ルフィ
ミホーク
マルコ
ロー
ドフラミンゴ
クロコダイル
イゾウ
線で区切ってあるだけです。飛んだりは出来ません。予めご了承ください。
【ルフィ】
いつもの様に海図を描いていると、腕が腰に絡み付いてきた。今度はどうしたのかとインクを倒されないように少し机から離れるように椅子を動かす。
そこに悪びれもなく顔を出したのは、ご想像に漏れないルフィで、けれどもいつもより少し表情が真剣だ。
「好きだ」
「おぅ、俺も好きだよ」
そうでなければ何故船に乗ってると思うのか。ルフィは相変わらず甘ったれだ。
頭を軽く撫でてから、話は済んだとばかりに机に向かおうとしたら、顎を掴まれてしまう。何かあったのかと思って口を開けば唇が触れ合い、開いていた為に易々と侵入を許してしまった舌に口内を蹂躙される。
それに1瞬驚くが、咄嗟的にそれに応えてしまえばルフィが可愛く反応する。それに小さく笑うと、それが伝わったらしいルフィが凶暴化した。
椅子ごと倒れそうになるのを何とか耐えていたら、ルフィの唇がゆっくりと離れる。
「こういう意味で、好きだ。女の代わりとかじゃねェからな!」
言い捨てるように言って駆け出していくルフィの後ろ姿に、俺はどう反応したら良いのか分からなくて、ただ赤くなる顔を隠すように頭を抱えた。今日はもう、海図を描けそうにない。
─────☆
【ミホーク】
保護して貰ったし食事くらいはと、冷蔵庫や船底を漁るが食べられそうなものは、果物とチーズ位しか見当たらない。酒のツマミとして乗せたらしいそれに溜息を落としつつ、チーズを焼いて果物でジャムを作る。
焼きチーズにジャムを添えたら、結局酒のツマミか3時のおやつとなってしまった。これでは意味が無いだろう。
先日ミホークが倒して手に入れた海王類の肉を少し船底から切り出して来て、塩コショウして炙り焼きにして最後にスライスしてワインソースでも掛ければ1品になるだろう。
海王類なんて日本にはいなかったけど、ジビエ料理の感覚でやればなんとかなるだろうとの判断だ。鹿や鴨はこれで美味しく食べられた。
猪ならゴマだれだけど、ゴマがない。そんな事を考えていたら、背後から腕が回された。
「何をしている」
「ミホーク?寝ててくれていいぞ。食事出来たら呼ぶからさ」
笑顔で言えばミホークの腕に力が少し入ったのがわかり、どうしたかと見つめる。お腹空いてないのかな?
「……俺はお前を大切に想っている」
「ありがとう。感謝してるよ。……海王類の料理初めてだから、味の期待はしないでくれよな」
ミホークの優しい言葉に微笑み、初挑戦の料理を提供する罪悪感が強くなって言えば、ミホークの腕が突然俺の頭を押さえたかと思うと、唇が重ねられた。それなのに、こんな時に俺は心から思った。
こいつ、上手い!何だこのテクニック。
膝から力が抜けて、その場に崩れ落ちる俺を見下ろしてミホークは薄く笑った。そのミホークを見上げていれば、ミホークは言葉を投げ捨てるようにして立ち去って行く。
「……こういう意味で、想っていると言っている。理解出来たら、今宵は覚悟しておけ」
その言葉に俺は、羞恥と悔しさの混ざったような感情に振り回されて、暫く動く事が出来なかった。今夜……どうしたらいいだろうかと少し頭が痛くなるような思いがした。
─────*
【マルコ】
モビーディック号に来て、最初のうちは何が出来るのか分からないからと各隊に1週間ずつ体験と称して所属させられたのは、恐らくはマルコの差し金だろう。その時の事があるので、正式に配属されてからの俺は万能補助とか呼ばれてるらしい。
「マルコが誰かに執着するとか、珍しいんだよ?」
ハルタさんの言葉に俺は小さく息を吐く。それからマルコへと書類を受け取って部屋を出れば、マルコを宜しくなんて声が追い掛けてくる。
あれから結局マルコの隊にされたのだから恐らく、単純に顔見せが目的だったんだと思ってる。俺の能力が航海士や測量士として、特化してるのを考えたら船医のサポートには向かない筈だ。
それでも医学知識が無いわけじゃないから、おかしいと言うほどでも無いんだが……。それにマルコは副船長としての役割も担ってるから、事務のサポートが欲しかったのかも知れない。
書類をマルコの部屋に運ぶとマルコは机に向かっているのに、左手で書類を置く場所を指示して来るから、無言でそれに従う。積み上げられた書類を見れば、無造作に積まれてると分かるから、緊急性の高い物とかで分類し直しておく。
データ効率を考えたいと言って先日書類仕事を得意とするメンバーで集まった時に話した結果変わった書式は、俺には見慣れたものだし、マルコも楽になったとは言っていた。それでも書類自体が減る訳ではないので、マルコの仕事が楽になってるようには思いにくい。
背後から影が落ちたのは、俺が書類の仕分けを終えたタイミングだったので、立ち上がって振り向く。
「いつもありがとなぃ。感謝してるよぃ」
「こちらこそ、ありがとう。マルコには助けられてばかりだな」
助けられたのも、その後助け続けてくれてるのも、居場所をくれたのもすべてマルコだ。俺は早く体を治して、強くなって、マルコを今度は守れるようになりたい。
そんな俺にマルコは小さく笑ってから言葉を続ける。
「好きだよぃ」
「ああ、俺も好きだ。早く体治すからな!」
俺の決意表明を受けてマルコの眉間にシワが寄った。それを確認するのとほぼ同時に、後ろ頭に手のひらの感触を感じる。
は?と思うより早くマルコの唇が俺の唇をと重なっていて、巧みすぎるそれに翻弄される。力も強く、抵抗は許さないと言われている気がした。
唇を離された時、それを生業にしていた俺よりも色気のある仕草と声で囁かれる。
「……こういう意味で、むしろそれ以上の意味で好きだよぃ。だからもう1度、返事を聞かせろぃ」
この流れは想定外で、思わず逃げようとした俺の腰をマルコは抱いて離さない。俺は覚悟を決めてマルコに返事を返そうと口を開いた。
─────☆
【ロー】
ふと気付けば夜中になっていた。見張りをやらなくていいと皆に言われてから、俺とサンジには色々な意味で余裕が出来た。
だからこんな風に夜中まで何かをしなくてはいけないような事は、基本的に無くなってたというのに少し集中しすぎたかも知れない。地図は兎も角海図は必要な枚数が多く、日々増えるからついのめり込んでしまった。
「まだ起きてたのか」
「それはこっちの台詞だよ。もう寝ないと、隈が酷くなるぞ」
突然声を掛けてきたローに軽口を言いながら描きあげた海図を渇かしていたら、突然その腕に抱き締められる。甘えたい気分なのだろうかと振り向けば、真剣な眼差しとかち合う。
「好きだ……」
「ああ、知ってる。俺も好きだよ」
幼い頃の印象がいつまでも拭えないのは、この表情筋が瀕死である事と甘ったれな所が変わらないからだろうか。昔はあんなに小さかったのに、今は身長が高すぎてその頭に手を伸ばすのもツラい。
もう頭を撫でる事も出来ないのかと、そう思っていたらローの顔が近付いてきたので、頭を撫でて欲しいのかと腕を伸ばした直後ローの唇が俺の唇に触れた。
それに対して事故かと判断して離れようとした俺の腰と頭をローが押さえるから、俺は身動きを封じられて当然のように貪られる。そうなると昔からの癖でついそれに応えてしまい、そのままローを押し倒してしまっていた。
「押し倒されるとは思わなかったが、好きの意味は理解してもらえたか?」
何処か困ったように笑うローだが、瞳は笑って等居ない為に声を出せなくなる。しまったと思った俺の腕を掴み、ローは簡単に形勢逆転すると、俺の上に乗った状態で頬にその手を添えて来る。
「さァ、答えを聞かせてもらおうか」
力ではかなわないし、能力でも不利。その上長い事弟として接してきたから抵抗も出来そうにない。万事休すかと思うのに、それが不快に思えないのだから俺も随分毒されている。
今夜は長くなりそうだ。
─────*
【ドフラミンゴ】
助けられて、城の中で1部屋与えられて、必要だと言ったものは何でも揃えてもらって、時々ふらりと訪れるドフィを待つ生活が続いている。ドフィと愛称で呼ばせるけど、それ以上に何かある訳でもない。
不満かと言われたらそういう事は全くない。寧ろこんなに良くしてもらってる理由が無い。
まぁ多分、意外と子供好きなドフィの事だから、親代わりとかの気分なんだろうと思ってる。だから俺が何をしても、ドフィは褒めてくれるのだろう。
そんな事を考えながら、演奏しつつ呑気に歌っていた所に姿を見せたドフィは、俺の頭を撫でて優しく笑ってくれた。だから立ち上がってお帰りなさいと言えば、ドフィが視線を合わせて問い掛けてきた。
「……そろそろ、貰ってもいいか?」
「何か、欲しいものがあるのか?」
ドフィが欲しがるものなんてあったかな。部屋を見渡しても該当しそうなものは無い。
海図や地図は、描いたそばから渡しているから今更だろう。それとも、何処か……描いてほしい地域があるのだろうか。
「好きだ」
そう言う声が聞こえて視線をサングラスに向ければ、ボーッとした顔をすた俺が映っている。俺は元はいい筈なのに、自分の情けない顔になっているそれを見ながら、ドフィに返事をする。
「それは知ってる。大切にされてるからな」
JOKERと呼ばれる人が、こんなに優しいなんて想像もしてなかったけど、彼は身内には優しい生き物なのかも知れない。そう1人で納得していたら、ドフィの腕が腰に回されて、抱き寄せられると長い舌が俺の口内を当然のように蹂躙して来た。
角度を変えて、何度となく繰り返されるそれに無意識で答えれば、ドフィから楽しそうな気配を感じて、容赦の無い口付けにいつしか互いに本気になっている。それでも長すぎる口付けに、体力が持たなくて呼吸が荒くなってきた頃、ドフィは唇を離した。
「……こう言う意味で、好きだと言ってる。それで、どうだ。貰っても構わねェか?」
「……ドフィが望むならと、言いたいけどさ、入らねェよ」
掠れた声で返せたのはそれだけで、それに対してドフィはしっかり慣らしてやるから心配するなと、これまでに見た事もないような優しい笑顔で言ってから、再び唇を塞いだ。その最中に床へと崩れ落ちそうになっていた俺の体を抱き上げ、当然のようにベッドに移動させられたのだから、俺も覚悟を決めるしか無さそうだと理解して、優しい口付けに応える事にした。
─────☆
【クロコダイル】
1人で外に出る事は1切許されず、助けてくれた筈の恩人の手により、俺は誰がどう見ても監禁しているとしか言えないような状態にある。それでも、不満は無い。
ロビンを通して欲しい物を伝えれば、楽器も、紙も、インクも揃えてもらえるし、本や新聞も用意して貰えたのでのんびり読書を楽しむ事も出来る。ただ、部屋から出られないのに情報だけ集めて何になると言うのか。
日々渦高く積み上げられた読み終えた書籍を見て溜息を落とした時、クロコが部屋に入って来た。それを出迎えようと腰を浮かせると、視線でそれを制される。
「お帰り」
本を横に置いて椅子に座り直せば、クロコの視線が本に向く。なのでその本をクロコに差し出す。
「サー・クロコダイル英雄物語」
「あァ、そんなモンもあるのか」
「案外楽しかった」
揶揄うように笑えばクロコは本を部屋の端に器用に投げて積み上げる。その様子を眺めながら、次はロビンに何を頼もうかと考える。
「好きだ」
「あぁ、大切にしてくれてありがとう」
応えると唇を塞がれて、吐息ごと奪われる。このキスが余計に寂しさを俺に刻み付けるのかもしれないと思う。
なんの為にキスをしてくるのか、それが曖昧だから。
唇を離された時、クロコが驚いたような顔をしていて、俺はどうしたのかと心配になる。
「泣くほどにキスされたくないか?」
「え?泣いて、る?」
言われて頬に触れると確かに濡れている。俺は呟くように、クロコが何考えてるのか分からないんだとこぼしていた。
それを聞いたクロコは溜息を落とすと、低く唸るように言った。
「1度しか言わねェぞ」
「へ?」
「愛してる。俺の伴侶として生きろ」
何故か告白の筈のそれは、不本意そうな声と表情で、俺はそれを受けて多分人生で1番晴れやかな笑顔を送ったと思う。俺の答えは、1つしかないから。
─────*
【イゾウ】
基本的に必要最低限しか部屋から出ない俺を、親父様が心配してくれてるらしい。らしいと言うのは、ここ2ヶ月ほど顔を見てないからだなんだが……これは不可抗力だ。
でも、実際心配かけるのは本意じゃねェんだよな。深く溜息を落とすのは、どうにもならないもどかしさからか。
助けて貰って、引き取られて、お礼にと思ってクロッカスさんの元を訪ねて……そうして治療して貰った結果元気になった親父様が、活発過ぎるのだ。
それに対して俺は事務、経理、航海日誌、そして、出版する為に書いていく作品達。その他に海図と地図を自分の夢も兼ねて描いているのだから、部屋から出られる方がおかしい。
「ただいま。お前は少し休憩しな」
そう言って帰ってくるのと同時にイゾウが差し出したのは蜂蜜入りの焙じ茶で、ありがとうと言ってそれを受け取る。少し熱いそれに息を吹き掛けながら飲んでいたら、イゾウが優しく笑った。
「思ひつつ 寝ればや人の 見えつらむ 夢と知りせば 覚めざらましを」
心臓が飛び出すかと思った。その言葉の意味が分からないほど、無学ではないつもりで……。
「イゾ、ウ……?」
でも、それになんて応えたら良いのか。俺もイゾウも性別は同じ筈で、この船にはナースも多くいるのだから。
混乱する俺にイゾウが羽が微かに触れるような口付けをして来て、動揺してどうしたらいいのか分からなくなる俺に、イゾウからの口付けは深まる。
啄むような物だったり、触れるだけだったり、深く官能的なものだったりと、触れる度に全く違うそれを俺に与えて翻弄する。そんな遊んでいるとしか思えない口付けが、数える事も辛くなるほど繰り返された頃、イゾウが艶やかに微笑む。
「答えを、聞いても?」
俺はもう逃げられそうもないなと思い、そっと言葉を返した。
「君を、夏の日に例えようか。いや、君の方がずっと、美しく穏やかだ」
シェイクスピアの言葉だが、きっと読書を嗜むイゾウには通じるだろうと小さく笑みを浮かべた。
(短歌訳:あの方の事を想い続けて見た夢だから、あの方の姿が見えたのでしょうか、夢だと知っていれば目覚めずにいたものを)