ファム・ファタール~寝取らせモノが大好きな剣士が異世界転移した場合~ 作:幻闇
前回のあらすじ
鱗華の傷が癒えるまでの間、王都キャメロンの王城に逗留する事にした荒神夫妻。
当初は完治まで五日ほどであろうと予測していたが、戦闘中にダメージを受ける鱗華に興奮し、その夜に暴走してしまった黒斗の荒々しいリョナプレイのせいでもう暫く逗留する事になってしまった様だ。
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滞在期間の間、訓練場で禁軍の兵達に稽古をつけてやったり、アマナと武術について語り合ったり、鱗華に大量の食事を食べさせたり等忙しく日々を過ごす黒斗。
今宵はグレイス王の私室で男二人で酒を酌み交わしている様である。
「そういや特に気にしてなかったが……グレイスは日ノ本言葉をつかえるんだな」
「余が愛読している小説が日ノ本言葉で書かれていましてな……辞書などをウルバスから取り寄せて学んだのですぞ」
「成程なぁ……漂流者が書いたってやつか……どんなんだ?」
黒斗の言葉に嬉しそうに本棚から何冊かの本を持ってきたグレイス王、そのタイトルを見た黒斗の唇が盛大に引き攣っていく……。
「馬車男……娼館行ったら人生変わったwwwwってこれは…………どうみてもパクリです、本当にありがとうございました……っても著作権は世界を跨がないか……名前も微妙に変えてあるし……セーフなの……か?」
とりあえず書いた奴は現代日本人だな……間違いない、と思った黒斗。キラキラした眼で自分を見つめているグレイス王のプレッシャーに負けてページを捲っていくが……。
(ちゃんとこっちの世界風にアレンジしてあるな……やべぇ……面白いかも……)
「余はその馬車男が特に好きでござってな……ピンチの女性を助ける所に共感してしまったのでござる、まぁ余の場合はその後速攻で喰われたのでござるが……」
「あー……アマナさん見るからに肉食……てか虎だしな……うちのリンカもそこまでじゃないが積極的だったよ、童貞だった俺に生パイちらつかせてくるんだぜ? 天然だと思ってたけど、アレは今思うとわざとだな……」
「パイチラとか何それ羨ましい……余なんていきなり寝室に引き摺り込まれて服を破られて…………アマナたんでなければトラウマものでござるよ……今度パイチラお願いしようかな……いや間違いなくぶん殴られるでござるな」
互いに愛しい女達の話題で盛り上がる黒斗とグレイス、何処が可愛いだのこんな一面があるだのと様々な嫁自慢を肴にして盃を交わし合う男二人、汲めども尽きぬ鬼の瓢箪酒の様に尽きない話に相槌を打ち合い夜は更けていく。
「……つーわけでなぁ? 他の男にヤられた後のリンカは最高にエロい!!」
「寝取らせとは流石黒斗殿……余には理解し難いでござるが……不安にはならないので? 他の男に心を移してしまうやも……とか」
「ならんな。俺は常にリンカに相応しい男である為に努力している、例え負けて奪われたとしても奪い返せばいいだけだ」
「やだ……カッコいい……。まぁどう見ても互いにべた惚れですからな……有り得ない事を話しても仕方がないでござるな」
自信満々に答える黒斗にグレイス王が納得したように頷く、相手の好意に甘えず常に高みを目指すその姿勢は性癖はともかくとしてだが、見習いたいと思わせるものだったのだ。
「グレイスはどうなんだ? アマナさん夜も強そうだから大変じゃないか?」
「強壮剤は手放せませんな! 王となって差別問題も区切りが付きましたし、これからは国内の魔獣討伐にも赴いて鍛えたいものですぞ」
「王様なのに大丈夫なのか? 普通、危険な事は兵士達の仕事とかなんじゃ」
「我が国は選王国ですからな、例え王が死んでも継承候補は優秀な者が揃っていますし、何よりも王たるものこそが前線を切り開かねばなりませんでな」
ジェノガルド選王国の歴代の王達、彼らは皆前線で指揮を執り、自ら戦に赴いていたのだ。
例え死しても即座に次王がたてられる為、問題はない、ジェノガルドの王とは戦における旗頭であり、兵達の先頭にたって鼓舞を行う戦士であらねばならないのである。
勿論、人同士の争いがほぼ無くなった今でもそれは変わらない、魔獣相手に戦い、民を護るのも大事な王の務めであった。
「まぁグレイスもそこそこやるし、何よりアマナさんがいるもんな……深部でも問題なさそうだな」
「前に開拓の為に前線に赴いた時に無理矢理深部の入り口につれていかれましてな……初めて見た竜種に怯えて立ちすくむ余の前で、ソレを一撃で仕留めたアマナたんの笑顔が怖すぎでしたぞ……」
「単体だったら魔竜でもソロで倒せるんじゃないか? あの人…………」
人前に出る時は炙り出しの為に虐げられる役を演じなければならなかったアマナ、野外で二人だけになる場面は少なかったのでつい張り切ってしまったのだろう。
すっかり打ち解けて仲良くなった二人、この日の夜の小さな宴は夜更け過ぎまで続き、そのまま床で寝てしまった王と金級冒険者の寝顔は、少年の様に無垢で微笑ましいものであった。
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国王の私室でグレイス王と黒斗が盛り上がっていた頃、荒神夫妻に割り当てられたゲストルームでは鱗華とアマナによる女子会が開かれていた。
見た目にはいつもと変わらぬ程に回復した鱗華と肩に包帯を巻いたアマナが大量の酒瓶と肉料理の並んだテーブルの前で語らい合っているようだ。
「――っぷはぁ……しっかしよぉ……もう治っちまうとか、龍人族ってのはすげぇなぁ……」
酒瓶をまた一つ、一息に呑み干してアマナが問い掛ける。
「んぐんぐ……げふぅ……ボクの場合は再生力強化もあるからねぇ……普通の龍人族ならもっとかかるよ」
「そういうカラクリかぁ……俺は単純に筋力強化だからなぁ……肩の傷もやっとこ塞がってきたくらいだぜ」
「まぁボクもまだ全快ってわけじゃないんだけど……クロトが乱暴にするからさぁ……」
「あのにーちゃんも相当なドSっぽいもんな、やっぱ夜は凄いのか?」
興味津々といった面持ちで、眼を輝かせて鱗華に問うアマナ。全力で闘い合い、ここ数日、毎日の様に見舞いと称して酒を持ち込んでは盛り上がっていた二人、いまや親友とも呼べる程の間柄になっていたのである。
「大体いつも、ボクが失神するまで愛してくれるよ♡ たまにスイッチが入った時は、完治するのに三日掛かるくらい壊されちゃうの♡」
「お前で三日って……どんなセックスすりゃそうなるんだよ……」
「おっぱい破裂するまで握り潰されたりとか、お尻に両足とおまんこに両腕を同時にぶち込まれたりとかだね♡」
「おっ、おう……想像以上にヤバかったな…………俺は普通でいいや……」
凄まじいプレイ内容を愉しそうな笑顔で語る鱗華に流石のアマナも引き気味であった……。
寝取らせの事についても既に聞いていたアマナは、ついでとばかりに気になっていた事を聞いてみる。
「そういやよぉ、鱗華は他の男に抱かれるのが趣味らしいが、黒斗が他の女とヤるのはいいのか? 今までそういう事はなかったんだろ?」
「ボク的には全然オッケーなんだけどさ……正直クロトのに耐えられる女の子がそうそう居ないよね……普通に死んじゃうよ、あんなチンポで何時間もヤられたらさ……」
「そりゃそうだな……臍くらいまであるんだろ? 俺はデカすぎるのはなぁ……まぁ好きな男のサイズが一番いいサイズだな」
「一番はそうだね! でも、色んなサイズを愉しむのも良いんだけどな、短小の男が奥に届きもしないのに必死に腰を打ち付けてくるのとか、見てて面白いよ? うふふ♡」
「あんたマゾだけじゃなくてサドの気もあるのかい……色事じゃ勝てる気がしないね……」
女同士の下ネタ話は男達が思うよりも大分生々しいモノなのである。
嬉しそうに互いの性癖やパートナーとの行為を赤裸々に語り合う二人、やや引き気味のアマナであるがそこは超越者たる女傑、内容は気になる様で細かく質問しては顔を赤らめながらしっかりと聞いている様だ。
「アマナは才能あると思うけどなぁ……自分より遥かに弱い男達に群がられて玩具扱いされてさ……こんなに弱々しいのに薬飲んで避妊してなかったらボクの事孕ませられるんだって思うと……ゾクゾクしちゃうんだ♡ いくら強くなっても女じゃ勝てないんだなぁ……って♡」
「…………まぁ程々にな……あと俺は大丈夫だからよ……」
(ちょっとアリかなって思っちまった……これ以上追及しない方が良さそうだ……)
パンドラの箱を開けかけてしまったアマナ、加虐心と被虐心は表裏一体なのだ、反転した自分を想像してしまいすぐにその妄想を打ち消す様にかぶりを振ると慌てて別の話題を振るのであった。
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滞在中に起きた出来事といえばあと一つ、二人の誕生日が来た事くらいだろうか。
とくに誕生日だからどうこうという事は無かったのであるがそれを聞いたグレイス王が地下のセラーから100年物のワインや高級酒等を出してきて祝ってくれたのである。
余り派手な事は好まない二人であったが金が有れば飲めるというレベルではない高級酒やお祝いの為に供された山海の珍味にはとても喜んでいたようだ。
鱗華の傷も癒えて、予定の一週間は経過したのだが、すっかり仲良くなった二人と城の居心地の良さに、ついずるずると滞在期間を延ばしてしまい、気付けばすでに12月に入ってしまっているという有様であった。
元々急ぐ旅ではないとはいえ流石に長居してしまったかと、出立を決めてウルバス共和国へと旅立つ二人、見送りに来てくれたグレイス王とアマナに別れの挨拶と再会の約束をして、王都キャメロンを出るのであった。
「じゃあな! グレイス、アマナさんと仲良くな。あとアマナさん、来年も来るんで次は俺と一勝負と行きましょう」
「ボクもリベンジしたいなぁ……もっと鍛えておくから、次は勝たせてもらうよ!」
「お二人専用の離宮を建てておきますよ、気軽に寄ってくださいね」
「おうっ! 俺も修行しとくからよ、次は二人纏めて相手してやるぜ、ハッハッハッ」
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キャメロンを出た二人は旅の遅れを取り戻すべく、街道をひた走る。
乗合馬車で七日かけて来た道程をわずか二日で踏破する程の速度である、今となっては懐かしく感じる、辺境伯領の関所に着いた二人を出迎えたのは、予想外の人物であった。
「お久しぶりですね、お二人共、確か前回は鉄級でしたかな? 勿論偽装の件は承知しておりますので口外は致しません、ご安心を」
「あんた確か……国境で忠告してくれた……役人さんか?」
「ホントだっ! あの時の親切な人っ! なんでここにいるの?」
ジェノガルド選王国に入国する時に国境で手続きを行ってくれた役人であった、鱗華に顔や体を隠す様に助言を行った、やや不愛想であるが誠実な人物である。
「貴方がたの話によってここの兵達の悪事が露見しましたからね、全員処罰されましたので……王の勅命を受けてここを立て直しに来ております」
「勅命ってもしかして、アンタ知ってたのか? 王の事を……」
台替わりした王に気を付けろ、確かにそう言った筈の人物が王の勅命を受ける程の人物であるならば……、頭に浮かんだ一つの確信をストレートにぶつける黒斗。
「ああ言えば、普通の者であれば警戒するでしょう? 此方としても無関係の者に害が及ぶのは防ぎたかったのですよ……、貴方がたの様に普通ではない者なら…………そういう事ですよ」
「成程なぁ……いいヤツではあるが……とんだ喰わせモンだな、アンタ」
恐らく只の役人では無いのだろう、間違いなくグレイス王の腹心か……その態度と観察力、考えから察するに軍師的な立場にあるのかもしれない……、そう推察した黒斗。
事実、彼はグレイス王にとってのブレインの様な存在であった。
覇気溢れる王たるグレイスに最大の武力であるアマナ、そして頭脳面で王を支える彼、差別解消の為の様々な方策も彼に拠る所が大きいのである。
「ヘルムートと申します、今後とも我が国をよろしくお願いします、荒神黒斗殿、鱗華殿」
「ああ、よろしくな。ところでアンタ、良い男だな……うちの嫁をファックしてもいいぞ」
「はい?」
「うんうん、ボク、おにぃさんみたいな人大好き♡ ねぇ……ボクの事犯してくれないかなぁ……指輪もしてないし、独身だよね?」
「いやいや……御冗談を……騙し討ちの様な事をしたのは申し訳ありませんでしたが……もしかして皮肉でしょうか……」
二人にからかわれたのか、それとも軽い仕返しなのかと思い、慌てて謝るヘルムートであったが、まさか本気で言っているとは思わなかったのだろう。
グレイス王の頭脳とも呼ばれる程の男であったが、学問と人心を理解する為に勉学に励んできた彼は……童貞であった……――勿論モテない事はないのであるが、奥手であった彼はこの年まで経験はおろか女性と交際した事も無かったのである。
「本気だったんだが……すまないな、忘れてくれ、他意は無いんだ」
「えーっ! ……まぁ仕事中だもんね……次会った時にまたアタックしようかな♡」
「はぁ…………、ではお二人共、良い旅を。また我が国に来られる事をお待ちしております」
ヘルムートに別れを告げて関所を出た二人、街道を疾走しながら、彼や、この国の事を話し合っている。
「アレは間違いないな、童貞だぞ。流石にいきなりリンカじゃ可哀そうだな……」
「……どういうことかな? そんな人を化物みたいに……」
「ある意味化物だろ……性の……初めてがリンカで他の女性に興味を持てなくなったらどうすんだよ……」
「むむっ…………なら仕方ないか……ボクって罪な女だね♡」
「しかしまぁ、来る前とは印象が180度変わっちまったなぁ、この国は」
「そうだねぇ、不穏で差別の激しい嫌な国……って思ってたのに、今じゃ親友の治める将来が楽しみな国、だもんね」
「来年来るのが楽しみだぜ、リンカのペット達もいるしなぁ……次は是非姿隠しで覗かなければ」
「あのコ達ちゃんと真面目にやってるかなぁ……あんッ……♡あのコ達のご奉仕思い出したら疼いてきちゃった……セーヌに呼べないかなあ……ボクのハーレム作っちゃおうかな♡」
「ゴクリ…………逆ハー状態のリンカ……いい考えだな……是非前向きに検討しよう!!」
年下の男達に囲まれて女王の如く振舞い、奉仕され、悦ばされる妻……その光景を想像した黒斗は股間に直撃するような快感をビリビリと感じて、その考えに賛同を示すのであった。
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何事も無く国境を出た二人はそのまま街道を進みウルバス共和国へと入る、国同士の境にはどの国にも属さない緩衝地帯が設けられているのだ、過去幾度か起った小競り合いの結果である。
ウルバス共和国へと入る国境の建物で特に問題なく入国審査を終えた二人は龍人族の里に向かう為に道なき道を進んでいた。
「大分時間を喰っちまったからな……ウルバスの観光はまた来年か……龍人族の里ってのはどんな所なんだ? やっぱり秘境みたいな山奥にあるのか?」
「うーん……言葉で説明するより見た方が早いと思うけど……多分クロトが想像してるのとは大分違うかな……」
「?……――里っていうから隠れ里みたいなのを想像してたんだが……ちなみに何人くらい住んでるんだ?」
不思議そうな顔で尋ねる黒斗、珍しく苦笑いを浮かべた鱗華が期待を裏切って申し訳ないとでもいう様に答えを返す。
「100……万人くらいかな?」
「…………大都市じゃねーか……里とはいったい……うごご」
「あくまで名前だから……興された当時は数十人規模の隠れ里だったらしいんだけど、各地の仲間や迫害されてた他種族、今じゃ人族も多いし……漂流者の保護も積極的にしてるからさ、凄く発達しちゃってるんだよね」
ちなみに各国の首都の人口が100万~150万程であるので、規模的にはそれらとほぼ変わらないのだ、かつては隠れ里として他国に知られていなかったが、今ではウルバス共和国の中の独立自治都市、といった扱いになっていた。
「なんでそんなに大きくなるまで知られてなかったんだ? いくら大きい大陸とはいえ不自然に思えるが……」
「それは話すと長くなるんだけど……まぁ里まではまだ掛かるし、道すがら話そうか」
もっともな疑問を口にする黒斗、険しい山を踏破しながらの道中であるが、勿論一般人の為の街道も今では整備されているのだ。単に近道をしたかっただけの様である。
突如出現した魔獣を一撃で薙ぎ払ったり、深い谷を一足飛びで越えたりしながら鱗華が語ってくれた話によれば……。
今からおよそ400年ほど前、日ノ本の国の漂流者によって救われた龍人族の人々、彼等の安住の地を探す旅は困難を極めた。
人の手の及ばぬ大樹海は人以上に恐ろしい竜種や魔獣の蔓延る大魔境である。
かといって他の大陸へと渡る手段も当時は無く、いずれかの小国を国奪りにて手に入れるか、僅かな希望に縋り木の葉の如き船で外洋へと出るか、そう悩んでいた彼等であったが、漂流者の男が大雑把な大陸の地図を眺めていた時にふと漏らしたのだ。
この山々に囲まれた広大な土地はなんだ、と。
男には地図に書いてある文字が読めなかったのだ、そこに書かれている禁断の地という名称が。
龍人族の人々が男に説明をする、そこは禁断の地、何人も足を踏み入れてはならぬ神の地であると、大陸全てに住まう民が過去からの伝承によりその地には足を踏み入れないと……。
それを聞いた男は呵々大笑して言い放った、なんとも好都合では無いか! 誰も来ぬ土地であれば隠れ里にはうってつけよ、神など俺が斬り捨ててくれよう、我らが生きる事を許さぬ神など必要ない、どうせ迷信か災害の多い土地なのであろう、何処であろうと生きていければ良いでは無いか……と。
それを聞いた龍人族の人々は決意する、我らの為に身をなげうってくれた男についていこうと、どうせ安息の地など無いのならば神々の地で神罰に遭おうともここで死のうとも同じでは無いか……と。
「そんな感じで近代まで誰も近付かない土地だったんだよね~、別に災害が多いとか魔素溜りが多いとかそんな事も無い土地なんだけどね」
「成程なぁ……禁断の地か……なんともワクワクするフレーズだな、とはいっても実際語り継がれてきたんだろ? なにかあるんじゃないのか?」
「あったねぇ……というか地図を見れば一目瞭然なんだけどね、昔の人は解んなかったんだろうけどさ、クロトもすぐ解るよ。というかあそこの山に登れば見えるよ」
「ほぅ……気になるな……急ぐか!!」
「………………………………――すげぇ……カルデラ? ……いやこれは……クレーターか!!」
「正解、隕石孔だね。およそ一万四千年前のものらしいよ、その時の災害の記憶が伝承となったんじゃないかって話だね」
「山というかクレーターの
「この
「その方が助かるな……心の準備ってもんがな……土産も一度出しておきたいしな」
「ほいほい、んじゃ案内するからついてきて、こっちだよー」
故郷に帰ってきてテンションが上がっているのだろう、飛び跳ねる様に斜面を降りていく妻に苦笑しながら追従する黒斗、今一度眼下の絶景を眺めると同じように飛び跳ねながら鱗華の後を追うのであった。
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tips
龍人族の里
およそ一万四千年前に出来たとされている超巨大な隕石の衝突跡、その窪地に存在する巨大な百万都市である。
かつて日ノ本の国から落とされた漂流者によって興された数十人規模の隠れ里は400年の間に凄まじい発展を遂げていた。
今では様々な種族が融和して共存する独立自治都市としてウルバス共和国の中でも重要な都市となっているほか、特産品として米や酒、大豆から作られた味噌や醤油などの和風な調味料、また最近の漂流者がもたらしたカレーなどの近代日本食や小説、漫画文化などが存在し、行商人達の間でこの都市の産物を扱っていない者は存在しない程である。