「あ、ああっ、だ、だめえ──。そ、そんなに……、い、悪戯しないで──」
京子は鼻を鳴らすようにして、またもや、拘束されている身体をよじらせてしまった。
真夫が右手で持つ剃刀で京子の陰毛を剃っていく傍ら、左手で操る小筆がクリトリスを執拗にまさぐっているのだ。それだけではなく、指で皮をめくるような動作や、あるいは指を京子の秘奥の内側にゆっくりと侵入させては敏感な場所を揉み動かして刺激を加えてくる。
そのたびに、痺れるような情感が噴き出し、京子は思わず腰を動かしてしまっていた。
真夫が手を離して笑い声をあげる。
「仕方ないでしょう。先生の愛液を泡代わりにして剃ってるんですから。だから、どんどんと足していっているだけです。それよりも、そんなに動くと大事な場所が傷ついても知りませよ」
そして、真夫が悪戯っぽく身を竦めるような仕草をする。
大きな湯船の真ん中に立っている二本の柱のあいだである。そこに四肢を拘束されて立たされ、開脚されている股間の陰毛を真夫から剃られている真っ最中だ。
剃毛が始まってしばらくの時間が過ぎていた。
それはともかく、真夫は右手で剃刀を操っては、そのひと動作ごとに、必ず股間を指や小筆で刺激を加えてくるのである。
すると、身体が震えるほどの快感が迸ってしまい、京子はどうしていいかわからない状態になってしまうのだ。
身体も快感の疼きで痺れきり、くたくただ。
「だ、だって、こんなの我慢できるわけありません。ひ、酷いです──」
京子は思わず、股間の前の真夫に恨みの込めた声をかけた。
「そうですか? まあ、もう終わりです。最後の仕上げですので、もう少し剃りやすいように腰を突き出してください」
「こ、こうですか……」
もはや、逆らう気持ちはない。
言われたまま従順に、京子は腰を突き出すようにする。
真夫の操る剃刀が小刻みに京子の股間を撫でる。
くすぐったいのを必死に我慢してじっとする。
「結構です。もう終わりですよ、先生……」
やっと終わったようだ。
真夫が京子の股間から顔を離して、立ちあがる。
京子の股間は完全に陰毛を失って、まるで童女のような無毛の股間になってしまっていた。
情けなさが込みあがる。
「ああっ」
まるで陰毛とともに、全ての自尊心を粉々に砕かれてしまった気持ちになり、京子はがっくりと項垂れてしまった。
「終わりです。さあ、綺麗になりましたよ。じゃあ、一度拘束を解きますけど、大人しくしてくださいね」
真夫が京子が拘束されている二本の柱に背後にまわった。
四肢の革枷が一斉に外れ、京子はそのまま膝を崩して、両手で乳房を覆いながら、腰から下を湯の中に沈めてしまう。
そんな京子の前に、真夫が戻ってくる。
目の前に真夫の股間だ。
剃毛のあいだもずっとだが、真夫の男根はずっと勃起状態だ。
思わず顔が赤らんでしまう。
それにしても、男性の身体のことはよくわからないが、こんなにも勃起状態が継続するものだろうか。あるいは、やはり射精しないと収まらないのか……。
しかし、剃毛の前に、真夫はしっかりと京子の股間に精を噴き出したはずだ。それだけでは十分でないということか?
男性というのはどういうものかのだろうか?
「じゃあ、先生、両手を後ろに回してください」
真夫の言葉で、京子は真夫が手に持つものを見て、はっとしてしまった。真夫は左手に縄束を持っていたのである。
「も、もう拘束しなくても逆らったりしないわ。縛る必要なんてありません」
「必要があるかどうかは、俺が決めることです。調教だと言ったはずですよ。先生は俺に逆らえないということがまだわかりせんか?」
真夫が柔和に微笑んだ。
「ひゃん──」
次の瞬間、クリトリスの根元に装着されている金属環が激しく振動を開始した。
京子は両手を股間で押さえるとともに、がくがくと身体を震わせる。衝撃が鋭い快感になって、脳天に向かって突き抜けていく。
そういえば、真夫が眼に嵌めているスマートコンタクトで、京子の股間に嵌めている淫具の操作ができると言っていたことを思い出した。
「と、とめてえ──」
「素直に従うんです。それとも、電流も流しましょうか?」
真夫が告げる。
口調は優しいが中身は辛辣だ。
京子は股間の刺激に耐え、跪いた状態のまま、股間を押さえていた両腕を背中にまわした。
淫具の振動がぴたりなくなり、京子は脱力してしまう。
後ろに回った真夫が慣れた手つきで縄を京子の腕に巻きつけていく。
「先生、身体を洗う前に課題を出します。制限時間は一時間にしましょう。それまでに課題を終わらせられなかったら罰にします。たまには、先生側が生徒から課題をもらうのもいいでしょう?」
真夫が京子の両手首を縛った縄を前に回し、京子の豊かな胸の上下を固く締めあげていく。
なぜか、身体の芯が痺れるような心地になり、恥ずかしい声まで出そうな気がして、京子は必死に口をつぐむ。
「ほら、先生、自分のエムっ気がわかりますよね? こうやって縛られただけで、先生は縄酔いするほどの被虐癖があるんです」
「そ、そんなことはありません──」
京子は慌てて顔をあげて首を横に振る。
「まだ認められないですか? こんなに乳首を勃起させているのに」
真夫が両腕の縄をがっちりと胴体に縛りあげながら、片手でぴんと京子の片側の乳首を軽く弾く。
稲妻のような快感の衝撃が身体に迸る。
「ああん、いやあっ」
京子はがくんと身体を前に倒した。
そのときには、真夫は最後の縄止めを終えていて、両腕は完全に縄で後手に拘束されてしまっていた。
「先生はマゾで淫乱です。それが頭に刻み込まれるまで、何度でも何度でも、繰り返し先生を調教しますよ。まだ、認めませんか?」
真夫が両手で背後から乳房を掴む。
そして、優しく揉みあげてくる。
「ああっ、いやああ」
全身が脱力し、ざぶんという湯しぶきとともに、京子はお湯の中に上体を倒してしまった。
「あっ、あっ、ああっ……」
そんな京子の身体を引きあげるようにしながら、真夫が京子の胸を揉み続ける。
身体をよじらせて抵抗しようと思うが、真夫の手が乳房を揉むたびに、言葉も出ないような快感が身体に走り、それでなにもできなくなる。
「ほら、先生、もっと抵抗しないと、また俺にいかされてしまいますよ」
真夫が背中から抱きつくようにして、片手を乳房に残したまま、右手を京子の股間に向かって滑らせてくる。
乳房を持つ指が乳首を交互に弾き、股間に触れる指が淫具で締めつけられて鋭敏になっているクリトリスを弄ぶ。
「ああっ、さ、坂本君──。だ、だめ──、だめです──、だめええ──」
身体の三箇所から凄まじいほどの快感が次々に突き抜ける。こんなの耐えられない。
口から悲鳴のような嬌声が迸り、両膝が大きく痙攣する。それにより、乳房も大きく波打ち、衝撃がさらに拡大してしまう。
「ああああっ、あああっ」
そして、痙攣が二度三度と繰り返し、ついに快感の頂点に達してしまった。
次いで、身体からすべての力が抜けてしまう。
「まだ、自分が淫乱でマゾであることを認めませんか? さっきも言いましたけど、先生がそれを理解するまで繰り返しますよ」
真夫の指は達したばかりの京子に容赦なく、さらに愛撫を継続してきた。
「わ、わかりました──。あ、あたしは、マゾで淫乱です──」
慌てて叫ぶ。
真夫が手を離し、やっと快感地獄から京子は解放された。
「くはっ──。はあ、はあ、はあ……」
なにも喋れない。
京子はただただ荒い息を繰り返す。
すると、急に身体が引きあがりだした。
無理矢理に後手縛りの腕が胴体ごと引っ張られて、身体が浮きあがる。
「えっ、えっ、なに? なに?」
京子は狼狽えて声をあげた。
どうやら、後手縛りになっている両腕に、いつの間にか天井から伸ばされた鎖が繋げられていて、その鎖が引き上げられたみたいだ。
京子は再び、湯船の中で強引に立ちあがらされる。
「忘れたんですか? 課題ですよ、先生」
真夫はさっきの縄束とは違う白っぽい縄を持っている。
これもまた、そばに浮かべているエア・マットに載せている箱から取り出したのだろう。
よくわからないが、なんとなくただの縄でない気がする。
見た目は植物の繊維をそのまま捩じり合わせた感じだ。
「これは、ずいき縄というものです。これを締めつけられたままでいると、体液で痒み成分がにじみ出てくるという拷問道具のようなものですけど、さらに全部で三個の結び玉が作ってあるのがわかりますか? まずはこれを先生の股間に締めつけさせてもらいますね」
真夫が京子の脚のあいだに、そのずいき縄とやらを通した。
得体の知れない新たな責め具に、京子は自分の顔が引きつるのを感じた。
「坂本君──。あ、あたしはもう、逆らわないと約束したじゃないですか。あなたを受け入れているの──。もうそんなことしなくても大丈夫です──」
「これは罰ではありませんよ。課題の準備です。もっとも、課題に失敗すれば、罰になるかもしれませんけどね」
「ううう……」
京子は思わず唸ってしまったが、それ以上はなにも言うのはやめた。
逆らわずに、軽く足を開いて、真夫が京子の股間に縄を掛けるに任せる。
一方で真夫は余程に手慣れているのか、あっという間に京子の腰の括れに縄を巻き終わり、次いで、股間に通した縄を背後からお尻の亀裂に喰いこませるようにたくし上げた。
「あくうっ」
縄瘤がクリトリスと花芯、さらにアナルをこれでもかと抉った。
真夫が、最後にさらに股縄を喰いこませてから、固く腰縄に繋ぎとめてしまう。
「どうです、先生? 股間の毛を剃ってよかったでしょう? さもないと、毛に縄が絡んでいたかったかもしれません。でも、いまはつるつるだから、気持ちがいいだけですよね」
真夫が軽く、京子のお尻をぱんと叩く。
京子は歯を喰いしばって耐えた。
口惜しさではない。
すでに、切なさを伴なったような熱い疼きが局部をじりじりと蕩かせ始めていたのである。
少しでも身じろぎすれば、身体の芯まで抉るような疼きが迸るのはわかる。だから、動けなかったのだ。
「じゃあ、先生、いまから一時間休憩にします。でも、先生は腰を揺さぶって、全部で三回以上、自慰で達してください。もしも、一時間以内に三回達することができなければ、罰にします……。もっとも、一時間もそのずいき縄を股間にしていれば、先生は勝手に腰を振るようになると思いますけどね」
「くっ、こ、この鬼畜──」
「誉め言葉だと思っておきますよ。じゃあ、一時間です。あそこに時計がありますから」
真夫が離れている浴室の壁を指差した。
すると、真っ白だった壁が表面が溶けるように鏡張りになり、さらに数字が鏡面に浮かんで、“59:50”と表示されて、そこからカウントダウンが始まった。
京子は、その数字のことよりも、自分の恥ずかしい痴態が鏡張りになった壁ではっきりと視認してしまい動揺した。
なんという浅ましい顔をしているのだろう。
顔は蕩け、全身は火照りきっていて赤く、縄瘤の喰いこんでいる股間はすでに色が変わるほどに濡れてしまっている。
たったいま縄を締めつけられたばかりなのに、もうあんなに愛液を染み出させているのでは、確かに京子がマゾで淫乱だと言われても仕方がない気がしてしまった。
「じっとしていて、いいんですか? 罰は期待してください。多分、先生はまたもや、泣き叫ぶことになります」
「うう……、わ、わかったわ……」
京子は歯を喰いしばったまま腰をゆっくりと左右に動かす。
「そうじゃないですよ。前後に押したり引いたりするんです。それと、しっかりと締めつけてね。とにかく、一番、自分が感じる方法で動かすんです。その大きなおっぱいを振ってもいいかもしれませんね。先生は胸も性感帯ですから」
真夫がまたもや、ぴしゃりと京子のお尻を叩いた。
「は、はい……」
京子は捨て鉢になって、真夫の命令のままに腰を前後に強めに動かす。
「あ、ああ……」
縄瘤が局部を刺激し、たちまちに快感が迸って、京子は顎を大きく上げて喘ぎ声をあげてしまった。
「その調子です。じゃあ、頑張ってくださいね」
真夫が笑い声をあげて、目の前から立ち去っていく。
やがて、浴室から気配が消え、京子は大きな浴室にひとりで取り残されてしまった。
「あ、あああっ、ああっ」
しかし、そんなことはもう気にならなかった。
それよりも、股縄を施された腰を激しく揺さぶることで、あっという間に全身に鋭い電流のようなものが走って、早くも快感の頂点に追い上げられそうになっていたのである。
また、腰を振れば当然に縄が上下に喰いこんでいる乳房も揺れて、そこからも大きな快感が拡がる。
「ああっ、いくうっ、いきます、坂本くん──、あああっ」
眼が眩み、ついに大きなものが全身を包み込む。京子は剃毛されて一本の陰毛もなくなった股間を締めつけながら、太腿をぶるぶると震わせ、ついに絶頂を極めた。
次いで、がくりと脱力する。
縄掛けをされた身体を上下に動かしつつ、荒ぶる息を整える。
顔をあげて鏡面を見ると、まだ五十五分にも達してない。
京子は、わずか数分で最初の絶頂をしてしまったみたいだ。
二回目をしなければ……。
しばらく呆けていたが、すぐにまだ一回目が終わっただけなのを思い出す。
京子は挑むようにして、二度目の絶頂を目指して、再び前後に腰を前後に揺さぶり始めた。