真夫たちととともに駅を降りたときには、完全に陽は沈んで周囲はすっかりと夜になっていた。
聖マグダレナ学園の最寄り駅はこの大手私鉄線の大きな駅なのだが、駅前からはかなり距離があり、車でなければ辿り着けない山中にあるくらいは知っている。
だが、あゆみはそちら側とは反対方向の街中に連れて行かれた。
相変わらず、左右の手首のそれぞれを京子とかおりに手首に、手錠で繋がれていて、逃げることはできない。
むあ、逃げるつもりはないが……。
「ちょ、ちょっとどこに行くのよ?」
さすがにちょっと不安になった。
学園に向かうなら、迎えの車を呼ぶか、あるいはタクシーでも捕まえるしかないだろう。しかし、そんな様子もない。
真夫たちは、あゆみを街灯が照らす賑やかな街中に連れて行こうとするのだ。
便意は、絶えることない繰り返しの波となって、あゆみに遅い続けている。
「言ったでしょう。歓迎会ですよ。特別な趣向であゆみさんの仲間入りを歓迎しますから。きっと喜ぶと思います」
前を進む真夫が振り返って、白い歯を見せる。
あゆみは歯噛みした。
「い、いい加減にしなさいよ。トイレに連れて行って」
あゆみは荒い息をしながら言った。
とにかく、下腹部では猛烈な便意が襲いかかってきている。
それは、もしかしたら、この街中で大便を漏らしてしまうのではないかという恐怖でもあるのだ。
早く、トイレに……。
せめて、他人の眼のない場所に移動したい。
もちろん、アナルストッパーを打ち込まれているのは承知している。
だからといって、アナルから力を緩める気にはならない。
あゆみは、必死に便意と戦いながら脚を進める。
「大丈夫ですよ、トイレは公園にもありますから」
「公園? じょ、冗談じゃないわ。あなた方の寮に連れていって。それとも、またホテルに……」
どこに向かっているのか教えてもらえないでいたあゆみだったが、まさか公園に向かっているのは知らなかった。
だが、もう限界だ。
電車に乗っているあいだ、真夫や女たちから寄ってたかって受けた玩弄は、すでにとことん、あゆみを追い詰めている。
脚はもうふらふらで、すぐに遅れがちになるのだが、手錠で手首を繋いでいる両側の京子とかおりが、そのたびに無理矢理に速度を元に戻す。
そのたびに、あゆみは股間の玩具に翻弄されながらも、息も絶え絶えに、ただただ交互に脚を前に出す。
ミニスカートの裾から、喰い込んでいる革帯の貞操帯でも堰止められない愛液を垂れ流しながら……。
「まあまあ、愉しい宴はこれからですよ」
「うあっ」
まただ──。
真夫がまたもや、股間のディルドの振動のスイッチをオンにしたのだ。今度は、クリトリスに当たっている突起部分も激しく振動される。
電車の中でもずっと受けていた意地悪な悪戯だ。
さすがに、がくんと膝が曲がり、立ち止まってしまいそうになる。
「ほら、頑張ってよ」
でも、やはり両側から強引に進まされる。
あゆみは喘ぎ声を我慢することができず、スカートから出ている太腿を痙攣させながら、必死に前に進み続けた。
「こ、この仕返しは……。い、いつかするから──」
やっとバイブが停止する。
あゆみは、前を進む真夫の背中に向かって悪態をつく。
電車の中から、ずっとこの意地悪を続けているのは、この真夫なのだ。
「そうですか。だったら、もう動かしません。動かして欲しくなったら言ってください」
真夫がうそぶいた。
しばらく、街中を歩き続ける。
あゆみには、この辺の土地勘がないので、公園とやらがどれくらい距離があるのかわからない。
だが、なんとなくだが、わざと遠回りをしながら進んでいる感じさえする。
いや、そうだ。
ぐるぐると街中を歩いているうちに、あゆみは少し前に見た場所と同じ通りを進んでいることに気がついた。
「お、同じ道を歩いてるわよねえ──?」
思わず怒鳴る。
だが、その抗議の声が大きかったのだろう。
すれ違っていた見知らぬ者が視線を向けたことに気がついた。
あゆみは慌てて口をつぐむ。
「まだ、時間があるんですよ。だから、夜の街を散歩でもと思って」
真夫が振り返って笑う。
あゆみはかっとした。
「そ、そんなのいらないのよ」
「わかりました。じゃあ、公園に向かいましょう」
真夫が笑った。
だが、なかなか、その公園とやらにはつかない。
そして、あゆみたちは賑やかな駅前から、緑の多い大きな公園の外壁に辿り着いた。
「入口はもう少し先です。行きましょう」
さらに進む。
あゆみは、さらに追い詰められていた。
ずっと、バイブを振動されたり、愛撫を受けたりしていたので、しばらくなにも刺激のない時間をすごして、完全に刺激がなくなったいまの方がずっと苦悶が大きいということに気がついてきていた。
振動をされたり、電車の中で痴漢の真似事のようなことをされているときは、ただ表情に出さないことだけを気にしていればよかった。
だが、こうやって停止してしまうと、股間もクリトリスも切実なほどの焦燥感と、いまだに消えない掻痒感に見舞われ、股間の中のディルドを締めつけるくらいしかできない。
つらい……。
疼きが……。
なによりも、痒みが……。
そして、便意……。
どんとんと強くなっている。
脂汗が全身に垂れ流れ続ける。
「入口です。行きましょう」
みんなで公園の中に入っていく、
日曜日の夜であるが、まだ夜になったばかりの時間であり、幾つかのベンチには、見知らぬ男女たちふたりの姿もちらほらと見える。緑の多いかなり広い公園だ。
やがて、あゆみは、公園を周回する遊歩道の一角に連れて行かれた。
遊歩道に沿って、公園灯が点在しているが、その公園灯を背にするように立たされる。
そして、あゆみの手首に手錠を残したまま、左右の京子とかおりが手錠を外し、それを公園灯のポールに巻きつけるようにして、あゆみの背中側で接続された。
「ちょ、ちょっと」
あゆみはびっくりした。
ポールを背にして、後ろ手に手錠で拘束されてしまったのである。
「じゃあ、ここでしばらく待っていてください。俺たちは準備をしてきますので」
そして、真夫たちが立ち去る素振りを示す。
あゆみはびっくりした。
「な、なに言ってんのよ、嘘でしょう。ここにひとりで残す気──?」
慌てて追い掛けようとするが、ポールに繋がれている手錠がそれを許さない。
「大丈夫ですよ。サッカーの応援に行っていた組と駅で合流することになってるんです。集まることができれば、戻ってきますから。そのときには、股間とアナルのもの外してあげますよ、それまではひとりで愉しんでいてください。」
真夫がポケットからスマホを出して、なにかの操作をした。
次の瞬間、アナルに衝撃が走った。
「うあっ、やめてよ──」
アナルに挿入され、切迫している便意を辛うじて堰き止めているアナルストッパーが突然に振動を開始したのだ。
まさか、そこも動くとは思わなかっただけに、あゆみが受けたショックは大きかった。
「こっちもサービスです」
そして、前も振動を開始する。
「ひいいっ」
あゆみは太腿からふくらはぎまでの筋肉をぴんと張りきらせて、必死でしゃがみ込むことを耐えた。
「や、やめてくださいまし──。お願い──」
「頑張ってね、あゆみ」
「じゃあ」
「が、頑張ってくれ」
かおり、玲子、京子が代わる代わる声をかける。だが、助けてくれそうにない。
「動かないで待っていてください。まあ、動けないでしょうけど」
「また、会いましょうね」
真夫と恵も声をかけてくる。
そして、五人がいなくなる。
あゆみは、本当に夜の公園に置いてきぼりにされてしまった。
「くっ、くっ……」
あゆみは手錠の嵌まった後ろ手の拳を痛いほど握りしめた。
掻痒感と焦燥感に襲われている股間を襲う振動の快感と、そして、激しい便意に耐えなければならないのだ。
だが、最初のショックが収まると、あゆみはだんだんと忘れていた性感がじわじわと炎のように昂ぶっていくのを感じ始めた。
そこに巨大な便意が襲い続ける。
そのアナルの内側をアナルディルドで激しく掻き回される……。
地獄だ──。
あゆみは朦朧とさえなる苦悶の中で思った。