ファム・ファタール~寝取らせモノが大好きな剣士が異世界転移した場合~ 作:幻闇
11話 夏、来たりなば ☆
大陸中央部に広がる大樹海。
呑み込まれた古代の遺跡と魔獣達が闊歩する此処は、深部ともなれば超一流の冒険者といえど迂闊に踏み込む事も出来ぬ魔境である。
しかし大樹海の端にあたる浅部は比較的開拓が進んでおり、最近では遠回りな街道よりも、新しく作られた大樹海浅部を貫く新街道を使う行商人や冒険者も多いのだ。
大陸南部にある亜人達が主体となって成立した国、ウィンダニア連邦。ここから大陸西部にあるアストラ王国へ繋がる新街道を一人の狼人族が旅をしていた。
狼の頭部を持つ直立した亜人、手足は人間に近いが生まれ持った身体能力は人間を遥かに凌駕する、嗅覚に優れた生粋の戦士の種族である。
奇妙な小手……いや武器か、手首に装着された腕輪の様な小手から肘の先まで湾曲した刃が突き出している。
防具らしい防具は急所である心臓を守る小さな金属の胸当てくらいだろうか。
酒場に行けば「そんな装備で大丈夫か?」なんて嘲笑されてしまいそうな程の軽装である、だがそんな者など居ない、居る筈がない。
冒険者であるならば誰もが知っている。
滑刀を装備した純白の体毛の狼人族など一人しかいないのだから…………――白狼アルフェン。
南部にその名を轟かせる銀級の冒険者であった。
「クソ暑ちィ……夏は嫌いだぜ……。北の方は涼しいって聞くからな、新街道も使ってみたかったから来てみたが……にしても暑ちィな……宿場町まではもうちょいかかるか……」
どうやら南部の暑さに耐えかねて北に避暑に向かっているようだ。同族の者達は冷房の効いた家に籠る者も多かったが、生来活動的な彼はそれを嫌って新街道を試しがてらウィンダニア連邦からアストラ王国へと向かっていた。
「宿場町に着いたらまずは水浴びだな……したらメシ食って娼館でも行くかァ、最近できた街だから若ェ女が揃ってるかもしれねぇしな……――あン?」
今後の予定を考えながら歩いていたアルフェンの鋭い感覚を持つ鼻が嗅ぎ慣れた臭いを感じてピクリと震える。
「チッ……血の臭いがしやがる……ったくよォ、厄介事は御免なんだけどなァ……嗅いじまったらなァ……クソが……女は今度だなァ……」
そう呟くや否や姿勢を屈めて四足獣の様に両手両足で大地に立った彼は爪で土を抉りながら突風の如く急加速で走り出す。
前方から微かに漂い来る血臭の元へ向かって……――。
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ゴルディオス大陸の中央よりに位置するセーヌの街は比較的温暖な地域だ。
真冬でも雪が降るのは珍しく、また降ったとしても積もる事は稀で、逆に夏は暑い、勿論南部の様に猛暑という訳では無いが、大樹海に近いため湿度も高く真夏ともなればじっとしているだけでも汗をかく位の暑さである。
都市部であるセーヌでは中流以上の家庭や公共施設には魔道式の冷暖房設備が備え付けられている、下流層の者達も共同浴場の水風呂や国からの氷塊の支給等で乗り切っているようだ。
とある腕利きの冒険者夫婦が暮らす一軒家、勿論彼らの家にも冷暖房設備は備え付けられている。
銀級と鉄級の冒険者二人が稼ぎ出す金額は凄まじく、平均的な1家族が一月暮らせる額を一日で稼ぐ事も珍しいわけでは無い。
だと言うのに晴天の日の昼過ぎという一番暑いであろう時間でも彼らは冷房をつけてはいなかった。
真昼間の蒸し暑い部屋の中、巨大なベッドから激しく響き渡る音、肉が肉を打つ快音が一定のリズムで鳴り響く。
男が腰を女の尻に叩き付ける度にパァン、パァンと音が鳴り、それに併せる音楽の様に女の嬌声が響く。
「あぁん♡あんッ♡♡ああっ♡♡んああっ♡♡はげしっ♡♡すぎだよぉ♡♡んっ♡♡イクっ♡♡後ろからぁンっ♡♡突かれるのイイのぉ♡♡ひんッ♡♡またイクっ♡♡♡」
「くうう!!やっぱ夏場の汗だくセックスはたまらんな!!リンカのケツが汗まみれでエロ過ぎるぜ!!」
汗だくになりながら獣の様に後ろから鱗華を突きまくる黒斗、ベッドの上に突っ伏す様にして高く掲げられた尻を鷲掴みにして膣穴に肉槍を抉り込み最奥に叩き付ける、引き抜き、叩き付ける。
「そろそろ出すぜ!!新妻リンカのナカに出すぞっ!!一番奥にぶちまける!!うおおおおっ!!!!」
「だしてぇ♡♡♡あんっあんッ♡♡♡んあああああっ♡♡♡あついのでてるぅ♡♡新妻おまんこに沢山きてるよぉ♡♡♡♡イクっ♡イクぅううう♡♡♡♡♡」
しっかりと鱗華の腰を掴んで逸物を叩き込む黒斗、ムチムチの尻肉を割るようにして突き込んだまま膣の最奥、子宮口にぴったりと亀頭を密着させて精を注ぎ込む。
「――――ふううぅぅ……まだまだ出し足りないな。次は……こっちだな」
「んあっ♡♡♡おしりぃ♡♡♡♡いいよぉ♡♡♡リンカのケツ穴メチャクチャにしてぇ♡♡♡」
「アナルはデリケートだからな、時間を掛けて開発してきたがもうすっかりハマっちまったか」
「最初は怖かったけどぉ♡♡♡子宮を後ろから突き上げられるのが良すぎてぇ♡♡♡」
「締まるのは入り口だけだがナカでウネウネと絡みついて蠢く腸の感触がたまらんな、おらっ!!」
「ひぎィ♡♡♡♡ケツ穴きたぁ♡♡♡イクっ♡♡♡ケツ穴から子宮突き上げられてイクぅううう♡♡♡♡抜く時の快感がすごいのぉ♡♡♡♡あああんッ♡♡あっ♡あっ♡イクっ♡♡」
精を放ったばかりだというのに萎える気配も見せぬ巨大な肉槍を、鱗華の慎ましやかな尻の窄まりに一息に根元まで抉り込む。突き込まれた肉槍が
「くううっ!!すげぇ締まりだ!!食い千切られちまいそうだ。負けてらんねぇな!!いくぞリンカっ!!」
肉槍の根本を凄まじい収縮力で締め上げる括約筋に負けまいと突き込むリズムを変える黒斗。
引き抜かれる直前で一瞬溜めを作り渾身の力で一気に
鱗華の呼吸に併せて放たれるその一撃一撃が、破城槌の如き破壊力で鱗華の子宮に裏側から襲い掛かる。
「ぎひイィィ!!!こわれるっ♡♡♡ボクのおなか壊れちゃう♡♡♡あぎぃ!!!はげしっ♡♡すぎるよぉ♡♡♡うぎぃ!!凶悪おちんぽでぇ♡♡♡壊されちゃう♡♡♡んぎっ!!!」
巨大な肉槍が、慎ましやかな窄まりを一息に蹂躙し押し拡げて突き込まれる、その度に頭を跳ね上げる様に悲鳴とも嬌声ともつかぬ声で仰け反る鱗華、白い大きな双丘がつられて跳ね踊る。
――ぐじゅりっ!!ぐじゃりっ!! 女体の胎内から湿ったモノが叩き潰される音が響く、およそ男女の交わりで聞こえてよい音では無かった。
「これがいいんだろ?子宮を後ろからぶん殴られるのが、見えないけどリンカの腹が変形してるのが解るぜ、子宮の形に盛り上がってるのがな」
「ぼこってぇ♡♡♡ぼこってなってるよぉ♡♡♡んぎぃいいいい!!!ボクのおなか破れそうだよぉ♡♡♡ぎひいいいい!!!イクっ♡♡おなかブチ抜かれてイクゥうううう♡♡♡」
「くっ!!出すぞっ!!リンカのケツ穴に精子ぶちまける!!新妻アナルに出しまくってやる!!!」
――ぶばっ!!ぶばばばばばばば!!!!
「ぎひぃいいいあああああ!!!!出てるっ!!クロトのあっついのがおしりにぃ♡♡♡♡新妻アナルにたっぷり中出しされてぇ♡♡♡♡イッちゃううううう♡♡♡」
どうやらあえて冷房を切っての汗だックス中の二人、鱗華はアナルも開発されてしまった様だ。
初めて結ばれた日から三か月が経った真夏の日の事である。
この三か月間で色々とあったようだが二人に起った出来事は大きく三つだろう。
結婚の手続きを行い正式に夫婦になった事、発見した遺跡が未発見のモノだと確定し報酬として大金を支払われて昇格も同時にできた事、その報酬で装備を一新した事。
少しばかり時を遡りその時の様子を眺めてみるとしよう。
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遺跡発見の報告をギルドに行い、帰宅した後。その夜に狂乱の宴が開かれるまでの間の出来事。
「なぁリンカ。俺にはもうお前しか考えられない、一生離れたくない。正式に結婚して夫婦になってくれないか?」
「ボクだってそうさ、クロト以外は考えられないよ、答えは勿論イエスだね」
暫しの間口づけを交わし合う二人、はにかむ様にお互いによろしくと囁き合う。
「リンカの両親に挨拶にいかないとな、手続きは冒険者ギルドか?」
「ちょっと遠い所だから年末に一緒に行こうか、お正月はいつも実家に帰ってるんだ。手続きはギルドだね、書類を出してギルドカードの内容変更を行うだけだよ」
「こっちだと一般市民はともかく冒険者はあまり式はあげないよな。精々親しい友達と祝うくらいだったか」
「そうだねぇ、ボク達はこの街にまだ来て日が浅いし、友人もいないから手続きだけでいいかな。実家に帰ったら披露宴みたいなものはやるかもだけど」
「来週の報酬受け取りの時に一緒に申請しようか。その後でバルガスさんの所によって装備の新調と結婚の報告もしよう」
「うんうん、それがいいね。あとボク達はまだ若いし、いろいろと未熟だからもっと強くなっていろんな所を見に行って、満足したら子供を作ろうか、子供が産まれたら暫らくは冒険者も休業だしね」
「ああ、頑張って蓄えを作っておかないとだな」
冒険者ギルドの規定では見習い等の街中限定であれば10歳から、外での依頼は15歳からとなっており結婚等の手続きも同じく15歳から可能となる。
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「なんかあっさり終わっちまったな、ほんとに書いて提出するだけか」
「ふふっでもほらボクのギルドカード、ちゃんと【アラガミ リンカ】になってるよ」
「俺の方も配偶者欄にリンカの名前があるな。文字ではっきり見えると実感がわいてくるぜ」
「階級も一段階、クロトは二段階あがってるね」
婚約をしてから一週間後、二人は未発見遺跡の報酬として鱗華は銀級、黒斗は鉄級に昇格し報酬として大金貨3枚を受け取った。
同時に結婚の手続きも行い晴れて二人は正式な夫婦として冒険者ギルドに認められたのだった。
「たしか金級は貢献度だけじゃダメなんだよな、見合った強さが必要になるとか」
「そうだね、大樹海の深部に行ける程の強さを証明する実績が必要になるよ」
「前にリンカが少し話してたよな、すげぇヤバい所なんだろ?高位魔獣を餌にする、魔獣ですらない生物が沢山いるとか」
「竜種の事だねぇ……極まれに竜種が魔獣化する場合があるらしいけど、大樹海の外には出てこない上に遭遇した冒険者はほぼ喰われるから詳しい事は不明なんだよ」
「なんだか急に異世界じみてきたな……いやまぁ魔法とか能力の時点で大分ファンタジーなんだが……まぁいつかは討伐してみたいモンだな……とりあえずバルガスさんとこに行って装備を吟味するか、金も入ったしな」
冒険者ギルドを後にして馴染の鍛冶職人の店に足を運んだ二人、黒斗のメイン武器であるハガネ断ちはともかく鱗華の槍や二人の防具はより強力なものに新調する予定であった。
店に到着した二人はカウンターで商品であろう武器の手入れを行っていた店主に武具の注文と結婚の報告をすると、バルガスは我が事の様に喜び祝福してくれたのであった。
「かあああっ!!こいつはめでてぇな!!銀級と鉄級になって更には結婚かよ!!俺の眼に狂いは無かったな!!よっしゃ結婚祝いだ!!二割引きで売ってやるぜ!!まずはリンカ嬢ちゃんの槍だな?どんなのがいいんだ?」
「柄の部分は良くしなる方がいいな、丈夫でしなりがある柄に、穂先は斬る突く払うが出来る刃付きのものかな」
「成程な、龍人族の槍使いはしなりを利用して跳躍する技を使うって聞いた事がある。今あるモンじゃ駄目だな、オーダーメイド品としてこれから作る。今使ってる奴よりも遥かに良いモン作ってやるよ」
「うわあ!!ありがとう!!バルガスさん!!」
喜びの余りバルガスに抱き着いて喜ぶ鱗華。
「こらっ!!新婚の嫁さんが他の男に抱き着くもんじゃねぇ!!俺には愛するユニーが……」
慌てて逃げだすバルガスに思わず吹き出してしまう黒斗であった。
その後防具の新調を行った二人、討伐した熊型の大型魔獣素材を使ったベアレザーアーマー、亀型魔獣の甲殻を使用して作られたブレストプレートや小手、大樹海中部で産出される鉱石を用いて作られたグレン鋼の足甲。これらを黒斗は黒に、鱗華は若草色に染色して貰う。槍は後日完成したら受け取りに来るという事になった。
「割り引いて貰えたけど報酬金の半分以上吹っ飛んじゃったね」
「それだけ良いモノなんだしな。俺達ならすぐ稼げるだろ?」
「がははは!!もっと奥地でいい素材が手に入ったら持ってきな!!持ち込みならそれだけ安く上がるぜ。……――っとクロト」
小声でクロトになにやら耳打ちしたバルガスが袋に入れられた箱の様な物をこっそりと渡す。
「これも結婚祝いだ。新婚生活にゃあ必要だろう、俺が趣味で作ってるモンだ。他にも欲しくなったら言ってくれよクロトなら安く売るぜ」
「??……ああっありがとう」
よく解らないがなにかお祝いの品物を貰ったらしいと思った黒斗はバルガスに礼を言うと入り口で待つ鱗華と共に自宅へ帰るのであった。
家についてこっそり中身を確認した黒斗はバルガスに激しく感謝して、以後裏の商品の上客になったようである。
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時は戻って現在、真夏の真昼間から冷房を切って寝室で汗だくセックスを愉しんだ二人はぬるめの風呂でゆっくりと汗を流し語らっていた。
「アナルの開発は完璧だな、これで何処に出しても恥ずかしくない全穴使用可能な肉便器妻リンカの完成だ」
「んもぅ♡♡他の男に使わせる為に妻のお尻を開発するとか、普通あり得ないよ?ボクは良いけど♡♡クロトの前で全部の穴を抉られておまんこもお尻もガバガバにされちゃうの楽しみだな♡♡」
相変わらずの二人の様である、定期的に行われる無貌神の鏡を使った肉欲の宴で、禁止されていたアナルが次回からは解禁されるようだ。宴が待ち遠しいといった様子の鱗華である。
「その為に頑張ったからなぁ……――そういや明日は狩りに行く日だったか?」
「うんうん。中部の奥の方は獲物も豊富だし、沢山狩ろうか。街を出る前にギルドで運搬頼んでおこう、持ち切れないからね」
「槍を新調してからの鱗華は凄いからなぁ……対人ならともかく対魔獣じゃ勝てる気がしないぜ」
「ボクの流派は元々対魔獣用に考えられたモノだからね、あの槍ならほぼ全ての技が使えるしバルガスさんには頭が上がらないよ、アノ道具も含めてね♡」
「アレはすごいよなぁ……まさか異世界でバイブが見られるとは……回転する奴はヤバかったな。鱗華がイキッぱなしで口マンコが気持ち良すぎた」
「ホントに壊れるかと思ったよ、おまんこちゃんと治ったけど。アレはヤバいね」
どうやら三か月前に作られた魔道具は払い下げられた様だ。ちなみに現在は、より凶悪な魔道具が夫婦生活で使われておりユニーの穴は更に拡がってしまっていたのだった。
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大陸中央部に広がる大樹海。
大樹海と聞いてどんなものを想像するだろうか?木々が絡まり合い、生い茂る密林、木々の根が地面の代わりとなる程の大森林、文字通り海の如き森、どれも間違いではない。
しかしこの大樹海においては正解ではないのだ。
最初に周囲に暮らす人間達が目にしたのが深い森であった、中央部をぐるりと回っても途切れぬ大森林。
それを見た人々は大樹海とその地域を名付けた。
しかし冒険者達の探索が進むにつれて大樹海はその真の姿を露わにし始めた。
浅部はすべてが木々に囲まれた樹海、中部からは木々の濃い所と薄い所がまだらに出現し始める、蛮族達もこの辺りで暮らしているようだ。大型魔獣の生息地でもある。
では深部は?木々が有り平原が有り湖が有り、……――そこまでだった。人が確認できた、深部の様子はそれが限界、それより先は不可能だったのだ。
深部にある森、平原、湖には竜種と呼ばれる生物達が暮らしていた、魔獣ではない。
肉を喰らうモノも多かったが草や木を喰らうモノも居た。
高位大型魔獣を餌として狩る生物。
深部に到達する事を許されない最大の理由である。
そんな大樹海であるが中部の奥、深部手前までは比較的安全である。
精鋭の冒険者であればと但し書きが付くのではあるが……。
「デカい気配がするな。熊か大鹿か?」
「一直線に突っ込んできてるね、アレは……巨大な角!!大鹿のそれも大型変異種だ!!」
「いきなり大物だな、正面で引き付ける。リンカ頼む」
頷いたリンカは巨大な大鹿魔獣の側面に回り込むように木々の間に隠れていく、一瞬そちらに気を取られかける大鹿魔獣だったが、投擲された苦無により黒斗に視線を戻す。
乾いた音を立てて角に弾かれた苦無だがその役目は十分に果たしてくれた、正面から刀を星眼に構えて大鹿魔獣と対峙する黒斗。
なんという巨大さであろうか、二メートル近い体格を誇る黒斗に対してその角の大きさだけでその二倍はあろうかという大鹿魔獣、全長およそ8メートル、体高も胴体だけで4メートル、角も含めれば8メートルはあるだろう。もはや化物といっても過言ではない。
まともに角と打ち合えば質量と速度により一瞬で吹き飛ばされるのは明白なその突進を紙一重で側面に回り込みながら刀の鎬で受け流す、返す突進も同じように受け流す。
たなびく柳の様に流麗な動きで翻弄していく黒斗……――しかし受けるだけでは……反撃する余裕も無い――いやその気が無いのだ、黒斗には分かっていた。
間もなく大鹿の命が消える事が……最も信頼するパートナーが自由に動いているのだ。
絶対の信頼の元に巨大な魔獣の猛攻を凌ぎながらその時を待つ黒斗。
――ドンッ!!地面が強く叩きつけられる音が響いたかと思うと大鹿魔獣の上空に一つの影が現れた。
引き絞られた矢の様に、落下する流星の様に、鋭利な槍の穂先を真下に構えながら落ちてくる人影、まるで棒高跳びの選手の様によくしなる槍を地面に突き立て空中高く跳躍した鱗華である。
鹿の大魔獣の背中、肋骨の隙間、皮膚と筋肉を容易く穿ち、上空より突き入れられた勢いそのままに正確無比に心臓を貫く。
心臓を一撃で破壊された大鹿魔獣はびくりと一度だけ、大きく震えるとそのまま横に倒れ瞳を虚無に染めるのであった。
「相変わらずすげぇな……10メートルは跳んでたぞ、あれで正確に狙えるとか……」
「元々ボク達龍人族は身体能力が高い種族だからね、そのかわり魔素は少なくて魔法は沢山つかえないんだけど……」
「魔法もメインで使うモンじゃなくて補助みたいなモンだからなぁ、あんまりデメリットにはならんだろう。その槍にも随分慣れてきたみたいだな」
「バルガスさん凄いよねぇ、複合弓とかに使われるしなりの良い木材を組み合わせて更に頑丈さも両立してるとか……穂先の切れ味も凄まじいし。……その分高かったけどね」
「もっと稼いでおくか、秋になったら暫らく稼げなくなるもんな」
「そうだね!!新婚旅行も兼ねてゆっくり大陸を回りながら里に行くんだもんね♡」
「3,4か月は休むからな、しっかり貯めておこう!!」
どうやら新婚旅行の予定も立てているようだ、大陸中央の大樹海を挟んでほぼ反対に位置する龍人族の里。
二人が脇目も振らずに移動に徹すればおよそ二週間程で到着するだろう。勿論二人にそんなつもりは無く余裕をもって出発して、各地を見て回りながら新婚旅行も兼ねて帰省する予定となっていた。
顔が知られていない場所では気軽に色事を愉しむ事も出来るだろう、という考えが大きかったのは言うまでもない。
その後も魔獣を探しては速やかに討伐していく二人、陽も傾き始めた時分まで狩り続けて帰路につく二人は今日の成果を話し合っていた。
「沢山狩れたが、大型魔獣が多くなかったか?」
「大型だけで四体はいたね、普段は一日一体でも狩れれば良い方なのに……深部でなにかあったのかな……」
「竜種がいるって所か……魔素溜まりでも発生したのかねぇ、まぁ稼げるからいいんだが」
「まぁギルドでも把握してる筈だし、なにかあれば教えてくれるでしょ」
「だなっ!!ルーシャさんやり手だからな。俺達が悩んでも意味無いか」
討伐報告を受けるギルドは魔獣の発生や討伐地域など細かいデータを把握している。
特にセーナ支部のサブマスターは才色兼備の実力者として有名であり、彼女に任せておけば何も問題は無いだろうと二人はギルドに報告に向かうのだった。
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「成程、大型魔獣の出現頻度の増加の件ですね。こちらでも把握しております、現在調査中ですので詳細が分かり次第お知らせ致します」
「流石はルーシャさん……既に動いてるんですね。解りました、なにかあったら教えてください」
「かしこまりました。それではこちらが今回の報酬となります、お受け取り下さい」
笑顔のルーシャに見送られて冒険者ギルドを後にした二人、ふと何かに気付いたかのように鱗華が呟いた。
「ルーシャさんて冷え性なのかな?ブランケットをおなかにかけてたよね」
「ギルド内は冷房があるし、事務職の女性は多いらしいぞ。腹と足は冷えると辛いからな」
「大変だよねぇ……やっぱり筋肉つけないとだよね!!ボクももっと鍛えようかな」
そう言いながら引き締まりつつも女性らしい柔らかさを保つ己の腹部を撫でる鱗華。
「そういや鱗華って力も瞬発力も凄いのにあんまりムキムキじゃないんだよなぁ……腹は軽く割れてるけど脱力してる時は凄く柔らかいし……」
「龍人族は筋肉の密度が高くて柔軟性が高いからね。太ってる人も少ないんだ、そのかわり男の見た目は頼りなくてねぇ……クロトくらいムキムキなのが好きだな♡」
「なにその人族の女性が聞いたらぶちキレそうな種族特性……つまり鍛えまくってもリンカはムチムチのままだと……最高かよ……」
明らかになった龍人族のチート特性に呆れながらもその口元をだらしなく歪める黒斗、どうやら彼はマッスル系アマゾネス女子はあまり好みではない様だ。
「クロト、ボクのやわらかおっぱい大好きだもんね♡寝る時はいつも顔を埋めてくるし♡乳首も吸われ過ぎてすこし大きくなっちゃったよ♡」
「つまみ易くなっていいじゃないか、そっちの方がエロいしな!!決めたっ!今日はおっぱいをメインで責めるぞ!!俺好みのエロエロおっぱいに変えてやろう」
「いやぁん♡♡ボクのおっばいメチャクチャにされちゃいそぅだよぉ♡♡♡激しくしてね♡♡」
そんな会話をしながら帰路に就く二人、そこそこの人通りもある場所であるが気にする者は居ない。
三か月前から住んでいる新婚バカップルとして近所では既に有名だったのだ、やや呆れた様な生暖かい様な視線を気にもせずに、仲睦まじく肩を寄せ合い歩く二人であった。