「ひいっ、ああっ、んんんっ……」
真夫の操るふたつの鳥の羽根が先端についたバイブが全身を這いまわる。そして、そのたびにびくんびくんと腰が跳ねた。
「ほら、もっと我慢しないと……、先生。あっという間に連続で達して、俺に犯されることになりますよ」
「うぐうっ」
漏らしそうになる甘い声を、京子は必死に顔を横に振ることで逸らし、懸命に唇を結んで声を噛み殺す。
すると、真夫が持つふたつの羽根が同時に乳首を襲った。
「んあああっ、あああっ」
衝撃が襲った。
柔らかい羽根が高速で乳首を動いて、皮膚をかすめるようにくすぐっていく。
その微妙な刺激が溜まらない・
「ひああっ、ああああっ」
異常なまでに敏感になっている乳首を責められて、京子の快感は一気に飛翔する。
全身の力が吸い取られて、胸だけでなく腰もがくがくと震えた。
「ああっ、ひ、卑怯よ──。こ、こんなこと卑怯よ──。いやあああっ、あああっ」
京子は四肢の拘束を引き千切らんばかりによじりたてながら声をあげていた。
灼けただれるほどの快感が膨れあがり、喜悦の大波が襲い掛かる。
とてもじゃないが我慢できるようなものではない。
京子はこれほどまでに簡単に快感に溺れてしまう自分の身体が信じられないでいた。
とにかく、耐えなければ──。
それだけを考えて、快感に逆らう。
「だめですよ、先生。拒絶の言葉は屈服とみなすと伝えたはずです。まあいいです。見逃しましょう。その代わり、これは罰です」
真夫が乳首から羽根バイブを離して横のトレイの上に置く。
いまにも頂点に達しかけていた快感のせり上がりがぎりぎりで留まる。ほっとするとともに、心を舐めつけるような焦燥感に包まれた。
とにかく、荒れた呼吸を整えようと、俯いて肩で息を続ける。
「うわっ、今度はなに──?」
京子ははっとして顔をあげた。
突然に視界がなくなったのだ。
そして、いつの間にか真夫が後ろに回っていた。
真夫に顔に目隠しをされたということに気が付いたのは、頭の後ろで電子的な施錠音が鳴ったときだ。
どんな目隠しをされたのかはわからないが、しっかりと眼の上を締めつけていて、おそらく施錠を解錠してもらわなければ絶対に外れないという感覚はある。
「先生が刺激に集中できるようにですよ。視界がなくなれば、ただでさえ感度をあげられている胸が十倍にも気持ちよくなれます。さあ、備えてください。胸を責めますからね」
京子の正面側に戻った気配の真夫が耳元でささやいた。
「ひっ」
だが、それだけで視界を失った京子には、耳の中に息を掛けられるだけでも身体を竦ませてしまうほどの強い刺激だ。
ぞくぞくという妖しい刺激に裸身を竦めてしまう。
「耳の弱い女はマゾ度が高いと言いますね。そろそろ、わかってきたんじゃないですか? 先生はマゾです。それを認めることです。それで気持ちが楽になりますよ」
「な、なにを言って……」
「ふふ、そして、正直に言えば、俺が先生がマゾでほっとしてます。俺の罪悪感が小さくなりますからね」
「ば、ばかなことを──」
かっとして、目隠しをされている顔をあげた。
その途端に、またもやさわさわと羽根バイブの刺激で両脇腹をくすぐられた。
「ひゃん──」
京子はあられもない声をあげて全身を跳ねさせた。
すぐに羽根は離れたが、ぞっとした。
視界を失わせられてのくすぐり責めの刺激は、確かに桁違いの衝撃だった。
この状態でもっと敏感な場所を責められれば、絶対におかしくなる。
京子は背中に冷たい汗が流れるのを感じた。
「ほら、いきますよ。もうすぐです。ほらほら」
真夫が揶揄うように声をかけてきた。
だが、真夫が操る羽根バイブは見た目の激しい動くとは裏腹に全く無音なのだ。
最初にも思ったが、それだけでかなりの高性能のものだという感じはあった。
すぐ前に、真夫がいるのはわかるのだが、羽根がどこに位置しているのか気配がわからない。
とにかく、胸に意識を集中して、襲い掛かるはずの羽根責めに備える。
「ひあああっ、ひ、卑怯──」
しかし、京子は腰を大きく跳ねあげて一気に悶絶しかけた。
真夫の羽根バイブが襲ったのは、まったく無防備になっていた股間だったのだ。しかも、クリトリスを羽根で激しく刺激される。
「んぐううっ、あああああっ」
「そして、ここだ。いまの先生には、乳房は剥き出しのクリトリスと同じですから効くでしょう?」
クリトリスとともに、剥く日にも羽根バイブが襲う。
またもや、股間と乳房への二箇所責めだ。
今度こそ、絶頂感を堰き止めることができずに、腰をがくがくと震わせて、そのまま達してしまった。
いくのを我慢しようと思っていたつもりの踏ん張りは、呆気ないほどに崩れ落ちて、逆にすさまじいほどの絶頂感を味わってしまった。
最初に乳房を遊びのように責められたときに加えて、二度目の絶頂だ。
「どうですか、先生? これがマゾの快感です。達したくないのに無理矢理に快感を極めさせられる……。しかも、拘束されて……。抵抗しても抵抗しても、無意味に恥辱を与えられるんです。無理矢理に……。自分の身体を他人に支配されるんです。先生に自由はありません。それが先生の快感を大きくしているんですよ」
真夫が 真夫が羽根を京子から離して、くすくすと笑う。
弓なりになっていた裸身は絶頂により硬直していたが、びくんびくんという愉悦の痙攣が去った後のふつふつとくすぶる快感の余韻はまだ京子から離れていかない。
京子は深い吐息とともに、がくりと身体を脱力させた。
だが、マゾの快感……?
拘束されていることが悦びを大きくしている……?
まさか、あり得ない……。
でも、京子は異常なほどに欲情を露わにしていることは確かだ。
自分がこんなに簡単に性的刺激に溺れてしまうことも信じられないし、確かに馬鹿みたいに身体が敏感になっていることは間違いない。
本当に、自分はマゾなのか……?
京子は愕然となりかけた。
「これで一回目ですが、胸を責めると口にして、クリトリスを責めたのでノーカウントにしましょう。残りはまだ三回です……。先生が処女を失うまでね。さあ、調教を続けましょう。屈服して犯されたくなったら言ってください。そのときには、カウントとは関係なく、犯して終わらせてあげます」
「い、いい加減にして……。あ、あなたに屈服するなんてありえない……。ましてや、あたしはマゾじゃない──」
「どうですかね……。おっ、お帰り」
そのとき、背後側から横開きに出入口が開くとともに、人が入ってくる気配がした。
はっとしたが、白岡かおりと立花柚子のふたりなのだろう。
「戻ったわよ。こいつ呆れるわ。戻ってくる途中でパソコン部の二年生に見られそうになったんだけど、そのとき、貞操帯したまま失禁して、おしっこを床にぶちまけたんだから。参ったわよ」
かおりだ。
耳を疑うような内容だが、口調は呆気らかんとした感じだ。
真夫が彼女たちの方向に移動していきながら、笑い声をあげるのが聞こえた。
「なるほど、そんな感じだな。びしょびしょだなあ。じゃあ、貞操帯は外してやろう。身体を洗って来い……。じゃあ、そのジュースの入った袋を受け取ろう。それにしても、口に咥えて持ってこさせたのか、かおりちゃん」
真夫が明るい口調で言っている。
口に咥えて運んだ?
「はあはあはあ……。ご、ごめんなさい、かおり先輩……。で、でも、興奮して我慢できなくて……。それと、おしっこだけじゃないです。興奮しすぎて、ちょっといっちゃいました。すごいスリルでした」
「なによ、このド変態──。ねえ、真夫、もうこいつの相手は嫌よ。露出責めをされてるのに、口では嫌がりながらも、顔は完全にいっちゃってんだから。逆に怖いわよ」
かおりは不満そうな口調だ。
「あんっ、そんなこと言わずに、これからも、よろしくお願いします」
柚子が媚びるように言った。
また、柚子の声は床に近い場所から聞こえるので、もしかして、四つん這いの姿勢のままなのだろうか。
「ははは……。まあ、かおりちゃんは、やっぱり責めるよりも、責められる方がいいんだろう。責め側は物足りなかったか?」
真夫が揶揄うように笑った。
「そ、そんなこと……。ま、まあ、否定はしないけど……。でもまあ、責める快感もわかってきたかも……。だけど、言っておくけど、責められることについても、わたしがマゾなのは、あんたにだけよ──。ほんっとに、今更捨てないでよね。ちゃんと愛人として囲ってよ」
「奴婢としてだろう。かおりちゃんは、俺の永遠の奴婢だよ」
「
かおりがきっぱりと言った。
それはともかく、京子は怪訝に思った。
いまの会話で感じるのは、かおりがこの坂本真夫に性的な支配を受けているというのは事実ではあるが、完全に強要されているわけではないということだ。
それどころか、完全な合意のもとであることを示唆している。
柚子が真夫に脅迫されているというのは、どうやら嘘だった感じもあるし、もしかして、真夫や女生徒たちの関係はまったくの合意のもとに成立している?
そもそも、あの白岡グループの令嬢の白岡かおりが、孤児院出身のはずの坂本真夫の愛人に大満足している?
でも、そんな感じなのだ。
「まあいい。それより、柚子だ。お前は身体を洗って来い。とりあえず、外してやろう」
三人がいるのは、京子の背中側だ。
気配だけしかわからないが、真夫がなにかを操作する物音がしたような気がした。
キンという金属音がして、柚子が甘えるような嬌声をあげる。
そして、ずぶずぶという水音とともに肉を擦るような音が耳に入ってきた。
「うわっ、お前、どれだけ、感じてるのよ──」
かおりが驚いたような声を出す。
「あんっ──。ぬ、抜けるのも、気持ちいいです……。でも、身体を洗ってきたら、またそれを嵌めてください。性奴隷って感じがして、装着されているだけで、ぞくぞくと堪らないんですうう」
柚子が甘えた声を出す。
「いいから、身体洗って来い、ド変態女──。その淫具も持っていって、洗ってくんのよ」
「はーい、かおり先輩」
柚子がどこかに立ち去っていった。
すると、今度は京子の周りに、残った真夫とかおりが戻る気配がした。
そして、いきなり、背中の真ん中をつっと指が上から下になぞりおろされる。
「ひいいいいっ」
京子は突然の刺激に、全身を引きつらせて悲鳴をあげてしまった。
「相変わらず、感度抜群の玩具ね……、真夫、前言撤回よ。責めるんなら、この伊達先生を責めさせてよ。先生を責めるって、なんか背徳感があって面白いかも。それに、この教師、真面目で有名だしね」
「真面目だけど、その分、隠れている内面は、責められればすぐに蕩けるマゾ先生だ。しかも、身体の感度は集まった女たちの中で一番かもね。乳房に細工したのを別にしても……」
「ふうん。ねえ、とにかく、わたしにも責めさせてよ」
「この部屋にある淫具をなんでも使っていい。だけど、痛いのはダメだ。この京子先生は快楽責めで堕とすと決めている」
「わかったわ。じゃあ、これを使おうっと」
かおりが横のトレイの箱からなにかをごそごそと探る気配がした。
「な、なにを勝手なことを言っているのです。あなたたちのしていることは犯罪です──。白岡さん、それをわかってるんですか?」
「一度達したら元気になりましたね。じゃあ、責め手を交代しますね。でも、条件は同じです。三度達したら、先生は処女を失います」
真夫が離れていく音がする。
その代わりに、かおりが前に立つ気配がした。
「三度? あと、何回なの?」
「まるまる三回だ」
「わかったわ……。じゃあ、行くわね、先生。覚悟はいい?」
かおりの言葉とともに、ぶーんという巨大なスズメバチの羽音のような唸りが耳に入ってきた。
なに──?
さっきは無音の羽根バイブだったが、今度は別の責め具の感じである。
すると、なにか球面を感じるものが股の下側から押しつけられた。
しかも、激しく振動している。
強いバイブレーションがドリルのように花芯とクリトリスに襲い掛かる。
「あひいいいいっ」
まるで電流でもながされたかのような衝撃だった。
京子は顔をのけぞらせ、絶叫のような嬌声を迸らせてしまった。