時系列的には1話と2話の間の話ですが、情報量的な意味で、リストの上の話から順に読んだ方が良いと思います。
ララは、夢の中に居た。
なんだか、ひかると一緒に、とても幸せな時間を過ごしていたと思った。
包み込まれるような、原初の快楽と言うべきか。
得も言われぬ幸福に浸っていて。
ひかるが、ララを幸せにしてくれたような気がした。
――大嫌いなんて言ってゴメンね。
「あっ、うぅん……! ひかるの中、本当に極楽にいるような気分です!」
「……」
薄暗いロケットの船内にて、ララが目を覚ますと。
……ペニスを生やしたプリキュアチームの面々が、星奈ひかるを犯していた。
ひかるは、無抵抗のまま下半身を犯され、時に口にペニスを突っ込まれている様子だった。
端的に言って、性的暴行を受けている真っ最中だ。
夢心地の幸福な気分と、現実との落差が酷過ぎた。
夢の内容までは覚えていないとはいえ、数秒前まで本当に幸せな気持ちで寝ていたというのに。
「ひかるに隠された意外な才能ニャン! 何度でも犯れそうニャン!!」
「……」
ララは、目の前の光景に対する理解が追い付かなかった。
百歩譲って、他種族への擬態能力を持っているユニにペニスが生えているのは分かる。
だが、天宮えれなと香久矢まどかにペニスが生えているのは異常事態だ。
そして、3人が星奈ひかるを襲って犯しているのは、もはや異常事態なんて生易しい状況ではない。
「イイねぇ! はぁっ、腰が抜けちゃいそうだよ!」
「……」
犯す側になっている3人は、心の底から幸せそうに表情を緩ませていた。
まったく想定外の痴情を前に、ララは思考を停止させてしまう。
そんな地蔵状態のララに、仲間たちは全く気付いていない模様であった。
……動けずにいるララと、無抵抗のまま犯されている星奈ひかるの目が合った。
硬直しているララの様子を認識したのだろう。
ひかるの瞳が動揺に揺れたのが分かった。
星奈ひかるの口元が、少しだけ言葉を発する形に動いたのが見て取れた。
普段は、サマーン星人と地球人の会話はスターカラーペンダントの自動翻訳に頼りきりなので、読唇なんて出来るわけがない。
でも。
本当に。
なんとなく、ララは声なき声を聴いた気がした。
――逃げて
アレは「逃げて」だ。
おそらく「助けて」ではない。
そこまで直感的に理解していながら。
それでも、ララは自分の心に従って動いた。
「やめるルン!!」
「ニャっ?」
ひかるをバックから犯していたユニを引き剥がしつつ。
声を張って、ララは4人の中に割り込んだ。
背中側に星奈ひかるを守るポジションで、レイパーと化した3人の仲間たちへと向き合ったのだ。
「どうして、こんな酷いことをするルン! みんな、おかしいルン!」
さすがに、これが地球の風習でないことぐらいはララにも分かる。
ひかるが「逃げて」と伝えようとしたぐらいなのだから、地球人にとっても非常事態に違いない。
そこまで分かっていながらも、ララは仲間たちに問いかけた。
何か理由があるのかもしれない、と思いたかった。
一緒に冒険をして、ノットレイダーと戦ってきた友達が、性犯罪者になるなんて信じたくなかった。
「あれ? 今のララって、もしかして本人?」
「……言っている意味が分からないルン。私は、私ルン!」
えれなから問いかけられた意味を、ララは理解しかねた。
一体何を言っているのか……。
そんなことを一瞬だけ考えてしまったのが、まずかったのだろう。
「ニャン!」
「オヨっ!?」
ユニが不意打ちで、ララの目前で拍子を打った。
絵に描いたように奇麗な猫騙しだ。
「ふぅー」
「ルルルンっ!?」
怯んだララに接近していた香久矢まどかが、ララの耳に絶妙な強さで息を吹き込んだ。
耳の奥がゾクゾクして、悶えてしまう。
「ごめんね」
「オ、オヨ、オヨぉ……」
天宮えれなが、隙だらけのララの腕をひねって、俯せの体勢で床へと組み伏せた。
背中側で腕を固定されてしまい、えれなの強靭な腕力のせいもあって、ララは全く抵抗できない。
いとも容易く行われた流れるような連携に、ララは為す術もなかった。
サマーン星人としては規格外な身体能力を誇るララでも、地球人の基準では並程度でしかないのだ。
あと、どさくさに紛れてユニがスターカラーペンダントを盗み取っていた。
宇宙快盗、つよすぎる……。
「みんな……本当に、何があったルン」
床に組み伏せられながら。
なんとか首だけを動かして、ララは仲間たちへと目を向けた。
一時的に性的暴行が中断された星奈ひかるは、ぐったりと倒れ伏したままだ。
香久矢まどかとユニは、それぞれ座り込んで、ララへと多少目線の高さを合わせてくれた。
ララの背中側に座って腕関節をキメている天宮えれなは、どこか申し訳なさそうな様子だった。
「口で説明するより、記憶のロックを解除した方が手っ取り早いニャン」
そう言いながら、ユニがララの頭へと手を伸ばしてきた。
ララは、嫌な予感に身を震わせた。
記憶のロックという言葉が指す内容までは推測できていないが、何だか良くないことが起こる気がしたのだ。
「……待って。私から、説明させて。お願い」
ララの抱く悪寒を察してなのか、今まで沈黙を守っていた星奈ひかるが、口を開いた。
ユニ達3人は少しの間だけ顔を見合わせたが、ひかるの懇願を尊重する方針でまとまったようだった。
「高次元生命体……って呼ばれてる異星人が、えれなさんたちの身体を乗っ取ってるんだ。長い宇宙の旅で溜まった性欲の解消が目的みたい」
ひかるの説明は、要点だけを抜き出したような簡素なものだった。
しかし、ララは文言以上の情報を受け取っていた。
そこまでの情報をひかるが持っているにもかかわらず、無抵抗で犯されるしかなかったということは。
事実上、仲間たちを人質に取られているという前提から始まって、ひかるの説得も通じなかったと考えた方が良いだろう。
それに加えて……!
「ふふ。ララにも、ひかるの考えが理解できたみたいですよ?」
どうしても、高次元生命体に犯されるのが不可避だというのなら。
星奈ひかるは、自身が性的暴行を受けるだけで仲間たちの解放の見込みがあるなら、それが最善だと判断してしまったのだろう。
抵抗すれば、仲間たちに新たな被害が発生するだろうという懸念もあったのかもしれない。
つまり、ひかるは……ララたちを守るために、ひたすら一人で犯されていたのだ。何よりも大切な仲間たちの手によって。
「泣けるよねぇ。でも『あたしたち』のことをそんなに大切に思ってくれてたんだって考えると、嬉しくなるよね!」
「……っ!」
えれなの口から出た言葉を聞いて、ララは頭に血がのぼった。
ひかるが大切に思っているのは「貴方」じゃないルン、と叫びたかった。
それでも、ララはあと一歩のところで怒りを飲み込んだ。
ここで冷静さを失ったら状況は悪くなるばかりだ、と思える程度の判断力は残っていた。
「そんな怖い顔しないでさ。ね? ほら、笑顔、笑顔!」
「……っっっ!!!」
本当にいつも通りの笑顔を向けてくる天宮えれなを認識した瞬間、ララはこめかみの血管がブチ切れるかと思った。
ララの頬に人差し指をあてて、ぷにぷにと表情筋を弄ってくるのも、正直かなり頭にくる……!
えれなってこんなに煽り性能高かったっけ……。
どちらかといえば、ララの生来の沸点が低いのもあるが。
「さすがにそれは性格が悪いですよ、えれな」
「まぁ気持ちは分かるニャン。覚悟ガン決まりでマグロを決め込んでいる相手よりも、ララを弄った方が楽しいわよね」
穏やかな口調で天宮えれなを窘めている香久矢まどか。
一方、ユニは何かを言いたげに星奈ひかるへと目を落としていた。
ユニと視線が合って……ひかるは、目に見えて取り乱した。
「待って! ララに乱暴しないで! 私が……私がっ、もっと皆を満足させるから!!」
ひかるの、そんな姿は見たくなかった。
精いっぱい下手に出て、自分が犯されることを受け入れてしまっている星奈ひかるの姿を見て、ララは心がざわついた。
何より、ひかるの弱みがララ自身であることが悔しかった。
幸か不幸か、ララが零した少しの涙は、ロケットの室内が薄暗いせいで誰にも気づかれなかった……。
ララは、奥歯が割れそうになるぐらいに噛みしめながら、決断した。
「AI! 重力装置起動! 1.5G相当で反転起動ルン!!」
『了解しました。重力を反転して発生します』
ララが、手袋と一体化している情報端末から、ロケットのAIへと指示を出した。
次の瞬間には、仲間たちが一斉にロケット室内の天井へと叩きつけられた。
普段と逆向きに重力が発生したため、天井へ向かって落下(?)したのだ。
覚悟を決めていたララだけは、無事に着地(?)できたが。
「うっ……!」
「イタタ……」
「ニャ、ニャン……!」
割とシャレにならない怪我をする危険がある手段なので、出来れば使いたくはなかった。
だが……ひかるの痛々しい姿が、ララを踏み切らせた。
幸い、仲間たちには大した怪我は無さそうだ。
ララは、ひかるに肩を貸してロケットから脱出した。
「AI! ユニたちを乗せて、出来るだけ長く飛び続けるルン!」
『了解しました。ララ様も御武運を』
ひかるとララを追って、ユニがロケットから脱出しようとしていたが。
一瞬だけ早くロケットの外扉が閉まり、ロケットは空の彼方へと消えていった。
少しだけ時間的な余裕ができたものの、ララは油断せずに歩みを進めた。
ロケットの中の3人は、プリキュアへ変身すれば窓を破って脱出できてしまうからだ。
追手が来る前に隠れるべきだし、ひかるを休ませる場所も必要である。
現在地は観星市の端の山中だ。
妙に体が怠いような気がするし、ぐったりしている星奈ひかるを運ぶのも重労働だ。
あまり長距離は移動できない。
秋の山中は、即座に体温を奪われるほどの寒地ではないが、薄着で長時間移動するのは宜しくない。
避難場所の候補として、立地的には山の麓の湖に隣接した天文台が第一候補だろうか。
天文台は無人のようだったが……幸いにして、ひかるが鍵のかかっていない窓を知っていた。
老朽化によって鍵がかからなくなった窓が、なんだかんだで放置されてしまっているのだとか。
「ちょっと不用心ルン……。でも、お蔭で助かったルン」
ぜぇ、ぜぇ、なんて荒い息を吐きながら。
なんとかララたちは一時的な休憩地点を確保できたのであった。
緊張とストレスのせいもあってか、思っていた以上に体力の消耗が激しい。
ひかるに肩を貸していたせいもあるだろうが、それだけでは無いようにも思えた……。
休憩室で毛布を調達し、タオルも用意できた。
性的暴行を受けていた星奈ひかるを、少しでも身綺麗にしてやらないと。
「ひかる。身体をちょっとだけでも清潔にしておくルン」
「やっぱり、臭うかな……? シャワーが使えたハズだから、行ってくるね」
ふらふらと立ち上がった星奈ひかるの様子は、どこまでも頼りなかった。
下手をしたら浴室で転倒するなんて事故も有り得るのでは?
「一人で大丈夫ルン?」
「大丈夫! 大丈夫だから! 絶対に入ってこないで。ね?」
念を押されてしまった。
犯された後の身体を見られるのが、余程嫌だったのだろう。
やはりというべきか、性的暴行が残した心の傷は重いようだ。
脱衣場の鍵を閉める音を耳に入れながら。
「……辛い時は、辛いって言って欲しいルン」
ぽつりとララが漏らした一言は、誰にも聞かれることは無かった……。
浴室から出てきた星奈ひかるは、大分血色が良くなったように思えた。
やはり体温の維持は、人間にとって重要なのである。
人によっては、清潔感よりも体温調整を主目的として浴室を使う場合もあったりするのだ。
そして。
ようやく落ち着けたところで、まずやるべきことといえば?
もちろん、情報のすり合わせである。
「……薄々気付いていたけど、状況が最悪すぎるルン」
「だよね……」
ひかるから一通り事情を聞き出したところによると。
やはり、高次元生命体は肉体側の知識や経験を完璧に掌握できるとのこと。
一応、宿主の倫理観から著しく離れる行動をとると高次元生命体もストレスを感じるようだが、その強制力とてどこまで信じられるのか。
天宮えれなや香久矢まどかが結局ひかるをレイプしていたところを見ると、その気になれば無視できると思った方が良さそうである。
「まどかの知恵と頭脳がある時点で、こちらの行動はほぼ予想されていると思った方が良いルン」
「えれなさんとユニの身体能力だけでも問題なのに、3人が人質でもあるっていうのがキツいよ……」
考えれば考えるほど、詰んでいるとしか思えない。
というか、身体能力が高いメンバーばかりが敵になってしまって、相手が一人でも太刀打ち出来る見込みがない。
額を集めて考えても、打開策は見えてこない。
「高次元生命体が憑依するのって、条件はあるルン?」
「確かにその条件が分かれば、対策も見えてくるかもしれないけど……条件は無さそうなんだよね」
憑依されるときに予兆があれば、ユニたちも黙って乗っ取られるとは思えない。
やはり、抵抗も無理と思った方が良いだろう。
……これは、ひかるが一人で高次元生命体の皆さんを満足させる作戦が、マジで最善策だったのでは?
そんな考えが、頭をもたげた。
ヘタに抵抗するよりも、性的な意味で満足して宇宙に帰ってもらうのが一番マシだったのかもしれない……。
ララは、少しだけ瞑目して、その考えを捨てた。
ひかるを犠牲にして得る安寧なんて、有り得ない。
そんなものには、ひとかけのコスモグミ程度の価値もない。
『ララ様。えれな様・まどか様・ユニ様の脱出を許してしまいました。お役に立てず、申し訳ありません』
「ルン。頑張ってくれてありがとうルン」
突如の通信は、ロケットのAIからだった。
右手のグローブと一体化している通信機から、AIの音声が聞こえたのだ。
いままで距離が空きすぎて通信が届かなかったのだろう。
ユニたちが脱出した後に、ロケットが観星町近辺まで自力で飛んで戻ってきたために、通信が復活したに違いない。
『……ララ様。現在のララ様に推奨する行動方針が、一つだけあります』
「さすがルン! やっぱりAIは頼りになるルン!」
ロケットのAIも、ひかる達の惨状を一通り見ているわけで。
そのうえでAIが提唱してくれる作戦なら、かなり期待できるというものだ。
ララは、多大な期待を寄せて、AIの発言を促した。
『そこからは、ララ様単独での逃亡を推奨します』
だからこそ、ララは提言の意味を理解しかねた。
なんで、そんなことを言うのか。
人間の心を理解するに至ったAIが、ひかるを見捨てろだなんて。
ララがそれを是としないことぐらい、AIだって理解できているはずなのに。
『観測された高次元生命体は、総勢4体です。ひかる様が最後の1体に憑依されている確率は、87.56パーセントです』
あまりの衝撃的な内容に、ララは頭が追い付かなかった。
喉がカラカラに乾いて、声が出ない。
視界に収まっている何もかもが、ぐにゃぐにゃと歪んだように思えた。
『繰り返します。ララ様の近くに居るひかる様は、ひかる様ではありません。ただちに単独で逃亡するプランを推奨します』
「そっ、そんなの……」
硬直しているララに行動を促すべく。
さらに直球な表現で、AIが言葉を継ぎ足した。
そんなのは嘘ルン、とララは必死に言葉を喉から絞り出した。
絞り出そうとした。
「なぁんだ。バレちゃったんだ」
ララの背後から、底冷えするような声が聞こえた。
それは、今のララが一番聞きたかった声で。
同時に、今のララが一番聞きたくなかった声だ。
「ひ、ひか……」
振り返ると同時に、ララは床に押し倒された。
床に背中を付けたララを、いわゆる床ドンの体勢でひかるが見下ろしていた。
普段の姿からは想像もつかない嗜虐的な笑みを口元に浮かべているのは、間違いなく星奈ひかるだった。
ひかるが、ララと唇を重ねた。
貪るようなキスだった。
容赦なく舌を入れて、ララの口の中を蹂躙してきた。
獣のような性欲に従った、躊躇の無いキスだ。
「あはは! 私のために頑張ってくれるララが可愛くてさぁ。つい付き合っちゃったんだよね」
しばしの乱暴な口付けを終えて。
下卑た笑いを隠そうともしない星奈ひかるが、心無い言葉をララへと投げつけてきた。
「ねえ、今どんな気持ち? 信じていた友達に裏切られてバカを見た気持ち、聞かせてよ? ララちゃーん?」
心無い煽りを浴びせられて。
しかし……ララは、今までにないぐらい冷静だった。
不思議と、頭が冴えていた。
心拍数は跳ね上がっているのに、思考はクリアだった。
「……ひかるに、悪意で人を傷つける言葉は似合わないルン」
ララの一言を聞いて、ひかるの瞳が揺れ動いたのが分かった。
期待していた以上に、ひかるは動揺している。
ララは今までに言った覚えの無い台詞だったが、ひかるはどこかで似た言い回しを聞いたことがあるのかもしれない。
「今のひかるは、本物のひかるルン。下手な演技をするぐらいなら、きっちり休息でもとったほうが、よほど効率的ルン」
「……なんで、そう思うの? 高次元生命体は、宿主の記憶を全部使えるんだよ? そんなの……分かんないじゃん」
確かに、ひかるの言う通りではある。
宿主の記憶と経験を余すところなく使用できる高次元生命体の存在を前提とするならば、本人の証明など不可能だ。
それでも。
ララには、確信があった。
今、ララの目の前で狼狽えている星奈ひかるは、ひかる本人だ。
「なら、聞くルン。今ひかるの中に入っている高次元生命体は、ひかるに入る前に、誰の身体で何をしていたルン?」
「……っ! そ、それは……!」
ひかるは、言い淀んだ。
それこそが、ひかるが本人である何よりの証拠だった。
星奈ひかるは、明らかに隠し事をしている。
そして、その内容は……説明を待たずとも、推測できている。
――口で説明するより、記憶のロックを解除した方が手っ取り早いニャン。
――待って。私から、説明させて。お願い。
きっと……ララも、ひかるを襲ったのだ。
そもそも、ララはおかしいと思っていた。
ひかるは、いつも首から提げているスターカラーペンダントを持っている様子は無いし、ララのペンダントは先程奪われた。
では、翻訳機であるペンダントの不在にもかかわらず、サマーン星人と地球人の会話が成立しているのは何故か?
……ララ自身も先程ひかるが浴室へ消えた後に気づいたのだが、ララの懐にもう一つペンダントが入っていたのだ。
そのペンダントを見た瞬間、ララは全てを察した。
なりたい自分になるための、ひかるの奇跡の力を奪ったのは……ララの手だ。
高次元生命体に憑依されたララが、ひかるからペンダントを奪い取ったのだ。
ララ本人に成りすまして騙し討ちをしたか、あるいはララの肉体を人質にとったのか。
ララ自身の記憶には無いが、その過程を覚えていないのが『記憶のロック』の結果なのだろう。
それをララに思い出して欲しくなかったから、ひかるは自分から説明したいなんて言い始めたに違いない。
「私を傷つけないための隠し事をしてくれる今のひかるが、偽物な訳無いルン」
「……」
思えば、高次元生命体が4体いることを伝えなかったのも、わざとだろう。
正直に相談してほしかったという思いもある。
でも、ひかるがララの事を想ってくれているという事実が、心を温かくしてくれた。
「それでも自分を偽物だと言い張るなら……今すぐ、私を犯してみせるルン!!」
「……!」
私は逃げも隠れもしないルン、とララは言い切った。
高次元生命体が4体居る件に関しては、ひかるが偽物である事の発覚を避けるためという可能性もあったりするのだが。
それでもララは、強気に攻めてみた。
正面から、ひかるへと目を合わせた。
「ひかるが『私を置いて一人で逃げて』って言っても、私は絶対聞かないルン。だから、ひかるはAIの発言に便乗してヘタな芝居を打ったルン」
「…………ララの、ばか。そこまで分かってるなら、私を突き飛ばして、一人で逃げ出してよっ!!」
ひかるは……泣きそうな顔をしていた。
嬉しさと悲しさがゴチャ混ぜになって、心の中で渦を巻いている。
そんな、混沌とした胸中がありありと表れていた。
ララは、床ドン体勢のひかるを力尽くで引き剥がした。
思っていた以上にあっさりと、ひかるは床に転がされた。
やはり、体力を消耗しすぎているのだろう。一緒に逃亡するのが無理だと自覚できるほどに。
黙って、ララは近くの椅子を集めて寝床を作り、ひかるを寝かせて上から毛布をかけてやった。
「それでも私は、ひかるを見捨てられないルン。そんな私だから、ひかるは私を好きになってくれたルン」
宇宙を彷徨っていたプルンスとフワを、仕事中のララが偶然に保護して。
巻き添えでノットレイダーに襲われながらも、二人を見捨てることが出来ずに逃げ回っていたララだからこそ……ひかる達と仲間になれたのだ。
「……そんな事言われたら、何も言えないじゃん。……また、ララには敵わなかったなぁ」
……また?
気になる一言があった気もするが。
何にせよ、ひかるが落ち着いてくれて何よりである。
「ルン。ひかる達の言葉でいうところの『惚れた弱み』っていうやつルン」
「それ、自分で言っちゃう……?」
苦笑いを漏らした星奈ひかるの反応を見て、もしかして違う意味の言葉だったのかもしれない、なんて思いつつ。
ようやく、二人の間には穏やかな時間が戻りつつあった。
いつ追手が来るか分からない状況なので、この穏やかな時間も束の間のものなのだろうが。
「でもね。……AIさんの予想は、正しいんだ」
「オヨ?」
毛布の中から顔をのぞかせながら……ひかるが、落ち着きを大分取り戻した口調で語り始めた。
AIの予想というと、どれのことだろう。
星奈ひかるが本人であるというのは確定しているはずなのだが、他に何かあっただろうか?
「最後の高次元生命体が私の身体の中に居るのは、本当みたい」
「ルン? どうしてそんなことが分か……」
ララは、ひかるの様子を今一度観察してみた。
すると……毛布の下で仰向けになっているであろう星奈ひかるの身体の一点に、不自然な膨らみがあるのが見て取れた。
モッコリしている!!
先程ひかるが一人で浴室に入ることを強く主張したのは、下半身の異常を見られたくなかったからだったに違いない。
ララが意図せずにその一点を凝視してしまったのを、ひかるも気づいたのだろう。
「ダメぇっ!? そんなに見られたら昂っちゃうからっ!? 見ないでぇ!!」
瞬間沸騰したように顔を真っ赤にした星奈ひかるは、毛布の中でモゾモゾと体勢を変えて、イチモツの形を隠してしまった。
ひかるは、羞恥心のメーターが振り切れたような顔をしているが……顔色を変えた理由は羞恥心だけでは無いのかもしれない。
聞き逃せない言い回しがあったように思えたのだ。
「昂っちゃうってどういうことルン……?」
「私だって、よく分かんないよ……。何でも無いようなことが切っ掛けで、ムラムラしちゃうというか……」
ムラムラする、と言われても……ララからしてみれば何が何やらである。
もっと情報を詰める必要がありそうだ。
擬音だけだと伝わる情報量が少なすぎて、効率が悪い。
「ムラムラするってどういうことルン? もっと詳しく説明するルン」
「それは、その、ええと。…………ララとエッチなことをしたいっていう欲求が湧き上がってくるの」
無茶苦茶言いづらそうにしながら。
茹った顔面を半分だけ毛布に隠しつつ、ひかるは小声で最後まで言い切った。
ララは、困惑した。
エッチなことというと、やはり先程のユニたちがしていたような性交渉のことだろう。
高次元生命体に完全に自我を掌握されている訳では無いようだが、かなり精神にも影響が出ているのかもしれない。
「その興奮のトリガーは何ルン? どんな時に興奮するルン?」
とにかく、今は情報が欲しい。
ひかるを性的に興奮させると、宜しくないことが起こりそうなので。
ひとまず、ひかるが興奮する要因を聞き出しておくのが合理的判断だ……と、ララは思ったのだが。
「ええっ……。それ、言わなきゃダメ……?」
ここで、ひかるが口ごもった。
まさかである。
協力して少しでも高次元生命体の情報を探りたい時に。
オヨルンさんが少しイラっとしたのも、仕方のないことだろう。
「何か、言いたくない理由があるルン?」
「……すごく、恥ずかしいです」
なんで敬語になったルン、なんてツッコミは一先ず飲み込むとして。
ララとしては、割とイライラっと来る展開だったりする。
高次元生命体は明らかにプリキュアの手に余る敵なのだから、恥ずかしいなんて悠長なことを言っている場合じゃないだろうに。
しかし、ララも様々な出会いの中で成長しているのだ。
相手の気持ちを一方的に否定したり非難したりしても、物事は良い方向には進まない。
「本当に、ひかるがどうしても嫌なら、無理強いはしないルン。でも……まどか達の命がかかっている状況で、ひかるは本当にそれでいいルン?」
「う゛っ……。そこで人質を持ち出すのはズルいよ、ララ……。そうなったら、言うしかないじゃん……」
ひかるだって、仲間を見捨てられる訳が無いのだ。
それを理解しきったうえで、ララは意地悪な質問をした。
効果は覿面で、ひかるは渋々と口を割ってくれる様子だ。
「それで、どういう時に興奮するルン?」
「その……さっき、ララに肩を貸してもらったときに、ララって良い匂いがするなぁって思ったら、興奮しちゃった」
かなり小さめの声で、ひかるが白状してくれた。
ララは、自分の服の匂いを嗅いでみたが、山中を歩いた時にかいた汗の匂いが少しするだけだった。
首を傾げてみても、よく分からない。
特別な匂いなんてしないハズなのだが……?
「他には?」
「……山の中を歩いてるときに、ララの脚って細くて白くて柔らかそうで、そんなふうに考えているうちに興奮してた」
まぁ、身体的特徴としてサマーン星人の肌の色は、平均的な日本人よりは白いが。
脚の筋肉の質なんて、ひかると違う気はしない。
先程聞いた『視線』と『匂い』と、今聞き出した『脚』の共通点を考えてみたが、答えらしいものは思い当たらない。
「まだあるルン?」
「……さっき、ララにキスした時に、本当は凄く幸せな気分になって。このまま本当に襲っても良いんじゃないかなって思っちゃって、かなり危なかったんだ……」
無理矢理キスしてゴメン、なんて続けながら。
ひかるは、羞恥心と罪悪感に悶えているようだった。
性癖を根掘り葉掘り聞きだされるのは、精神的ダメージが重いのだ。
「オヨ……。『視線』と『匂い』と『脚』と『キス』……全然共通項が無いルン」
「ええっとね……。たぶんだけど、女の子の身体をイメージさせる物が全般的にマズいんだと思う……」
顔を真っ赤にしていた星奈ひかるは、毛布に顔全体を隠す体勢に移行していた。
毛布の端からツインテールが見えているので、そこに居るのは間違いないが。
それにしても、女子の身体を連想させるものが何でもマズいとなると、色々と面倒である。
一応、検証するだけなら簡単なので、検証してみる価値はあるだろう。
「検証が必要ルン。とりあえず、この天文台に遼爺のエッチな本が無いか、探してくるルン!」
「やめたげてよぉ!!?」
ガバっと、ひかるが毛布を跳ね上げて起きた。
いくらなんでも遼爺が不憫すぎるのでやめてやれ。マジで。
なお、もしここで家探しをするルートを選択した場合、ひかるにそっくりな子ばかりが載っているエロ本が見つかる未来が待っている。(没ルート)
ひかるは、お祖母ちゃん似だからね。仕方ないね。命拾いしたな遼爺!
「ま、まぁ、そんな訳だからね。ララと一緒に行動してるだけで私はムラムラしてきちゃうし、やっぱりララは一人で逃げた方が安全だと思う」
「大丈夫ルン。私にいい考えがあるルン!」
薄い胸を張って、ララが自信満々に宣言した。
ひかるは、期待の眼差しをララへ返した。
この状況を打破する策があるのか、と。
「私がこの手で、ひかるの性欲を処理するルン! そうすれば、一緒に行動しても平気ルン!」
「え、いいの……? 本当に? なんか、それ聞いただけで昂って来ちゃったかも……」
頬を赤く染めながら、ひかるは多大な期待をララへと向けているようだ。
ララとて絶対の自信がある訳ではないが、AIの助言を受けながら作業すれば何とかなるだろうという目算はあった。
だから、きっと大丈夫だ!
「私に任せるルン! これより、患部の切除手術を開始するルン!!」
プリキュア・オペレーションッ!!
「うん、よろしく……うん? せちゅじょしゅじゅちゅ……!?」
さっきまで頬を赤く染めていた星奈ひかるの顔から、一気に血の気が引いた。
噛み噛みになって、「切除手術」をまともに発音できていなかった。
その顔色を見れば、ひかるが不安がっているのは容易に判別できる。
ひかるを落ち着かせてやるのが急務だ、とララは判断した。
「落ち着くルン。刃物は電熱で殺菌できるし、傷口も電気で焼けばいいルン。感染症の心配は要らないルン」
「アレを、切って、焼く……??」
ひかるは、奥歯をガタガタと鳴らして、頭を抱えている!
なんというか、こう、根源的な恐怖を感じているような顔である。
いわゆる「タマヒュン」と呼ばれる状況なのだが、残念ながらララは全く理解できていない。
予想外のひかるの反応に、ララが困っているうちに。
ひかるは、毛布を頭の上まですっぽり被って、完全に身を隠してしまった。
毛布の上からでも分かるぐらいに、身体を震わせている。
古典的な天岩戸スタイルである。
「イエティ、ごめんね……。私達、とっても罪深いことをしてたんだね……」
しかも、この場に居ない自宅の飼い犬に対して謎の懺悔を始めた。
これにはオヨルン星人も困惑を禁じ得ない。
『ララ様。男性器の損傷は、ショック死の危険があります。推奨できません』
「オヨ? そうルン? すぐに麻酔を調達するのは難しそうだから、このプランは破棄した方が良さそうルン……」
「うわあああんっ! 怖かった! 怖かったよぉ! ララのばかぁ!!」
AIがそう言うなら、やめておくのが賢明だ。
せっかく、成功率6割以上を誇る手術の腕を見せるところだったのだが、ララとしては残念である。
一方、ひかるは九死に一生を得たような顔をしながら大泣きしていた……。
「その……ね。どうしても、私を置いて逃げるのがイヤなら、一時的な性欲の処理を手伝ってくれると嬉しいなー、なんて……」
「オヨ?」
ようやく、落ち着いたころに。
ひかるが、毛布の裾を強めに握りながら、伏目がちにララへと要求を示してきた。
しかし、一時的な性欲の処理というと……?
『ララ様。ひかる様の言葉を要約すると、『男性器を刺激して射精させて欲しい』ということです』
「AIさんの身も蓋もない要約が辛い……。まぁそういうことなんだけどさぁ……」
「任せるルン!」
会話の流れを理解したララは、即答した。
特に男性器を扱った経験は無いが、AIのサポートがあれば何とかなるという見込みはあった。
正直に言って男性器を触るのは若干の抵抗はあるが、高次元生命体に憑かれて星奈ひかるを襲ってしまったという後ろめたさがララを後押しした。
そんなこんなで、ひかるを仰向けに寝かせて、短パンを脱がせてやって、ミッションスタートである。
膝を曲げている星奈ひかるの股間には、半勃ちの男性器モドキが確かに存在していた。
「この位置関係、なんかデジャブ……」
「始めるルン! 最初はどうするルン?」
『潤滑液を用いて、亀頭付近を刺激してください』
「オヨ……?」
きとうって何?
潤滑液って、機械の保全の時に使う挿し油のこと??
聞きなれない単語に、ララは首を傾げてしまう。
「いきなり不安なんだけど、本当に大丈夫?」
『亀頭は、キノコで言うとカサの部分に該当します。擦って刺激するときに唾液で指を濡らすと、より効果的です』
「さすがAIルン! 分かりやすいルン!」
ララは、手袋をつけていない左手を、舌で軽く舐めた。
一応今回の作業前に手を洗っているので、衛生的な問題は無いはずだ。
しかし、擦ると一口に言っても、色々擦り方があるような気がする。
カサの中でも、感度が高い部分と低い部分があるかもしれない。
とりあえずララは、唾液で濡らした左手で、包み込むように亀頭を握ってみた。
「んんっ……!」
「ひかる、苦しいルン?」
まだ患部を握っただけなのに、ひかるがくぐもった声をあげた。
苦しんでいるのか、と思ってしまったララは、ひかるの様子をうかがった。
もし容体が急変したのならば、データの収集が不可欠だ。
「そ、そうじゃないんだけど、ララの手って柔らかくて、ひんやりしてて、すっごくキモチイイ……!」
「それって褒めてるルン??」
とりあえずララは処置を再開した。
掌を握って包み込んだ亀頭を、どう擦るのが良いだろうか。
握力を弱めつつ、ララは手首のしなりを使って、亀頭の外周全てを一度に刺激した。
ボルトに付随するナットを回すような動きである。
そうするのが、一度に刺激する範囲が広くて効率的だと思ったのだ。
「はぁ、ふー……」
ひかるの呼吸が、すこしずつ早く浅くなっているように思えた。
ララは、時折唾液を補充しながら、ナットを回すような動きを継続してみた。
ぬるり。
ララは、手の中に唾液とは違う、軽い粘性を持った液体が混じっていることに気付いた。
いつのまにか、手の中にヌルヌルした感触が発生していたのだ。
「オヨ? もう射精したルン? ずいぶん呆気なかったルン」
『ララ様。それは尿道球腺液です。射精のための下準備として分泌される体液です』
俗にカウパー線液ともいう。
というか、そちらの方が馴染み深いという大きいお友達の方が多いかもしれない。
そして、ララは尿道球腺液の使い道を直感的に察した。
先程潤滑液として連想した挿し油と、非常に近いイメージの液体だったのだから、用途も決まっている。
ララは尿道球腺液を薄く広げることを意識しながら、先程までと同じ要領で手首を捻り続けた。
もはや、唾液を補充する必要は無さそうだった。
「ひゃあんっ!? んくっ、んひぃ!!?」
ひかるは、全身を震わせながら、悶えていた。
先程までとは、明らかに反応が違う。
両腕で自分の身体を抱きしめて、息を荒くしていた。
「……そんなに気持ちいいルン?」
「しゅごいっ、キモチイイよぉ! んあっ、オホシサマがっ、ぐるぐるしてりゅっ☆」
呂律が回らなくなってきているようだ。
男性器がもたらす快楽とは、そこまで強烈なのか。
よく観察してみると、時折背中の筋肉を中心に、身体全体に痙攣が走っているように思えた。
いわゆる「背スジがゾクゾクする」というヤツなのかもしれない。
「あひぃっ! トンじゃうっ! おかひくなっちゃうっ!!」
いつもはマイペースでグイグイ来る星奈ひかるが、今は自分の掌に命運を握られてよがり狂っている。
そう思うと、何だか奇妙な高揚感が湧き上がってきた気がしたララだった。
口から舌を少しだけ出して、ひかるは熱い息を吐いていた。
飼い主とペットは似るのかな、なんてイエティを思い出したララであった。
身体に熱が溜まり過ぎているのかもしれない。
『ララ様。射精の際に、精液が広範囲に飛散する恐れがあります。遮蔽物の使用を推奨します』
「遮蔽物……? あっ、ティッシュ用意してないルン!」
この土壇場で痛恨のミスが発覚してしまった。(ガバガバ)
RTA動画なら再走待ったなしである。オヨルン星人ポンコツ説。
まぁでも、流石にティッシュぐらい天文台の中にはあるだろうし、ひかるには少しだけガマンして待っていてもらえばいいか?
とりあえず、ララはイチモツを握っている左手の動きを止めた。
「ふぇっ……?」
今までの激しい快楽が突然中断されて、当惑した星奈ひかるの声が聞こえてきた。
目を半開きにして、浅い息を吐きながら、視線だけでララに続きを催促しているようだった。
「ティッシュを用意するのを忘れていたルン。探してくるから、ちょっと待っていてもらって良いルン?」
「えっ、それはっ! ここで焦らされるのは、キツすぎるよぉっ!?」
早くイかせてくれ、と。
ひかるは、必死に懇願してきた。
ここで快楽を中断されるのは、生殺しすぎて苦しいのだろう。
「……仕方ないルン」
迫真の懇願を受けて、ララは右手の手袋の端を口に咥えて、そのまま手から外した。
右手をフタにして、精液の飛散を防ぐ作戦である。
ララは、左手の回転運動を再開した。
今まで少しずつ回転の軸をズラして様子を見てきたが。
どうも、キノコで言うところの、カサの裏側を擦った時の反応が良かったように思えた。
なので、ここからはカサの裏側を意識して指の運動を続行した。
「ひゃあっ!? そこっ、そこイイよぉ!? んああああああっ!?」
当たりだったようだ。
カサの裏側は、やっぱり弱点だったらしい。
天を仰ぐように、ひかるは首を上げていた。
救命活動の人工呼吸のときにさせるような、口と気道を一直線にする体勢である。
酸素が足りな過ぎて、本能的に少しでも呼吸がしやすいスタイルに移行したのだろう。
「ふわああっ! イキてるっ、イキてるって感じぃっ!!」
後輩の口癖を喘ぎ声に使うのは、やめてさしあげろ。
一体どこで花寺さんと会ってきたんだお前は。
……夢の中で会った、ような??
「ひかる! 頑張るルン! 『ひっひっふー』ルン!」
「それちがっ、あああんっ!? もうだめっ、キラやばっ、きらヤバっ! キラやばぁッ!!!?」
どぴゅっ!!!
どぴゅっ!!
どぴゅっ!
そんな音が聞こえたように思った。
背中をエビのように反らせながら、ひかるが天文台中に響くような絶叫を発した。
遮蔽物として使っている右の掌へと、粘性を持った液体が勢いよく射出されたのが分かった。
確かにこれは、遮蔽物が無かったら掃除がかなり面倒だったかもしれない。
「ひかる、生きてるルン?」
「……」
仰向けの体勢のまま。
ひかるは、目を薄く開いた状態で、放心しているようだった。
荒い息を整えている最中で、返事をする余裕も無さそうである。
口元は緩みっぱなしで、端から少しだけ唾液が飛び出てしまっていた。
多感な中学生女子の脳に、常人なら一生縁のない射精感を刻み込むのは、酷い負荷がかかるのかもしれない……。
ぐったりしている星奈ひかるをそのままにして、ララは急ぎ気味に天文台の中を物色してティッシュを発見してきた。
見つからなかったらトイレットペーパーで代用する気だったが、意外と早くティッシュが見つかって本当に良かった。
その過程でトイレに寄って、両手を洗うのも忘れない。
ひかるの元に戻ってきたララは、ひかるの身体を奇麗にした。
精液は少しだけ乾いてしまっていたが、乾いたティッシュでも処理可能な範囲内だった。
ティッシュでひかるの陰茎の汚れを拭ってやった時の「あうっ……!」なんて呻き声が、妙に耳に残ったララだった。
「……ララ。私ね。正直、男の子ってどうしてスケベなんだろうって思ってた」
「ルン?」
天井へと視線を向けつつ。
ひかるが、何かを悟ったような事を言い始めた……。
どうした急に。
「ようやく分かった気がする。この気持ち良さを知ってる人と知らない人じゃ、絶対に分かり合えないな、って……」
「オヨ……。人の味を覚えた宇宙ケルベロスみたいなものルン?」
それは当たってるかも、なんて星奈ひかるは力無く笑った。
人の味を覚えたクマは殺すしかない、なんて地球でも言うことがあるようだ。
一度人肉の味を知ってしまったら、たとえ人間への愛情があったとしても、本能には勝てない。
いつものハンバーガーも、あんまり美味しく感じなくなるだろう。
「だから……ごめんね、ララ」
次の瞬間には、ララは地面に押し倒されていた。
先程と同じ床ドン体勢であったが、決定的に何かが違う。
ララは、直感的に感じ取っていた。
それでもララは……自身の直感を信じたくなかった。
降り注ぐ星奈ひかるの視線は、餌を見る猛獣のそれだった。
「ひ、ひかる……? どうしたルン? 性欲は、完璧に処理したはずルン……っ!」
自分自身でも分かるぐらいに、上ずった声が出た。
言いながら、頭の中では既に結論は出ていた。
飢餓状態の時に少しだけ物を食べると、逆に空腹を意識してしまって辛くなるように。
もしくは、マラソン中に少し休憩してしまうと、再び走り出すのが苦しくなるように。
「あんなの知っちゃったら、ガマンできる訳ないよ」
「自分をしっかり保つルン! そんなの……ひかるらしくないルン!」
射精する快楽を覚えてしまった星奈ひかるは、自制心が効かなくなってしまったのだ、と。
理解できているのに、それでもララは認めたくなかった。
もはや、犯すなら犯してみろ、なんて啖呵を切る気にもならない。
「ララが期待してくれた私で居られなくて、ごめん。確かに、ララの説得にはウルって来たし、襲って悪いなぁって思ってるけど」
思えば、えれなたちも同じだったのかもしれない。
――そんな怖い顔しないでさ。ね? ほら、笑顔、笑顔!
――さすがにそれは性格が悪いですよ、えれな。
大なり小なり本人に近い意識を残しているから、時々口から出る「ごめん」もきっと本心なのだ。
そのうえで、性欲には抗えないから結局友達を犯してしまうのだろう。
「ララだって、悪いんだよ。私がガマンできてるうちに一人で逃げてくれれば、私だってララを襲わずに済んだのに」
むしろ、今まで星奈ひかるがガマン出来ていたことの方が、奇跡的だったのかもしれない。
ララのことを本当に大切に思っているからこそ、ララを犯したいという腹の底からの欲求と、一人で必死に戦っていたに違いない。
一人で逃げて欲しいと言い出したのも、この展開を見越してのことだったのだ。
ララのせいだと言い始めたところを見ると、ひかるの胸の内には罪悪感も残っているようだが、それでも溢れる性欲を制止するには全然足らない様子で。
歯を食いしばって、ララは星奈ひかるを突き飛ばそうとした。
だが、先程までの脱力が嘘のように、ひかるの身体はビクともしなかった。
これから必ずララを犯すのだという鉄の意思を感じた。
「ルンっ!!?」
「やっぱり、ララも結構興奮してたんだ。嬉しいな」
ひかるが、片手の指をララの秘部へと突っ込んできた。
ララ自身でも気づかなかったが、大分濡れてしまっていた。
先程のひかるへの指コキの時に、ララも知らず知らずのうちに性的興奮を覚えていたのだ。
一片の躊躇もなく、ひかるは欲棒をララの秘所へと突き立てた。
「……っ!!」
何かが破れる音が聞こえた気がした。
下腹部に鈍い痛みが広がる。
それでもララは、悲鳴を堪えた。
今まで星奈ひかるが一人で性欲と戦ってきたのに、自分だけが泣き叫んだら惨めになると思った。
「最初は痛むよね。ゆっくり、息を吐いて、落ち着いて」
「ふーっ……はぁーっ……」
ひかるの優しい声と表情に、ララは無意識に従ってしまっていた。
歯を食いしばるよりも、ゆっくり大きく呼吸をした方が、痛みが和らいだ。
レイプ犯と化した星奈ひかるの言葉を、優しいと思ってしまうのが何だか癪だった。
「そうだ、こういう時は……」
言うが早いか。
ひかるは、ララの触覚の先にある黄色いセンサー部を口に含んだ。
止める間もなく、ひかるは飴玉のようにコロコロと、センサーを口の中で転がし始めた。
「ルるるルンっ!!? ひっ、ひかるっ、何で知って、ルッルルルルンっ!?」
触覚の先っぽが弱点だなんて、ひかるに教えた覚えはないのに。
ひかるは的確に、ララの弱点を突いてきた。
サマーン星人の触覚は脳にダイレクトに接続されている器官なだけあって、情報量も非常に多いのだ。
脳を直接弄られているかと思うような快楽に、ララはただ翻弄され続けた。
快楽の荒波に揉まれていたララは……ひかるが舌の運動を緩めたことで、ようやく意識レベルを回復させることが出来たのだった。
「そろそろ、下の方も痛みが引いてきたんじゃない?」
「はぁっ、ふぅ……。そ、そういえば、そうルン……」
触覚攻めの最中も、下半身は犯され続けていた。
おかげで破瓜の痛みも多少和らいできたように思えた。
というか、むしろコレは……?
じゅぷり、じゅぷり、なんて音が響くたびに、身体の芯を揺るがすような感覚が走り抜ける。
この感覚は、まさか……?
「ひゃんっ!? そんなっ、さすがにコレは、変ルンっ!?」
気持ちイイ。
先程触覚を攻められた時のような暴力的な快感では無いものの、かなりの性的快楽をララは得ていた。
いくらなんでも、今日初めて性交渉をした女子が、そこまでの快楽を得られるものなのか?
「私も犯されてた時に気づいたんだけどね。最初のヌルヌルに、女の子を気持ちよくさせる何かが入ってるみたいだよ」
ファンタジー強姦あるあるネタだったりする。
アドレナリンの過剰分泌とか痛覚鈍化とか、科学的な理由が付けられることもある、例のアレだ。
ぶっちゃけ科学考証なんて投げ捨てて『媚薬』の一言で片づけた方が効率的だと思うルン。(サマーン星人並感)
ひかるがペニスを突き入れるたびに、快楽が増していくように思えた。
ララの中の何かを突き崩されるような、強烈な快楽が次々と入力されていく。
「ちょっ、ルルンっ、待つルン! ひかる! さっきの3対1の時、苦しんでたんじゃないルン!!?」
腰砕けになりながら、ララは頭の片隅に沸き上がった疑問をひかるへとぶつけた。
まどか達に3人がかりでレイプされていた時は、ひかるは無抵抗無反応を貫いていたような気がするが?
これだけ気持ちイイなら、無反応で居るのは、むしろおかしいのでは?
「はぁ、んっ……。ああ、アレね。実は途中から、気持ち良すぎて声を抑えるのに必死だったんだけど、何だかそれを正直に言うの悔しくて……」
「オイ」
え?
マジで?
助ける必要、全く無かったの??
思わず低い声でのツッコミが出てしまったオヨルン星人であった。
少しだけ怒りが湧いてきたララだったが、それも肉棒によってジリジリと突き崩されてしまう。
たっぷりと分泌された媚薬のせいもあってか、ララは快楽に抗えなくなってきていた。
時折、快感をガマンできずに、甘い声が自分の口から洩れている。
むしろ、この快感を3対1で与え続けられて、声を抑えることが出来た星奈ひかるの精神力の方がおかしいと思えるレベルである。
「私が言うのもなんだけど、意地張らずに楽しんだ方が良いと思うよ。気持ち良いのはバレバレなんだから」
言葉にならない嬌声を零しているララの頭の後ろに、ひかるが前腕を差し込んできた。
いわゆる、腕枕の体勢である。
強制的に、ララとひかるの目が合った。
とくん、と胸が高鳴った。
ひかるの目の中に、ララへの情愛が見えた気がした。
強姦魔に愛なんてあってたまるか、とララの中に残る最後の冷静な部分が呟いた。
それでも……ララは、自分の気持ちを抑えることが出来なかった
愛してくれて、嬉しい。
ララの中で、意地とか強がりとか、体面の類が……突き崩された。
ひかるの背中側へと手を伸ばして、ララはひかるへと抱き着いていた。
臆面も恥もなく、自然と言葉が出た。
「ルルンっ! ひかる、ひかるっ! ひかるっ!!」
「私も、大好きだよ。ララ」
ララが憑依されていた時間を覚えていないように、ひかるも今の時間を忘れてしまうのだろう。
それでもいいと思った。
今、ひかるがララを求めてくれている。
それだけで、ララは嬉しかった。
「…………キラやばっ」
ひか る
あり が と