ファム・ファタール~寝取らせモノが大好きな剣士が異世界転移した場合~ 作:幻闇
「なにこれ美味しい! 見た目は凄くアレなのに凄い美味しいよ!」
「なんか予想と大分違うモンが出てきたけど確かにうまいな」
揺籃炉を管理する魔導人格。半ば暴走しかけていたそれが炉心に宿る神の欠片を用いて顕現した超存在クトゥグア。そのほんの断片。
想像を絶する力を持つかの存在を討滅せしめた黒斗と麟華の二人は今、魔導移民船フォーマルハウトが誇る食堂区画にて食事を楽しんでいた。
そして、魔導人格によって拉致されていた住民たちの解放も無事に終わっている。囚われていた人々は宇宙に飛び立つまでの間を混乱せずに過ごすために一時的に眠らされていた為、攫われていた間の記憶はない。空白の期間を不思議に思いながらも日常に戻っていく事だろう。
「かつて我らが暮らしたレムリアの母星。超大陸ムーの南西部にあるモーリア地方の名物として有名なアンギルアグナ料理です。ふふ、確かに独創的な見た目ですが、とても美味しいでしょう。生前の私の大好物なのですよ」
立体映像として投影された神秘的な美女。フォーマルハウト全体を統括する魔導頭脳エイネスが、片手で口許を優雅に抑えつつ二人に説明をしている。
紫がかった粘着質の餡がたっぷりと掛けられた握りこぶし大の目玉……の様な何か。恐る恐るフォークを刺してナイフを入れると、柔らかい霜降り肉の様に刃先が沈んでいくそれを、恐る恐る口に運んだ二人であったが、その奇妙にして芳醇な味わいの虜となるのは一瞬であった。
「よくわかんないけど美味しいね! これがエイネスさんたちの故郷の味なんだね」
「アンギルアグナってなんだ? そもそも目玉っぽいけど生き物なのか? 美味いけど正体がわからないからちょっとアレだよな……美味いけど」
「ふふ、元々はその地方に住んでいた家畜の目玉なんですよ。体中に100個ほどの目玉がある生き物でして、元々はそこまで多くなかったのですが、目玉が美味しいので品種改良を繰り返して増やしたんです。ちなみに今はもう存在しませんので、こちらは精巧に味と見た目を似せた有機合成素材で作られていますね」
「目玉多すぎだろ……。まぁでも俺の故郷でも家畜の品種改良はされてたしな」
「他にも作れるの?」
「勿論です。我らの故郷の様々な素材や、勿論この星の素材なども作りだせますよ。現生人類の皆様方が親しんでいる料理も作れないといけませんからね」
このフネが本来の役割、すなわち人類種を保護して外宇宙に避難させる際に、彼らに与える食事は重要だ。かつてのレムリアの様々な料理は当然として、現生人類が育んだ食文化も定期的な文明観察によって艦内のレシピデータに常時追加されているのである。漂流者が広めた地球の食文化も合わせれば、このフネには実に三つの惑星の食文化が揃っている事になる。
「つい我らの食文化も伝えたくてこちらをお出ししてしまいましたが、何かリクエストがありますでしょうか? どんな料理であろうとご用意させて頂きますよ」
「わーい。じゃあ激辛カレーと分厚いレアステーキと色んなお刺身と大きなオムライスと餃子と硬めに炊いたご飯と美味しいお酒をたくさん!」
「偏ってるなぁ……。俺は折角だしレムリア料理をもっと食ってみたいな。あとは違う大陸の珍しい料理なんかあれば頼みたい。米と酒は俺も欲しいが……こんなにご馳走になってなんか悪いな……。麟華は死ぬほど食うし、材料とか大丈夫か?」
「はい。喜んで用意させて頂きます。この程度ではお返しにもなりませんよ。そして……見くびってもらっては困りますね。このフネの食堂区画は30億人分の空腹を満たす為に設計されているのですよ?」
「それは……凄まじいな。流石の麟華も30億人分は……食えるかもしれないのが恐ろしい所だが」
「んなわけないじゃん! 無理に決まってるでしょ!」
黒斗の冗談にすかさずツッコミをいれる麟華。二人の息の合った夫婦漫才に思わず周囲に笑いが漏れた。食事をとれるのはナイを含めた三人であるが、エイネスとアルティマ、キュクレインらの三人も卓を囲んで麟華の健啖ぶりを微笑ましく眺めていたのだ。
そして、リクエストをして数十秒と経たずに食卓の上に現れていく料理の数々に黒斗らの感嘆の声が上がった。僅かな時間で出来上がった料理は空間的に隔離されて完全な滅菌処理が施された調理室から、亜空間転送により即座に運ばれてくるのである。
ほかほかと湯気を立て、暴力的な香りをまき散らす魅惑的な料理たち。黒斗と麟華は行儀作法にうるさい和の食文化で育ったため、平らげる速度こそ驚異的だが所作そのものは美しい。そしてナイも、紳士的な見た目に違わぬ上品な動きで食事を楽しむのであった。
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「美味しかったー! ボク、完全復活!」
「なんだかんだ100人前は食ったな。まぁでもそれくらいで全快するならコスパは良いのか」
「美味しいご飯だから余計にね。美味しくない物だとなんかあんまり栄養にならないんだよねー……不思議」
「神は欲望を糧とします。麟華様の場合は性欲と食欲でしょう。対象が好みのソレであればより糧として上質なのは当然ですな」
「なるほどな」
ナイの言葉に頷く黒斗。邪神を討滅する以前は食事による栄養摂取によって再生力が高まっていた麟華であったが、最近は少し様相が違っていた。黒斗との睦事や寝取らせによる浮気行為、定期的な輪姦行為などを行った後はやけに肌艶が良くなり、その身に宿す神気が高まる事があったのだ。
(つまり今は食事のみならず性行為でも回復するし強化されると……もう完全にサキュバスでは? いやそれ以上のバケモノだな……)
妻の恐るべき生態が明らかになり、内心でおののきつつ冷汗を垂らす黒斗であった。
「さて、麟華様。ここで一つ貴女様に尋ねたい事があります」
「ん? どうしたのナイさん。急に改まって、ボクを抱きたいならいちいち聞かなくても何時でも前戯無しでズブッと即ハメレイプ大歓迎だよ?」
食後の弛緩した空気を律するかのような、神妙な雰囲気を纏ったナイの問い掛けにいつもの調子で応える麟華。あまりにもな対応にエイネスを含めた英霊たちですらも唖然としている有様である。ちなみに黒斗は慣れているのでまったく動じずに食後の茶を味わっていた。
「いえ、紳士ですのでそういう事は致しません。理を外れし神──真なる外神に成る気はありませんか? 揺籃炉の余剰エネルギーがあれば、今の貴女様には容易な事なのですが」
至極真面目に言い放ったナイの爆弾発言に、尋ねられた当人よりもむしろ激烈な反応を示した者がいた。ちなみに余剰エネルギーとは、クトゥグアの欠片を討滅した際に炉心に蓄えられた莫大なエネルギーの事である。放置すれば炉心が暴走してしまうために、早急な対処が必要となっていたのだ。
「えええええっ! 神とはそのように人がたやすく成れるものなのですか?」
「たやすくはありません。私の加護を受ける適性があり、神へと成り上がったエイリアンを喰らい、そして真なる外神たるクトゥグアーの権能すらも喰らった麟華様であればこそです」
「マジかよ……ついにマジモンの神か。俺の嫁さんヤバすぎだろ……」
始祖の死から間もなく英霊として創り出され、魔導船が建造されてからは管理人格としてこの星を見守ってきたエイネス。彼女にとって外なる神とはまさに手の届かぬ上位次元存在そのものであった。
彼らを模造し、けれど遥かに劣化した存在しか造り出せなかった
当時最新鋭の戦闘艦千隻で構成された航宙師団を半壊させつつも、辛うじて回収できたとある宙域に漂っていた神の欠片。
【終末】に際し、惑星と旧人類に致命的な大変容を齎した、夢見るままに怠惰を貪る創造主の種子。
彼女にとって外なる神とはたかが一つの文明ではどうしようも出来ぬ超存在だ。ナイに関しては、その神性のごく一面のみであり、なおかつ理知的で会話が可能な人間の見た目と言う事もあり抵抗は少なかったのであるが……。現生人類の一人である麟華がすぐにでも成れるという事態にいささか以上に動揺してしまったのである。
ややあって、なんとか落ち着きを取り戻したエイネスであったが――。
「いやー。今はいいかなぁ」
「ふえぇぇっーー!? 断っちゃうんですかあああっ?!」
あっさりと断った麟華の言葉に奇声のような声を発してのけ反ってしまった。立体映像と音声はあくまでアバターであり、本体はフォーマルハウトの制御室に座す巨大魔導コンピュータであるのだが、アバターにそんな挙動を取らせてしまう程に驚愕してしまったのである。
「うん。ボクやりたい事があるんだよね。ただちょっと力が足りないからどうしようかと思ってたんだけど、使っていいエネルギーがあるならそっちに使いたいかも」
「そ……それは一体?」
「まだ二人に聞いてないからここで聞いちゃおうかな。アルティちゃんとレインさんの二人なんだけどさ、転生してみない? 今のボクなら二人とも受肉させて産み直せると思うんだよねぇ」
「ちょ……はああああっ?! 二人が受肉して転生?! そんな事……可能なのですか?!」
驚きの声をあげるエイネスであったが、尋ねられた当の二人の衝撃はそれ以上であった。
「受肉? 転生……だと?」
「すまないがまったく意味がわからない。そもそもこのアバターに宿る疑似魂魄はあくまで人工物で……我らはかの英霊たちの記憶データをインストールされたいわば道具のようなものなのだが……」
英霊の肉体はエーテルによって形作られ、その魂とも呼べる核はレムリアの魔導科学によって人工的に造られた疑似的な魂魄にすぎない。けして過去の英霊たちの生まれ変わりであるとか、転生体というわけでは無いのだ。
「誰が造ったとかはあまり関係ないよ。二人にはちゃんと意思があるわけだし、こう見えて妊娠出産には慣れてるからね」
「慣れているとかそういう問題なのだろうか……」
「くく、成程。そのような案があったのですか。ええ、結論から言わせて頂きますが……可能です。邪神の仔を数多孕みし母体に、揺籃炉の莫大なエネルギーを利用すれば英霊を受肉させる事は難しい事ではありませんね」
ナイの言葉にアルティマとキュクレインの表情が変わる。歓喜に満ちたような感情を浮かべ……だがすぐに痛みをこらえるかのような表情へと。
「しかし使命を投げ出すわけにはいかん。我らは英霊。この星の人類を護り導く者であれば……」
「ああ、アルティマの言う通りだ。例え人間の肉体を得られたとしても、そのような脆弱な肉体で今までの様に動けるわけがない」
一万年以上の長きにわたり、その使命を果たしてきた二人。母星を脱出し、この惑星にたどり着いたときから始まった使命を投げ出す事などできる訳もない。だが、そんな二人の決意を聞いた麟華はなんともあっさりとした口調でこう答えた。
「別に投げ出す必要はないよ。むしろちゃんとした身体があった方がもっと護りやすいんじゃないかな? だって、ボクが二人の為に産むのはボクとナイさんの愛の結晶だよ? 弱いわけがないよね。というわけでクロト♡ ナイさんに托卵浮気セックスしてもらうけど良いかな♡」
「勿論だぜ! いくらでも孕ませてもらっていいぞ。ただし……俺が特等席で鑑賞させてもらうがな」
「さすがボクの夫だね♡ あとはエイネスさん。二人を転生させてもいいかな?」
当然のようにゴーサインを出す黒斗。細かい理論はよくわかっていないようだが、要は英霊二人を自由にする為にナイによる妻への種付けセックスが必要なのだなと理解したのだ。相手が相手なのでガチで寝取られる危険性も無くはないのであるが、それすらも愉しんでしまうのが黒斗という男であった。
(寝取られた所で寝取り返せばいいだけだしな。それはそれで面白そうだぜ)
なんとも業の深い性癖である。そして、麟華に問われたエイネスはというと……。
「なるほど……少々お待ち下さい──お待たせしました。二人が神の子として転生、英霊のくびきを外れた場合のシミュレーションを行いました。確かに問題はありません。その結論として、私に許可は出せません」
「えー!? ダメなの?」
「断るという意味ではありません。その権限が私には無いのです。元々、英霊たちが真に終わりを望んだ際にはその意思を尊重し、疑似魂を消去するという決め事がありました。今回の件はそのケースに該当すると思われます。ですので当事者たるお二人の判断をこそ、このフネの統括魔導頭脳たる私は支持いたします」
「ああ、そういう事。まぁボクも二人が嫌っていうなら仕方ないけど」
エイネスと麟華らの会話を聞いていた二人の英霊。アルティマとキュクレインはその人外の頭脳にて高速思考を行っていた。話通りであれば自分たちが得る事になる肉体の能力は、エーテルで形作られた今のアバターよりも遥かに強靭であり、定命のくびきを外れた凄まじい肉体なのだろう。人格を引き継げぬ疑似的な死を繰り返す今と比べてみれば、どちらを選ぶかは明白だった。
「我らが使命はただ人類の護り手たるを担う。それ以外は些事よ」
「ああ、肉体や命令などどうでも良いのだ。我らは只ひたすらにそれを遂行する」
「それがたとえどの様な生き方であろうとも──」
「ああ、貴様と二人でならばどこまでも──」
互いに見つめ合い、にこりと笑みを交わし合ったアルティマとキュクレイン。その心はすでに決まったようだ。
「我らは転生を望む。そして、このフネの乗務員として人類を護り続けよう」
「ああ、我らが祖なる英雄たちに誓って」
「ありがとう! 二人とも~、ボク嬉しいな。せっかく友達になれたのにすぐお別れなんて嫌だったからさぁ。たまに遊んだりスワップしたりしようね♡」
「麟華殿はなんとも軽いな。だがその力あってこその余裕か。見習わねばならぬのかもな」
「キュクレイン……。まさかお主すわっぴんぐとやらに興味を持った訳ではあるまいな……我らが転生するならば麟華は母親なのだが……倫理的にどうなのだ?」
「私が言及したのは麟華殿のスタンスについてだなのだが……そういうアルティマこそ興味があるのではないか? 黒斗殿は私から見ても魅力的な益荒男であるしな」
「なんだとっ!」
微笑ましいやり取りを始めたアルティマとキュクレインを、暖かい眼差しで見つめるエイネス。例え本人では無いとはいえ、かつての部下たちの幸せそうな様子は、彼女にとっても望外の結末であったようだ。
「あっはっは! 二人とも面白いね。でも、ボクたちに倫理なんて言葉はないんだよ。ね。ナイさん」
「ええ、その通りです。それは人の子のものですゆえ」
「じゃあ準備して、早速ヤろうヤろう♡♡ 揺籃炉の所でいいよね。皆でいこー!」
麟華は勢いで音頭を取るが、実際には揺籃炉の調整であったり、英霊たちの疑似魂の調整が必要なのだが……そのあたりはエイネスとナイがなんとかしていた。
あとはただ、揺籃炉の前で亜神たる麟華と外なる神たるナイが交じり合い、神の受精卵を二つ、麟華の子宮に宿すだけであった。黒斗にとっても待望の時間が訪れようとしていたのである。
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「では、始めましょうか」
「はーい♡ あ、ベッドはどうするの? 今からエイネスさんに借りてこれるかな?」
焔神クトゥグアの欠片と死闘を繰り広げた広間。巨大な揺り籠の様な巨大構造物が長大なスケールで揺らぎ続けるその直下にて、エイネスを抜いた五人は集まっていた。
正確に言えばエイネスはいまも居る。膨大なエネルギーを蓄えた揺籃炉を制御し、その力を正確に麟華に注ぎ込む為にアバターを投影するリソースすらも割り振っているだけだ。
麟華が言った通り、その場には揺籃炉本体と炉を構成する機構のみしか存在しない。当然ながら男女が交わり合う場として相応しくはなかった。
「いえ、必要ありません。数多ある現し身のひとつに過ぎぬ私ですが、この程度の事はできるのですよ」
意味ありげに笑みを浮かべたナイが、ぱちりと指を慣らす。すると、麟華の肉体がふわりと虚空に浮かび上がった。
「わわっ! なにこれ凄い!」
「麟華様の周囲のみ、重力を無効化させて頂きました」
「確かにこれなら色んな体位で遊べそう♡ でも、ふわふわしすぎて力とか入れづらいんじゃない?」
「はい。ですのでこう致します」
――ぞぶり。
形容し難い音とともに、ナイの影より無数の触腕が溢れ出る。漆黒と玉虫色を交互に行き来するかの如く濡れ光る異形のそれらのうち四本が、中空にある麟華の四肢に巻き付き、その肉体を艶めかしく拘束した。
「あはっ♡ 触手プレイってやつだね。ならボクもちゃんとそれらしくしないとね」
浮かんだその肉体を混沌の触腕に固定された麟華。ひどく倒錯的なその肢体が霞のように揺らいで黒い神気に包まれた数瞬の後、美しき裸身となって再び現れた。
「じゃあクロト。しっかり見ててね♡ ボクとナイさんの托卵セックス♡」
「ああ、特等席で見させてもらうぜ」
普段のように余裕たっぷりといった雰囲気で返す黒斗だったが、その内心には消しきれぬ一抹の不安があった。いつも通りの寝取らせではない。相手はあのナイなのだ。たとえ愛情は変わらずとも、肉体的な快楽で堕とされてしまう事は十分に考えられる。そして、精神は肉体に引き摺られるものだ。いまこの時は良いとしても、今後数年、数十年に渡って肉体的な快楽を与え続けられたのなら、ゆっくりと時間をかけて麟華の心がナイに移ってしまう事もあり得る。
そんな危機感を抱きながらも、否、抱いているゆえに、黒斗の興奮は高まっていた。命を賭け金にするからこそ戦いは楽しいのだ。であれば寝取らせもまた同じく、愛を賭け金にしてこそなのかもしれない。
「んひいッ♡」
虚空に拘束された四肢をびくりと跳ねさせ、麟華が短い嬌声をあげた。
ナイの影から生じた様々な形状の触腕。四肢を拘束している以外のそれらが、一斉に麟華に殺到して肉体の敏感な箇所を嬲り始めたのだ。
先端部を尖らせて張り詰めた双乳に向かったのは二つの膨らんだ先端が四つに分かれ、中心部から毒針じみた器官が生えた触手だ。乳首を貫くかのように毒針を突き刺したそれが、ゆっくりと割れた先端部を閉じて乳の半分ほどを覆い尽くしていく。ずくずくと脈動する触手は、まるで乳房になにかを注入しているようにも、吸収しているようにも見えた。
悩ましく蠢く四肢の付け根。女らしい曲線を描く鼠径部と腋下に向かったのは、猫じゃらしにも似たふさふさと微細な繊毛に覆われた触腕だった。敏感になった皮膚を撫で上げるたびに、麟華の口から断続的な喘ぎが零れ落ちる。細すぎる繊毛は毛穴にすらも侵入し、老廃物など一切ない無垢な数万の毛穴を犯しつくしていく。
いまだ余っている触腕はある。それらで前戯として秘所を責めたて、神の逸物を受け入れるにふさわしい女穴に仕上げるのだろうか。否、その必要は無かった。
「あふぅん……♡ 気持ち良いよぉ♡ 良すぎて足りないよぉ♡ おちんちん欲しいの……♡ ナイさんの逞しいおちんぽ様でボクのぐちょぐちょのメス肉穴をめちゃくちゃにしてぇ♡♡」
希代の淫女である麟華の女としての肉体はすでに完成していた。というよりもむしろ、常に仕上がっているという方が正しい。例え戦闘中であろうとも、肉の穴は常にしとどに潤み、男を受け入れる準備が終わっている。それが荒神麟華という女であった。
「女性を焦らすのも営みの醍醐味ですが、これほどに乞われて待たせすぎるのも紳士的とは言えませんね」
幾つもの触腕を生み出している影がざわりと蠢き、本体であるナイを一瞬で包み込む。揺籃炉に至る道筋で変化した、漆黒のナイが顕現した。
その股間には、鈍く濡れ光る凶悪な逸物。大きく鰓の張った雁首は通常時よりも遥かに大きく、まるで傘を開いた異形の肉茸を思わせる。女の穴を抉り抜き、快楽に狂わせ、他の雄の精液を余さず搔きだす事に特化した形状だ。当然、肉棍そのもののサイズも比較にならない。
「……あぁん……凄そう♡ 真っ黒でぶっとくて……とっても素敵♡」
「ははは。お世辞は結構ですよ。この程度の逸物など見慣れているでしょう。ですが……これならばどうでしょうか?」
感嘆の声を上げた麟華の、だが僅かに含まれた失望の間を感じたナイは、容易くそれを見抜いていた。次の瞬間、余っていた数多の触腕が次々にナイの逸物に巻き付き、融合していく。10本を超える数の触腕がまるで螺旋を描くかのように融合して出来上がったソレは、もはや凶器を超えた兵器であった。
例えるならばそれは、漆黒の重兵器。巻き付いた触腕が高速で震え、循環するかのように前後に蠢動するその見た目は、岩盤を砕き貫く為に稼働する超回転ドリルそのものだった。
「おいおい……反則だろそれ。ドリルチンポとかってレベルじゃねぇぞ」
人外相手の荒事や色事に慣れている黒斗ですらも、苦笑いを抑える事ができない。普通の女相手に本気を出さない。かつて、ナイの友人たちが出会い酒場で語っていた内容は正に真実であったのだ。神の本気の交わりには神しか耐えられないのだ。いまだ亜神のレベルに留まる麟華は果たして、耐えられるのだろうか? たとえ肉体的には耐えられたとしても、精神は? 黒斗への愛は? それらすべてがかの超重兵器によって貫かれ、砕き散らされてしまうのではないか? 黒斗はそのような危機感を捨てきれないでいた。
そして、当の本人である麟華は――。
「ふわぁ……♡♡ 凄すぎるぅ♡♡♡ 早くその物凄いのでボクのおまんこブチ抉って犯してぇ♡♡♡ ぶっ壊れてもいいからぁ! むしろ壊してぇ♡♡♡ おなかのナカ全部ぐちゃぐちゃにしてぇ♡♡♡♡♡」
先ほどの反応とは次元違いの反応を返し、恋する無垢な乙女の様な表情で、淫らに貫通を乞い願っていた。
――ズゥン。
これ以上の言葉は無粋。そう言わんばかりにナイは兵器そのものと化した逸物を、股を開いたまま虚空に浮かぶ麟華の中心に抉り込む。即座に凶悪に動作する触腕部分が柔肉に食い込み、撹拌し、強引に女穴を掘削する凄まじい音が響き渡った。同時に、断末魔めいた絶嬌の叫びも。
――メリメリゴリィッ! ゴリゴリゴリゴリゴリィッゴッゴリィッグリィギリィッ!
――ビヂャァッ! バヂュバヂュッゥッビヂィッ! ブチブチブチブチィッゾブリィッ!
「おぎぃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ♡♡♡ ひぎぃい゛い゛い゛い゛い゛イ゛ッ゛ッ゛ッ゛ク゛う゛う゛う゛う゛ッッッッ♡♡♡♡♡♡ イ゛ギィッ゛グゥ゛イ゛ック゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ♡♡♡♡ イ゛ギ゛死゛ぬ゛う゛う゛う゛ッッガ゛っア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ゛ッ゛♡♡♡♡♡♡」
まるで女体を破壊するかのような、とても性交の音とは思えない破壊音が鳴り響く。だが、亜神の肉体を持つ麟華の秘所は、暴虐の化身とも思える兵器の侵入をギリギリではあるが受け入れていた。
膣粘膜をバラバラに引き千切るかの如き猛回転する触腕を柔軟性に富んだ膣肉がしっかりと包み込み、締め付け、分泌された大量の愛液で潤滑させて膣組織が断裂する事を防ぐ。
チェンソーをいくつも融合させたかの様な亀頭部分が最奥に激突し、ぷるぷるとした弾力のある子宮口を八つ裂きにせんとばかりに押し付けられるが、子宮口は自ら口を大きく開いて自らのもっとも奥、揺り籠たる聖域に兵器を招き入れていく。
「凄まじい。この状態の私の逸物を根元まで受け入れるとは……それも一切の苦痛なく。ああ……この感触……たまりません。先端部を包み締めつける子宮肉の感触、暴れ蠢く肉竿をキツキツに締め付け、様々に絡みついて愛撫する膣肉。神として永劫に近い時を存在してきましたが、これほどの名器は初めてです。正直私も限界です。この極上の淫美肉……紳士の仮面を剥いで獣と化して貪らせて頂きましょう。噴っ! 覇あっ!」
「ひぎいああああ゛あ゛あ゛あ゛っ♡♡♡♡ お゛ま゛ん゛こ゛が゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ♡♡♡♡ ん゛お゛っあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ♡♡♡ イ゛っぎ゛ゅ゛う゛う゛う゛う゛ッッッ♡♡♡♡♡」
快楽に狂い悶える麟華の様子に、望まれていると悟ったナイはその心を獣へと変じさせた。対する麟華の口からはもはや、意味をなさぬ叫びと淫語が獣の如き蛮声となって迸るだけだ。
だが、これは神の交わりである。
――ナイさんのおちんほ凄すぎるよぉ♡♡♡ ボクのおまんこのナカ全部抉られて滅茶苦茶にされて♡♡♡ 子宮もぐっちゃぐっちゃ♡♡♡ 気持ち良すぎてもう何百回もイってるのぉ♡♡♡
――ええ、悦んで頂けて何よりです。黒斗様の悔し気な顔もたまらないスパイスでしょう?
――たまんない♡♡ 拳から血が出るくらい握り締めて……俺じゃああんな風にはできない……って悔しそうにしてる♡♡ んはぁん♡♡ その表情だけで何万回、何億回でも絶頂できちゃうよぉ♡♡♡
繋がり合った神同士であれば、たとえ片方が亜神であろうとも意識のみで会話ができる。極限の快楽を受けた肉体はもはや、ただ叫ぶことしかできない肉塊に過ぎないが、彼らの精神はしっかりと周囲の状況を把握して、それすらも交わりの一部として愉しんでいたのだ。
「イ゛ギ゛ィイ゛イ゛イ゛イッグゥ゛ウ゛ヴッ♡♡♡ お゛ま゛んご゛っ♡♡♡ 子゛宮゛ゥッ♡♡♡ 壊゛れっ゛ッ゛ッ゛♡♡♡♡ あぎゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛っっ゛♡♡♡♡♡」
――アルちゃんとレインさん達も呆然としてるけど、ほんとは今にもお互いに襲い掛かりたいくらい発情してる♡♡♡ あっ♡ 始めちゃった♡♡♡
――それも見越してでしょう。転生の儀に必要なモノは未練と強き思い。それらが無ければ記憶は失われますからな。そういえば、あえて伝えなかったのは何故ですか? 万一にも二人に断られる事を怖れたので?
――いや、単に必要が無いから。かな。だってあんなに深く愛し合ってるんだよ? 絶対に成功する事に対して不安を抱かせるのは意味が無いからね。なんたってボクがやるんだからさ、二人が幸せになれないバッドエンドなんてぶっ飛ばして蹴散らしてあげるよ。
――そのエゴ。欲望こそが貴女の本性なのでしょうな。世界も運命も己の思うがままに……。断言しましょう。揺籃炉の力など借りずとも、貴女はやがて神に成る。間違いなく。
――つまり永遠に黒斗と一緒って事でしょ? なら当然だよね。
――正直なところ、黒斗様が成れるかは微妙な所だと思うのですが。いえ、意味のない事でした。そうあれかし――と貴女が願うのならば。
――