やっと近況報告ができるくらいのペースで、できたと思うので初投稿です(大嘘)
ずっとこの時を待っていた…必ず読む!とか言ってくれる人はどうぞ↓
前回のあらすじ
小さい妖精「おっすおっす!」
パッと見女性「ぼすけて」
デブ「えぇ!?こんな状況からでも入れる保険が!?」
あらすじ終わり
轟さんが着替えを終えた姿ははっきり言って美しかった。服装はハベトロットの好みを反映した上で、動きやすさを重視したスカート等が短く調整されたパーティドレスの姿であり、廃墟という場所には不釣り合いだった。
薄暗い空間ということを考慮すれば、もしかしたら幽霊と言われても信じてしまいそうだった。幽霊と誤認させた上で逃げ出させる。それが第1の策。
もし、それが通用しない相手であったなら俺の出番。ハベトロットやステンノ様と共に敵を強襲、無力化する。これが第2の策。
策とは言っても以上の2つしか無く、破られてしまったら実質負けのようなものであり、サーヴァントにいたっては本来なら効かないはずの葛城財団が所持している銃弾。それが1発でもヒットしてしまった時点で負けというほぼオワタ式を強いられている。
俺が全員のヘイトを稼ぐ必要があるのだが、それについては大丈夫だろう。なぜなら種火狩りの時はそれくらいの人数は意識しながら前線を張っている。種火より分かりやすい銃口の方向。それさえ分かればあとは位置に気をつけるだけ…とは言ってしまえばそれだけなのだが、銃は銃。3人の銃撃を受け続けられる自信はない。立ち回りに気をつけるべきだ。
そんな事を考えていると時間が来た。
配置としては轟さん(女装)とステンノ様が部屋の中央、小さな謎の機械に近い場所で待機しており、扉を開けられた瞬間に1番先に目に入るであろう位置。
ハベトロットは扉の直上。糸車の上に座って場所を確認している。
俺は扉を開けた時に死角となる位置。明かりを消したライトを持ってさらに魔力を回す。ファーストタッチで1人は必ず持っていく。そんな決意を固める。
扉がゆっくりと開かれ、光の線が飛び出る。
「やっぱりここにいたか…人数は2人か?おいお前こんなところで何をしている?」
「ひっ…人…!」
轟さんから出た声は、今まで話をしていた声よりも更に高く、女性としか思えない声であったため、少しびっくりした。
「動くな、手を上げろ!いいか?ここは俺達葛城財団の所持している施設だ。こんなところに何をしに来たかはわからんが…女性2人。誰も来ないところに男と出会ったら何をされるかわかっているだろうなぁ?」
「い…嫌…!来ないで!」
轟さんの怯えている姿が、やけに様になっているのは気のせいだろうか。ステンノ様はそんな轟さんの前に庇うように立つ。
「待ってください隊長!隣にいるのはサーヴァント!女神です!」
「ほぅ、女神か、なら尚更屈服させるやる気が出るってものよ!」
不味いと思った。第1の作戦が早速瓦解した。第2の作戦を行動しようとするが位置を確認出来ない。このまま銃撃されれば敗北だ。
「糸爆弾投下!」
突如としてそんな声が聞こえたかと思うと周りが一気に煙に包まれた。きっと頭上にいたハベトロットのがした事だろう。
煙と混乱に包まれた敵3人の前に飛び出し、目の前にいた人の手を掴む。そのまま手を引きながら後ろに向かって腹を殴り飛ばす。次にいた人は腕を掴み、気合いの声と同時に腕の関節を脱臼。そして先程と同様に後ろへ向かってほおり投げる。最後の3人目は煙にしっかりと入っていなかったため、はっきりと姿が見えた。そのため、首を掴み、その背後の壁へ叩きつける。そのまま顔面を片腕殴り続け、ある程度のところで地面に向かってダメ押しの拳1つ。きっと顔の骨はぐちゃぐちゃだろう。
急いで煙の中から部屋の中へ戻る。
そこには室内でサーヴァント2人を前に、地に伏された敵の姿がそこにはあった。
1人は糸でぐるぐる巻きにされて物理的に身動きが取れないようにされ、もう1人は特に拘束されていないように見えるが、体の節々が石になっており、その石化が進行していた。
「一体…何が……?」
「簡単な話ですわ。誰もいないと見るや、女性を襲おうとする。そんな下衆な人は退治されるというお話よ」
「サーヴァント…ステンノ…ああそうか!報告にあったな!何か引っかかっていたんだ。ここの付近にいるステンノのマスターは男!察するに後ろのデブがマスターだな!」
「ええ、それが何か?」
「聞こえたな!俺のサーヴァント!ソイツをやっちまえばいいんだ!」
糸でぐるぐる巻きにされた男がそう叫んだ。
倒したはずの後ろから呻き声と、何かが膨れあがるような音が聞こえた。
警戒しようと後ろを振り向いた瞬間、視界の端に何か鋭利なものが見え、避けようとしたが避けきれず、胸の上辺りから肩にかけて浅い切り傷ができてしまった。
転げた体勢を直して倒したはずの姿を見た。
そこには首を掴めたはずの首の太さではなく、筋肉隆々の偉丈夫が見えた。髪は白髪になって後ろへ伸び、そしてその身の丈はありそうな斧を2本持っていた。
「やっちまえ!
先程の男から補足された。それに呼応するように完全に変化した男は叫んだ。
なるほど、その姿はFGOで出たミノタウロスの姿によく似ていた。そして、そう呼ばれるのを嫌う、アステリオスにも似ていた。
「俺が潰れた財団法人の拠点に、何も対策せず来ると思ったのか!コイツは俺だけに従う俺だけのサーヴァントだ!そうだ!サーヴァントが来なかった俺だけの!
そう言い終えると男はハベトロットに糸で口を抑えられるまで大きな声で笑った。
声の主が静かになったとしても、状況ははっきり言ってかなり不利だ。動きを見極める必要がある。なのだが、動きが種火と全く違う。
俊敏さも、パワーも、はっきり言ってただの人間である俺では荷が重い。
しかし、逃げるにしても1人ならまだしも、今は近くから離れている他の人達を置いてはいけない。ここで抑えるにしても戦闘は避けられない。
「……!来るか!」
睨み合いが解け、ミノタウロスが飛びかかって来る。それを横に避けたのはいいが、それを追いかけて来た横への斧のなぎ払いには対応できず、今度は腹を切られた。
その傷を耐えながら構わず前進、その胸に向かって拳を出すが、その前に巨木のような腕で横に向かって腕で吹っ飛ばされた。
壁に叩き付けられ、意識が飛びそうになる。
魔力は回している。しかしそれでもいくら早めてるとはいえ、ダメージの治癒や反応が遅れている。単純に何もかも上なのだ。口から嫌な味がする液体を吐き出しながらひたすら考える。
このペースで行くと死ぬ。そう確信できる。
しかし、俊敏さはともかくとして、力…パワーは張り合えるかもしれない。反応も切り札を使えば動きは見れる。
大丈夫、コツはあの時に1回は掴んだ。
痛む全身をゆっくりと起こす。
その姿を見たであろう轟さんとハベトロットは口を動かしていたが、何か言っていたがうまく聞こえなかった。
ステンノ様は、察したのだろう。視線はミノタウロスに向いていた。時間稼ぎだ。これを使うには俺の時間が多少とはいえ必要になる。これで安心して準備ができる。
全身に回している魔力、それを流している魔力回路。特に影響が少ない場所を意識する。そしてその端、それを一部分とはいえ、
その破片は近い血管に傷を付け、当然ながら出血をする。割った所から流れ出た魔力と血液は混ざって血管に乗り、より強化の質を上げる。そして血液は割った部分の魔力回路に流れ込み、副次的に魔力回路が次第に赤く染まっていく。
それを1回、2回と続けて行う。1回ずつ割るたびにパチンパチンと輪ゴムがちぎれるような音が響くと同時に、そこから鈍痛が走る。だが、その痛みが若干遠くなりそうだった俺を現実に引き戻す。
「□□□□□□□□□□!!」
ミノタウロスが先程と同じようには上段から飛びかかって来たのを視認した。
手の獲物の距離からしてそのままの位置だと斧の刃に確実に当たる。わずかに横に避けて、手を添える位置を予想する。
そしてタイミングを見計らい、かなりの強化を施した拳で逆方向に殴り抜ける。
関節から太い幹が無理矢理折れるような音が響いたと同時にミノタウロスが苦悶の声を上げる。
そしてもう片方の腕を掴み、背負い投げの要領で背後の壁に投げ、急いでミノタウロスから距離を取る。
「……嘘だろ……?サーヴァントだぞ!?それがなんでたかが赤くなった人間程度に投げられるんだよ!」
「その通りよ。たかが赤くなった、それでもただの人間はサーヴァントには勝てませんわ。でも、アレは本当にサーヴァントなのかしら?」
「納得できるものか!おい!俺はマスターじゃないが命令だ!さっさとソイツを殺せ!」
「□□□□□□□□□□□□□ー!」
四肢が石化された人間のその言葉に呼応するように声を上げるミノタウロス。だけど同時に哀れに思う。
異聞帯でのミノタウロスはどうだっただろうか?少なくとも返事はできる会話能力はあったはずだ。しかし、今俺が相対しているその声は言葉にすらなっていない。そして先程からの短絡的な単調な攻撃、きっと思考能力も大半を奪われているのかもしれない。いくら元となったサーヴァントがバーサーカーとはいえ、ここまで変わるともうサーヴァントではなくただの獣じゃないだろうか。
『マスター、聞こえているわね?女神からの指示よ。
『言われなくてもそうするつもりでした』
念波での返事と同時により効率的に
腕の関節を片方外しただけで、まだまだ健在な
一挙一動をを見逃すな。次に何をするのかひたすら思考し、予測しろ。
さっきまでの攻撃は直情的な行動しかしていない。そのことからブラフなんかの行動する可能性は低い。種火と違って方向もわかりやすい。避けやすいし合わせやすい。そして、相手の勢いを利用しての関節破壊はいとも簡単にできた。こちらの攻撃は当たれば通る。あの時とは違って無理をする必要も無い。
大丈夫、殺せる。
「□□□□□□□□□□□!」
腕の関節を直さず、真正面から向かって来たミノタウロスを横に避ける。だがそれだけだともう片方の斧の刃が当たる。
考えろ。
横に避けながら斧の柄の範囲内に入る。これなら致命傷は負わない。同時に
魔力で更に強化した拳で、ガードが出来ない脱臼させた側の腹を殴る。殴ったと同時にミノタウロスの腕が横なぎに当たるが、そこはもう片方の手で手首を掴み、吹き飛ばされる方向を変える。姿勢を直しつつ、着地。気が付くと轟さんが近くにいた。
「白島さん!傷が!」
「うん?ああ、ありますね。それが何か?」
「いやいやいや、痛みとか…いやそれよりかなり吹き飛ばされたけれど骨とか!」
「うーん。今も痛いですし、骨も胸のあたりは骨折しているかもですねぇ」
「なら戦えないはずだろ!逃げよう!」
「逃げたら殺されますよ?それに…指示がありましたから」
「指示って…!あんなの聞いちゃダメだ!相手はデタラメなんだ!」
「デタラメだから勝てないとでも?デタラメなのは俺も同じです。それに…」
「それに……?」
「
大きく深呼吸してから、轟さんとの距離をステップで離す。
敵は牛のように再度の突撃を敢行。今度は斧は使わないようだ。ならばと思い、大きくなった角を掴み、真正面から力で抑える。
しかし、それでも抑えられず、少しずつ、少しずつ後ろへ押されていく。このままでは不味いと汗が額から落ちていく。
ああ、だけど相手が力で上回るならそれ以上の力を
まわせ。まわせ。つくれ。つくれ。
回すたびに体と魔術回路が悲鳴を上げる。そんなものはどうだっていい。
後ろへの移動が止まった。
かわれ。かわれ。かわれ。かわれ。
徐々にミノタウロスを押し出していく。
だけど、まだ足りない。相撲とは違い、ただ押し出すだけでは勝つことが出来ない。
ならばどうするか……いや、簡単な事だった。方向を変えればいい。何より、この場面には見覚えがある。
徐々に徐々に横方向へ力を加えていく。それに抗うようにミノタウロスは前へ力を加えてくるが、それを無理矢理ねじ伏せる。横への力は少しずつ強くなり、あっというまにまだ勢いは足りないが振り回す状況になった。その勢いを更に強くし、ミノタウロスの足を地面から離す。3回転ほど更に振り回した後、手に力を込めて気合いの1言と同時に角をへし折った。
「飛んでけぇぇ!」
折ったと同時に、ミノタウロスは回転の勢いには逆らえず、ほおり出され壁に激突。俺は若干不安定な体勢で投げたせいか地面に倒れた。
倒れた時に目がまだぐるぐるしてしばらく落ち着く事ができなかったが、なんとか復帰できた。
そしてミノタウロスを拳を構えながら見据える。ミノタウロスは壁にめり込んでいた状態から地面へと落ちており、痛みに悶えていた。
ふと周りを見渡すと、ステンノ様以外の全員が口を開いて立っていた。ステンノ様は口を開けてはいなかったが、驚いた顔をしていたのは皆と同じだった。
「えぇ…女神のマスターってば本当は化け物だったりする……?」
「体を作り変えたのは否定はしません。でも、ここまでやれるのには私も予想外ね。馬の賢者の教え方が良かったからかしら?まぁいいわ。マスター、まだ戦いは終わってはいません。集中なさい」
ハベトロットからの質問に答えたステンノ様の声に、軽く返事を返し、再度ミノタウロスを見据える。
ミノタウロスは壁に激突した影響か、少しふらついていた。
目立った傷と言える傷は、わかりやすいのは腕の脱臼くらいなものだが…体内、特に頭から投げたものだから首へのダメージは深刻なものだろう。
斧は手から落ちており、拾う様子も無い。拾う余裕が無いのか、それとも拾うという考えが無いのかはわからない。しかし、それは俺にとっては好都合だ。これだけで危険な範囲がわかりやすくなる。
もう何度も見た突撃、今度は丸太のように大きな拳を突き出して来た。回避をするのは簡単だが、場所が不味い。後ろにはステンノ様やハベトロット、轟さんが延長上にいる。これは受け止めるしかない。
受け止めた瞬間に、ダメージがあるとは重えない程の力強い重みのある一撃が腹部に来た。その衝撃に足を魔力でかなり強化して反動を抑える。しかし、少し止まっていた腹部の痛みが再発し、たまらず呻き声が出てしまった。だが、同時に腕を掴めた。
「なぁ…パンクラチオンにおいて、掴んだら何をするか知っているか?」
質問には返答は無い。答える気が無いのか、答えられないのかどっちでもいい。これは俺の大きな独り言だ。
「
体の位置をより懐に入るようにし、手を滑らすようにして移動させる。その後、腕の関節を足で思い切り蹴りあげる。1回では折れなかったので2回、3回。5回目で大きな音と共に、ようやく曲がってはいけない方向へと曲がってくれた。
そして苦悶の声を上げながら、手を離した瞬間に後ろへ逃げたミノタウロス。その腕はどちらとも、もう使えない。それでも足には力が入っている事からまだやるつもりなのだろう。再度構える。
もう何度も見た突撃。角が折れているにも関わらず、頭から突進して来る。その突撃の直撃ルートから横にずれ、腕を振り上げる。そしてタイミングよく少し跳ね上がり、肘を下ろす。
敵の突進、そして俺の体重をかけた肘の一撃がミノタウロスの太い首を背面から打つ。骨が折れる音がしっかりと出たのを聞こえ、マウントを取る。ここから見えるのは相手の頭のみ。
霊核を壊す。何度何度も殴り、赤い血しぶきが出るのにそう時間はかからなかった。白いモノの破片が見えたとしても、構わず拳を下ろす。
「種火より弱い。強化させてもらってから来い!」
その声とともに力を込めた最後の一撃を打ち下ろす。脳漿やグリア細胞にまみれた拳を抜いた後。ゆっくりとぴくりともしない体から立ち上がる。
少しフラついた後、隣にどさりと座り込む。頭に血が昇っていたのかやっと冷静に今の状態を見る事ができるようになった。
身動き出来ない
「よくやりました。褒めてあげるわ、私のマスター」
「あっはい…ありがとうございます」
「でも、その血にまみれた手で私には汚いから触れないで頂戴。ただでさえ、今、そのデカブツが倒れた風で服にホコリが付いてしまったの。良い気分にはならないわ」
「それは不可抗力では……」
「何か言ったかしら?」
「ヴェッ!ナニモ!」
「そう、ならいいわ」
「嘘だ…嘘だ!」
突如として、少し離れた所から声が響いた。声の発生源は倒れている2人の内どちらか。片方は口は塞がれているため、分かりきったこと。
「俺達のサーヴァントだぞ!?たかがなんでそんなデブ1人に倒される!おい!戦え!戦うんだよ!」
そんな慟哭に似た叫びも虚しく、頭部を潰された肉塊の端から光の粒子がチラチラと出始めていた。
「醜いものね。潔く負けを認められないのかしら」
「ふざけるな!何かの間違いなんだよ!そうさ、きっと間違っているんだ。そんな話じゃ…おい!隊長もそうだろう!?」
そんなすがるような声に、ピクリとも反応しなかった口を塞がれた隊長と思わしき男。
少しおかしいと思いつつ、見つめてみると、生きているならば起こるべき呼吸の上下運動が一切起こっていなかった。
「もしかして死んでいるんじゃないかしら?」
「な……なんで……?」
すぐに近くにいたハベトロットがすぐに脈を確認したが、すぐに首を横に振った。
「目立ったことはボク達は何もしてないよ。ただ黙らせるために口は縫ったけど。それだけ」
「ああ、そう。なら外傷が原因では無いわね。たかが1回投げ飛ばしただけで、傷自体はマシなはずよ。なら…魔力かしらね?」
「なるほど。なら、さっきのミノタウロスの維持にバカほど持っていかれたって事ですかね。特に宝具なんかは使った様子は無いですけど」
「マスターの言うとおりね。最後なんて言っていたかしら?……あぁ作ったとか言っていたかしら。たかが人間がサーヴァントの神秘を模倣しようだなんて、大きく出たものね」
「し、仕方ないだろう!俺達の相手はサーヴァントなんだ!対抗できる存在がなければ行動だって出来ない!」
「そんな貴方達の事情は興味なんて無いしどうだっていいわ。どうせ聞いたところでロクな理由では無いでしょうし…聞く価値もないわ。貴方には微笑む女神もいません。自らの業を冥府で償うといいわ」
「待って!俺はまだ!」
「堕ちなさい、底の底まで」
救いを懇願する絶叫を無視するかのように、じわじわと石化が進行していく。そんな様を見ていられず、目を逸らす。声が聞こえなくなり、辺りには先程とは思えないほどの静寂が訪れた。
「これで一段落と言った所かしら。糸紡ぎの妖精様?次の人は来る様子はあるかしら?」
「い、いや無いよ。糸を切るような存在は特には…」
「そう、ならやっと休めるわね。そこそこ面白かったんじゃないかしら。マスターにはびっくりさせられたわ?あんなに大きなものを投げ飛ばしてしまうのですもの」
「ああ、あれはやれると思ったら、なんとなくやれたくらいなもので正直未だに実感が…」
「そこは誇りなさい。ダイナミックな見世物としては良かったわ」
「戦闘じゃなくて見世物ですか…サーカスとかそっちだと…」
「ちょっと待って。白島さん!君は人が死んだというのにそんな淡白なの!?こう、もうちょっとショックとか…」
「……?この世界になってから人が死ぬのは日常茶飯事でしょう?轟さん。それに、殺したのは顔見知りじゃなくて単なる敵、そう割り切らないと」
「あー……そこまで言いきられたらこの問答も意味ないな。なぁハベトロット?俺達がおかしいのかな」
「ううん、むしろあっちがおかしいと思うよ。なんなんだろうねあの人達」
「ちょっとぉ!?たかが1回戦闘しただけでおかしい人呼ばわりは少し傷つくんですけどぉ!?」
そんなこんなで少し後味が悪いような戦闘は終わり、俺が動けるようになってから、探しても手がかりらしきものは一切見つからず。目的の部屋も見つけはしたものの、血が乾いた壁が目に入るだけであとは廃墟と呼ぶにふさわしい空間であり、そこも結局空振りで終わってしまった。
そこまで探すと空の陽はとっくに落ちており、流石に帰路につかなければならない状態となっていた。
途中でシェルターに寄り、ハベトロットと轟さんと別れた。そして湖に映る月を見ながらのんびりと歩く。以外にもエネミーの姿は無く、心地よい風が吹くだけで1日の徒歩の疲れが少し癒されるようだった。
ただ、そんな状況だと、頭だけが働いているせいか嫌でも何か考え事をしてしまう。
ステンノ様は一体何を隠しているのだろうか?
いや、そもそもとして俺が召喚したサーヴァントは
否定する材料はいくらでもある。しかし、そうでは無いという確証を持てる証拠が無い。
例えば前提としてステンノ様は『変化することができない』という、ある種呪いのような概念が存在しているはずだ。しかし、神格を外した時、少しながらも成長する。この説明が全くできない。宝具なんかも考えてみたものの、そんなものは俺が知る限り無い。
極めつけはあの時の夢だ。サーヴァントの人生を夢として見る。そのことはマスターなら有り得る。ただあの時の夢はかなり変だ。夢なのに誰かと話をしていたふうでもある。夢ならば主観視点が多くなるはずだ。なのに俯瞰で時間があっという間に流れていたような気がする。まるで、誰かが見ている本をその脇から同じ視点で見ているかのような…。
じゃあ極論で考えて、俺が召喚したサーヴァントは誰なんだ、と考えて見ても、結果的には十中八九ステンノ様としか言えないだろう。しかし十中八九だ。残りの1か2割、そうじゃないとも言える。
やっぱりステンノ様は何か隠している。それを明らかにしないのは何かしら理由があると見るべきなのだが……。
「考えるのはそこまでにしておきなさい。もうそろそろ拠点よ」
その言葉に少し詰まりながら反応してステンノ様を見た。
背後の湖に映る月が波紋で少し揺れた気がした。
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それから数日後、いつもと変わらないように、来るかも分からないお客様を玄関に近い場所で作業しながら待つ。
しかし、あの日から妙な感覚が胸中を占めていた。疑問は晴れることなく尽きない。
しかし、急に扉が空き、姿を見せたお客様を見た瞬間。全ての思考が吹き飛ばされた感覚がした。
人間ではありえない溢れ出る神秘、そしてサーヴァントでは不可能な程のプレッシャー。手に持った馬上槍。身長は小さいが緑色をした目と金髪の髪をなびかせながらこちらに歩いて来る。
そう、サーヴァントでは無い、この世界を破壊した本人と思われる神。アルトリアランサーだった……何故か身長は小さいがきっとそうだろう。
立ち上がろうとも、椅子に縛り付けられた感覚がして一切足に力がはいらない。言葉を出そうにも喉元まで息は出るがそこからが出ない。ただただ、こちらと目を合わせる神を見つめ合うだけだった。
「ふむ、なるほど。こちらに我が同士がいると思ったのですが…」
「私ならここよ。女神の分霊様」
奥へ続く通路からステンノ様が顔を出す。その顔はまるで久しく会っていない友人と会った時のような表情だった。
「ああ、そちらでしたか。気配遮断…ではありませんね。やはり、そうなりましたか。説明などはやはり?」
「ええ、乙女には秘密の1つや2つ付き物ですもの。何よりしてしまったら私の愛を示せなくなります」
「なるほど、それは由々しき自体ですね。ですが私にとってはどうでもいいですが、その虚ろな気配はこれからに関わるのでは?」
「それは……ええ、否定はしません。でもこちらにも事情があるの。ジレンマ、と呼ばれるものかしらね」
一体なんの話をしているんだ?言葉としては脳が認識してはいるものの、文としての処理ができない。聞き覚えのある言葉なのに外国語のように聞こえる。
「ええ、その薄さのせいで今まで様子を見に来ることができませんでした。しかし、これは不思議な愛ですね。変わっているのに変わっていない。1種の矛盾を体に宿している。臨界点はあるでしょうに」
「もし、その時が来たら私も死ぬ時よ。何より変えているのは貴女もでしょう?」
「勘違いしないで下さい。変えているのではなく、再生させているだけです。しかし、これはあくまで私のテストケースの1種であることを覚えておくように」
「それは重々承知していますわ。私の…いえ、私達のマスターですもの」
「それでは無駄話はこれくらいにして、そろそろ調度品を揃えておきたいと思うのです。何か良さげなものは?」
「ああ、それなら完成度が高いあの品を出しましょう。値段は言い値で結構です。まずは見て下さいな。少し探して来ますので少々お待ちください」
そう言ってステンノ様は奥へ戻って行った。
「そこの女神のマスター」
「は…はい!」
「疑問はおおいに結構。そんなことが頭をよぎることもあるでしょう。しかし、今の虚ろの姿は貴方のせいなのです。貴方が、彼女の全てを受け入れる
そう言ってこちらを一瞥したアルトリアランサーの目は光輝いていた。その視線に大人しく頷くしか無かった。
それと同時にステンノ様が戻って来て、スムーズに会計処理まで終わり、アルトリアランサーが帰る時となった。
「ふふふ……たまには儚げな姿で交わるというのも…♡強い私だけでは食傷気味にもなるというもの。少し見繕って見ましょうか♡」
そんな事を呟きながら歩いて玄関から出て行った。
出た瞬間に体の力が一気に抜ける。心臓もバクバク動いた状態で汗がしばらく止まらなかった。
しばらく時間が経過して落ち着いた後にステンノ様から声をかけられた。
「よく頑張ったわね、褒めてあげる」
「ステンノ様?あれは一体…?」
「勘づいているかもしれないけれど、先程のはこの世界を今の世界に作り変えたその神。その分霊と呼ぶにふさわしい存在よ。分霊とは言っても、その強さは本物に匹敵するわ。その分、圧力なども変わらない。はっきり言って、あんな至近距離に普通の人間がいたら気絶してもおかしくないわ」
「マジですか…」
「ええそうよ。あれが本来在るべき神というものよ。逆らうなんて身の程知らずがどんなことになるのか言わなくてものわかるでしょう?」
「はい…」
「少し飲み物を持って来るわね。ハーブティーでも煎れましょうか。気分が少し落ち着くように」
そう言ってステンノ様は台所へと向かって行った。しかし、あんな事を言われても疑問が消えたわけでは無い。
ステンノ様は一体何なのだろうか?
今回は11152文字でした。たぶん明日は槍が降ると思います(大嘘)
今回はかなり詰め込んだ回となっています。情報量を多くしすぎたのだ…反省反省。(尚完全に反省する気はない模様)
そして何がしたかったのかも分からない回ともなっています()
今回から終わりへと向かって行きます。思ったよりリクエストが来なかったからね!話延長するのにも無理が出てしまっては流石にキツいのじゃ。うーむ…ステンノ様というのがそもそも他の人気サーヴァントに比べて認知されていないからか…?映像媒体でも出演したのに…。
でもエロはやる(鋼の意思)
そんなわけでテンプレは省略
(*´ω`*)ハヤッタヨネ
リクエスト箱いる?
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いる(鋼の意思)
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(いら)ないです
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そんな事よりおうどん食べたい