※この作品はR-18です。

淫魔王のいる学園【完結】   作:ドン・ドナシアン

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 31話 理事長代理の啖呵

「おい、工藤玲子──。お前、覚悟はできてんだろうなあ──」

 

 そのとき、突然に激しい剣幕の声が背後からした。

 玲子は振り返った。

 そこにいたのは、竜崎康弘だ。

 身長が二メートルに近い巨漢の男子生徒であり、一応は学園の柔道部の主将でもある。

 もっとも、玲子に言わせれば、身体が大きくて力が強いだけのただのデブであり、そのくせ、身の程知らずにも、自分を無敵だと思っている阿呆であって、なにかにつけ学園に盾突いてくる厄介な子供だ。

 しかも、こんなお坊ちゃんお嬢ちゃん学園で馬鹿馬鹿しいが、本人はこの学園の番を張っているのだと主張しているらしく、いつも子分替わりの柔道部員を取り巻きとして連れている。

 いまもふたりの二年生を後ろに従えており、玲子を見つけると、威嚇するように三人で玲子の目の前に立ちはだかった。

 

「覚悟?」

 

 玲子はできるだけ冷笑的な印象を与えるように、竜崎に顔を向けた。

 竜崎の背は玲子の頭ふたつ分は大きいので、どうしても見上げる体勢になる。

 

「お前、俺の荷物を勝手に外に出して、A級生徒寮に移動させやがったな。しかも、俺をS棟に入れなくしただろう。ふざけんじゃねえ」

 

 竜崎が大きな声で怒鳴った。

 玲子は、小さく嘆息した。

 この手の手合いは大人も子供も同じだ。

 耳元で大きな声を出せば、玲子のような若い女なら、すぐに怖気づいてしまうと思い込んでいるのだろう。

 だが、これでも、玲子は修羅場を数限りなく潜り抜けている。

 十七か十八の子供に怒鳴られたくらいで、一瞬でも怖がってしまうような可愛げは持ち合わせていない。

 

「わたしは、最後通告を何度もしたはずだけどね、竜崎君。あなたは、S級生徒からA級生徒になったので、寮の荷を昨日までに移動させろと、わたしは文書でも口頭でも告げたわ。そして、こうも言ったわ。今日の朝までに、荷が部屋から出ていなければ、全部、ごみとして処分するとも……。まあだけど、特別の温情で捨てはせずに、A級寮の部屋への移動の処置をこっちでしてあげたのよ。感謝して欲しいわね」

 

 玲子は言った。

 実は、この竜崎隆弘は、昨日までは特別寮生徒、いわゆるS級生徒だったが、真夫をS級生徒として迎えるために、玲子の裁量でA級に格下げをしていた。

 こんな粗暴な男でも、実家からの学園に対する寄付金については、同じS級生徒の加賀豊と金城光太郎に次ぐ、三番目であり、それを理由として、これまではいわゆる「五人組」と称されている五人限定のS級生徒のひとりにしていたのだ。

 

 竜崎隆弘をA級に格下げすることについては、すでに実家の竜崎家には承知させているが、当の本人はそれを納得せず、なかなか荷を移動させずに、あてがわれた部屋に竜崎は居座り続けた。

 それで今日、竜崎が授業に出席しているあいだに、竜崎の部屋から荷をA級生徒用の部屋に移動させ、寮に入ることのできる者の認証リストから削除した。

 授業が終わって、特別寮に戻ろうとした竜崎はそれに気がついたのだろう。

 だから、怒り心頭に達したような顔をして、理事長室にやって来る途中だったというところに違いない。

 

「俺はS級だ。理由のないA級への降格は認めねえぞ。そう言ったはずだ」

 

 竜崎が吠えた。

 玲子は鼻で笑ってやった。

 まあ、ここまで感情的になる理由もわからなくもない。

 学園内における特別恩恵生徒の権力は大きい。

 なによりも、特別恩恵生徒、すなわち、S級生徒でしか使えない施設などもたくさんあり、それをS級生徒は、ほかの生徒に一時的な使用許可を与えることができるのだ。これを生徒たちは「恩恵」と呼んでいるようだ。

 そのほか、同じような権限はいくつかあり、自然とS級生徒には取り巻きのような存在ができあがっていく。

 だが、竜崎はS級生徒でなくなったために、これまでの取り巻きたちに「恩恵」が与えられなくなったのだ。

 もともと、性格のいい男ではないし、すぐに人も離れていくと思う。

 玲子の知ったことではないが……。

 

「学園の規約をよく読むのね。生徒の等級については、学園の理事会において、成績や実家の学園に対する貢献度、そのほか、さまざまな要因を総合判断をして、学園側が自由に決定することになっているのよ。異議は認めらないわ──」

 

「なんだとおっ」

 

「それと、あなたは、いま理由がないと言ったけど、たったいま、あなたは、理事長代理であるわたしを呼び捨てにして、そうやって悪し様に罵るような行為をしたわ。降格処分として十分な理由よ。さらにB級に落とされないだけ、ありがたく思いなさい。それ以上、つべこべ言うと、本当にB級に落とすわよ」

 

「お、お前、竜崎家が学園に対して、どれだけ貢献しているかわかってんだろう。言っておくが、こんなことは認められねえぞ。加賀や金城にも言って、連中の実家からの寄付金も停止させる。そうなったら、学園がどうなるかわかってんのか──?」

 

 竜崎は声をあげた。

 玲子は嘆息した。

 どうして、このくらいの年頃の若者は、実家の力をまるで自分自身の能力であるかのように振る舞うのだろう。

 誰ひとりにも頼らず、自分自身の力でやってきた玲子としては、二言目には、実家の力のことを持ち出したがる、この学園の生徒たちの傾向には鼻白むものがある。

 

 いずれにしても、この竜崎が、S級生徒であって学園の二大派閥の首領的存在である加賀豊と金城光太郎に影響力を持っているはずもなく、三人で結託するというのは、彼特有のはったりか、あるいは、自意識過剰の思い込みなのかもしれない。

 

 そのとき、さっきまでいた生徒指導室の戸が開いた。

 現われたのは、灰色のC級生徒用の制服を身に着けたかおりだ。

 ここにいた者のほとんどは、かおりには注目はしなかったが、かおり自身ははっとしたように、スカートの裾を押さえる仕草をした。

 玲子が下着を取りあげたために、制服を直接に身に着けるしかなかったかおりは、かなりの短い丈のスカートの内側をノーパンでいるのだ。

 いずれにしても、この場を離れる方向は、竜崎たちが廊下を阻むようにしている。

 かおりは身を隠すように、壁に張りついて離れた場所で立った。

 

 まあいい。

 とにかく、これで真夫を迎える準備はできた。

 ただ、このかおりについては、これからもしばらくは、しっかりと監督をした方がいいだろうと思った。

 

「好きにしなさい、竜崎君。じゃあ、わたしは忙しいから」

 

 玲子はきびすを返そうとした。

 しかし、肩を後ろからがっしりと掴まれた。

 

「待てよ、話は終わってねえ」

 

 強い力だ。

 だが、さすがに身体を掴まれるという暴力に、玲子はかっとなった。

 思い切り払いのけてやろうと思ったが、玲子の力では丸太のような腕に対してびくともしない。

 そのまま、竜崎はぐいぐいと玲子の肩を掴む手に力を入れてくる。

 玲子は痛みで顔をしかめた。

 

「おいおい、生徒会二役の目の前で、理事長代理に暴力を振るうのか、竜崎? 降格どころじゃ済まねえぞ」

 

 声をかけてきたのは、まだ生徒会室の前で絹香と一緒に立っていた秀也だ。

 粗暴な竜崎だが、かねてから秀也の言うことには大人しく従う。

 あるいは、秀也の操心術を使っているのかもしれないが、いまも秀也の一言で竜崎は、すぐに大人しく玲子の肩から手を離した。

 

「へっ、暴力なんてとんでもねえよ。俺は、ただ理事長代理殿と話をしているだけだぜ」

 

 だが、態度は大きい。

 竜崎は馬鹿にしたように笑いながら、両手を秀也たちに拡げてみせた。

 

「……そうだ。お前たちからも、ちゃんと説明してくれよ、秀也に西園寺──。今回の突然の等級変更は、学園側による生徒自治への不当なる介入だ。生徒自治会として、正式の不服申し立てをするとな。例の書類は、早速、生徒会から理事会に通知しろよ。頼むぜ──」

 

 竜崎は、今度は秀也と西園寺絹香に向かって脅すように怒鳴った。

 生徒自治会とは、名目的なものにすぎないが、生徒代表でもある生徒会が、自治会として生徒側の総意という形式で、要求や抗議などを正式に学園側に行う制度だ。

 生徒会が自治会も兼ねており、どうやら竜崎はその生徒自治会を通じて、正式抗議をさせようとしているのようだ。

 生徒自治会からの文書申し立てには、学園側からも正式に文書回答を行うという決まりだ。

 一応は生徒自治会を通じての抗議となれば、玲子も門前払いというわけにはいかず、それなりの形式による回答を求められる。

 しかし、秀也は首を傾げた。

 

「例の書類? なんのことだ、会長? もしかしたら、あんたは知っているのか?」

 

 秀也が絹香を見た。

 絹香は小さく肩を竦めた。

 

「この竜崎君からの申立書という内容のものがわたしに届けられたのは事実よ。もっとも、あんなもの認められないから、すぐにシュレッダーにかけました」

 

 絹香はあっさり言った。

 

「な、なんだと──。あ、あれは正式の申立書だぞ。それを勝手に捨てただって──? ふざけんなよ、西園寺」

 

 竜崎が怒りで真っ赤な顔になった。

 横で秀也はぷっと噴き出している。

 西園寺絹香がすっと前に出た。

 

「残念ながら、あんなものは正式の申立書とは認められないわね。あれは、あなた自身の直筆じゃないわね。誰かに代筆させたでしょう? 生徒自治会を通じる申立書は、原則として申立者本人の直筆によらねばならない──。その条文に違反しているわ。だから、受理はしませんでした」

 

 絹香は竜崎を見下すような口調で言った。

 

「お、俺の字じゃねえだと──。な、なんで、そんなことわかんだよ……。まあいい……。わかったよ。じゃあ、俺が書きゃいいんだな。すぐ書くから、お前ら手続きしろ──」

 

 しかし、絹香は鼻を鳴らした。

 

「何度出しても同じよ。今度は別の理由をつけて却下してあげるわ。そもそも、わたしは、今回S級生徒があなたからほかの者に入れ替わるということに賛成なの。前から思っていたけど、あなたは少しうるさいのよね。わたし、下品で粗野なのは好きじゃないのよ。はっ──。S級生徒が入れ替わる──? 個人的に大賛成よ。S級生徒には、それに相応しい品格というものがあるはずよ。あなたって、どう見ても品格不足だから」

 

 西園寺が馬鹿にしたように笑った。

 玲子のお株を奪われたような絹香の物言いに、玲子は思わず苦笑してしまった。

 

「ひ、品格不足だと──? 言いやがったな、西園寺──。今度、俺と入れ替わるのは他校からの転校生だろうが──。そのどこの馬の骨ともわからねえ奴と比べて、この竜崎隆弘が品が落ちると言ってんのか──」

 

「そうじゃないように聞こえたの、竜崎君? やっぱり、あなたって五人組のひとりとして、学園の顔になるには力不足よ。とにかく、大人しくしなさい。あなたがS級生徒でいられたのは、あなた自身の品格でも能力でもなく、あなたの実家が学園に多額の寄付をしていただけのことなんでしょう? だったら、もっと実家に力のある転校生が来れば、等級をさげられるということもあるわよ」

 

 絹香が竜崎に言った。

 竜崎はますます怒りで顔を赤くしている。

 

「新しい特別生徒は孤児です。特別生徒に相応しいなど、とんでもないわ」

 

 そのとき、突然に別の場所から声がした。

 離れて立っていた白岡かおりだ。

 玲子は内心で舌打ちした。

 別段に、真夫が孤児であることを隠すつもりもなかったが、あえて拡めるつもりもなかった。

 このかおりは、黙って竜崎と絹香の会話を耳にしていて、真夫が孤児であることをぶちまけた方が、自分に有利になるかもしれないうと考えて、それを喋ったに違いない。

 

 玲子はその性根が気に入らなかった。

 これも後でしっかりと罰を与えてやろうと思った。

 

「こ、孤児だと──? おい、玲子、お前、よりにもよって、俺を孤児と入れ替えるというのかよ──? いや、そもそも、この学園にそんな素性の者が入って来るのか? しかも、S級生徒として──? ちゃんと説明しろよ、玲子──」

 

 竜崎が声をあげた。

 だが、玲子の我慢もこれまでだ。

 玲子は竜崎に指を突きつけた。

 

「竜崎隆弘君──。あなたは、理事長代理であるわたしを何度も呼び捨てにするけど、それだけで、あなたを停学にする理由に十分なのよ。今度転入する真夫君の素性など、あなたに説明する理由もないし、そのつもりもありません。一秒以内に、わたしの視界から消えなさい──。それと、白岡かおり──。あんたもよ。C級生徒になった、あんたにはやることを命じたはずよ。それとも、わたしにこの機器を操作させたいの?」

 

 怒鳴った。

 玲子は、鞄からスマートフォンを取り出した。

 かおりの羞恥動画が入っている機器だ。

 ほかの者には、なんのことしかわからないだるうが、かおりにはこれで十分だ。

 かおりの顔色が変わるのがわかった。

 

 一方で竜崎は、いまにも殺すような目で玲子を睨みつける。

 

 結局、竜崎たちとかおりは、それ以上は口を開くことなく、そのまま立ち去っていった。

 ふたりがいなくなると、玲子は大きく嘆息した。

 

「……工藤さんも、あんな啖呵を切るんですね。覚えておきます」

 

 すると、絹香が驚いたように言った。

 

「先に部室に行ってろ、絹香」

 

 そのとき、秀也が声をかけてきた。

 絹香が頷く。

 

「うっ」

 

 だが、次の瞬間、突然に絹香が股間を押さえるようにして、両膝をがくりと曲げた。

 はっとした。

 

 これは、間違いなく、淫靡な悪戯を秀也が絹香に仕掛けたに違いない。

 絹香はなにかを懸命に耐えるように、下半身を小刻みに震わせるようにしている。

 しかも、秀也はたったいま、絹香に「部室に行け」と告げた。

 秀也が部室というのは、秀也が「SS研」と呼んでいる表向きには「社会科学クラブ」という名称になっている部活動のことだが、実際には、秀也の愛人倶楽部そのものだ。

 

 やはり、この秀也は、生徒会長であり、四菩薩とも称されているらしい学園を代表する美少女のひとりである西園寺絹香を愛人にしているのだと思った。

 

 つまりは、性奴隷に……。

 

 絹香は明らかにおかしな仕草で、よろけるように廊下を立ち去っていく。

 玲子は、秀也の右手がずっとズボンのポケットに入ったままであることに気がついていた。

 秀也がさっきからポケットの中でなにかを操作する仕草を続けていることも……。

 

「転校前から真夫も大変だな。いろいろと前途多難だ。まあ、絹香くらいには、真夫の味方になるように言っておくよ。承知のとおり、俺もいろいろと忙しくなるしな。真夫のことを気にかけてもいられねえのさ」

 

 ふたりきりになると、秀也がからかうような口調で玲子にささやいた。

 秀也が忙しくなると言っているのは、玲子の代わりに龍蔵の秘書の仕事をすることになったことを言っているのだろう。

 もっとも、真夫がもっとも注意すべきなのは、この秀也に対してだと玲子は思っている。

 口では真夫の味方のようなことを言うが、やはり、この少年が本当はなにを考えているのかまったくわからない。

 

 ただ、生徒会長の西園寺絹香が真夫の味方になるように処置するという申し出はありがたい。

 真夫が孤児院出身だというのが、すぐに学園に拡がってしまうのは間違いない。

 上流意識の高い生徒の多いこの学園では、それだけで真夫や恵に対する風当たりは強くなるだろう。

 そんな状況の中で、西園寺絹香ほどの女生徒が真夫の味方になってくれるのであれば、かなり、真夫も楽になるだろう。

 玲子は素直に受け入れることにした。 

 

「……そうしてもらえると助かります……。それにしても、もしかして、西園寺さんはSS研だったんですね?」

 

 玲子は訊ねた。

 SS研に所属する女生徒であるということは、秀也の愛人であることにもなるはずだ。

 

「まあな……。よければ、お前も入らないか? 別に教師でも、理事長代理でも、入部資格に問題はねえ。SS研は喜んで、あんたの入部を受け入れるぜ」

 

 秀也が笑った。

 玲子は肩を竦めた。

 

「……折角の申し出ですけど……」

 

 玲子は断った。

 秀也に躾けられていた以前ならともかく、いまの玲子は龍蔵にも認められた真夫の正式の奴婢だ。

 どうして、秀也の愛人倶楽部になど……。

 

「そう言うなよ。玲子……。実のところ、俺はSS研をやめるつもりなんだ。さすがに、伯父貴のところで修行をするとなると、放課後にこうやって遊んではいられねえしな。だが、やめるのはいいが、そうなると、一応は俺の後釜が必要になる。いま所属する女生徒はふたりなんだが、真夫が俺の後を継いでくれるのが一番いいように思うんだ。これは本気だぜ。一応の正式部長は、さっきの絹香だが、絹香には新部長に真夫を推薦しておく……。なあに、あいつは俺の命令には逆らわねえ。そのうちに、絹香から真夫にアプローチでもさせるさ」

 

「SS研を真夫様に?」

 

 玲子は驚いた。

 秀也は本気だろうか。

 つまりは、自分の愛人を真夫に譲りたいという意味にも聞こえるのだが……。

 

「もちろん、真夫が承知すればだぜ。もっとも、これは無理強いはしねえ。だが、伯父貴にも話してみたが、伯父貴は真夫が帝王学を学ぶ舞台として、SS研もいいだろうと言ってる。承知のとおり、あの伯父貴の帝王学は特別だからな」

 

 秀也は笑った。

 確かに、豊藤財閥の首領である豊藤龍蔵は特別な感性の帝王学論の持ち主だ。

 

 すなわち、女を鬼畜に性で支配することで、他人を支配するということがどういうことなのかを学ばせるというのだ。

 そのための材料にされたのが玲子であり、龍蔵が調教レイプを真夫にさせようとしている白岡かおりだ。

 また、玲子が龍蔵の手元から離れると同時に連れて来られたあのナスターシャは、秀也に対する帝王学教育の一環のためだろう。

 

 だから、真夫がこの学園で複数の女を支配する場所として、秀也が使っていたSS研の部室を使わせるとともに、秀也の女をそのまま、真夫にも支配させるというのは、いかにも龍蔵が気に入りそうな案のようにも思った。

 

「まあ、頃合いを見て、絹香から勧誘させる……。それよりも、さっきの話だ。俺がやめて、真夫がSS研の主人になれば、お前はSS研に入るか?」

 

「それは、多分……」

 

 玲子は答えていた。

 SS研の部室の中に入ったことはないが、この秀也の性癖を考えると、ただの愛人部屋ではない気もする。

 いわゆる「調教部屋」のような造りになっているのではないかと思う。

 

 そこで、真夫に辱められる……。

 もしかして、この理事長代理としてのスーツのまま……。

 それとも、想像もできないような恥ずかしいことされる……?

 玲子はなんだか、頭がぼうっとなってしまった。

 

 だが、思念は秀也の高笑いで中断させられた。

 玲子は、つい恥ずかしい想像をしてしまったことに、顔を赤らめてしまった。

 

「やっぱり、お前はすっかりと色呆けだよ。さっき竜崎相手に、威勢のいい啖呵を切った女と同一人物とは思えねえぜ」

 

 秀也は笑いながら、立ち去っていった。

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