ルフィ
ミホーク
ドフラミンゴ
ロー
マルコ
イゾウ
シャンクス
レイリー
線で区切ってあるだけです。飛んだりは出来ません。予めご了承ください。
【ルフィ】
新しい島に到着してすぐ、それぞれが元気に飛び出して行った。残ったのはジンベエと俺だけで、互いに顔を見合せて笑ってしまう。
買物は皆がそれぞれの分野で必要な物を買って来てくれるだろうし、この島には海軍が居ない。見張り室に登りそこから測量するだけで何とかなりそうな小さな島だからと、取り出した手帳にそれを記載していく。
「腹減ったァ……!メシィ~……」
突然聞こえて来た情けない声に吹き出した俺は、手帳を片付けて下に降りる。同時にその声を聞いたらしいジンベエが海に潜って魚を数匹文字通り打ち上げてくれたから、それを手にしてキッチンへと向かう。
「適当に作るから、いい子にしてろよ」
「すぐ、子供扱いすんの辞めろよな」
膨れるルフィにハイハイと適当に返事をしつつ、その頭を撫でちまうのは俺の癖。そうして俺は、ルフィが好みそうなものを作って行く。
とはいえ、材料が肉ではなく魚なので、やれる事と言えばフライにする事くらいだがな。サンジが作った方が美味いのは分かってんだけど、ルフィを飢えさせておきたくない俺の我儘だ。
天麩羅は、素早くけれども適度に混ぜる必要がある。混ぜが足りないと粉っぽくなるし、混ぜすぎるとサクサク感が消える上に、冷たい水で素早く作る事で温度差を出して美味しく作る物だから、時間との勝負。
そうして完成させた天麩羅を含むフライを盛り付けて、ご飯をよそっていたらいつの間にか様子を見に来たジンベエが味見していた。その様子に少し笑ったら、ルフィの声がキッチンに響く。
「ああ、美味「あー!何食ってんだよ!ジンベエ!それ俺のなのに!」」
「ルフィ!少しくらい良いだろ?それに、元々皆の分もちゃんとあるから騒ぐな!」
「俺が惚れてる男が作ったんだから、俺が全部食いたいって思って何が悪いんだよ!」
言われた言葉に思考が止まる。怒った顔してるルフィは、自分が何を言ったのかわかってないのだろうか。
「ルフィ?」
「ん?」
「今……」
「おう、だからよ、俺のモノになれよ!」
その言葉に小さく頷いて、その瞬間食べられたのは俺の心か、それとも全てか。とりあえず折角作った食事が冷める前に食べてしまえと、遠くで誰かの声が聞こえていたのは、気の所為じゃないと思われる。
─────❀
【ミホーク】
ずっと同じフレーズから先に進めなくなってる。譜面に起こそうとした曲が何なのかさえ、分からなくなる位には……寂しさと切なさと、何より苛立ちを抱えている事は自覚しているのだ。
「帰った。……何か作れ」
「なっ!?航海に行く時は連れて行ってくれる約束破ったくせに、良くもそんな事が言えたもんだな!!」
「……主が悪い」
「は……?」
「ヒヒに弁当を作ってやっていたな。俺は、手料理なぞ食した記憶が無い。不快だ」
そんな理由で置いていかれたと誰が思うのか。でも、そういう事ならここで作らないとまた置いていかれてしまうと判断して頷いた。
「何が食べたいんだよ?」
「主の手料理」
「そりゃ、俺が作「ヒヒに作っていない物にしろ」」
ヒヒ達に作ったのは、嫌いなものだったのかな?
そう思いつつも頷けば、ミホークは満足そうに去って行った。その背を見送ってから、よしっと気合を入れて作り始めたのはお稲荷さん。
皮が甘いし、外で暴れ……いやいや、剣を振り回すのが大好きなミホークだからこそ、片手間で食べられるようにしてあげたい。お握りはミホークが案外拘って作るから、今回はお稲荷さんにしておいた。
稲荷の皮にハサミで切り込み入れて、海苔で目とか髭を付ければ狐型のお稲荷さんの完成だ。それだけだとつまらないので、お稲荷さんの口を上にした状態で、しらす、錦糸卵、更にオクラを乗せた物を用意した。
白、黄色、緑と、狐型お稲荷さんである。それをお弁当箱に入れていると、突然目の前から狐が1匹消えた。
「え?」
「ん。美味いな。見た目が可愛いだけじゃないんだ「シャンクス!?」」
驚いて声を上げた直後、俺とシャンクスの隙間を斬撃が通り抜けた。髪の毛先が少し切れたけど、まるまる事しかできない髪の毛にそこまでの思い入れはないから問題にならない。
ならないけど、何事だよ。色々な意味で。
「何故、貴様がここにいる?その上、俺の愛する男の手料理を勝手に食すとは……」
「へ?ミホーク?いま、なんて……?」
「……よもや、気付いていなかったのか?俺は、主を愛している。理解したならば、今後はヒヒにばかり優しくせず、俺を甘やかせ」
傲慢なその言葉に、どうやらヒヒ相手に妬いていたらしい事を知り、何より想像もしてなかった想いを知らされて真っ赤になった。俺はそれを隠すように、シャンクスの存在を忘れてミホークの胸へと飛び込む。
それを力強く受けとめてくれたミホークは、蕩けるような笑顔で俺の額にそっと唇を落としてから、その場を静かに後にした。俺の言葉による返答は、どうやら不要だったらしい。
その後の事は、推して知るべしである。……この時二人から忘れられた存在が、お稲荷さんを食べ尽くした事だけはここに残して置くが。
─────✿
【ドフラミンゴ】
最近流行りの恋愛小説だと言って、俺が喜ぶと信じて本を買ってきてくれたのはベビー5だった。でもこれは……俺が書いた物だ。
ドフィから人に知られると危険だからと言われて、隠していた事が仇になったのは間違いない。今いるこの国がどうしても最初の発売国となるけど、それはドフィの権力故と思われて誰も気にしてないから……うん。
本を受け取った時はありがとうと笑ったけど、さて……どうしようか?
「どうした?辛気臭い顔して」
「ベビーに、貰った」
本を見せれば苦笑するドフィ。こんな時、父親みたいな顔をするのがなんか可愛い。
「……折を見てファミリーには話しておく。とりあえず、なんか、腹減ったな」
「んー。分かった」
ドフィの今の言い方だと、普通の人程度の食事量が必要だよな。……これでドフィは案外食うから。
ドフィの〝小腹が空いた〟は、普通に食事量である。まぁ、身体も大きいから仕方ないんだけどさ。
中心にロブスターの姿揚げが来る形のパエリアを用意して、海の幸たっぷりのブイヨンスープを仕上げていく。するとそっと伸びて来た手が、パエリアの端を捉えて消えた。
パエリアの隅っこが明らかに消えてしまった事で、犯人にそのお皿は食べて貰おうと口を開いた瞬間、俺が声を出すより早く室内に重圧がかかった。ドフィはどうやら、空腹の為に覇王色の覇気を撒き散らしているらしい。
「バッファロー……何してんだ?」
「わっ……若!すまぬだすやん!良い匂いがして」
「そりゃそうだ。俺が溺れる程に愛してる男が作った物だからなァ?」
「え?……ドフィ、今……?」
聞き間違いかな?
そう思いながら予備も含めて用意していた三皿目のパエリアの完成品を目の前にして、硬直する。だって、今、ドフィが……。
「……何度も伝えて来たつもりなんだがなァ?」
「え?」
「昔も今も、俺はお前しか見てねェよ」
「ドフィ……?」
言葉と共に頬に触れるドフィの指先。それが本当に優しくて、そして、狭まる距離に呼吸も思考も止まりそうになるのを自覚する。
「恋愛感情で、愛してる。いい加減、俺を男として、認識しろ」
憎たらしい程にいい身体してる男だ。その上声も美声で高身長なのに、何を言ってるのか。
「ドフィは、男だろ。初めて会った時から、今も変わらずに」
「馬鹿、そうじゃねェ。だが……料理もだが、何よりも今、食いたいもんがある」
その言葉に頬が熱を持つ。ここで頷かなければ、俺はきっと永遠に後悔すると分かっちまう。
今頭で分かるのはそれだけで、でも、この人は悪い男だ……。なのに。
「……悪い男に惹かれるなんて、俺、本当に人を見る目ねぇな」
「もう、手放す気はねェぞ」
そのまま重なり合う二人の影を見て、幹部の青年は溜息と共にそっと部屋を出て行く。部屋の入口には〝死にたくなければ開けないように〟と、看板をひとつ立て掛けて。
─────❀
【ロー】
潜水艦は寒い海底を進むから、艦内が寒いと言う勘違いをしている人が多い。けれども実際は、平気で50度を超える事が多々ある灼熱地獄だ。
その為に定期的に海面に浮上して、ハッチを開けて艦内の熱気を放出する必要が出て来る。そうして浮上した時、ついでにやるべき事が多々あり、その際に役割の定まってない人達が釣りと掃除を行うのが当然の流れ。
そんな中で、針路を確認していたローが突然溜息をついた。その様子が珍しくて首を傾げれば、困った様子で俺を見る。
「……何か食いたいな」
「コックに頼「何か、作って来てくれ。作業効率を下げない物で頼む」」
そう言われてしまえば作らない訳にもいかなくて、ローが好む物を脳内で考える。結果論にはなるが、ローが好きな物は仕事効率的にも良い物ばかりなのでお握りを作る事にした。
このお握りという食べ物は、案外恐ろしい。炊かれた米を固めているので、水分無しで摂取すると窒息するリスクが高くなるのだ。それと同時に、炭水化物と塩分、食物繊維を確保できて、中に入れる物により味を変えて楽しむ事も可能と言う利点も併せ持つ。
そんな訳で俺が用意したのは、コッソリ作っていた沢庵と人参の酢の物。そして魚のほぐし身を入れたお握りと、ワカメのお味噌汁だ。
魚のほぐし身なのと、ワカメの味噌汁なのは、海にいる為に簡単に手に入るという事が理由。エンジン部分の熱を利用して、塩と蒸留水を海水から手に入れられるので健康的で美味しい食事が確保出来ているのである。
「あ、スゲェ美味い!でも船長は鰹節を使ったお握りのほ「シャチ……何食ってんだ?」」
「あ!キャプテン!これ美味し「何を、食ってるんだ?」」
「……見ての通り、お握りで「〝room〟」」
そのやり取りから嫌な予感がして間に入ると、ローは分かりやすく顔を顰める。どうやら珍しく、本気でお怒りらしい。
「俺の男と昔から決めてる奴が、久々に作ってくれた手料理を先に食われたんだ。不愉快になるのは当然だろう」
「え?……ロー、くん?今、なん、て?」
呆然としちまったのは許して欲しい。想定してない言葉だったんだ。
そんな俺に、ローは笑う。なんとも優しそうな、幸せそうな顔で。
「その、ローくん呼びを変えたら……答えてやるよ」
「……船長?」
「馬鹿。違うだろ」
「キャプテン」
「無駄に逃げんな。ほら、俺の名を呼べよ」
「ロー……」
その瞬間、どちらからともなく歩み寄り抱きしめ合う二人の姿。その光景に居た堪れなさを感じて、お握り泥棒はそっと船室から姿を消すと、そのドアの入口に手書きの看板をぶら下げた。
それを見たクルー達は、静かに微笑みそっと部屋から遠ざかってくれてる。男同士が禁忌だなんてのは、世間と時代が決めただけの事、海賊にそんなルールは存在しない。
その結果がどうなったのかは、二人が部屋を出た時に判明するだろう。おそらくは、大方の予想通りの結果を伴って。
─────✿
【マルコ】
島の下見に行ったマルコが帰って来るのを甲板で待っていたら、帰ると同時に抱きしめてくれた。暖かいのは、その身体か、心なのか。
「こんなに冷えて……風邪ひくよぃ?」
「そしたら、マルコが治してくれるだろ」
軽口を言う俺に、仕事をわざと増やすなと笑うマルコは、それと同時にお腹を大きく鳴らした。それに俺が笑ってしまえば、食べるの忘れてたなんて事を言い出すので、サッチに声をかけに行こうとして腕を掴まれる。
「……どうした?」
「手料理を、食べたいよぃ」
「ん?そう、だな?だからサッチのてり「サッチじゃなくて……よい」」
不思議だけど、この〝よい〟で、俺に作って欲しいのだと分かってしまい、サッチと比べないでくれよ?と小さく呟く。それに頷かれたので、俺もそれに無言で頷いた。
そのままマルコの好きな物を考慮して食事を作っていれば、どうしても甘い香りが漂ってしまう。ただ、意外と知られてないが、パイナップルは消化促進と便通効果が高く、豚肉との相性が良い。
なので、パイナップルと豚コマとか、パイナップルを豚バラで包むとかするのは案外美味しい。その関係か、酢豚にもパイナップルが入ってたりするのである。
デザート用にフルーツポンチを作って、その仕上げにミントを添えようとしたらエースが豚肉を指で摘んでいた。衛生面とか色々あるので叱ろうとしたら、それより早く鳥の足がエースの頭を捕らえて床に叩き付けてしまう。
「エース……お前ェ……」
「マルコッ!?」
「よくも、手料理を……」
「ガキの頃以来で、懐かしかったんだよ!マルコの好物だとは知らなかっ「俺がやっとの思いで、手料理作ってくれと頼んで作って貰ったんだぞ!惚れてる奴の手料理食われて冷静でいられるかよぃ!!」」
「……まる、こ?今の、言葉……」
エースを許してあげて欲しいとか、足りなければ作り足すぞとか、色々言おうとしてたのに全て消えた。思考が停止して、顔が熱を持ち、鼓動が五月蝿いくらい脈打つ。
ずっと、俺の叶う筈もない片想いと認識していたのに、何が起きてる。これは、現実なのだろうか。
「……そういう、事、だよぃ」
「そんな、俺……男だぞ?」
照れ臭そうにしてるマルコ貴重だなと思う。それでも、素直に頷けないのは俺が男だから。
マルコが奇異の目で見られちまう。俺は、今更だから良いんだけどさ。
「知ってるよぃ?」
「ならっ!」
「最高に美人な、いい男だねぃ。……ずっと、欲しいと願っている。俺のものに、なれよぃ」
そうしてそっと俺の頬に触れると、優しく微笑むから……。俺はそっと瞳を閉じた。
二人の唇が触れ合う直前、床に頭を押し付けられたままになっていたエースが騒いで、マルコが怒り狂ったのは当然の未来。それでも二人の世界に入ってる為に、そんな事も予測する事はできなかった。
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【イゾウ】
久々の陸地に喜ぶ兄達を眺めていたら、何処か切なそうに見知らぬ親子を眺めているイゾウに気付く。両親が揃って歩くすぐ側でどこかへ走って行こうとする少年と、母親の腕に抱かれている乳幼児。
極有り触れた光景を見詰めているその横顔が、何故か泣いているように見えてしまう。声を掛けるか戸惑う俺に、イゾウは振り返らずに言った。
「……久々に、おでんでも食いたいな。おでんって食い物を知ってるかい?」
「ん?ああ、知ってる。俺で良ければ作るけど……どうする?」
「知ってたか!なら、頼むよ」
妙に切なそうな顔をするイゾウが心配で離れたくはなかったが、おでんは案外面倒なので急いで準備に取り掛かる。まずは卵を茹でて、ゆで卵を作る所から。
卵を冷やしてる間に大根を下茹でして、その後ゆで卵と大根を強火で煮込み始める。その時にこんにゃくなども入れて、味の染み込みにくい物はじっくり時間をかけて煮込んでいく。
その後練り物系を加えて中火にして、魚河岸揚げを入れて、もう少し追加で煮込んだら仕上げにはんぺん。完成かなと大根などの様子を見て、器と辛子を用意しようと背を向ける。
「あっつ!……でも、うんまいなァ!」
その声に驚いて振り向くと、エースが幸せそうに食べ始めていて、試食用に置いてあった箸と小皿を使ってると気付く。それにより注意しようとした俺の目の前で、その身体が吹き飛んだ。
「エース……誰の許可得て、勝手に食ってんだ?ん?」
「だって、すんげェ美味そうな匂いがしてよ」
「思い出の料理を惚れてる奴に頼んで作って貰ったってのに!それを横取りとは……いい度胸して「惚れてる奴?」」
まさか……と、エースを殴り飛ばしたイゾウを見れば、イゾウはその目元を僅かに赤く染めて、困ったように俺を見て笑う。それに吸い寄せられるように近づき、服の袖を掴む。
ギュッと掴んで顔を見上げれば、そっと俺の髪を梳くようにして撫でる。俺が男である事を、イゾウが知らない筈も無いのに……。
「ずっと長い事、俺はお前さんに惚れてる。俺の隣に、並び立っておくれだね?」
「……俺、男だし……」
「知ってるさね」
「その、抱く側には回れないと思「俺が、抱きたいんだ」」
その言葉で真っ赤になった顔を隠そうとイゾウに抱きつけば、イゾウも優しく抱き締め返してくれる。そっと返事をする為に顔を上げれば、そのまま二人の顔が接近していくのも当然の事だろう。
二人の世界に入ってる姿に、そっと火を止めてそそくさとその場から逃げた青年がいた。だが、その事を咎める者は今、誰もいない。
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【シャンクス】
キムチ炒飯を食べている姿を眺めながら、真っ赤な毛糸で編物を続ける。マフラーが欲しいと言われて買いに行こうとしたら、それを拒まれた結果だ。
「もう、できそうか?」
「ん。後小一時間あれば完成だ」
無地の赤との指定で作ってたけど、端の所に赤髪のマークを黒と白の毛糸を使い入れているので、少し時間がかかってしまっているのだ。単色で長いだけのマフラーなんぞは、編むのにそんなに時間もかからない。
「……ありがとな」
「え?」
「俺の色のマフラーって案外無くてよ。赤なら何でもいいって訳でもねェからさ。……所で」
「なんだよ?」
「甘いもん食いたい。……いいか?」
そっとその手を伸ばしたと思ったら、俺の髪を軽く引っ張る。そのままキスをして流し目で見詰めてくるから、うんと言って頷く。
「ルーに何か作って貰ってく「違う!色んな意味で違う!」」
「シャンクス?」
「……お前が、欲しい」
「分かった。何を使っていいかルーに確認するよ」
手料理を食べたいと言う事は案外あるので頷いたら、何故かシャンクスが崩れ落ちた。それに小首を傾げつつキッチンへ向かう。
シャンクスは基本的に赤いものが好きだから、ベリー系の物を作ろうと決めた。シンプルなワッフルを焼いてイチゴとバニラのアイスをその端に添えて、ベリーのジャムを上からかけると、仕上げにミントを飾って砂糖をふりかける。
皆も食べるかなと残ってる材料を見て思った時、二枚あった筈のワッフルが一枚目の前で消滅した。神隠しの勢いで。
「うん、これなら少しヨーグルトをジャムに加えて酸味を抑えても良いと思「ルー?お前、何してんだ……?」」
どうやら味見してくれたらしいルーに色々聞こうと思ったのに、それより先にシャンクスか現れて怒りを滾らせる。でも、中途半端な物を出すよりは良かったと思うぞ。
「シャ「俺が惚れてる奴に作って貰った物を、何故お前が先に食ってんだ!」……え?」
「……えっ?って、まさか、俺の想いにすら、気付いてなかったのかよ?」
「ああ」
素直に頷けば、ゲンナリした顔をされる。その直後、静かなのに甘い眼差しを向けられて困惑しちまう。
「馬鹿だろ」
「俺、ずっと、弟とか、息子とかの枠だと思ってて」
「俺は恋愛感情で愛して来た。俺のものになれ」
「シャンクス……でも、俺、男だ」
「そんなもん、瑣末な問題だ」
「俺、何度も経験ある」
「なら、無駄に負担かからなくていいな」
「シャンクスしか、見えなくなる」
「そうなってれた方が、嬉しい」
そのまま互いに歩み寄り、抱きしめ合いながら瞳を見詰め合う。その姿を眺めてから、後で使えるように残りの食材を片付けてワッフルを片手にルーは静かにその場を後にしたのだが、二人の世界に入っていた為にそれに気付くのはもう少し先のお話。
─────❀
【レイリー】
珍しくシャッキーが来ると言うので、俺は部屋の掃除に専念していた。何せ美しい人が来るのだから、手抜きは許されないだろう。
シャッキーが来るなら、食事の支度は不要だろうな。大抵いつも、この島では入手の難しい食材や、シャッキーが食べて美味しかった物を買って来てくれるから。
森の中から音が聞こえて、鈴の音が響く。来たか……と小屋を出れば、荷物持ちをさせられているレイさんと煙草の他は手ぶらで闊歩しているシャッキーが見えて来た。
「久しぶりね!」
そう言って煙草を手にしたままその手を振るシャッキーへと駆け出せば、抱きとめてくれる優しい腕。優しく頭を撫でて、そっと微笑みを浮かべるシャッキー。
「可愛い子……ねェ、私と二人で住まな「シャッキー、いい加減にしなさい。この子は私のものだよ」」
レイさんはいつの間に小屋の中に荷物を置いて来たのか、早業で俺とシャッキーを引き離す。奪い合うように腕から腕へと俺を移動させる二人に、この二人はこういうじゃれ合いが好きなんだよなぁ……と笑ってしまう。
でも、だからこそ遠い二人。だから邪魔にならないよう、そっと離れて小屋に戻ろうとしたところで腕を掴まれた。
「今日は、君を食べたいのだが……どうだろう」
「そうなのか?……いつもシャッキーが持ってきた物を食べてたから、用意がないんだよな」
「……ん?」
「急いで作るよ!」
「……ああ、そうだね。楽しみにしているよ」
何かを察した様子で頷くレイさんに笑ってから、シャッキーに持ってきた物を確認する。見れば豆類が結構あったので、まずは黒豆を煮つつトマトと数種類の豆を鍋の中に纏めて入れてを無水調理して行く。
それぞれを煮ている間にご飯を炊いて、スパイスを調合したりしていけば、箸休めの黒豆と、トマトベースの豆カレーになるのはわかると思う。今回のお肉は挽肉を使用しております。
挽肉を炒めるのに使ったフライパンで、具無しオムレツを焼いておけば、カレーの上に乗せる彩りとしては整った。後は緑の物が欲しいかと、ほうれん草を刻んでカレーの中に入れてしまう。
サラダはレタスにポテサラを乗せた物を用意。ポテサラに世に言うミックスベジタブルを入れてあるので、色鮮やかというか……可愛い感じに仕上がった。
完成した物を器に盛り付けていけば、後はテーブルに運んで呼ぶだけとなる。その時、サラダとカレーが一皿ずつ消えた。
驚いて辺りを見れば、シャッキーが頷きながら先にテーブルで食べ始めているのに気付く。それならと煮豆も持って行こうとした時、低い声がシャッキーを呼んだ。
「シャッキー?……何故、私より先に食べているんだね?」
「全員分あるんだから良いじゃない」
「それは、私がこの子を口説いて、食べたいと言ったのが何故か通じずに代わりにと作って貰っていた物なのだよ。分かるね?私が、愛しいこの子を食す前に味見として食べる為の物なのだから、この場合「レイ、さん?」」
思わず口を挟んでしまえば、レイさんはしまったと言う顔で振り向いた。その様子にシャッキーは笑うと立ち上がり、またねと言って去って行く。
浮気推奨とか、そんなレベルの話ではない。でも、それが無ければ憧れている人であるとは言え、俺は今の言葉に返事なんてできなかった。
そっとレイさんが抱き締めてくれる。優しく頭を撫でて、それにより顔を上げれば絡み合う視線。
「シャッキー……」
「そこは、私の名だろう?」
「でも……」
「私のものに、なってくれ」
「シャッキーに、悪いし……」
「シャッキーは認めてくれてるよ」
「……っ!でも、俺は男だし、シャッキー「目の前にいるのは、誰かな?少なくとも私は、性別を気にしないよ」」
その言葉に俺は、言葉を失う。だって、呼んでしまえば引き返せない。
そっと目を閉じれば、涙が伝う。罪悪感と幸福が綯い交ぜになって、自分の感情がよく分からなくなってしまって……。
「レイリー……大好き……」
「私は、愛しているよ。……大切に、慈しんであげよう」
そう言われた瞬間に、無意識で頷けば、唇が重なったのは必然だろう。二人の秘めたる時間は、始まったばかり。