シリアスが描きたかった訳じゃないんです·····。
でも描いてたらそうなったんです。
なので、今回は出来るだけ、ネタにしました。
「さてと、集まったところでまずは1つ聞きたいんだけど……大丈夫、かな?」
「う、うん」
「……っ」
言葉に体を強ばらせながら頷く美空と、下を向いて俯いたままの夜見さん。無意識なのか、中庭のベンチに座った二人は互いに外側を向いているのが分かる。もうこの態度だけで過去にこの二人の間に何かあったというのは読み取れる。
でも、そこをハッキリさせる為には二人が無意識的にしている事を問うしかない。そう考えた僕は二人をそれぞれ見れば、まずは美空に問う事にした。
「美空はどうして、夜見さんを強く否定したり拒絶したりしないの?」
「え? してる、と思うけど……知ってる人の誰も居ない。この学校に来たつもりだったし」
険悪な雰囲気になったあの時、敢えて無反応を決めた筈の表情は『無』どころか切なそうだった。手を引く時の表情も、苦しそうだった。
でも。
美空は人から見れば分かりやすくても、自分では自覚出来ていない。
嫌なら関わらないで。と、はっきり言ってしまえば良いのに、美空はそれをしない。ストーカー紛いの事をしていた相手だと分かっても、直接言いに行く事はしなかった。
心のどこかで、夜見さんを傷付けないようにしてる。
自覚させるのは夜見さんにも話を聞いてから。そう思えば、話を続けようとした美空を手振りで制止する。
「大丈夫、今ので大体分かったから」
「……? そ、そっか」
何が分かったのだろう。そんな顔をしている美空を
「ねっ、夜見さん。君はどうして、美空本人には何もしないの?」
「うっ……」
この図星を突かれたような反応だけで僕の予想が事実に変わった事が分かり、追い打ちをかけるように夜見さんには質問責めを繰り返す。
「私、だけじゃなくて……周りの人間ばかり狙っていたのに本人には何もしない。ストーカーっていうのもきっと、私へのものじゃないよね?」
「……」
たとえ無言になっても、非情に。
僕は彼女が認めるまで更に問い詰める。
話を理解し始めた美空も真剣に見守る中で。
「それに、美空がスルーした時──」
「もう分かったから! ……美空の事、諦めきれなくて、暴走してただけだからっ。本人の目の前で、これ以上言わないで……」
遂に折れた夜身さんを見ながら一つため息を吐き、一拍おいた後しゃがみ二人の顔を覗き込み、柔らかい笑みを浮かべる。
「なら、仕切り直しすればいいよ。答えがどうであれ、逃げない。私と約束しよ、桃。……どっちもが苦しくなるだけなんて、もう、やでしょ?」
僕に名前を呼ばれた事で決心が付いたらしく、立ち上がる桃の表情はどこか吹っ切れ、苦笑いを浮かべながらばつが悪そうに頭をかいた。
「あはは……出会って間もない相手にこう言われちゃったら元親友は形無しだねっ」
これなら、桃は心配ないかな。
そして、僕の役目はあと一つ。
唐突に表情の変わった桃に戸惑う美空にも同じ様に言葉を掛ける。
「逃げちゃダメなのは、美空も。ちゃんとケジメつけて、今度は三人で遊ぼう? 私は、折角出来た縁を無くさないように動いたつもりだから」
「……うん、そうだよね。私こそ、ちゃんとしなきゃ」
美空の体から緊張は解け、二人の表情はどこか明るい。
それが、僕は嬉しく、良い方向へ事を運べたのに安堵した。
最初の自己紹介で助け舟を出してくれた。
ただそれだけの為に、動いている自分は相当なお人好しだって思うけど。
僕にとって、ここで生活していく上で美空は多分欠かせない存在になっていくと思う。
桃だってきっと。
これから、同じ趣味を共有して仲良くなっていく。
だからこそ僕は、目の前で今から起こる事をきちんと──。
「美空……ごめんなさい。それと、ずっと好きだったよ」
「うん、私も·····ごめん。止められなくて」
「仕方ないよ。夜見はそれを分かった上で周りの皆に迷惑掛けて、自分の為に美空を孤立させようとしたり、そうしたらまた私の所に来てくれると思ってた。·····でも、それは間違いで、ただただ私が暴走してただけで、分かってても、篠田さん·····ううん、楓に言われるまで止められなかった。夜見は美空と恋人になれないどころか友達ですら無くなって……」
「私も、拒絶しなきゃ良かったなって思った事もあったよ。でも、その気持ちが無い私はどうすれば壊れずに済んだのか、分からなかった。何もしなければ自分で気付いてくれると思ってた·····他人事みたいにね」
「それも分かってた。でも、今はただ、美空ともう一度·····」
「私も、もう一度桃と·····」
暫しの沈黙。
ずっと秘めていた事を今更言うことの羞恥、関係が拗れても何もしてこなかった自分達への後悔が次の言葉を躊躇わせているのだろう。ただ様子を見ているだけの僕にも二人の緊張感は鮮明に伝わってくる。
二人とも肩に力が入っているのは自分で分かっていて、美空と桃は互いに深呼吸をする。
──そして、一呼吸おいた二人は勇気を振り絞り、息を合わせたように言葉を連ねた。
「「友達になりたい」」
ようやく本音を言えた二人に僕はどこかホッとした。
何もしなければずっとギスギスしていたままだったし、僕も自分の目的どころではなかったと思う。
だから、これからちゃんと友達になれ──。
「でも、これから夜見は美空とは友達であると同時にライバルになっちゃうかもっ」
「·····っ。いや、あげないよ?」
「はい〜? 美空の所有物じゃないと思うんですけどっ」
今までの和やかな雰囲気とはうって変わり、何かを巡って一触即発の緊張感が2人には漂っている。
なんで、丸く収まらなかったのか·····分からない。
いや、いやいやいや、喧嘩するほど仲が良いって事じゃないよね。
仲直りしたの、今だし。
とりあえず、続きを聞こう。
「ち、違うけど·····違うけど·····ダメなものはダメっ!」
「じゃあ、勝負しない? ·····どっちが相応しいか」
やっぱり何がどうなってこんな会話になってるのか微塵も分からず、思わず僕は口を挟んでしまう。
「いや、待って待って。何が?」
「それは·····」
僕の問いに口篭る美空を背に、満面の笑みで桃は答えてくれた。
「楓のていそ·····もだけど所有権。とりあえず、私も楓にキスマーク沢山付けたい」
「いや、せめて言い直した事にはしてよ·····てか、どうしてそうなったの!? 仲直りしてたよね!?」
「したよ? ·····」
選択肢、間違えたのかな。
良い感じの仕事したし、良い終わり方すると思ったのに。
唖然とした僕を余所に二人は再び会話を続ける。
「桃は私の事好きって言ってたのに、もう乗り換え?」
「でも、こんな天然可愛い子を前にして·····食べない選択肢あるの? というか、美空は食べる選択取ってるよねぇっ? 次はよ、る、みっ」
「うっ·····だったら、せめて3Pが良い」
あぁ、もうめちゃくちゃだよ。
「まぁ、とりあえず·····お持ち帰りけって〜いっ」
「えっ? 冗談·····だよね?」
「ごめんね、楓·····精一杯気持ち良くするから」
右には美空、左には桃。
僕の腕は2人によって組まれ、完全に逃げ場を失った。
その後、お持ち帰りなのに何故か僕の家に行くという。
·····ねぇ、これは絶対僕が求めてた百合じゃないんだけど。
すみません、お待たせしました。
次回はようやく3P回です。
頑張って主人公を鳴かせます。
数話に渡って、僕も書きたい。エロを書きたい。
体調管理気をつけて書きたいと思います。
それではまた次回に。