哀れ犠牲者が私だったとは
涙がぽろん、ぽろん、ぽろーん♪ 呪いをかけましたー
◇◇◇どんとちゃん、どんとちゃん、どどどどどど、どんとちゃん♪◇◇◇
俺達一行は、ポールおすすめのウォードを仲間に加えて旅を始めた。
はっきり言って、ウォードはどうでも良い奴だった。
「捨てる神あれば拾う神ありだよ、兄さん、感謝するぜ!」
すごいどうでも良い。
現在の仲間は、俺、ババロア、ノーラ、ポール、詩人、ウォードの六人になったわけだ。
ちまちまと魔物を退治しながら職人集めをしようと言う事になったわけだが、
職人はあっという間に揃ってしまった。
工房は見習いのケーンと職人1・2号の三人が武器開発。
職人3・4・5号が防具開発で活況を呈した。
ならば、次は女だ。女を集めないとな。
実は、自称トルネードと旅をしていた時、ランスの町で若い女を見かけたことが有るのだ。
金髪ポニーテールの派手目のやつだ。あれを仲間に加えない手はない。
◇◇◇くらりくらくら、くーらくらー♪◇◇◇
ランスの町でポニーテールを揺らして歩く若い女に声を掛けてみた。
「そこの娘」
「あら、デビン」
何故か女は俺の事を知っていたようだ。
「仲間にならないか?」
「うん、良いよ。あれ? でも満員で入れないみたいね」
満員? なんだそれは。まあ良い。要らない奴をパブで処分すれば良いだけの話だ。
まず第一に、すごい要らないウォード。
第二に、やはり要らない詩人。
第三に、実は要らないポール。
よし、この三人を外すか。
◇◇◇パブにて◇◇◇
「おい、親父」
「へい、なんでがしょ」
「外したい仲間が居るんだ。あいつとあいつとあいつな」
「すいません旦那、男は専門店でお願いしてるんで、うちじゃー無理ですね」
なんだ専門店って。聞いたこともないぞ。
「じゃあ、その専門店はどこだ」
「あっしの口からはちょっと」
どこの町のパブに行っても専門店でとお断りをされてしまった。
そして、その専門店とやらが見つからない。
ニヤニヤしながら詩人が近づいてきた。
「如何されましたかな? デビン殿」
「お前たち男を外す専門店のパブが見つからないのだ」
「では、あの四魔貴族を倒すしかありませんな」
「馬鹿を言うな! アラケスなどと戦えるか」
「覇道を目指す英雄であれば、いずれ倒さずにはおれませんぞ」
「冗談ではない! それに専門店とアラケスに何の関係が有ると言うのだ」
あの時は自称トルネードと二人だけの無謀な戦い。
その上、あの部屋に裸で放り込まれた。トラウマだ。
仲間を集めて準備し、強くなれば行けるか?
いやいや、とんでもない話だ。
俺達は小悪党。今の仲間も英雄の仲間なんて器じゃない。
ノーラだけは職人ならではの腕力と器用さで行けるかもしれんが。
ババロアを見ろ。ポールを見ろ。詩人にウォード。
俺なんてほぼゾウだぞ、ゾウ。
器用さ10の小剣使い、小剣の威力は器用さ依存。
それが10と低くではどうしようもない。
俺と詩人がもめているとノーラが近づいてきた。
「どうしたんだい? あんた達」
「ああ、仲間の枠が満員でな。男を外すには専門店に行かないとイケないんだが。
その専門店が見つからないのだ」
「あたしが外れても良いよ」
「なぜ、お前を外す必要がある」
「いや、あたしも職人集めて貰ったばっかりで外れるのは悪いと思うけど。
でも、工房があんなに活気立ってると、どうしても気になるじゃない?」
「むむむ、道理ではあるか」
「ねぇ、ゾウの旦那。頼むよ。あたしが必要なときはいつでも仲間になるからさぁ」
「本当か? やりたくなったら何時でもやれるのか?」
「まったく、もうちょっとデリカシーってもんがモテないかね。
ああ、そうだよ。夜のお相手もちゃんとするさ」
ノーラが先発エースでは無く、中継ぎに回る事になるのなら、
小癪な詩人の思惑も外れよう。
俺はしぶしぶノーラを外し、ランスの町に向かった。
◇◇◇くらりくらくら、くーらくらー♪◇◇◇
「そこの娘、我が旅路を助けよ」
「うん、良いよ」
どれどれ、この娘はエレンと言う名前か。
シノン開拓民エレン20歳、LP10
腕力21、器用さ14、素早さ18、体力15、魔力15、意志18、魅力20
腕力と魅力がなかなかであるな。
俺がほぼゾウでなかったら、この魅力にメロメロになっていたかもしれん。
多少の意志の高さからくる、小生意気な感じも年齢差を考えればプラス要素だ。
種族の違いで皆同じ顔にしか見えないから、魅力の違いは気にならない。
逆に、そこは残念な部分であるかもしれない。まあ良い。女で有れば良いのだ。
さて、再び六人の満員になったわけだが、これは嬉しい事でもある。
魔物との戦闘は五人で陣形を組んで戦うので、一人余る。
余った所にババロアを入れられるからだ。
魔物との戦闘に12歳の小娘を入れたくないのは事実。
今の俺はほぼゾウとは言え、息子を持つ身だ。
ババロアは美少女戦士などと遊んでいてくれた方が、よほど心の滋養となる。
そこで俺達は新入りエレンとの戦闘連携を確認すべく、西の森に向かった。
あそこならば、俺は合間合間に森の葉っぱをパクつける。
よって、空腹による野獣化で不覚をとる心配がない。
◇◇◇ポワパーパープァーパーパパパー♪◇◇◇
陣形デザートランスの先頭にエレンを置き、
お尻を眺めながら夜の格闘技に付いて考えニヤニヤしていたのだが、
ふと違和感を感じた。エレンは斧技をあまり持っていないからだ。
俺もそうだ。槍・小剣レベルが高いから小剣を使っているのだが、
槍を変えるべきか、いっそ体術を育てた方が良いかもしれない。
「おい、エレン。お前は斧より体術の方が強くなるんじゃないか?」
「え、体術?」
「どうだ、俺と一緒に鍛えて見ないか」
「嫌よ。嫌々、なんで女の子に魔物との戦闘で素手の体術やらせようとするのよ」
「合うと思うんだけどなー」
「おやっさん、俺は俺は?」
「ポールか、お前は何でも良いんじゃないか」
「扱い雑だなー。さっきからエレンの尻ばっかり見てるし」
「ええっ、そんな理由であたしが前衛だったの?」
俺が葉っぱをもしゃもしゃして居る間中、エレンはこぼしていた。
「なんであたしに寄ってくる男って変なのばっかりなのかしら。
ユリアンなんて、言ってることが本気に聞こえないから、ちょっと言い返しただけなのに。
すぐにお姫様の方に行っちゃってさー。
デビンだって、無理やりランスの町に連れてきたくせにほったらかしにするし。
久々に会ってお尻見てるんなら、なんでほったらかしにしたのよ。
あーあ、どこかにあたしの王子様、居ないかしら」
何の話か分からんが、俺に気がない訳ではないらしい。
今夜から宿で一杯相手してやるから、楽しんでくれ。
「さて、今日は上がりにして宿に泊まるか」
「おお、アリガてえ。おいら腹減っちまったよ」
「兄さんみたいに森の葉っぱは食えねーもんな」
◇◇◇てーってれーてれってれってるー♪◇◇◇
今宵はキドラントの宿に泊まることにした。
ベッドが全員分あるし、店主がババアで耳が遠いのか少々騒いでも問題ない。
まあ、どこの宿屋でも大騒ぎしてきたので、今更ではあるか。
「さあて、エレン。お楽しみの時間だ」
「えっ、何? ちょっとやめてよ。みんな顔怖いよ」
「ババロア頼むぞ!」
「キャンディーよ、美少女戦士キャンディー!」
「ああ、キャンディー頼んだ」
「じゃ、ポール。行くわよ!」
「ちょっと待った、ここはもう一人の新入りウォードで!」
「じゃ、ウォード行くわよ構えて!」
「えっ、構えてって大剣で良いのか?」
俺はキャンディーに合わせて地団駄をタンタン踏んだ。
「美少女ビーーー」
◇◇◇ピコーン、無形の位! ぎゅるぎゅるぎゅるぎゅるぎゅる◇◇◇
ウォードはくるくる回って美少女ビーを部屋中にまき散らした。
「ちょっと、何なのよコレ! 何の儀式なのよ!
ポールポール、詩人さん詩人さん!」
「エレン殿、あなたは英雄に選ばれし名誉な役割を得たのです。
さすれば、このお役目はほにゃららふにゃふにゃ~」
詩人が何やら説明しようとしている間に、来たぞ。来た来たドロドロタイム。
「お願い、辞めて来ないで。皆で私の事を襲うつもりだったの?」
「心配するな、お前の相手は俺だけだ」
「嫌よ嫌、わたしまだなのよ。初めてなのよ、それがこんなのって無いわよ!」
「なに、初めてか。ではお前が俺に慣れるまではスマタ―にしてやろう」
「えっ、嫌々いやー! もうお嫁にいけない!」
「俺のもとに来ればいいではないか」
「そんなっ、まさか本当に?」
「ああ、もちろんだ」
「大事にしてくれる?」
「ああ、今もこうして大事にしているではないか」
スマタ―と言えどもドロドロ中で体中べったり。雰囲気などあったものではない。
が、もう一押しで落とせるかもしれない。しかし詩人がしゃしゃり出てきた。
「エレン殿! とんでもない事ですぞ、スマタ―など!
英雄殿の情熱と熱意、愛を受け止めないとは!」
「嫌、やっぱり、いやー!」
この詩人めが。なんで上手く行きそうなところで邪魔をする!
初日の夜は詩人を吹っ飛ばしてお開きとした。
◇◇◇二日目の夜◇◇◇
俺はドロドロ状態からエレンのスマタ―に押し付けてしっかりとエレンを抱きしめた。
今回は動いてタンタンしない。
「エレン、エレン」
「お願い、もう許して」
「エレン、エレン、可愛いエレン。俺が動いていないのが分かるか?」
「うん」
「ドロの状態は動かなければ早く収まる」
「そうなの?」
「可愛いエレンに辛い思い悲しい思いをさせたくは無いからな」
「でも」
「分かるぞ、ただこうして抱きしめることは許してくれ」
「………。」
「お前は言葉だけでは満足いかないのであろう?
こうして抱きしめておれば、我が心も深くまで届くと言うもの」
「もうほったらかしにしない?」
「しないしない」
「わたしだけを見てくれる?」
「もちろんだ」
「わたしだけを愛してくれる?」
ノーラとはやりたい。すごくやりたい。とてもやりたい。
また違う味が有るからな。
ただし、息子とふざけて遊び過ぎ、嫁に逃げられたことが有る身。
二度と嫁には逃げられたくない。
それを思えば、エレンだけに愛を注ぐに躊躇は無い。
この思いを噛みしめている間に詩人に付け込まれてしまった。
「エレン殿、英雄を独り占めとはとんでもない事でございますぞ!
そもそも、英雄の愛とはうんぬんかんぬん!」
「やっぱり、いやー!」
二日目の夜も詩人を吹っ飛ばしてお開きとした。
◇◇◇三日目の夜◇◇◇
宿への帰りの道すがら。詩人はエレンに説教をしていた。
もちろん、俺は何度も辞めろと詩人に言ったのだが、
詩人はしつこくしつこく説教を続けた。
ババロアが俺の袖を引っ張り、寄って来た。
「今日は辞めようよ、あたしも我慢するからゾウさんも我慢して」
「そうだな、詩人のやつが邪魔している間は辞めた方が良いな」
「本当に? ゾウさん、えらい! えらい!」
「でも、詩人は吹っ飛ばしてやろうな」
「うん、あはははは!」
宿に着いてエレンに話しかけようと思ったのだが、
エレンの方から思いつめた様子で近づいてきた。
「あたし、妹が居るの知ってるでしょ」
「ん? 妹?」
「多分、まだピドナに居ると思うの」
「ふむ」
「あの子って地元の女の子の中で可愛いって評判だったのよ」
女性が可愛いって言う女ってのは男にとって地雷臭漂うあれか。
いやまあ、20年30年一緒に過ごすと分かってくるものかもしれんが。
「あたしにはこんな酷いデビンでも、あの子には本当の愛を。
愛を証明する過程をしっかりと示したくなると思うの」
あれ? こいつ妹を売ってるのか?
「本当に可愛いのよ。みんな言ってるし。
あたしの事、気にいるような人なら妹はもっと気に入ってくれると思うの」
やっぱり、妹を売ってるな。
エレンが落ちそうな感じがしたのはストックホルム症候群的なあれか?
いや、詩人が悪いだけか?
「で、妹を俺に紹介するのだな」
「う、うん」
これはチャンスだ。妹を売るような姉はお仕置きしても構うまい。
遠慮は無用だな。好きにやってやろう。
今夜はババロアとの約束が有る。
でも、その後は、ふふふ。
とりあえず、妹の顔は見ておくか。
「では、明日。その妹の所に行ってみるか?」
「あたしを外してから妹の所に行くって形でも良いよね?」
「お前が言い出したことだ、お前が紹介せい」
「う、ぐっ。わかったわ」
三日目の夜も詩人を吹っ飛ばしてお開きとした。
◇◇◇どんとちゃん、どんとちゃん、どどどどどど、どんとちゃん♪◇◇◇
俺達はエレンの妹が居るピドナに向かった。
妹は、商家で伯父に商売を学んでいるトーマスと言う幼馴染について行っているらしい。
「サラ、久しぶり。元気にしてた?」
「あ、お姉ちゃん」
ふむ、サラと言う名前なのか。
金髪ポニーテールのエレンと違って若干、いや、かなり地味な印象だ。
女の子が友達と一緒に始めた時に、
『あら、この子(地味で)可愛い』
『本当だ、可愛い(地味で)』
などと言って主人公に選ばれてしまうタイプかもしれない。
一人で始める時ならば、ミカエルやモニカでやりたかったのだろうに。
我慢してラストまでやると、
突然の展開にコントローラー投げられることだろう。
俺が余計な事を考えている間に、姉妹喧嘩が始まった。
「あー、お姉ちゃん! また私の事仲間はずれにしてる!」
「なんでよ、そんなことして無いわよ」
「だってほら、あんなに仲間連れちゃってさ、あたしも入れてー」
「サラがトーマスについてっちゃったからこうなってるだけでしょ。
それに今は満員なのよ」
「入ーれーて―、入ーれーて―!」
「兄さん、これって」
「ウォード、お前想像したな」
「はは、ははは。想像力って大事なんすよ」
「こ、後学のために、ここはしばらく見ておいても良いですよね。おやっさん」
「ポール、お前もか。いや、うん。好学は大事だな」
「お姉ちゃんだけ入れて貰ってるなんてずるいずるい!」
「だから、サラも入れてもらうために会いに来たんでしょ」
「じゃあ、早く早く入ーれーて、入ーれーて!」
心配したのかババロアが寄って来た。
「ねえ、喧嘩してるよ。止めないの?」
「うるさい、俺達はお楽しみ中なんだよ」
「デビン殿、遊んでいる暇は有りませんぞ!」
ちっ、詩人め。格好つけやがって。
まあ良いか。見てるだけではつまらんし。
「おい、エレン。行くぞ」
「あ、うん。サラ、すぐに来るから待ってるのよ」
「あー! やっぱり仲間外れにー!」
エレンからサラを引き離すのには大いに苦労させられた。
商家の連中はこんなサラを見たことが無いらしく、驚きながらも手伝ってくれた。
商家を出て一息つき、すぐに宿でエレンにお仕置きをするか、
西の森で準備運動してからエレンにお仕置きをするか迷った。
うーん、鉄は熱いうちに打て! か?
しかし、ウォードが鼻の下を伸ばしながら近づいてきた。
「兄さん、あの子。仲間に入れるんでしょ?」
俺は、エレンにお仕置きしたいんだがな。
「あの子はすごい才能ありますって、俺が保証しますから」
「面倒くさいだけだろ」
「そんなことないわ、ウォードさんの言う通り才能だって色々あるはずよ」
「んー?」
エレンの体を嘗め回すように見てやると、エレンは自分の体を抱きしめるようにして後ずさった。
「兄さん兄さん、いや、アニキ。俺が手を出したいって訳じゃないんですって、
本当にあの子には光るものが有るんすよ」
ふーむ、このウォードは趣味人かもしれんな。
何らかの風流を解する者。
これから便利使いするならば、ここは意見を聞いてやっても良いか。
すると、エレンは逃がさなくてはならないのか。
いや、逃がした魚はまた釣ればいい。
パブでエレンを外すと、エレンはぴょんと飛び上がったのち、
野盗のごとく走って逃げた。
さて、サラだ。
商家に戻ると、また来たのかと嫌な顔をされたが、そんなことはどうでも良い。
「サラ、仲間になるよな」
そそくさと仲間に入るサラ。
どれどれ、ステータスを確認してみるか。
シノン開拓民サラ16歳、LP10
腕力18、器用さ19、素早さ21、体力13、魔力20、意志11、魅力21
「おぉ、スウィートシックスティーン。本物だ」
ウォードのやつものぞき見しているな、嫌らしい奴め。
腕力、器用さがそこそこ。素早さ、魔力に魅力がかなり。
ふむ、魅力は20のエレンより上なのか。
これは地味地味言って悪かったな。
「スウィートシックスティーンですよ、アニキ」
「あん? 何言ってるんだ?」
「だから、体の内部の変化が落ち着いて、いよいよ女の体になっていく。
ほんの一歩手前のスウィートシックスティーンに決まってるじゃないですか」
ん? あっ!
16歳。未成年。これはR-18だぞ。
18歳以上限定なのに駄目じゃねーか。
エレン逃がして大損だぜ、まったく。
「あれ? お姉ちゃんは?」
「エレンか、逃げていったぞ」
「なんで!? やっぱり、お姉ちゃん私の事仲間外れにしたのね!」
「まあ、そう言うことだな。しかし、お前に用はない。パブで仲間から外すから付いて来い」
「いやー、離して! 私、仲間から出る!」
「だから、そうするって言ってるだろ!」
「出してー、出してー! お願い、出してー!」
我ら三人お楽しみ部隊、今度のサラの大騒ぎには楽しんでなどいられない。
またも商家の連中に手伝ってもらう事になった。
サラは騒ぎまくり、暴れまくるので、抑える俺も無駄にタンタンさせられてしまった。
パブへの道中、ババロアのビーが必要となり辺りを汚しまくった。
サラを外した後、パブの前で商家の連中に説教されたのは言うまでもない。
◇◇◇てーってれーてれってれってるー♪◇◇◇
「いやー、酷い目に遭いましたね。アニキ」
「お前がスウィートシックスティーンとか、訳の分からない事言ってたせいだぞ」
「たはは、人の成長って個人差有るじゃないですか。
あれほど完璧なスウィートシックスティーンは中々お目にかかれないほどのモノだったんで」
「あいつ、意志11とか弱かったよな。なんであんな強情だったんだ?」
「そりゃ、あれですよ。
エレンにべったりくっ付いてて、なんでもエレンに決めて貰ってたんじゃないすかね」
「決めてもらうのはエレンだけってことか?」
「です。で、ですね。エレンと一緒ならサラも素直になるんじゃないかと」
「あんなのまだ仲間に誘うつもりかよ」
「いやー、専門家の血が騒ぐってか。あの子すごいっすよ」
エレンとサラを同時に入れるには誰か男を外さないといけないんだよ。
そして専門店が見つからないから男が外せないんだ。
それで困ってると言うのに。
ババロアは外せない。ババロアを外すと俺の理性が保てない。
理性が野生に取って代わられれば、退治される対象になってしまう。
「ふん。しかし、エレンか。あいつにはお仕置きが必要だな。どこに逃げたものだか」
「こういうのは初めに見つけた所から探すのが良いんじゃないすか?」
◇◇◇くらりくらくら、くーらくらー♪◇◇◇
エレンはランスの町をうろついていた。
馬鹿な女だ。折角逃げられたというのに。
エレンも俺達に気が付いたらしい。
ぴょんと飛び上がって、野盗のごとく逃げ始めたからだ。
「ポール、ウォード回り込め!」
三方から追い込まれてはたまるまい。
俺達はエレンを町の隅っこに追い詰めた。
「いや、あっちに行って」
「妹を売るような姉にはお仕置きせねばな」
「お願い、お願い許して」
「さーて、どんなお仕置きが良いのかなー」
「助けて―! 強姦魔よ! 人殺しよー!」
「そんな事はしないさ。さあ、こっちに来い」
「いや! 誰かー! 助けて―!」
「良いから、仲間になれ!」
「うん、良いよ」
輝く笑顔でそそくさと仲間に入るエレン。
「はぁっ?」
「ええっ、なんで!?」
町の連中が何事かと近づいてきたが、仲間同士のじゃれ合いと分かり散っていった。
しかし、どういう事だこれは?
仲間に入って来たエレンも呆然としている。
ランスの町にパブが無いので面倒くさいが、
ユーステルムの町に行ってエレンを仲間から外してみた。
「逃がしてくれるの?」
「どーかな」
エレンはぴょんと飛び上がったのち、野盗のごとく走って逃げた。
そして再びランスの町。居た、エレンだ。
もちろん捕まえた。
「どーしてよ、逃がしてくれたんじゃなかったの!」
「お仕置きがまだだろうが」
「本当にお願い、ごめんなさいごめんなさい。謝るから許して!」
「仲間になれ」
「うん、良いよ」
うん、良いよ。うん、良いよ。うん、良いよ。
なんとイカガワシイ響きだろうか。
何故かウォード曰く専門家への手掛かりが見えた気がする。
ん? 専門家?
そうか、専門店は本物の専門家になれば見つかるんじゃないか?
よし、エレンのキャッチアンドリリースを極めてみよう。
ひとしきりエレンのキャッチアンドリリースを繰り返した後、
その日はピドナの街へノーラを抱きに帰った。
折角、体力馬鹿、狂気の英雄を手配したと言うのに、何を迷走しているのでしょうか。
コントロール役のババロア。
導き手の私。
技さえ与えれば何でもござれのノーラ。
技の閃き魔人ポール。
資金確保で無刀取りさえ覚えさせれば、後は無用のウォード。
五人目までは入れ替え不可の呪い。
この最強の布陣に死角は無いはず。
飛躍の時までは我慢、我慢、我慢。
ぽろん、ぽろん、ぽろーん♪