※この作品はR-18です。

ファム・ファタール~寝取らせモノが大好きな剣士が異世界転移した場合~   作:幻闇

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キリの良い所まで書いたら投稿しようと思ってたら予定の三倍位の量に……。はい、いつもの事ですね。八話分を何日かに分けて投稿予定です。




五章 未知なる温泉を魔境に求めて 上
59話 二つの情報


 大晦日の夜に年越し乱交大会が開催された辰宮家。暴走した鱗華のせいで主に火憐が大変な事になったりもしていたのであるが本来の目的である種付けの方は上手くいったのであろうか。

それは予定していた出発日を迎えた黒斗と鱗華を、満面の笑みで送り出している火憐の表情を見れば一目瞭然であるだろう。

 

「では俺達はセーヌに帰ります、義母さん義父さん、お元気で! 今年の冬は少し早めに帰省しますよ、大事な義(・)理(・)の(・)妹(・)か(・)弟(・)の出産に間に合うように……ね」

 

「うふっ、そうね。ちゃんと間に合う様にお願い。くろちゃんはお(・)義(・)兄(・)ち(・)ゃ(・)ん(・)になるんだから♡」

 

「うむ、小生達の大事な子供だ。黒斗君と鱗華には是非立ち会ってもらいたい……くくく、そうそう二人も子供が欲しくなったらこちらへ来るのだ、妊娠初期は不安定になり易いからな親として助けさせてくれ。まぁ最初はあえて二人だけで挑戦してみても良いかもしれぬがな。では壮健であれ、我が子等よ」

 

「うんうん、必ず来るよ~。もう何年か先だと思うけど父さんにも(・)頑(・)張(・)っ(・)て(・)もらうからね♡」

 

 お互いに意味深な微笑みを浮かべながらひと時の別れの挨拶を行う親子夫婦、勿論会話の内容は建前である、火憐はしっかりと黒斗の子を孕んでいたのだ。下腹部を愛おしそうに撫でる火憐とそんな妻を気遣う様に肩を抱く悠大、名残惜しそうに二人を何度も振り返りながら街門への道を歩く黒斗であった。

 

「また振り返ってるの? もうそんなに母さんが恋しいのかなぁ? すっかりマザコンになっちゃったね。でも残念、あと一年近く母さんとはセックス出来ないよ♡」

 

「そうだなぁ……はぁ……――仕方ない、リンカに髪型を母さんと同じにして貰って……代わりに抱いて我慢するか。それか義母さんの写真を貼った袋でも被せてヤろう」

 

「うはぁ! ボクの旦那マジで鬼畜、割と七割くらい本気なのが解っちゃって怖い♡――でもそんな事されたらボク……はあんッ♡ もう濡れてきたよぉ……クロトそれ今度ホントにお願いね♡」

 

「失礼な、流石に五割くらいだぞ。でもリンカならOKすると解ってたからホントは十割かな? まぁいいか、ってそんな話してたらムラムラしてきたな、ちょっとトイレいくか。一発抜きたい」

 

「穿いたまま出来るパンティつけてるからそのまま出来るよ。ボクもムラムラしてたから丁度いいや、レイプっぽく犯して欲しいかなぁ、そんな気分なんだ♡」

 

 相変わらずのドスケベ夫婦っぷりを如何なく遺憾なく発揮する二人であった、いやむしろ実家に帰ってくる前よりも悪化しているであろう、悠大と火憐の先輩ドスケベ夫婦と暫く一緒に暮らした影響なのは疑いようがない、夫婦同士で互いにその変態性を高め合った結果なのだろう。

 

 最初の頃は姿隠しを駆使して公衆トイレに二人で入っていた黒斗と鱗華であったが最近は慣れたもので周囲の気配と視線の外れた瞬間を感じ取り、魔法も使わずに速やかに入っていく。

 

 五分ほどの時間をトイレ内で過ごして別々のタイミングで出てきた二人、黒斗はスッキリとした爽快な顔で、鱗華も同じように爽やかな顔付きであるがその頬は薄桃色に染まり、やや吐く息も荒い様だ。仲良く腕を組んで街門へと歩き出した二人は甘やかな雰囲気を撒き散らしながら、そんな雰囲気とは別次元のハードな話を交わし合っているようだ。

 

「うん、やっぱり凌辱は良いものだな! 実家に暫く居たから仕方ないんだが久しぶりにリンカがレイプされる所が見たいぞ、なるべくハードな奴がいいなぁ」

 

「確かにクロトや父さんだと拷問プレイとかでも愛があるから凌辱って感じじゃないんだよねぇ……セックスの延長にしか感じなくて……でもそれはそれで気持ち良いんだけどね♡」

 

「身内とか風俗店とか出逢い酒場だと基本皆紳士で優しいしな、よさげなシチュを考えておくか」

 

「うんうん――あっ、そろそろ門だね、とりあえず深部で探索する?」

 

 リルの傷を癒す為に深部の温泉をセーヌに帰りがてら探索する予定である二人、軽い口調ではあるがこれは二人にとっても結構な難事なのである。単体であれば問題なく倒せるであろう竜種も群れをなしていれば手を出す事は出来ないし、上位の存在ともなれば二人で掛かったとしても容易に勝てる存在ではなく、基本的には隠密行動が主流となる筈だ。

 

「いや、少し考えてみたんだがいきあたりばったりに探索するには広すぎるからな……まずはマウリアに行こうと思う」

 

「南部連邦の前線都市の? なんかあったっけ」

 

「ジェノガルドに入る前に会ったキャラバン隊を覚えてるか? あの人たちの本拠地だ、各地を廻るキャラバン隊ならなにか情報を持っているかもしれないだろ? それに一度顔を出すって言っちまったからな」

 

「あっ! あのムキムキの商人さん達か! 太くて逞しい腕でボクのおまんこガバガバに拡げてくれた人達だよね♡ あれ凄く良かったなぁ……お腹いっぱいに何本も腕が暴れまわって……んッ♡」

 

「そうそう、その人達だ。色々貰っちまったしな、渡世の義理は疎かにしたらいけないだろ?」

 

 街門を出て、クレーターの中心部に発展した大都市、龍人族の里に別れを告げた二人は街道を駆け抜けて前線都市を繋ぐ新街道へと向かう。比較的温暖な地域とはいえ真冬に旅をする者は少ない、精々が行商の為の商人達くらいであろうか、比較的空いている新街道を誰に気兼ねすることなく速度を上げて疾走する二人、たまには全力で走るのも良いという事で競争をしている様だ。

 

「次の野営地まで競争……っても流石にリンカには勝てなさそうだな……。追いつけそうだが追いつけない、アイツからかって愉しんでやがるな」

 

「んふっ、クロト少し重すぎるんじゃない? 筋肉付け過ぎても敏捷性が下がるよぉ?」

 

「くそっ……リンカめ、どんだけ筋力つけても見た目ほぼ変わらないとかチート過ぎんだろ……ムキムキのリンカは嫌だから嬉しくはあるが流石に理不尽だぜ……」

 

 土煙を上げて樹海浅部を貫く新街道を爆走する二人、ときおり追い越されていく馬車に乗った行商人達が呆然と見送る姿を尻目に凄まじい速度で駆け抜けていく。時速100キロは越えているだろう――もはや人族の出せる速度では無かった、ちなみに本気を出して四足で走るアルフェンの速度が時速200キロ程度である、勿論これは継続的に走る速度であるので瞬間的な速度であれば彼等は更に速く動く事も出来るのだ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 数日後、特に何事も無く南部の国ウィンダニア連邦の前線都市マウリアへと辿り着いた二人。都市内に入る際に衛兵に確認したところブル・ゲール商会が構える店が幾つかあり、その中でももっとも大きなマウリア本店の場所を教えて貰う事が出来た。紹介状を魔導テントの中から予め取り出しておいた二人はまっすぐに本店へと向かうのであった。

 

 

「なんというか前線都市っていうからセーヌみたいな感じかと思ってたけど全然違うなぁ……あそこなんて岩山に穴開けた様にしか見えないけど……建物なのか?」

 

「あれは狸人族のアパートじゃないかな、この国は様々な亜人が集まって出来た連邦国家だからね、比較的新しい都市は色んな種族に合わせた様式の建物があるんだよ」

 

 和洋折衷どころではない、ざっと見渡しただけでも明らかに建築様式の違う建物が七種類以上は見つけられる混沌とした街並みに、黒斗はファンタジー好きとしての心が擽られるのか細い糸目を見開いてキラキラとした視線をキョロキョロとそこら中に送っていた。

 

「凄いなぁ……いかにも異世界って感じだ、道往く人達も色んな種族ばかりだ。狼人族や魔人族、獣系の亜人は大体わかるけど……あれは蛇人族か? 下半身が大きい蛇でまんまラミアみたいだけど男性もいるんだな」

 

「うんうん、あそこのカップルさんは蛇人の男性と龍人族の女性だね、最近は異種族カップルも増えてきていい事だよね。昔は結構少数派だったからさぁ」

 

「鱗を持つ者同士で気は合いそうだけど確かに地球でも数十年前は国際結婚はマイナーだったからな、似たようなものか」

 

「知ってる? 蛇人のセックスって凄く激しいんだ、龍人族なら耐えられるけど普通の人族だと相当鍛えてないと厳しいかも。筋肉の塊みたいな蛇の下半身で締め付けながら二本の棘だらけのおちんぽでセックスするんだってさ……一度犯されてみたいなぁ♡」

 

「それは凄そうだな……チャンスがあれば見てみたいが――どうやら着いたようだぞ」

 

 教えて貰った場所に聳えたつ巨大な建造物、白亜の角ばった建物には屋上から色とりどりの垂れ幕が垂れ下がり、様々な商品の広告が張り付けられている。日本にある大手の百貨店もかくやという大店、それがブル・ゲール商会マウリア本店であった。

 

「でけぇ……日本橋の四越本店かよ……」

 

「四越はわかんないけど凄いね……お城かと思ったよ」

 

「此処で合ってるよな……まぁ受け付けで紹介状を見せてみるか」

 

 恐る恐る建物の中に入った二人は正面にある総合カウンターでにこやかに微笑んでいる二人の女性の所に向かい、ウィルから渡されていた紹介状を見せる。

 

「すいません、ウィルさんからこれを貰っているんですが」

 

「拝見いたします……――本物の様ですね、三代目なら丁度昨日に帰ってきていますのでご案内いたします、こちらへどうぞ」

 

「おっ、そうですか。良いタイミングだったようだ、お願いします」

 

 受付嬢に案内されてエントランスホールにある魔導昇降機で最上階である12階へと案内される黒斗と鱗華、操作パネル鍵を差し込んで操作している所を見るとこのフロアへは一般客は立ち入りできないのであろう。事務所や会議室などが詰め込まれたフロアの、仕立ての良い柔らかな絨毯を踏みしめながら応接室と書かれた部屋に案内された二人。

 

「こちらの部屋で御寛ぎになってお待ちください、お飲み物と軽食を用意して御座いますので宜しければどうぞ。それほどお待たせせずに三代目が来られるでしょう、では私は失礼致します」

 

「わかりました、案内ありがとうございます」

 

 部屋まで案内してくれた受付嬢が一礼をして去って行くときらきらした瞳で部屋を見渡していた鱗華がいつ用意したのか、テーブルの上に既に用意されていた銀盆の上に載っていた美味しそうな軽食を見つけて瞳を更に輝かせた。

 

「ありがとー! わっサンドイッチがあるよっ!……もぐもぐ――美味しぃー!!」

 

「もう食べてるっ!?……はぁ……俺も食べよ」

 

 もぐもぐとリスの様に頬を膨らませてサンドイッチを食べている鱗華に苦笑しつつも、自分もとサンドイッチを口に運んだ黒斗であるが同じようにその美味しさに驚愕するとこちらも夢中になって食べ始める。

 

「美味いっ! これは……只のハムサンドにしか見えないが――なるほど……」

 

 もう一つ手に取ったハムサンドを開いて中身を確認した黒斗、勿論良い素材が使われているのは当たり前なのであろうが具材であるレタス等の葉物野菜を確認すると、葉脈や芯などの歯に触る硬い部分が丁寧に取り除かれているのが見て取れる、味の追求のために一手間を掛ける職人の拘りが解るそのサンドイッチに感動しつつ味わっていると部屋の扉がコンコンと軽くノックされて一人の男が入ってきた。

 

「お二方とも、本当に来て頂けるとは! お久しぶりです、話されていた時よりも大分早いようですが、お陰で私が対応する事が出来ました」

 

「三か月ぶりくらいか? あの時は色々世話になったな、良い取引だったよ」

 

「ボクも覚えてるよ、ウィルさんは確か頭から産み直してあげたよね。頭突っ込みながら両手をお尻にぶちこんでくれて凄く気持ち良かったなぁ……」

 

「やはは、光栄です。今回はなにかご用件でも? 当商会を頼って頂けたのであれば有難いのですが……、いえ単に遊びに顔を出して頂けるだけでも嬉しいのですが」

 

 部屋に入ってきた見覚えのある男が二人に挨拶をする、武装キャラバンの長であり商会の三代目でもあるウィルだ。思ったよりも早い二人の来訪に戸惑いつつも歓迎してくれている様だ。

 

「ああ、各国を廻っている貴方達を見込んで少し頼みがあってな。要は情報を買いたいのだが、そういったモノも扱っているか?」

 

「勿論です、それは我らの商いの中でも重要なモノですよ、具体的にどういった情報をお求めでしょうか?」

 

 ソファーに座り商談を始めた黒斗とウィル、残り少なくなったサンドイッチを前にやや哀しそうな顔をして味わう様に食べている鱗華を横目に二人の会話は続いていく。

 

「大樹海深部にある温泉を探しているんだが、ズバリそういった情報はないか?」

 

「温泉というと……大地から湧き出す湯の事ですね。大樹海深部のモノとなると……すいません少々お時間を頂きます」

 

「大丈夫だ、後日改めて来ればいいか?」

 

「いえ、数十分程お待ち頂ければ大丈夫です。どうやら当商会のコックの料理も気に入って頂けた様だ、追加で用意させますので暫しの間こちらの部屋でお寛ぎください」

 

「やったぁ! ねぇねぇ、ボクお酒も飲みたいな、お茶は飽きちゃった」

 

 最後の一個を食べ終えて憂いに満ちた溜息をついていた残念美女がウィルの言葉に歓声を上げてさらに図々しい要求を行うと今度は隣に座っていた黒斗が盛大な溜息をつく。

 

「リンカお前……遠慮をという言葉を――知るわけも無かったな、すまん。ウィルさん気にしないでください……」

 

「やははは、構いません構いません、奥様の願いとあらば不肖、このウィル・ゲール。叶えられる範囲であれば叶えて差し上げます、なにしろ私の第二の母上ですからな。最上級のモノを用意させましょう、飲み切れなければお持ち帰りいただいて構いません」

 

「だってよ~? クロト。ボク、あの時20人息子が出来ちゃったみたい、おまんこガバガバにして産み直した甲斐があったね♡……ふあっ……思い出したら……んっ♡ はぁん……」

 

 キャラバン隊の男達との饗宴、20人の屈強な男達の両脚や頭を子宮に受け入れて疑似出産プレイを行った思い出を恍惚の表情で思い返しながら肢体をくねらせる鱗華。その様子にやや前屈みになった黒斗とウィルは顔を合わせて苦笑する。

 

「不意打ちエロモードは汚い……まだ昼間だぞ……」

 

「相変わらず凄まじい色気ですね……早く退出しないと不味そうだ、ではまた後程」

 

 ポケットに突っ込んだ手で素早く、元気になりかけた息子のポジションを調整したウィルが一礼をして部屋を出ていく、それを見届けた黒斗は鱗華の手を取ると応接室の中にあるトイレの中に連れ込み……治まらない下半身の責任を取らせるのであった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 出て行った時間から30分ほどして戻ってきたウィル、追加のサンドイッチや生ハムを乗せたチーズクラッカーをつまみに各地の銘酒を堪能していた二人に声を掛けながらソファーに座ると手に持っていた巻物をテーブルに広げて二人に説明を始める。

 

「お待たせしました、まずはこちらをご覧ください」

 

「地図か、大陸全土じゃなくて樹海がメインのようだが」

 

「空白ばっかりだね、ギルドにある地図とあまり変わらないけど……この印は?」

 

 広げられた地図は二人にも見覚えのある地図であった、ギルドが発行している樹海深部の地図とほぼ同じような空白地帯だらけの地図とも呼べぬ――辛うじて巨大な湖や特徴的な遺跡によって位置関係が把握できる、といった代物である。ただウィルが広げた地図にはいくつかのバツ印が付け加えられているようだ。

 

「深部に関しては詳しい事は解っていないのは御存知でしょう、地形変動も頻繁に起こりますし金級冒険者の方も数が少ない上に貴重な情報は秘匿されがちですので……、こちらの印は我々が集めた情報から特に魔素が濃い地域や明らかに他とは環境が異なる異常地帯を示したものです」

 

「成程、魔素が濃い場所なら温泉が存在する可能性もあるな……闇雲に探すよりはこういった場所を中心に探した方が良いか、しかしこの情報、かなり貴重なモノだろう? 対価は何が望みだ?」

 

「対価を示さずに情報を見せる事などしませんよ、初めてのご利用という事で今回、お代は頂きません」

 

 思いがけないウィルの言葉に驚き――やや不信な眼差しを向ける黒斗、やり手の商人が対価を求めずに貴重な情報を提供するなど有り得ない、代わりに恩を売るつもりだろうか? それともなにか企みでもあるのではないか? そんな意味を籠められた視線を向けられたウィルが苦笑しつつ言葉を発した。

 

「流石に怪しまれてしまいますね……勿論恩を売っておきたいというのは有ります、それは否定しませんがこの情報に関しては裏が取れていない、つまり確たる情報ではないのですよ、そのようなあやふやなモノを取引など出来ません」

 

「ああ、そういう事か。自分達で深部まで赴いて真偽確認が出来ないって事だな?」

 

「そうです。流石に深部を探索出来る者はうちには居りませんので」

 

 互いに納得したかのような表情で話し合う男達をきょとんとした表情で眺めていた鱗華が不思議そうに口を挟む。

 

「よく解らないけど……結局どういう事なの? タダでくれるって事?」

 

「平たく言えばそうだな、ホントかどうか確かめられない情報は価値が付けられないだろ? だからくれるって事だ」

 

「なんか悪いねぇ……そんなこと言ったら深部の情報なんて全部そうだし、――そうだ、何か困ってる事無いかな? 大商会なら色々依頼だしてるよね」

 

「おっ! いいなそれ、如何にも冒険者っぽいシチュエーションじゃないか」

 

 唐突にそんなことを言い出した鱗華にRPGゲームのクエスト受注シーンを想像して盛り上がる黒斗、そんな二人の様子に目を白黒させていたウィルが少し困った様な顔で返事をした。

 

「はぁ……、お二人共、やはり変わっておられますね、上級の冒険者であればその様に簡単に依頼を引き受けたりはしないものですが……」

 

「俺は漂流者でな、冒険者なんてものは俺の故郷では物語の中でくらいしか存在してなかったんだ。だからかもな」

 

「黒刀様が漂流者というの噂は本当だったのですね、それであれば納得です……。――ひとつ困っている事があります、少々厄介な案件でして幾度かギルドに依頼を出しているのですが、未だに達成はされておりません……――」

 

 ウィルの話に寄れば最近、マウリアとセーヌの間を結ぶ新街道に出没する野盗の集団に困らされているとの話であった。通常の野盗であれば武装キャラバンであるウィル達にとっては何ほどの事でもないのであるがこの野盗達はウィル達のキャラバンは決して襲う事はなく、少数の行商人達を狙い、誘拐や略奪を行うのだ。

 

 被害者の中にはブル・ゲール商会の取引相手となる者達も居り、ずる賢く立ち回る野盗達にウィルは何度か腕に覚えのある者を連れて討伐に出たりもしたのだが――用心深く、拠点を頻繁に変える野盗達を捕捉することが出来ず、何度かギルドに依頼を出したものの未だに野盗達を捕らえる事は出来ずにいたのであった。

 

「そいつぁ厄介だな、軍の方では対処していないのか?」

 

「軍を動かすとなるとどうしても大規模になってしまいます、奴等は樹海中部の辺りまで拠点にしているらしく下手に追い掛ければ魔獣達によって小回りの利かぬ軍に被害が出るでしょう、村が襲撃に遭う等の事が起きれば軍も本腰をいれますが……そうでなければ……難しいでしょうね」

 

「まぁ受けるのは確定だが……、達成確認の為に生かして捕まえた方が良いのか?」

 

「お二人の好きになさって構いません、信用しておりますので。しかし本当に良いのですか? 本来であれば相応の報酬を払いたい所ですが」

 

「構わん構わん、情報量代わりなんだからな、それに正直その野盗の情報だけでもお釣りが来るくらいこっちには得しかないぞ、なぁリンカ」

 

 にやにやと笑みを浮かべた黒斗が、俯いて小刻みに身体を震わせている隣に座る妻に問い掛けると――なにやらぶつぶつと呟いていた鱗華が頬を紅潮させて喘ぐように返事をする。

 

「野盗…………女日照り……きっと……ンっ……何人……――あっ! んぁ♡勿論受けるよぉ……というかお願いだから受けさせて……むしろお金払ってでも……あぁん♡」

 

 どんな想像をしているのかが手に取る様に解る鱗華の様子に、二人の性癖を知っているウィルは苦笑しつつ詳しい話を語り始める。出没した地点や日付、幾つか発見した元アジトだったであろう場所、野盗討伐に必要な情報を聞き終えた黒斗と鱗華の二人はウィルが用意した野盗の情報の書きこまれた地図と、本来の目的である深部の情報の書きこまれた地図の二つを受け取るとやり手の三代目に礼をいって商会を後にするのであった。

 

 本格的に動き出すのは明日にする事に決めた二人は比較的高級な宿を見つけて部屋に入り、依頼の為の細かい打合せを行っていく。

 

「いやぁ渡りに船だったよねぇ。ボク今から楽しみで仕方ないよ」

 

「まだ見つかると決まったわけじゃないぞ。このまま探しても冒険者の恰好じゃ襲われないだろうし、少し考える必要があるな」

 

「そのへんはクロトに任せるよ、こういうの考えるの得意だもんね♡」

 

「まぁエロいシチュエーションは何度も妄想したしなぁ……でも油断大敵だぞ、何処に強者がいるかわからんしな、俺達くらいの強さで野盗をするなんて事はないだろうが万が一って事もある、その場合は遊びは無しだ。全力で命を殺(と)りにいく」

 

「依頼優先だしねぇ……その場合は仕方ないか。流石に無いと思うけど心構えは大事だもんね」

 

 自ら犯される為に喜んで野盗の討伐依頼をタダで引き受ける金級冒険者がいるのだ、野盗が趣味の実力者がいてもおかしくはないと万が一を想定して気を引き締めて計画を練る二人、まぁそんな変人がポンポンいる訳もないのであるが、心構えは大事である。

 

 首尾よく事が成った時に体験できるであろう眼を覆う様な凌辱の光景を想像しながら、淫らな欲望に満ちた嗤いを浮かべつつ作戦を練っていく夫婦、窓から覗く蒼褪めた満月はそんな二人の狂気を更に増幅させる様に蒼き月光を放ち――輝いているのであった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

【挿絵表示】

 

 

ゴルディオス大陸の大雑把な地図です。一時間で作ったので適当ですが、雰囲気は大事かなと(;´д`)

 

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