「いやっ、あっ、ああ……」
真夫の指が柚子のお尻の中をゆっくりとうごめいている。
お尻の中に感じる真夫の指の感触に、柚子は思わず悲鳴をあげてしまった。
かっと熱くなるような異様な感覚とともに、ねちゃねちゃという粘性質なものを思わせる音がお尻で鳴っている。
柚子は跪いたまま、両手首の手枷に繋がっている鎖を強く握りしめた。
とにかく、真夫の指がこんなに簡単に柚子のお尻に入ってしまうのは、やはり、潤滑油となるようなクリームを使っているのだろう。
しかし、それだけではないと思う。
真夫の指が触れた場所が瞬時に熱くなるだけでなく、びりびりとなるような得体の知れない疼きが吹きあがってくるのである。そして、力が抜ける。
柚子は経験はないが、おそらく、これは媚薬というものではないのだろうか。真夫はさっきから柚子のお尻の中に媚薬を塗布している気配だ。
柚子の肛門の中で肉層が押し広げられ、襞のひとつひとつに擦りつけるように、おぞましそうなクリームが塗りつけられていく。
「あっ、ああっ」
我に返った柚子は、慌てて腰をよじって、真夫の指からお尻を逃れさせようとした。
「自分で露出遊戯をするような淫乱一年生だが、お尻で自慰をしたことはないみたいだね。まあ、俺たちに挑戦状を送るようなことをしたんだ。そのご褒美に、二度と忘れられないようなお仕置きをしてあげるよ」
真夫が柚子の後ろでくすくすと笑う。
そのあいだも、柚子のお尻の奥側で動く真夫の指は、新たなクリームを足しながら幾度も侵入しては、お尻の穴を拡げるように外側に向かって押し入ってくる。
そして、やはり真夫が塗っているクリームは媚薬であることに間違いなかった。
すでに、お尻の中はじわじわと快感を呼び起こしていて、息が苦しくなるような官能の炎を噴き出させている。
「即効性だ。すぐに我慢できなくなる。ただし、昼休みまでは我慢してもらう。午前中の授業が終わったら、SS研の部室に顔を出すことを許してやろう」
真夫がやっと指を抜いてくれた。
だが、即効性──?
柚子は怪訝に思った。
しかし、すぐにその理由はわかった。
真夫が指を抜いてお尻の刺激がなくなると、急に猛烈な痒さが襲い掛かってきたのだ。
「ああっ、な、なんですか──。痒いです──」
我慢できるような痒さではなかった。
柚子はお尻を振り、また、顔を右に左にと振って、唇を噛みしめた。
「あらあら、効き始めたようね。さすがは、SS研名物の必殺の真夫様の掻痒剤ね。あるいは令嬢殺し……。ふふふ」
「令嬢殺しって、なによ、梓?」
「絹香お嬢様のようなご令嬢を調教するのに丁度いいものということですよ」
「なによそれ……」
梓と絹香だ。
暴れている柚子を前側から見守るように並んで立っている。
だが、柚子はそれどころではない。
とにかく、痒い──。
歯を喰いしばり、身体を振ってもだめだ。
経雄烈な痒みにより、噛みしめている歯がかちかちと鳴る。その口のあいだから喘ぎ声が漏れ出て、自然と腰がうねる。
「いずれにしても、今夜のお嬢様への調教も、この必殺のクリームを使いますからね。渚もよ。ふたりして、エッチに股をお擦り合いたくなるまで放置責めしてあげるわね」
「な、なに言ってんのよ、梓──」
「そ、そうよ──。そもそも、どうして、あたなが全部決めてしまうの──?」
「逆らってもいいですよ。逆らえないようにするだけですから」
梓が不適に笑ったのが聞こえてくる。双子侍女のひとりの梓の言葉に対する絹香ともうひとりの侍女の渚が抗議の声もだ。
顔をあげると、梓は満面の笑みを浮かべていて、絹香と渚は真っ赤な顔になっていた。ずっと大人しかった渚はともかく、雇い主側であり、さっきまで柚子を容赦なく鞭打った絹香は、やはりいじめられる側でもあるらしい。
ちょっと不思議な感じだ。
だが、それ以上の思念はできない。
お尻の中が火になる。
猛烈な痒みを伴なう快感の火が柚子に襲い掛かる。
「ああっ、痒いいい──。こ、これは無理です。お許しを──」
柚子は絶叫した。
「こらっ、声が大きい。そろそろ、早い者はそろそろ教室に入ってくるぞ。そんな大声をあげてたら、何事かと見に来るかもしれない」
真夫だ。
はっとした。
壁の時計を見る。
すでに七時を回っている。
確かに、そんな時間でもある。
「ああっ……。で、でも、こ、こんなの我慢できません──」
柚子は必死に声を押し殺しながら、首を背後に回して真夫に訴えた。
「確かに、さすがに、このまま昼休みまで我慢するのは無理ではあるだろうね。だから、これを入れてあげるよ。抜くことはできないけど、揺するなり、締めつけるなりして、なんとか我慢するんだ」
すると、再びアナルの中になにかが挿入されてきた。
指ではない。
なにか棒状のものだ。
お尻の穴を深く串刺しされる感覚が襲う。
だが、痛みはない。
むしろ、気持ちいい。
柚子は気がつくと歓喜の声をあげていた。
「痒みだけでなく、痛覚も感じにくくする媚薬だから快感が大きいのは当然だけど、かなり気持ちいいみたいだね。初めて淫具でアナルを貫かれるだろうから、せめてもの処置だったが、それだけよがるのだったら、アナルの素質があるのかもな。さっきも言ったけど、折角の淫具だ。午前中の授業いっぱい愉しむといい」
真夫がさらに後ろ側から、柚子の股間に小さな革の下着を装着する。
腰の後ろで金属音がして、電子ロックのようなものがかかったのがわかった。
視線を腰に向ける。
革の下着は完全に腰に密着していて、ワイヤーを思わせる固いもので縁が作られているようだ。
一見する限り、指を入れる隙間もない。
ただ、柚子の視界に入っている股間の前側は網状になっていて、指は入らないが液状のものは放出できる構造になっていた。
ぴったりと股間に密着しているので、すでに柚子の股間からあふれている愛液が格子状の網に絡み始めている。
「網の目は細かいから指で触ることはできないけど、尿くらいは放出できるようになっている。どうしても我慢できないときには、そのままするといい」
真夫の手が離れた。
その瞬間、全ての拘束具が一度に外れた。
柚子はずっと股の下にあった制服の上に崩れ落ちた。
「ああっ、いやあっ」
柚子は蹲ったまま股間を両手で抑えた。
猛烈な尿意がずっとそのままなのだ。
しかし、やはり放尿できない。
尿意はあるのに、それを外に出すことができないのだ。
柚子はもがき悶えた。
そのとき、カチカチカチというメトロノームの音が耳に入ってきた。
すると、なぜか瞬時に身体が硬直してしまった。
「えっ」
咄嗟に耳を押さえようとした。
だが、身体は動かない。
音は少し前に耳に入れられたワイヤレスのイヤホンから聞こえてきていた。その音が耳に流れた瞬間、柚子はなぜか身体が硬直してしまったのだ。
「その音を聞くと、抵抗できなくなる暗示をかけている。音とともにかけられた言葉に逆らえない暗示もね……。じゃあ、あとは、この教室で自由に過ごしてくれ。ただし、勝手に教室の外に出てはだめだ。許可するときには、そのイヤホンから暗示をかけ直す。だから、イヤホンは入れっぱなしにしておくんだ」
真夫が頭の上から声をかけてきた。
その言葉のあいだ、ずっと耳からカチカチという音が続いていた。
そして、音が消える。
金縛りのような硬直が消滅した。
そのときには、真夫とともに絹香たちが教室の外に出ていくところだった。
「ま、待ってください──」
慌てて追いかけようとした。
お尻が狂いそうに痒いし、なぜか放尿が堰き止められているおかしな暗示を解いて欲しい。
だが、数歩廊下に近づいたとき、外に複数の生徒の気配を感じた。
まだ朝のホームルームの始まるまでに小一時間あるが、当番の生徒や、授業の予習や課題を早朝の教室ですませようとする生徒もいる。
それらの生徒たちが教室に現れても不自然ではない時間になっていることに気がついた。
「ひあっ」
慌てて床に置かれていた制服に飛びつく。
「灰色?」
思わず呟く。
そこにあったのは、灰色のブレザー制服だった。この学園では生徒ランクにより制服が異なっていて、灰色は最下級ランクの従者生徒用の制服だ。
しかし、柚子はAランクだ。
この色ではない。
だが、迷っている余裕はない。
とりあえず、身に着ける。
汗を拭く布さえなく、あったのは上下の制服とブラウス。そして、靴だ。ほかにはなにもない。上下の下着はもちろん、靴下さえない。
しかも、ずっと柚子の股間の下に置かれていたため、ところどころが柚子の体液で濡れている。
尻もちをついた部分は汗でべっとりだ。
それでも、全裸でいるわけにはいかないので、汗まみれの裸身にそのまま身に着ける。
当然ながら、身に着け終わったときには、真夫たちの姿は完全にいなくなってしまっていた。
また、ずっと柚子を拘束していた天井から伸びていた鎖も、なにもなかったかのように天井の中に消えてしまっていた。
「うう……」
よろけながら扉に向かう。
真夫たちは、意地悪にも完全に扉を解放したまま出ていったのだ。
「あれっ?」
しかし、扉に到着したところで、柚子は思わず声をあげてしまった。
扉から廊下に出ようとした瞬間に、身体が動かなくなってしまったのだ。
そして、真夫が最後に、メトロノームの音を聞かせながら、教室の外から出れないという暗示をかけたのを思い出した。
もしかして、もう一度、暗示をかけ直してもらわないと、教室の外にも出られないのか?
愕然とした。
その瞬間だった。
またもや、片耳に入れているワイヤレスイヤホンからカチカチという音が流れ出した。
そして、女の子の声……。
さっきまで一緒だった梓の声だ。
『やっはう、ペットちゃん──。伝え忘れていたけど、あんた、きょうからひかりちゃんの従者生徒になったから──。それと、ひとつだけ暗示を解いておくわね。封印していた尿道口を解放するわ。いまから先は自力で我慢するのよ。じゃあねえ』
「ひいいいいっ──」
柚子は股間を押さえてしゃがみ込んでしまった。
堰き止められていた尿意が解放されて、それがまさに放出するのを感じたのだ。
辛うじて失禁を耐えられたのは、奇跡のようなものだった。
だが、崩壊寸前だ、
「わっ、どうしたの、ゆっちゃん──」
「うわっ、なに?」
その直後、扉からクラスメートの女子生徒がふたり入ってきたのだ。
扉の前でしゃがみ込んでいる柚子に接して、ふたりが驚いたような声をあげた。