柚子は恥じらいに真っ赤になった顔を俯かせて、貞操帯が喰い込んでいるだけの下半身を露出したまま、玲子の歩みを追いかけて四つん這いで進み続ける。
授業を続けている教室の横の廊下をこんな破廉恥な姿で四つん這いで歩くなど、とてもじゃないが現実のものとは思えなかった。
それでいて、夜中に自慰代わりにやっている露出歩きのひとり遊びでは味わえない興奮を柚子は感じてしまっている。
なんという恥ずかしさ──。
そして、なんという興奮……。
柚子は震えるほどの快感を覚えながら、膝を立てて玲子の後ろを四つん這いで進む。
とにかく、これが催眠術というものなのか、柚子の身体はなぜか、柚子の意思に切り離されて、勝手に動き続けている。
いまは、二階の教場が並ぶ廊下を進み終え、一階にくだる階段をおりているところだ。
「はあ、はあ、はあ……」
柚子は剥き出しの腰を左右に振るようにしながら、だんだんと荒くなる息を切らせながら階段を這いおりている。
玲子に「四つん這いで付いて来い」という命令を与えられていて、柚子の身体は勝手に玲子の後を余つん場で追いかけているのだ。
とにかく、自分の身体が自分の意思と離されて勝手に動かされるなど、恐怖でしかない。
「あっ、ふくっ……。はあ、はあ……」
また、貞操帯に包まれているアナルに塗りつけられている掻痒剤は、苛酷なまでの苦悶を柚子に与え続ている。
とにかく、狂う程にお尻の中が痒かった。
もしも、暗示の力で四つん這い歩きを強要されていなかったら、どんな脅しを掛けられていようと、柚子はこの場で貞操帯を掴んで荒々しく揺さぶり、少しでも刺激を得ようと必死にアナルに挿入されているディルドを動かし続けただろう。
すっかりと、柚子は追い詰められていた。
「こら、少しは声を抑えなさい。まだ授業中なのよ」
二階から一階に進み終わったところで、玲子が立ちどまって振り返った。
その顔には苦笑が浮かんでいる。
「で、でも、か、痒いんです」
柚子は訴えた。
教場棟の一階は、学科別の教場が立ち並ぶ場所だ。少し離れた場所から音楽の授業をしている音が聞こえる以外は、二階に比べれば人気も感じない。
ただし、階段から降りたところは、外に出入りする扉の前であり、その扉が解放されていたので、柚子は外から見えない陰に身体を隠れさせている。
そして、羞恥も耐えがたいものがあるのだが、それを遥かに越えて、なによりもお尻の痒みが耐えがたかった。
動いているあいだは、アナルに挿入されているディルドがずり動いて、ほんの少しは痒みを癒してくれたが、こうやって止まると、それもなくなり、一気に痒みが襲い掛かってくる。
いまも数瞬ごとに、痒みが倍増する感じさえある。
「そうでしょうね」
玲子は手に握っているスマホを画面を見ずに、片手で操作する。
その直後、ディルドがアナルの中で激しく動き出した。
「ひんっ」
柚子はその場で身体を四つん這いのまま背中をのけ反らせてしまった。
また、慌てて片手で口を塞ぐ。
淫らな声が口から迸りそうになったのだ。
快感も一気に飛翔し、絶頂を極めそうになる。アナルへの刺激で達するなど信じられないことであるが、限界を越えたアナルの痒みがディルドの激しい振動によって一瞬にして癒えるのは、快感以外の何物でもなかった。
「んんんっ」
柚子は口を押さえたまま、ぶるぶると身体を震わせた。
脳天を貫くほどの気持ちよさが貫く。
しかし、まさに絶頂の寸前でディルドはぴたりと振動をやめてしまった。
すると、再びアナルの痒みがぶり返してくる。
「ああっ、もういやです──」
柚子は泣き声をあげた。
「いらっしゃい」
玲子が再び歩き出す、
特別教場の横を突っ切るようにして、今度は一階の廊下を進んでいく。
柚子は、翻弄されているアナル責めと恥ずかしい格好で露出歩きをさせられる羞恥に撃ち抜かれたような気持ちになりながら、ふらつく手足を進ませ続けた。
やがて、教場棟から渡り廊下を通って、職員室や生徒会室などのある棟に進む。
こっちの棟は、授業時程とは関係なく、普通に廊下に出てくる者が多い気がする。
緊張感が一気に駆け上がる。
「あっ、玲子さん、だ、誰か来ます……」
そして、柚子は廊下の先から人の歩く物音が聞こえだしたことに気がついた。
まだ遠いが、確実にこっちに向かってくる。
しかし、玲子は立ちどまらないし、身を隠すようなこともしない。玲子の行動に縛られている柚子の身体は、それに応じて、諾々と玲子の後ろを四つん這いで進み続ける。
そして、遠目だった人影がはっきりと視認できる位置までやってきた。
普段とは違う視界なので、腰から下までしか確認できなかったが、ひとりの女生徒だ。
騒ぐ様子もなく、こっちに歩いてきて、玲子の前でとまる。
「どうしたんだ、これは?」
その女生徒が玲子に向かって言った。
「真夫様の指示で新人の調教よ」
「ふうん」
その女生徒はこともなさげだ。
誰だ──?
顔をあげて、柚子を覗き込むようにしてきた彼女を見上げる。
はっとした。
柚子は彼女を知っていた。
世良
特待生待遇でA級ランク生徒に属する二年生の女生徒だ。変わり者で有名だが、高校生離れした美術の腕を持ち、全国的なコンクールの常連だ。
会話をしたことはないが、柚子も顔くらいは知っている。
いずれにしても、こんな格好を見られることで、柚子は完全に怯んでしまった。
露出遊びは自らするが、だからといって、実際に破廉恥な姿を見られることがどうでもよくなるわけではない。
「身体は幼い感じだが……。うーん……。エロイな……。クピードみたいだ……。なかなかいい……。そのうち描かせてもらう……。あたしは世良七生だ。真夫の奴婢のひとりだ」
七生が柚子に話しかけた。
抑揚のない淡々とした口調だが、蔑んだり、小馬鹿にする感じではない。
しかし、真夫の奴婢のひとり?
柚子は驚いた。
「ところで、こんなところでなにをしているの? 授業中の時間じゃないの?」
玲子が七生に声を掛けた。
「単位は足りている授業だ。早朝から作品を作ってたけど、途中で中断したくなくてな」
「仮にも、わたしは理事長代理よ、堂々と授業をさぼった申告するんじゃないわ」
玲子だ。
半分面白がっている口調だ。
随分と気安い感じである。
「わかった。二時限目以降からはちゃんと出席する」
「まあいいわ。行きなさい」
「わかった……。じゃあな、新人」
七生が立ち去り、玲子が再び進みだす。
柚子はそれを追っていく。
それからは誰にもすれ違うことなく、ひとつの部屋の前に到着した。
『理事長室』──。
そこにはそう書いてあった。
「入りなさい。わたしの命令はここまでよ」
玲子が理事長室に入る扉を開け放った。
どうやら、玲子自身は一緒にはやって来ない気配だ。
柚子が四つん這いのままソファーの並ぶ大きな部屋に入ると、ばたんと扉が閉じられた。
ひとりきりになったところで、柚子は身体の自由が戻った気配を感じて、二本足で立ちあがる。
どうやら、さっきの玲子の言葉で暗示からは解放されたみたいだ。
柚子は、とにかく片手でソファの背もたれで身体を支させて上体を倒すと、もう一方の手で貞操帯の上からアナルを押して、激しく押し揉むようにディルドを貞操帯ごと揺らす。
「あああっ」
柚子は声をあげた。
ずっと我慢していた掻痒感が少しだけ癒える。
まだ十分とはいえないが、それでも気持ちいい──。
ソファを持っていた手を離して、胸の膨らみを制服の上から掴む。
ぎゅっと握りしめる。
「くうっ」
アナルとともに胸を強く動かすとt、痛烈なまでの快美観が襲い掛かった。
「あくっ、ああっ」
がくりと膝を折った柚子はまたもや声をあげた。
むさぼるように貞操帯を動かし、胸を揉む。
気持ちいい……。
でも、足りない──。
柚子は泣きそうになりながらも、今度は胸ではなく、貞操帯の前側に手を当てた。
貞操帯の前後に触れている手を思い切り強く動かす。
「くうう……」
だめだ──。
これじゃあ足りないのだ──。
まだまだ痒い──。
股間が疼く──。
性感はどんとんと拡大していくが、刺激すればするほどに、狂おしい焦燥感が激しくなる心地になる。
この貞操帯が邪魔をしているのだ──。
網状になっている股間からはどろどろの愛液が染み出ているが、それがカバーするようにして、股間に指が触れさせてもらえない。
このままじゃあ、狂ってしまう──。
お尻も痒みもどんどんと拡大する。
『ははは、柚子のオナニーを見物するのも愉しいけど、そのままじゃあ、埒も開かないだろう。そろそろ許してやるから、奥に来るんだ』
そのとき、ずっと耳にしていたワイヤレスのイヤホンから突然に声がした。
今度は男の声だ。
柚子ははっとした。
「坂本先輩ですか──?」
我に返って貞操帯から両手を離す。
イヤホンから聞こえたのは、早朝の教場で最後に現れた坂本真夫の声だった。
そして、柚子はこの理事長室の最奥に、隣室に繋がる扉があることに気がついた。しかも、開いている。
柚子はそこに進み入った。
人がひとり通れるくらいの狭い通路がある。
その奥に扉があった。
ドアノブに手を掛ける。
鍵はかかってない。
柚子は扉を開いた。
「あっ」
思わず声をあげた。
そこにいたのは真夫だった。
ほかには誰もいない。
だが、驚いたのは、その部屋の光景だ。
窓のない隠し部屋のような場所だったが、そこには真夫が腰かけている椅子を包むように電子器具の様々な操作具が並んでいて、片側の面には数十個の小さなモニターがあった。
どうやら、映っているのはこの学園のあちこちに仕掛けられている監視カメラの映像のようだ。
授業中のものもあれば、誰もいない学園内の野外の映像もある。
モニターのある壁に迫るテーブルには学園内の地図があり、数字と記号が地図上に表記されていた。見る限り、簡単な操作により、モニターに映る映像を切り替えられる気配だ。
真夫はそのモニターに半身を向けるようにしていたが、柚子が入ってくると、椅子を回転させて真っ直ぐに柚子に身体を向けた。
真夫の前には壁の小さめのモニター群とは別に、アームの繋がっているやや大きめのモニターがあった。真夫はその画面を柚子に見せるようにした。
「あっ、それ……」
柚子は思わず声をあげた。
そこには、さっきまで柚子が自慰もどきをしていた隣室の理事長室が映っている。また、よく見ると、小さなモニターには柚子が四つん這いで歩いてきた廊下を映しているものもあった。
また、柚子の教室もあった。柚子が失禁をして汚した場所は空席になっていて、すでに授業が再開をしている。
もしかして、ずっとここで柚子を監視していたのだろうか。
「昼休みまで我慢させるつもりだったけど、ちょっと可哀想になってきたから、チャンスをあげようと思ってね。その貞操帯を外して欲しいかい?」
すると、真夫が微笑を浮かべて訊ねてきた。
柚子ははっとした。
「ああ、外してください──。お、お尻が痒くて死にそうなんです──。お願いします」
柚子は叫んで真夫に詰め寄った。
「そうだろうね。その掻痒剤は特別な成分でできていて、実のところ、俺の精液を注がれないと、いつまでも痒みはなくならないことになっているんだ。つまりは、俺にアナルを犯されないと、痒みが消えないということさ」
真夫がにんまりと口角をあげた。
もうどうでもいい。
覚悟はできている。
なによりも、この痒みが消えるなら、なにをされてもいい──。
「だ、だったら、犯してください──。もう死にそうなんです」
柚子は訴えた。
こうしているあいだも、狂うような痒みは続いているのだ。
柚子はがちがちと歯を鳴らした。
「わかった。アナルを犯してやろう──。ただし、条件がある」
すると真夫が言った。
「じょ、条件って……」
「この場で俺の一物を口で奉仕して、俺の精を出させるんだ。そして、その精を一滴残らず飲みきったら、ご褒美にアナルを犯してあげるよ。もっとも、次の授業からはちゃんと参加してもらう。チャンスはいまの一時間目が終わるまでだ。残り十五分というところかな」
真夫が椅子に座ったまま大きく脚を開いた。
柚子は絶句してしまった。