ひかりは、茶会の終わった後、ハウスの中にある客室のひとつに立花
今日のサロンの招待者だったほかの四人の一年生は先にシャトルバスで帰ってもらうことにしている。
大人しい渚はともかく、傍若無人の梓は残って柚子との話し合いに残ることを望んたが、この柚子がなにをどう情報を握っているのか判断がつかない。
だったら、手の内は見せないに越したことはないとして説得した。
いずれにしても、ひかりたちの秘密を知っているなどと、馬鹿げた脅迫をする愚か者を許すつもりはない。
そんな者は、真夫の手を煩わすまでもない。
金城家の力をちらつかせるだけで十分に対処できる。
それにしても、痒い……。
梓が苦笑しながらも、本当にひとりにしていいのかと念を押したのは、ひかりが真夫にによって施されている仕掛けがあるからだ。
今日の昼休み以降、ひかりは、真夫によって淫具付きの革の下着を装着させられ、下着には勝手に脱げないように鍵がかけられていた。そして、その内側に装着されている大小のディルドによって花芯とアナルを貫かれているのだ。
ひかりは、その刺激とずっと戦っている。
しかも、そのディルドに掻痒感を与える媚薬をたっぷりと塗られていた。
さらに、胸も革のベルトを乳首の上にきっちりと巻き付けられている。もちろん、乳首に掻痒剤のローションを塗布されている。
ひかりは、猛烈なむず痒さと戦いながら、茶会を過ごし、さらに、柚子という小柄な一年女子と対決をしようとしているということだ。
茶会のあいだは、梓の悪戯で幾度もディルドを振動される辱めを受けたが、こうやって、梓を先に返してしまうと、大丈夫かと苦笑した梓の心配が理解できてしまった。
問題ないと思ったのだが、繰り返し甘美な刺激を受けてしまったひかりの身体は、ちょっと刺激から離れるだけで、どうにもならない焦燥感に見舞われ始めている。
苦しい……。
早く、真夫に痒みに襲われている胸と股間を凌辱して欲しい。
とりあえず、持っている精神力の全てを利用して、目の前にいる柚子に追い詰められている内心がばれないようにしようと思った。
「改めまして、一年の立花柚子です。父がお世話になっています」
柚子には、シャトルバスで戻る四人を見送るあいだ、茶会の席で待っていてもらい、その後にこの客室に案内をした。
すると、まずは柚子がにこやかにひかりにお辞儀をした。
柚子の顔には、連絡先を書いたメモとともに、脅迫文めいた一文を書いて寄越してきた後ろめたさのようなものも、ひかりを脅してなにかを強要しようというような悪辣さの陰もない。
ひたすらに陽気でにこやかな笑顔があるだけだ。
それだけに、一体全体、この娘はなにを考えているのだろうと困惑してしまう。
「君のお父さんがぼくの実家の系列の会社の役員ということは知ってるんだね?」
ひかりは、小さなテーブルを挟んで向かい合うように、お互いにソファに腰掛けてから言った。
「ええもちろん。金城家の力は強いですから、あたしの父など、吹けば飛ぶような存在ですね」
「へえ、それなのに、これ? いい度胸しているね」
ひかりは、さっきサロンの途中で受け取ったメモをテーブルの置く。
そこには、柚子のアドレスとともに、ひかりを怒らせた一文が添えてある。
〈私は金城様たちの秘密を知っています。〉
「金城様にお褒めいただいて恐縮です」
「別に誉めてはいないっ──」
ひかりはむっとして、つい大声を出してしまった。
「それは申し訳ありません。でも、ふふ……」
だが、目の前の柚子は少しも動じた様子もなく、にこやかな微笑みのままだ。
ひかりは、柚子を睨みつけた。
どうにも、この柚子という下級生に面すると調子が狂う。
妙にひかりに対して、マウントを取ってくる雰囲気がある。
とりあえず、なにを考えているのか聞き出さないければならない。
そのためには、まずは、この柚子から主導権を確保しないと……。
「……まあいいよ……。とりあえず、これを見てくれ……」
ひかりは、この部屋にあるテレビをつけて準備していた映像データを再生させた。
さっき、玲子さんからひかりのスマホに送られたデータをテレビに内蔵のハードディスクに転送させたものだ。
映像が流れ出す。
テレビには、半裸の柚子の姿が映し出される。
学園の隠しカメラで撮影された柚子の痴態だ。
ひかりは、ほんの少し確認しただけなので、ちゃんと見るのはこれが最初だ。
学園内の柚子の寮のようだ。
記録用の映像でもあるから、時間が文字でされている。二日前の深夜一時過ぎとあった。
廊下の常夜灯の薄明かりの中を柚子は薄いネグリジェだけの格好で素足で歩いている。
乏しい灯りでも十分に映像が綺麗に撮影されており、柚子が肌が透けるネグリジェ以外のものを一切身につけずに歩いているのは明白だ。
そして、映像が柚子の横顔にアップになる。
唇を噛みしめ、痛みでも堪えているように見えた。
だが、ひかりには、それが苦しみの表情でないのはすぐにわかった。
悦んでいるのだ。
顔は上気し、鼻穴が少し開き気味だ。
次いで、再び全身の映像に切り替わる、
すると、柚子はトイレの前で身につけていた一枚も脱いで、廊下に捨てるように置くと、全裸で共用トイレに入っていった。
さらに、映像が切り替わる、
真っ暗だが、天井からの映像だとわかる。
さっきの柚子だと思われる女生徒が様式トイレに座ってオナニーをしている。その映像がしばらく流れ、やがて、達したらしく、身体を震わせながら突っ張らせる。
映像は十五分くらいだろうか。
再生のあいだ、柚子もひかりもひと言も発しなかった。
もっとも、柚子は思ったよりも衝撃を受けた様子はない。顔色も変わらない。
しかし、それはブラフだろう。
こんな痴態の映像を見せられて、冷静でいられるわけなどないのだ。
「……随分と変わったことするんだね。面白い映像だよね」
ひかりは言った。
だが、柚子は微笑んだまま、視線をひかりに向けてきた。
「……へえ、この映像がまだあったんですね……。ちゃんと消したと思ったのに……。まあ、多分、バックアップデータですか? 頑張ればそこまで入ることもできたかもしれないけど、そこまでする必要も感じなかったですしねえ」
そして、柚子がくすくすと笑った。
ひかりは、どうしてこんな映像を見せられて、平然としているのかが不思議だった。
柚子にはまったく動じた様子もない。
また、いま、おかしなも口にした気がする。
データを消した?
そして、思い出した。
そういえば、玲子さんからのメールに、学園で隠し撮りしていたこの柚子のデータに不正アクセスがあったと書いてあった気がした……。
ほかのことに気をとられていたから、ちょっと忘れていたが……。
もしかして、この柚子が……?
いや、この柚子ができる感じはない。
だとすれば、彼女に手を貸した誰かいるとか……?
「金城様、これを見てください」
すると、柚子が横に置いていた鞄からなにかを出して、テーブルに拡げた。
十枚ほどの写真だった。
それがテーブルに拡げられる。
ひかりは、目を丸くした。
そこに写っていたのは、絹香と双子の侍女たちだ。
だが、ただの写真ではない。
例えば、後手に拘束された絹香の双子のどちらかが、下半身を貞操帯らしき革帯ひとつだけの姿で後手に拘束されて、S級寮のロビーを這いつくばっている写真があった。
また、次の写真は、双子が両方写っている。多分、絹香の部屋だろう。そこで、ひとりは両手を天井から吊られて立たされていて、もうひとりは跪いて高尻姿で蹲っている。その写真では絹香が操作具らしきものを手に持っているので、もしかして、そのリモコンで双子を淫具で苛んでいるのではないかと感じた。
ほかも同じような写真であり、絹香が双子を性的に嗜虐して遊んでいる光景に思えた。
「なにこれ……?」
ひかりは愕然としていた。
こんなものがあるとは思わなかったのだ。
なにしろ、ひかりの知る限り、絹香はマゾで被虐癖で、仲間内では双子の片割れの梓にも調教をされるような立場だ。
そのおかげで、ひかりもとばっちりで、さっきまで梓に苛められていたのだ。
しかし、この写真によれば、立場が逆──?
「映像もありますよ。この写真は、そこから落としたものです」
「映像?」
ひかりは顔をあげた。
だったら、見たい──。
あの梓が惨めに苛められている映像だったら、是非みたい──。
一瞬、そう思ったが、すぐにそんな状況ではないことを思い出して我に返る。
「い、いや、どういうこと?」
「つまり、この写真の元になるデータをあたしが持っているということです。わかりますか?」
柚子はいまだに微笑を浮かべたままだった。
ひかりは薄気味わるくなってきた。
「もしかして、君、本当にぼくたちを脅すつもり? それがどういうことなのか、わかっている? ぼくが何者かわかってるよね? これくらいの映像で、まさかぼくや西園寺家が動じると思ってる?」
ひかりは柚子に対して唖然となった。
「もちろん、そんなこと思ってません……。ただ、あたしの希望は、あのときに口にしたとおりです。SS研には入りたいんです……。部長様に話を通していただけますか? それとも、絹香お姉さまに」
「絹香お姉さま?」
「ふふふ、だから、あたしは全て知っているって言ってるじゃないですか……。ところで、金城様って、エムですか? 調教されてるんですか? 射精管理ですか?」
「射精管理?」
なんだ、それ?
ひかりは内心で首を傾げた。
「だって、絹香さんに調教されてるんですよね。あたしはなんでも知ってるんです。多分、部長に坂本さんがついたのも、絹香お姉さまがやっていることを隠すためですか?」
柚子がまたくすくすと笑った。
射精管理って……。
なんとなくだが、猥褻な意味……?
言葉の響きからすればそうなのだろうが……。
また、いまの物言いだと、もしかして、SS研で主導権を握っているのが絹香だと思っているのか?
いや、それは絹香が双子をいたぶっている映像を見つけたためか……。
それに、普通に考えれば、孤児だということが浸透している真夫が絹香やひかりを支配しているとは思わないか……。
「ところで、さっきの話ですけど、金城様って、ドエムなんですね。ちょっと意外でした」
そして、すっと視線をひかりのズボンの股間に落としてきた。
はっとした。
いまこの瞬間も、ひかりに装着されている革の下着は、ひかりの秘所を締めあげ、小ペニスを圧迫するとともに、花芯とアナルに埋め込まれていたディルドで妖しい感触を与え続けている。その股間を見透かすような視線だ。
慌てて、開いて座っていた脚を密着させて、両手で股間を隠すように置いた。
すると、向かい側の柚子がくすくすと笑った。
ひかりは自分の顔が真っ赤になるのがわかった。
「そ、そんなことはいいだろう──。それよりも、この映像をどうやって入手したんだ? 協力者がいるのか?」
ひかりは言った。
それが肝心な点だ。
「協力者? そんなものはいません。そんな人がいたら、絹香お姉さまに本当に迷惑がかかるじゃないですか。あたしの望みは、お姉さまに調教してもらうことですから?」
「絹香に調教?」
「そうです──。ところで、さっきの話ですけど、学園のデータバンクに侵入して、データを抜き取ったのはあたしです……。そんなものがあるなんて驚きましたけどね……。あたしは読書が趣味ですけど、本当に得意なのはハッカーです。趣味でよく、あちこちのネットワークに侵入したりするんですよ……」
「君が? まさか──」
「本当です。なにしろ、あたし、天才なんです」
「天才って……」
自分で言い切るのもすごいが、柚子には一辺の照れた様子もない。
相当に自信を持っている感じだ。
「……真実です。例えば、こんなこともできますよ……」
柚子が鞄からまた鞄からなにかを出した。
今度は、まるでテレビのリモコンのカバーを外して、中身を剥き出しにしたようなものだった。それに電卓のようなものが線で繋いである。
そこにあるのは、基盤というやつだろう。
ひかりは、そんなにコンピューターの知識はないが、自作の電子機器のように思えた。
「金城様のことはずっと見張ってました……。外部信号で操作のできる淫具をずっと装着させられてますよね……。これは、その信号を読み取って、解析して乗っ取ることができるようにしたものです。スキミングです」
「スキミング?」
なにを言っているのかわからなかった。
だが、柚子がその基盤を操作して、ひかりは衝撃を受けて、椅子から転げ落ちそうになった。
突然に、股間の淫具が激しく振動を開始したのである。
「ひああっ、うわっ」
痒みに苛まれている股間が刺激される瞬間の気持ちよさは言葉にならない。
ひかりは、椅子の上でがくがくと身体を震わせてしまった。
「さあ、あたしをSS研に連れて行ってください。あとは、絹香お姉さまと坂本先輩に頼みます。金城様にして欲しいのは、あたしをお姉さまたちに紹介してもらうことだけです」
柚子が振動を入れっぱなしにしながら、ひかりに言った。