※この作品はR-18です。

ファム・ファタール~寝取らせモノが大好きな剣士が異世界転移した場合~   作:幻闇

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本日あと一話投稿予定。


47話 親子の会話と都市内観光

前回のあらすじ

 

 

こそこそと実家での夜の営みを愉しんでいた二人、ふとした切っ掛けで己に母を投影しながら行為を行っている夫に気付いてしまった鱗華は凄まじい敗北感と被虐感に絶頂してしまう。

 

泣きながら悦ぶ妻の愛しい姿に興奮した黒斗はより激しく愛の行為に没頭するのであった。

 

 

同じ時間、下の階の防音の魔道具が設置された両親の寝室では上階から聞こえる娘の嬌声と寝具の軋む音に触発された悠大と火憐が愛し合っていた。

 

黒斗に抱かれたいと心情を吐露する火憐を、肉体を破壊する程の激しさで責める悠大、彼も又黒斗と同じ性癖の持ち主であり、火憐も又、鱗華と同じ性癖の持ち主であったのだ。

 

 

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鱗華の実家に里帰りをしてから早一週間。

黒斗は義父である悠大から料理を学び、鱗華はその過程で作られる大量の料理を貪り尽くす、そんな日々を送っていた二人であるがそれ以外何もしていないという事は無い。

 

今日は朝から鱗華と火憐が二人で、服や化粧品などの買い物に出掛けるという事で留守番を仰せつかった黒斗と悠大。

 

折角なのでおつまみ料理のレシピを伝授しつつ男二人で昼間から呑もうという話になった様である、昼間から呑む酒が旨いのは万国共通なのだ。

 

――ジュアアアアアアアアア……ぱちっ……ぱちっ……

 

「その辺りだな……一度バットに取るのだ」

 

「はいっ! ひとつ……二つ……三つっと……――」

 

「二分ほど付着した油にて火を入れる……、その間に油の温度を上げておくぞ、およそ190度が適切か、基本的に肉は余熱調理が望ましいのだ、衣をサクサクの食感にする為に最後に高温で仕上げる程度で良い」

 

「成程……二度揚げってよく聞きますけど、そんな理由だったんですね……確かに火を入れすぎた肉は硬く、ジューシーさも失われますね」

 

唐揚げである。

酒のつまみとして恐らく人気トップスリーの座は堅いであろう唐揚げ、老若男女問わず嫌いなものなどいるまい……日本に限らずフライドチキン等の鶏肉を揚げた料理は何処の国でも見られるものだ。つまり唐揚げは正義である、レモンは取り分けてからが良いであろう……戦争を起こしたくなければ……。

 

揚げ物や焼き物、火を使う肴をある程度仕上げた二人は揚げたて焼き立ての肴を卓に並べて米酒を酌み交わす。

 

「ふむ、切れ味の鋭い酒だ……唐揚げに合う……。しかし旨いな、黒斗君は武は元より料理の才もあるとみたな……適正な揚げ加減を見極める眼力、小生も敵わぬやもしれん」

 

「師が良いからですよ。それに対象の状態を観察するのは得意ですから……」

 

ちなみに火を使う料理を先に用意した理由として、酒が入った状態での調理は危険が伴うからだ。

この二人に限ってそんな事は無いであろうが、何事も万が一という事が有る。手間のかかる火を使う料理は素面にて行い、和え物や刺身は予めて用意して冷やしておくのも良いだろう。

酒が入った状態でつまみが切れてしまった場合は乾き物や刺身の納豆和え、冷奴等の簡単な肴がおススメである。

 

「そうそう、義父さんの作品を幾つか読ませて頂きました。凄く面白かったです」

 

「おおっ、読んでくれたのかね……妻と娘にはあまり評判がよろしくなくてね……」

 

「ホラーですからね……女性は苦手な人も多いでしょう。俺は好きですが」

 

「舞台劇用に歴史上の英雄の物語なども脚色して書いたりしているのだが、そちらは受けがよかったな」

 

「色々書かれてるんですね、流石は義父さんだ」

 

悠大、まさかのホラー作家であった……、割とおどろおどろしい作風の彼の怪奇小説は妻と娘には受けが宜しくないようだ。

その後も黒斗が地球で読んで面白かった作品やこちらの世界での人気作品の話などで盛り上がる二人、冷蔵庫で冷やしておいたつまみを新たに取り出してきたりと男二人でそれなりに楽しんでいる様子である。

 

「ふむ……いい具合に酔いが回ってきたか……ところで黒斗君、子供の事は考えているのかね?」

 

「ええ、今はまだ未熟者ですが、ある程度蓄えが出来て大陸を二人で見て回って……数年後にはと、二人で話し合ってますよ」

 

「ふむふむ、計画性は大事であるな。小生は若い頃は売れない作家でな……火憐には苦労をさせた……、黒斗君であればその辺りは全く問題無かろう。しかしそうか……鱗華も母となるか……」

 

「義父さん達もまだまだ若いではないですか、二人目など考えてみても良いのでは?」

 

「むっ……――確かに鱗華ももう一人立ちした大人であるしな……貯えも有るが……しかし今更……――今度、火憐とも話し合ってみるか……」

 

肉体の全盛期が長い龍人族はそれに応じて出産適齢期も長い、60歳くらいまでは安定した出産が可能というのだから驚きである。安定した土地を見つけた彼らが数百年で大規模な都市を構築できた理由の一つでもあった。

 

 

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黒斗と悠大が留守番をしている間、買い物に出ていた鱗華と火憐。

二人仲良く腕を組みながら歩く様はまるで仲良しの姉妹にしか見えない、実際は20歳程、年の離れた親子なのであるが……。

 

「しかしアンタ、服の趣味も大分変わったねぇ……家に居た頃は男みたいな恰好してて、冒険者に成ってからは肌とか尻尾隠してたでしょ」

 

「都市なら兎も角さぁ、辺境の村とかだとひそひそじろじろ鬱陶しかったんだもん、子供に石投げられた事もあったんだから」

 

「そういうのが嫌だからあたし達はここから出ないんだよ……行っても首都とか前線都市あたりかねぇ」

 

発展した都市部であればともかく、辺境の地には未だに、古き因習や差別思想が残っているのだ。

そういった煩わしさを厭った龍人族達は基本的には里から出る事は余りない、必要なものは里で揃うし、行商人に頼めば大抵の物は運んできてくれるからだ。

 

様々な銘品珍品を手に入れられるこの都市は商人達にとっても大事なお得意様なのだから。

 

「でもそのお陰でいい旦那を見つけられたんだから、正解だったんだねぇ……流石に、強くて逞しい日ノ本出身の旦那は商人からは買えないからね。あっはっはっ」

 

「吃驚したよ~、いきなり気配が出現したとおもったらドシーンって大きな音がして……見に行ったらクロトが白装束に丸腰でいてさ、最初はお化けかとおもったよ」

 

「漂流してきた所に鉢合わせなんてホントに運がいいねぇ……どっちもね。それで互いに一目惚れなんてさ、今日びそんな安易な恋物語は流行らないってくらい出来過ぎた話だね」

 

「別に盛ってないよぉ? 自分でも凄く幸運だとは思ってるけど……――あっ! あの服可愛いねっ! 母さんにも似合うんじゃない?」

 

「ちょっと鱗華~、今日は母さんはやめてって言ったでしょ。どうせなら若く見られたいんだから」

 

「あっ……ごめんごめん、姉さんにも似合うと思うよ~」

 

どうやら本当に姉妹設定であるらしい……、幾つになっても若く見られたいのは女の性(サガ)なのであろう。商業区の中でも服飾店が軒を連ねる一角で女二人は姦しくウィンドウショッピングを楽しむのであった。

 

 

気に入った服や下着などを幾つか購入した二人、今はこじゃれたカフェのテラス席でゆったりと休憩をしている様だ。次は何処に行こうかと楽しそうに会話をしている鱗華と火憐、そんな二人に突然声が掛けられる。

 

「キミ達何処から来たのー? 可愛いね! 俺達も一緒してもいいかな?」

 

「俺らこの辺り詳しいからさー、色々案内してあげるよ?」

 

親切さを前面に押し出した顔つきで、やや軽薄そうな龍人族の男が二人、声を掛けながら近づいてきた。所謂一つのナンパである。

 

「あらあらナンパかしら? うふ、折角お誘い嬉しいんだけど……あたし達、既婚者なのよね♡」

 

「悪い気はしないけど……ボク達も地元だから大丈夫だよ、ありがと♡」

 

左手の薬指をちらちらと示しながらにこやかに返事をする鱗華と火憐、そんな彼女たちに男達は…………。

 

「あちゃー、人妻でしたか。旦那さん達が羨ましいねぇ……まぁ俺達この辺りで遊んでるから、なにかあったら頼ってよ。奥さん達みたいな美女なら下心無しで助けちゃうからさ」

 

「ああ、もし仲良くなれたら、独身の女友達を紹介して貰えるかもしれないしな! またなぁ、美人姉妹さん」

 

爽やかな笑顔でそう言い放つとふざけ合いながら去っていく男達、普通にイケメンであった……しつこい男は嫌われるのを知っているのだろう。やや軽薄そうであるが誠実そうでもある彼等なら比較的女性には困らないというのも有るのかもしれない。

 

「美人姉妹だって! 嬉しい事いってくれるじゃないかい……半日くらいなら付き合ってあげてもよかったかもねぇ……良い男だったし」

 

「見た目はボクの好みではないけど性格は良さそうだったね、確かにちょっと勿体なかったなぁ……またあの人達に声かけられたらついていこうかな♡」

 

去って行った男達の後ろ姿を眺めながらそんな事を話し合う鱗華と火憐、しつこいようなら多少手荒にあしらって……と考えていたが思ったよりも爽やかな彼等に少し興味が沸いた様だ。

 

そんな娘の様子に、にやにやと厭らしい笑みを浮かべた火憐が囁き掛けた。

 

「アンタ……もし付いていって体を求められたら相手してあげるつもりだっただろ?」

 

「うえっ?! …………――うすうす気づいてたけど……もしかして姉さんも?」

 

「アンタと同じ……いや違うねアンタがあたしと同じなんだろうね。ふふっ、ちなみに何人くらいだい?」

 

まず間違いなく、己と同じ性癖を持つであろう娘に問い掛けた火憐、やや混乱しかけたものの火憐が同志でもあると解り安心したのか、ほっとした顔で答える鱗華。

 

(くろちゃんと出会ってからだろうから……そんなにはいってないかねぇ、あたしでも50人くらいだし)

 

「んーっと……正確にはわかんないんだよねぇ……2000人は超えてると思うんだけど……」

 

「………………――は?」

(にせん……二千?! えっ?! 半年ちょいでその数はおかしくないかい……)

 

「スラムみたいな場所の場末の酒場で、低収入の労働者を集めてね♡ 月に一度してたんだけど、大体一回で300人くらいくるかな。同じ人も多いと思うけど……」

 

「アンタ…………凄いね…………先輩と呼ばせてもらうよ……肉便器先輩……」

 

「それはちょっと……」

 

娘の余りの肉便器っぷりに驚愕する火憐、さすがに四桁越えは予想外だったようだ。

 

「そうだ、姉さん。話は変わるんだけどクロトに里を案内してあげたいんだ、家からだと慌ただしいから何日か泊りがけで観光してくるよ」

 

「いいじゃないか、ウチだと夜も気を使ってんだろ? 毎晩ギシギシさせてたけど声はそんなに大きくなかったからね」

 

「いやん♡ やっぱり聞こえてたかあ……姉さん達静かだったから、寝てると思ってたんだけど」

 

「あたし達は防音の魔道具使ってるからねぇ……、ゆうちゃんたら最近激しくて♡ 実はまだガバガバなのよ♡ さっきのコ達に付いていかなかったのはそれもあるわねぇ……」

 

「なにそれズルい……ボクが我慢して欲求不満だってのに……まぁそういうわけだから明日からちょっと家を空けるね」

 

「あいよ、愉しんできな」

 

見た目だけは優雅な……会話の内容はアレなのであるが、ティータイムを終えた二人はまた二人仲良くショッピングに戻る。

 

アダルトな雰囲気の店で色事に特化しか下着を購入したり、夫たちに食べさせる精の付きそうな食材を購入した二人であった、……。もっとも、作るのは彼らなのであるが……。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

龍人族の里は各国の首都にも匹敵する程の大都市だ、歴史的には比較的新しい都市であるため、名跡や史跡などは少ないものの全く無いという訳では無い。

今黒斗達が訪れている場所はそんな数少ない場所の中でも恐らく、一番有名な場所であろう。

 

「ここがそうなのか、言葉で聞いて思ってたのと全然違うんだな……というか酒場……なのか? メチャクチャデカいけど……」

 

「酒場もやってるね、持ち込みも自由だし、年に一度の四月の祭りの週には無料でお酒と食べ物が振舞われるよ、都市民が毎日、交代で祭りに参加するんだ」

 

黒斗の目の前に聳えたつ巨大な建物、近い所で言えば天井を完全に覆わないタイプのスタジアムに近いかもしれない。

優に数万人は収容可能であろうその巨大な建物、鱗華の言葉によればそこは…………――霊廟であった。

 

「真ん中に里を興した開祖様のお墓があってね、毎年四月の命日の週はお祭りをやるのさ」

 

本人の希望により名前すら伝わっていない里を興した人物、彼は亡くなる直前に己の家族達を集めてこう言ったそうだ、墓の近くに酒場を建ててほしい、湿っぽいのは嫌いだから葬式や法事はやらなくていい、代わりに宴を開いてくれと。

 

おしどり夫婦として知られていた妻の遺骨と共に彼が墓に葬られると、毎年彼の命日には里の物全員で宴を開き、彼の偉業を讃え、祝うようになった。現代では余りの人口に一日では足りず、一週間に渡って行われている。彼の好物にちなんであくまき祭りと名付けられたこの祭りの費用は全て、都市の運営資金から拠出されるとの事だ。

 

「湿っぽくされるよりは墓の周りで宴をして貰いたいか……解るぜ、その気持ち。俺も絶対その方が嬉しいなあ」

 

「だよねぇ……。お社を見学したらお昼を食べて行こうよ、ここはカレーが美味しいんだ」

 

「おっ! いいねぇ、カツカレーはあるかな」

 

凄まじく広い霊廟の中央付近に建てられている立派な社、どことなく神社を連想させるその建物に近付いていく二人。社の周囲には帷子の様な装束を着た数人の男女が清掃をしたり、供え物の整理をしたりしているようだ。

 

「あーそっか……墓だもんな、なんかお供え用にもってくりゃよかったか……」

 

「そこでお酒とあくまき買えるよ?」

 

「なにそのシステム……――いやでも寄付みたいなもんなのかな、買ってくか」

 

社の横の売店でお供え用の酒とあくまきを購入した二人、ちなみにあくまきとは九州地方の郷土料理で灰汁で炊いたモチ米を孟宗竹で包んで煮たお菓子である。

粽(ちまき)の様なもので実際に地元で粽といえばこちらを指す場合も多いのだ。

 

「ここがお供え台か……ここに置いてってと……なんか作法とかあんのか?」

 

「無いんじゃない? 適当に目をつぶって合掌しとけばいいよ」

 

「お、おう……せやな……」

 

供物台に酒とあくまきを置いた二人はそれぞれに眼を閉じて両手を合わせ黙祷を行う、黒斗にとっては偉大な先達、鱗華にとっては自分達の先祖を救ってくれた大恩人である、適当な作法とは裏腹にその黙祷には万感の思いが籠められていた。

 

(あくまきが好きってこたぁ……ぼっけもんだよな、島津ゆかりの武士ならそりゃあ強かっただろうよ……アンタが救ってなけりゃ鱗華だって生まれてこなかったかもしれん、心から感謝する……大先輩)

 

(開祖様ありがとう。ボク達ここまで里を大きくしたんだよ、見えないけど、ここで見守ってくれてるのかな? 今日は開祖様と同郷の夫ときたんだ、刀使うから武士だと思うんだけどあっちの世界の日ノ本にもまだ武士はいるみたいです、安心してね)

 

愛する妻の先祖を救ってくれた先達に感謝する黒斗、ややズレているものの里の発展と夫の紹介をする鱗華、過去の英雄の生き様に想いを馳せて……、二人は黙祷を暫くの間、続けるのであった。

 

お参りを終えた二人は社の奥に進んでみる事にした、立派な建物で入り口付近には受付があるようだ。名前と身分証を求められたので記入し冒険者カードを提出した二人。

 

特に問題なく建物の中に通され、見学する黒斗と麟華。

開祖ゆかりの品物が陳列されているようだ、建物の真ん中は中庭となっておりそちらに400年前から変わらぬ墓石が安置されていた。

 

状態保存の魔法が掛けられている為、比較的当時のままの姿が遺されている。開祖の名は刻まれていない、だがその妻の名前、ユウリという名が墓碑に刻まれていた。

 

「奥さんは龍人族だったみたいだよ、凄く仲が良くて亡くなる時は沢山の子孫に囲まれて看取られたって伝わってるんだ」

 

「断言出来る、コイツは間違いなくこの世界に飛ばされて幸せだったな、すげぇ共感できるわ……一国一城の主となって、好きな女と添い遂げて、死んだ後もこうやって子孫たちに囲まれてよ、幸せモンだな」

 

「ボク達も沢山作ろうね、子供♡」

 

「色々頑張らないとだな……」

 

開祖への黙祷を終えた二人は近くに併設されている居酒屋兼食堂に向かい鱗華オススメのカレーを注文する、黒斗はカツカレー、鱗華は激辛チキンカレーである。

大量に食べる龍人族向けの量となっている為に他種族が頼む場合は要注意なのだそうだ。

 

「特盛やべぇなこれ……五キロくらいか? カツで一キロはあるんだが」

 

「ボク達には丁度いいけどね、この激辛なのも中々他の街では食べられないからさぁ……此処にきたら絶対食べるんだ」

 

近くに居るだけで眼と鼻が刺激されて噎せてしまう程に凄まじいオーラを放つ鱗華のチキンカレー、勿論特盛である。

 

「それは人の食べ物なのか……?ちょっと一口貰うぞ………………――ッがっ!!!ごああああ!!水!!死ぬ!!ゲホォッ!! ゴクゴクゴクゴクゴクゴク…………――今までに死人は?」

 

口に入れて舌に触れた瞬間に突き刺さる様な激痛が黒斗を襲う、余りの衝撃に思わず飲み込んでしまったが喉に灼熱の鉄棒を突き込まれたかのような凄まじい痛みと苦しみに、呼吸すらまともに出来ず慌てて水をピッチャーごと飲み干した黒斗は掠れて引き攣った声で鱗華に問い掛けた。

 

「いるわけないでしょ……只の辛いカレーで……」

 

「う……そ……だ、げほっ!ごほっ! ゴクゴクゴク……あ、すいません、ラッシー三杯貰えます?」

 

まだ痛みの治まらない黒斗が通りかかった店員に喉の痛みを紛らわす為に甘い飲み物を頼む、その様子を大袈裟だと肩をすくめながら眺めて、地獄の様なチキンカレーをもしゃもしゃと食べ始めた鱗華。辛そうではあるがその程度である……。

 

「ひゃー、この辛さがいいんだよ。針玉を口に入れて飲み込んだ様なこの激痛と喉の刺激…………あはぁ……♡ 最高……♡」

 

「そういやリンカはドMだったわ……つーか見た目からしてヤバい……何処ぞの麻婆かよ……」

 

怪しげな神父と相性が良さそうだなと益体も無い想像をしながら己のカツカレーを食べ始める黒斗、こちらは至って普通の辛さだ、様々な野菜が煮溶けていて旨味が凝縮されたルゥに、煮崩れない様に後から入れられたジャガイモがねっとりとした甘さを加えてとても美味しい、牙猪のロースカツも赤身と脂身のバランスが絶妙である。

 

「うっまっ!! カツもちゃんと二度揚げしてあるんだな……料理が出来るようになると色々工程が解る様になって楽しいなぁ……味を盗むってよく漫画にあったけど確かに慣れてきたら食べるだけである程度再現できそうだ」

 

「やったぁ! 美味しい料理見つけたらクロトに作って貰おう♡ 持つべきモノは料理の出来る旦那だねぇ」

 

「まだまだ俺なんて料理が出来るって言えるレベルじゃないから期待しないでくれよ……まぁ修行を怠るつもりはないがな」

 

「クロトならすぐプロ級になるよ~、それにクロトの作ってくれたモノなら何でも美味しいよ♡」

 

料理は愛情、大事な人に作ってあげたい、大事な人が作ってくれる、その真心という調味料こそがなによりも大切なのである。

 

楽しい食事の時間を過ごした二人は食後のデザートとしてあくまきと暖かいお茶を味わうとその他の名所を廻る為に再度、街へと繰り出していくのであった。

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