※この作品はR-18です。

ファム・ファタール~寝取らせモノが大好きな剣士が異世界転移した場合~   作:幻闇

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本日二回目の投稿になります。


66話 依頼達成 ★※

「なんでこんな事になっちまったんだろうなぁ…………」

 

 大樹海の樹々に半ば埋もれる様に存在している古の城址、古のとはいっても超文明の築かれていた一万年前のものという訳では無い。それは崩れ去りかけた城壁などの部分に古代文明特有の超硬度セラミックや永久に朽ちぬと云われる絶対金属が使われていない事からも簡単に推察できるだろう、精々が数百年――古くとも一千年は時を経ていないその建物の中の通路、元は食堂であっただろう広間の前で一人の男が壁に背をもたれさせて愚痴る様に独り言を零していた。

 

「因果応報……、いつか俺達だって討伐されたり捕まったりするかもしれねぇなんてこたぁ解ってたけどよぉ……」

 

 男の脳裏に去来する先程まで己が居た広間で見た光景。見た目だけは美しい異形の化け物が仲間達の臓物を抉り出して喰らい、屠っていく悪夢のような場面。己が持つ技術のお陰であの場で喰われる事だけは避けられた様であるが……あの後も部屋の中から響く奇怪な断末魔や絶叫、肉を裂き臓物を抉りだす生々しい音、いつの間にか香ばしくも決して食欲を抱いては駄目だと感じる肉の焼ける香り――殺されたり捕えられて処刑されたりする事は覚悟していた、魔獣に襲われ喰われる可能性もあった、しかしまさか同じ人間に見えた存在が化物へと変じて動く事も出来ずに全員が喰われるなどと……想像できる筈も無い。

 

「ううっ……嫌だ……嫌だ……死ぬのは怖いだけだが人でも獣でもないバケモノに喰われるのだけは嫌だ……きっと魂すら残らず喰われるんだ……嫌だ……嫌だ」

 

 ただ死ぬだけであればそれはとても恐ろしい事であるが耐えられる、人はだれしもいつかは死ぬのだから……。しかし名状し難い異形の化け物に喰われ魂を冒涜される事は耐えられない、死してなお解放されるのかどうかも解らないのだ……そう思ってしまう程に彼の見た光景は恐ろしく――――悍ましかった。

 

 断末魔と絶叫が止んで暫く、悍ましい肉を焼く香りも薄まり、先程までの惨劇の直後とは思えない様な艶めかしい嬌声が響き続ける部屋。その部屋の前でうずくまり逃げる事も無く頭を抱えて呻き続ける副長、拷問の様な時間はいつ果てるともなく続くのであった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ああんッ♡ひゃあん♡凄いっ!! んはぁ♡こんなァあんッ♡♡クロトぉっあっふぅ♡♡初めてぇええ♡♡あひッ!あひぃん!! イくっ!またイカされるぅ!! 死んじゃうっ♡♡ボク死んじゃうよぉ♡♡」

 

 死屍累々どころか屍体そのものを積み上げて作られた狂気のベッドにて、組み伏せた女体の秘所に無言のまま己が逸物を突き立て続ける男。その形相はとても愛する女を抱く時にする表情では無かった、不倶戴天の怨敵を睨みつける様な眼差しで妻の下腹部を凝視しながら、その部分を破壊せんばかりの勢いで巨大な肉柱を子宮に叩き付け続ける黒斗。一突き毎に鈍く重い破壊音が胎内から響き、完治したばかりの鱗華の腹部の盛り上がりは皮膚が引き千切れそうな程に張り詰めて再び裂けてしまいそうな有様だ。

 

「あひいいいっ!! おまんこおっ!壊れっぇえ♡♡また壊れりゅうう♡♡♡おっきすぎるよぉぉぉんあああっ♡♡♡んぎぃ!!オク突き壊されてぇ!!おまんこ死ぬぅうううっ♡♡♡♡あひっあっ!!」

 

「…………………………………………………………破ァっ!!」 

 

――ぶびゅばっ!!ぶばぁばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばっ!!――びゅるっびゅぶぶばばばば――びゅるびゅる――どぷどぷ…………

 

「ひはああああっ♡♡♡死ぬっ!!ナカ出しだけで死んじゃううのおおっ!! イクッイクぅああああ!! イぐぅううううううううう♡♡♡子宮破裂すりゅううう♡♡♡出すぎぃ!!苦しっんああああっ!!」

 

 沈黙を守ったままに腰の動きを速めていた黒斗、射精の瞬間にだけ気合を籠めた一喝をして子宮口に密着させた鈴口から膨大な量の精を解き放った。一週間の間溜まりに溜まったその精は股間にぶら下がる二つの男の象徴がリンゴ大にまで膨張している事からも相当な量を蓄積している事が想像できたが、それを一回の射精で出し切ってしまうのではと思わせる程の夥しい量の灼熱のマグマが鱗華の子宮に注ぎ込まれていく。

 

 一分……二分……人間の男には在り得ない程の時間射精し続ける黒斗、通常時よりも遥かに巨大化した逸物の所為か結合部や膣内はぎっちりと隙間なく肉槍が占有しており精液の逃げ場は子宮内にしか有り得ない。全ての精が他の男の受精卵を孕んだ妻の子宮に注ぎ込まれていった結果、その下腹部はまるで妊娠数か月は経過していると思わせる程に膨れ上がっていた。

 

「駄目ぇっ!ホントに破裂するっ!ぎひぃぃぃっ!! お腹また裂けるっ!!出し過ぎだよぉっ!!んはああああっん♡♡あっあん♡♡でも嬉しっンあっ♡♡興奮してるんだねぇ♡♡他の男に孕まされたボクっンにぃんあッ♡♡イくッんっ……夫のじゃない孕み胎にナカ出しされてイクぅうう♡♡♡」

 

 五分近くもの間射精し続けていた黒斗、リンゴ大ほどであった睾丸も明らかにその大きさを減じている様子から相当な量を貯め込んでいたことが推察される。しかしいくら絶倫を誇り一週間ぶりであったとはいえこの量は――普通の人間の基準で考えればそうなのだろう、しかしその精神性、肉体の強靭性共に人外の域に達した二人である。常人の尺度で計るという事こそがおかしいのだ。

 

 ずるりと半ば萎えかけた逸物を引き抜いていく黒斗、さしもの彼もあれだけの量を放った直後に即座に復活とはいかない様だ。ぽっかりと拡がった肉穴は分泌液に塗れた淫靡な内壁を晒してはいたがあれだけ大量に放たれた白濁は一滴たりとも零れだしてはこない、全て子宮内に納まってしまったのであろう。

 

「あひぃん……凄いよぉ……お腹ぱんぱんにされてぇ……治ったおまんこもうガバガバだよぉ♡んっはあん♡♡でもクロト……この沢山の精子全部無駄撃ちだよぉ? 受精卵の回りで悲しそうに泳いでるんじゃないかなぁ……残念♡雑魚みたいな男に寝取られて孕んだ卵しかもうそこには無いんだ♡♡どうするのぉ……? 治療院で避妊も間に合わないよ? 暫く待って堕胎は……正直あまりしたくないかなァ……受精卵なら気にしないけど胎児になっちゃったらちょっとねぇ……」

 

 孵化直前のヒナ鳥を食べる料理に抵抗を示す者は多いが、有精卵を食べる事に抵抗を示す者は少ないだろう。鱗華にとってもある程度まで育った腹の子を自らの意思で殺す事にはやや抵抗があるらしい、半分は己の……ひいては大好きな父母の血を引く存在なのだから……、そしてそれは黒斗にとっても同じである。

 

「ふぅ……なんか出し切りたいって思ってたら出せちまった。大概俺も人間離れしてきちまったなぁ……、そして勿論そんな事はさせない。今から避妊の時間だ……――ぜっ!!」

 

――ドゴォン!! 

 

「がっ!!――げっ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛っ!!!!」

 

 高く掲げた右の拳をぎっちりと握り込んで振り下ろした黒斗、狙いは勿論己が精で膨れ上がった愛する女の下腹部――子宮である。渾身の力を込めて振り下ろされた拳の破壊力は凄まじく、ベッドになっていた野盗団の男達の屍体が余りの衝撃に周囲へと吹き飛び壁に激突してバラバラに砕け散る程の本気の一撃。

 

 潰れたガマガエルの様な悲鳴を上げて屍体のベッドにめり込んだ鱗華の下腹部はくっきりと拳の痕を残して拉げ潰されて、内部に溜まっていた大量の精は全てが膣口より噴出し、その惨状を作り上げた黒斗本人の肉体を直撃しその全身を自らの精に塗れさせていた。

 

「ッッ!!――げへえ゛っ!!う゛あ゛……う゛あ゛あ゛あ゛……痛゛い゛っ!!おな゛が痛゛いよ゛お゛お゛お゛っ……お゛え゛え゛っ……――っがっぎ゛ぃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああ゛あ゛あ゛゛゛あ゛あ゛あ゛!!!!」

 

 潰された下腹部を抑えて反吐を吐きながらのたうち回る妻の秘所に容赦なくずぶりと拳を突き入れた黒斗が超絶の破壊力と精の噴射により緩んでいた子宮口を無理矢理抉じ開けていく。子宮内に侵入させた右手を拡げて荒々しく聖なる揺り籠たるその内部を掻き回して内壁ごと巻き込みながら子宮全体を内側から握り潰す様に掴み――強引に引き抜いた。

 

――ずりゅうううっ!!ぐぢぃ゛……みちみち……ぶちぶち……ぶぢぃ!!

 

「ひき゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!!!!」

 

 受精卵が着床し育つはずの子宮ごと抉り出して引き千切る。成程、これ以上に確実な避妊方法を無いのかもしれない。惜しむらくはその様な方法は失った臓器すら再生可能な龍人族の女くらいにしか不可能であろうという事だが……。

 

 ちなみに思わせぶりに黒斗を煽っていた鱗華であるが一週間前の打合せ時にこの方法で行う事を提案したのは他ならぬ鱗華自身であった。当時の台詞を其のまま再現すると『人妻レイプ孕ませ輪姦っていい言葉だよねっ!何日も輪姦だとそもそも薬飲めないし、本格孕ませで行こうよっ!! 終わったらボクの孕み子宮引き摺り出して廃棄すれば何回でも愉しめるよ♪』と、コレである。

 

「綺麗だなぁ……やっぱリンカの子宮は芸術品だ。リンカは引き摺り出して廃棄とかっていってたが。コレを捨てるなんてとんでもない――って感じだぜ。俺も少ないメシで腹が減ってたからな、愛妻の生子宮、自分の精液ソース掛け~間男仕込みの受精卵を添えて~って所か。頂きます」

 

 己が手に握った愛しい妻の子宮、白濁に塗れたそれは肉色の筒と袋、細く伸びた二つの卵管と今は裏返っている為に見えないが二つの卵巣がくっついている筈だ。丁寧に裏返して場末の酒場に飾られているモノと同じ綺麗な形に治すと、予想通り黄色い楕円形の可愛らしい卵巣が二つくっ付いていた。

 

 躊躇いなく食前の祈りを捧げて喰らいつき、噛み千切り、咀嚼する。甘い血肉と卵巣の妻そのものの味に己が精の滋味が合わさり複雑玄妙なる旨味が生まれ、黒斗の舌に喉に胃袋に最高の快楽となって滑り落ちていく。彼は今知ってしまったのだ、世界で一番彼にとって美味しい食材を――――それは妻自身、鱗華のカラダこそが彼にとって究極の料理の食材たる存在として相応しかった。

 

「あぁん……♡ボク食べられちゃったぁ♡♡クロト凄く美味しそうに食べてくれて嬉しいよぅ♡♡♡でもあんな美味しそうに食べてたら……また食べたいって言われる度に引き摺り出すのかな……それはちょっと、あとおっぱいもよく食べられるし、ボクのカラダ全部たべられちゃう?!」

 

「がぶりっ……ぐちゃぐちゃもぐもぐ……がぶっ……コリコリ……ごくんっ!! っぷはああ……ご馳走様。卵巣旨すぎた、串焼きにしたい。子宮は刺身で山葵醤油、膣と卵管はもつ焼きでっ! つっても大丈夫だそんな贅沢は偶にでいい、リンカが心配する程食べる事は無いよ、……そのうちモモ肉とかレバー……は死ぬか? 半分ならいけるか……も食べたいけど」

 

「ほぼ全身食べられるの確定してるぅううう!! いやああああああん♡♡♡犯しながら解体して犯しながら料理して……犯しながら食べてね♡くっはぁあん♡想像しただけでイっちゃった♡」

 

 禁忌とされる同族喰い、まだ人々が寸土を争い少ない食料を奪い合っていた暗黒の時代の凄惨な記憶がそうさせるのだろう。しかし二人にとっては快楽を得る、与えるだけの手段でしかない、それがどれほど冒涜的で狂気的な事なのか二人は気付いているのであろうか……。

 

「とりあえず腹も満ちたし。そろそろ副長って奴から緊縛術を教えて貰う。リンカはどうする?」

 

「ボクは寝るよ。眠り足りないし、おっぱいも完全じゃないし、あと今引っこ抜かれた子宮も直さないとだしね。ちょっとその辺の屍体の腕ボクの所に集めといて、上腕二頭筋美味しそうだし、適当につまんで寝るよ。クロトはマスターするまで頑張ってね♪」

 

「あいよっ、起きてきたら湯を沸かしてさっぱりしようか。帰る為の支度もしておくよ」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「こうして――こう廻して――こんな感じですね、撚り合わせてある縄の隙間に指が入ってしまうと仕上がりが崩れますので……後気を付ける事は結び目は水分を吸うと膨らんで解きがたくなります、あえて苦痛を与える場合にはきつく縛って濡らすとより効果的ですね」

 

「成程……奥が深いな。基本的な縛り方とあとは応用か、拘束目的や拷問目的、様々な用途でまた変わってくるんだなぁ。いやはやこんなに凄い技術だとは……」

 

 基本的な縄の取り扱い方法から素材毎の特製、目的に合わせた縛り方などを伝授される黒斗。SMプレイ用に覚えてみたかっただけなのであるがその他にも様々な用途に応用が効きそうなその技術に黒斗は感動し、のめりこんでいく。

 

 普通の人種よりも学習能力に長けた能力を持つ黒斗は乾いた砂が水を吸いこむ様な勢いで副長の持つ技術を学び、吸収していく。必要な知識、口頭で伝えられるものは全て伝えた頃には陽はとっぷりと落ちて夜の閑寂な闇が古の城址を優しく包んでいるのであった。

 

「あとは実際に人間を縛って感覚を掴んでいく事です、こればかりは慣れと数ですので」

 

「ああ、近いうちに時間を作ってたっぷりと練習する事にしよう、凄く勉強になった。約束通り殺しはしないが依頼人の所には確認のためにつれていくからな」

 

「へぇ……それは当然でさ、縄で括られて死ねるならそれはそれで本望ですよ」

 

 野盗山賊の類は捕まればほぼ死刑、国によって処刑方法は違うが南部連邦ならば基本的には縛り首だ。化け物に喰われるよりは自分の好きな縄にかかって死ねる方が何万倍も幸せだと副長は思ったのである。

 

「なぁあんた、名前はなんてぇんだ?」

 

 昨日までとは明らかに変わった眼差しで副長を見つめる黒斗の瞳。悪人とはいえ技を極めた者に対する尊敬は変わらない、縄師として相当の技量であろう彼の名をその技術ともにしっかりと心に刻んでおきたかったのである。

 

「リチャードです、大袈裟な名前ですよね……、たしか勇敢な支配者とかなんとかって言葉が元だとか……俺みてぇな人間にゃ過ぎた名前ですよ」

 

「いや、そうでもないかもな。アンタの縄は確かに支配していたよ――世界で最高の女をな……なんてな。はっはっはっ! まあアンタ程の腕前なら雇いたい人間は多いだろう、俺から口利きしてやるから死刑は無いと思うぞ、その腕前ただ殺すには惜しいからな」

 

 それっぽい台詞を吐いて爆笑しながら何でもない事のように刑罰の減免を約束する男、そんな彼の事をぽかんとした顔で見ていたリチャードはやや遅れて己が本当に幸運な人間であったのだという事を自覚し、その幸せを心の中で噛み締めるのであった。

 

 

 その後起きてきた鱗華を沸かした湯で清めてやった黒斗は残っていた普通の食材で三人分の料理を振舞うと、すっかり元の豊かさを取り戻した鱗華の肢体を相手に教えて貰った緊縛術を試す。その様子を見ていたリチャード曰く、とても初めての縛りには見えぬ程、堂に入った見事な緊縛であったという。実物の女体を使った手解きを済ませた後に礼だといって鱗華が元通りになった完璧な肉体をリチャードに与えて極上の快楽を堪能させたり、それを見て我慢できなくなった黒斗が参戦したりといつも通りの乱痴気騒ぎが巻き起こったりもしたのだがその辺りはいつもの事であるので割愛させて頂こう。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「おかえりなさい。黒刀様、狂龍妃様、首尾は上々の様ですね」

 

「ああ、十日ぶりくらいか? いや本当に愉しませて貰ったよ、ホントにこっちが情報量を払いたい位の依頼だったぞ。ターゲットがウィルの言っていた野盗団かまでは解らんがおよそ30人規模の奴らを討伐してきた。一人だけ生き残りを連れて来たから情報を喋らせれば特定可能だろう」

 

 マウリアに戻った二人はリチャードを連れてブル・ゲール商会本店に向かい、依頼主であるウィルに報告を行っていた。会敵地点や大まかなアジトの場所を地図に示しながら野盗団の情報を伝えてリチャードの身柄を引き渡す。

 

「改心したとは言えんが目の届く所に置く限り悪さはせんだろう、縄師としては一流の腕を持っているしその技術を伝授してもらったからな、ある程度の口添えを頼みたい」

 

「黒刀様がそう仰るのでしたら衛兵には突き出さずに内々に処理させて頂きましょう、我々としても有用な技術を持つ者は欲しいのですからね。監視は付けますがある程度の待遇は約束致します」

 

「ありがてぇ……二度と悪さはしねぇです――ところでさっきから云ってるお二人のその二つ名なんですが……まさか金級……の?」

 

 ウィルが度々二人を呼ぶ時の二つ名に心当たりのあったリチャードが顔面を蒼白にして恐る恐る尋ねる。黙って首肯したウィルの様子に自分達が一体何を相手にしてしまったのかを理解し……助かった事に心底から安堵するリチャードであった。

 

(普通の冒険者じゃねぇとは思ってたがあの黒刀と狂龍妃だったのかよ……俺達はマジモンの化け物のオモチャにされてたってワケか……俺は本当に幸運だったんだな)

 

 あの冒涜的な狂気の宴――二人の正体を知ればそれも納得だと血の気の引いた顔で引き攣った笑いを浮かべるリチャードを、憐れむ様でありつつも羨む様な複雑な表情を浮かべて少しの間だけ見つめていたウィル。改めて二人に今回の礼と用意しておいた幾つかの礼品を贈り、退出していく黒斗と鱗華を見送る。

 

「本来であれば尋問に掛けて裏をとりつつ情報を引き出す所ですが……あのお二人が関わっているとなれば別です、貴方も今更でまかせを言うつもりなど無いでしょう?」

 

 二人が出て行った扉を眺めながらそうリチャードに問い掛けるウィル。

 

「勿論だ、なんでも喋るし何でもする、あんな…………あんな恐怖は二度と御免だ――俺は人として死にたい」

 

「まぁある程度は想像出来ますが……やはり金級という存在は別次元の存在ですね。良い縁を築けたのは僥倖という他ないでしょう……、貴方も……そして私もね」

 

 間髪入れずにぶるぶると震えながら返事をしたリチャードの様子に、肩をすくめながらそう結論付けたウィル。経緯は違えど共に人外の超越者たる存在と知己となった一般人の二人、この後二人は表と裏それぞれから大商会を盛り立てて行く事となり生涯変わらぬ友誼を誓う無二の親友となったりするのであるが……それはこの共通点に拠る所も大きかったのであろう。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 大樹海の奥深く、人類国家が四つの大国に纏まってからおよそ100年――その頃から現代に至るまで各国が協力し合い総力を挙げて調査と開拓に乗り出した結果、その僅か二割程の土地の姿が明らかとなったが開拓に成功した土地は未だ無い。

 

 一年を通して変わらぬ温暖な気候と豊かな大自然、魔素を多量に含んだ肥沃な大地はあらゆる作物や果物を実らせ、所々に存在する岩山からは貴重な貴金属や宝石が大量に発見されている。

 正に地上の楽園ともいえる環境の深部であったがその土地の恩恵を受けるに足るとされる存在は限られる。万物の王たる種族、竜種が闊歩し栄えるその地は弱者の存在を許さぬ大魔境――。

 

 水辺にて陽の光を浴びる一匹の鰐。全長8メートルは下らないその巨体には幾つもの古傷が刻まれており、彼が歴戦の古兵(ふるつわもの)である事を示していた。普段は縄張りとしている大河の淵にその巨体を沈めて獲物を待ち、水を飲みに訪れる大型動物や小型の竜種を捕食しているのだろう。

 

 警戒心の強い彼は日光浴の際も油断することなく、瞬膜で覆われた巨大な眼球にて常に周囲を睥睨し外敵に備えていた。彼ほどの存在でも警戒しなければならぬ存在がいるのであろうか、いるとすればそれはどれ程恐ろしい存在なのだろうか……――その答えはすぐに示された様だ。

 

 ガサリと動いた茂みとその動きを敏感に捕えた大鰐は即座にその巨躯の側面についている四肢を総動員して大河へと逃げ込む……動きを見せた刹那、空中より飛来した巨大な影がその巨躯を鷲掴みにして飛び上がった。上空から音もなく忍び寄った巨大な影がその両脚の鉤爪に握っていた岩塊を茂みに落としたのだ。囮となった岩塊の落ちた茂みを警戒して逃げ出そうとした大鰐を捕らえたのは翼長20メートルはあろう鳥の様な生物、馬に似た面長の顔に羽毛ではなく鱗で全身を覆われたその生物は奇妙な叫びを上げながら皮膜の様な翼を羽搏かせて空の彼方へと消えていく。

 

 

「なんだありゃ……始祖鳥とかそのへんか? つーか速すぎだろ……もう見えねぇ」

 

「今のはボクも知らないねぇ……というか竜種って全体の一割も図鑑にのってないからね。逃げに徹すれば探索くらいは簡単だと思ってたけど……考えを改めた方が良さそうだね」

 

「ああ、油断してたつもりは無いが俺も大分強くなった気がしてて知らない間に弛んでたかもな。ここじゃ誤差かもしれん、一瞬の油断が命取りって奴だな」

 

 眼前で大鰐を攫った巨大怪鳥が消えていった空をみつつ、冷や汗を浮かべながら話し合う黒斗と鱗華。マウリアを出発して四日後、大樹海深部へと立ち入った二人は改めて大樹海深部の恐ろしさを認識し、これまで以上の慎重さと警戒心をもって温泉の探索を進めていくのであった。




続きはまた暫く後になる予定です、色々大変な時期ですが少しでも楽しんで頂けたら幸いでございます。
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