ルフィ
ミホーク
マルコ
ロー
ドフラミンゴ
クロコダイル
イゾウ
シャンクス
カタクリ
線で区切ってあるだけです。飛んだりは出来ません。予めご了承ください。
【ルフィ】
その日はロビンが居なくて、海図や地図も描ける物は無くて、ペンを手にしても何も思い付かなかったから小説を書くのを諦めて早めにベッドに潜り込んだ。ロビンが側に居ないと、どうしても少し眠りが浅くなるのが困り物。
そんな時に誰かが部屋に入って来たのを何となく感じた。だけどロビンが忘れ物でも取りに来たのかなと思ってたのよ。
それくらいに馴染んだ気配で、警戒心なんて要らない感じだったから。ベッドに普通に入って来たから、ロビンだと判断して、いつもみたいに抱き着いた。
それに対して何時もなら笑いながら頭を撫でてくれるのに、それが無くて固まったまま動かないからどうしたのかなと寝惚けた頭で考える。その時抱き着いていた腕が剥がされて、ベッドに押し付けられたように思った直後に唇に何かが触れた。
いや、触れたなんてものじゃない。侵入してくる舌に脳が慌てて覚醒する。
でも抑え込まれている上に寝起きで、しかも相手が分からないから上手く抵抗出来ない。
「んっ……!やぁ……!」
必死で顔を背けた時、お酒の匂いを感じて酔ってるのかと気付く。犯人を見ればそれはルフィで、酔って、その勢いで女が欲しくなったのかと気付けば、泣きたいような気持ちになる。
片想いなのは分かってるけど、流石に胸が苦しい。
「辞めて!次に島についたら花街探してあげるから、とりあえず退いて!」
「俺は……」
言葉と共に掴まれている手首に痛みが走る。強く、握られている為だとわかる。
「俺は、お前が好きだ。突然キスしたのは謝るけどよ……。頼むから、他の女にしろとか、言わないでくれ」
「ルフィ……ほんと、に?」
涙が、零れ落ちる。ずっと……私の、片想いだと知っていたから。
冒険を愛してるルフィだから、女になんて興味ないって、わかってたから、諦めて封じこんでたのに……。
「私もずっと、ルフィの事が……!」
それから先、言葉は必要無かった。流れる涙を拭ってくれたルフィと、私の唇はまるでそうなるのが自然であるかのように重なり合う。
その先の事は、空に輝く月と、当人達だけが知っている。
─────☆
【ミホーク】
月明かりが雲により陰る。これ以上は描くなとでも言うかのようなそれに従い、私は眠れるかは分からないけどベッドに入る。
今は珍しく人のいる島に立ち寄っているミホークさんは、その関係で今この船を空けている。ベッドに入ってみれば思っていたよりも疲れていたのか、私の瞼は自然と落ちて深く、深く眠る事になる。
それからどれくらいの時間が過ぎたのか。ベッドに入り込む人の気配を感じる。
本来ミホークさんのベッドなのだから当然で、でも何かあったら守ってくれると信じられる人だからと無意識で抱きつけば、いつもは感じない感触が唇に現れる。なんだろうと思った時、口内に侵入する温かいもので意識が覚醒する。
それと同時に甘さを感じ取れば、どうやら何か飲んできたらしいとわかる。酔った勢いでのそれかと思えば、泣きたくなる程に悔しい。
「やだ!ミホークさ……んんっ」
抵抗の声ごと再び押さえ込まれて、ヤダヤダと必死でその肩を殴る。そんな私の手首を掴み、ミホークさんは私をベッドに押さえ付けると低く唸るように言う。
「好きだ。こういう意味でな。……主には幾度も伝えたが伝わらぬ故、これでも悩んでいる。わかるか?」
真剣な声と、震える瞳と、そして……困ったような顔がそれを真実だと告げている。私はそれを信じたくて、でも、信じるのが怖くて戸惑う。
「私……も、」
涙が自然と落ちて、言葉が続かなくなる。そんな私に1瞬驚いたような顔をしたミホークさんが、直後に破顔する。
そして優しく唇で涙を拭うと、それから先、2人に言葉は必要無かった。合わさる影は、離れる事を望みはしない。
─────*
【マルコ】
妙に肌寒く感じて外を見れば雪が降っている。見回りに出たマルコさんは大丈夫かしらと思いながらも、寒さに負けて先にベッドへ入る。
居候の身だから文句は言えないけど、どうして同じベッドなのか。1応は異性の筈なんだけどな。
そんな事を考えながらベッドで丸くなれば、いつも守ってくれるマルコさんの香りがする事で自然と体から力が抜ける。それから間も無く誰かがベッドに入って来て、その時隙間から入る冷たい空気により思わずその侵入者に抱き着いた。
正直、暖かい。擦り寄れば何か言われた気がしたけど、鈍ってる頭ではそれが何だか認識出来なくて、抱き着く腕に力を込めた。
直後に唇に触れた温もりと、顎に添えられている指の感触で意識が覚醒する。待って、何が起きてるの!?
口内を蹂躙するそれから甘味を感じ取れば酒を呑んできたとわかり、酔っているのだと判断した私は胸の痛みに喘ぐ。酔った勢いで……なんて、そんなのはいや。
「や……!」
唇の隙間で抵抗すれば再び深く合わさる唇。それと同時に当然のように服の中に手が侵入して来て、必死でそれから逃げようとすれば普段なら逃げさせてくれるのに今日は強く、抱き締められてしまった。
「いやっ!マルコさ……「好きだよぃ」」
「え?」
思わず動きを止めてマルコさんを見れば、泣きそうな顔をしているのが見える。捨て犬のような弱々しい雰囲気で、私の顔を覗き込んでる。
「ずっと、初めて会った時から好きだよぃ。だから……俺のモノになれ」
「マル……コ、さん……?」
「他に触れさせたくなくて、部屋に無理矢理引き取ったが……余りに無防備で耐えられなくなった。このまま、俺のモノになれよぃ」
涙が、流れ落ちる。それにマルコさんが慌てた様子を見せるから、私はそっとマルコさんの首に腕を回した。
嫌なんじゃないの。でも、想像もしてなかったから……。
「大好きよ、私の……幸せの青い鳥はマルコさんだけ」
私の言葉にマルコさんは照れたように笑って、大切にすると言った。そうして重なった影が、離れるのは無粋な誰かがドアを蹴破るまで無いだろう。
─────☆
【ロー】
今日は帰りが遅いなと思いながら窓から外を見ていたけど、陸に降りているローがそう簡単に帰る筈は無いのよ。こんな時間だもの、今夜は女でも買ってるか酒を呑み続けてるか、楽しい本を見付けて時間を忘れてるかね。
そう考えた時、脳裏に綺麗なお嬢さんに絡まれているローを浮かべてしまう。微かに胸が軋むような痛みを覚えたけど、そんなものは感傷でしかないし、私に悲しむ権利はない。
私はただの、クルーなんだから。そう思って、眠れるわけもないのにベッドに入って寝たフリをする。
フリから睡眠に入らないとも限らないから……。そんな言い訳しながら丸くなっていたら、ドアが開かれる音が聞こえて来た。
当然のようにその人物は私のベッドに入って来たから、私もまたいつもの様に無意識でその体に抱き着く。暖かいのと、安心するので漸くちゃんと眠れそうだと思う。
それにより即座にウトウトとし始める私の頭を軽く撫でてからローは何故かそのまま私の顎に手を置いて、ハッと気付いた時には唇が重なっていた。その舌が妙に甘いのとアルコールの匂いから、酔っているのが分かり必死でその体を押し退ける。
「辞めて!私は、遊ばれるつもりはなっ……んゥ……ゃ……!」
言葉の途中で再び重ねられた唇に、簡単に押さえ込まれてしまう力の差に、泣きたくなる。島で、適当に買って来れば良いのに、私だとお金がかからないから……?
「俺は!……ずっと、お前に惚れてる。他の男に笑いかける度に、どんな想いでそれを見てたかも知らねェで、遊びだなんて良く言えたな」
「……どう言う、意味……?」
「好きでも無い女と、1番無防備になる睡眠時間を共にする趣味はねェ」
期待して、良いのかな。私の、片想いじゃ、無いのかな。
「ロー……私、ローの事が、好き」
「……この流れで船長としてとか言ったら、容赦しねェぞ。大丈夫か、恋愛って物わかってるか?」
信用してないと顔と声で伝えてくる疑り深い人に、そっと私からキスをする。そして、こういう意味で好きよと言えば、能力を使ったのでは無いかと言いたくなるほどの早業で衣服を剥ぎ取られた。
重なる唇、重なる体、重なる鼓動。それらが愛おしくて、涙が勝手にこぼれ落ちた。想いと体が同時に絡まり、もう解ける事は無いのではないかと……そう思える程の幸福に包まれる。
─────*
【ドフラミンゴ】
外は暗くなったのに、王宮は静か。今日は帰らないのかしら?
帰っていれば、その場所は常に賑やかだもの。でも、今いないなら今夜は多分帰らない。
共に過ごすようになって、決していい人ではないと分かっていながら……惹かれている事は自覚してる。それだけ、大切にされてるし、護ってくれてる。
恋をするにも相手ってものがあるでしょうと自分に溜息を落としても、現実は変わらない。……寝てしまおう。
どうにもならない想いを無視して眠りに入れば、少しして窓が開いた事を風の動きで知る。でも、眠い。
起きて、お帰りなさいと言うべきだと思うのに、眠い。そんな私のベッドに冷たい空気を入れないようにと気を使いつつ侵入してきたその温もりに、私は思わず抱き着いた。
それに1瞬動きを止めて、それからその温もりはそっと私の頬を撫でる。優しいその動きに、温もりに力が抜けた所で唇に何かが触れて、そのまま生暖かい物が入って来る。
「んぅ!?」
即座に覚醒した私の脳は、けれども抵抗なんて色々な意味でできない。でも、その舌から感じ取れる甘味からワインか何かを大量に呑んだのだと分かり、逃げようと試みる。
こんな、酔った勢いで誰でもいいからみたいに扱われたくは無いのよ。お願い、私の心を無駄に刺激しないで……!
「わかさ、ま……!やめっ……!」
「ドフィ……だ。俺のモノになれ」
手首を掴まれて纏められる。それに足をばたつかせて見るけれど……力の差は歴然で。
「いやっ!やだぁ!」
「……好きだ」
「へ?」
思わず見あげれば、苦しそうな顔をしたドフラミンゴがいる。
「お前が、好きだ。俺を……愛せ」
夢だろうか。願望や妄想が幻聴を私に聞かせているのだろうか。
「どうした?」
問われても分からずに首を傾げると、小さく泣くなと囁かれて、眦に唇が触れる。それにより、泣いていたと気付かされた。
「……遊び、なら、他「何度も言ってるだろう。お前は俺の花嫁だ。そろそろ受け入れろ」」
「……ホント、に?」
「ん?」
「本当に、私を好きなの?珍しいからとかじゃ、なくて?」
「……好き、じゃねェな」
ズキリと胸が痛む。でもその直後に聞こえた言葉に息を飲まされる事となる。
「愛している。俺は、好きなんて言葉じゃ足りねェ程に、依存してる」
もう、嘘でもその場しのぎでも良いと、そう思えた。だからそっとドフラミンゴの首に腕を回して、抱き着いた。
「私、も……すきよ……」
涙が流れてベッドに落ちるのと、2人の唇が重なり合うのはほぼ同時で……その先は、ただ互いの想いを確かめ合うようにその身を重ねた。それを見守っているのは、空に輝く星々だけ。
─────☆
【クロコダイル】
大人しく寝てなさいとロビンに言われて寝てるけど、寒い。風邪……かな?
夏島の砂漠の国で風邪とか、私どうなってんのよ。あー……でも、そっか、日本と違って湿度が無いから……いや待て、私の居る部屋は湿度高い筈よね。
そんな事を考えながら寒さに震えていたのは、多分弱りすぎてるせいだと自分でも分かってる。思考が纏まらなくて、頭がボーッとする。
そんな時に微かな物音が聞こえたと思ったら誰かが私の額にある布を取り、そのままそっと額に触れてきた。その後小さな舌打ちが聞こえたと思ったら、冷たく冷えた濡れタオルが額に乗せられて……その冷たさに少し体が楽になった気がした。
そんな私の寝てるベッドにその人物は入り込むから、その温もりを求めて抱き着く。本当に、寒いのよ。
「……寒いのか。チッだとしたら、このまままた熱が上がるのかよ」
なんか、今日クロコは舌打ち大フィーバー?
そう思った瞬間に重なる唇。ただしその唇からは大航海時代に海賊が愛したと言われるラム酒の香りと味が伝わり、クロコらしいとは思うけどそんな酔った勢いでとか、嫌だと思ったら泣けてきた。感情が、病気のせいか乱れやすくなってる。
「やだ……!」
「唇は、拒むな」
言いながらクロコは服に手を入れてくるから、力の入らない手でそれに抗う。それに対してクロコが苦しそうな声音を響かせた。
「病人でも襲いたくなる位には惚れてる。俺の女になれ。そう約すならば、今は手を出さないでやる」
「クロコ?」
「俺は、惚れてもいねェ、気に入ってもいねェ女と同じ部屋で寝る趣味はねェよ。……いい加減、気付け」
涙が、こぼれ落ちる。クロコはそれに動揺するけど、片想いだと思ってたこれがそうじゃないと分かれば涙の1つ位簡単に零れ落ちて何がおかしいと言うのか。
「私、ずっと片想いだと、思ってた」
「……お前が俺の告白勝手に躱してたんだろうが……病気が治ったら、覚悟しとけ」
そう言ってクロコは私の頭を軽く撫でた。その温もりに、私は微笑みを向けて、早く治すわと言いつつ私の方からその唇にキスをした。
─────*
【イゾウ】
歌も物語も、恋愛の絡まない物は少ない。いつの時代も、どんな身分かも関係無く恋愛に苦労して、胸を痛める人が多いからなのかな。
幸せな作品と、悲しい作品のどちらが多いのかと、そんな詮無い事を考えてしまう程に、私は自分の感情に振り回されそうになっている。隠さなきゃ、知られたら困らせてしまう。
そうは思っても妹扱いされている現状に、涙が零れそうになる。美しく、妖艶で……誰よりも残酷な人。
眠れるかな、イゾウさんの匂いがするから、少しは……。買い物に行くと言って出たのに、月が高くなっても帰らないイゾウさんが心配じゃないと言えば嘘になる。
でも、イゾウさんが勝てない相手に……私が勝てるとはどうしても思えないからと言い訳して、現実から目を背ける。本当は女の人を買ってるのだろうと分かっているのに、認めるのがつらい。
そうして布団に入り少しするといつも抱き締めてくれるイゾウさんの香りがして、力が抜ける。その為に浅くはあるけれど眠りに入れた私は、突然ベッドに入って来たその温もりに甘えるように擦り寄り抱き着く。
そんな私をその温もりは優しく撫でて、それから何かを呟いてから重ねられた唇。それにより私の頭は1気に覚醒して目覚めたけれど、その唇が離れる事は無い。
「やぁ……だ!」
いつもとは違う香りをその身に纏い、お酒に酔った勢いでなんて……誰と間違えてるのかは知らないけど、辞めて。好きだと伝えてくるようなキスに、勘違いしたくなるから。
抵抗する私の手首を掴み、イゾウさんは低く甘く、その声を響かせる。それは、願望による聞き間違いかと思う程。
「無防備にその肢体を絡まされ続けて、口付けの1つも許さないつもりなのかい?」
「そんな、つもりは……」
「無いだろうと分かっていたから、耐えてきたがね。そろそろ、俺の気持ち位は分かっておくれな」
「イゾウさん?」
「愛している。俺の女になりな」
息が止まるかと思った。それ程の衝撃。
その直後何故か目の前が霞んで、困ったような声でそんなに嫌かいなんて聞かれて、私は自分から腕を伸ばしてイゾウさんに口付ける。この苦しい想いが、もしもイゾウさんが揶揄ったとかで無いのならば伝わるだろうと信じて……。
「優しく、出来なかったらごめんな」
そんな言葉と共に私の服を脱がせて来るそれに、私は多分笑ったと思う。自分が何をしているのかも分からなくなるような幸福の中で、私はただイゾウさんに全てを委ねた。
─────☆
【シャンクス】
帰らない人を待つ虚しさに、少し自嘲してしまう。妹にしか、下手したら娘にしか思われて無いと分かっていて、なのに想いを止められない。
体は大人ともう変わらないと分かっていても、それでもシャンクスの中では私はまだまだ子供なのだと知っている。だから、たまに帰らない日があっても、仕方ない。
……捌け口にしてくれても良いからと、縋りたくなるとか、終わってるわ。もう、寝てしまおう。
逃げるように、隠れるようにベッドに入り、眠る。自分のベッドで寝るのなんて随分久しぶりな気がするわ。
眠れないかもなんて思っていたのに、気が付けば案外深く眠っていたみたいで布団に誰かが入ってくるそれで微かに意識が浮上した。いつもの香りと温もりを求めて、無意識に体が動いて、それに抱き着くと優しく撫でてくれる手に力が抜けてまた眠りが深くなる。
でも直後に呼吸が苦しくなって、意識が覚醒する。キスされる事はこれ迄もあったけど、今回は服の中に手が入って来てる。
「やぁっ……んっ……」
その上、強いアルコールの匂いがするから消毒液にまみれてるので無ければ、酔ってるのだと嫌でもわかる。確かに、捌け口でも構わないと思う事はあるけど、酔った勢いなんてそんなのは嫌!
「シャンクス、辞めっ……ぁ!」
「抵抗するなよ。……このまま、俺のモノになれ」
「シャンクス……やだ!どうして……!」
「……どうしてって、惚れてるからだ。もう、18歳になったんだ。そろそろ俺の女になっても良い頃だろ」
「意味が……分からないわ」
シャンクス、どうして急に?
無言で見つめ合っていたのは恐らく僅かな時間なのに、物凄く長く感じたのはどうしてなんだろう。苦しそうな表情で、シャンクスがその沈黙を破った時、私の呼吸はそのまま止まるんじゃないかと本気で思わされた。
「俺は、昔からお前を女として愛して、求めて来た。俺じゃ、駄目か?」
「シャンクス」
夢かと思った。でも、もう夢でも良い。
両手でシャンクスに抱き着いて、私からシャンクスの唇を奪うとシャンクスが驚いているのが伝わって来た。私は、シャンクスが欲しい。
「私も、ずっとシャンクスを想ってきたわ。……貰って、お願い」
そう言った瞬間、私とシャンクスの距離はゼロになり、言葉と熱を交わし合う。少しでも多く、想いが伝わる事を祈るように願いながら、強く互いを求め合っていた。
─────*
【カタクリ】
今日は特に何かママに言われたけではなかったと認識していたけど……何か問題が起きたのかな。帰って来ないのは、帰れない程に何か重要な事が起きたのかな……。
……そんな事は、カタクリに限って言えば有り得ないと分かっていて、本当はただどこかで女を買ってるのだと理解していて……なのに、そんな事を縋るように思ってしまう。でも、怪我して動けないとかよりは、女を買ってる方が私としては嬉しい。
……ダメだわ、起きててもいい事なさそう。そう判断してベッドに入った私は、眠れないだろう事も分かっているの。
どうしてか知らないけど、カタクリは私を他のベッドで寝る事に関して許してはくれない。何かあった時確実に守る為だと言って、同じベッドを使わせ続けるその残酷さ。
無自覚だからタチが悪いわと1人ぶつくさ言いながらも、ベッドからカタクリの香りがしてくれば力が抜ける。いつも守ってくれる人の、好きな人の匂いだ揶揄な……。
いつの間にかウトウトしていた私の元へ、誰かが入って来るのを感じて、でもそれはカタクリ以外に居る筈もないからとお帰りの言葉の代わりに抱き着いた。……暖かい、なぁ。
その直後そっと頬に触れる手の感触に、カタクリだなぁと思って深く眠りに落ちようとしたのに反して、突然何かが口の中に入って来て、息苦しくなり脳が覚醒する。何が起きてるのかと思うのは、これまでこんな事された記憶が無いからだろうか。
「んっ……やぁ!かた……く、んんっ」
必死で顔を押し退けて、僅かに開いた隙間で抵抗の言葉を口にしたのはカタクリからアルコールの匂いと味を感じ取ったから。その顔を見れば少し赤くて、瞳は熱を持ち潤んでさえいて、酔っているのだと分かってしまうから。
「俺が、嫌いか?」
突然聞こえたそれに抵抗する力が自然と弱まる。互いに無言で視線を絡めて、カタクリの瞳が傷ついている事に気付いて首を傾げる。
どうして、カタクリがそんな顔をしてるの?
「そんな訳、無いじゃない。私は、でも、遊ばれるつもりは無いの「俺は、お前を愛してる」」
「え?」
「体格差もあるからと耐えてきただけだ。お前が、欲しい。嫌いでないのならば、俺を……受け入れてくれ」
涙が零れるのを止められない。私は、どうしたって、カタクリが好きだから。
カタクリはそんな私に動揺を隠さないから、その普段は隠されているその素顔に触れて、私はカタクリに微笑むと自らその唇に自らのそれを重ねた。
「私も、愛してるわ」
その言葉と同時に重なったのは、唇だけではない。想いも、素肌も、自然と重なり絡まり合う。
その先、2人に言葉はいらない。ただ、互いの熱に溺れゆく。