※この作品はR-18です。

淫魔王のいる学園【完結】   作:ドン・ドナシアン

26 / 201
第5章  波乱
 26話 突然の啓示


「……ん、んんんっ」

 

 あさひ姉ちゃんが床に付けている横顔を真夫に向けて哀願した。

 顔は真っ赤で、ぼろぼろと涙を流している。

 汗びっしょりだ。

 鼻腔は膨らみ、鼻息も荒い。

 

 一方で、あさひ姉ちゃんの口には小さなハンカチを丸めたものが二枚突っ込まれていて、さらに口を荷物用のテープで塞いでいる。

 真夫が強要したのではない。

 あさひ姉ちゃんが、自分からそうしてくれと頼んだのだ。

 

 真夫が強要したのは、あさひ姉ちゃんの口を塞ぐことではなく、アパートの玄関の前の台所で扉にお尻を向けるように縛られることだ。

 だから、あさひ姉ちゃんは、下半身をすっぽんぽんの状態で仰向けになり、ほうきの端と端に足首を縛られ、さらに左右の手首もその位置に固定されている。

 つまりは、あさひ姉ちゃんは、ほうきの両端に左右の足首と手首を縛られ、大きくお尻をあげた状態で剥き出しの股間を玄関に向けているのだ。

 

 こんな玄関前でお尻の調教を受けろという真夫の鬼畜な命令に対しても、あさひ姉ちゃんは逆らわなかった。

 だけど、「声が洩れないように口を塞いで欲しい」と泣きそうな顔で頼んできた。

 それで、あさひ姉ちゃんの口には荷物用のテープが貼ってある。

 

 真夫は、時計を見た。

 

 十五分……。

 

 やはり、これくらいが限界か……?

 あさひ姉ちゃんのお尻の穴に、改めて掻痒剤のクリームを塗り足して十五分が経過している。

 「じっとしていろ」という命令にも関わらず、あさひ姉ちゃんの腰はかなり激しく左右に動いていた。多分、静止などするのは不可能なのだろう。

 

「……だめだよ、あさひ姉ちゃん。俺はじっとしていろと命令したのに、さっきからあさひ姉ちゃんは、いやらしくお尻を振ってばかりだよ。そんなんじゃあ、尻穴調教はしてあげられないね」

 

 真夫はあさひ姉ちゃんのお尻の横に座るように床に胡坐になっていたが、わざと突き放すように言った。

 

「んんんっ、んんんっ」

 

 あさひ姉ちゃんがすすり泣きのような声を出して腰を動かすのをやめた。

 だが、それでも、ぶるぶると小刻みな震えは残っている。

 

 無理もない……。

 

 このクリームが女体にとって、どれだけ強い痒みを引き起こすかは、あさひ姉ちゃんや玲子さんを相手に散々に試したため、真夫は十分に知り尽くしているつもりだ。

 それをお尻の穴に埋め込むように入れて放置し、すでに十五分……。

 すでに、あさひ姉ちゃんは、真夫にお尻の穴を弄ってもらうことしか考えられなくなくなっているはずだ。

 

 それでいい……。

 

 真夫は、今日はこのあさひ姉ちゃんのアパートで、もっともっとあさひ姉ちゃんを追い詰めるつもりだ。

 ちょっと可哀想だが、真夫はこうやって鬼畜に責めることで、あさひ姉ちゃんの頭から、あんなお父さんのことなんか忘れさせてしまおうと思っている。

 実際のところ、あさひ姉ちゃんは、突如のお父さんの出現にさっきまで落ち込んでいたようになっていたのだが、いまでは、そんな記憶など吹っ飛んでしまっている感じだ。

 

 真夫は小指を突き立てて、あさひ姉ちゃんのお尻の菊の(つぼみ)に、ゆっくりと忍ばせていった。

 クリームが潤滑油になってあまり抵抗を受けなかったが、あさひ姉ちゃんのお尻の穴は入口が狭くて、小指を入れるのもかなり窮屈だった。

 そういえば、駅のトイレでローターを入れたときにも、かなりの抵抗力はあった。

 

「んんっ、んぐううっ」

 

 あさひ姉ちゃんが背中をのけぞらせて、呻き声をあげた。

 痛みを訴える声ではなく、明らかに感じている声だ。

 

 痒みにただれているお尻に指で刺激を受けるのは気持ちがいいのか、あさひ姉ちゃんは真夫がゆっくりと指を前後すると、欲情で真っ赤になっているお尻を大きくうねり始めた。

 

 いずれにしても、これなら大丈夫だ。

 少しほぐれたところで、真夫は指を小指から人差し指に変えた。

 

「んんっ、んんっ」

 

 あさひ姉ちゃんの掲げられているお尻がぶるぶると動く。

 指を入れたり、抜いたりするたびに、尻たぶにえくぼが浮いたり消えたりする。

 

 手を伸ばして、前の穴にも指を入れた。

 

「んふううっ」

 

 あさひ姉ちゃんの女陰は、驚くくらいの蜜で溢れていた。

 真夫が指を入れると、あさひ姉ちゃんがいきなりがくがくと身体を揺らして、絶頂の仕草を示し始めた。

 さっと、前後の穴から指を抜く。

 

「こらっ、じっとしろと言っただろう」

 

 ぴしゃりとお尻を叩く。

 叩くときには手を抜かない。

 力の限り、お尻を平手でひっぱたいた。

 

「んんっ」

 

 あさひ姉ちゃんが痛みに顔をしかめた。

 ただ、その顔はまるで尻を叩かれた痛みさえも、気持ちいいかのようにうっとりとなっている。

 

 いや……。

 

 あるいは、本当に気持ちいいのかもしれない……。

 本当のマゾであれば、好きな相手に受けた痛みは、それさえも最高の快感に変えてしまうのだそうだ。

 

 あさひ姉ちゃんのマゾ度からかなり高いというのは、真夫も知っている。

 もしかしたら、あさひ姉ちゃんは、お尻を叩かれてちょっと嬉しがっている……?

 

 そんな風に思えるほど、あさひ姉ちゃんは欲情しきったような表情をしている。よく見ると、顔にうっすらと笑みさえも浮かべている感じだ。

 

 真夫は、ちょっとあさひ姉ちゃんに意地悪をしたくなった。

 手を伸ばして、あさひ姉ちゃんの口からテープを外して、口からハンカチを取り出す。

 

「あっ、ま、真夫ちゃん……」

 

 猿ぐつわを外されてしまったあさひ姉ちゃんは、狼狽したような声をあげた。

 

「罰だよ。これからは自力で声を我慢するんだよ、あさひ姉ちゃん……。声を出すと、恥ずかしいのはあさひ姉ちゃんだからね」

 

 真夫は横に置いていた荷袋からローターを取り出した。

 そして、微振動をさせると、先端をあさひ姉ちゃんのお尻の穴にあてがう。

 

「あんっ、んんんん」

 

 あさひ姉ちゃんには、真夫がいるお尻側は見えない。

 いきなり、振動をするローターをあてがわれたかたちになったあさひ姉ちゃんは、大きな声をあげた。

 だが、すぐに慌てたように口をつぐむ。

 

 当然だろう。

 壁の向こうは、アパートの住民がとおる廊下であり、しかも、あさひ姉ちゃんの部屋は、道路のすぐ近くだ。

 さらに、まだ昼間であり、恥ずかしい声を迸らせるわけにはいかないはずだ。

 

 両手を拘束されていて、手で口を押さえることのできないあさひ姉ちゃんは、必死の表情で歯を食い縛っている。

 その一生懸命に声を耐えようとしている姿が、真夫の嗜虐心を誘う。

 

「入れるよ……」

 

 真夫はぐいと指でローターを押し込んだ。

 

「あ、あああっ」

 

 あさひ姉ちゃんが、ここが玄関先だということを一瞬忘れたかのように、甲高い声をあげて拘束された身体を弓なりにした。

 真夫は苦笑した。

 

「……そんなにお尻は気持ちいいの、あさひ姉ちゃん? そんな声を出していいの……?」

 

 真夫は意地悪く言うと、リモコンであさひ姉ちゃんのお尻の穴に入っているローターの振動を「微弱」から一気に「中」にする。

 

「んあああっ、ま、真夫ちゃん……。い、いやっ、こ、声が……声が出ちゃうの……あっ、あああっ……あっ……」

 

 あさひ姉ちゃんが全身を悶えさせて泣き声をあげる。

 必死で声を噛み殺そうとしているが、どうしても声が出てしまうようだ。

 快感に苦悶しているあさひ姉ちゃんは、本当に可愛い……。

 

「ローターをお尻から出すんだよ……。さもないと、お尻だけじゃなく、クリトリスを挟むようにして、ローターを貼りつけちゃうよ。そうすれば、絶対に声なんて我慢できないと思うよ……」

 

 真夫は耳元でささやいた。

 

「……あっ、ああ……、ま、真夫ちゃんの意地悪……」

 

 あさひ姉ちゃんは全身を真っ赤にしながら、腰を小刻みに震わせたまま、気張るような仕草をした。

 やがて、ローターの先があさひ姉ちゃんのお尻の穴からぷっくりと顔を出す。

 

「……偉いよ。もう少しだよ」

 

 真夫は言った。

 あさひ姉ちゃんの顔は、すっかりとうっとりと快楽に酔いしれている。

 振動を続けるローターがゆっくりと外に出てくる。

 

「頑張ったね。もう一回だ」

 

 真夫は指でぐいとローターを押し込み返した。

 ローターが、激しく振動したまま、指一本分が完全に潜り直す。

 

「んぐううっ」

 

 あさひ姉ちゃんの身体が弓なりに反り返った。

 

「もう一回だってば」

 

 真夫はあさひ姉ちゃんの生尻を軽く叩いた。

 

「は、はいっ」

 

 すると、あさひ姉ちゃんがすっかり被虐に酔ったような口調で応じた。

 

 真夫がいきんでお尻から出せと命じると、あさひ姉ちゃんは泣きそうな顔をしながら、再び一生懸命にローターをお尻から出そうとする。

 だが、またもや半分ほど出たところで、一気に押し返す。

 あさひ姉ちゃんは悶え狂った。

 

 同じことを十回近く繰り返した。

 あさひ姉ちゃんは、完全に脱力してぐったりとなった。

 全身からは夥しい汗が流れている。

 かなりの荒い息だ。

 

 今度は、「もう一度」と命じる代わりに、もうひとつローターを取り出して、さらに指で押し込んだ。

 その振動のスイッチも入れる。

 

「あ、ああっ、ま、真夫ちゃん……こ、こんなのだめ……。な、中でふたつ……あ、暴れて……ああっ、ま、真夫ちゃん……」

 

 あさひ姉ちゃんが激しく悶えだす。

 そのため、拘束しているほうきがばたばたと動いて、大きく音が鳴った。

 真夫は慌てて、ほうきの柄を膝で押さえて動かないようにした。

 

「……ほら、暴れて恥ずかしいのは、あさひ姉ちゃんだよ。大人しくして……」

 

 耳元で言った。

 あさひ姉ちゃんは我に返ったように口をつぐんで、暴れるのをやめた。

 だが、すぐに腰が動きだして、しかも、さらに大きく震えだす。

 本当に気持ちいいのだろう。

 

 真夫は、さらにもう一個ローターを取り出した。

 これで、たまたま準備していたローターは終わりだ。

 三個目のローターもお尻に挿し込んだ。

 

「んああっ、ま、真夫ちゃん……」

 

 あさひ姉ちゃんは狂乱し始めた。

 だが、もちろん、それだけで終わりじゃない。

 真夫は、三個目のローターも振動をさせた。

 これで、あさひ姉ちゃんのお尻の中では、三個のローターが暴れまわっていることになる。

 

「んぎいいっ、んふううっ、ま、真夫ちゃん……ああ、真夫ちゃん──」

 

 あさひ姉ちゃんは食い縛った口からあられもない声を出した。

 真夫は、ローターが外に出てこないように、あさひ姉ちゃんのお尻の穴にテープを貼った。

 そして、再び、耳元に口を近づける。

 

「……“自分はお尻で感じるアナル奴婢です”……って繰り返して、あさひ姉ちゃん。いいというまでずっと続けるんだよ。そうすると、それが暗示になって頭に擦り込まれて、本当にお尻が一番気持ちのいい場所になるからね……」

 

 真夫は言った。

 喋り終わってから、何気なく口にした自分の言葉に、ちょっと面食らった。

 

 暗示が頭に擦り込まれる……?

 本当に……?

 

 そんなことは知らなかったが、口から溢れ出た言葉は、当たり前のように知っていた知識として、真夫の中に浸透した。

 

 こうやって限界まで追い詰めながら、自分で自分に言葉で繰り返させると、脳がそれを頭に刻み込み、本当に言葉のままの身体になるのだ……。

 なぜ、そんなことを思ったかはわからないが、突然にそんな知識が頭に浮かんだ……。

 そして、それは確かなことだという思いも不意に沸く。

 

 いまでも、それは強い認識として存在している。

 これは催眠術のようなものだが、実際にはまったく異なる……。

 

 洗脳……。

 むしろ、それに近い……。

 

 だが、洗脳だって……?

 どうして、真夫はそんなことを考えたのだろう。

 不思議な感じた。

 

 しかも、真夫には、それができる……。

 なぜか、そんな気がした……。

 そんなはずなどないのだが、不思議にもできるような感じになっている。

 

 よがり続けるあさひ姉ちゃんに接していて、もっともっと苦悶させるために、あさひ姉ちゃんをどうしようもなくお尻で感じてしまう、とってもエッチな身体にしてやりたいと強く考えた。

 それで、もうあさひ姉ちゃんが絶対に、真夫から離れられないように支配したいと思った。

 

 真夫はあさひ姉ちゃんが好きだ。

 あさひ姉ちゃんは、真夫のことを好きだと言ってくれるが、間違いなく、真夫はあさひ姉ちゃんに執着している。

 もちろん、玲子さんも大切だが、あさひ姉ちゃんは特別だ。

 

 誰にも渡さない。

 あさひ姉ちゃんを支配するのだ。

 

 もっと……。

 もっと……。

 

 それを強く思ったとき、突如としてそれができるという感覚が沸いた……。

 なんで……?

 

 真夫は首を傾げるしかなかった。

 

 まあいい……。

 

 真夫は、なぜか頭に浮かんだことを利用して、あさひ姉ちゃんをお尻で感じる「アナル奴婢」に本当にしてあげようと思った。

 とにかく、いまのあさひ姉ちゃんには、さっきのお父さんのことなんて忘れ去ってしまうような強烈な新しい記憶が必要だ。

 

 そして、あさひ姉ちゃんを真夫から離れられなくする。

 

 あさひ姉ちゃんは、真夫のものだ。

 ましてや、あんなあさひ姉ちゃんのお父さんのものなんかじゃない……。

 

 たとえ……。

 

「……さあ、あさひ姉ちゃん……。俺の言うことをきくんだよ……。さっきの言葉を繰り返して……。あさひ姉ちゃんをもっともっと恥ずかしい身体にしてあげる……。二度と俺から離れられないような……」

 

 真夫は促すように言った。

 

「に、二度と……? ほ、本当──? う、嬉しい……。あ、ああ……ま、真夫ちゃん……、う、嬉しい……。あたしを真夫ちゃんから離れられないようにして──」

 

 すると、あさひ姉ちゃんは、突然に極まったかのように、ぶるぶると震えた。

 ちょっと驚いた。

 

「……さあ」

 

 とにかく、真夫はもう一度言った。

 あさひ姉ちゃんは、大きく嘆息すると唇を動かし始める。

 

「……あ、あたしは……お、お尻で……か、感じる……ま、真夫ちゃんの……ア、アナル奴婢です……」

 

「いいというまで続けて──」

 

 真夫はお尻の穴に三個のローターを入れてよがっているあさひ姉ちゃんの股間に前側から手を伸ばすと、クリトリスをぎゅっと押した。

 

「あ、あんんんっ……。あ、あたしは……」

 

 あさひ姉ちゃんが腰を激しく振ってよがりだす。

 

「やめるな。言葉を続けろ──」

 

 真夫はあさひ姉ちゃん怒鳴った。

 あさひ姉ちゃんにお尻の快感を擦り込むのだ……。

 

「……あたしは……あっ、ああっ……ああ……ま、真夫ちゃん……アナル……奴婢……ああっ」

 

 こうやって、お尻に刺激を受けさせながら、激しい快感に襲わせて絶頂させる──。

 それが繰り返されれば、あさひ姉ちゃんは、今度はお尻だけでも達してしまう本当の「アナル奴隷」になる。

 しかも、口にしている自己暗示の言葉……。

 

 あさひ姉ちゃんを支配する。

 身体も心も……。

 

 真夫はそれを強く念じた。

 

「……あ、ああ……あ、あたしは……お、お尻で感じる……んんっ、だ、だめ……こ、声が……。お、お尻で感じる……。感じるようっ、真夫ちゃん──」

 

 あさひ姉ちゃんの声がだんだんと甲高いものになる。

 

 真夫は指に入れる力をじわじわと大きくした。

 なぜか、これであさひ姉ちゃんは、簡単に達してしまうことを真夫は知っている。

 この子供の頃の「秘密の行為」の再現は、あさひ姉ちゃんにとっては、「魔法の指」も同じなのだ。

 

「い、いくうっ──。あ、あたしは真夫ちゃんの──。アナル……ううううっ、ぬひいいっ──んぐうううっ」

 

 あさひ姉ちゃんの声がひと際大きくなった。

 絶頂するようだ。

 真夫はぎゅっとクリトリスにさらに力を入れた。

 

「……ま、真夫ちゃんの奴婢──。奴婢……です……あぐうううっ」

 

 あさひ姉ちゃんががくがくと震えた。

 

「う、うわああっ」

 

 だが、同時に真夫も悲鳴をあげていた。

 なぜか、あさひ姉ちゃんの感じているものが突如として、真夫の心にも入り込んできたような気がしたのだ。

 

 それは凄まじいほどの甘美感と幸福感だった──。

 

 これは、あさひ姉ちゃんの……?

 

 な、なに、これ──?

 真夫は狼狽した。

 

 あさひ姉ちゃんの心を感じる。

 それが真夫の中に流れ入って来る。

 しかも、次から次へと……。

 

 怒涛のように入って来る大きな感情に、真夫はパニックになりそうになった。

 

 あさひ姉ちゃんの孤独……。

 寂しさ……。

 嫌悪感…。

 心の飢え……。

 不安……。

 緊張……。

 悲しみ……。

 恐怖……。

 怒り……。

 

 あらゆる負の感情……。

 

 だが、一転して正の感情……。

 それは喜び……。

 

 たくさんの負の感情に比べれば、正の感情はただひとつ……。

 

 喜び……。

 あるいは、愛情と言い換えられるかもしれない。

 

 ただひとつ……。

 

 だが、たったひとつでも、無数の負の心を圧倒して、さらに余りある巨大な感情だ。

 それが真夫にも押し寄せる。

 

「うわあああっ」

 

 真夫は叫んでいた。

 

 襲ってくる。

 流される──。

 包まれる──。

 

 それがなにだかわかった。

 真夫自身だ。

 

 あさひ姉ちゃんの中にある真夫自身だ。

 それに対する凄まじいほどの悦びの感情に真夫は潰されそうになった。

 

「いぐううっ」

 

 あさひ姉ちゃんの声がした。

 

 意識を現実に戻す。

 あさひ姉ちゃんが拘束されている身体を限界まで反り返らせている。

 大きな絶頂感にあるのは明白だ。

 

 そして、真夫もまた大きな白いものに包まれる……。

 

 意識が……。 

 ああ……。

 

 しかし、真夫はその中に引きずり込まれそうになるのを辛うじて耐えた。

 津波のような感情の迸りを壁のようなもので閉鎖し、あさひ姉ちゃんとの心の繋がりだけを残す。

 

 なんとか成功する。

 

 真夫は我に返った。

 

 気がつくと、大きな絶頂感により、あさひ姉ちゃんは意識を失ったようになっている。

 そんなに大きな快感だったか……?

 

 真夫は、慌てて三個のローターの振動をオフにした。

 あさひ姉ちゃんの身体ががくりとなる。

 

「あ、ああ……ま、真夫ちゃん……」

 

 あさひ姉ちゃんは、すぐに目を開いた。

 その瞳は完全に潤んだようになっていて、真夫をうっとりと見つめてくる。

 

 そのとき、すぐ近くのアパートの扉がとんとんを外から叩かれた。

 

 真夫もどきりとしたが、あさひ姉ちゃんは大きく目を見開いた。

 なにしろ、あさひ姉ちゃんは、その扉に剥き出しの生尻を向けたまま動けないのだ。

 

「……朝比奈さん、回覧板よ」

 

 外から声をかけたのは、中年くらいの女性の声だった。

 おそらく、同じアパートか、あるいは、近所に住む人だろう。

 

 真夫はにやりと笑った。

 そして、ローターのリモコンをあさひ姉ちゃんの視界に入るようした……。

 

 さらにローターのスイッチをオンにするボタンの上に指を置く……。

 あさひ姉ちゃんが目を見開いたまま、激しく首を横に振った。

 

 真夫は微笑んだまま、スイッチをオンにした。

 微振動だが、あさひ姉ちゃんのお尻の中に入りっぱなしのローターが三個とも再び動き出す。

 

「はい、お待ちください」

 

 真夫は返事をした。

 そして、外から中が見えないように、扉を開いて外に出る。

 だが、少しだけ扉を開けておく。

 回覧板を持って来た中年の女性が、真夫の姿を見てびっくりした顔をしている。

 

「あらっ? 朝比奈さんは?」

 

 怪訝な表情をしている中年の女性に対して、真夫は引っ越しの手伝いにきたあさひ姉ちゃんの友人のひとりであり、あさひ姉ちゃんはトイレに入っていると応じた。

 

「引っ越し?」

 

 そのおばさんは、あさひ姉ちゃんがアパートを引き払うことは知らなかったようだ。

 真夫の言葉に、とても驚いている。

 

 一方で、真夫はちらりと扉の隙間から部屋の中に目をやった。

 よくは見えないが、あさひ姉ちゃんのお尻のようなものが見えた気がした。

 おそらく、こっちの声は聞こえるだろう。

 だから、あさひ姉ちゃんは少し扉が開いていることには気がついているはずだ。

 

 おそらく、必死で声を耐えているに違いない。

 ちょっとでも声が洩れれば、このおばさんは、強引にでも中を覗くかもしれない。

 真夫は、部屋の中でお尻の快感と必死で戦っているはずのあさひ姉ちゃんの姿を想像して、ローターの振動を「微弱」から「強」にした。

 

 がたん──。

 大きな音がする。

 かすかなあさひ姉ちゃんの呻き声も聞こえた気もした。

 

「あらっ? なにかペットでもいるの?」

 

 目の前のおばさんが、首を傾げながら中を覗こうとした。

 真夫はそれを身体で阻止し、「手伝いの仲間が何人かいます」と答えてから、回覧板を受け取った。

 すると、おばさんが、「じゃあ、朝比奈さんによろしくね」と言って戻っていった。

 

 部屋の中に戻った。

 あさひ姉ちゃんは、ぶるぶると震え続けていた。

 真夫は、今度はしっかりとアパートの扉を閉めた。

 ふと見ると、さっきの絶頂の直後以上の樹液が、大きく開いた股の真下の床に拡がっている。

 

「回覧板だそうだよ、あさひ姉ちゃん……。よく頑張ったね」

 

 真夫はあさひ姉ちゃんの顔側に移動すると、真夫の顔が見えるようにした。

 あさひ姉ちゃんの顔は蒼白だった。

 それでいて、顔は淫情しきっていた。

 しかも、だらしなく涎も垂れて、充血した眼からは涙がぼろぼろとこぼれている。

 相当の興奮だったのは明白だ。

 真夫はほくそ笑んだ。

 

「……ま、真夫ちゃんのい、意地悪……。も、もう、とめて……。こ、怖い……。こ、声なんか、我慢できない……。あ、ああっ」

 

 あさひ姉ちゃんが必死の口調でささやく。

 その言葉の途中途中で、ローターにお尻を責められている快感で喘ぎ声が洩れ出てくる。

 本当に可愛い……。

 

「でも、いまので軽くいっちゃんたんじゃないの、あさひ姉ちゃん?」

 

 真夫はからかった。

 

「ああ、真夫ちゃんの意地悪……」

 

 すると、あさひ姉ちゃんの顔が泣きそうな顔になった。

 どうやら、図星だったようだ。

 

「意地悪じゃないよ──。どうして、そんなにお尻が感じるの、あさひ姉ちゃん? あさひ姉ちゃんが変態で、いやらしいからでしょう。だから、そんなに感じるんだよ。それを人のせいにするなんて──。これは罰だよ」

 

 真夫はぴしゃりと尻を手で叩いた。

 

「あ、ああっ」

 

 あさひ姉ちゃんが欲情した声をあげた。

 

「さあ、もう一度、さっき教えた言葉をいってごらん。もっと、もっと刻み込もうね」

 

 真夫はまたお尻を叩いた。

 そのとき、あさひ姉ちゃんの身体が硬直するように伸び、そして、小さく震えた。

 もしかして、いまのでもいった……?

 

 これには真夫はちょっと驚いた。

 

「……あ、あたしは……ま、真夫ちゃんの……ア、アナル……奴婢……で、です……。あ、あたしは……」

 

 あさひ姉ちゃんが小さな声で呟き始める。

 完全に酔ったような感じだ。

 真夫は満足した。

 十回ほど繰り返させる。

 真夫は、もう終えていいと言った。

 

 これでいい……。 

 

 おそらく、「真夫のアナル奴婢」という言葉は、あさひ姉ちゃんの心と身体にしっかりと刻み込まれた。

 根拠はないが、そんな気がするのだ。

 とにかく、真夫は満足した。 

 

「……よくできました……。ご褒美だよ……。まだ、後ろは無理と思うけど、いつかお尻でもセックスするからね。なにしろ、あさひ姉ちゃんは俺のアナル奴婢だものね」

 

 真夫はあさひ姉ちゃんの背後に回ると、素早くズボンと下着をおろして、あさひ姉ちゃんのどろどろに濡れたヴァギナに怒張を貫かせた。

 

 あさひ姉ちゃんの粘膜に包まれるた穴の中は、とても熱くて、びっくりするほどにびしょびしょだった。

 そして、興奮したあさひ姉ちゃんがぐいぐいと一物を締めつけてくる。

 しかも、皮膚の薄い壁越しにローターの振動も伝わって来る。

 真夫もさすがに、いきそうになり、すぐには動かさずに、少しのあいだ静止しようとした。

 

「だ、だめえっ、真夫ちゃん──。ま、真夫ちゃん──」

 

 しかし、あさひ姉ちゃんが、快感をむさぼるように腰を激しくがくがくと振った。

 真夫は苦笑して、ぴしゃりとあさひ姉ちゃんの横尻をはたいた。

 

「動くんじゃない、雌犬め──」

 

 真夫は罵倒した。

 もちろん、演技だ。

 あさひ姉ちゃんが歯を噛み鳴らすような仕草をしながら、悶えるのをやめた。

 だが、すっかりと追い詰められているのは間違いないようだ。

 

「……も、もっと……」

 

 そのとき、あさひ姉ちゃんの口から無意識で迸ってしまったような言葉が洩れた。

 真夫はにやりとした。

 

「雌犬め、だったら、声を張りあげろ──。どこまでも聞こえるような声でよがってみせろ──」

 

 真夫は怒張を貫かせたまま、反対の尻を横から叩いた。

 

 もちろん、ただ辱めるだけの言葉だ。

 いくらなんでも、本当にあさひ姉ちゃんが、薄いアパートの壁があるだけのこの部屋で、大きな嬌声をあげるとは思っていない。

 

「あ、ああ、き、気持ちいいの……。ま、真夫ちゃん、気持ちいい──、いぐうっ、いくううっ」

 

 だが、その直後、あさひ姉ちゃんは本当にどこまでも聞こえるような大声で叫んだ。

 真夫は心の底から驚愕して、あさひ姉ちゃんの口を手で塞いだ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。