ここは無限書庫。知識と知恵の殿堂であり、賢者の中の賢者が思索を求める静寂の闇がある。
そこで「やっほー!」などとそぐわぬ声が響けば、司書長ならずとも振り返るものだが、今日はそれに素早く反応するには彼、若くして無限書庫司書長を勤める少年ユーノ・スクライアはいささか疲れ過ぎていた。ゆっくりとユーノが振り返って、自分の目の前に青いツインテールの元気いっぱいな笑顔をした女の子を発見したのは、魔法でむりやり覚醒しながら仕事を続け、後二時間ほどで三徹に移行しようとしていたところだった。
「ねえユーノ、疲れてる? ……あれ、返事がない。ただのシカ? シカバ、スタバ? のようだ……そうだ! ねえ、ユーノ、おっぱいもむ?」
とうとう幻覚を見たかとユーノは考えた。長い二つおさげを無重力にたなびかせる快活な笑顔の愛らしい美少女が、水色の学生風(学生なのに
だから右手がレヴィにつかまれて、その年齢としてはたわわに実った丸い胸に届いた時も、最初はぽやんとした目をしていただけだったのだが。柔らかさとか弾力とか、重さとかあたたかさとかを実感するにつれ眼が大きくなる。ついでに大きな声もでた。
「ん、ええ!? ちょ、レヴィ?!!?」
「あ、目が覚めた。すごーい。やっぱり男の子って、おっぱいもむと元気になるんだ!」
「そりゃ元気になるっていうか、別のとこが元気になりそうだよ! いやそうじゃなくて」
「んー?」とかわいく首を傾げるレヴィ。けっこうがっしりつかまれていて、疲労のたまったユーノの曖昧な抵抗は無視される。
「ユーノの手、けっこう大きくてあったかいなー。なんだかぽかぽかしてきた」
「あ、あ、ああ」
そうこうするうちに、疲れきって思考力のないユーノの頭が四文字で埋め尽くされていく。「……おっぱい」
「ほらほらー、おっぱいむにゅむにゅー」
服の生地ごしにでも柔らかくて、ほどよく弾力があって、不思議な感覚だった。下着はつけていないらしく、こんな薄い生地一枚ごしで、どんな無限書庫の秘密より閉ざされて守られるべき女の子に触れている。
「ん……んん、そこ、いい」やがてレヴィの上気してほてった顔と、いつになく色っぽい声がユーノの興奮をあおる。
「もっと」とつぶやいてユーノは両手をさしだす。やわらかくて、あったかくて、不思議な感触だった。そして禁忌に触れているという事実が、脳と股関に血液を送りこんでいく。
「ねえユーノ、服の上からじゃなくて、直接触ってみる?」
「……うん」沈黙はためらいではなく、触った感触を味わうのに忙しかったからだった。顔を赤くしたレヴィが服のすそに手をかけるのを見て、ユーノはいつになく息を荒くした。
さすがのレヴィも恥ずかしげに上をはだける。肌色の面積がゆっくりと増えていくその動作に、ユーノの興奮は高まるばかり。焦らされるうちになけなしの理性は蒸発していく。可愛いらしいおへそが露わになる。続いて、二つの丸いお椀が姿をあらわしてくる。やがてでてくる桜色の乳首を見て、ユーノは我慢もなにもなく、しゃにむに吸い付いた。
「ユーノ、そんな、いきなり! あ、あ、吸われてる、吸われてるぅ、ああん、そこ、そこ、気持ち、いい、ん! んん……!」
舌で少し固いそれをころがし、それから頬ずりして胸の弾力とやわらかさを心ゆくまで味わう。
「おっぱい。レヴィの、おっぱい……やわらかい……あったかい」
普段の知性のかけらもないうわごとをつぶやきながら、ユーノはレヴィの胸を舌と頬と掌と指でむさぼる。指をうずめるようにする。離すと元の大きなどんぶり形になる。舌で転がす。両頬をはさみこむ。気がつけばレヴィの両手はユーノの頭を抱きしめるようにつつみこんでいた。それに気がついたユーノはなぜだか慌ててしまう。その手に抵抗して無理に頭を胸から離した。すると、レヴィのとろんとした眼と眼があった。次の瞬間には、唇と唇がくっつき、吸い付き、ついばみあって、それから、舌がからまった。レヴィの手は変わらずユーノの頭を後ろから支えて離さない。ユーノの手もまたレヴィの背中をしっかりと抱きしめていた。そのまま時が止まるのだ、とユーノはなぜだか思った。この幸せな瞬間が永遠に続くに違いない、と。
終わりは唐突だった。二人は自分達が何をしていたかを理解したけど、なぜそうしていたかは理解できずにいたから、混乱してわけのわからない挨拶だけして、その日は別れた。
その日は仕事を早くあがって、夕方ころにはユーノは自室の狭いベッドに転がっていた。そのまま意識を失う直前まで頭はレヴィのことでいっぱいだった。露わになった胸の景色や、触った感触が思いだされたけれど、むしろレヴィの瞳が頭から離れなかった。自分の思考と感情をざわつかせるものがあった。けれど、それに名前をつけることはできなかった。
次の日の朝、ユーノはやかましい呼び出し音で起こされた。相手はなのはで、久しぶりに見た本気で怒ったときの表情だった。