これって想像しただけで怖いですよね
それではいってみよー!
フェンリル極東支部
その、最も最上階にある部屋の一室。
柔らかい金髪に白いコートを纏った男が一人、木製の椅子に座っている。
彼の名はヨハネス・フォン・シックザール。
アラガミ討伐部隊の最前線の極東支部で、命を燃やして神機を振るうGODEATERたちの支部長かつ、統括者だ。
突然室内にコール音が鳴り響く
オペレーター「支部長。照合中のデータベースから新型神機の適合候補者がみつかりました。」
ヨハネス「そうか、名前は何という?」
ヨハネスは自身のテーブルに設置されたパソコンのキーボードを操作する。
オペレーターが彼のパソコンに送信したデータを取り込み、ダウンロード、開くと名簿が表示された。
ヨハネス「ふむ… 東千 シュウカか…では手続きを完了させ次第、神機適合試験を始めよう。」
オペレーター「了解しました。」
ビッと鈍い音を立てて通信は終了し、再び部屋には静寂が訪れた。
ヨハネス「支部初の新型神機使い……今後の働きに期待したいところだな。」
ヨハネスは試験場に向かうために自室を出た。
1時間後、訓練室(試験場)
フェンリルの真新しい制服に身を包み、艶のある薄くピンクがかった銀髪を後ろでまとめた少女が1人、今から始まる適合試験のために心の準備をしていた。
ーーーー「長く待たせてすまない」
訓練場に響いた声に、シュウカはハッと目を見開いた。
ヨハネスは不安そうに訓練場に佇む新型神機の適合候補者を、期待を込めて見下ろしていた。
ヨハネス「ようこそ…人類最後の砦フェンリルへ。」
ヨハネスは一呼吸置くとまた話し出した。
ヨハネス「今から対アラガミ討伐部隊、ゴッドイーターとしての適性試験を始める。肩の力を抜き少しリラックスしたまえ。その方がいい結果が出やすい。」
シュウカはゆっくりと息を吸い込みまたゆっくりと吐き出す。
深く深呼吸を行うとスーーッと肩から力が抜けていく気がした。
ヨハネス「心の準備ができたら、中央のケースの前に立ってくれ」
神機適合試験を受けるということは体にアラガミを居座らせ、半分人を捨てるということだからだ。
合格すれば命がいくつあっても足りない戦場へ。
不合格ならばその場で注入されるオラクル細胞の暴走によって捕食される。
東千シュウカ18歳。
まだ人生経験も少ない若い彼女からしたらこれは人生最大の試練だと思う。
シュウカはケースの前までやって来た。
改めて前に立つと、今から自分に適合させる物がどれほど珍妙なものかがよくわかる。
内部には、剣の柄が見え、それを辿ると手首にはめれそうな腕輪が剣先の結合部分に上下半分ずつ設置されており、その先から剣が伸びていた。
さらに、剣の下の方には銃のようなものが縮小され収納されているように見える。横はシールドの様なものでガッチリ固められていた。
触りたくない…しかし、触らねば何も始まらない。
その武器『神機』の柄を掴む。一瞬間をおいて……
ガシャン!!
少女の手首を挟み込むように、装置は作動した。
シュウカ「い…うあぁぁぁぁああああ!!!!!!」
突如襲いかかる激痛、何かが内側から侵食してくるような感覚に襲われる。
偏食因子の投与が始まったのだ。
シュウカ(こんなところで死んでたまるか!!!)
ーーー偏食因子投与から数十分後
適合試験が終わり、ゆっくりとケース上部がひらく。
そこには赤い腕輪が付いた自分の右腕があった。
シュウカ「ハァ、ハァ…あたし…生きて…る?」
おもむろに神機を高く上げる。
身の丈ほどある武器をこんなにも軽々と持ち上げられるなんて、すごいと思う反面本当に人ではなくなったのだと実感することになった。
と、ニュルっと神機のコアから触手が延びて腕輪と接続され、特に拒絶反応もなく接続された。
この神機はシュウカの身体に投与された偏食因子が気に入ったようだ。
ヨハネス「おめでとう。これで君は我が極東支部の、いや、世界初の新型ゴッドイーターだ」
ヨハネス・フォン・シックザールはその時何を思ったのか、一瞬不敵な笑みを浮かべた。
(この適合率……君は、非常に良いな……。十二分に役立って貰うよ)
ヨハネス「これで適合試験は終了だ。この後は適合後のメディカルチェック(体調検査)が予定されている。始まるまで、後ろの扉の先にある部屋で待機してくれたまえ。体調が悪くなった場合は、すぐに申し出るように。」
ヨハネス「君には期待しているよ。」
【オラクル細胞】
アラガミを構成する「考えて、喰らう細胞」。
現在、世界中にその存在が認められている。
一つ一つの細胞毎に生命活動が完結しており、その点では単細胞生物に近い。遺伝子としてDNAを保持しておらず、従来の生物とは全く異なったもの。
「捕喰」に特化した極めて特異な器官を細胞壁状に所持しており
あらゆるものを取り込んで「喰らう」ことができる。
【偏食】
「オラクル細胞」及び、その群体である「アラガミ」が持つ「あらゆるものを捕喰できる能力を持ちつつも、特定の対象しか捕喰しない」という特性。
【偏食因子】
フェンリルによって発見、実用化された「オラクル細胞」に含まれる「偏食」を誘導する物質。さまざまな使用法があるが、調整して人体に投与する事で、生体武器(神機)のコントロールが可能となり、副次効果として飛躍的な身体能力の向上が得られる。
【神機】
アラガミに唯一対抗できる兵器。
人為的に調整された「コア」を使ったアラガミそのもののこと。
ゴッドイーターは体内に投与された「偏食因子」を神機の餌とし、「腕輪」を
通じて神機を操る。
神機を操作するためには「オラクル細胞」を人体に深く埋め込んで神経と接続する必要があり、また適合後も定期的な偏食因子の投与が必要である。
また、100%適合できるとは限らず、不合格だとその場で神機にその身を喰い尽くされることになる。