ある日、世界は唐突に終わりを迎えた。
普段の日常を知る皆は、これだけ聴いても誰だって信じてくれないだろう。
しかし今、誰もがこの終わりを信じる人間の方が多いかもしれなかった。
「なんだ、あれは?」
就職難に足掻き続けて就職したは良いが、ブラック企業のサラリーマンになった自分は二十三歳で、未来もブラック。
なんとか今日もブラックな仕事量の半分を片付けてから昼休みを迎え、屋上で昼飯のコンビニ弁当を食べていたら、いきなり空に虹や星が輝き始めた。
「異常気象? ……にしては、まだ昼なのに一番星だらけとかおかしくね?」
今呟いてみたものが的中してるとは思えないし、この異様な空を見ていると何か嫌な予感がしてきた。
「ん……?」
間抜け面で見上げているかも、な状態になっていると自分がいる会社のビルの下から悲鳴か何かが届く。
「え……?」
屋上から見ると高さがあるので、何が下で起きたかの全部までは分からずだが凄いことが起きてしまったのだけは分かった。
分かった部分だけを出すと軽自動車が火達磨になってるし、赤い染みみたいなのがあちらこちらで散らばっていく。
「骸骨……」
下で沢山の人を襲っているのはボロ布を着た骸骨で、それの群れが赤い染みを広けていく。
気のせいかも知れないけど、辺りが鉄臭くなってる気がしてくる。
「嘘、だろ……?」
気分が悪くなってきてから空をもう一度見上げると、何かの影達が空を動き回ってるのが目に映る。
その一つが距離が近くなってきたので、よーく目に力入れて見てみると。
「……? ワイバーン?」
FGOのアプリゲームに登場する、飛行可能なエネミーにしか見えない生き物だった。
「!? こ、こっちに来る!!」
そいつも俺を見つけたらしく、凄い勢いで向かって来ながら噛まれたら痛いどころでは済まなそうな歯を見せる。
「い、急げ自分よ!!」
このまま棒立ちしてる訳にはいかないと、下の階に繋がる扉へ走り出すが。
「ギャオオオッ!」
「うわあああああーーーーっ!?」
ワイバーンが自分の頭上から扉の間に着地してしまい逃げることは叶わなくなった。
「ま、まずいぞ。これは……」
このままいくと、自分はワイバーンのご飯になってしまう。
それだけは阻止しないと。
最悪、腕の一本はくれてやる覚悟で逃げないと。
てか、ラノベで一般人がこんな状況に遭ったら怯えながら喰われて終わりなのに、自分はやけに冷静だな?
ブラック企業のせいでどこかおかしくなったのか?
「まぁ、今は助かるから良いけど」
恐怖感があまりないから体が動かないなんてことはないけど、大ピンチなのは変わらない。
普通に喰われてワイバーンの御馳走になる可能性の方が圧倒的だ。
だから、ここからどう逃げれば良いんだろうと悩む。
「ガアアッ!」
とにかく動きに注意しようと思っていたら、ワイバーンは自分の反応の早さより早く……てか、動きそのものが目で追えるかが怪しい速さで口を開け自分に食らいつく寸前だった。
あっ、終わった。
運動能力の差の時点で最初から詰んでたのか、と今から死ぬのかと何でか他人事のように思いながら凶悪な歯を見つめることしか出来ずいた。
「ガアアアッ!?」
死ぬ時が来る、その時。
自分の視界から見たらワイバーンの真下から爆発としか表現できない音と炎が発生。
それと同時に、自分は吹き飛ばされてフェンスに背中を強く打ち付けて意識が瞬く暇なく暗くなった。