射精したというのもあるが、ママ、と言われてユーノの頭が急速に覚める。
「待ってレヴィ、ぼくは、そんなつもりじゃ」
「いいよ、ユーノ。今日だけユーノはボクの子供。ママって呼んで! 」
レヴィが妖しく笑う。淫魔の笑みを浮かべたレヴィを止めることはできないとユーノは知っていながら、抵抗を試みる。すでに何度も身体を交わらせ、経験も豊富になったとはいえ、こうなったレヴィに捕食されそうになったことは二度や三度ではすまない。レヴィとのセックスは、その最中に死んでもいいと本気で思わせる快楽地獄であり、命がけのものなのだ。そしていつもと違って、親子イメージプレイなんて始めて夢中になってしまえばユーノの寿命がみるみる縮んでくのは目に見えている。何となくユーノはこのプレイに自分がはまりそうな気がしていた。
「だめだよ、こんなの。そもそもレヴィはママじゃないし、その、対等な関係で……」
「ママじゃない? じゃあ、お母さんって呼びたい? いいよ。今日のボクは、ユーノのお母さん! さあ、『おかあさん』って呼んで! いっぱいいっぱい、いい子いい子してあげる!! おっぱいはいっぱいあげるし、おちんちんだって気持ちよくしてあげるよ!」
「あう……か、かあ、さん……」真正面からレヴィの目に覗きこまれたユーノは、何かいつもとは違う瞳の輝きに魅了されているのを感じた。ユーノは実母の面影を何も覚えていない。声も形も知らない。スクライアに拾われたみなしごは、自分を拾ったスクライア全体を家族としていた。彼は『姉』や『おばさん』の母乳で育った。母を必要と思ったことはなかった。でも今、目の前にいて、手に入るなら。何をしても許してくれて、癒してくれて、慈しんでくれて、愛してくれる、そんな存在が、いまそこにいるのなら。
「だいじょうぶ。いい子いい子。射精させ過ぎたりもしないよ。いっぱいいっぱい、気持ちよくしてあげるだけだから、ね」レヴィが笑う。慈母と淫魔をごちゃ混ぜにした誘惑の微笑みとユーノは知って、心を許す。彼女がたとえ淫魔だろうと、母なのだから。
「かあ、さん……おか、あさん」
レヴィの胸にしがみつく。いまだほとばしる母乳を吸いこむ。甘い香りに包まれ、舌に甘い味を感じ、顔は優しい胸のふくらみを感じ、頭は優しい掌になでられる。天国がそこにあった。そして股間の肉棒は絶妙な指の動きに優しく刺激され、再び血流がめぐり、興奮と快楽がめりめりと固くそそりたつ。
「ふあ、ちんちん、また固くなっちゃった」
「いいよ、ユーノ。気持ちよくなって……いい子いい子、しーこしーこ」
いつも力任せに思えるレヴィの指は、こんなに繊細に動いたのか。疑問に思うこともなく、ユーノは快楽に身を任せる。亀頭を責めすぎないやりかたは焦らすようでもあり、じんわりと芯にしみこむような快楽でもあった。
耳に聞こえるのは、ぴちゃぴちゃと音がするのは母乳を吸い込む音、それから、レヴィの静かな吐息の音だけだった。いつもの激しいセックスと違って、静かで穏やかだった。やがて何ともしまりなく、ユーノは射精してしまう。我慢も抵抗も何もなく、心地よさにつつまれるうちに射精し、全身で脱力と快楽を味わう。レヴィが耳元でささやく。「いい子いい子。お母さんの手の中でどんどん、射精していいよ。おっぱいももっともっと、吸っていいよ」
こんなに安らかな交わりは初めてだった。レヴィの手の中で再びユーノは勃起する。何分たったか、何秒たったか、何時間たったかわからない。三度、ユーノは快楽の波に身をゆだねて射精する。
「んあ、あ、ああ」魂が逃げるのを止めるように、ユーノは声にならない声をだす。レヴィの指が楽器を奏でるように、肉棒を刺激する。もう何度繰り返されたかわからないのに、興奮もまったくないのに、人差し指でやさしく竿をなでられただけで、全身に優しい快楽がいきわたった。失った魂を補填するために母乳を吸い出し、呑み込む。その味を味わううちにまた快楽が全身にしみこむ。気が付けば四度の射精。なお意識はとぎれず、一瞬で勃起する。そしてまたレヴィの指が竿を這う……
「んん!」重たい泥に沈んで途切れかけた意識を振るいたたせ、ユーノは身を起こす。
「どうしたの、ユーノ?」
「かあ、さん、ごめんね、おちんちんがね……」
「いいよ。おかあさんの中にいれてあげる。おまんこで気持ちよくしてあげる。いっぱいいっぱい、射精させてあげるね、ユーノ!」
ユーノは必死で頭を動かす。主導権を取り戻したかった。筋肉に無理やり力をいれて、レヴィと身体をいれかえ、押し倒す形になる。
「い、いれるよ」
「きて、ユーノ」
えいや、と怒張をレヴィの中に差し込む。どういうわけか、いつもたっぷりの蜜で濡れそぼったそこはユーノの固くなった肉茎をスムーズに受け入れた。そして、また麻薬の壺に全身を浸したような、天井知らずの快楽がユーノに襲い掛かる。
「あっ! かはっ!! レヴィ!!!」
「だめ、かあさん、って呼んで!」
「レヴィ! ……レヴィ!! あ、あ、レヴィ!!!」
「かあさん、って、呼んでよお、ん、あん、あん、ユーノ、呼んで、かあ、さんって、んん!! 呼んで!!!」
涙を浮かべるレヴィの頼みを断ることはユーノにはできない。一度は取り返した主導権を返すことになると知りながら、ユーノはレヴィに従ってしまう。
「かあ、さん! かあ、さん!! 好き! 大好き! あ! あ! 気持ち、いいよお!! かあさん! かあさん!!」
「ふふ、ユーノ、いい子、あ! あん!! いい子、いい子! ~んんぁぁぁあああ!!!」
「いく、いくっ!! いっちゃう!!! かあさんの! 中に、いっぱい、いっぱいいっぱい、でちゃうううう!!!!!」
竿が震え、ユーノの魂が噴出する。
「はっ!! あっ!!!!」
ユーノは飛び起きる。レヴィの部屋をノックしたのは昼前だった。窓の外には星の海。すっかり夜になっていた。
そこはユーノの部屋で、いつの間にか着替えもさせられていた。ベッドから半身を起こして、軽い頭痛を散らすように頭を振る。
「あれ? ゆ、め、だったのかな」
だが身体の疲労感は本物で、最近は避けている激しいセックスをした後のようだった。
「よかった! 目が覚めたのですね!!」と誰かが声をかけてくれる。誰かと見れば、それはユーリだった。
「あれ、ぼくは一体」
「ごめんなさい! わたしとイリスの作った薬のせいで、こんなことに……」
話を聞くと、やはりレヴィの母乳はイリスとユーリの研究結果らしかった。乳牛の生産性改善のために研究していたらしいのだが、まさか人が飲むとは思わなかったとのこと。ユーノとレヴィは、6時間におよぶ性交で、白濁液の中に沈んでいたらしい。普段から冒険にでかけることもあるユーノとレヴィなので、昼食にでなくとも放っておかれたのが、発見が遅れた原因とのことだった。
「あんな声だしてたのに、みんな気が付かなかったのか……」
「けっこう、研究に没頭したりもしてますからねえ。シュテルは図書館にいましたし、ディアーチェも外で私たちと仕事をしてましたから」
「レヴィは?」
「ディアーチェたちに怒られて、いまは自分の部屋を掃除しています」
「アハハ……これにこりて、もう、変な薬には手をださないといいんだけど」
「ええ。レヴィの手に届くようなことは、もう絶対ないようにします。あ、シュテルも、豊胸になるかもしれない、なんて言ってましたが、どんな結果になるか予想もつかないから、と厳しく言っておきましたから」
「シュテルもなんだ。うーん、シュテルは思い詰めるとけっこう暴走するかことがあるからなあ」
「とにかく、ユーノは今日はゆっくり休んでください。何なら、明日も休んでいいですよ」
「うん、ありがとう。さっきまで寝てたはずなのに、まだまだ眠いや。少なくとも今夜はぐっすり寝て、休むことにするよ。悪いけれど、レヴィやみんなには謝っておいて。今夜は相手ができなくて、ごめん、って」
「わかりました。ユーノさんは優しいですね」
ユーリは天使のように微笑んだ。月光に照らされて、神々しさすらある微笑みだった。だからユーノは、なぜいつも慎重なはずのユーリが薬をおきっぱなしにするようなことをしたのか問うこともせず、意識を手放し、夢の中に旅立つのだった。
これにて母乳は終了です。
こんな感じでよかったでしょうか。。。