俺のH・EROアカデミア 作:ばうえもん
亜里沙のやらかしでイラっとした方はこれで溜飲を下げて下さい
本当は亜里沙よりもばうえもんが「これぞ美神流」とギャグのつもりで勘違いした全然面白く無い作戦を書いたのが悪いんです。不快になった方はすみません
72.6話「透のススメ」
21名の人間が倒れ伏す演習場にガンと硬質な音とドンと低い音が響き渡る。
音速を超えた直径20センチ程の金属棍に引き裂かれた大気の爆発とそれに伴い抉れる地面、だが重量8トンの重金属の直撃を受けているにも関わらず硬質な音を立てるのみで揺るがない強固な魔法障壁。
横嶋による亜里沙へのお仕置きの執行は彼女の強固な防御により成されずにいた。周囲の人間は余りにも常識外れな光景にそう認識していた。
「時間がかかりそうだな、皆、すまんが戦闘不能になった面々をリカバリーガールの元へ運び出してくれ」
雄英の教師であるブラドキングですらその常識外れな光景を処理出来ずにいて、このような面倒な事態を引き起こす原因となった同僚(ノックダウン済み)に聞こえていないだろうが愚痴を吐きつつ雑に抱えて運び出した。一見千日手に見えるその光景にそのうち叩くのに疲れたら横嶋の怒りも落ち着くだろうと思考を止めたのだ。
「ひ~~~~んっっっ!!」
『泣け!叫べ!そして 死ね!! ハァーハッハッハッハ!』
「いやぁぁああ!!!!」
確かに状況は拮抗しているように見える、だが誰もが考えないように目を逸らしている点がある。横嶋の嗤い声と爆音や轟音に混じって悲鳴が聞こえるのだがきっと気のせいだと無視した。だってまるで落雷が連続して落ちるように響き渡る轟音で煩いのだから何も聞こえないったら聞こえないのだ。
確かに亜里沙の強固な魔法障壁は彼女を物理的には守り通している。それがわかっているから横嶋も安心して全力で棍を振るえるのだ。
悪鬼羅刹ですら逃げ出しそうな形相で嬉々として無駄な攻撃繰り返す横嶋。確かに亜里沙は物理的には守られているのだが、この世界でも上位に位置するスペックを持つ彼女には大気を引き裂く自分の顔程の太さの鈍色の軌跡と、それを嬉々として振るう横嶋の形相の全てが見えている。肉体的スペックが桁外れの彼女だが精神をどうだろうか? 考えてみよう、幾ら現状が安全でも自分を殺せる一撃を絶え間なく食らい続けるというプレッシャーを!!
彼女の精神は既に限界を迎えているにも関わらず、その肉体の強度故に気絶も出来ないのだ!!
亜里沙が恐怖に耐えきれなくなり幼児退行を起こすまで残り僅か、横嶋は仕上げとばかりに今まで打つだけであった棍に突きを加える。
直撃のタイミングでちょっと捻りを加える、捩じりながら突くのではない、直撃した瞬間に捻ってベクトルをずらすのが障壁破りのコツだ。ここで横嶋がノリで研鑽してきた黄金長方形の軌跡、「黄金の回転」*1
が無意識に加わる。未だ未完成故に本来の威力が発揮できないそれだが障壁の強度を削るには十分な威力だ!!
今までと違って軋みを挙げ始めた障壁、横嶋がこうやって少ずつプレッシャーを強めていくつもりなのだと理解した亜里沙は絶望した
本編if 72.6話「透のススメ」
いやぁ、いい汗かいた。
幼児退行した榛葉に庇護欲を刺激された茨にやり過ぎだと責められたが俺は謝らない!!(ドヤ顔)
「ううう、みんな忘れるなんて酷いよぉ~」
どこからか情けない泣き声が聞こえたと思って声の元を探る、ん~
「声はすれども姿は見えず。ヨコシマ・アイは透視力なんて持っていないはずだから、つまり相手が透明なわけで、名前は葉隠だっけ?」
「よかった、ようやく気付いて貰えた。さっきまで大きな音のせいで誰にも気付かれなかったんだよ~」
「あ~、すまんな、榛葉のお仕置きについ興が乗ってな」
「それでも私の事探しもしないなんてB組は薄情だよ!!」
「その辺クラスが違うとどうしてもなぁ、同じクラスなら誰かが居なければ気付くけどクラスが違うと誰かが態々人数を確認しなきゃ一人足りないとか気付かんのも無理ないぞ」
「お~い、忠雄、A組の葉隠が居ないらしいんだけど知らない?」
「おう、今話してる」
「流石忠雄、良かった。最初怪我人が20名居たから確認怠ってしまったんだよね、A組の人間が気が付くまで気が付かなかったんだ。ゴメンね」
「いくら姿が見えないからって酷いよ!!」
「ん? 計算可笑しくないか?
回収のタイミング考えると榛葉抜いて20人だよな、なんで葉隠さんここに居るのに怪我人20なんだ?」
「それが20人に相澤先生が混ざってて数えた人間と確認した人間の齟齬が生じたんだよ」
「あ~、なるほどな、榛葉除いて20人居るなら全員いるってカウントしちゃったのか、あの先生つくづく祟ってくれるな」
「相澤センセェ……」
「それで忠雄はなんで明後日向いているの? 声の位置から葉隠はコッチに居ると思うんだけど……、あっ、ヘビちゃんが捕捉できた」
切奈の髪が一房蠢いて蛇に変わる、首を擡げた蛇が周囲を伺って、葉隠さんの場所を特定した。蛇は温度で見るから透明になっても体温がある以上は隠れきれまい。見えない葉隠を探すのに適任だな。宍田でも探せるけど裸の女の子を運ぶ事になるからな
「あー、そうそう、丁度女子呼びに行こうと思ってたから切奈が来てくれて助かった」
「そういえばそれは私も気になってたなぁ、話している間に助けてくれてもいいと思う」
「いやだって裸だろ、命がかかった非常時ならともかく、そんだけ元気なら触るのはちょっと躊躇するぞ」
「目を逸らす理由になってないんだけど、ねぇ、ひょっとして見えるの?」
「……ノーコメントで」
「えっ、ええええええええ!!!!!!」
演習場に葉隠さんの驚愕の叫びが響いた。そんだけ声出るんなら助け呼べよ
「忠雄」
「あいよ」
切奈の呼びかけに上着を渡す。その上着で葉隠さんをくるんだのだろう。それでも丈を考えれば割と怪しい部分もあるのでそちらを見ないように先を歩く
そういや普通に野外活動の防寒用のマントみたいな装備もあったからそっち渡せば良かったな
「ううううう」
まさか自分の裸が見られているとは思わなかったのだろう、被害者である葉隠さんは今まで無縁だったその方面の羞恥心を上手く処理できなくて唸るだけだ。
「ねぇ、その、横嶋君から見て私の裸どうだったかな?」
透明人間故に裸体に対する羞恥を持ち合わせないのだろう、裸を見られるという状態を理解出来ないのかどう対応したものか困って頓珍漢な質問をしてきた。
「ちょっと葉隠、アンタなに言いだすの」
「だって姿見られたの初めてだからどうしたらいいのかわかんなくて。それでどうだったかな?」
「また返事し難い事を聞いてくるね。正直に言うけど怒らんでくれよ。白かった、透明で光通すから肌焼けないんだな」
「そっか、思ってたの違うけど褒められたのかな?」
「肌焼けないって地味に羨ましいかも…」
「ただなぁ、宍田にぶっ飛ばされて地面を派手に転がったんだろ、細かい傷あるようだからちゃんと消毒しとけよ。あと痣も出来てたけど自覚はあるか?」
「細か!! ずいぶんと見られたんだね。うん、ちゃんと治療してもらうよ」
ここで話は途切れて沈黙、気まずいのかくすぐったいのか妙な沈黙、背後から照れた気配と不穏な気配を感じる。聞かれたから答えたんだ!俺は悪くぬぇ!!
「葉隠、アンタ少しは羞恥持った方がいいよ、スケベ男に見られたんだから」
「横嶋君ってそこまでエッチな感じはしないけどそうなの?」
「いや、こういう時は真面目に取り合うし見たのも怪我の有無を確認するつもりだと思うけど。それとこれは別!! 裸見られたんだからビンタくらいしていいの!!」
「……ヒーローやるならこの先もこういった事も有るかもしれないし、うん、女は度胸!! 最初が正直に答えてくれる横嶋君で良かったと思おう!!」
「裸みられたんだよ?いいの?」
「いいの!! 何度も言わせないで欲しいなぁ」
ん~、下手に女子の話に加わるのはちょっと危険だけど半分はヒーローとしての話だからいいかな、
「なぁ、A組ではその辺突っ込んだ話しないのか?」
「そうよね、完全に見えなくても動物主体の異形型なんか視覚以外の探知の個性持ちなんて結構いるでしょ、実際私も温度でも見えるし大体のシルエットならわかるよ」
「音とか電気で索敵出来る人はいるから誰かいるのはわかっても私を
ちょっとだけ寂しいそうな声色、あ~、こりゃYOKOSHIMAに付き物の面倒な女案件だな。地雷踏んだかも
「その、何時もどうせ見えないからって自分から脱いでいるけど、実は輪郭が分かるだけでも恥ずかしいかな」
「だけど誰かに自分の存在を見て貰えるのならそれもいいかなって思いも有る気がする。やっぱり姿を見られるって体験は特別な感じがして」
「それは気のせい、いいね?」
「アッハイ」
切奈のやつが葉隠=サンに言い聞かせる。ひょっとして俺がこれを理由に彼女へ何か悪さすると思われているのだろうか? それならばまあいい
だが先程親しいA組女子から手酷い裏切りを受けたにも拘らずまたもやA組女子に現を抜かすアホと思われているとしたら失礼な話だな、俺だって学習するんだ!微妙に地雷臭がするのに敢えて行く理由は無い!! 何故なら既に地雷処理で手一杯だからだ……
だがしかし、背後からは妙に熱っぽい視線を感じる!! そりゃ彼女にしたら意識するなってほうが無理な相談だからな。これはいわゆる餌は美味そうだ問題だな
さて、その後も何かの拍子で顔を合わせると彼女の方から声を掛けてくる。最初は挨拶程度だったのだがだんだんと話し込む事が多くなった。
理由は想像がつく、校内ならちゃんと服を来ているので俺の方もちゃんと彼女を見て話す。よそ見しながらとかだと彼女は怒るからだ。彼女は俺と話す時は必ず正面に陣取る。他の人間が相手ではそうではない、何故なら視線が合わないのが気になる様になったからだそうだ。
顔を見ながら、俺と目を合わせて話す様は非常に嬉しそうだ。彼女の瞳には俺が映っているが、俺の瞳には透明な彼女の笑顔は映っているのだろうか?
それは俺の部屋に葉隠さんが押し掛けてきた夏の日の事だ
「部屋の場所教えた覚えないんだけど…」
「まあまあ、細かい事は気にせずにね、せっかく部屋に女子が訪ねて来たんだぞ! そこは男子高校生的にはヒャッハーってテンション上げる場面じゃない!?」
「細かくねーよ、ステルス個性活かして普段からストーカー染みた真似してんじゃねーだろうな?」
「なっ、なんの事かなぁ、人の秘密探るの楽しいなんて思ってないよ」
「そういうのも下手すりゃ個性犯罪だかんな、雄英通ってんだから自重しろ」
「は~いぃ…」
「そこまで怒ってないからそんなにテンション下げんでも」
「女の子の匂い……、横嶋君って私が思っていたよりもずっと女タラシだったよ!!」
いつの間にか女子向けのクッションとか小物で溢れるようになった俺の部屋の真ん中でそう声を大にして叫ぶ葉隠さんはせっかく美人なのに残念系のようだった
「ああ、まぁ結構出入りしてるからなぁ、偶に男子が来た時も同じこと言われるよ」
「せっかく男の子の部屋だとワクテカしてたのにがっかりだよ!!」
「期待に沿えなくて残念だよ、これからは余り過度な期待を持たないでくれると嬉しいぜ」
「よし、こーなったらベッドの枕の下をチェックだぁ!!」
「ベッド周りのチェックって女子のお約束なのか? 枕のパターンは初めてだけど」
そう返すとピタリと停止する葉隠さん
「そんなお約束あるかぁああああ!!」
そして何故か怒鳴ると寝室に駆け込んでいった。だからなんもねーって
「なんでゴム無いの!! はっ!? まさか生で…」
「いやそこまでの相手いねーから、なんだよ、その疑いの眼差しは」
「だってB組の女子で怪しい娘何人か居るし、部屋に遊びに来るくらいだからエッチな事もしてるかなって」
「まだしてないからな、嘘つく意味ないから正直に言うけど先はともかく今はまだそこまでの関係じゃないから」
「そこは嘘でも『君以外に興味はないよ』とか言う場面でしょ!!」
なんだそりゃ?
轟くらいイケメンならともかく俺がやったらコントだぞ
「下手に期待させて今の4人に詰め寄られる現状だからな、これ以上あやふやにはできないんだよ」
なんでもいいから人のベッドの上でジタバタするのは止めて欲しい
「下着見えるぞ」
「見せてんだよ!!」
何故かキレられた。一応遠回しに保留している女の子が居るから付き合うのは無理って言ったつもりだけどハッキリ言わんと駄目かと…オイ
「だから何故脱ぐ!!」
「私が全裸になるのなんて何時もの事でしょ!! どうせ誰にも見えないし!!」
「俺には見えるんだよ!!」
「横嶋君に見ない振りされたらもう誰にも見えないじゃない……」
泣きながらそんな事言われても困る、既に全員とキスまでしてんのに他の女の子と肉体関係とか最低だろ。いや4人とキスしてる時点で最低男なんだが
「泣くのはズルイだろうが」
「本気じゃなくてもいいから、別に体だけでも、遊びでもいいからかまってよぉ」
流石にちょっとベタベタし過ぎかと最近意図して距離を置いていたのが仇になったのか。でもだんだん距離感が縮んで接触がエスカレートしてきたからなぁ、子供じゃあるまいし普通対面で男の膝の上に跨るか?
「普通に遊ぶくらいならいいんだよ、でも最近距離感が可笑しくなってたぞ」
「だってぇ、顔見てお話したいし……んっ」
などと言ってるそばから抱き着いてキスしてきた。更にエスカレートしてんじゃん。あっさりと唇奪われた時点で俺も本音じゃ嫌がっていないのだろう。同情か、絆されたのか、あるいは俺の方も彼女に惹かれていたのか。
そりゃ俺もヤリたい盛りの男子高校生、可愛い女の子から好意を向けられれば反応もするわけでして……元々溜まりに溜まっていい加減限界だったわけでもあり……
「私ってこんな顔なんだね、横嶋君の瞳に映ってる」
なのにその一言で一気に醒めた。そっか、俺の瞳にもちゃんと映っていたのか
「んゅ~~~!!」
「んっっ ちゅぴゅっ、んふっ、ん~、んくっ、んくっっ、ん~っぷっ はぁぁ~」
今度は此方から唇を奪い、舌を入れて彼女の口内を蹂躙して唾液を味わい俺の唾液を流し込む、初めてだったけど茹で上がった顔をみるに及第点だったようだ。
漢横嶋忠雄、やられっぱなしは性にあわん!!
例え何かの間違いで同性愛者になったとしても俺は攻める方が好きなのだ!! 未だ童貞だけどな!!
ディープキス一つでくんにゃりと力が抜けた葉隠さんに俺は無情に告げる
「とにかく服着ろ、ここじゃ人の出入りが多くて落ち着けんから何をするにしても出かけるぞ」
「えーと、うん。それじゃあエスコート宜しく!!」
俺は柄にもなく俺だけに見える彼女のはにかむような笑顔を大事にしたいと思った。女の子の泣き顔はやっぱりズルイと思います
後日談
「なぁ、目が見えるってことは網膜が光を捕えているんだよな。それなのになんで目も透明なんだ?」
「えっ? どういう事かな?」
「ちょっと医学書とか無いからネットで教えるけど……」
「…言われてみれば不思議だよねー」
「軽いなぁ、まぁこの世界って個性に関しては割と思考停止している面があるからな。まるで個人のアイデンティティたる個性は「神聖にして侵すべからず」って感じでアンタッチャブルだよな」
「でもそうじゃない? 変に調べられるのは抵抗あるし」
「自身の個性に対して不満がある透ですらそうだからなぁ、まぁいいや」
「いいの!?」
「本題は別だからな、つまり透の個性は存在が透明なんじゃなくて透明という概念なんじゃないかと思うんだ」
「???? どう違うのかわかんないだけど」
「まあつまり透明を操る個性の可能性が有るって話だ。それなら俺に見えるのも説明がつくからな」
「ふ~ん、でっ?」
「"でっ?"て、そりゃないだろ、服着たまま透明になれる可能性があるってのに」
「あっ、そっか、ふ~ん、そうだよね。彼氏としては彼女の裸は独り占めしたいよね❤」
「そうだよ、わりーか」
「全然悪くないよ、私も忠雄以外にはシルエットだって見せたくないから頑張って個性伸ばすね❤」
インターミッション「2人の英雄」を書いてる最中に、ダメージ受けて動けないけど透明な為に皆から見つけてもらえなくて泣いちゃう葉隠さんのヴィジョンが降りて来たのだからしょうがない