※この作品はR-18です。

ファム・ファタール~寝取らせモノが大好きな剣士が異世界転移した場合~   作:幻闇

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本日二話目です、次話はまた少しお時間を頂く予定です。


44話 両親への挨拶 ☆

「しかし、いざ会うとなると……やっぱり緊張するよなぁ……なぁ……ホントに大丈夫かなぁ……」

 

――ずにゅ……ずちゅ……ぼこッ! ぐちゅ……きゅっ……

 

「んっ……♡あッ♡……あんっ♡……ちょっとクロトぉ……愛の営みの最中に聞く事なのかなぁ? ふぁっ……んっ♡……あんッ! んああっ♡♡♡」

 

「すまんすまん……いまはリンカのオマンコに集中するよ……――そらっ! 突き上げるぞっ! ふんっ!!」

 

――ボゴッ!! ぐちゅり……ずにゅううう……ドゴッ!! じゅぶ……ごじゅ……

 

「ふああんっ!! そこいいのぉ……イきそうだよぉ……♡♡ もっとそこ……子宮の手前……ガン突きしてぇ♡♡ くふぅ……んっ!!んああああっ!!イクっ!! あひぃいい!!」

 

鱗華の実家へと里帰りする前日、黒斗の心の準備の為に龍人族の里に入った所で宿屋に一泊した二人。いつも通り愛の確かめ合いたる夫婦の夜の営みの真っ最中であった。

 

「くっ……出すぞっ!! 大好きなリンカのオマンコに出すっ!! 子宮で全て飲み干してくれ!!」

 

「出してぇ……♡♡クロトの事が一番好きな公衆肉便器妻のナカにたっぷり頂戴♡♡♡」

 

――ぶばっ!!ぶばばばばばばぁ……ぶびゅ……どぷどぷ……どぷぅ……どびゅるる

 

「くっはぁ…………止まらんぞ……出まくりだ……だめだリンカが愛しすぎて……止まらん」

 

「イクっううううう!!! はぁんっ♡♡まだ出てるっ!! 嬉しすぎだよ……ぐすっ……ふあああっ♡♡まだ出てるよぉ…………愛され過ぎて……幸せ過ぎて……ボク蕩けちゃいそう……ふうん♡♡あっ♡あッ♡はあんッ!!幸せ過ぎてイクっ!! 幸せイキしちゃうのおぉぉぉ!!!!!大好きぃぃぃいい!!!!んあああああっ♡♡♡♡♡♡」

 

久し振りの愛に溢れた夫婦のラブラブセックス、ただ、単純に正常位で抱き締めながら繋がり合うだけのセックス、それが今の二人にはとても心地よく、気持ち良かったのだ。

互いの胸を押し付け合い、鼓動を感じ、男性器と女性器を重ね合わせる、キスを交わし、愛を囁き、しっかりと抱きしめ合う。

 

なんて事は無い、ただの愛の交わし合い、それこそが夫婦たる、愛情が溢れて溢れてとまらない程に互いを好き合う者同士の最上の繋がり方であった。

 

「リンカ…………いつも言ってる事だけど、何度でも言いたい、言わせてくれ……愛してる……絶対に……死んでも話さない……世界を敵に回しても迷わずにリンカを取る……お前無しでは生きられない……愛してる!!!!!! 大好きなんだっ!! 狂っちまいそうな程にっ!! 」

 

「ボクだって……クロトがいなかったら生きてる意味なんてないよ!! 絶対傍に居て!! ボクはもうクロト無しじゃ駄目なのっ!! もっともっともっともっと…………愛してほしいの……うっうっ……好き過ぎて……おかしくなりそう……満足するまで愛してええええ!!!!」

 

互いに完全に依存しているとも言えるのであろう……しかしそんな事は魔竜討伐の時から明らかであった、比翼の鳥の如き二人は、もはやそれぞれ一個の生命としては存在しえないのだから……二人でいて初めて一つの生命体として存在しているのだ、魂のレベルで依存しあってしまっている二人……互いに不完全な男と女という生き物、その完成形の一つなのかもしれない。

 

「もうリンカの居ない場所なんて想像したくもない……俺は認めない……愛してる……大丈夫……こんな愛しい鱗華を生み出してくれた両親だ……絶対に認めさせてみせる!! 魂に誓って!!」

 

「ふんああっ♡♡ 心が溢れて……あったかくて愛しいよ……絶対大丈夫だから…………――万一駄目でも……一緒に居るよ……ボクはクロトとしか生きていけないんだから……おねがい……ボクの子宮……もっと幸せにして……クロトの愛で満たして……」

 

――ボコォ……ずぢゅぐちゅ……ずにゅううう……ドゴッ……ぐちゅぐちゅ……ずにゅうううう……ボッゴォ!!

 

「あひぃ!! だめぇ!!イクぅ!!おまんこ幸せすぎりゅうう♡♡♡♡♡クロトぉ……愛してる……ああんっ♡♡あっ♡あっ♡あああんっ♡あんッ♡♡♡イクっうううううう♡♡♡♡♡♡♡」

 

何度目かすら解らぬ精を世界で一番愛しい、大切な妻の胎内に注ぎ込んでいく黒斗、何千回注ぎ込んでも変わらぬ愛と快楽に、射精し終わった瞬間に逸物の硬さと大きさを即座に復活させて再度妻の胎内を突き上げていく。

 

里帰り一日目の夜はこうして、いつも通りの甘過ぎる雰囲気の中で更けていくのであった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「うう……緊張するぜ……土産の酒も持ったし……恰好もちゃんとした服を買ったし……第一印象は大事だからな……」

 

「気にし過ぎだよ……ぶっちゃけ全裸でも大丈夫だよ」

 

「家に行くまでに衛兵に逮捕されるわっ!!」

 

翌日の朝、宿をチェックアウトした二人は鱗華の実家へと向かっている所であった。

鱗華いわく、どうせなら母親を驚かせてやりたいとの事で特に連絡などはしていないそうだ、黒斗としてはワンクッション置いておきたかったのであるが……鱗華のお願いには弱いのである。

 

「ふふふ、楽しみだなぁ……ショックで気絶したりして……流石に無いか。……あ、でも父さんはホントに気絶するかも……」

 

「やっぱり男親からしたら、こんな可愛い娘を奪っていくんだからなぁ……殴られても仕方ないよな……いくら殴られても良いけど嫌われたくはないなぁ……はぁ……」

 

「そういうタイプじゃないと思うけど……父さんよく解らない所あったから……まぁ大丈夫……じゃないかな? ……あっ! そろそろ着くよ」

 

都市の中でも閑静な住宅街が集まった一角、龍人族の里ではごくごく一般的な市民が居住しているエリアを歩いていた二人。鱗華が曲がり角を曲がった所で一つの家を指さしながら言った。

 

「二階建てのそこそこ大きい家だな、この街はあんまり貧富の差が激しくないのかな? スラムとかもないみたいだし」

 

「産業や名産品が多いからね、街の財政は豊かなんだよ。福祉や社会保障もちゃんとしてるんだ、最初に逢った時に里で保護もできるよっていったよね、漂流者の人なら生きるだけなら困らない生活費が受給されるんだよ」

 

「なるほどなぁ……豊かで政策がしっかりしてるんだな……こういう所は地球よりも進んでるな……いや、北欧とかはこんな感じだったかな?」

 

「うんうん……あっ! 母さんだ! 庭でなんかしてるみたい、……おーい! 帰ったよー!!」

 

二人が家の近くまで来るとなにやら庭で作業をしている人物が二人の目に入ってきた、気付いた鱗華が大声で呼びかけると娘の声に気が付いたのか顔を上げて黒斗と鱗華の方を向く。

 

鱗華の美しさが人外の魔性の美、精巧な神々の芸術品たる美しさであるならば、その母親は野性と自然の美、顔のパーツそれぞれは大雑把で荒々しく、正に女傑といった風貌であるが整っていないという事は無く、野性味溢れるワイルドな迫力美女といった有様でスタイルに関してだけは娘と同じ……いや娘よりも身長が高い為かよりボリューム感溢れるその体つきはもはや兵器……はち切れんばかりの胸と尻にしっかりと引き締まって六つに割れた美しい腹筋、ジーンズを穿いた太ももなどはむちむちと堅い生地を膨らませている、鱗華よりも全体的に鱗の数が多いようであるが、むしろそれがより彼女の野生美を引き出している様であった。

 

(えっ……あの人が……お母さんだって? 無茶苦茶若いじゃないか……お姉さんにしか見えないぞ……つーかなんだあの極上ボディは……顔はあまり似てないが間違いなく親子だな……)

 

鱗華の母親を見た黒斗はその凄まじいまでの美貌と若々しさに驚き固まってしまう、さもありなん……どうみても20代半ば……いやむしろ鱗華と同い年といってもいい程に鱗華の母、辰宮火憐(たつみやかれん)は若く見えたのだから……。

龍人族は寿命こそ他の種族と変わらないのであるが極端に老いが遅いのだ、人によっては100歳の老衰で亡くなる時まで皺ひとつ無いという事もある程であった。

 

「鱗華じゃないか!! なんだい、帰ってくるなら連絡の一つでもよこしな! ……――って、アンタその人は……?」

 

「ふっふっふっー……じゃああん!! ボクの夫のクロトでーす!! 実は結婚したんだよねぇ♡」

 

左手をこれみよがしにひらひらと火憐の前で動かして薬指の指輪を見せ付ける鱗華、娘の言葉に放心したように動きを止めていた火憐がギギギと首を黒斗の方に向けて言い放つ。

 

「あんた……正気かい? なにをトチ狂ってこんな女に……騙されてるんじゃないかい? 今ならまだ間に合うよ……バカな真似はよしな……」

 

「ひどすぎないっ?! 娘の事なんだと思ってるわけ?! むきゃー!! 」

 

余りの言い様に怒りが有頂天となった鱗華が奇声を上げながら母親に抗議を行う、そんな親子の様子に緊張を見事に破壊された黒斗が耐え切れずに失笑して火憐に話しかけた。

 

「……っぷっ、はははっ! いや失礼、大丈夫ですよ、火憐さん、至って正気です。娘さんと結婚させて頂きました、一生手放すつもりはありません、俺には勿体ない位の良い女ですよ、リンカは」

 

「あんたいい男だね……逆だよ、うちのバカ娘には勿体ない位の男じゃないか! 男を見る目だけは私譲りで、良かったみたいだねぇ……火憐さんなんて呼ばないで義母(かあ)さんとよんどくれよ、こんな立派な息子が出来てあたしゃ嬉しいよ……鱗華でかしたね」

 

「でしょー? クロトは最高なんだよ♡ 父さんは中に居るの?」

 

「書斎で仕事中だよ、さぁ中にお入り、あの人にも紹介しなきゃ! あたし達の自慢の息子をね」

 

玄関を開けて黒斗を招き入れた火憐、鱗華と共に歩きながら娘の快挙を誉めそやしつつ、鱗華の父である辰宮悠大(たつみやゆうだい)の居る書斎へと向かっていく。

少し後を、父親に会うという事でまたぞろ緊張し始めた黒斗がぎこちない動きで付き従う。

 

――ゴンゴン!

 

「ゆうちゃん! 鱗華が帰って来たよ! すっごい土産をもってね!! 入ってもいいかい?!」

 

乱暴に書斎の扉を叩きながら中に居る夫に娘の帰りを伝える火憐、やや慌てた気配の後に中から声が返ってくる。

 

「問題ない、入ってきたまえ」

 

透き通るような美声であった、天上の神々の住まう楽園にその音色を響かせると云われる、天の風琴の如き声が書斎の内部から聞こえる、扉という障害物を通してさえ一切の曇りなく聞こえるその声は万物そのものの構成物質である元素すらも邪魔をしてはならないと遠慮した結果なのであろうか……。

 

「はいよ、まったく仰々しいんだから……」

 

――がちゃり

 

やれやれといった様子で火憐が扉を開くと、部屋の奥の文机に向かっていた一人の人物が振り向いて、入り口に顔を向けている。

 

色の無い部屋……いや色は有る、単に中に居た人物の存在が……あまりにも強烈すぎたのだ、この人物に比べれば室内の家具や調度品等、色の無いも同然であった。

 

明り取りの為の窓から差し込む陽光すらそこに坐した男を引き立てる為だけの照明に過ぎない、本当に男なのだろうか? ぬばたまの如く濡れ輝る切れ長の黒瞳、不世出の画家が生涯を賭しても描けるかどうか……すっと一筋通ったその鼻梁、真一文字に引き結ばれた唇は男女の別なく、全ての人が溜息をつかずにはいられないだろう……、そして誰もがこう思うのだ、本当に自分はこの人物と同じ種なのか? ……と。

有り得ない、有り得てはならない……それは……冒涜だ……自分達の様な醜い生き物とこの人物が同じ生物種なわけはない……それは此の世全ての美への冒涜に他ならない……と。

 

室内に満ちた静謐な空気すら、呼吸によってその人物の体内に取り込まれる事に歓喜を感じているようであった……。余りにも…………………………………………――美しすぎたのだ。

 

「おかえり、我が娘よ。ところで誰だ……その男は……」

 

この美しい人物が鱗華の父親で間違いない様だ、当たり前である。性別をそのまま入れ替えたようなうり二つの美しい顔が二つ……どうやらその華のかんばせは父譲りの様だ、間違いなく親子である。

 

男の口から放たれた天上の音色と、妻と見紛う程の美しさにしばし呆然としていた黒斗であったが、それが自分を誰何する言葉だと気づき慌てて名乗りを上げる。

 

「…………――あっ、すいません、申し遅れました。荒神黒斗と申します、この度、鱗華さんと結婚させて頂きましたのでそのご報告に参りました!」

 

予想外の義父の容姿に声を失っていた黒斗であったがいつも同じような美しい顔を常に眺めているのだ、耐性が付くのは早かった。

すぐさま丁寧に名乗り、用件を堂々と伝える黒斗に眉を顰めた白皙の美男子が、冷たい抑揚のない口調で鋭い言葉を投げ返す。

 

 

「貴様……………………――正気か? まだ人生を諦めるには早いだろう……悪い事はいわん、犬に噛まれたと思って忘れるのだ……」

 

「ちょ! 父さんまで?! 可愛い娘を犬扱いとかおかしいよね??!! あともう半年くらい暮らしてるからね! ボク達!! ちゃんとうまくやってるよ!!」

 

「ええ、鱗華さんは俺には勿体ないくらい素晴らしい女性ですよ、一生噛まれ続けたいですね。というか普通は逆では? 娘を傷物に……なんて言われて殴られるくらいは覚悟していたのですが……」

 

「馬鹿な…………うちのおてんば娘を嫁に貰ってくれるのならばむしろ私が殴られても良いくらいだ……ありがとう……黒斗君……本当にありがとう……ぐっ……」

 

遂には目頭を押さえて咽び始めた義父の様子に、苦笑を隠せない黒斗と怒りも露わな鱗華、カオスな空間になりつつあった所で火憐が手を叩いて告げる。

 

「ゆうちゃんは相変わらず大袈裟なんだから、ほらっ今日はお祝いだよ! あたしは旨い酒を買ってくるからゆうちゃんは御馳走をお願いね」

 

「把握した、任されよう。……あと黒斗君の前でゆうちゃんは恥ずかしいのだが……――いや何でもない……では支度に移るとしよう、鱗華と黒斗君はリビングで休んでいなさい」

 

「はい、こちらこそありがとうございます。今後ともよろしくお願いします、ええっと……悠大さん」

 

「小生の事は義父(とう)さんで良いぞ、又は乱童と呼ぶがいい」

 

「乱童さんですか?」

 

鱗華から聞いていない名前が飛び出してきた事で眼を白黒させて聞き返す黒斗、その横で鱗華が未だ不機嫌なままその疑問に答える。

 

「父さんのペンネームだよ、作家だからね……」

 

「成程! 書斎で仕事というのはそういう事ですか、後で良いので是非読ませて頂きたいです」

 

「ほぅ……書を嗜むか、黒斗君。益々気に入ったぞ、さあさあ積もる話は後でするとしてまずは旅の疲れを癒したまえ、茶なども用意しよう」

 

早々に買い出しに出た火憐、残る三人でリビングに移動すると悠大自らが茶と菓子を用意して振舞う、辰宮家では家事は基本的に悠大の仕事なのである。

 

腕の立つ狩人として家を空ける事が多い火憐を在宅で仕事をしている悠大が支えるという構図で、今でこそ舞台劇の脚本や小説の人気が出てきて売れっ子の作家であるとはいえ結婚した当時は売れない無名の作家だったのだ。

料理が趣味でマメな所のある悠大にとって稼ぎ頭である妻を支えて家事をするのは当然であった。

 

午餐の支度の為に台所へ向かった義父を見送った黒斗は早速、ソファの隣に座る妻の機嫌を直す為に囁きかける。

 

「ほらほら、折角の里帰りなんだからいつまでもふくれるなよ……口ではああ言いつつも心配してたんだと思うぞ?」

 

「むー……それは解ってるけどさ…………――キスしてくれたら直るよ」

 

「はいはい、ちゅっ……――っとこれで良いですかな、我が姫?」

 

「んっ……――えへへ、直ったよ♡」

 

機嫌を直した鱗華がにこにこと微笑んで、隣に座る黒斗の膝の上に移動してくる。

女性としてはやや高めの身長の鱗華であるが黒斗の体が大きすぎる為、膝の上にちょこんと座る、という表現が適切であろうか。

 

「おいおい……流石にこれは……まずくないか? ……見られたら……」

 

「いいのいいの、結婚してるんだから♡ ……――ちゅっ……」

 

夫の膝の上に座った鱗華が振り向いて、今度は逆にキスを仕掛ける。

 

「んむっ……――むぅ……からかって愉しんでるな……リンカめ……そっちがその気なら……」

 

――かぷっ……すりすり……さらり

 

「ひあっ♡……耳ぃ……んッ♡……甘噛みだめぇ……あッ♡……あんっ♡……太もも……それ以上は……はんッ……♡おっきぃ声……でちゃ……ふうんっ♡」

 

後ろから抱き締める様に妻を包み込んだ黒斗が耳を甘噛みしつつ左手を太もものあたりから股のあたりまで焦らす様に撫で上げていくと、快感の刺激に必死に声を抑えつつ、鼻に掛かった甘い吐息を漏らした鱗華が喘ぐ様に身をくねらせて悶えている。

 

予想以上の妻の艶めかしい反応につい我を忘れてしまいそうになるが今いる場所を思い出して理性のブレーキを踏む黒斗、何故か先程よりも、夫の股間に座る鱗華の位置が高くなっているが……――言わぬが華であろう。

 

そしてその様子を黒斗の味の好みを聞きに戻ってきていた悠大に見られていた事には気付いていない二人であった……。

 

(あのガサツで男の子みたいだった鱗華が……なんて色気を……完全に女になっている……黒斗君……いい仕事だよ……ありがとう…………――というかうちの娘エロ過ぎでは……)

 

気付かれない様に台所に戻っていった鱗華の父、辰宮悠大は心の中で義理の息子に最大の感謝を捧げると、予想外に妖艶になって戻ってきた娘に小さくガッツポーズを決めるのであった。

 

(いかんいかん……娘に欲情するとは……いくら小生が官能モノも別名義で書いているとはいえ……いやそういうシチュエーションも書いた事はあるが……あんな顔の娘は……初めて見たぞ……ゴクリ……いかんいかん!!)

 

実はこの白皙の美男子とも言える小説家……相当のむっつり助平であった。別名義で書いている官能小説は売上こそ本業には及ばぬモノのその内容は…………彼の名誉のために伏せておくとして、一部の者達に熱狂的な人気を誇る、その界隈では知らぬ者はいないという程の有名人である。

 

「戻ったよー、くろちゃん達がお土産でいい酒を持ってきてくれたけど、流石に足らないからねぇ……しこたま買い込んで……ってゆうちゃん? どうしたんだい?」

 

いつのまにか帰ってきていた火憐に声を掛けられ、ビクリと体を仰け反らせて驚く悠大。

まさか娘に欲情して、混乱していたともいえず慌ててその場を取り繕い午餐の支度に戻るのであった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「金級だってぇ?! 凄いじゃないか! 冒険者になるって家を飛び出してった時にはすでにあたしより強くなってたとはいえ……アンタは昔からケンカっ早くて腕っぷしが強くて……近所の男共を手下にしてたからねぇ……嫁に出すのは諦めてたけども……そうか冒険者の男を捕まえたんだねえ……よくやったよ」

 

「ちゃんと言われた通りにやったんだよ? 好みの男を見つけたら絶対に逃がすな、カラダだけは最高なんだから上手く使えって……母さん言ってたでしょ?」

 

鱗華の父、悠大による心尽くしの料理、新鮮な魚介類の刺身や巨大なブロック状の魔牛肉を使用したタタキ、山菜や葉菜、瑞々しい野菜がたっぷりと盛られたサラダ、火憐が狩ったという巨大魔鳥の唐揚げ、あの短時間でよくここまで……と言う程の御馳走の数々であった。

 

それらが並んだテーブルを囲んだ二組の親子夫婦は大量に用意された酒を次々と干しながら鱗華と黒斗、二人の馴れ初め等で盛り上がっている様だ。

母子の会話を聞いていた黒斗、今更そんな事を聞かされたくらいで揺らぐ関係でも無いので気にもしないが、母の入れ知恵という所で、ああ成程と納得するのであった。

 

「ホントにいい男じゃないか……でっかくて逞しくて……物腰も丁寧で落ち着いてるし、しかも日ノ本の国の漂流者で今じゃ金級ときたもんだ。アンタ絶対嫌われるんじゃないよ……最悪肉奴隷扱いでもいいから養ってもらいな!!」

 

「んふふー、クロトはボクにベタ惚れだからね♡ 大丈夫だよ、メロメロだもん、ねっクロト♡」

 

「リンカの代わりなんて世界……いや異世界も含めて探しても見つかりませんよ、自慢の嫁です」

 

きっぱりと言い切った黒斗に体をくねらせて照れる鱗華と感心したように頷く火憐。

黙って聞いていた悠大が何かを思い出した様な仕草と共に話に加わってくる。

 

「ああ、もしかして最近大陸で有名な黒刀と狂龍妃というのは二人の事だったのか」

 

「なんだいそりゃ、ゆうちゃんあたしは初耳なんだけど、二つ名かい?」

 

不思議そうに夫に問い掛ける火憐に丁寧に説明していく悠大、一通り説明を聞いた火憐は娘の顔を見て笑いを堪えきれない様子である。

 

「えらい物騒な二つ名がついたもんだねぇ、ぷっ……アンタにぴったりじゃないか」

 

「絶対言われると思ってたから……別に怒らないよ……」

 

「仕事柄、小説のタネに成りそうな情報は仕入れているからな、酒場に行けばどこも二人の話題で持ちきりだ、最近だとジェノガルドでもやらかしただろう?」

 

「もう知られてるんだ……アレは緊急事態だったし、仕方ないんだよね……ボクの妹も同然の女の子の為だったんだから」

 

「む、となるとつまり、小生の娘でもあるではないか……詳しく聞かせたまえ」

 

親友である狼人族の金級冒険者アルフェンとその幼馴染の劇的な再会、辺境伯の悪事や国王の意外な正体、興奮しながら喋る鱗華の話を分かり易く、補足して解説する黒斗。

 

テーブルの上の大量の料理が無くなってしまう程の時間を掛けて娘夫婦から聞かされた話はとてもドラマティックでロマンに溢れた、正に伝承に謳われる英雄のサーガそのものであった。

 

「その辺境伯ってのはホントにクソ野郎だね!! 亜人の綺麗な女ってだけで攫って痛めつけるなんて……膾斬りにされて当然だよ!」

 

「リルさんは大丈夫なのか? 我々と違って食事を沢山とれば治るというものではないんだろう?」

 

「魔人族は魔素の濃い場所だと回復力があがるんだって、樹海に近いセーヌならアルフェンの家も有るし、良いかと思うんだけど……」

 

「ふむ……魔人族か…………もしかしたら……」

 

鱗華の返事を聞いた悠大は深く考え込むと、頭に幾つも仕舞ってある記憶の棚を丹念に開けて一つの心当たりを語り始める。

 

「皆は魔王という言葉を聞いた事はあるかな?」

 

「魔王……ですか? 俺の世界の物語では定番の敵のボスとして良く登場していましたが……」

 

「ボクは知らないなぁ……母さんは?」

 

「あたしも漂流者の人が書いた物語くらいでしか知らないねぇ……」

 

悠大の問いに三人とも疑問符を浮かべて返事をする、その家族の反応に満足そうに頷いた彼は小説家らしく勿体を付けて咳払いを一つすると、その麗しき美声で吟遊詩人の様に一つのサーガを語り始めるのだった。

 

 

それはとても古い時代の物語、散逸した口伝や石碑、伝承を繋ぎ合わせて完成した一つの歴史。

御伽噺だと思われていたその伝説は現代の歴史学者達の研究や遺跡の発見によって歴史上の出来事だと判明したのだ。

 

今よりおよそ三千年程前、このゴルディオス大陸は戦乱の真っただ中にあった。

各地で勃興しては滅ぶ国、人と人が寸土を巡り争い合う、幾つもの国々が成立しては歴史に名を残さずに消えていった時代。

 

さながら蟲毒の壺の様なこの大陸に一つの国が生まれた、その国の名はデイモス、建国者であるアロケンは己を魔王と号し、周辺諸国に対して苛烈な侵略を開始したのだ。

 

魔王アロケンの武力は凄まじく、その剣の一振りで敵兵10人を纏めて斬断する程の膂力と三日に渡って寝ずに戦い続ける無限の体力、例えどれほどの傷を負おうとも次の戦では傷すらも残っていなかったという不死身の肉体を持っていたのだと伝承では語られている。

 

周辺諸国は彼を魔獣化した人だと怖れ、魔王アロケンが出陣するとその国々は戦う事を放棄し次々と城門を開けて降伏していったという。

 

人の身に有り得ぬ力、有り得ぬ体力、有り得ぬ不死性……、魔王国デイモスはこの大陸で栄華を極め、魔王の死後もその不死性から彼の復活を恐れた人々によって攻められることは無く、数百年の長きにわたって戦乱の時代の中で栄えていたと伝わっている。

 

「という伝説だ、近年の発掘と研究でどうやら事実であったという裏付けがされてな、この魔王アロケンだがどうやら魔人族だったのは間違いない様だ」

 

白皙の美丈夫が朗々と語り上げた一つの物語、彼の妻たる火憐でさえもうっとりと聞き入ってしまう程であった。

 

「強くてタフで不死身…………おかしいな、隣に一人いるんだが……」

 

「えっ! ボク?! いやいや……まぁ三日戦うくらいなら余裕だけど……所でお父さん、その話がリルちゃんと何か繋がってくるの? 同じ魔人族みたいだけど」

 

「ああ、彼の強さとタフさに関しては鱗華や黒斗君と同じだろう、深部に辿り着き生き延びる程の力が有ったのだ、魔竜を殺し、その力を糧としたのかもしれない……不死性に関しては……もう一つ彼にまつわるエピソードがあってな……」

 

戦に明け暮れていたアロケンであったが、大きな傷を負うと彼は、近しい重臣にのみ国を離れる事を告げてどこかへ出かけていた様であった。

 

王が国を離れる事などあってはならないのであろうが、彼は例え腕を失う程の怪我を負っていても国から離れて戻ってきた時には五体満足に戻っていたとの事で、アロケンの武力が生命線たるこの国では王の不在は徹底的に隠されていたのだという。

 

そして彼は自らの住まう王宮に一つの設備を作らせていた、近年発掘されたデイモスの王宮と思われる遺跡から出土した遺構……、初めは只の溜池かと思われていたのだが、招かれた龍人族の研究者が発掘された遺構をみて驚愕し、その正体を見抜く、間違いなく露天風呂であると…………。

 

「アロケンはいつも己の怪我を癒してくれる場所を神聖視していたのだろう、わざわざ似た物を王宮に作らせたくらいだからな……星より沸きいずる魔素、大樹海深部に湧き出る温泉であればそれは恐らく……竜種すらも魔竜化してしまう程に濃い魔素溜りそのものであろうよ」

 

 

「……――話長くない? 深部の温泉見つけて連れて行けばすぐ治るよ。これだけでいいじゃん!!」

 

全てを語り終えて満足そうにしている父親に冷静にツッコミを入れる娘、確かにその通りなのであろうが……今回に限っては相手が悪かった。

 

「いやいやリンカ……いい話だったぞ……金取れるレベルだぞこれ……声も綺麗だったしなぁ」

 

「ゆうちゃん……素敵……♡ 惚れ直しちゃった♡」

 

「娘よ……急ぐことでも無し、金級冒険者たる者、余裕を持たねばならんぞ……」

 

「味方がいない……まぁ確かに面白かったけど……でもこれでリルちゃんの事は心配ないね♡ ねぇクロト、セーヌに帰る時は大樹海突っ切ってさ温泉探しながら帰ろう♡」

 

「ああ、アルフェン達にいい土産が出来たな! きっと喜ぶぞ」

 

実家で聞けた思わぬ収穫に喜び合う二人、軽く言い合っているが深部を突っ切って大陸を横断する等、本来であれば自殺行為でしか無いのだ。そんな事を気軽に決めてしまう娘夫婦に、改めて金級冒険者の凄まじさを実感する悠大と火憐であった。

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