※この作品はR-18です。

淫魔王のいる学園【完結】   作:ドン・ドナシアン

145 / 201
145話 鬼畜な所業

「ええ?」

 

 京子は唖然としてしまった。

 目の前の柚子(ゆずこ)が自ら制服のスカートの前をまくりあげたのだが、そこに存在したのは黒い革製のTバッグのようなベルトだったのだ。

 処女で性知識に乏しい京子ではあるが、まだ幼ささえ残る一年生の女生徒の股間に嵌められているのがただの下着でないのはすぐにわかった。

 

 もしかして、淫具?

 京子は頭の中に「貞操帯」という言葉を浮かべてしまった。

 

「そ、それは……?」

 

 京子は柚子の股間から眼を離せないまま訊ねた。

 

「……SS研に逆らった罰として装着されました。内側にディルドがあって、挿入させられてます。遠隔で動くようになっています」

 

 柚子が淡々と言った。

 京子は愕然とした。

 

「な、なんで、そんなものを──。すぐに外しなさい──」

 

 京子は柚子の革の下着に思わず手を伸ばした。

 だが、腰を巻いている横帯の部分に触れたとき、想像以上に固く食い込んでいることを悟った。革帯の縁に金属線のようなものの存在も感じるし、指一本挿入できる感じじゃない。

 それは股間を包む縦の部分も同じだ。

 しっかりと股間に喰い込んでいる。

 また、なによりも唖然としたのは、革帯の隙間から染み出て柚子の内腿をびっしょりと濡らしている大量の愛液の存在だ。

 こんなものを女生徒に装着させて、性的に虐待するなど──。

 京子は血が沸騰するような怒りを覚えた。

 

「ちょ、ちょっとどうなっているのよ──。どうやって外すの?」

 

 京子は強引に力を加えて引き剥そうと試みた。

 

「だ、だめええ──。む、無理に外そうとしたら……。ひがあああっ──」

 

 すると、突然に柚子が股間を両手で抑え、悶絶するような声をあげながら、その場に崩れ落ちた。

 そのまま、絶叫して身体をがくがくと痙攣のような仕草を続ける。

 京子はなにが起きたがわからず、蹲った柚子を抱き抱えたまま狼狽えてしまった。

 

「しっかり、立花さん──。どうしたの──? どうしたの──?」

 

 とにかく、声を掛け続けるしかできない。

 やっと、全身を突っ張らせてもがいていた柚子が脱力したのは、時間にして三十秒くらい経ってからのことだと思う。

 床に横倒しに倒れ掛かった柚子を京子は慌てて抱きかかえる。

 ものすごい汗だ。

 しかも、全身が上気して真っ赤になっている。

 異常なことが起きたというのは明らかだ。

 

「な、なにが起こったの──。なにか──?」

 

「はあ、はあ、はあ……。む、無理に外そうとすると……ディ、ディルドに電流が……。そ、それに、これは外れません……。電子ロックがかかっていて、SS研の先輩方の誰かに解除してもらわないと外れない仕掛けになってるんです……」

 

 やっと身体を起こした柚子が息も絶え絶えに言った。

 京子は絶句した。

 

 なんということを……。

 ここにはいないSS研の連中たちへの憤怒が全身を席捲する。

 

「……SS研……。あの坂本真夫ね……。待ってなさい。すぐに呼び出すから……」

 

 京子は全教師に与えられている連絡用の携帯電話を取り出す。

 坂本真夫はS級生徒だ。この時間であれば、すでにS級生徒の専用寮にいるだろう。寮監を通じて呼び出しを……。

 

「む、無駄です。呼び出しても応じるわけないです。それどころか、逆らった罰として、あたしの写真がネットに暴露されることになっていて……」

 

 柚子が慌てたように、京子が握った携帯電話に手を伸ばす。

 

「写真……?」

 

 京子は柚子を見る。

 

「映像もです。だから、誰も逆らえないんです……。SS研の女たちは……」

 

「まさか、そんな脅迫を坂本真夫が?」

 

 唖然とするような暴挙だ。

 そもそも、そんなに面識はないが、孤児院出身の坂本真夫をいう生徒は、編入生ながらもなかなかに成績もよく、人当たりもいいし、そこそこ女生徒たちからも人気もあって、そんなことをするような性格とは思いもしなかった。

 学園の双璧と呼ばれている加賀豊、金城光太郎も認めたという噂であり、急に存在感を示すようになっているということも知っている。なによりも、あの金城光太郎はつい最近になって、坂本真夫が部長をしているSS研に入部した程だ。

 そのSS研で、そんなことをしていたのだ──。

 京子は、自分の想像以上の行為がそのSS研で隠れて行われているということを悟った。

 

「わかったわ……。でも、任せて。でも、場合によっては、警察を入れないとならないかもしれない……。それは容認して」

 

「や、やめてください──。そんなことしたら、あたしたち、恥ずかしくて、外に出られなくなります。あたしたち、奴婢は坂本先輩や玲子さんに恥ずかしい写真や映像を握られてるんです。あれを暴露されたら生きていけません──」

 

 柚子は涙目で京子に縋りつく。

 京子は歯噛みした。

 

 なら、どうするか……。

 いっそのこと、強引にその坂本真夫を追い詰めるか……。

 

「……じゃあ、その坂本君を呼び出すことはできるかしら? 彼に会わせなさい。あとはなんとかするから」

 

 京子は意を決した。

 生徒である坂本真夫には悪いが、彼のしていることを考えると、それはすでに一介の高校生の分を越えた犯罪だ。

 場合によっては、力に訴えてでも誤りを正さないとならない。

 

 ぐっと拳を握る。

 いまは高校教諭として、保険体育教師と陸上部顧問を務める京子だが、幼い頃から空手を学んでいて、これでも黒帯だ。

 高校生くらいまでは、男子との喧嘩も日常茶飯事であり、男子生徒数名くらいであれば、負けるとも思えない。

 とりあえず会って話し合い、話し合いに応じなければ、暴力に訴えてでも、柚子に装着させている貞操帯を解除させ、隠し持っている女生徒たちの破廉恥映像のデータを消去させる──。

 話はそれからだ──。

 

 その後、警察や教育委員会に介入を求めるかは状況に応じてとしよう……。

 あの理事長代理の工藤玲子や、あるいは、学園そのものが、なんからのかたちで坂本真夫のやっていることに関与しているのだとすれば、直接に部外機関に訴えることも必要か……。

 京子は素早く頭を巡らせる。

 

「先生、言っておきますけど、その携帯電話だけでなく、この私物の携帯でも、この学園内からどこかに通信をすれば、電話でもメールでも防諜されてますから……。すぐに対処されてしまいます」

 

 柚子が真剣な表情で言った。

 学園の隠しデータバンクに入る込んで、不正にデータにアクセスするほどのハッカーだ。

 おそらく、柚子の忠告は正鵠を射ているのだろう。

 

「わかった。外に対して動くのであれば、学園の敷地外に出てからということね……。任せて。動くとしても、まずは彼の握っているあなたの映像を消去させるわ。その馬鹿げた淫具もね……。だから、任せなさい。あたしを信じて──。あなたを助ける」

 

 京子はしっかりと言った。

 

「先生を信じます……。お願い……。助けて……」

 

 柚子が眼に涙を浮かべたまま言った。

 京子は大きく頷いた。

 

「じゃあ、知っていることを話して。坂本真夫に従っているのは誰? 協力者は誰で、誰があなたのような被害者なの? わかる範囲でいいわ」

 

 京子は言った。

 

「あたしも、そんなに知っているわけじゃ……。でも、坂本先輩に無条件に従っているのは、理事長代理の工藤さんです。あとは、脅迫されて従わさせられているだけです。金城先輩……、西園寺先輩……、白岡先輩、前田明日香先輩……、世良七生先輩……。みんな脅迫されて従わされてるんです」

 

「西園寺さんだけでなく、前田さん? 女子サッカー部の? それに世良さんって、美術コンテストの入賞で有名な?」

 

 想像以上の犠牲者の拡がりだ。

 京子は思わず息をのんだ。

 

「はい……。先生、先輩たちを助けてあげてください」

 

 柚子が訴えた。

 

「任せなさい。じゃあ、呼び出しをしてみて……。あたしのことは、伏せておいてね。待ち合わせ場所には、先生だけで行くから、とりあえず、連絡をしたらあなたは自室にいなさい」

 

「なにをするんですか? もしかして、呼び出しで坂本先輩を捕えるとかしようとするなら、あたしもいかないと無理です。装着されている貞操帯には、居場所を向こうに知らせる発信具がついてるんです。呼び出しの場所にあたしがいなければ、坂本先輩は警戒すると思います。とにかく、坂本先輩には、あの工藤玲子さんがついてるんです」

 

「でも……」

 

「先生がなにをしようとしているかは、はっきりとはわかりませんが一緒に行きます。そうでなければ、坂本先輩は会ってくれないと思います。とても用心深いんです。そして、もしかして、強引な手段で助けてくれようとなさっているのであれば、あの工藤玲子さんはとても強いです。おそらく、先生でも歯が立たないかも」

 

「心配ないわ……。それに、先生も強いわ。とにかく、今夜中になんとかしてあげる。とりあえず、そんな馬鹿げた装着具は絶対に外させるから」

 

「わ、わかりました……。じゃあ、坂本先輩に連絡します」

 

 柚子が持ってきていた荷物の中からスマホを取り出し、さらにワイヤレスのイヤホンを片側だけ渡してきた。

 京子はイヤホンを片耳に挿入すると、柚子がスマホを操作しはじめる。

 イヤホンから電子音が流れ出す。

 

「あっ、あ、あたしです……。柚子です……。ペ、ペットの柚子です……」

 

 相手に通話が繋がると柚子が話し始める。

 ペット──?

 そんなことを強要しているのか……。

 改めて、彼らに対する怒りが込みあがる。

 

『ああ、どうした?』

 

 笑うような口調だ。

 男子生徒である。

 坂本真夫の声だろうか……。

 

「あ、あの……。や、やっぱり、朝まで我慢するのは無理で……。一度外して、おしっこをさせていただけないでしょうか……」

 

 おしっこ?

 京子は怪訝に思ったが、もしかして、あの貞操帯を装着されると放尿も満足にできないのか?

 そして、それを我慢させている?

 確かにあの股間への密着度であれば、どこかに放尿用の穴でもなければ、放尿も難しいのかもしれない。

 もちろん、大便は不可能だろう。

 そんなものを装着して外せないようにしているとは……。

 京子は、彼の鬼畜度にかっと頭に血が昇った。

 そういえば、目の前の柚子は、今日の午前中の授業中にほかの生徒の前で失禁するという醜態を晒している。

 それもまた、やはり、彼の仕業なのか……。

 

『我慢できないのか?』

 

「む、無理です。お願いします」

 

『まあ、仕方ないか。最初の晩だからな。特別に許可してやろう。いまから、SS研の部室に来るんだ。そこでさせてやる。ただし、朝まで我慢できなかったペナルティはあるぞ。いいな』

 

「は、はい……。ありがとうございます……。すぐに向かいます。でも、SS研ですか? 先輩はまだ、そこに?」

 

『ああ、そうだ。まだ奴婢の調教中でね……。じゃあ、待っているぞ。ただし、三十分以内だ。走って来い。間に合わなければ、また明日も今日のように授業中に恥ずかしい目に遭うことになる。逆らうことができると思うなよ。じゃあ、待っているぞ』

 

「あっ、待ってください。そこにどなたが? 工藤様とかおられますか?」

 

『玲子さんか? いや、いないね。かおりちゃんとひかりちゃんがいる。三人だ。柚子が来れば四人になる』

 

「わ、わかりました。すぐに行きます。ありがとうございます」

 

 電話が切れる。

 京子の耳のイヤホンから通話終了の音が流れる。

 

「立花さん、大丈夫ね。後は任せて」

 

 京子は声をかけた。

 

「は、はい……。坂本先輩は、まだSS研の部室だそうです。玲子さんはいなくて……。そして、やはり、あたしも行かないと。あそこは、部員でなければ入れない仕掛けがあるんです……。ひあああっ」

 

 柚子が突然に悲鳴をあげてまたその場に突っ伏した。

 

「どうしたの──?」

 

「こ、股間のディ、ディルドが動き出して──、あ、あああっ」

 

 柚子が股間を押さえて悶えだした。

 またもや、唖然とした。

 まさか、この状態で三十分以内に彼女にSS研のある文化部棟まで駆けて来いと命令したのか?

 

 なんということを──。

 

 京子は柚子を抱きかかえながら、坂本真夫という男子生徒の鬼畜な凌辱に呆然なってしまった。





 *

 執筆時間が確保できなくて、なかなか話が進展できない……。次話は真夫と京子の対決(?)の予定……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。