ファム・ファタール~寝取らせモノが大好きな剣士が異世界転移した場合~ 作:幻闇
黒斗がボルボル達と会談を行った翌日、古代遺跡にて鱗華、アルフェンも交えた四者で今後の打合せの為の話し合いが行われていた。
「お初にお目に掛かる。西の砦を預かっているボルボルと申す、以後よろしく頼む」
「おっー!!ほんとに牙がなければ人にしか見えないね!!おっきぃけど。ボクは黒斗の妻の鱗華、銀級冒険者だよ、よろしくね」
丁寧に挨拶をしたボルボルに驚きながら挨拶を返す鱗華、その言葉にボルボルも驚くように目を見張る。
「なんと……槍傷からどのような荒武者かと思ったが、これ程可憐なだとは……しかも黒斗殿の奥方殿であられたか、いやはや感服致した」
「俺はアルフェンだ。銀級冒険者だなァ、一部じゃ白狼なんて呼ばれたりもしてるぜェ」
「私も噂には聞いている、貴公が白狼だったか。各地で蛮族集落を殲滅しているとか、まさに天祐……いやすまない、先走ってしまったな。ご協力頂けるのだろうか?」
まだ二人の答えを聞いていないボルボルは改めて黒斗達に問い掛ける。
「大丈夫だ、二人ともやる気満々だぜ。俺達三人はボルボルに協力する、利害も完璧に一致してるしな」
「ありがたい……これ程の万夫不当の英傑が三人も味方に付いて頂けるとは……万軍を味方にするよりも心強い!!心より感謝いたす……ううっぐぅぅ……」
感激の余り、嗚咽を抑えきれないボルボルの様子にそれぞれ照れたり驚いたり三者三様の反応を示す黒斗達、ここまで感動されるとはさすがに予想外だったようである。
「ねぇクロト……ホントに豚人なんだよね、半分は……。どこぞの武将にしかみえないよ?言葉も凄く立派だし」
「泣かせるじゃねーかァ……惚れた女の為に半分とはいえ同族を裏切るってんだ。いくら出来損ないってもよぅ、中々出来る事じゃねェ」
「母親が武家の出身らしくてな、喋り方はそのせいだと思うぞ」
ボルボルが咽び泣く横で落ち着くまで小声でささやき合う三人、初めて見たハーフのボルボルは二人にとっても衝撃だったようである。
「んで、具体的にはどんな感じで行くんだ?なにか作戦でもあるのか?」
ボルボルが落ち着いた頃を見計らい黒斗が声を掛けた。
「色々考えてはいたのだがな、酒や薬を利用したり砦に閉じ込めて火計を仕掛けたりな。しかし貴公らを見て必要ないと判断した」
「ほう、策に頼らないという事は……力押しか?」
「流石は黒斗殿、圧倒的な武力の前では策など無意味よ。女達さえうまく脱出させてしまえば残るは雑兵1000程度、貴公らと私、合わせて四人で十分に殲滅可能であろう?」
なんという作戦であろうか、いやもはや作戦ではないだろう。
1000体の豚人たちをわずか四人で殲滅するというのだ、普通に考えればとても正気の沙汰では無いその作戦……それが彼等四人で無ければであるが。
「問題無いな。お釣りが来るぞ」
「とにかく殺せばいいんでしょ?楽でいいよね!!」
「あァ、策だなんだはよくわかんねェ……単純なのが一番だぜェ」
三人の戦闘狂達が口々に言い放つ。それぞれが一騎当千の猛者である三人にとって、何も考えずに戦う事が出来るならそれが一番簡単な事だったのだ。
「そうだボルボル、非戦闘員とか女子供はいないのか?流石に蛮族だとしても女子供は殺したくはないんだが、戦士ならば殺すがな」
青臭い理想論なのだろうが、それでも黒斗は己の信念を曲げたくは無かったのだ。
「豚人の本国に豚人の女は送り返している、幼い子供も含めてな。本国の奴らは基本的に大人しく外部には興味が無いのだよ、砦が無くなろうとも問題はない」
ボルボルが言うには、豚人の国は大樹海深部の地下に広がる古代遺跡の一部に有るとの事だ、地上にでれば竜種に食われる為、地下で大人しく繁栄するだけの種族。
数百年前に国から追放された悪党達が運よく中部まで逃げて人の女を攫ったりして繁殖を行い作られたのが西の砦なのだそうだ。
本国にとっては下手に人族を刺激してほしくないので目の上のたん瘤といった扱いであった、たとえ無くなったとしても感謝しかされないだろう。
「ただ一応、ギルドの威力偵察任務で来てるんでな。ボルボル、冒険者ギルドに確認を取りたいが構わないだろうか?」
「勿論だとも、そうなるだろうと見越して私から書状をしたためておいた、こちらを渡して頂きたい。こちらの事情と策について記しておいた」
「わかった。いまから確認してくる。おそらくボルボルとリリアーヌさんの事は問題ないと思うが、万が一問題が起きた時はアルフェンが南部に伝手を持っている、そちらに身を寄せられる様にしてくれるそうだ」
黒斗の言葉に瞠目してアルフェンに向かい頭を下げるボルボル。
「なんと……まことか、アルフェン殿。かたじけない……その気遣い、生涯忘れぬ」
「てぇした事じゃねェ、いちいち大袈裟な奴だぜェ。それよりあんたの得物すげぇな、なんか謂われでもあんのか?」
ボルボルの背に負われた巨大な大剣がアルフェンは気になる様だ。然も有らん、身の丈2メートルはあろうボルボルの背中に負われてさえ地面に剣先がついてしまいそうな程の巨大さである、重さも相当であろうそれは漆黒に輝いて、表面には理解できぬ古代の文字が何行も刻まれているといった代物であった。
「本国に将軍の拝命で伺った際にな、賜ったモノよ、深部の古代遺跡から発掘されたらしい。刻まれた文字は古代文明で使われていた文字の様だ、同じ文字がいくつか古代遺跡から見つかっている。錆びつきもせんし切れ味も良くてな愛用しておるのだ」
「マジかよ、すげぇな。もしかしてアレじゃねーか?碑文の刻まれた古代の武器、エピタフシリーズって呼ばれてるモンがあるそうだが、それの事かもしれねェ」
「なんか凄そうな話してんだが……気になる――」
「ほらほら今度ゆっくり見せて貰おうよ、今はギルドに行かないとでしょ?アルフェンは一応ここで待機して貰わないといけないんだから」
武器で盛り上がる男二人に混ざりたそうな顔の黒斗であったが鱗華にせかされて男二人と別れて鱗華と二人で街に戻っていく。
念の為にボルボルにはアルフェンがついているようだ。
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風の様な速度で遺跡と大樹海を駆け抜けた二人、バカップル冒険者としても腕利き冒険者としても有名な二人は顔パスで門を通り抜けて冒険者ギルドに到着すると受付に座っていたサブマスターのルーシャに報告をする。
一通り事情を聴いたルーシャはボルボルからの手紙を開封し中身を確認して、暫らく考え込んだ様子を見せると近くの職員に声を掛けた。
「貴方、ギルドマスターに連絡を、至急こちらまで来るように伝えてください」
指示を受けた職員が足早に階段を上がっていく、ギルドマスターを呼びに行っているのだろう。
「なぁリンカ……ギルドマスターってサブマスターより偉いんじゃないのか?」
「そのはずだけど……ルーシャさんのが偉いっぽいよね……実際」
鱗華と黒斗が小声で囁き合っていると、階段を慌てたように駆け下りてくる音が聞こえてくる、やや長身の耳のとがった優男風のエルフが転がる様にカウンターまで来ると息を切らしてルーシャに話しかけた。
「はぁはぁ…………ルーシャ……呼んだかな?」
「遅いですよ、あなた。これを読んで下さい、大集落の責任者の方からの書状です」
「なんだって!!解った………………――――――成程、事情は理解したよ。君の事だ、もう結論は出ているんだろう?やり手のサブマスター殿」
「そうですね、少数精鋭による殲滅作戦。通常ならばありえませんがクロト様方であれば……正し、砦から見えない所に冒険者達や軍に展開して頂いて後詰と致した方がよろしいかと、クロト様達の腕を疑う訳ではありませんが、大樹海では何が起こっても不思議ではないので」
「流石はルーシャだね、それでいこう。そしてこちらが例の冒険者夫婦のお二人かな?」
手早く今後の対応を決めたギルドマスターは黒斗と鱗華に向き直りにこやかに自己紹介を始めた。
「私の名はシャイルズ。セーナ支部のギルドマスターでルーシャの夫だよ、君達の事は良く話題になっていてね、会いたいとは思っていたんだ。今後ともよろしくね」
「えっ!お二人は御夫婦だったんですか?……リンカは知ってたか?」
「いやいや、初耳だよ。成程ね~シャイルズさんは尻に敷かれちゃってるんだね~よろしくね」
「流石に失礼だろ……でも苦労が分かる気がする……よろしく頼む」
特に隠してはいなかった様だがマスターとサブマスターが夫婦という事実を初めて知った二人は驚いて顔を見合わせるのだった。
「ハハハ……まぁ僕よりもずっと優秀だからねぇ、ルーシャは。僕は妻の弾除けのようなものさ。もっともそれをとても誇りに思うけどね」
「別に守ってくれと言った覚えは無いのですが。……――でも感謝はしていますよ……あなた」
シャイルズの言葉に冷たく返すルーシャであったが、そっぽを向いて付け足すように呟いた言葉の破壊力にシャイルズが悶絶している。
(これがクーデレって奴か?すげぇ破壊力だな……リンカも一応クーデレの定義に入るのか?)
隣にいる、見た目だけはクール系なデレデレ美女を見て考えた黒斗であったが、こちらも破壊力抜群の微笑みで返されて悶絶しているようだ。
「軍と冒険者への緊急依頼を出すからある程度準備期間を置いて、五日ってとこかな。大きく変更が無ければ五日後に作戦開始といこう。ボルボルさんには書状を書くから少し待っててね」
シャイルズが書状を書き始めると、今度はルーシャが黒斗に質問を投げかけた。
「クロト様、ボルボル様との連絡はすぐに取れますか?変更などの知らせなど緊急に伝えたい場合です」
「姿隠しで侵入して直接伝えに行く感じになるかな、四時間もあれば伝えて往復してこれるぞ」
「了解しました、凄まじい早さですね。流石はセーナ支部のトップ戦力といった所でしょうか。それでは緊急連絡がある場合は自宅に魔素通信を送りますので出来れば作戦決行まではクロト様かリンカ様どちらかは自宅待機をお願いしたいです。受信機はこちらでご用意させて頂きます」
「把握した、どちらかは家にいる様にするよ」
その後細かい打合せを終えた黒斗達はアルフェンとボルボルに合流すべく遺跡の奥に戻っていく、シャイルズがしたためたギルドマスターの印の入った書状も預かっているので正式にギルドからの使者という扱いである。
二人を見送ったシャイルズとルーシャは軍や冒険者への緊急依頼を出す為に擦り合わせを行っていく。
こまかい打合せも終わり一息ついた所でルーシャが夫に妖艶な微笑みを浮かべて話しかける。
「ねぇあなた……五日後には作戦開始ですが、その前に……来そうなのです」
ゆったりした制服の上からブランケットを掛けた腹部を撫でながらルーシャが言う。
「ああっそうか!!そんな時期だね……これから忙しくなりそうだし、今夜は……どうかな?早い方が良いだろう。僕も待ちきれないし……」
「もう……せっかちなんですから……ふふっ♡でもそうですね。良いと思います、闘技場の方にはすぐ使いを走らせましょう。明日は動けないと思うので宜しくお願いしますね♡」
「勿論だよ!!五か月振りかなぁ……愉しみだ」
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「ねークロト。五日間も街中デートできないよぉ?二人で家に籠るのもねぇ」
遺跡まで凄まじい速度で大樹海を駆け抜けながら会話する二人、鱗華はすこし不満そうである。
「まぁアルフェンに留守番を頼んでもいいし、偶には一人で出かけるのも良くないか?」
「ボク一人だとなぁ……視姦されても痴漢されてもクロトがいないんじゃねぇ」
「俺の世界には報告系寝取らせというモノがあってだな……」
お互いの性癖を三か月前に理解しあった時から黒斗は色々と教えていたようだ、報告系とは夫や恋人のいない所で犯されたりセックスした様子を細かく報告して悶えさせるというそこそこレベルの高いプレイであった。
「なにそれ……面白そう!!そっか……クロトが居なくても……――ねぇ♡ボクこんな事されちゃったんだよぉ♡クロトが見てない所で♡……って感じかな?んあッ♡想像したら感じちゃった♡」
「エロ過ぎる……――そうだ。リンカなら強いし危ないことも無いだろ」
「早速明日スラム街でも行ってこようかな♡♡下着姿で♡♡」
「だからいきなり突き抜けすぎなんだよ!!つーか痴女じゃねーか!!慎みも持ってください!!」
戦闘も脳筋ならエロ方面も脳筋な鱗華であった……色々残念である。
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黒斗と鱗華の二人が古代遺跡まで戻ってくると焚火を囲んで仲良く談笑しているアルフェンとボルボルの姿があった。
待っている間にすっかり打ち解けた二人はまるで古くからの友の様に互いの肩を叩き合い、童の様に笑いながら酒を酌み交わしていたのだ。
「戻ったぞー二人とも、つーかこんな時間から酒かよ」
「おぅクロトォ!!この酒はそんな強くねぇから大丈夫だぞォ、いやあこいつは良い男だぜェ、軽く戦り合ってみたがバカみてぇにつえーぞ!!」
「なにを言われるアルフェン殿、貴公の速さと反応も凄まじい。このボルボル守りに徹さざるを得ませんでしたぞ」
お互いに健闘を称え合う二人の男を羨ましそうに見つめる鱗華。
「いいなぁ……あとでボクともヤろうよ♡」
「リンカ……それは模擬戦の事だよな?ボルボルは既婚者だぞ?」
「ちょっとクロトー!!模擬戦に決まってるでしょ?そこまで見境い無くないからね!!」
(日頃の行いがなぁ……リリアーヌさんに恨まれるのは御免だからな……)
黒斗はシャイルズより預かった書状をボルボルに渡す、受け取ったボルボルはその場で開封し中身を読み進めていく。
「ふむ、成程。後詰を送っていただけるとは有り難い。私と母上を受けいれる交換条件として砦の接収か、こちらとしては願ったり叶ったりであるな」
「接収?ギルドの拠点でも作るのかな?」
「恐らく大樹海深部への中継基地として再利用したいのだろう。立地としては悪くないからな」
「確かに、あそこに拠点が出来ると色々便利だな」
シャイルズの思惑としては無条件で二人を受け入れても問題は無かったのだが正式に譲り受けた建前としてボルボルの了承が欲しかったのだろう、大樹海の土地など誰も欲しがらないだろうが、それはあくまで現時点ではという但し書きが付くのだ。
将来的に開拓が進めばその土地の価値は大きく変わってくるはずなのだから。
「作戦決行は五日後の予定だ、急遽変更があった場合は俺が姿隠しでボルボルの部屋に行くから出来ればリリアーヌさんかボルボルどちらかは常に部屋にいて欲しい」
「相分かった、そのようにしておこう。合図として軽いノックを五回行ってくれ、こちらから扉を開けさせて頂く」
「特に何も無ければ五日後の昼前に部屋まで行く、リンカ達は砦の外で待機して貰う手筈だな、俺とボルボルで女達の救出は問題無いだろう。脱出が終わり次第四人で殲滅開始だな」
「こちらが砦の見取り図になる、門は南北に2か所だ、ここを抑えてしまえば逃げ出す事は叶わぬだろう。二枚用意したので一枚はギルドの方にお渡し頂きたい」
その後細かく打合せや鱗華と黒斗の二人がそれぞれボルボルと寸止めの模擬戦を行った後、五日後の再会を約束してそれぞれ帰宅の途についたのであった。
「ボルボル強かったね~三回やって一回しか勝てなかったよ~」
「俺は勝ち越したな!!……まぁ鱗華の場合、屋内だと機動力を活かし切れないしな、二回目は惜しかったんだけどな」
「振り終わりの隙を突いたと思ったんだけどな~タックルで吹き飛ばされちゃったよ」
「相当な筋力が無いと出来んぞ、あれは。やはり筋肉は大事だな」
「ボクももっと筋トレ頑張ろっと」
「俺ァあんまし付け過ぎると速度がなァ……必要な所だけ鍛えるのは中々難しいぜェ」
帰り道で筋肉談義に花を咲かせる三人。
鱗華とてけして力が弱いわけでは無いのだ、普通の成人男性であれば片手で軽々と持ち上げる事が出来る程である、黒斗やボルボルといった比較基準がおかしいだけであった……。