「あ、ああっ……はっ、はあ……ああっ、ああ……」
京子は、鉄格子に囲まれている
ジョギングよりも遅い程度であり、普段であれば、大したことでないのだが、いまの京子には苛酷な責め苦に違いなかった。
それは、京子に施された肉体への淫具による仕掛けと、閉じ込められている場所の状況による。
とにかく、朝からやらされていることであり、二十分走って、十分の休憩が与えられることになっているということであり、それを考えると、すでに九サイクルも同じことを繰り返しているので、四時間半の時間が経過したことになるのだろう。
インターバル・トレーニングとしては、緩すぎる程度の運動量であるが、京子はもうたじたじになっている。
すでに疲労困憊のうえに、ジョギングの最中だけでなく、休憩のときにも繰り返される性感への刺激のために、京子は身体も意識も朦朧とした状態になりかけていた。
しかし、速度を緩めることも、走るのをやめることも許されない。
なにしろ、京子が必死に走っている床は、ベルトコンベアのように一定の速度で後方に回転し続けていて、四周を完全に囲んでいる鉄格子には、電流が流されていて、もしも、触れたりすれば、凄まじい苦痛が京子を襲うことになっているのである。
だから、駆け続けるしかない。
いくら、学生時代から陸上部で鍛えた足腰をもってしても、これだけの長時間の駆け足となれば、すでにふらふらだ。
しかも、身体には苛酷な責め具が装着されている。
まるで頭から水を浴びたかのような大量の汗が全身を包み、動き続けている床に垂れ落ちている。また、時折飛び散った汗が鉄格子に当たり、電流の熱でじゅうという音を立てたりもする。
その音が電流の恐怖を京子に感じさせ、京子は必死に脚を前に出し続けているのだ。
「また、後ろに下がってきたわよ。前に出なさい、京子」
鉄格子の外側に設置した小さなテーブルで書類仕事のようなことをしていた工藤玲子が顔をあげて、声をかけてきた。
「か、勝手なことを言わないでよ──。い、いい加減に、この床をとめなさいよ──」
京子は必死に脚を動かしながら、最後の気力を振り絞るようにして悪態をついた。
ここがSS研の地下にあった得体の知れない「拷問室」であることは確かだ。
SS研の生徒たちの罠に嵌って、昨夜、ここに監禁されて真夫に凌辱された京子だったが、たったのひと晩だけで数えきれない程の絶頂を繰り返し、最後には意識も保てなくなり、完全に気絶をしてしまったと思う。
ひとりの生徒にすぎないで坂本真夫の前で晒してしまった醜態のことを思い出すと、京子はいまでも口惜しくもあり、また羞恥で死にたくなってしまう。
京子は、あの真夫に完全に屈服してしまったのだ。
淫らな姿を晒し、淫情に狂う様を見せ、必死になって情交を哀願するに至った。
全部覚えている。
生徒たちに対して、なんという無様な姿を示してしまったのだろう。
いまでも、教師として恥ずかしい。
それはともかく、気が付いた京子が目が覚めたのが、この鉄格子に囲まれた動く床の上だったのである。
どうやら、同じSS研の地下の一室だとは思うが、最初に責められた大部屋とも、真夫に犯された寝台のある部屋とも異なる別の部屋という感じだ。
もっとも、最初はまだ床は動いてはおらず、鉄格子に囲まれている檻のような場所だと思っただけだ。
そして、そのときにはまだ部屋にいた檻の外の真夫に言われたのが、真夫が授業に出ている間、この玲子に監視のもとに汗を流せという「命令」だった。
これが二日目の調教の始まりだと宣告もされた。
いやも応もない。
鉄格子はしっかりと床から天井を貫いているし、両手まで後手に拘束されていた京子には逃げる手段などない。それだけでなく、股間には二本のディルドが貫き、勝手に抜くことができないように電子ロック付きの革下着で封印もされていた。
なにをされても逆らう手段など存在しなかった。
食事は床に置かれた皿に顔をつけて、まだとまっていた床の上で、犬のように口だけで食べさせられた。
拒否すれば、また浣腸をすると脅されれば、それもまた従うしかなかった。
そして、排便は許可されることはなかった。
革帯の貞操帯で封印されているので、それを外されない限り小尿もできないのだ。
正直に言えば、少し尿意もあったが、それを口にすればまた辱めを受けるのではないかと考えると、真夫に訴えることはできなかった。
そして、そのまま、真夫たちが教場棟に向かい、入れ替わるように入ってきて残ったこの理事長代理の玲子に監視されながら、この苛酷な運動が開始されたということだ。
「それは、できないわね。あんたも一緒に訊いていたでしょう。真夫様のご指示よ。彼の許可なく、あなたの調教をやめるわけにはいかないことは知っているでしょう。できないわ。とにかく、必死に走りなさい」
「はあ、はあ、はあ……。ふ、ふざけないで──。はあ、はあ……、な、なにが真夫様よ……。あ、あなた方の正体はなによ──。坂本君を隠れ蓑にして、この学園はなにをしようとしているの──?」
京子は走りながら叫んだ。
真夫の周りにいた女生徒も、この理事長代理の玲子にしても、口を揃えて言うのは、あの三年生の坂本真夫という一生徒がこの陰謀の首謀者だということだった。
だが、そんなことはあり得ない。
この地下設備ひとつにしても、女生徒や女教師を監禁して拷問するための、かなり大掛かりな設備である。学園中に張り巡らされているらしい隠しカメラや生徒や女教師たちの隠し撮りの卑猥映像のコレクションなどのことを考えると、それをひとりの生徒だけがやっているというのは信じることはできない。
もっと大規模な犯罪組織集団が存在すると思った。
昨夜の真夫の凌辱から少し休むことで冷静さを取り戻した京子は、そう考えている。
「正体もなにもないわ。そもそも、この学園そのものが、彼に捧げるためのものよ。わたし自身やあなたもね。わたしたちは、真夫様の貢物というわけよ」
「じょ、冗談、い、言わないで……」
「冗談は嫌いなのよ。それよりも、まだ元気がありそうね。さすがは陸上部の顧問だわ。じゃあ、もう少し速度をあげるわね」
玲子が立ちあがり、壁に向かっていく。
そこに床の回転をとめたり、速度を調整する操作盤があるのだ。
京子は愕然となった。
「む、無理よ──。こ、これ以上は──」
「大丈夫よ。無理なほどは速度はあげないわ。ただ、余計なことを考える余裕がないくらいに疲れてもらうだけよ。真夫様にそう命じられているしね」
床の回転速度が一気にあがったのがわかった。
おそらく倍の速度にはなっただろう。
ジョギングどころではない。
かなりの駆け足だ。
股間とアナル内のディルドの刺激と、乳房の揺れによって発生する疼きが一気に増大する。
「ひ、ひいいっ」
京子は全身から汗をまき散らしながら、必死に脚を動かす速度をあげなければならなかった。
「む、無理いい──。だ、だめえ──。お、遅くして──。お願い──。ひあああっ」
だが、簡単にペースをあげることなどできない。
なにしろ、京子はただ電撃の鉄格子の中で動く床の上を走らされているわけではないのだ。
まず、両手は背中で水平に束ねられて革帯で固定されている。
だから、腕を使えないので、普段のとおり脚を動かすことは難しい。
なによりも、京子の股間とアナルには二本のディルドが貫いていて、それを覆う革下着を装着されているのである。歩くだけでも、二本のディルドが京子の性感を刺激するのに、走るなどというのはとんでもない苦行だった。
速度が上がったことで、どうしてもだんだんと京子の位置が後退していく。
「ああ、あっ、あああ……」
それに、身に着けているのは、両腕を包む革帯とディルド付きの革下着のほかに、両乳首にぶら下げられたかなりの重みのある鈴もあった。
走ることで無防備な乳房が、その鈴を重みとして乳首を揺らすのであるが、そのたびに稲妻のような衝撃が京子の背中に走るのである。
締めつけていない京子の大きな胸は、走ることで上下左右に大きく弾むのであるが、ちりんちりんという音とともに貫く乳首の衝撃の繰り返しに、それだけで脚をとられて転倒しそうになる。
それに耐えて、拘束された裸身で掛け続けて、もう半日だ。
もっと前に出ろと言われたところで、それを実行する余力はもう京子には残ってない。
しかも、限界だと考えていた状況で、さらに速度をあげられたのだ。
「あ、ああっ、ああっ、む、無理──。無理よ──。戻して──。せめて、元に戻して──」
京子は駆けながら必死に哀願した。
ちりんちりんどころではない。乳首からぶら下がる鈴の音もうるさいくらいに音をかき鳴らしている。
「もっと前に出るのよ──。指示が耳に入らないのかしら? また、気合を入れましょうか?」
すると、玲子が黒い棒鞭のようなものを再び鉄格子の隙間から差し入れたのが横目で見えた。
京子ははっとした。
すでに、数回味わわされているので、これがなんなのかはわかっているのだ。
棒鞭の先端は金属の球体を被せた形状になっていて、それが京子の片側の尻たぶに触れる。
「きゃああ、走る──。走るから、やめてえ──」
京子は悲鳴をあげてペースを上げようとした。
だが、その瞬間、棒の先から電撃が尻に流されたのだ。つまり、あれは電撃鞭なのである。
これもまた、京子を家畜のような走り続けさせる忌まわしい調教具だった。
しかし、激しく動いたことにより、ディルドの刺激が一気に増大し、乳房が揺れて、大きな疼きが乳首と乳房の揺れで沸きあがった。
京子は身体が砕けそうになるのを懸命に我慢した。
それにしても、ディルドはともかく、どうしてこんなに胸が……?
京子は息も絶え絶えになりながらも、どちらかといえば、ディルドの刺激以上に大きい胸の揺れに伴う疼きに、呪うような気持ちになりながら、終わりのわからないゴールに向かって駆け続けるしかなかった。
「十分間の休憩ね」
そして、それからしばらくして、やっと休憩が宣言された。
床がとまり、京子は貞操帯姿の裸身を崩れ落ちさせた。
「じゃあ、休憩のあいだのメニューに入るわ。頑張ってね」
すると、玲子が声をかけてきた。
京子は歯を喰いしばった。
これから、なにが始まるかもわかっている。
この半日で、とことん京子を追い詰めたのは、淫具を装着した状態でやらされている苛酷な運動責めとともに、これから始まる休憩間の責め苦もである。
いや、むしろ、心と気力を苛んでいるのは、これからの責めの方がむしろ大きいかもしれない。
蹲っている京子に施されている股間の淫具、そして、ぶら下げられている大きな鈴が一斉に激しく振動を開始する。
「ひあああ、ああああっ」
京子は身体をがくんと動かし、次いで腰と胸をがくがくと震わせた。
股間とアナルのディルドが蠕動運動を開始し、クリトリス部分の革帯内の突起も震えだす。
乳首にぶら下げられている重みのある鈴も振動して、乳首に繋がっている細い鎖を通じて刺激を胸に伝えてくる。
「ああ、あくうっ、いやああ」
淫具を装着されたままの矯正ジョギングばかりでない。
この休憩間の淫具責めで、京子は沸騰するほどに性感を昂らされている。
開始した淫具の刺激により、一気に絶頂まで追い込まれる。
「ひんっ、ひんっ、ああああっ」
いつの間にか蹲ったまま弓なりになっている京子の口からは、喘ぎ声しか漏れてこない。
目覚めきっている肉体の快感は、京子の意思ではまったく抑えが効かなくなっている。
快感が限界を突破しようとする。
「あああっ、くあっ、またああ──」
だが、京子が絶頂をしようとする寸前に、突然にすべての淫具がぴたりと静止をしてしまった。
これこそが休憩間の責め苦なのだ。
京子の頭には、鉢巻きのような脳波センサー装置が巻かれていて、そこから無線で脳波のデータが玲子の操作するパソコン内に飛び、京子の性感の昂ぶりを計測しているのだという。
そして、絶頂寸前で刺激を停止するようにプログラムされているらしく、何度繰り返しても、京子が達することができないように寸止め責めを繰り返すことになっているのである。
「ああ、もういやああ──。許してよおお──」
刺激されては寸止めされ、寸止めされては刺激される──。
それを十分間受け、ついに焦らし続けされたまま、再び運動責めに入るのだ。
これを十回もサイクルされている。
もう心はずたずただ。
「何度も言うようだけど、哀願は真夫様にしなさい。多分、昼休みには来てくれるから。でも、そうでなければ、放課後まで頑張るのね」
玲子が冷たく言った。
そして、少しだけ淫情の昂ぶりが引くのを待ち、またもや淫具で一斉に動きを再開する。
「もういやああ──。狂っちゃう──」
京子は寸止め後の振動の再開に、泣くような悲鳴をあげた。