文化部棟の灯りは、すでに落ちていた。
だが、その一角にあるSS研究会の部室──。さらにその奥に壁に偽装された隠し扉の向こうにある階段とエレベーターがある。
真夫たちは、そこを通って、彼らだけの空間に集まっている。
このところ、いつも調教の拠点として使っていた、地下のプレイルームだ。
広々とした床には、厚手のマットが隙間なく敷き詰められ、天井には部屋全体を照らす明るい照明が備えられていた。
壁際には緊縛用の棚や器具が整然と並んでいる。大浴場も、個室も、今は無音のまま眠っている。
そして、中央には──、真夫を中心に十一人の女たちがいた。
あさひ姉ちゃん──。
玲子さん──。
かおりちゃん──。
絹香──。
梓──。
ひかりちゃん──。
明日香ちゃん──。
七生──。
柚子──。
あゆみさん──。
京子先生だ──。
全員が裸身だった。
肌には湿った熱が宿り、光に照らされて、滴るような艶を帯びていた。
後手に腕を緊縛されているのは、八人。
梓と明日香、そしてあゆみさんだけは、自由な手を持っていた。
この三人を縛らなかったのに、特別な理由があるわけではない。
単に──全員のなかで、比較的エスっ気の強い者たちをそうした、というだけだ。
だが、拘束された者たちも、拒む素振りは微塵もなかった。
むしろ──すべてをさらけ出すことで、昂ぶりを抑えきれないようだった。
真夫は、皆の視線を受けながら、部屋の中心に座っている。
「──今日は、羽目を外す夜だよ」
すでに、その言葉は全員に伝えてある。
誰も異を唱えない。
当然だ。
全員が、うっすらと笑みを浮かべて、顔を赤らめている。
微かに震える肩……。
潤んだ目──。
固く勃起している乳首……。
濡れている股間……。
やたらに舌で唇を舐める者……。
そわそわと落ち着かないように、しゃがんだまま太腿を擦りつける者……。
縛られたまま、無意識に両膝を揃えて、脚を小刻みに閉じたり開いたりする者……。
腰をくねらせて、腰をマットに押しつけるように動いている者……。
あえて目を逸らしながら、頬を赤く染めたまま、呼吸だけが荒くなっている者……。
緊張のなかに、期待が混じっていた。
なにしろ、真夫は、「羽目を外す」という言葉とともに、こっそりと操心術を発動していた。
命令ではない。ほんの少しだけ、心の壁を緩めるだけ……。
羞恥をほどき、快楽に手を伸ばす勇気を与える。
扉を開くだけ。
あとは勝手に、それぞれが淫情のまま自分を曝け出すだけ……。
いまは、真夫が三日前からの一連の顛末について語っていたところだった。
あの豊藤龍蔵は実は傀儡であり、本物の当主は「秀也」だったこと。
秀也は、見た目の年齢が少年で止まっている特殊体質であり、それを利用して高校生の振りをしていたが、実はかなりの高年齢であること。
玲子さんの救出に至った経緯──。
継承の儀を狙って発生した真夫と秀也への同時の暗殺計画。
そして、操心術によって「継承の儀」を乗り越えたこと──。
継承の儀を終え、真夫が豊藤の当主の地位を正式に引き継いだこと。
真夫の代になったあとの、これからの豊藤家の方針……。
だが、その語りも、いまは終わりに近づいていた。
でも、誰もが、待ちきれないように、肌と肌を求め始めている。
女たちの放つ甘く湿った香りだけで、酔いそうだった。……。
彼女たちの愛液と汗と肌の匂いが混ざり合い、この空間を圧倒している。
真夫は、ひとりひとりを見た。
目が合うたび、女たちは、微笑んだ。
それは服従ではなかった。
信頼と、陶酔と、欲望が入り交じった、静かな決意の笑みだった。
愛し合うために、彼女たちはここにいる。
その覚悟……期待が、肌の温度よりも鮮やかに伝わってくる。
「……最後に、渚のことだけど──」
静かに口を開いた真夫の声に、女たちの空気が変わった。
それまで昂ぶりに揺れていた身体が、一斉に止まる。
顔を赤らめていた者たちが、まるでなにかを思い出したかのように、表情を強張らせた。
梓と絹香が、そっと目を伏せた。
言葉を発さない。だが、その沈黙は、語る以上に重かった。
──渚は、この場にはいなかった。
あの継承の儀の夜、真夫を殺すために引き金を引いた少女。
彼女のなかに巣くっていたもうひとつの人格は、すでに完全に封印されている。
二度と表には現れないよう、真夫自身が処理を施していた。
安全は確保されている。
だが、それを全員に伝えることはしていない。
事情を知るのは、梓と絹香、玲子、そしてあさひ姉ちゃんだけだった。
渚が、操心術の類ではない“深層洗脳”と呼べる状態にあったこと。
あの夜の行動も、彼女の意志ではなかったこと。
すべてを“なかったこと”として、いまの関係のままでいこう──真夫は、そう提案した。
そのとき、最初に口を開いたのは、あさひ姉ちゃんだった。
『それは、無理よ、真夫ちゃん……』
穏やかな声だった。けれど、意思は揺らがなかった。
『……たとえ洗脳されてたんだとしても……あの場にいた全員が、渚ちゃんが引き金を引いたのを見てる。……見てしまったのよ。だから、なかったことにはできない』
玲子も、ゆっくりと首を横に振った。
反対の色は濃くなかったが、否定の意思は明確だった。
『受け入れるのは……たぶん、無理だと思います。わたしたちのなかに戻すのは、きっと……』
──真夫は、頷いた。
すべてを見越したうえで、いま、全員に話していた。
「渚は、“ファミリー”には戻さない。……だが、それでも護る。財閥の力で、彼女に関する一切を処理する。あの人格が、どれだけのことをしていたか──殺された者が何人いようと問題にはしない。豊藤なら、それは可能だ」
「……うん、真夫様が、そうするなら。全ての力を使って、そうします」
玲子は頷く。
一方で、絹香は黙っていた。
真夫の言葉に、ゆっくりと瞬きをしただけだった。
──誰にも告げなかったが、実は真夫は渚にも会っている。
一度、全ての記憶を復活し、どうしたいか渚自身にも訊ねてみた。
自分のすべてを忘れたい……。
渚は真夫に願った。
もう、なにも思い出さなくていいようにして欲しい、と。
……だから、真夫は、決めた。
「彼女の中学校三年からの記憶を完全に封じた。……転校させて、普通の高校生活を送らせる。これからのことは、全部こっちで面倒を見る。学費も、生活も、護衛も──豊藤が請け負う。ただし……もう、彼女とは、ほとんど会うこともなくなると思う」
誰も、言葉を返さなかった。
だが、全員の顔に、理解の色があった。
それぞれの思いはあったが、真夫の選んだ決断を──彼女たちは、受け入れたのだ。
「──じゃあ、真面目な話はここまで。……お愉しみは、これからだよ」
そう言って、真夫は笑った。
同時に、再び、操心術を発動させた。
羽目を外すトリガーを、ひとつ深く、ひとつ奥へ……。
羞恥や理性の鍵を外して、欲望の扉をもう一段開ける。
空気が──変わった。
全員の瞳が、とろんとした艶を帯びる。
呼吸が浅くなり、肌がゆっくりと泡立つように、熱を帯びていく。
次の瞬間──絹香に、ふたりが飛びかかった。
明日香ちゃんと梓だ。
いや、二人が飛び掛かったというよりは、明日香ちゃんが絹香にそっと近づこうとしたら、梓が絹香に飛びついたという感じだ。
「わっ、なに?」
「なにじゃないわよ。明日香さん、絹香を捕まえてください。これで、脚を拘束して」
梓が背中から取り出したのは、いつの間にか準備していたらしい、腿と膝を曲げた状態で拘束する足錠だ。
それを二組、絹香の足もとに放り投げると、「電器あんま」をふたつ取り出した。
最初から、絹香を狙っていたのだろう。
「えっ、これ?」
だが、明日香ちゃんは戸惑っている。それを見ていた真夫は、こっそりと明日香のなかにある絹香への「遠慮」のようなものを取り去ってやる。
もともと、親友同士だが、確か、どちらかというと、絹香が責め役で、明日香ちゃんが受け役だったはずだ。あのマゾっ子の絹香が責め役というのは、真夫にはぴんとこないが、実際そうだったらしい。
だが、真夫の操心術で、明日香ちゃんの表情が一変する。
「……そうね。じゃあ、大人しくしなさい、絹香」
明日香ちゃんがすぐに、絹香を押さえつけて緊縛した身体をうつ伏せに押さえつけると、両脚を胸に向かって曲げさせるようにして足枷で固定した。
「な、なんで、わたし──、やめっ、やめて……ってばっ……」
絹香はどちらかというと、真夫に向かって来ようとしていたみたいだが、ふたり掛かりで捕まった感じだ。
また、少し離れた場所では、あゆみさんがひかりちゃんに抱きついていた。
「あっ、ああ、あ、あゆみさん……。い、いやだ──。うわっ、あっ、こ、こすっちゃ」
いつもは男装のひかりちゃんだが、服を脱げば小さいが乳房もあるし、女性器もある。でも、小さなペニス状の男性器もあるのだ。
あゆみさんは、そのひかりちゃんの小柄な身体を、背中から絡めとり、その小さな突起を手で握りしめて、いきなり擦り始めている。
「ふふふ、可愛いわね。婚約者さま、今夜こそ、じっくりと遊びましょうね。簡単には出せないわよ」
身体だけなら、あゆみさんの方がひかりちゃんよりも大柄だ。
しかも、ひかりちゃんには縄掛けまでされている。
あっという間に、ひかりちゃんは押さえつけられて、あゆみさんにされるがままだ。
見ていると、股間だけでなく、お尻の穴にまで指を挿入されている。
「あ、ああっ、だめええっ」
ひかりちゃんは、乱れた髪を烈しく揺さぶりだし、早くも悲鳴のような声を張り上げた。
「可愛い声で泣いちゃって。可愛いったら。わたくし、本当に、真夫さんの奴婢になってよかったわ。こんな愉しみがあるんですもの」
あゆみさんは、暴れようとするひかりちゃんをがっしりと脚で堅め、抱きつくようにして、両手でひかりちゃんの前後を蹂躙している。
それにしても、梓といい、あゆみさんといい、淫魔術で節度を緩めたせいか、いきなり容赦がない。
真夫は苦笑した。
「ああ、真夫ちゃん──」
「ねえ、真夫、可愛がってよ」
「ま、待ってください……。わたしもです」
一方で、いきなり真夫に突撃してきたのが、あさひ姉ちゃんとかおりちゃんと、玲子さんだ。
この三人は比較的、真夫に近い位置にいたのだ。
「ああ、わたしも……欲しいです……。調教を……」
そして、ちょっと遅れて真夫に近づこうとしたのが京子先生。
「あっ、どいてください。あたしがご褒美ですよ──。今回のことは、あたしが一番活躍したんですから──」
そして、柚子だ。
小柄な身体を真夫に集まっている女たちにぶつけるようにして、肩で押して割り込んでくる。
「わっ、なによ、あんた──。なにが活躍よ。どっかに隠れていて、あのおかしな映像を出しただけじゃないのよ。本当に活躍したのは、わたしよ──。なにせ、あの銃声がしたとき、真夫に飛びついたのは、そこの恵と、わたしだけだったんですからね」
かおりちゃんだ。
柚子に肩を押されて、むっとして押し返しながら怒鳴っている。
それはともかく、真夫はあっという間に、五人の女たちに密着させられた感じだ。
そして、ふと見ると、この喧噪のなかで、七生だけがまだ最初の位置から留まったままだった。
「ふふふ、なんだか、愉しいな。身体が熱いし。真夫に犯してもらいたくて堪らないぞ……。いや、苛めて欲しいのかな……。この感じいいな……。なあ、真夫、犯してくれとは言わない。足を舐めてもいいだろうか。今夜は、とてもお前に奉仕をしたい気分なんだ」
すると、七生が真っ赤な顔になっていて、視線の合った真夫を認めて、突然にそんなことを言いだした。
これも、淫魔術による節度を解除したことによるのだろうか。
だが、面白い反応だと思った。
「ああ、いいぞ。あとで相手をするけど、とりあえず、足は空いている。いくらでもいいぞ」
真夫はお道化て、足を大きく伸ばした。
「ああ、ありがたい」
すると、七生が後手縛りの身体をうつ伏せにして、真夫の伸ばした足の指を口にいれて、舌で舐め始めた。
「あんたもよ。割り込まないで、足にしなさい。もうひとつ空いてんだから」
かおりちゃんが足で軽く蹴って、柚子を後ろに押しやった。
「はーい、じゃあ、柚子はこっちの足をもらいまーす」
柚子も、七生が口をつけているもう一方の足を舐め始める。
真夫の周りに六人──。両脚には七生と柚子。前側から乳房を擦りつけているのがあさひ姉ちゃんとかおりちゃん──。背中から後ろ側に玲子さんと、京子先生だ。
真夫は、玲子さんと京子さんを横に抱き寄せて、乳房を掴む。ゆっくりと揉みしだく。
「ふわっ」
「はんっ」
玲子さんと京子先生が弾けるように、裸身をくねらせた。
あの継承の儀の事件の前、真夫はあさひ姉ちゃんと、ホテルのレストランに行き、淫魔術であさひ姉ちゃんのクリトリスの感覚を、グラスに移して擦るということをやってみたことがある。
それを同じように使って、一時的にふたりに乳房をクリトリスの感覚に繋げてやったのだ。
揉まれているのは乳房が、いまのふたりにとって、クリトリスを揉まれるのと同じなのだ。しかも、乳房が大きい分だけ、受ける快感も多いらしい。
ふたりとも烈しくよがっている。
「ああ、あくうっ、はああ、いやあ、ああっ」
「ああ、だめえ、だめです、真夫様──、あああっ」
京子さんも、玲子さんも悲鳴をあげて背中を仰け反らせている。
「なに、あんた、もしかして、操心術を使っている? わたしにも、かけなさいよ。なんか、恵に聞いたら、色々と愉しいことやっているみたいじゃないのよ」
すると、真夫の上半身に肌を擦りつけるようにしていたかおりちゃんが、不意に顔をあがて、そんなことを言い出した。
真夫はびっくりした。
「えっ、操心術を掛けて欲しいのか、かおりちゃん?」
「気持ちよくしてくれるならね。いいから、なんでもしなさい。もう、わたしには、あんたしかいないんだから。その代わり、絶対に捨てないでよね」
「ふふふ、真夫ちゃんは捨てたりはしません……。でも、このあいだは、ありがとうございました。真夫ちゃんだけでなく、あたしのことも身を挺して守ろうとしてくれて」
かおりちゃんと一緒に、真夫に前から抱きついているあさひ姉ちゃんがくすくすと笑った。
「ああ、じゃあ、あんたにも言っておくわ、正妻様……。第二夫人でも、第三夫人でも、第十夫人でもいいけど、わたしの面倒みてよね。一生よ。一生──」
かおりちゃんが、顔をあげて横を向き、あさひ姉ちゃんに言う。
でも、あさひ姉ちゃんは、ちょっと面食らったようになり、そして、ちょっと諦めたような微笑みをかおりちゃんに向ける。
「いいえ、あたしは、真夫ちゃんの正妻になんか、なれないわよ。絹香ちゃんとか、あゆみさんかなあ……とか、真夫ちゃんには話しているんだけど……。そのくらいの立場じゃないと、これからの真夫さんには……」
「はああっ──。ぽんこつの絹香に、あのむっつりすけべえが? あれ見なさいよ。あの絹香とか、ひかり相手に稚児苛め丸出しのあゆみに、正妻なんて駄目に決まってんでしょう。あんたの一択よ──。さもないと、わたしがするわよ──」
ひかりちゃんが怒鳴る。
「え、ええっ?」
あさひ姉ちゃんが面食らった顔になる。
「そもそも、さっきの話によれば、こいつが豊藤の当主になることは、隠すんでしょう。だったら、なおさら、西園寺家の絹香や、京都九条家のあゆみなんか、正妻にできないわよ。成金の白岡家のわたしの方がましなくらいよ。むしろ、あいつらじゃあ、肩書きが邪魔よ。恵が正妻に決まってんじゃない。実際にそうなんだから──」
「えっ、えっ、で、でも……」
「でも、じゃないわよ」
かおりちゃんが大声をあげた。
真夫は微笑んだ。
「じゃあ、そういうことだね」
真夫は言うと、左右で揉み続けていた京子先生と玲子さんの乳房を揉む速度をあげる。
「あああ、はん、いやあ、あああっ」
「だめえ、だめです。いやああ」
乳房をクリトリスの感覚を繋げられている京子先生と玲子さんは、たまりかねているように絶叫して、腰を捩らせた。
そして、後手縛りのふたりの裸身が大きく痙攣し、ほぼ同時に大きな嬌声をだして、女の極みに達してしまった。
「はああっ」
「ああんっ」
真夫の両横でふたりが膝を突いて脱力する。
「じゃあ、かおりちゃんだ。ご要望のとおりに、操心術で悪戯してあげるよ。感度十倍だ。でも、絶頂はできないように、寸止めで静止させる。いくにいけない苦しさのあとで、絶頂させてあげるよ」
真夫は、一度、あさひ姉ちゃんにどいてもらうと、かおりちゃんを対面で真夫を跨ぐようにさせ、かおりちゃんの股間をゆっくりと愛撫する。
「あ、あんた、そんなことできるの──?」
かおりちゃんが目を丸くしている。
「できるよ。もっと、色々なことができる気がするけど、関係のない相手を操るよりも、みんなの身体を操ってセックスする方が、自由自在にできるような気がするね」
真夫は、さっそくかおりちゃんの身体の感度を十倍にしてやる。
「ひんっ、なにこれ──? うわあっ、なにこれ、ああああっ」
かおりちゃんが真夫の前で、がくがくと身体を震わせだす。
なにしろ、感度十倍だ。
風に当たるだけで、達するような感度かもしれない。でも、しっかりと、リミッターを操心術でかけている。
真夫が解除するまで、かおりちゃんは達することはできない。
「あくうっ、それだめええっ、もうもう──ああああっ」
真夫はかおりちゃんのクリトリスを擦っている。
かおりちゃんは、ついに絶頂の仕草を示して、全身を突っ張らせた。
「ああ、だめえ、いけない──。なによこれええ──」
そして、かおりちゃんが悲鳴をあげた。
さっそく、寸止めの操心術が効果を発揮したのだ。
「これからだよ」
真夫はかおりちゃんをさらに抱き寄せて、勃起している男根に、かおりちゃんの股間をあてがい、一気に落とす。
「ふぎいいいっ、いぐうううっ、あがああああっ、いけないいいっ、だめえええ──」
なんといっても、感度十倍だ。
かおりちゃんは、またしても、昇天するような仕草をするが、やっぱり達することができずに、涙目になって烈しく裸身をうねりださせる。
そのときだった──。
「あっ、そう言えば──。真夫先輩──。ご主人様──、あたし、思い出しました──。ほら、二年生の先輩で、モデルをされている相場まり江先輩、知ってますか──?」
真夫の足の指を舐めていた柚子だ。
なにかを思い出したのか、突然にそれをやめて、真夫に詰め寄ってきた。
「な、なによ、あんた──。後にしなさいよ──」
真夫に繋がったままのかおりちゃんが悲鳴をあげている。
「でも、あたし、ちょっと秘密を知っちゃたんですけど、事務所と契約で揉めてるみたいです。でも、相場さん、別の事務所に移るみたいで。それで、その事務所、怪しい連中を使って、相場さんの弱みを作って、なにかするって、連絡しているのを傍受しちゃたんです」
「なんで、そんなこと知ってんのよ──。いや、いい。説明しないで。あっちに行けって──」
かおりちゃんが怒鳴りあげる。
なにしろ、淫魔術で感度を上昇させられているうえに、寸止めで快感を静止されているかおりちゃんは、いま絶頂寸前の状態で止められているようなものだ。
なによりも苦しいだろう。
「面白そうだな。詳しく聞こうか」
真夫は暴れようとするかおりちゃんを抱きしめて押さえつける。
いずれにしても、興味のある話だ。
少し前にやった文化発表会のときの責め絵展示のときには、ひかりちゃんと並んで、あの子も、女性が辱められる絵画に見入っていた。
学園四大美女の意味の四菩薩と称されるひとりの相場まり江が、マゾっ気が強いことはもうわかっている。
いままで、機会がなかったが、十人の奴婢候補のひとりにしていたのは確かなのだ。
「あほおおっ、こんなところで、中断しないでよお」
かおりちゃんが苦悶の悲鳴をあげた。
「あああ、もうやめてええ」
一方で、ひと際大きな声をあげたのは絹香だ。
M字拘束で仰向けにされ、梓と明日香ちゃんに、ふたりがかりで電気あんまで責められて、断末魔のよな叫びをしている。
「ひいいっ、あ、あゆみさん──」
また、別の場所ではあゆみさんに、逆向きに馬乗りにされているひかりちゃんが、股間を責められて、悶絶するような苦悶の声をあげた。
真夫はその光景を眺めながら、かおりちゃんの抗議の声を無視して、柚子から相場まり江のトラブルという話に耳を傾ける。
まだまだ、今夜のお愉しみは、始まったばかりだ──。