそれなりの副作用で身を苦痛で蝕む薬品の調合と服用。調律の対象はといえば、それこそ研究さえ進められれば身内の悲劇ひとつふたつどうでもいいと断じられるような魔術師が余所者の手に縋ってでも頼るにふさわしい厄介事ばかりで。それは如何に本来なら巡り合うこともできなかったであろう美少女であったとしても、聖杯などという危険物を宿す3人の少女たちも然程変わりはしなかった。

 

 だから、趣味に走る。

 別段加虐的ないし被虐的趣向を持ち合わせているというわけでも、AVのように台本を用意しての戯れに興じる訳でもないが。性交を経て調律をこなす少年にとって、ある程度行為の内容に幅を持たせる形で己の欲求を満たす行いは少なからず重要なことであった。

 

 自宅の浴室にて一糸纏うことなく裸体を晒し、シャワーを浴びながらゆるりと待つ。

 扉の先から僅かに届く衣擦れの音に、少なからず胸を高鳴らせつつ。向こう側から扉の取っ手に手がかけられるのに一旦シャワーの栓を閉め、湯の滴り落ちる前髪を鬱陶しげにかきあげると扉を開いた美遊の姿を拝むべく視線をやって──やはりこの発想は悪くなかったと口元を綻ばせる。

 

「っ……その、本当にこれで良いの? 必要なら、その、裸でも良いんだけど……」

「ん? あー……そういうのも悪くないけど後でかな、いつもやっていることと大差ないし……着ているから良いんだよそれは」

 

 言外にこの一晩を使って遠慮なく抱き潰してやると告げられるのに抱くのは、諦感と期待。所在なさげに浴室で立ち竦んでいた美遊は、水着を着た己に向けられる邪な視線に目を泳がせた。

 いわゆるスク水。

 彼女が纏うのはそれこそ水泳の授業で女学生が使用するそれと何の違いもありはしない。しない、が──ここはプールではなく風呂場で。これからすることになるだろう行為を思えば、犯罪感は凄まじいものだった。

 

「その、あんまり見ないで……なんだか恥ずかしいから……」

「そうはいってもなあ……」

 

 要求にこそ健気に応えてはくれたもののまじまじと見つめられて気恥ずかしいものがあるのだろう、頬を赤らめて窘める美遊の言葉にも生返事を返してじっくりとその姿を見定める。

 肌にぴったりと吸い付く紺色の生地。惜しみ無く露出された白い脚。水着を内側から盛り上げる胸元の膨らみは慎ましやかながらもスタイルの良さも相まって女性らしい輪郭を完成させていて。普段は結わえられている黒髪をほどき背まで伸ばした姿は年齢に見合わぬ色気を感じさせるものがあった。少年の視線から守るように細腕を前に回す彼女が顔を真っ赤にして俯くのも含めその愛らしい姿を堪能すると、箱状の椅子に座りながら声をかけた。

 

「それじゃあ、早速だけれど……、身体洗ってもらおうかな」

「……う、ん。わかっ──ぁ」

 

 タオルも身につけずにいた暮人、彼の股間で肉棒が既に膨張しつつあるのに気付いて動じた様子を見せながらも。少年の背後に立った美遊は、手に注いだボディソープを泡立てつつ、余分な肉の薄い背に触れて指示に従い洗い始める。

 

「えっと、このくらいの加減で合ってるかな……」

「良いよ良いよ、上手だと思う」

 

 ややぎこちないものの手慣れている節が見受けられるのはイリヤやクロエとお泊まり会でもしたのか。手の動きに迷いはないように思えた。背の泡が湯に流されるのをされるがままにして受け入れていたが──シャワーを浴びせていた美遊の手が止まったのに、にやにやと笑いながら振り向いて問いかける。

 

「どうした?」

「……前、も?」

「勿論」

 

 即答。これから行うことを想像したのか、顔を真っ赤にして動きを止めた美遊だったが──覚悟を決めたように頷くと、背後から暮人に抱きついて密着する。

 腕を、胴を洗われながら。背に押しつけられる柔らかな弾力と温もりに、目を丸くした。

 

「随分驚いたよ、積極的なんだな」

「クロエが……こうすれば、男の人は喜ぶって言ったから……」

 

 違いないと笑う。くっついて身体を洗っていた美遊がおずおずと陰茎に触れるのに手を添え、細い指が亀頭を擦り上げるのに助力した。

 

「凄い、もうこんなに熱い……」

「まあそんなもんだよ。にしても美遊も上手になったなあ……っと」

「──、」

 

 少女の手の中で迸る怒張。暮人の方で意識して量は削ったが、それでも小さな掌から精が溢れて浴室のタイルに零れ落ちた。

 

「わ──ひゃっ、むっ……!?」

 

 掌にまざまざと刻まれる精の熱と感触に、束の間忘我して。直後、身体を引き寄せられた美遊は唇を塞がれていた。

 

「ん、ぅ。ま、む──っっむ!!?」

 

 待ってと口にしようとして半開きになった唇から滑り込んだ舌。的確に口内をねぶり、つつき、絡め合う舌使いに翻弄される。

 そして抵抗を封じられた少女に対しても、魔術師は何ら容赦をしなかった。

 露出した腿から股下に向かって白い肌に指を這わせ、水着の上から秘所を刺激する。腋からスク水の内側にてを突っ込んで乳房を掴んで先端の突起を弄んだ。

 

「さて、美遊はここが弱いんだったよな……?」

「ぃイ、っっ、ふぁ……ッん──!」

 

 指先での刺激にすっかりそそりたった乳頭を引っ張られた少女の嬌声が飛んだ。

 腕の中で肢体を跳ねさせる少女への責めを継続し、目を潤ませて快楽に悶える美遊の姿に笑みを漏らす。

 暮人が依頼を受け調律をこなすようになってから、約3ヶ月──その間の度重なる施術にあたっての接続や淫行を経て美遊の、いや聖杯の少女たち3人の性感帯は完全に把握している。裸エプロンで煽ってきたクロエを10分もかけずにガチ泣きさせて抱き潰したのは記憶に新しかった。

 腕の中の少女がどういった責め方をされると悦ぶのかも既に把握している。尻肉を揉みしだく手で水着を掴むと、引っ張りあげられた水着の布地に秘所を擦りあげられた美遊が悲鳴をあげて暮人に身を預けるようにして倒れ込む。そのまま指先を秘裂に埋め具合を探り、十分に濡れているのを確認すると。これで仕上げと言わんばかりに、人差し指と親指で陰核を爪弾いた。

 

「――イぃッっ、~~~~!!?? っ、ぅ……!」

 

 僅かな時間の愛撫で絶頂に導かれ、総身を打ち震えさせて。腿に愛液を滴らせてがくりと身体から力を抜いた美遊は、蕩けた目をどうにか剣呑なものにしようと努力しながら暮人を見上げた。

 

「どう、して急に。こんな……?」

「美遊に気持ちよくして貰ったからな。せめてものお返しだ」

 

 あと、身体も洗って貰ったことだし。

 そう呟きながら、あくまで口元はにこやかに――ただし目は情欲に染まって獣のようにぎらついていた――暮人は少女を抱く腕に力を籠める。

 

「こっちも、隅々まで洗わないとな――?」

 

 




前後篇みたいになった美遊回、案外筆が捗ってしまったかもしれない
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