ファム・ファタール~寝取らせモノが大好きな剣士が異世界転移した場合~ 作:幻闇
87話 鱗華ちゃんのイイ男ナンパ大作戦
「ふんふん~♪ 今日は何処行こうかなぁ」
鼻歌を口ずさみつつ街の大通りを歩く一人の女。
足取りも軽く、彼女が歩みを進める度に真っ白なブラウスを盛り上げる豊かな双丘がゆさりと揺れて、道行く男達の視線を釘付けにする。慌てて視線を下げた男達の視界に、タイトなミニスカートから伸びるムチムチとした太ももが現れ、更に混乱して上に視線を上げれば、大輪の花が咲いた様な笑顔でウィンクされてしまう。
呆然としたまま幸せを噛み締める男達を量産しつつ、女は小悪魔の様に微笑みを浮かべつつ歩くのであった。
「今日は一日フリーだし。久しぶりに遊んじゃうぞー!」
華のかんばせをニコニコとほころばせて、燃える様な赤髪に、煌めく紅玉石の様な鱗をもった龍人族の美女。我らが肉便器ヒロインたる荒神麟華その人であった。
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少しだけ時間を遡る。
エロダンジョンの調査という大仕事を終えた黒斗達一行は、帰ってきた何日か後に友人達とシャロを交えた宴を開き、新たな友人との出会いを祝った。
すっかり仲間達と打ち解けたシャロは、それはもう幸せそうであった。何千年の孤独が瞬く間に癒されていくのを感じていたに違いないだろう。
その後、しばらくの間は狩りや冒険を休んでプライベートを楽しもうと、それぞれに休暇を満喫する事に決めた黒斗達一行。各自おもいおもいに行きたい場所やデート、特殊プレイに使う器具のショッピングを楽しんでいた。
そんなある日の夜。
「ねえねえクロト。明日はボク一人で出掛けてきたいんだけどいいかな?」
「ん? 別に構わんが、二人だと不味いのか?」
夕食後に仲良く入浴をしていた二人。
広い湯船にゆったりと浸かり、桃色に上気した肌も艶めかしい妻の、たわわな二つの果実が湯船に浮かび揺蕩う様子を飽きる事無く凝視していた黒斗に、悪戯っぽい笑みを浮かべた鱗華がそう告げた。
「ちょっと一人で遊んできたい気分なんだよねぇ……最近ご無沙汰だったし、知らない男の人達と遊ぶの」
「おっ! 成る程、そういうアレか。いいねぇ……でもちゃんと後で報告してくれよ?」
「勿論! ベッドでたっぷり報告してあげるよ……ボクの変態旦那さん♡ んっはぁん……♡♡」
悩まし気に胸元と股の間に手を這わせた鱗華が、淫靡な期待に身をよじらせて喘ぎ声を上げる。
そんな妻の様子にいつも通り劣情を刺激されまくった黒斗が、むしゃぶりつく様に鱗華に襲い掛かり……毎度の事であるがまぁ、無茶苦茶セックスするのであった。
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という訳で一人、街へ繰り出した鱗華であったが、特に行く当てを決めているという訳ではない様だ。昼も過ぎた街中を適当にぶらついて何処に行くか決めようという足取りで合った。
セーヌの街は広い。前線都市と言われるこの街の人口はおよそ50万人。端から端まで歩けば、一般人でも丸二日は掛かるという程に広大である。
念のためこういった時の愛用の魔道具である無貌神の鏡を黒斗の前で使い、黒斗のみが鱗華と認識できる状態で出掛けた鱗華であったが今日はいつもの肉欲の宴で使う酒場とはかなり離れた場所に出向いてきていた。
なんだかんだで常連になっている者も多いあの近辺では新鮮味が無いというのがその理由の様だ。どうせならなるべく知らない男達と遊びたいというビッチ肉便器としての心理であろう。
「へぇー、この辺りはこんな感じなんだね。いつも樹海に近い方の盛り場に来てたけど、街道に近い方もそれなりに栄えてるみたいだね」
セーヌの冒険者ギルドは樹海に近い方に存在するが、利便性を考えて街道側にも出張所と呼ぶべき建物が存在する。樹海では少々厳しい冒険者達が街道沿いの依頼を受けたり、もしくは他の街への護衛依頼を受ける為の場所なのだ。
出張所があるならば、冒険者相手の酒場も近くに存在する。どの街でも変わらぬ不変の摂理であるが勿論酒場は一軒だけではない。
お行儀の良い冒険者が集まる出張所近くの酒場をちらりと見た鱗華だが、そんな所に用は無いとばかりに少々さびれた裏町の方へと足をのばす。
(やっぱりあらくれ酒場だよねぇ。昼間っから管巻いてる落ち目の冒険者とか、女に餓えてる男達が多い所が良いね……――あっ! あのお店良さそう♡)
無防備な恰好の女一人が入るとはとても思えない、少々剣呑な雰囲気を漂わせる酒場を見つけた鱗華が桃色の唇を少しだけ開き、深紅に色づいた艶めかしい舌をぺろりと唇に這わせる。
冒険者にも見えぬか弱い乙女といった風貌であるが、中身は最狂の肉食女子であった……。
――カラァン……
ドアベルを鳴らして酒場内に無造作に入っていく鱗華。カウンターの真ん中に陣取った彼女は、迷うことなく一番強い酒をマスターに注文する。
「へぇ……なかなかいいお店じゃない。お酒も良いの揃えてるね」
「そいつぁありがとうお嬢ちゃん。こいつぁ忠告だがよ、そんな恰好でこんな酒場に来るもんじゃねぇ。荒くれどもに攫われちまうぞ」
「あらマスター、ありがと。でもボク、こうみえてそこそこの等級の冒険者なんだよね。無理なんじゃないかなあ……樹海に挑めないここら程度の冒険者程度じゃね」
口髭を綺麗に整えた、如何にも伊達男といった風貌のマスター。
言葉遣いこそやや乱暴ではあるものの、ふらりと立ち入ってきた無防備な美女に対してきちんと忠告してくれるあたり人の良さが垣間見える。
だが、そんなマスターの気遣いを台無しにするかの様にやや大きめの音量で放たれた鱗華の挑発……。
「んだとおお! てめええ……ナメてんのかコラ!!」
その挑発に、近くのテーブルで飲んで会話を聞いていた禿頭の筋骨隆々の男が、酔った赤ら顔に幾つもの血管を浮かばせて逆上した。
「テメェちっといい女だからってよぉ! 俺みてぇな昼間から呑んだくれてるハゲの不細工野郎ってバカにしてんだろ! ちくしょう!」
少々被害妄想気味にまくし立てて怒鳴り散らす大男。
たしかに、角ばっていかつい面相とつるりと禿げあがった頭の男の容姿は少々こわもてに過ぎた。
だが、そんな男のテーブルに酒を持った麟華が近付き……甘い囁き声で言葉を掛ける。
「もう、カッカしないでよお……キミみたいな頼りになりそうな人は別だって解るでしょ? ほら、お詫びにお酌してあげる」
空になっていた禿の大男のコップに、男のテーブルの上に載っていた酒瓶を手にとって注いでいく。怖がりもせずに身を寄せてくる美女の行動に、憤怒に顔を歪めていた男の表情が困惑したのも束の間、見る見るうちにでれでれとしただらしのない物に変わっていく。
「おっ……おぅすまねぇな。ちと依頼で失敗しちまって、仲間達に馬鹿にされるわ、娼婦にも嫌われるわで参っちまってた。大人げなく怒鳴っちまってすまねぇ……ネエチャン」
「そういう事もあるよねぇ……でも失敗は誰にでもあるもの、次で成功すれば大丈夫だよ。ほらぁ呑んで呑んで……嫌な事はお酒で流しちゃおう」
「ああ――ゴクゴク……プハァ……美人の酌だとここの安酒でも格別な味がするぜぇ」
「うふふ、いい呑みっぷりじゃない。酒に強いオトコの人って好きだよ」
「マスター! もう一瓶追加だ!」
上機嫌で男が酒の注文を出すと、やれやれと肩を竦めたマスターが奥の棚から酒瓶を取り出して男と鱗華の座るテーブルに持ってきた。
「安酒は余計だが……はいよ。……――しかし姉さん、そんな無防備で大丈夫かい? 勘違いさせちまうぞ」
「大丈夫大丈夫、ちゃんと
「成程ね……そういう手合いか。まあ、こっちとしちゃ売り上げも上がるし大歓迎だよ」
小声で耳打ちをしてきたマスターに、同じく囁く様な声で返した鱗華。その様子を特に不審に思う事も無く、禿頭の男は真横に存在する鱗華の胸の谷間にちらちらと視線を送る事に夢中の様だ。
「ほらほらもう一杯、注いであげるね」
「おっ! すまねぇなぁ……しっかしネエチャン胸でけぇな、そんなにデカいと肩が凝るんじゃねぇか? ぐへへ……」
「一応ボクも冒険者だからね、ちゃんと鍛えてるから大丈夫だよ。んふっ……ボクの谷間そんなに気になる? さっきからチラチラ見てるの解ってるんだよ?」
「そりゃ仕方ねぇ……そんな立派で綺麗なモン見るなって方が無茶だぜ。でも俺ぁ紳士だからよ、嫌ならなるべく見ねぇように気を付けるぜ」
そう言って注がれた酒杯を呷った男を好ましげにニコニコと見守る鱗華。いつもの事とはいえ、己にとって自信のある部位を褒められるのはやはり女として嬉しいのだろう。
「別に減る物じゃないし、見たかったら好きなだけ見てもイイんだよ……♡ ボク見られるの嫌いじゃないんだ、この恰好みれば解るでしょ? ボクの自慢のココ……肴に呑んでね♡」
谷間をより強調する様に、自らの二の腕で双丘を挟み込んで男の視線を釘付けにしていく鱗華。甘く脳髄を蕩かす様な囁きが男の理性を少しずつ崩壊させていく。
「ゴクリ……そんなモン見せられたら酒の味なんて解りゃしねぇよ、でも旨いぜ……ゴクゴク……プハッ」
「うふふ、ありがと。ねぇ……冒険の話聞かせてよ、成功した時でも失敗した時でも良いよ。カッコいいオトコの人の武勇伝聞きたいなぁ」
「失敗した時のは流石に恥ずかしいぜ、別に俺なんて大した冒険をしたわけじゃねぇしよ……」
「失敗もオトコの勲章でしょ? それにどんな仕事でも頑張ってるのは偉いよね」
男の逞しい二の腕に上体を預ける様にしなだれかかる鱗華。
深い谷間を誇る二つの巨大な膨らみが、むにゅりと変形して男の腕に幸せな感触を齎していく。
「うひょ! ……ああ、解ったぜ。魔獣の群れに仲間と挑んで成功した時の話が良いか? いや失敗しちまったがついこの間大型魔獣と渡り合った時のがいいか? ギリギリで生き延びたが、あん時ゃあ死ぬかと思ったぜ」
「うんうん、大型魔獣とやりあって生還したならもう成功みたいな物だよね、お兄さん凄いねぇ……その話聞きたいなぁ♡」
男の腕にカラダを預けて、背中に廻した右手で鍛えられた背筋を撫で擦りながら猫撫で声で冒険譚をねだる鱗華。
天にも昇る様な心地で己が幸運に感謝する男は、やや事実とは異なる程に盛られた己の冒険譚をそれはもう得意気に語り始めるのだった。
「――ってわけだ。なんとか奴の右腕はぶった斬ってやったが、俺も胸に角を受けてな……なんとか生き残ったがデケェ傷が残っちまった」
「うわぁ痛そう……でも右腕奪ったんならその魔獣も長くは生き残れないよね。お兄さんが倒した様なモノじゃない? 凄い凄い!」
無邪気な少女の様に凄い凄いと自分の為した事を褒め称えてくれる美女。
依頼の失敗で前金のみしか受け取れず、仲間達に馬鹿にされた男の話を全肯定してくれる麟華の言葉に、荒んでささくれ立っていた男の心がじんわりと暖かく解きほぐされていく。
「うっ……ぐす、ありがとうよ、ネエチャン……ちょっとカッコつけて盛っちまったが、右腕落としてやったのは本当なんだ。胸に体当たりを受けてぶっ飛ばされて気絶しちまってよ……気付いたら魔獣は居なくなってたんだ、だせぇよな」
「生きてるだけで凄いんだよ、冒険者なんて商売は特にさ。お兄さんのお陰で助かった人もきっと沢山いるんだから。……胸の傷ってどんな感じなの? ボク見てみたいなぁ」
「ネエチャンみたいな美女に見せられるモンじゃねぇよ……娼館の女達にも気味悪がられたしな」
「ちょっとだけぇ……ダメかなぁ?」
男にしなだれかかったまま瞳を潤ませて見上げる様に懇願する鱗華の言葉に、ついつい絆された男がシャツの胸元を開けて傷の一部を覗かせる。
引き攣れた様な治りかけの生傷が、もじゃもじゃとした胸毛の下から顔を見せた。確かに、戦いに縁のない女が見れば嫌悪感を催しても仕方ないくらいに、その傷は生々しく大きかった。
「良いモンじゃねぇだろ? せめて古傷くれぇに治るまでは娼館は我慢しとこうと思ってよ……気味悪がられるのは地味に堪えるからな。ネエチャンも気持ち悪いならもう帰ってもいいんだぜ……酌してくれてありがとな」
数秒間だけ傷を覗かせた男が、もう良いだろうとばかりに鱗華に礼を言いながらはだけたシャツを直そうとした瞬間――
「ッ! ネエチャン?!」
ごく自然に左手を男の胸元に伸ばした鱗華が、慈しむ様にその傷に指先を触れた。
「頑張ったね……偉いね……こんな傷を負ってまでキミは魔獣と闘ったんだね。とっても凄いよ……もう痛みは無いの?」
「あっ……ああ。ちっと引き攣る痛みがあるが、ポーションも飲んだしな。たいした痛みじゃねぇ」
胸元の傷……それは鱗華にとって特別な意味を持つ。
自らを庇う為にその身を挺して魔竜の牙に貫かれた夫もまた、背中から胸に貫通した傷あとがいまだうっすらと残っているのだ。
強さは夫とは比べ物にならないとはいえ、魔獣との闘いで傷を負い生き残った男。
鱗華にとってそんな彼が娼婦たちに疎まれたり仲間に馬鹿にされたりと不遇な目に遭っている事は許される事では無かった。
(こんな良いオトコが不幸なのは間違ってるよね……せめてボクがひと時慰めてあげないとバランスが取れないよ)
元々適当に見繕った男と束の間のアバンチュールを楽しむつもりだったのだ。
予想以上に自分の心を掴んだこの男に、麟華は男に好かれる自らのスケベな肢体を預ける気満々であった。
「ねぇ……ボク、ちょっと酔ってきちゃったかも。ここって二階で部屋借りれるよね……お兄さんすこしだけ看病してくれないかなぁ♡」
「そいつぁ…………ごくり。俺は騙されてねぇか? ネエチャン本気……か?」
「それ以上は無粋だよ……お兄さん。部屋代もボクが持つから」
「いや、それくらいの甲斐性はある。恥はかかせねぇでくれ、マスターちっと借りるぞ」
連れ込み宿としても機能している酒場は珍しくない、裏町にある酒場はほぼそうだろう。
このラッキー野郎め、とでも言いたげな表情で男に部屋の鍵を渡し、しなだれかかる鱗華の華奢な肩を抱きながら上機嫌で階段を上がる後ろ姿を羨ましそうに見送るマスターであった。