自分、野比遊介とジャルタがプレヒティヒフースという二次元と通販復活をさせる組織に所属してから、四ヶ月が過ぎた。
その四ヶ月の中であったのは、主に集落の地図が完成してからの訪問販売兼宣伝を各集落で行うこと。
その最中、高坂さんに持たされたワイバーン達が運搬する物資が役立つ。
そう、避妊具やらアフターピルが主に意外と必要とされていた。
その理由とは、サーヴァントのいない集落の人からしたらいつ死ぬかわからない世の中。
そんな世の中での生活のストレスが激しいらしく、性欲も吊られるように溜まるらしい。
また、女性が誰かに……主に野盗やらに強姦された後に助けられてからのアフターピルが緊急で必要となる場合もある。
そんな理由で、自分達は高坂さんに持たされた各集落に食料や薬だけでなく避妊具やら、アフターピルも販売していた。
本当に喜ばれた。
中には、自分達が販売した物を使って夫婦になった人達もいたらしい。
その夫婦が、オモチャもこっそりと購入したのは秘密だ。
つまり、高坂さんの商売の読みは結構的中していた訳だ。
自分も元は現代社会で働いていた一般人なのに、何で予想出来なかったのやらと最初は思ったが、自分には最愛のジャルタという女性が……サーヴァントがいるから、追いつめられている人達の気持ちを予想することをしなかったのかも知れない。
そして、自分達が販売した物が役に立っていると実感できたのは、高坂さんが頭となる自分達の組織ことプレヒティヒフースが、他の集落に比べて大きくなってきたからだ。
自分達が活動することで、プレヒティヒフースの評判は上がっていったのだ。
☆ ☆ ☆
そんな四ヶ月の出来事を思い返しながらも今日の早朝、自分は今日もラブホテル【ナイト・マジック】のスイートルームのベッドで目覚め起床する。
「んん……」
起床しようとしたのだが、ジャルタが全裸で自分を抱き枕のように抱きしめながらまだ目覚めずに眠っていたのだ。
「……んぅ……ますたー」
「……おはよう、ジャルタ」
「……おは……よう」
朝が弱いジャルタは寝ぼけ眼のまま、挨拶を返す。
そんな彼女に、いつものように自分は苦笑してしまう。
「ね、ねむいぃ……」
「サーヴァントは基本的に睡眠が必要ないという設定がFateにはあるけど、実際今のジャルタには必要なの?」
「……いるわよぉ。……だって、マスターと一緒じゃないと眠れないんだもん」
「……そうですか」
まだ寝惚けてるジャルタはそう言いつつ、自分の胸に顔を埋めてくる。
そんな彼女の頭を撫でてやりつつも、まずは眠気覚ましにシャワーを浴びさせに行かせる。
ジャルタがシャワーを浴びる間に、自分は今日の予定を確認。
確か今日の予定は販路拡大の為に地図作成。
そう、販売先の開拓だ。
自分達が販売する品物は、生き延びた人達が生活していくのに必要なもの。
だから、自分達は集落の人達が生き延びるための商品を必要としてくれる場所へ赴いて、自分達の商品を売り込む必要がある。
また、販路拡大の為には空路を行くワイバーン達の休憩所も必要となる。
その休憩所の候補としては、可能ならば信用が置けるマスターとサーヴァントがいる集落が望ましい。
理由の一つは休憩所とした際、休憩のタイミングで自分達が取り扱う商品を狙う野盗が来る可能性を考慮しているから。
その際には、戦力として強いマスターとサーヴァントがいれば心強く、安心できる。
もう一つは休憩所とするなると、ワイバーン達にも食事が必要となる。
その食事の内容は、主にエネミーの肉で事足りるので集落にいるマスターとサーヴァントに用意してもらいたい欲もある。
その実現の為には、関係を築くことが重要となってくる。
まあ、自分達が売り込んだ先で、もしも野盗の類と遭遇した場合は、自分達で対処する必要がある。
そんなこんなで、自分達は今日は地図の作成、販売先への売り込みとワイバーンの休息を兼ね備えた拠点作りを行う。
「……よし。こんなところかな?」
予定の確認を終えるタイミングで、バスルームからドアが開く音が鳴る。
「お待たせ」
「ああ」
今日のジャルタは戦闘用の黒い鎧と外套の格好。
理由は商品を扱う以上は、野盗との戦闘も考慮するとのことで、ジャルタは今日はそうすることにしたらしい。
「んじゃ、自分もシャワーを浴びてくるよ」
「えぇ。早くしてね」
「はいよ」
そう言って、自分はジャルタと入れ替わりに浴室へと入る。
「……さてと」
自分はそう呟きながら、服を脱いでいく。
すると、ふと鏡に映る自身の体を見て思う。
今の仕事柄、重い商品も取り扱うから筋肉はそれなりに付いたなと思う。
だけど、やっぱり少しばかり……
「……もっと鍛えないとなぁ」
そう呟いた後で、自分は身体を洗い始めるのだった。
☆ ☆ ☆
「さぁ、行きましょうか」
「そうだな」
身支度を整えた自分達は部屋から出て、ロビーへと向かう。
その途中で、松本くんとアストルフォと一週間ぶりに顔を合わせた。
「あっ、おはようございます。野比さん」
「おっはよー!」
二人は自分達にそう言って、特にアストルフォが元気よく挨拶をする。
「おう、おはよう」
「……二人とも、今日も早いのね」
「はい。俺とアストルフォの仕事柄、早起きは必須ですから」
「なんたって、エネミーの素材も商品になるからね! 今日もゲームでいうところの周回だよ!」
どうやら最近の松本くんとアストルフォの仕事は、自分達が売る商品を待つエネミーの討伐らしい。
確かに、自分達が扱う商品は自分達が使う物だけじゃなく、他の人達が必要とする物でもある。
自分達が売った商品が、誰かの役に立つのは嬉しいことだ。
「そういえば、野比さんの方は訪問販売とかは順調ですか?」
「ああ。お陰さまでね」
「そっか。それは良かったですね。野比さんのプレヒティヒフースの評判を聞いて、最近だと集落の人達からも注文が入るようになったんですよ。それで、プレヒティヒフースに頼めば大丈夫だって言われまして、徐々に他の集落でも評判になってきてますよ」
「そうなのか? 自分達が売った物が誰かの役に立っているなら嬉しいかな」
「はい、俺もそう思います。それに、評判が広がったお陰でフリーのマスターとサーヴァントの耳にも届く筈。そうなれば新しい仲間が増えるかも知れません」
高坂さんが頭のプレヒティヒフースの評判が広まっているのは、自分達としても喜ばしいことだった。
自分達が売っている商品が、自分達以外の誰かが求める物になっているのは素直に喜べる。
ただ、松本くんの言うようにフリーのマスターとサーヴァントがプレヒティヒフースの一員になるのは構わないんだけど……
「その中にエジソンがいませんように……!」
「あ、あははは。元はブラック企業にいた野比さんからしたら、エジソンは嫌みたいですね?」
松本くんが自分の懇願めいた言葉に苦笑いしかしない。
けど、自分にとってはエジソンことブラック企業ワーカーホリック体質のサーヴァントと関わり合うのは、叶うなら避けたいんだよ。
「まあ、エジソンが来るかはともかく、これからも頑張ってください。俺は仕事に行っちゃいますので。それでは先に失礼します」
「夕飯前には戻るね!」
「ああ。頑張れよ、松本くんとアストルフォ」
自分達はエレベーターで一階フロントで別れた後、松本くんとアストルフォは素材周回へ。
自分とジャルタは販路拡大の為の地図作成の為に、プレヒティヒフースの活動拠点の支点となる休憩所の候補を決めたりをする為に、自分達は【ナイト・マジック】を後にするのであった。
☆ ☆ ☆
さて、今日はワイバーンに乗り移動しながら初日を思い出すかのような地図作成を始める。
「マスター、地図作成は任せていいかしら」
「ん、了解」
ジャルタの言葉に自分はそう答え、ジャルタはワイバーンに指示を空を駆けていく。
自分は地図作成の為に、まずは集落の位置を把握する。
「えーっと、まず目立つ大きな集落はここだから……」
自分は集落の場所を頭に叩き込みつつ、集落と自分達の拠点を結ぶルートを割り出していく。
その最中、自分達の上空にワイバーン三体が飛んでいるのを確認する。
自分達が乗っているワイバーンは、ジャルタのワイバーンだ。
次に上空を往くワイバーンもジャルタのワイバーンであり、その背には荷物と人を乗せている。
つまり上空のワイバーン達は今、何をしているかというと……
「頑張ってるわね。人や荷物を振り落とすこともないし」
「まあ、最初の頃はともかく、販路確立した周辺なら他の人にも通販の手伝いしてもらわないとね」
プレヒティヒフースに所属するマスターとサーヴァント、荷物を運ぶワイバーンを見上げる。
販路確立した部分に関しては、ジャルタのワイバーン達を他の所属する人に貸して、通販の限定的再開を試運転中。
最初は自分達が売る商品は自分達が運んでいたのだが、自分達が常に拠点にいるとは限らない。
だから、自分達が不在または休みの時に自分達が売る商品を必要とする人や集落がいれば、自分達が売る商品の運搬を誰かに手伝ってもらう必要がある。
それを手伝うのは、商品を守る必要もありマスターとサーヴァントが望ましい。
だから、ジャルタのワイバーン達と組織の人達に協力してもらっているのだ。
自分達が売る商品を自分達が運ぶのは当然のことだけど、自分達が売る商品を自分達が運べない状況……今だと、地図作成をしなきゃならない時がある。
まあ、最初にジャルタのワイバーンを貸してみたらプレヒティヒフースに所属する人達……主に他のマスターがビビりながらワイバーンに乗っていた。
気持ちは良くわかるつもりだ。
初期の自分も、ジャルタのスキルや使役されたワイバーンを信用していない訳ではなかったが、怖いものは怖かったからだ。
だけど、今はジャルタのワイバーンもプレヒティヒフースの一員として活動してくれているし、自分達もジャルタのワイバーンに信頼を寄せている。
「さてと、自分も頑張りますかね」
そう呟いてから自分は地図作成を再開し、ジャルタはワイバーンを操りつつも地上だけでなく空の警戒も怠らずにいた。
因みに地図作成の現在の腕前だが、今の仕事柄必要となったので、酷いから程々には描けるようになったよ。
☆ ☆ ☆
「……よし。こんなところかな?」
「お疲れさま」
「おう」
ジャルタに労れながら、自分は改めて仮で作成した新しい地図と地上を照らし合わせる。
新しい販路を開拓したり、自分達の拠点として活用できそうな集落の候補を見つけたりした成果はあった。
後は自分達の休憩所として使える場所があれば、新しい場所で自分達の商品を売るのに問題はない。
「んじゃ、今日はここまでにして帰ろう」
「そうね」
自分達はそう言って、自分達の住処であるプレヒティヒフースの拠点ことラブホテル【ナイト・マジック】へと帰る。
その途中、他のワイバーンが人と荷物を乗せて飛んでいくのとすれ違う。
ワイバーンが乗せているマスターとサーヴァントとは……
「吉田くんとブーディカだな」
「えぇ、そうね」
自分達はすれ違い様に確認した後、そのまま拠点へと帰っていった。
因みに吉田くんは元高校一年の男子で、ブーディカをサーヴァントとしている。
吉田くんも高坂さんにスカウトされた口で、最初の頃は不安なのかオドオドしていたが今では立派なプレヒティヒフースの一員となっている。
次にブーディカだが、彼女は……その、実はなぜにそうなったかは知らないけどヤンデレなんだ。
プレヒティヒフースや高坂さんや自分にとっては幸いにも、周囲に攻撃するようなサーヴァントではなかったものの。
ヤンデレの属性としては慈愛が極端に発展したものだと思う?
疑問系な理由は普段のブーディカはヤンデレな様子を見せないが、嫉妬深い。
例えば吉田くんが見知らぬ女性と仲良くかはわからないが、商売内容とはいえ会話をすると必ずブーディカが吉田くんの右腕を抱きしめ、可愛く睨むとのこと。
それだけなら全然マシで、自分が知る最悪なパターンだと……
「吉田くんが危なかったよな。自由的な意味でも」
「吉田がエネミーに怪我させられただけで、エネミーが虐殺された後に三日は軟禁したのはビビったわよ」
あの時のブーディカは怖かった。
あの時のブーディカの前では、ジャルタでも下手に逆らえないし、吉田くんと会話が出来なくなる。
理由はお察しの通り、ジャルタが女性だからなのとキレたブーディカはヤンデレを表面に出しやすいから。
まあ、そんなこともあるが、プレヒティヒフースのサーヴァントとマスターは自分達だけじゃなく、他にもいる。
それは、自分達が拠点にしているラブホテル【ナイト・マジック】にだ。
自分達が拠点にしているラブホ【ナイト・マジック】には、自分達以外にもサーヴァントとマスターが暮らしている。
例えばプレヒティヒフースの頭こと高坂さんと黒髭、松本くんとアストルフォ、自分とジャルタ、吉田くんとブーディカ。
その他だと【ナイト・マジック】の従業員や宿泊客もいるな。
と、考えていた間に自分達は拠点となる【ナイト・マジック】の前に着いていた。
「ただいまー」
「戻りました」
自分とジャルタはそう言いながら、自分達の住処であるラブホテル【ナイト・マジック】の中へ入っていく。
自分達が戻ると、フロント前にて自分達と同じく帰ってきた男性のマスターとサーヴァントがいた。
「おっ、野比さんもお帰りか?」
「そうですね。今は販路開拓中です」
男性のマスターこと和武さんに自分はそう答え、ジャルタは軽く会釈する。
彼は自分達と同じプレヒティヒフースのマスターであり、同年代だからか他のマスターの中では一番付き合いやすい。
その和武さんのサーヴァントはワルキューレこと、スルーズ、ヒルド、オルトリンデ。
ここでの和武さんのワルキューレは三人で一騎らしい。
「販路開拓か。確か、今は北へと拡大する予定だったか?」
「はい。今は埼玉県と群馬県、千葉県辺りとなります」
東京は確立した訳だから、足を広げるのは当然としてまずは千葉県から販路を広げる予定だ。
理由は高坂さんが「ピーナッツピーナッツ!」と五月蝿かったのもあるが、確かに名産品を商品にできたらいいとは思うし。
「和武さんは今日は何をされていましたか?」
「俺とワルキューレ達か? いつものようにワイバーンに乗って商品運んでたよ」
と、和武さんは言うが渋い表情だ。
何かあったのかな?
「いや、今日に商品を届けに行った先の集落の一つで揉め事があってな?」
「揉め事?」
「ああ。ヒルドが集落の男にナンパされたまでは良かったんだが……」
その場にいた和武さん曰く、ナンパ男の態度が悪いし、女性を口説くにしては横暴。
それに加えて、和武さんを馬鹿にした発言をしてしまったらしく……
「何と口にしたんですか?」
「確か「俺のサーヴァントになれ。あんなゴツくムサいだけの不細工より俺は凄いイケメンだろ?」だな」
はぁ……まあ、探せばそういうナルシスな奴がいることはいるだろうけどさ……
「それでどうなったんですか?」
「まあ、ヒルドだけでなくオルトリンデも頭に血が上ったのか男に向かって槍を突きつけたから慌ててスルーズと一緒に止めたよ」
そりゃあ止めるよね……
自分とジャルタだって、自分達以外のサーヴァント達が暴れたらしっかりと止められる自信はないが、止めないと今後の信用に関わるかも知れないし。
特にオルトリンデは、和武さんのことが大好きみたいだから余計に暴れたくなったみたいだし。
「で、結局はどうなりました?」
「ナンパ男が死にたくないからと謝ってその場は収まった。ただ、あのナンパ男は集落の中では評判が悪いらしいのが判明したけど」
「つまり、普段からそうだと?」
「らしいぞ。集落の女達には特に嫌われてたっぽい」
「そうですか。それは災難ですね」
「全くだよ」
と、和武さんは溜息をつく。
「そういえば、そのナンパ男って見た目はイケメンなんですか?」
「身体と顔がゴツい俺よりはイケメンだな」
と、和武さんは笑いながら言うけどスルーズ、ヒルド、オルトリンデがそれには異議ありと態度に表れてますよ?
「そんなことありません! マスターの方がずっと良い人です。確かに身体とかは大きいですが、その大きさが良いと私は思います!」
「うん。マスターはカッコイイよ。私もマスターは格好良くて素敵だと思う」
「マスターは優しいし、頼りになるし、可愛いし、私の自慢の人なんだよ。だから、そんなこと言わないで」
と、ワルキューレがマスターである和武さんを褒めちぎるが、和武さんは恥ずかしくて堪らなかったようで……
「や、止めてくれ。容姿は褒められ慣れとらんのだ!」
「マスターは照れ屋さんですね。でも、そんなところも好きですよ♪」
「あはは、マスターは本当に面白いね。でも、そんなところが好きだよ。マスター♪」
と、ワルキューレ達は和武さんを弄っていた。
和武さんは顔を真っ赤にしながら「勘弁してくれ」と呟いていた。
「仲が良いわね?」
と、傍観するジャルタは言うけど、もしかしたら自分とジャルタも普段はそう見えてるかも知れないよ?