※この作品はR-18です。

拍手お礼文(小話集)   作:夢枕 七変化

10 / 31
目次

ルフィ
ミホーク
マルコ
ロー
ドフラミンゴ
クロコダイル
イゾウ

線で区切ってあるだけです。飛んだりは出来ません。予めご了承ください。


ある夜の出来事(ナミゾウ)

【ルフィ】

 

 その日はロビンの元へ夜這いしに行くとフランキーが宣言して、サンジが暴れるのをゾロが押さえ込み、騒がしさから逃れる為に図書室へ行ってみた。だが、海図や地図も描ける物は無くて、ペンを手にしても何も思い付かなかったから小説を書くのを諦める。

 部屋に帰れば騒がしくて眠れないだろうが、だからと言ってソファで寝るのはどうなんだと思わなくもない。寝るには少し硬いんだよな……。

 そんな時に誰かが部屋に入って来たのを何となく感じた。だけど場所が場所だけに、誰が入ってきてもおかしくは無い。

 ほぼ寝てる俺の脳は、その人物が近付いてきて俺の寝るソファに共に寝ようと言わんばかりに入ってきたのにも関わらず、温もりを求めて抱き着いていた。狭いなと思わなくもないが、この温もりは離したくない。

 その直後抱き着いていた腕が剥がされて、ソファに押し付けられたように思った直後に唇に何かが触れた。いや、触れたなんてものじゃない。

 侵入してくる舌に脳が慌てて覚醒する。でも抑え込まれている上に寝起きで、しかも相手が分からないから上手く抵抗出来ない。

 

 「んっ……!やめ……!」

 

 必死で顔を背けた時、お酒の匂いを感じて酔ってるのかと気付く。犯人を見ればそれはルフィで、酔って、その勢いで女が欲しくなったのかと気付けば、泣きたいような気持ちになる。

 同性での片想いなのだから叶う筈も無い事は分かってるけど、流石に胸が苦しい。それでも兄貴分として、駄目だと教えてやらないと。

 

 「辞めろ、ルフィ!次に島についたら花街探してやるから、とりあえず退け!」

 「俺は……」

 

 言葉と共に掴まれている手首に痛みが走る。強く、握られている為だとわかる。

 

 「俺は、お前が好きだ。突然キスしたのは謝るけどよ……。頼むから、女宛てがうみたいなのは……辞めてくれ」

 「ルフィ……ほんと、に?」

 

 涙が、零れ落ちる。ずっと……俺の、片想いだと知っていたから。

 冒険を愛してるルフィだから、恋愛になんて興味ないって、わかってたから、諦めて封じこんでたのに……。

 

 「俺もずっと、ルフィの事が……!」

 

 それから先、言葉は必要無かった。流れる涙を拭ってくれたルフィと、俺の唇はまるでそうなるのが自然であるかのように重なり合う。

 その先の事は、空に輝く月と、当人達だけが知っている。

─────*

【ミホーク】

 

 月明かりが雲により陰る。流石に星の明かりでは海図は描けないかと判断して、俺は眠れるかは分からないがベッドに入る。

 今は珍しく人のいる島に立ち寄っているミホークは、その関係で今この船を空けている。ベッドに入ってみれば思っていたよりも疲れていたのか、俺の瞼は自然と落ちて深く、深く眠る事になる。

 それからどれくらいの時間が過ぎたのか。ベッドに入り込む人の気配を感じる。

 本来ミホークのベッドなのだからそれは当然で、でも何かあったら守ってくれると信じられる人だからと無意識で抱きつけば、いつもは感じない感触が唇に現れる。なんだろうと思った時、口内に侵入する温かいもので意識が覚醒する。

 それと同時に甘さを感じ取れば、どうやらワインでも呑んできたらしいとわかる。酔った勢いでのそれかと思えば、思わず股間を蹴り上げていた。

 

 「人の寝込み襲ってんな!ミホークなら、いくらでも女から寄ってくるだろ」

 「足癖の悪い……。俺は主が良い、相手をしろ」

 「ふっさげんな!」

 

 抵抗の声ごと再び唇で押さえ込まれて、辞めろと必死でその肩を殴る。そんな俺の手首を掴み、ミホークは俺をベッドに押さえ付けると低く唸るように言う。

 

 「好きだ。こういう意味でな。……主には幾度も伝えたが伝わらぬ故、これでも悩んでいる。わかるか?」

 

 真剣な声と、震える瞳と、そして……困ったような顔がそれを真実だと告げている。俺はそれを信じたくて、でも俺は男で……なのに唇は勝手に言葉を紡ぎ出す。

 

 「俺……も、」

 

 涙が自然と落ちて、言葉が続かなくなる。そんな俺に1瞬驚いたような顔をしたミホークが、直後に破顔する。

 そして優しく唇で涙を拭うと、それから先、2人に言葉は必要無かった。合わさる影は、離れる事を望みはしない。

─────☆

【マルコ】

 

【パラ『ある夜の出来事』マルコ】

 

 妙に肌寒く感じて外を見れば雪が降っていた。見回りに出たマルコさんは大丈夫かなと思いながらも、俺は寒さに負けて先にベッドへ入る。

 居候の身だから文句は言えないけど、どうして同じベッドなのか。男二人で1つのベッドとか、狭かったり、邪魔なんじゃないのかな。

 そんな事を考えながらベッドで丸くなれば、いつも守ってくれるマルコさんの香りがする事で自然と体から力が抜ける。それから間も無く誰かがベッドに入って来て、その時隙間から入る冷たい空気によりその侵入者に抱き着いた。

 正直、暖かい。擦り寄れば何か言われた気がしたけど、鈍ってる頭ではそれが何だか認識出来なくて、抱き着く腕に力を込めた。

 直後に唇に触れた温もりと、顎に添えられている指の感触で意識が覚醒する。待て、何が起きてる!?

 口内を蹂躙するそれから甘味を感じ取れば酒を呑んできたとわかり、酔っているのだと判断した俺はその体を必死で押しのけようとする。酔った勢いで襲うなら、女にしとけよ……!

 

 「やめ……!」

 

 唇の隙間で抵抗すれば再び深く合わさる唇。当然のように服の中に手が侵入して来て、必死でそれから逃げようとすれば普段なら逃げさせてくれるのに今日は強く、抱き締められてしまった。

 

 「いやだっ!マルコさ……「好きだよぃ」」

 「へ?」

 

 思わず動きを止めてマルコさんを見れば、泣きそうな顔をしているのが見える。捨て犬のような弱々しい雰囲気で、俺の顔を覗き込んでる。

 

 「ずっと、初めて会った時から好きだよぃ。だから……俺のモノになれ」

 「マル……コ、さん……?」

 「他に触れさせたくなくて、部屋に無理矢理引き取ったが……余りに無防備で耐えられなくなった。このまま、俺のモノになれよぃ」

 

 涙が、流れ落ちる。それにマルコさんが慌てた様子を見せるから、俺はそっとマルコさんの首に腕を回した。

 ずっと……憧れて来た大切な相手。叶う筈が無いと幾度と無く殺して来た想いが溢れ出す。

 

 「大好きだよ、俺の……幸せの青い鳥はマルコさんだけだ」

 

 俺の言葉にマルコさんは照れたように笑って、大切にすると笑った。そうして重なった影が、離れるのは無粋な誰かがドアを蹴破るまで無いだろう。

─────*

【ロー】

 

 今日は帰りが遅いなと思いながら窓から外を見ていたけど、陸に降りているローがそう簡単に帰る筈は無いのだと知っている。こんな時間だ、今夜は帰らないだろうな。

 そう考えた時、微かに胸が軋むような痛みを覚えたけど、そんなものは感傷でしかない。俺に悲しむ権利はない。

 ただの、クルーなんだから。そう思って、眠れるわけもないのにベッドに入って寝たフリをする。

 フリから睡眠に入らないとも限らないから……。そんな言い訳しながら丸くなっていたら、ドアが開かれる音が聞こえて来た。

 当然のようにその人物は俺のベッドに入って来たから、俺もまたいつもの様に無意識でその体に抱き着く。暖かいのと、安心するので漸くちゃんと眠れそうだと思う。

 それにより即座にウトウトとし始める俺の頭を軽く撫でてくるから、俺は期待してしまう。いつもはそこで終わるローは、何故かそのまま俺の顎に手を置いて、ハッと気付いた時には唇が重なっていた。

 その舌が妙に甘いのとアルコールの匂いから、酔っているのが分かり必死でその体を押し退ける。酔ってるからって、医者が男女の区別もつかねェのかよ!?

 

 「辞めろ!俺は、遊ばれるつもりはねェっ……んゥ……ゃ……!」

 

 言葉の途中で再び重ねられた唇に、簡単に押さえ込まれてしまう力の差に、悔しくて泣きたくなる。島で、適当に女買って来れば良いのに、ローは俺に欲情したりしねェだろうが……!

 

 「俺は!……ずっと、お前に惚れてる。他の男に笑いかける度に、どんな想いでそれを見てたかも知らねェで、遊びだなんて良く言えたな」

 「……どう言う、意味……?」

 「好きでも無ェ男と、無意味に同じベッドを使う趣味はねェよ。1番無防備になる睡眠時間を共にするなんざ、自殺行為だろうが」

 

 期待して、良いのか。俺の、片想いじゃ、無いのか。

 

 「ロー……俺は、ローの事が、好きだ」

 「……この流れで船長としてとか言ったら、容赦しねェぞ。大丈夫か、恋愛って物わかってるか?」

 

 信用してないと顔と声で伝えてくる疑り深い男に、そっと俺からキスをする。そして、こういう意味で好きだよと言えば、能力を使ったのでは無いかと言いたくなる程の早業で衣服を剥ぎ取られ、貪るように唇を奪われた。

 重なる唇、重なる体、重なる鼓動。それらが愛おしくて、涙が勝手にこぼれ落ちる。俺は今きっと、世界の誰よりも幸福だと実感しつつ、笑った。

─────☆

【ドフラミンゴ】

 

 外は暗くなったのに、王宮は静かだ。この時間だ、今日は帰らないのだろう。

 帰っていればその場所は常に賑やかだから、わかりやすい。共に過ごすようになって、決していい人ではないと分かっていながら……惹かれている事は自覚してる。

 それだけ、大切にされてるし、護ってくれてる。恋をするにも相手ってものがあるだろうと自分に溜息を落としても、現実は変わらない。

 俺は男で、相手も男だ。不毛だな。

 ……寝てしまおう。

 どうにもならない想いを無視して眠りに入れば、少しして窓が開いた事を風の動きで知る。起きて、お帰りなさいと言うべきだと思うのに、眠い。

 そんな俺のベッドに冷たい空気を入れないようにと気を使いつつ侵入してきたその温もりに、俺は何も考えずに抱き着いた。それに1瞬動きを止めて、それからその温もりはそっと俺の頬を撫でる。

 優しいその動きに、温もりに力が抜けた所で唇に何かが触れて、そのまま生暖かい物が入って来る。それは、嫌という程覚えがある。

 

 「んぅ!?」

 

 即座に覚醒した俺の脳は、けれども抵抗なんて色々な意味でできない。でも、その舌から感じ取れる甘味からワインか何かを大量に呑んだのだと分かり、逃げようと試みる。

 

 「わかさ、ま……!やめっ……!」

 「ドフィ……だ。俺のモノになれ」

 

 手首を掴まれて纏められる。それに足をばたつかせて見るけれど……力の差は歴然。

 

 「やめろっ!ふざけんなっ!」

 「……好きだ」

 「へ?」

 

 思わず見あげれば、苦しそうな顔をしたドフラミンゴがいる。

 

 「お前が、好きだ。俺を……愛せ」

 

 夢だろうか。願望や妄想が幻聴を俺に聞かせているのだろうか。

 

 「どうした?」

 

 問われても分からずに首を傾げると、小さく泣くなと囁かれて、眦に唇が触れる。それにより、泣いていたと気付かされた。

 

 「……遊び、なら、他「何度も言ってるだろう。お前は俺の花嫁だ。そろそろ受け入れろ」」

 「……ホント、に?」

 「ん?」

 「本当に……?俺は、女じゃねェし、若様は女侍らせてるじゃねェか。なのに、男の俺を……?」

 「……男が好きだとは言ってねェだろ」

 

 ズキリと胸が痛む。でもその直後に聞こえた言葉に息を飲まされる事となる。

 

 「俺は性別なんざどうでもいいと思う程に、お前に惚れてんだよ」

 

 もう、嘘でもその場しのぎでも良いと、そう思えた。そっとドフラミンゴの首に腕を回して、抱き着いた。

 

 「俺、も……すきだ……」

 

 涙が流れてベッドに落ちるのと、2人の唇が重なり合うのはほぼ同時で……その先は、ただ互いの想いを確かめ合うようにその身を重ねた。それを見守っているのは、空に輝く星々だけ。

─────*

【クロコダイル】

 

 大人しく寝てなさいとロビンに言われて寝てるが、異様に寒い。風邪だろうか?

 夏島の砂漠の国で風邪とか、俺の体どうなってんだよ。あー……でも、そっか、日本と違って湿度が無いから……いや待て、俺の居る部屋は鰐が大量にいるんだから湿度高い筈だ。

 そんな事を考えながら寒さに震えていたのは、多分弱りすぎてるせいだと自分でも分かってる。思考が纏まらなくて、頭がボーッとする。

 そんな時に微かな物音が聞こえたと思ったら誰かが俺の額にある布を取り、そのままそっと額に触れてきた。その後小さな舌打ちが聞こえたと思ったら、冷たく冷えた濡れタオルが額に乗せられて……その冷たさに少し体が楽になった気がした。

 そんな俺の寝てるベッドにその人物は入り込むから、その温もりを求めて抱き着く。本当に、寒いんだよ。

 

 「……寒いのか。チッだとしたら、このままだとまた熱が上がるか」

 

 なんだろうな、今日クロコは舌打ち大フィーバー?

 そう思った瞬間に重なる唇。ただしその唇からは大航海時代に海賊が愛したと言われるラム酒の香りと味が伝わり、クロコらしいとは思うけどそんな酔った勢いでとかは、嫌だと思ったら泣けてきた。

 感情が、病気のせいか乱れやすくなってる。

 

 「いやだ……!」

 「唇は、拒むな」

 

 言いながらクロコは服に手を入れてくるから、咄嗟に力の入らない手でそれに抗う。それに対して、クロコが苦しそうな声音を響かせた。

 

 「病人でも襲いたくなる位には惚れてる。俺のモノになれ。そう約すならば、今は手を出さないでやる」

 「クロコ?」

 「俺は、惚れてもいねェ、気に入ってもいねェ野郎と同じ部屋で寝る趣味はねェよ」

 

 涙が、こぼれ落ちる。クロコはそれに動揺するけど、片想いだと思ってたこれがそうじゃないと分かれば涙の1つ位簡単に零れ落ちる。

 

 「俺は、ずっと片想いだと、思ってた」

 「……お前が俺の告白勝手に躱してたんだろうが……病気が治ったら、覚悟しとけ」

 

 そう言ってクロコは俺の頭を軽く撫でた。その温もりに、俺は微笑みを向けて、早く治すように努力はすると言いつつ俺の方からその唇にキスをした。

─────☆

【イゾウ】

 

 歌も物語も、恋愛の絡まない物は少ない。いつの時代も、どんな身分かも関係無く恋愛に苦労して、胸を痛める人が多いからなのだろうか。

 幸せな作品と、悲しい作品のどちらが多いのかと、そんな詮無い事を考えてしまう程に俺は自分の感情に振り回されそうになっている。隠すしか無いのだ、この想いを知られたら困らせてしまう。

 そうは思っても弟扱いされている現状に、涙が零れそうになる。イゾウさんはきっと、誰よりも美しく、誰よりも妖艶で、そして……誰よりも残酷な人だ。

 眠れるだろうか。イゾウさんの匂いがするから、少しは……。

 買い物に行くと言って出たのに、月が高くなっても帰らないイゾウさんが心配じゃないと言えば嘘になる。でも、イゾウさんが勝てない相手に……俺が勝てるとはどうしても思えないからと言い訳して、現実から目を背ける。

 本当は女の人を買ってるのだろうと分かっているのに、認めるのがつらい。同じ男である以上、どうにもなりはしないというのはわかり切っているのに。

 そうして布団に入り少しするといつも抱き締めてくれるイゾウさんの香りがして、力が抜ける。その為に浅くはあるけれど眠りに入れた俺は、突然ベッドに入って来たその温もりに甘えるように擦り寄り抱き着いた。

 そんな俺をその温もりは優しく撫でて、それから何かを呟いてから重ねられた唇。それにより俺の頭は1気に覚醒して目覚めたけれど、その唇が離れる事は無い。

 

 「んぁ……やめ!」

 

 いつもとは違う香りをその身に纏い、酒に酔った勢いでなんて……誰と間違えてるのかは知らないけど、辞めてくれ。好きだと伝えてくるようなキスに、勘違いしたくなるから。

 抵抗する俺の手首を掴み、イゾウさんは低く甘く、その声を響かせる。それは、願望による聞き間違いかと思う程。

 

 「無防備にその肢体を絡まされ続けて、口付けの1つも許さないつもりなのかい?」

 「そんな、つもりは……」

 「無いだろうと分かっていたから、耐えてきたがね。そろそろ、俺の気持ち位は分かっておくれな」

 「イゾウさん?」

 「愛している。俺のモノになりな」

 

 息が止まるかと思った。それ程の衝撃。

 その直後何故か目の前が霞んで、それと同時に困ったような声でそんなに嫌かいなんて聞かれて、俺は自分から腕を伸ばしてイゾウさんに口付ける。この苦しい想いが、もしもイゾウさんが揶揄ったとかで無いのならば伝わるだろうと信じて……。

 

 「優しく、出来なかったらごめんな」

 

 そんな言葉と共に俺の服を脱がせて来るそれに、俺は多分笑ったと思う。自分が何をしているのかも分からなくなるような幸福の中で、俺はただイゾウさんに全てを委ねた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。