大きな歓声が応援席に鳴り響いた。
眼下のグラウンドで行われている女子サッカーの試合で、京子が体育教師を務めている聖マグダレナ学園の女子サッカーチームが相手のチームから四点目を奪ったのだ
すでに後半に入っており、相手の得点がまだ無得点であることを考慮すると、ここでの四点目は、ほぼ試合を決めたと言っていい得点である。
観客席には、ブラスバンド部を含めて、生徒たちがおよそ二百人くらいは集まっていると思うが、全員が立ちあがって拍手と歓声をあげている。
一方で、グラウンド側では、ハットトリックを決めたキャプテンであり、三年生の前田明日香がグラウンドから観客席に応えるように、嬉しそうに大きく手を振っている。
なんとなくだが、明日香は観客席全体ではなく、こっちに向かってだけ手を振っている気もする。
いや、実際そうなのだろう。
ここには、京子だけでなく、真夫もいる。
十中八九、明日香の視線の先には真夫がいるのだと思う。
多分、間違いない。
京子は、陸上部の顧問であるので、直接は関係はないものの、全国大会の出場に手のかかっている女子サッカー部の活躍は当然に知っている。地区のリーグ戦を勝ち抜き、今日の試合と来週の試合に連勝すれば、全国出場が決まるはずだ。
スポーツ特待生である三年生の前田明日香の活躍は、以前から華々しいものがあったが、今日の活躍は、京子の目から見ても、群を抜いているという印象だ。
女子サッカー部の試合を直接に見るのは初めてではないが、あそこまでの印象は抱かなかった。
しかし、彼女もまた、坂本真夫が集める女奴婢の集団のSS研の部員だという顔を持ち、昨日は真夫の命令であの明日香が京子に筆責めを行い、さらに、京子の目の前で真夫から明日香は犯されたりしていた。
好選手として躍動するあの前田明日香とは、まったく異なる雌の顔を思い出して、京子はかっと羞恥で身体が熱くなるのを感じた。
午前中まで、学園の文化部棟の地下にあるSS研の「地下調教室」に監禁されていた京子だが、午後にはこうやって学園の外に連れ出され、応援のために同じように集まっている生徒や教師たちに混ざって、グラウンドにやってきていた。
連れてきたのは、もちろん真夫であり、地下の浴場で犯され、緊縛は解かれたものの、衣服を与えられないまま、着意をしている生徒たちの前で食事をするという辱めを与えられたあと、午後から郊外の運動競技場で行われる女子サッカー部の試合の応援に一緒に行くと申し渡されたのだ。
否も応もない。
真夫からの命令であれば、それは京子の意思とは無関係に、その通りに必ず実行されるということだ。
これに、京子が逆らうことは不可能だ──。
そのことをこの三日間で、京子は徹底的に心と身体に染み通されてしまった。
ただ、意外だったのは、てっきり学園の外でも調教という名の辱めをされるのだと想像していたのに、現段階まで、まったくなにもされていないことだった。
落ち着いた色合いの可愛らしいワンピースを渡され、さらに意外だったことに、ちゃんとした上下の下着も与えられたのだ。
極端に短いスカート丈でもなければ、肌が透けて見えるような破廉恥さもない普通のものだった。
いや、普通ではなかったか……。
あまりにも着心地がいいので、改めてメーカーを確認したら、超一流の海外ブランドの高級品だったのだ。京子の給与では絶対に手が出ない品物に、別の意味で血の気が引いてしまった。
とにかく、あの地下での食事後、突然に身支度をすることを求められ、京子は真夫たちとともに、学園から外出して、ここまでやってきたということだ。
移動は十人乗りの大きな乗用車であり、運転は恵さんがして、助手席に玲子さん、後部座席の他の者は乗車するという態勢だ。
ただし、後部座席とはいっても、普通の車とは異なり、横並びの座席ではなく、中心を囲むように革張りのソファがあり、そこに座ってきたのである。
また、学園を出るときには、あの白岡かおりも一緒だったが、今日は外国語教室があるということで、学園のある山の麓の都市部で下車し、後部座席を囲んだのは、かおりの下車以降は、京子、真夫、金城光太郎、そして、柚子の四人だった。
もっとも、柚子はなぜか座席に座ることを許されずに、ほかの者の足下で直接に床に座らされていた。
SS研の「ペット」ということになっているらしく、外に出る時には外されたが、車内ではずっと鎖の付いた首輪を嵌められていた。
一方で京子はなにも構われなかったのが、それが妙に落ち着かない気持ちになったことを覚えている。
いずれにしても、クリトリスの根元に喰い込んでいる金属環こそ、そのままだったが、予想していたことに反して、京子は拘束もされることなく、ちゃんとした格好でここに連れ出されたということだ。
いまのところ、応援以外のことをすることを要求されてもいない。
なぜ、急になにもしなくなったのだろう……。
いや、それとも、これもまた、真夫の「調教」の一環か……?
もしかして、京子が完全に油断したときに、淫具を動かされる?
それとも、応じることのできるはずのない、破廉恥な命令を密かに命令される?
どうしても気になってしまい、京子はずっと完全には試合に集中することができないでいる。
そして、いつくるのか……。
一瞬後か?
それとも、まだ焦らされるのだろうか?
京子の緊張はずっと続いている。
「んんんっ」
そのときだった。
京子の隣で、ほかの大勢の生徒たちと同じように拍手をしていた立花柚子ががくんと両膝を折って、股間を手で押さえるようにして腰を落としたのだ。
全員がグラウンドに注目しているので目立ってはないが、もう何度も繰り返されている光景であり、おそらく、柚子が股間に装着されている貞操帯のバイブがまたもや激しく動き出したのだと思う。
C級用の女子制服姿の彼女だが、ここに向かう車の中で、真夫によって、ゼリーのようなクリームをバイブに塗られて、股間とアナルを塞ぐふたつのディルドで二穴に挿入されていた。
真夫と京子たちは、応援の集団の一番後方の上段の隅の座席にいるが、最後部の最上列に、真夫、朝比奈恵、工藤玲子が位置し、その前の席に、西園寺絹香、立花柚子、京子、金城光太郎という並びで集まっている。
SS研として集まっている者たちの中で、絹香はここで合流したのだが、彼女がいつも連れている双子の姉妹はいない。
今日はふたりとも、急用ができたということで、朝から絹香とは別行動だそうだ。
ともかく、京子や柚子の後ろにいる真夫が、歓声に紛れて、柚子のディルドに遠隔で悪戯をしたのだと思うが、真夫の破廉恥な責めから解放された京子の代わりとばかりに、一転して、柚子ばかりが一心に真夫の悪戯を受け続けている。
遠隔で悪戯ができるのは、京子のクリトリスの根元をいまでも締めつけて、妖しい疼きを与え続けている金属環も同じなのだが、いまのところ、真夫は一切、京子にはなにもしてこない。
安堵している一方で、責められ続けている柚子の姿に、妙な居心地の悪さと、腹と下腹部が燃えるような不可思議な熱さを京子は感じている。
「ふうっ」
隣の柚子が緊張が解けた感じで、おずおずと身体を真っ直ぐにする。
バイブの振動がオフになったのだろう。
だが、その横顔にはうっとりとしたような欲情が浮かんでいて、口元からはだらしかく唾液がこぼれ出ている。
でも、すぐに自分でも気がついたのだろう。
慌てたように、舌で口元を舐めて拭う。
中学生どころか小学校の高学年とも見紛うほどの童顔で小柄な柚子だが、その表情については妙な色気があった。
京子は思わずどきりとしてしまう。
「おおっ」
ところが次の瞬間、祖の柚子はお尻を両手で押さえて、天を仰ぐような仕草をした。
今度はアナルのバイブを動かされたのだろう。
だが、今度は得点直後の喧噪が落ち着き始めたときだったので、柚子の声はちょっと目立っていて、幾人かの関係のない生徒たちが異変に気がつき、柚子に視線を向けたりしていた。
ところが、真夫は振動を終わらせないらしく、柚子は真っ赤な顔で必死に歯を喰い縛って声を押し殺していた。
京子は自分でもびっくりするくらいにどきどきしてしまった。
そして、試合が終わった。
試合終了間際に一点とられたものの、学園の女子サッカー部は、四対一で勝利し、翌週の地区決勝戦に進むことが決定したようだ。
結局のところ、京子はなにもされることなく終わってしまい、ふつふつと焦燥感のようなものが身体に残ったような心地になった。
試合が終了した段階で、京子は真夫から応援席の外に呼び出された。玲子も一緒だ。
そのまま、競技場の外にある駐車場に面する出入口まで連れてこられる。
まだ、試合終了の余韻も残って選手たちが観客席に挨拶とかをしている段階なので、まだ応援の生徒たちがおりてくる気配はない。
周りには誰もおらず、京子と真夫と玲子の三人だけになる。
「先生、約束のとおりに、三日間の調教はこれで終わりです。もう帰っていいですよ。先生をつなぎ止める条件はなにもありません。脅迫のようものもなしです。先生はもう自由です。解放します」
真夫が笑みを浮かべて、京子の顔を覗き込んでくる。
「えっ?」
意外な言葉に、京子は思わず絶句してしまった。
帰っていい──?
このまま──?
自由って?
「ハイヤーを呼んであるわ。料金は支払い済みだから、どこに向かってもいいわ。学園に戻るなら、それでもいいし、さすがに、今日は戻りたくないというなら、グループ系列のホテルのスイートルームを確保しているわ。連泊したいならご自由にどうぞ。ルームサービスでもなんでも、一切お金を支払う必要はないから安心して。でも、明日、欠勤するなら、わたしに連絡だけはして。手続きをしておくから」
玲子だ。
ホテルの名前を書いたメモとともに、工藤玲子としか書かれてない名刺を渡される。それをホテルのフロントに出せばいいとも付け加えられる。
また、百メートルほど離れた場所に、確かにハイヤーが一台止まっていることにも気がついた。
もしかして、これで解放ということ……?
本当に?
「自由……というのはどういうことです? 奴婢になるというのは……?」
京子は真夫を見た。
すると、真夫が破顔した。
「ああ、そう口にしてもらいましたね。でも、あんなのはプレイの中の戯れです。先生が本気でないなら、強要はしません。俺のところに集まっているのは、全員が彼女たちの自由意志によるものです。先生もその例外にするつもりはありませんから」
真夫はあっけらかんと言った。
京子は唖然となった。
「戯れ? プレイ?」
どういう意味──?
「もっとも、俺が先生に口にしたことは本気ですよ。連絡をしてくれれば、いつでも、俺たちは先生をSS研に歓迎します。そして、そのときこそ、もう逃げれません。先生には俺の奴婢から離れられない処置をしてあげます。でも、そうでなければ、もうこっちから先生に接触はしません。ただの生徒と教師の関係です」
「つまり、どういうことなの? もしも、連絡をしなければ、あたしになにもしないということ?」
「そうですけど、俺は先生が連絡するのを待ってますよ。ただ、嫌なら、このまま永久に俺たちのことは忘れてくれればいいということです。どうするか、自分の心に訊ねてください」
「付け加えておくわね。言っていくけど、最初にやろうとしたようなマスコミや教育委員会、それとも、警察でもなんでも訴えてもいいけど、どこも相手にしないわ。それだけは覚えておいて」
玲子だ。
もはや、その気はないが、相手はあの豊藤財閥だ。
どこに訴えても、無駄だというのは真実なのだろう。
それだけの力があるのが、豊藤財閥という存在なのだ。
「先生からの連絡を待ってます。そして、それを愉しみにしてます」
「あんっ」
そのときだった。
股間に刺激を感じて、京子はその場に膝を折った。
なにが起きたかわからなかったが、ずっと締めつけられていたクリトリスの金属環が下着の中で外れたのだと悟った。
解放されたことで、逆に刺激を与えられた感じになってしまったみたいだ。
もっとも、ここで下着の中に手を入れるわけにいかず、京子は下着の中で動く金属環を持て余してしまう。
「じゃあ、先生、よければ、それは記念にどうぞ。そして、連絡を待ってますよ」
真夫が玲子とともに競技場内に戻っていく。
京子はしばらくのあいだ、立ちすくんだままでいたが、やがて、意を決して、玲子が準備をしてくれたハイヤーに向かった。
「伊達様ですね。お待ちしておりました」
待っていた運転手が運転席から慌てたようにおりてきて、扉を開いて京子を席に導く。
運転席に戻った運転手に、京子は玲子から教えられたホテルの名を告げる。
やはり、学園に戻る気にはなれずに、玲子の言葉に甘えて、そのホテルを利用させてもらうことにしたのだ。
「かしこまりました」
車が走り出す。
待っている間に、ラジオをつけていたのか、ラジオからニュースが流れていた。
運転手が慌てて消そうとしたのを京子は、声を掛けてそのままにしてもらう。
ニュースの中ですぐ近くで殺人事件があったと流れていたのだ。大学生の青年が拳銃で撃たれて死んだということだった。しかも、二名──。
ニュースによれば、若い女と口論をしている声が聞こえたと目撃者の情報があるようだ。
「物騒なことですね。もっとも、犯人は警察に射殺されたみたいです。なんだったんでしょうか。ともかく、伊達様も。お気をつけくださいね。だけど、あんなところで、ヤクザの抗争でもあったんでしょうかねえ」
運転手がうんざりした口調で言った。
「そうねえ……」
京子は空返事をした。
確かに、ホテルに近い場所かもしれない。現場はホテルの近くだ。そういえば、途中で外国語教室に行くと言っていた白岡かおりが向かうと口にしていた教室にも近いのかもしれない。
まあ、犯人も死んだようなので、滅多なことは起きないと思うが、彼女は大丈夫だったろうか。
そんなことをぼんやりと思った。
そして、ホテルに到着した。
ホテルというのは、駅前の一等地にある超一流ホテルだ。
ボーイが車の扉を開けてくれ、京子は車からおり立つ。
荷物をひとつも持ってないことに、ボーイも怪訝そうにしていたが、構わずに京子は黙ってフロントに向かう。
フロントに着いた京子が名前とともに、玲子の名刺を渡すと、本当に最上階のスイートルームに案内された。
気後れしてしまうほどの豪華な部屋に、さすがに京子もいたたまれない気持ちになる。
いずれにしても、とりあえず、一度シャワーを浴びたいと思った。
案内のホテルマンが去ると、京子はすぐにバスルームに向かった。
熱いシャワーを浴びて、気分を落ち着かせよう……。
考えるのはそれからだ……。
脱衣所で裸になる。
鏡に目をしてはっとする。
乳房の上下、そして、腰にしっかりと縄痕があったのだ。
股間には剃りあげられてしまったために、一本の毛も残ってない。
ああ、なんという恥ずかしい姿なのだろう……。
なんという……。
気がつくと、京子は舌で自分の口の回りをぺろぺろと舐め続けていた。
自分でも驚くような扇情的な表情で……。
そして、その京子の股間は、信じられないくらいに真っ赤であり、たっぷりの愛液で濡れてしまっていた。
京子は知らず、鏡にうつっている自分を見ながら、股間に手をやり自慰を始めていた……。