ルフィ
ミホーク
マルコ
ロー
ドフラミンゴ
クロコダイル
イゾウ
線で区切ってあるだけです。飛んだりは出来ません。予めご了承ください。
【ルフィ】
ペンがインクを吸う事で微かに重みを増す。それを確認して壺から取り出すと、迷い無く紙に線を引いて行く。
インクの臭いと紙とペンが擦れる音が、俺は好きだ。この瞬間だけは、俺が自由でいられる気がするから。
再びペンをインク壺に移動させようとした所で手首が掴まれて、視線を向ける。すると何故か怒りの形相で俺を見ているルフィが居て、それに首を傾げたら当然のように抱き上げられてしまう。
その突然の行動に驚き対応出来ずに居たら、小さく舌打ちが聞こえてそのままベッドに落とされた。何をするのかと睨み付けたら、ルフィが暗い笑みを浮かべてベッドから起き上がろうとした俺の体を抑え込むように上に来る。
「大人しく寝ろよ」
「もう少しで描き終わるんだよ。邪魔しないでくれ」
「大人しく寝ないと、犯すぞ」
ルフィの言葉に眉間がピクリと反応する。これ迄それらしい事なんて無かったし、ルフィにとって冒険と肉が1番で俺なんて、単なるクルーでしかない癖に。
そもそも男に興味なんか無いだろう。冗談にしてもタチが悪い。
「そんな気、無いくせに……冗談は辞めとけよ」
そう言って小馬鹿にしたように笑う。そうしなければ、泣いてしまいそうだったから。
なのに、何故か唇を塞がれて俺は驚きから眼を閉じる事も出来ずにそれを甘受した。何が……起きてる?
唇が離れて、ルフィが男みたいな顔で笑った。それに、顔が赤くなる。
「大人しく、寝ろよ」
繰り返されたそれに頷けば、ルフィがそっと頭を撫でて来るから、口から心臓が飛び出しそうな程の衝撃を受ける。そんな俺にルフィはホッとした様子で笑うと、唇を耳元に寄せて来た。
「続きは起きてからな」
続きって何だよ!?そう言おうとして、でも言えなくて、俺は布団を被って丸くなる。
それにゆっくり寝てろよなんて言い残されて、俺は高鳴る心臓を持て余しながら、どうやったら眠れるって言うのかと内心で叫びながら強く眼を瞑った。……続きを期待なんて、して無いからな……!
─────☆
【ミホーク】
インクの臭いと、紙とペンが擦れる音が聞こえる時間は俺が自由な心で居られる唯一無二の時間。この大好きな時間が苦痛だった期間は、ミホークとの出逢いにより終わりを迎えた。
救ってもらったのだから、何か返さなければと思うのに、情けない事に俺は今もただ守られているばかりだ。ならばこの地図や海図を提供する事で、少しでも恩返しをしたいと願って何がおかしいだろうか。
ペンの中にあるインクが少なくなり、紙からペンを持ち上げたタイミングで手首を掴まれる。それに驚いて視線を向けると、怒りをその瞳に宿したミホークがいた。
「徹夜はするなと、幾度言われれば覚える?」
「徹夜してたか?」
「既に三日経過している。寝ろ」
その言葉に冗談だろと笑えばヒョイっと抱き上げられて、そのままベッドに運ばれる。それは流石に看過できないと、俺はミホークを睨み付けた。
そんな俺の肩をミホークが掴んだと思ったら、呆れたような溜息と共にベッドに押さえ付けられる。そんなに寝かせたいのかと思った直後にミホークの顔が近付いてきて、耳元で低く紡がれる感情のこもらない声。
「大人しく寝ないと言うのならば、犯すぞ」
「そんな気ねェだろ。……見ての通り、俺は男だ。溜まってるなら、どっかで抜いて来いよ」
皮肉を込めて放った言葉は、自らの胸に痛みを伴うけれど仕方ない。ミホークは偶然、拾うような形で俺を保護しただけで、俺の叶う筈も無い片想いなのだから。
その時顎に指が触れて、え?と思った時には唇に何かが触れていた。……人工呼吸……?
そんな事を1瞬本気で考える程に俺は混乱していて……なのに、唇は30秒が経過した今も離れようとはしない。絡め取られた舌に、ままならない呼吸に、そこまで来て漸く現実逃避していられなくなり、そのキスから逃れようと足掻く。
いくら好きな相手でも、俺は女の代用に使われるつもりは無い。けれどそっと離れた唇の隙間でミホークは薄く笑うと、今まで触れ合わせていたその唇をゆっくりと動かして、優しげな声を響かせた。
「大人しく寝ていろ」
再度命じられたそれに、混乱しつつも頷けば軽く頭を撫でながらミホークは言う。まるで当然のように。
「続きは、起きてからだ」
「巫山戯んな!!男に興味無いだろ!」
言い捨てるように言葉を放ってから、布団を被ればミホークが近くに立ち尽くしているのを感じる。そして、声が落とされた。
「その辺も、起きたら話してやる。だから……今は寝ろ」
「……わか、た」
震えて掠れた声で返事をしてから、布団の中に隠れたままどうやって寝ろと言うんだと心中で小さく呟いた。それでもきっと、寝ない訳にはいかないだろう。
─────*
【マルコ】
羽根ペンが規則正しく動く。描き出される曲線は、どれか1本だけでは価値等皆無。
だからと言って1本でも少なければ完成したとは言えない。多くても、少なくても、乱れても価値は無いのだ。
だからこそ完成した時のそれは美しく、芸術にさえ思える物となる。心情が線に反映されるのだから、心は自然と静かになろうというものだ。
インクの残りが少なくなって来たら迷わずインク壺にそのペン先を移動させ、また紙へとそれを戻す。それを繰り返す内に完成へと近付くそれは、ある意味で作曲とも近いような気がする。
インク壺に羽根ペンが向かうその途中で手首を掴まれて、紡いでいた音楽が唐突に強制終了させられたかのように思えた為に、その邪魔して来る犯人を恨めしく感じて睨むように視線を向ける。すると犯人は呆れを隠さずに俺を見るから、どうしたのかと首を傾げてしまう。
ペンを奪われてベッドへ無言で運ばれてしまえば、何をするのかと思わなくもない。その為にベッドから身体を起こしたら、肩を掴まれてベッドへと押し戻されてしまった。
「眠らねェなら、犯すぞ」
「な!?なんで、そうなるんだよ!」
「寝なくても平気なくらい体力が余ってんだろぃ?相手してくれよぃ」
「……そんな気、ない癖に。そっちの趣味無かっただろ」
冗談キツイぜと笑えば、その瞬間に降ってきた唇。重なったそれに、俺は驚きの余りに瞳を閉ざす余裕さえ無かった。
混乱から硬直していたけど、ハッとして抵抗すればゆっくりと離れるその唇に、身体が小さく震えた。……震えたのは、本当に身体だけだろうか……?
「大人しく寝ろよぃ」
色気を多大に含んだそれに、怒る事さえ出来ずに頷けばクスリと笑ったマルコが、そっと俺の髪を指に絡めて口付けるのを見てしまう。なんで……こんな事……。
「続きは、起きてからなぃ?」
何も言えずに、でも、そのままマルコを見てる事も出来なくて布団を引っ掴んで中に逃げ込むように潜り込めば、マルコがお休みと言って去って行くのを感じる。でも、どうやって寝たらいいんだよ!?
ウブな小娘のように心臓が痛いくらいに脈打って、俺は眠気が遠くに逃げ出してしまった事に気付く。強く目を閉じて見ても、眠れるとはどうしても思えなかった。
─────☆
【ロー】
カツカツと机が鳴る。それは俺がペンを紙に触れさせた事を示す合図であり、まだ集中力が足りてない証拠。
そのまま動かさずにいれば、単なる染みを作る。この世界のそれに、慣れるのに時間がかかった事をふと思い出す。
けれども手は、既に俺の意識がどこにあっても、脳内に描かれている図面を現実に生み出す為に動き続ける。過去の地球でも、そんな時代があったのは知ってるけどさ。
インクの質なんて、この世界に生まれ直すまで、気にした事も無かった。良質なインクしか、存在しない世界で生きて来た事を痛感する。
臭いの強すぎる物、時と共に紙を浸食し穴を空けてしまう物、滲む物、掠れる物、それらでさえこの世界では決して粗悪品では無い。つまり俺が使うこのインクは、最上級品となるらしい。
だからこそ、インクの1滴だって無駄には出来ないとペンを紙の上で走らせれば、神経が集中して行く。次の線を引く為にとインク壷にペン先を向けた時、手首がガシッと掴まれてしまえば動かす事が出来ない。
驚いて犯人に視線を向けると、怒りを宿す瞳とかち合う。何だろうと首を傾げれば、低く言葉を向けられた。
「徹夜はするな。しっかり寝ろと何度言えば覚えるんだ!この鳥頭が!」
「なっ!?巫山戯んなよ!俺は猫だ!!」
「反論する所が間違ってんだよ!良いから寝ろ!……寝ないなら、犯すぞ」
その言葉にイラッとして、睨むそれが無意識で強くなる。それにより思わずローの手を振り払い、俺はフッと鼻で笑う。
「そんな気ない癖に……。適当な事言って邪魔す」
言葉を最後まで紡ぐ事が、出来なかった。見た目からは想像出来ないくらいに力強いその腕が、俺を1瞬の内に拘束して、それに驚いている間に唇を塞がれていたから。
それに動揺して居たけどハッとして抵抗したのは、嫌だからじゃなくてその意図が見えないからだ。お前、非生産的な事嫌いだろ!と内心で叫ぶ。
その時ふと唇が離されて、混乱を極めて泣き出しそうな俺の瞳を覗き込んで、笑う。そして、耳元に唇を寄せて来る。
「大人しく寝ろ。……いいな?」
赤べこのように頷く俺に、ローはクッと笑う。それを見て慌ててベッドに逃げるように潜り込めば布団の上からローが俺の背中を撫でて、何処から出してんだと言いたくなるような優しい声で言った。
「ゆっくり寝ろよ。……続きは、起きてからな」
そして部屋を出て行くその音を聞いて、ローがおかしくなったのか、俺が妄想しているのかと頭を抱える。どちらにしても、暫く眠れそうにはない。
─────*
【ドフラミンゴ】
紙の上を滑るようにペンが動く。質のいい紙とインクを惜しげも無く与えてくれるから、俺はただ楽しく描いていればそれで良い。
紙とペンの奏でる音は、既に音楽のようにさえ思える程で楽しく心を踊らせる。同時に無心になれるから俺はそれに逃げ込む。
不毛な恋愛感情なんざ、忘れてしまえ。これは、忠誠心なんだと言い聞かせながら。
自らの纏う香りが蜜柑から、いつの間にかインクに変わる。何枚目かも分からない海図を干して、次の紙にペンを踊らせて次のステップを踏ませる為にインク壺にペン先を向けた時、掴まれた腕。
驚き掴んでいる相手に視線を向ければ、ドフラミンゴが不機嫌さを隠さずに笑っていた。……何を怒ってんだ?
「寝ろと言い続けて、何日経過したと思ってる……」
記憶にある限りでは、今初めて言われた筈だけどなと思って首を傾げたら、ヒョイっと抱き上げられてベッドに沈められた。だけど、寝るならその前に風呂入りたいと思って身体を起こす。
けれども、身体を簡単に押さえつけられて首筋に噛み付かれてしまう。それに俺は慌てて静止の声を出す。
「……ドフラミンゴ!?」
「眠らねェなら、この続きをするぞ。……それとも、犯されたいのか?」
「……そんな気、ない癖に」
女達が選り取りみどりで、男になんて欠片も興味を持ってない事は知っている。そう思って笑った時、重ねられた唇。
キス程度なら慣れてる筈の俺でさえ、対抗し尽くせないような濃厚なそれに身体から力がぬける。そうなってから、僅かな隙間でドフラミンゴは唇を動かす。
「寝るな?」
混乱は頂点を極めて、カクカクと頷けば漸く離れる身体。その瞬間布団を引っ張って中に潜り込めば、笑い声が聞こえて来た。
「起きてから、続きはしてやるから……いい子に寝てろ」
そんな事を言いながらも、ドフラミンゴは部屋の中から出て行く気配も無い。だからなのか、俺は泣きそうになる自分を自覚する。
少しは想ってくれているのだろうかと、微かな期待に胸を震わせて……眠れそうに無いなと自嘲する。それを布団越しに眺める男がどんな顔をしているのかは、不明である。
─────☆
【クロコダイル】
ここに居ると、クロコもロビンも忙しい為に、1人の時間はどうしても長い。それを気にしてない俺を見ては何故か黒に不愉快そうな反応をされるけど、元々何かを描く時は1人でいたいのだから仕方ないと思う。
インクをペンが吸い上げるのを、眺めて待っているような余裕は無い。ペン先をインク壺から少し浮かせて、落ちる感触が無いのを確認してからそれを紙の上へと滑らせる。
スケート選手が氷の上を滑る時にする音が耳に馴染んでいるのと同じように、俺はペンが紙の上を走る音に馴染んでいる。どんな状況下にいても、描いている間だけは心が自由だ。
時に呼吸さえ忘れそうになる程に集中してしまうのは、流石に悪い癖だと自覚してるけど治せそうもない。ペンの走りが悪くなってきて、そっと紙からペンを持ち上げた時掴まれた手首。
それにより視線を向ければ、クロコが俺を睨んでいた。意味が分からなくて首を傾げると、低い声が降って来る。
「何度……徹夜をするなと言えば覚えるんだ?」
言われて視線を動かせば、干されている海図が10枚程見えて、いつの間にそんなに描いたんだろうと思う。そんな俺に呆れを隠さずに溜息を落としたクロコは、俺を問答無用で抱き上げた。
それに対して咄嗟に抱きつけば、何故か満足そうに1瞬笑った。けどその直後にベッドに落とされて、文句を言おうと睨み付けたら妙な言葉を耳が拾う。
「大人しく寝ねェなら……犯すぞ」
「……そんな気……ねェだろ。男に興味無いのは分かってんだよ……!」
思わず睨み付けてから鼻で笑えば、顎に手がかけられる。なんだろうとその顔を見たら、重なる唇。
何が起きているのか分からずに固まったのは、恐らく僅かな時。そして、状況を理解すると同時に俺の気持ちを悟られたくなくて慌てて抵抗する。
僅かな隙を縫ってクロコを押し退けると当時に、ベッドを降りようとした所で簡単に抑え込まれてしまう。真剣な表情が、俺に向けられる。
「……大人しく、寝るな」
既に疑問符さえないそれに、俺は唇を噛むと顔を背ける。そんな俺にそっと布団をかけ、クロコは俺の耳元で笑う。
「まだ起きてると言うなら、遠慮もいらねェな。今の続きをしてやろうか?」
「ね、ます……」
「なら、続きは、起きてからだな」
その言葉に何も返せないまま布団を頭から被れば、笑い声が聞こえて来る。元々眠くなかったのに、余計に眠れなくなった気がした。
─────*
【イゾウ】
通常の羽根ペンとは、先を尖らせてあるだけの木製の棒のような物。それにインクをつけて使用する。
なので当然次第に使えなくなり、それを削りながら使い続ける。つまりは鉛筆のように、ナイフで削りながら使う消耗品。
しかし、この世界ではペン先がついた万年筆擬きが羽根ペンの主流であり、俺もそれを使っている。それでも、ペン先はそれ程長くは持たない。
真っ白な無地の紙の上に描き出される曲線が、芸術性さえも思わせる海図に生まれ変わる瞬間が好きだ。その過程が楽しくて、時を忘れて何枚も何枚も描いていく。
その時突然掴まれた手首に驚き振り向けば、その犯人は怒りを宿す眼差しを向けて来た。何だろう?
「何度徹夜するなと言えば覚えるのかねェ?」
そんなに何回も言われたかなと首を傾げたら、軽々と抱き上げられてベッドに運ばれる。怒っていてもその扱いは丁寧で、優しいなと思って笑ったら何故かベッドに抑え込まれてしまう。
「眠れ。嫌だと言うなら、犯すぞ」
「……そんな気もない癖に、よく言うよ」
男になんか興味なんか無いだろと思って笑えば、イゾウの顔が近付いてきて、唇を塞がれてしまう。何が起きてるのかと思いながらも、突然感じた雄に怯えに似たものを抱き、抵抗すれば素直に離れる唇。
それが少し寂しいとか言ったら、覚悟もない癖にと怒られるだろうか。確かに……矛盾、してるよな。
「大人しく寝ろ。いいね?」
なんで突然とか、色々思いながら頷けば妙に色気のある艶やかな笑みを向けられた。そして、そっと耳元に寄せられた唇。
「そんな、寂しそうな顔しなさんな。続きは起きてからな」
その言葉に奇声を上げて布団を被れば、布団越しに笑ってる声が聞こえて来る。元々眠くなかったのに、痛いくらいに脈打つ胸が理由で、余計に眠れなくなった事だけは確かだろう。
ここまでで現状掲載が1周終わってる拍手は終了です。他の作品とは違い、作品を纏めて掲載致しますので、次回更新までに大分時間が掛かります。
この作品は、今後最新作として追加されていきます。途中に差し込まれませんので、シオリ機能が活用できます。