ヒロイン視点
ルフィ視点
ミホーク視点
ドフラミンゴ視点
ロー視点
マルコ視点
イゾウ視点
シャンクス視点
レイリー視点
クロコダイル視点
ニューゲート視点
線で区切ってあるだけです。飛んだりは出来ません。予めご了承ください。
【ヒロイン視点】
何があって、こんなに大量の食材が部屋に置かれているのかと思わなくもない。でも、これだけの食材があるなら色々作れそう。
食材に手を伸ばして、でも私が勝手に使っていいのかなと逡巡する。その時食材の中に彼の好きな物が大量に入ってる事に気付けば、部屋の中に置かれてるのもあり、寧ろ作れと言われてるのだと理解した。
どんな感じで作ろうかな。普通に作ったんだと、つまらないかな。
でも、シンプルな物が1番美味しいとか言うし……。うーん。
そんな風に考えながら、食材の入った箱をキッチンへと移動させる。……よし、作りますか!!
エプロンと三角巾を身に付けて料理すれば、匂いにつられたのか顔を出しつつ肩の上から顔を出される。背後に立たれても気付いてなかった私が、驚いて変な声を出したのを可笑しそうに笑うから、包丁持ってるのよ!と怒ったのも仕方ない事だと思う。
そのまま料理を続けて完成した物を、彼がテーブル迄運んでくれる。そうして2人でそれを食べ始めると、妙な事を言われた。
「デザートは?」
「そんなもの、用意してな」
言葉を最後まで言えないままに重ねられた唇。驚き反応出来ずにいる私に、微かな揶揄いを含んだ言葉が向けられる。
「デザートは、ここに居るだろ」
いや、もしかしたら揶揄いではなく本気なのかもとその瞳を見て気付くけど、反応が上手く出来なくて、再び重ねられた唇を私は驚きと戸惑いを持って受け入れた。その後に紡がれた言葉に、頷いたかは記憶が曖昧である。
─────❀
【ルフィ視点】
朝いつものように遊んでいたら、霧の向こうに島が見えて来た。航海士が寝て居ても、これなら問題なく島に行けると判断して島に向かう。
そうしたら、木の実が豊富で美味そうな肉が沢山居たから、三人で狩りへと出掛けた。ウソップとロビンは船の上から木の実収穫してるからと言って居て、落ちた果物はフランキーとブルックが集めておいてくれるらしい。
そんな大騒ぎでも出て来ない航海士に、これは寝てるんじゃなくて何か書いてんなと皆で顔を見合わせた。だが、たまには好きにさせてやろうと皆が笑う事で問題は綺麗に解決する。
帰ったらチョッパーが降ろしていた網を引き上げた所で、魚、肉、果物が揃った。魚はいつものように生簀に入れられて、果物はキッチンに積み込まれる。
でも肉は入り切らなくて女部屋とキッチン、それと甲板に積まれたけどまだ残ってた。それ等を睨むように見て、サンジは真剣な顔でとりあえずバーベキューでもして消化するかとか言っている。
その言葉の通りに、サンジはすぐさま船の目の前で準備を始める。ウキウキしながらその後を追いかけようとしたら、食材の入った箱を手に歩く航海士の姿を見付けた。
なので追いかけて行く相手を変更すれば、エプロンと三角巾を身に付けて、なんか色々作り始める。バーベキューをやるって知らない筈なのに、作ってるのはスープとか、肉入りの炊き込みご飯で……。
「美味そう!」
「ふわひゃぁ!?」
初めて聞く悲鳴につい笑ったら、包丁持ってるのよ!と叱られちまった。そこでサンジが乗せきれないからバーベキューにするって言ってたぞと伝えれば、作ってたそれを困ったような顔で見るから少し先に味見させてくれよと笑いかける。
結局外で焼くのは基本肉なんだから、飯とスープも欲しいと言えば肩から力を抜いて笑ってくれた。……いつもそうして、笑っていて欲しいんだ。
完成した料理を食べていたら、手料理なんて久しぶりだなと思う。案外ロビンやチョッパーには用意してるのに、俺のは無かったのがおかしいと思うんだよな。
「そういや、デザートは?」
「そんなもの、用意してな」
うん、デザートが無いなら仕方ないよな。そう思って目の前にいる可愛い蜜柑を少しばかり味見しようと唇を重ねれば、ただ驚いた顔を向けられる。
「デザートは、ここに居るだろ」
抵抗しないそれが驚きからでも構わない。いい加減、俺のものになれよ。
そんな想いを込めて貪った唇。その隙間で、愛していると告げた俺に、蜜柑の香りを漂わせながら微笑み返してくれたから、1生大切にすると約束して、アクアリウムに連れ込んだ。
─────✿
【ミホーク視点】
政府にいつものように納める物を送った直後に届けられた大量の食材に、俺は1人だと登録されてる筈なのにと思えば愚かしいとしか言い様がない。キッチンに置くか、食料庫に置くか……いや、部屋に運んでおくか。
これを見れば困った顔をしてから、何か作ってくれるだろう。恐らくは俺が好みそうな物を選んで……。
そうして運んで置けば、その後暫くするとそれをフラフラと運ぶ姿が見えて小さく笑みがもれる。キッチンの入口でエプロンと三角巾を身に付けるが、ビキニ姿にエプロン等をつけられては裸エプロンにしか思えぬな。
これで誘ってる訳では無いと言うのだから、恐ろしい小娘だ。料理をしているその背後から抱き着くように顔を出せば、わひゃぁ!?と言う色気の無い悲鳴をあげられる。
それが妙におかしくて笑えば、俺相手に怒りを隠さぬ姿。うむ、やはり、愛しいな。
「包丁持ってるのよ!?」
「見れば分かる」
「怪我させちゃったらどうするのよ!?」
「躱す事が出来ねばそれは俺の不徳だろう」
「私はミホークに怪我をさせたくもないし、人を傷付けた包丁で料理したくないわ!!」
そう言いながらも、俺を気遣うように瞳を揺らされては……それ以上邪魔は出来なかった。俺は、この甘さに、溺れている。
そうして完成させた料理を1人で運ぼうとするから、それくらいはやると買って出れば嬉しそうにはにかむ。だからこそ俺は、そろそろお前が欲しいと心から思う。
作られた手料理よりも、お前が欲しいと飢えた心が訴える。俺は、飢えている。
料理を口にすればやはり俺の好みに合わせて作ってくれていて、素直に美味いと思う。だが、足りぬな。
「デザートは?」
「そんなもの、用意してな」
そんな事は知っている。そう思いつつ重ねた唇。
驚き固まるその姿。拒絶せぬなら、もう止まらぬ。
「デザートは、ここに居るだろ」
反応のないその唇を再び塞げば、辿たどしくも受け入れる。それに、答えは貰ったと思いながらも暫しその甘さを堪能した。
離した唇の隙間で、素直な想いを吐露したが、呆然と見上げるばかりのそれ。ならば理解するまで幾らでも囁いてやろうと笑いつつ、そっと抱き上げ寝室への道を歩みだした。
─────❀
【ドフラミンゴ視点】
スマイルを送った返礼として、いつもなら金だけが届くのだが……どうやら今回は〝当たり〟が多かったらしく届けられた物があった。それは食材で……だからと言って何か作る気にはなれない。
やっと仕事も落ち着いたから、少しゆっくり出来るかと思った矢先にコレかよ。そしてタイミングとしては重なるものなのか、任務を終えて帰って来たベビー5やジョーラ達がいい食材が手に入ったと持って来た。
とりあえずその中から特に食いたい物を選んで、何かを書く事に集中してる馬鹿猫の部屋に運び込む。他は適当に料理人に始末させて、部下達に振る舞わせる事にしても、だ……。
俺の分だけは、作ってもらいたい。そんな甘えた事を言ったら、どんな反応をするだろうか。
その内に部下達やファミリーに食事が提供され始めたのを眺めていると、部屋からいい匂いがして来て足を向ける。見れば部屋の中にあるキッチンスペースで、エプロン姿になり楽しげに何かを作っていた。
何を作っているのかと、その視線に合わせるように肩口に顔をやり覗き込む。その瞬間見えたのはロブスターを使った料理で……テルミドールか。
殻まで食べるんだから食べやすいように作るのは当然でしょと言いながら、笑う姿を思い出す。何故これで料理人を名乗らないのか。
「うわひゃぁ!?」
俺の存在に気付いて悲鳴を上げる姿は愛らしく、つい笑っちまう。それに対して包丁持ってるのよと怒るが……。
「俺を間違って傷付けるなんて、できる筈が無いだろう。それに、すぐ治る」
「でも、怪我させたくないし、怪我したら治るとはいえ痛みはあるじゃない」
甘ったるい事を言って落ち込む姿に、理性が限界を訴える。俺は、いつからこんなに蜜柑に飢えていたのか。
トムヤムクンとサラダ、テルミドールを用意し、最後にガーリックトースト……違うな、ガーリックとバターでトーストの代わりにロブスター使ってる物が用意された。それを運ぼうとしてるのを見て、代わりに運んでやればそれだけではにかんだように笑う姿に喉が鳴る。
共にそれを食えば、エプロンを外した瞬間に露出の高過ぎる姿に目眩さえして来そうだ。これだから、部屋からさえ極力出したくないんだ。
美味い料理に舌鼓をうちつつ、だが心が飢えていくのを感じる。どうしたら、俺だけのものにできるのか。
「デザートは?」
「そんなもの、用意してな」
驚いた顔で即座に返事をするそれに重ねた己の唇。抵抗するとか、受け入れる以前に驚き動きを止めた様子が妙に幼くて……。
無垢なこの少女を、俺の女にしてやりたい。何も知らないなら、好都合だ。
「デザートは、ここに居るだろ」
サングラスを外しながら言えば俺の瞳を真っ直ぐに見て、けれども何も反応しない。……抵抗しないなら、心ゆくまで貪るぞと思いながら再び唇を重ねる。
現実として認識出来ない程の驚きだと言うなら、それでもいい。既成事実を先に作ってでも、逃がしはしねェよ。
─────✿
【ロー視点】
伝達ミスがあり、予定の3倍程の食材が用意されちまった。無いよりはマシだろうが、このままでは食材が全て無駄になっちまうよな。
ふぅむ……と、少し考えてとりあえず足の早い食材はキッチンに運ばせて、コックにそれを任せる。それから俺の好きな物を作れそうな食材と、足の早過ぎないそれを参謀の部屋に運ぶよう指示を出した。
任せちまえば何とかしてくれるだろう。後でどうしたら良いのかと聞いてくるだろうかと1人で笑うと、近くの本棚から適当に1冊取り出して読み始める。
暫くすると箱を抱えて歩く姿が見えて、何故俺に1言移動させてくれと言わないのかと思いながら、無駄に努力する姿を眺める。そのまま本を片付けてからその背を追いかければ、可愛らしいエプロンを身に付けて味噌やら塩やらを桶に入れ始めるから、漬物系かと気付く。
そうして様子を見ていると、他にも何かを作るつもりなのか楽しそうに包丁を手にして、料理を進める。明らかに和食系なそれに、俺に甘すぎるだろうと思いつつも匂いにつられて近付いてしまう。
「ふわひゃぁ!?」
聞いた事のない悲鳴につい笑えば、包丁持ってるのよ!と怒り出す。そんな様子に悪かったと笑いながら言えば、反省が見えません!なんて言いながらも小皿を差し出してくる。
味見しつつ待っていれば完成したそれを運ぼうとする姿に、それくらいはやらせろと代われば嬉しそうに微笑まれた。ありがとうと言われただけで、やって良かったと思わされるのだから不思議なものだ。
それにしても、こいつは本気で俺の気持ちに気付いてないんだろうか。ビキニの上からエプロンつけるとか、誘ってるんだろ?
「デザートは?」
「そんなもの、用意してな」
見てたから知ってる。だから聞いたんだ。
言葉を遮る形で重ねた唇。手料理も美味いが……お前はもっと美味そうだ。
「デザートは、ここに居るだろ」
戸惑いと驚きを宿した瞳を見て、拒絶さえしないなら構わねェと再び唇を重ねる。唇の甘さを堪能したら、こういう意味で好きなのだと、そろそろ食わせろと囁いてやろうと決意してしっかりとその味を堪能していく。
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【マルコ視点】
サッチを含む数名が、親父の為にと金をかけずに食材GETー!!と叫びながら敵船に奇襲をかけたのは覚えている。だが、どうやらその船は奴隷船だったらしく、親父に確認後家族である女達に気付かれない内に敵を始末して、奴隷だった人達は首輪を破壊した後解放する事となった。
だがその結果残った大量の食料には、流石に扱いに困る。そこでうちの船が誇る天才作家の部屋に運び込めば、何か良い調理法や保存の効く料理を教えてくれるんじゃないかと言う事で、風呂に行ってる隙をついて食材が運び込まれた。
運び込む時に俺の希望も聞かれたので、パイナップルと思わず答えた俺に、皆の視線が生暖かく、今夜はパイナップルのデザートかと笑われちまった。それから暫くしたら、部屋に運び込まれた食材の1部を抱えてキッチンへ向かう姿を見掛けて後を追えば、楽しそうにエプロン等を身に付けてキッチンの1角で何かを作り始める。
そうなれば自然とコック達の視線も意識も注がれるが、気にしていないのか、気付いていないのか、楽しそうに料理を開始した。誰も思いつかなかったような料理を当然のように作り出すそれは、神の領域だとコック達は唸る。
そんな男達を無視してそっと背後に忍びよれば、料理に使ってない筈の蜜柑の香りが漂い、ついその首筋に顔を近付けた。ここから、してるのか。
「ふわひゃぁ!?」
これ迄に聞いた事のない悲鳴をあげてる様子に数歩下がるが、包丁を手にプリプリと怒るのは、まァ……無意味な気がするよぃ。ほら、俺は不死鳥だしねぃ。
「包丁持ってるのよ!怪我したらどうするの!?」
「俺は不死鳥だか「だから何!?治るだけで、怪我はするでしょ!?幾つになっても悪い子なんだから!!」」
俺の半分生きてたかさえ怪しい存在に叱られつつ、俺は苦笑してその後の様子を見守る。その時の料理は全て、手順等をメモした4番隊のメンバーが後に皆の食事メニューに加える事だろう。
完成した料理を近くのテーブルに運ぼうとしているのを見て、咄嗟にそれを代われば嬉しそうに礼を告げられた。その後4番隊メンバーは早速それ等を作るのに忙しい様子だったので、2人で完成品を味見していると、艶かしいその肌に視線が吸い寄せられちまう。
「デザートは?」
「そんなもの、用意してな」
パイナップルで食事を作るとは思ってなかったよぃ……と心で呟きながら、先程から無意識にだろう誘ってくる甘い香りに吸い寄せられて、その唇を堪能する。抵抗しないその様子に、けれども慣れてないと気付けば嬉しくなって笑うのも当然だろう。
「デザートは、ここに居るだろぃ」
反応の鈍い少女に、抵抗しないと最後まで食っちまうぞと思いながら再び重ねた唇。その後続きは部屋で良いかと許可を求めた俺に、小さく頷いた時点で逃げ場は無い。
俺も海賊。もう、逃がしてはやらねェよぃ?
─────✿
【イゾウ】
サッチが体調を崩した直後、この船は惨事に見舞われた。マルコがサッチの体調管理の為に、それに付き添っていたのも不運な事態に拍車をかけたのだろう。
海王類の群れに襲撃され、それを楽しく撃退して肉にしたらサイクロンの報せを受けて船を移動させ、逃げた先に見えた島に到着した。そこは無人島で、けれども食材が豊富だった為、コック達が浮かれて大量の食材を得てきてしまい、それが溢れたのだ。
果物、野菜、魚、そして海王類の群れの肉だ。さてどうしたものかと悩んだ時、サイクロンの発生を予見して報せるこの船のアキレス腱たる末娘にそれは押し付けられたのである。
だと言うのに文句も言わず自らそれをキッチンに運び、エプロンと三角巾を身に付けた直後に次々と料理を作り始めた。それは、コックを名乗るべきじゃ無いのかと思わされる程。
その上作りながらレシピを描いているのだから、後程野太い歓声が上がり見苦しい男達の号泣が起きるだろう。……と、嫌でも予測してしまえば溜息が落ちて当然だ。
各種量は多くないが品数の多いそれを眺めて、そっと肩の上から覗き込めば驚いたらしく妙な声をあげられてしまう。それにしても〝ふわきゃぁ〟とは何語なのかね?
「包丁持ってるのよ!危ないでしょ!!めっ!!」
「俺は幼子かい?」
言いながらもそんな些細なやり取りが楽しい。そう思って眺めている間に、俺の想いには気付かないのに、他には細かい所までよく気が付く皆の妹は、完成させた料理を当然のようにテーブルへと運んで行く。
それを奪い取り席まで運べば、当然のように共に食べようと誘われるから、俺はそれに頷いて共に席に着いた。試作品だから感想宜しくなんて笑った癖して、完成度が高過ぎるそれに苦笑しつつ、そろそろ俺の想いを理解して欲しいと言葉を音にしてしまう。
「デザートは?」
「そんなもの、用意してな」
最後まで聞いてやるつもりは無い。強引に重ねた口火の甘さに、溺れて酔いしれたのは……俺の方さね。
断腸の思いで離した唇。呆然と見詰めてくる、何もわかっていないその姿に、つい嬉しさも相まって揶揄うように告げてしまう。
「デザートは、ここに居るだろ」
もう、逃がしはしない。このまま全てを喰らい尽くしてやろうと、その細い身体を拘束して重ねた唇。
抵抗しないのが悪いんだよ、俺のお姫さん。まァ……もう今更、手放すつもりも、逃がすつもりも無いがね。
そう心で呟いたが、その後の告白が無事に伝わったのかは、寝所へ連れ込んでみなければ分かりようが無いだろう。わかってなければ、分からせるだけだよ。
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【シャンクス視点】
突然荒れた波に驚き視線を向ければ、海王類が暴れていた。天候のせいならその前に教えてくれる筈の女神が動かなかった時点で、当然の事でもあるがそれを面倒だなと思いながら斬り倒し、暫く食料に困らねェなと笑った所まではいつもと同じだった。
だと言うのに、その少し先に砕け散った船の残骸を見つければ、これの為に波が荒れてたのかと気付く。生存者を探すついでに積荷だっただろう物を回収すれば、やたら多い食材の処理に困らされる事となった。
他の物は腐らないからどうにでもなるが、食材だけはどうにもならねェ。そう思った時、思い付いたのはウチの女神様だ。
多分海図でも描いてるだろうと当たりをつけて部屋に押入れば、案の定だったので食材を積み上げる。その時ついでに網にかかってたロブスターも置いておけば、次の食事が楽しみになろうというものだ。
暫くすると食材の箱を持って移動する姿が見えたので、慌てて見張り台という名のくつろぎスペースから飛び降りる。厨房を覗けば中で楽しそうにしている姿が見えて、その少し離れた位置でメモを手に鬼の形相をしているコック達に吹き出しそうになった。
見れば漬物をつけてる様子だが、何かが少し違う。それが海鮮キムチだと気付いた時、何故か泣きたくなった。
……間違いなく、俺の為に作ってやがる。キムチといえば白菜とかだろうと思うのに、日持ちするようになるのも理由だろうが、これで恐らく料理の幅は1気に広がるだろう。
続いて作り始めた違う物に興味をそそられたのは勿論だが、エプロン姿に無意識で近付いちまう。何作ってんだと声をかけたつもりが無言だったらしく、肩口から顔を出した瞬間に上がる悲鳴は、自分の船長に対して上げるにはどうなんだと思えばこそ、笑えて来る。
「包丁持ってるのよ!?怪我したらどうするの!」
「俺は大丈夫だが、その柔肌に傷付けたら大変だな」
「もうっ!!邪魔するとベックに言いつけるんだから!!」
それは困ると数歩下がれば、作ってた途中らしき物を1つ摘んで俺の口に押し込んで、大人しくしててねと笑うのだから敵わない。俺に勝ち目なんか最初からねェんだよな。
そのまま眺めていれば程なく完成した料理。それを運ぼうとするから横から奪うようにして運んでやれば、嬉しそうに笑ってくれた。
そのまま二人で試食という名の食事を始めれば、食事をすると言う行為のエロさに喉が鳴る。いつも、こんな感じで食ってたか?
「デザートは?」
「そんなもの、用意してな」
わかっていて聞いた答えは、最後まで言わせるべくも無い。そっと重ねた唇は、相変わらず甘く……飢えを、増幅させるだけだった。
驚いて固まるその様子に、いい加減慣れろよと思いながら、そろそろ次の段階に入るかとほくそ笑む。俺は、そろそろ喰いたいんだよ。
「デザートは、ここに居るだろ」
反応のない様子から、キャパオーバーなのはわかっている。だが、逃がしてやれる程の余裕もない俺は再びその唇を、今度は本気で奪いにかかった。
キスの合間に、今夜は寝かせないと告げたのに、意味を理解したかは知らないが……頷いたのだから食っていいと判断しておく。今はもう少し堪能したら、解放してやるかと甘い蜜に溺れるばかり。
─────✿
【レイリー視点】
顔を見に向かう途中、1匹の海王類を始末したらその血に誘われて更に数匹の海王類が姿を見せた。仕方なく全てを始末したものの、それを全て2人で食べ尽くすのは不可能と判断して近くの島で他の食材と交換した私は、現在それを何故売らなかったのかと頭を悩ませている。
困りながらも大量にある食材をそっと彼女の部屋に運び込み、その様子を伺えば今はまだ気付かずに何かを書いている所だった。森の獣も居るとはいえ、普通に考えれば腐らせてしまう事だろう。
それから少しすると建物の中から音が聞こえて来たので、私はそっと覗き込み様子を伺う。するとエプロン姿で何やら作り始めていて、それが何とも愛しい。
何を作っているのかと肩口から顔を出す形で覗き込めば、ひゃふふぁ!?と言うこれ迄に1度も聞いた事のない悲鳴を聞く事となった。それにより笑いが止まらなくなる私に、珍しく怒りを滲ませて詰め寄ってくる姿は本当に愛らしい。
「包丁持ってるのよ!危ないでしょ!?」
「あァ、確かに。この柔肌が傷付かなくて本当に良かったよ」
「レイさんが危ないって話しよ!?」
「私は大丈夫だよ。さて、後は邪魔しないのでゆっくり楽しむといい」
そう言って解放すれば、楽しくてやってる訳じゃないのよ?なんて言いながらも、やはり楽しそうに作り始めた。どうやらこの子は、何かを作るのが好きらしい。
完成した料理にさり気なく煮豆が含まれているのを見て、教えた事があったかと内心で首を傾げつつ、運ぶくらいはさせて貰うかと手を伸ばす。そんな私にありがとうと微笑む様子は、既に聖母の領域だ。
共に食事をしつつも、味も見た目も香りも良いのに、どうしてか……渇いていく心。……強欲なものだなと、自らを律してみても無駄な足掻き。
私は所詮、欲しい物を諦められない海賊なのだと目の前にある美味しそうな美しい宝に手を伸ばす。その為に、そっと問い掛けるのは忘れないが。
「デザートは?」
「そんなの、用意してな」
最後の音は、私の唇に吸い込まれた。固まってしまった無垢な様子に、悪い大人で構わないと思いつつもそっと唇を離してやる。
「デザートは、ここに居るね」
言葉の意味を正しく理解できるかも定かではない少女に、再び唇を重ねれば、戸惑いつつも受け入れるのだから愛しくなって当然だろう。可能な限り優しくするから、私のモノになりなさい。
そう囁いた私への返答は、小さな頷き。もう、私はこの子を手放す事はできないだろう。
─────❀
【クロコダイル視点】
砂漠に住んでいるからと言って、食糧難だと考える海軍の阿呆共に抗議する気にもなれやしねェ。無駄に届いた大量の食材を、だからと言ってカジノに置いておく事は難しい。
舌打ち1つ程度で済ませただけ、有難いと思って貰おう。仕方無しに運び込んだ先は奥座敷。
その住民は俺が帰ったとも知らずに、いつものように何かを書いている。仄かに香る蜜柑のそれに、自然と気が緩みそうになり表へと出た。
俺の食べ物の好みに対して〝面倒な人ね〟と笑ったが、奴も果物を加工して作られるオランジェットを嫌うのだから似たようなものだろう。そう言いつつ、この間マーマレードを作っていた矛盾もあるしな。
そんな事を考えつつ1服し終えて戻れば、エプロン姿で何やら作っている。フワリと香るそれにより、どうやらハーブも使っているらしいと気付く。
覗き込めばトマトとチーズ、バジルをオリーブオイルで和えたサラダとローズマリーで臭みを消された鰐肉のソテーが見えた。それに納得して頷いた時、俺に気付いて奇っ怪な悲鳴を上げられれば顔も顰めたくなるというものだ。
「ふわぇやぁ!?」
「何語だ……」
「何語とか、そんな話じゃないのよ!!包丁持ってるんだから危ないでしょ!?」
「俺は、ロギアだぞ」
「ここはキッチンで水もあるの!包丁濡れてたらどうすんのよ!ハウス!!」
「……ここは、俺の家だ」
これ以上押し問答しても仕方ないかと、珍しく取り乱していた様子に少し笑う。作り置きになっていたアイスコーヒーを飲んで待っていれば、完成した物を1人で運ぼうとしている阿呆がいた。
大皿を1人で運ぼうとするなと言いつつ、能力でさっさと運べば驚いたような顔をした後、嬉しそうに微笑んだ。それだけで気分が浮上する自分に少しばかり驚くが……気に入ってる相手だ、仕方ないだろう。
俺の好みに合わせて作られたそれの他に、明らかに大人数が摘めるように作られたメニューを見れば、それは後でカジノの客に提供してやれば満足だろうかと思う反面、気に入らねェ。俺にだけ作っていればいいものを。
「デザートは?」
「そんなもの、用意してな」
他人への物を用意する暇があるなら、俺へのデザートを作るべきだろうとその唇を貰い受ける。驚いた顔で硬直してる姿に、少しばかり溜飲が下がった気がした。
「デザートは、ここに居るだろ」
反応のないそれに、そろそろ理解しろとの意味を込めて深く唇を合わせてやればボーッとした様子でその先に進むそれに同意したのだから、まずは良いとするか。とりあえず今は、目の前にいるデザートを楽しませてもらうとしよう。
─────✿
【ニューゲート視点】
何やら騒がしいと思い視線を向ければ、海王類と遊んでるのが見えて楽しそうだなと思う。今夜は海獣料理かと笑った直後、モビーが大きく揺れて次々と海王類が集まってるのに気付く。
結果的に5匹の海王類を得たので、近くの縄張りに移動して海王類の肉と他の食材を交換したが……多過ぎる食材に頭を悩ませたのは当然と言える。サッチもこれは腐る……と嘆いていたので、物は試しとうちの予報士にそれを届けさせた。
暫くすると食材抱えて歩いてる兎を発見して、何を作るつもりなのかと後に続いた。酢漬け……ピクルス等の日持ちしそうな物や、果実酒は勿論、味噌に何かを入れて混ぜ込んだりしているのを見る。
その内普通の料理も始めたが、何を作っているのかは不明だ。料理にはいちいち酒が使われていて、食うより飲んだ方が良さそうだなと思えば勿体なくも思う。
それでも良い香りなのでヒョイッと料理を覗き込めば、きゃおわぁ!?と、これまた珍しい悲鳴を聞かされた。平和な事だ。
そうして危ないから驚かさないでと叱られちまえば、それに逆らう意味は見い出せない。怒ってはいても、心配されてるのは分かるからな。
その内に完成した物は、多種多様で今回は寝かせてるからなんて言って出てない物を合わせれば、50品目以上を作り上げただろう。それぞれが大量で、それには何を言えばいいのかも分からない!
1人で試食用としてそれ等を運ぼうとしてるのを見れば、参加させろと運ぶのを手伝ったのは当然だ。なのに嬉しそうに笑うから、手を出すつもりなんざなかった筈なのに欲望が理性を弾き飛ばす。
家族の為に作られただろう物達は、そう長い事寝かせて貰えはしないだろうな。そんな事を思いながら、珍しいそれに舌鼓をつうつ。
日持ちしそうな形で作ると、完成までに数日かかる物が多いのよねなんて笑うそれが、本当に愛しい。食事していると言うのに飢えたような気持ちになり、俺は問い掛けちまった。
「デザートは?」
「そんなもの、用意してな」
用意してないなら、お前を寄越せ。その言葉の代わりに奪った唇は、想像よりも遥かに甘い。
これはもう、手放せねェなと内心で苦笑しつつ、告げた言葉は何とも個性のないもの。放心してる様子に、畳み掛けて部屋に連れ込めと脳裏で悪魔が囁いた。
「デザートは、ここに居るだろ」
返事を待たずに再び重ねた唇に、やはり抵抗を見せないから、俺はそれを言い訳に悪魔の囁きに乗っちまう。……さて、どうやって口説き落としてやろうか。