星奈ひかるは、薄暗い部屋の中で目を覚ました。
寝ぼけ眼で部屋の窓の外へと視線を向けたのは、普段からの習慣に影響されてのことだろう。
窓枠によって切り取られた星空は……いつもの自室から見るものとは違ったが、星奈ひかるにとって見覚えのある空には違いなかった。
星空から判断するに、現在時刻は25時ごろだろうか。
宇宙と未確認生命体が大好きだと自認する星奈ひかるとしては、星読みによって現在時刻を割り出すぐらいのことは造作も無かった。
「ここって……ララのロケット? でも、なんでここで寝てたんだっけ……??」
ひかる自身の記憶では自宅で就寝したはずだし、格好も部屋着のままなのだが。
地表に停泊中のロケットが、何故だか星奈ひかるの現在地のようだ。
記憶を洗いなおしても、思い当たる原因は無かった。
このロケットに住んでいるララなら、原因を知っているかもしれない。
もしくは、夜分に起こすと悪いからロケットのAIに尋ねるべきだろうか。
「あ! ひかる、起きたルン!」
「ララ! ごめんね、起こしちゃった……って雰囲気じゃないね? 何があったの?」
ひかるの背後から話しかけてきた声は、ロケットの持ち主のものだった。
頭から生えた極細の触覚2本とエルフ耳が特徴的なサマーン星人の女の子で、名前はララといった。
ぱっと見た様子として、少なくとも寝起きには見えない。
いつもならララが起きているのも不自然な時間なので、きっと何か異変が起こったのだろう。
ひかるの寝ていた場所が変わったのも何か関係があるかもしれない。
「実は高次元生命体とよばれる異星人が地球に来ていて……」
「思ったより展開早いね」
ひかるが想定していたより、2段階ぐらい展開が早い。
話を始めた時点で異星人の通称まで分かっている辺り、とんとん拍子で話が進みそうである。
「なんと、この私も肉体を乗っ取られてしまったルン!」
「うんうん。ララが肉体をね。……うん? …………うん??」
……今なんて言った?
なんだか想像していなかった方向に話が転んだ気がする……?
ひかるは、今一度ララの様子を観察してみた。
全体的に青のかかった髪も、極細の触覚も、普段のララと全く変わらない。
ひかるからの無遠慮な観察の視線を浴びせられて首を傾げている仕草も、ひかるの知る「ララ」という人間そのものであった。
「乗っ取られてしまったルン!」(二度目)
「え? あー、えーっと、聞こえなかったわけじゃなくて。どう見ても、いつも通りのララにしか見えないよ?」
何か変な漫画でも読んだのだろうか。
ララは観星中学校にも期間限定で通っているので、同級生たちに何か変なネタでも吹き込まれたのかもしれない。
最近の中学生が知っていて、憑依宇宙人がネタにされる作品ってなんだろう?
シンフォギアシリーズとか仮面ライダービルドとか?
「ウルトラマンと早田隊員に近い感じかな? 人格や口調は早田隊員だけど根っこはウルトラマンみたいな?」
「ルン。大体合ってる気がするルン」
異星人とUMAがストライクゾーンな星奈ひかるなので、割とイメージを掴むのが早かった模様。
初代ウルトラマンが分からなければ、最近のアニメだと憑依グリッドマンと裕太が近いかもしれない。
裕太の口調や人格データを利用して喋っているけれど、行動原理の根本は大体グリッドマンが握っているみたいな感じである。
あれは裕太の記憶の参照に制限がかかっている点が微妙に不便だが。
「一応、高次元生命体としての人格や母星語を基準に喋ろうと思えば喋れるルン。でも肉体の方に合わせた方が楽ルン」
「分かる。分かるよ。ララの性格と身体を使って真面目な顔するのって凄く疲れそうだもんね……」
何だか高次元生命体の苦労が理解できた気がした星奈ひかるであった。
ぽん、とララの肩に手を置いて同情の意を示してみた。
秒単位で払いのけられたが。
「私はいつでも真面目ルン!!」
「それでそれで? 高次元生命体さんはララと合体してやりたいことって何? 教えて早く!」
ほっぺたを膨らまして怒り始めたララをなだめながら。
ひかるは、話の続きを促してやった。
何となく話の流れ的に、高次元生命体はそんなに悪い奴ではないというのが星奈ひかるの受けた印象だった。
まぁララの肉体を乗っ取ったのは気になるが、本当に悪い奴だったら高次元生命体自身の正体を明かすことは無いと思ったのだ。
ララのふりをして星奈ひかるを利用できるだけ利用するという選択肢だってあっただろうに。
まぁララの人格に引っ張られ過ぎて考えなしに喋っているだけのような気もするが。
「よくぞ聞いてくれたルン! われわれ高次元生命体の地球での活動目的は、性欲の解消ルン!」
「えっ……?」
ひかるの思考が、一瞬停止した。
もっと心躍る宝探しとか珍獣捕獲とか、そういうのを期待していたのだが。
一気に下世話な方向に話が進んで、ひかるは困惑した。
ララのキャラクター的に、下世話な話題のイメージが全く無かったのも原因だろうか。
「われわれ高次元生命体は今でこそ肉体を持たない精神だけの生命体ルン。でも肉体があった時代の名残で性欲を解消しないとストレスが溜まる一方ルン」
宇宙船の長旅の中で性欲とストレスをそろそろ解消したい、というタイミングでちょうどよく地球の近くを通りかかったのだそうだ。
迷惑極まりない生命体である。
R18タグが付いている時点で全読者はこの展開を予期していただろうけど!
「性欲の解消って……ララの身体に何をするつもりなの!?」
異星人との邂逅は基本的に喜ぶ星奈ひかるでも、さすがにこの迷惑な隣人には警戒心を向けた。
ララの貞操がかかっているのならば、場合によってはプリキュアに変身して殴り倒してでも止めなければ。
ところが、ララの返答は星奈ひかるの想定の斜め上を打ち抜いてきた。
「オヨ……? 何をと言われても……性欲解消のために、ちょっと性器を生やしただけルン。身体から分離する時に自動で元に戻るから後遺症の心配は要らないルン」
ララが、自らのスカートの裾をあげて中を見せてくれた。
肌色の中に、明らかに女性の股間に存在しちゃいけない器官が存在していた。
アレは、昔お風呂で見た星奈家の父親のものと同じ……!?
「ツチノコ……!?」
星奈ひかるは、本日何度目かの思考停止から辛うじて脱した。
そして同時に、ぞくりと背筋に嫌な予感が走った。
目の前のララが男性器を生やしているのは(認めたくないが)事実としよう。
じゃあその男性器は誰に
今この部屋には星奈ひかるとララ(?)しかいないっていうのに。
そこまで考え至ると、自宅で寝ていたはずの星奈ひかるがロケット内部まで移動させられていた理由も納得できてしまうのが恐ろしい。
無意識のうちに、ひかるは一歩後退した。
じり、とララが一歩前進してきた。
背中一杯に冷や汗をかきながら、ひかるは油断なくララへと視線を返した。
「心配要らないルン。身体のベースは私だから、さすがに妊娠させる機能までは無いルン」
普段通りのララの能天気な笑顔が、ひかるの恐怖心を削り取ろうとしてくる。
思い返してみれば、ひかるは危機感が足りなかったのかもしれない。
親友であるララのパーソナリティで話す相手に、無意識のうちに警戒を緩めてしまっていたのだ。
「来ないで!」
とっさに、ひかるはスターカラーペンダントを時代劇の印籠のようにかざして、ララへの威嚇に使ってみた。
ペンダントはプリキュアへの変身アイテムであるからして。
これ以上近づいたら変身してでも抵抗するぞ、という意思表示であった。
「ハッタリは非効率的ルン。ひかるがこのロケットの中で全力で戦えるワケ無いルン」
「……っ!」
その通りだ。
そんなことは分かっている。
このロケットは、ララが故郷サマーン星と地球を往復するための、大切なロケットだ。
地球へ墜落してきたララ達と一緒に頑張って直して、いっぱい冒険にも行った、思い出がたくさん詰まったロケットだ。
ひかるの渾身のハッタリは、全く通じていない。
ララは、ゆっくりと距離を詰めてきた。
焦りが、頭と胸の中で膨らんでいった。
「スターカラーペンダントっ! カラーチャージ!!」
壁際まで追い詰められた星奈ひかるは、やけっぱちになって変身を敢行した。
カラーペンをペンダントの窪みへと差し込んで、プリキュアへ変身したのだ。
ひかるは、キュアスターへ変身した。
……そう、思った。
「え、うそ……なんで、どうして変身できないの!? カラーチャージっ!!」
ひかるは、星奈ひかるのままだった。
もう一度カラーペンをペンダントに差し込んでみるが、何の反応も無い。
いや、ペンを差し込んだ時の感触が、何か不自然だったような……?
「どうしたルン? 変身しないルン?」
「しまっ……あばばばばっ!!!!?」
ペンダントに気をとられ過ぎていた星奈ひかるは、至近距離まで踏み込んできたララの極細触覚から電気を流されてしまって。
瞬く間にカラーペンとペンダントを奪われてしまったのであった。
これも、冷静に考えてみれば一発で分かることだったりするのだが。
そもそも星奈ひかるは眠っている状態でロケットへ運び込まれたわけで。
ララがプリキュアへの変身アイテムに細工の一つもしないなんて、有り得ないのである。
ペンダントの差込口から、潰れたコスモグミの残骸が零れ落ちた……。
電撃の影響で身体の動きが鈍っている星奈ひかるは、あっさり両手を背中側に縛られてしまった。
それでも、ひかるは考え続けた。
どうすればララと自分自身を助けられるのか。
二人とも無事に解放される選択肢は、本当に無いのか。
身体は電撃のダメージで動かなくとも、心はまだ死んではいない……!
「オヨ……。諦めが悪いのは、ひかるの良いところルン。でもこれだけ拒絶されると、実は私が嫌われてたんじゃないかって、ちょっと傷つくルン……」
「……あなたなんて大っ嫌い」
ララへと目も合わせずに、ひかるは吐き捨てるように言った。
両手は縛られていても、口は動く。
なにか。何か逆転への糸口は無いのか。
そう思って、普段の星奈ひかるが殆ど使わない「大嫌い」を使ってみた。
人を傷つけることが分かり切っている言葉を語彙から外す程度には、ひかるは普段は良心的な子だ。
ちらりと、ひかるはララの様子をうかがった。
何でも良いから情報がほしいという程度の期待度で、ララへと目を向けたのだ。
ララは……泣きそうな顔をしていた。
本当に、ララ本人が悲しんでいるようにしか見えなかった。
ずきんと、星奈ひかるの胸が痛んだ。
どうせララ本人のマネをしてこちらの油断を誘っているに決まっている。
そう割り切ろうとしても、悲しみに揺れ動くララの瞳は、ひかるの良心を揺さぶった。
(あれ……? そういえばさっきのも、不自然だったっけ……)
――私はいつでも真面目ルン!!
あのとき……ララの中の人は、何故怒った?
高次元生命体にとって、肉体側の人間をからかわれても、痛くも痒くもないだろうに。
ララ本人のフリを徹底していただけかもしれないが、それだけではないとしたら?
そう考え始めて、ひかるの頭の中で今までの手がかりが一つに繋がった。
他にもあったララの不自然な行動の数々が、一本の線になっていく。
「私のたった一言だけで、そんなに悲しそうな顔するんだね」
「ひかるに、悪意で人を傷つける言葉は似合わないルン」
今の星奈ひかるは拘束されているが、そもそもロケットに運び込まれた時点で拘束されていなかったのが不可解だ。
変身アイテムだって、ひかるの意識が無い間に没収すればよかったのに。
ならば、考え方が違うのだろう。
ここまでの二人の会話は、高次元生命体にとって必要だったのだ。
……ひかるの心を折ることで、レイプの際の抵抗を最小限にしようとしているのだろう。
「じゃあさ。私が……全力でララを傷つける言葉を叫び続けたら、どうなる?」
「……っ!」
ララの顔に、あからさまに動揺が走った。
まぁララの身体と性格でポーカーフェイスなんて、絶対に無理だと思ったけど。
おそらく高次元生命体は、宿主本人の精神構造までそのまま使ってしまうのが弱点でもあるのだ。
だから、ララが聞いてストレスを感じる言葉は、高次元生命体にもストレスを与える。
もっと言えば、ララを傷つける言葉は、そのまま高次元生命体への精神的ダメージへ直結する。
星奈ひかるを無理矢理レイプしなかったのは、しなかったのではなく、出来なかったのだ。
ひかるが本気で嫌がって抵抗したら、ララのストレスが過大になって性欲の解消に支障をきたすから。
「待つルン、私には分かるルン! それを実行したら……一番つらいのは、ひかるルン」
まったく、ひかるのことを本当によく理解しているようだ。
ひかるが悪意の言葉でララを傷つけ続ければ、ララは最後には泣き崩れて許しを請うことになるだろう。
その光景を想像して、ひかるは生まれて初めて「いっそ死んでしまいたい」とちょっとだけ思った。
「……そうだよ。でも、あなたが「ララ」だからこそ、分かるでしょ? 私は最後までやめない、って」
ひかるは、今度こそ正面からララの空色の瞳を覗き込んだ。
正真正銘、ひかるが出せる最後の勝負札だった。
無言のままの視線の交差は……10秒も継続しなかった。
ララが、怯んで視線を逸らしたのである。
「ルン……。初見の異星人に対して、ここまで的確に対策を思いつくなんて、ひかるの宇宙好きを侮っていたルン……」
肩をすくめながら。
ララは、ひかるの拘束を解いてくれた。
どうやらララとしては、ひかるを縛っておくのも正直イヤだったらしい。
「一応、あと一つだけ作戦があるルン。それがダメだったら、ひかるの近辺は諦めて別の町でターゲットを探すルン」
「うへえ……。まだ何かあるの……?」
縛られた跡が残る手首をさすっている星奈ひかるへと。
ララが、最後の切り札を提示しようとしていた。
っていうか、それって前置きしない方が良かったのでは?
「プランBとして、この身体を解放して、ひかるの方の身体を使うのを考えていたルン」
ひかるは、心臓が止まりそうになった。
高次元生命体が「星奈ひかる」の肉体と人格を使って、ララを犯す。
そんな光景を、ひかるは鮮明に想像してしまっていた。
ララは、ひかるの魔の手から逃げ延びられるだろうか。
ロケットの破壊を脅迫材料にしたら、その時点でララは全く抵抗できないだろう。
今の星奈ひかるの頭で既に思いついてしまっているのだから、ひかるの人格と記憶を自由に使える高次元生命体は当然その手を使える。
ひかるが高次元生命体に対して徹底抗戦したせいで、ひかるの代わりにララが犯されるのだ。
それだけは、絶対に呑めなかった。
そうなるぐらいなら、自分が犯された方がマシだ。
「……まいった。私の負けだよ。……ずるいよ、ララ」
一度は、大逆転を成功させたと思ったのだが。
残念ながら、相手の方が一枚上手だったらしい。
そんなこんなで。
長めのソファーに寝かされた星奈ひかるは、ララに犯される羽目になったわけだが……。
ひかるの部屋着の短パン部分を脱がせて、ララが容赦なく顔を下半身へ突っ込んできた。
構造はサマーン星人と違わないみたいルン、なんて呟きながら、ララはひかるの秘部へと舌を這わせた。
「んっ……」
くすぐったい。
生暖かくて湿った舌の感触は、気持ちいいというよりも、くすぐったいと言った方が的確に思えた。
きめ細かいララの髪が、ひかるの太もも辺りに擦れているのも、くすぐったさを強めていた。
このまま十分に濡れてきたら、あとはララのインスタントチンポで犯されるのだろう。
そう思って諦めの境地にいた星奈ひかるの視界に……黄色い球体が、チラついた。
ララの頭部から生えた極細触覚の先に付いている、ビー玉サイズのセンサー器官である。
サマーン星では他の人とセンサーを軽く触れ合わせるのが挨拶だそうで、ひかるとララも頻繁にその挨拶のマネをしていた覚えがある。
普段のララなら嫌がるような行為でも、今なら多少は許されるのでは……?
犯されそうになっているわけだし、多少の無礼をはたらいても見逃される可能性が微粒子レベルで存在する……??
「あむっ」
ひかるは、なんとなしにララのセンサーの部位を口に含んでみた。
黄色いビー玉サイズの器官なので、レモン味の飴のような味を期待していたのだが、残念ながら無味無臭であった。
ころころと硬い感触を返してくる球体を、ひかるが舌の上で転がしてみると……
「オヨっ、オヨヨヨヨヨヨッ!!? ど、どこ舐めてるルンっ!!?」
「わわっ!? 暴れると危ないよララ!?」
ひかるの股間に顔を突っ込んでいたララが、突然全身を震わせたかと思うと、ジタバタと暴れだした!
とっさに星奈ひかるは、両脚に力をこめてララの頭を挟み込んだ。
あぐらのように脚をくんで、ララの頭を逃がさないようにホールドしたのである。
「いいからっ、早く口を離すルン!! そんな、ロロが隠してるエッチな本みたいなマネ、どこで覚えたルン!!?」
「家族の性癖をさらっとバラすのはホントにダメなやつだよ!? 家庭崩壊するよ!?」
やめてさしあげろ……。
っていうか、ララのお兄ちゃんってエロ本とか持ってるの?(困惑)
あんなにイケメンで仕事が出来る男子の雰囲気なのに、あっさり妹にエロ本を発見されてますけど??
まぁでも、ロロも男性だしね。しかたないよね……。
「オヨヨヨヨォッ!?」
そんなことはともかく。
ひかるは、口の中でセンサー器官を転がし続けた。
最初は必死に抵抗していたララは、次第に態度が軟化していった。
身体全体を時折痙攣させつつ、ララはすっかり大人しくなってしまった。
「ル、ルン……」
ひかるは、両脚にこめていた力をゆるめて、ララの顔色をうかがってみた。
まぁ、電撃で反撃されていない時点で、ララも本気で嫌がっているわけでは無いだろうが。
脚の隙間から見えたララの顔は、真っ赤に茹っていた。
激しい快楽と羞恥心に苛まれたララは、息も絶え絶えといった様子である。
「性欲の解消が目的って話だけど、高次元生命体さん的には攻められるのはアリなの?」(直球勝負)
「そ、その……アリかナシかでいったら……アリ、ルン」
両手の人差し指のさきを、ちょんちょんと合わせて、恥ずかしそうにしながら。
一応ララはOKを示してくれた。
高次元生命体さんは生粋のレイパーという訳では無く、サマーン星人としての触覚受けプレイはアリアリのようだ。
目の端に少しばかり涙が浮かんでいるあたり、少し刺激が強かった気配もあるが。
「でも、あの、その……もう少し優しくしてほしい、ルン」
せっかくの要望があったので、ひかるは舌を動かす速度を緩めてみた。
動作がゆっくりになった分、丁寧にセンサー部を嘗め回していく。
もはや、ララは流れに身を任せる方針を固めてしまったようで、時々嬌声を漏らしながらも無抵抗を継続した。
カワイイなぁ、なんて頭の隅で思いつつ、ひかるは舌を動かし続けた。
「ひかる……! も、もう、そろそろ……」
「分かったよ!」
熱い息を吐いていたララから、リクエストが入った。
要望の内容は最後まで聞かなくても予想がついた。
ラストスパートをかけろってことだよね!
ひかるは、舌の回転ペースを少し上げた!
「ル、ルンっ! ルルルンっ!!?」
甘い声をあげるララの様子から、限界が近いことが窺えた。
最後の一押しとばかりに直感に任せ、ひかるは舌と口内圧力で触覚センサーを締め付けた。
「――――っ! ――! ――――っ!!」
ララの言葉にならない喜声が、ひかるの耳へ届いた。
背中を反らせて身体全体を痙攣させているララの状況から見て、何かの山を越えたであろうことは想像に難くない。
目を半開きにキープしつつ、荒い息を何とか落ち着けようとしている様子であった。
「す、すごかった、ルン……」
「さっきは、大嫌いなんて言ってゴメンね」
脱力しているララのキメ細かい髪をなでてやりながら。
そっと、星奈ひかるは囁いたのであった……。
「ひかる! ララ! 大丈夫!?」
「あれ、えれなさん?」
突然、部屋の入口から、ひかるの良く知る人物が駆け込んできた。
メキシコ系ハーフで、太陽のような女性だと評される観星中学の3年生だ。
この人が来たなら大丈夫だ、と思わせてくれる母性というか包容力というか、そんな独特の雰囲気を兼ね備えた先輩である。
「どうやら無事のようですね」
「何事も無くて良かったニャン」
天宮えれなに続いて、もう二人のプリキュア仲間もロケットへ入ってきた。
お淑やか系お嬢様の香久矢まどか先輩と、猫耳と猫尻尾を生やした異星人のユニである。
「みんな、そんなに慌ててどうしたの?」
「ユニから聞いたんだ。性犯罪常習犯の異星人が、観星町の近くで観測されたって!」
「高次元生命体は、現地生物に憑依して性犯罪をさせる悪質な異星人ニャン! ひかるの部屋がもぬけの殻だったから心配して……」
なるほどナルホド、と納得し始めていた星奈ひかるは、ユニの言葉が不自然に途切れたことに気付いた。
えれな・まどか・ユニの3人の視線が、部屋の中の一点に集中しているのを、ひかるは察した。
ひかるもその一点へと目を向けると……。
なんというべきか、「事後」としか言えない姿で気絶している羽衣ララの姿があった!
ヤバい、と星奈ひかるの頭でも理解できた。
もう一度仲間たちの顔色をうかがってみると、汚らわしいモノを蔑む視線が3人分返ってきた。
性犯罪者へと、嫌悪感と怒りをレッツラ混ぜ混ぜした感情が向けられている!!
「ち、違うの!!」
「みんな気をつけて! そいつは、ひかるじゃないニャン!」
何を言っても信じてもらえる気がしない!?
半ば無駄だと知りつつ、テンパって頭が全く回っていない星奈ひかるは悪あがきを試みるが……。
「本物だよ! 私! 星奈ひかる! 宇宙と星座が大好きな中学2年せ……」
「……それ以上、ひかるの声でしゃべらないでくださいます?」
「ヒエッ」
うっかり殺しそうになります、なんて幻聴が聞こえた気がした!
まどかさんの冷ややかな笑顔が、ひかるの恐怖を掻き立てた!
ひかるは、自分の喉から、自分自身でも一度も聞いたことが無いような謎の音が出るのを聞いた。
「確保ニャン!」
「御用だぁ!」
「嫌だあああ!!?」
かくして、誰も幸せにならない大捕り物がロケットの中で実施されたのであった……。
よだれを垂らしながら爆睡しているララは、結局捕り物が終わるまで起きなかったのだとか。
「ルン……♡」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!? 誰か私を信じてよおおおっ!!?」
高次元生命体の本当の恐怖は。
仲間を信じられなくなること、なのかもしれない……。
「ふう。思ったより逃げ回ったね」
「ララぁーっ! 起きて私の無実を証明してぇっ!!」
「ここで、実はもう一つオチがあるニャン」
「まってやめて本当に嫌な予感がするキキタクナイ」
「実は高次元生命体は全部で4人いて、私達3人も乗っ取られているんです。さあ、夜はこれからですよ」
「」(心が折れる音)
この後メチャクチャ
ち、違うんだ!
ジャアクキング様が夢枕に立って、プリキュアを凌辱しろって囁いたんだ!
俺は悪くねぇ!
俺は悪くねぇ!!