※この作品はR-18です。

淫魔王のいる学園【完結】   作:ドン・ドナシアン

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 32話 固定された絶頂

「じゃあ、生徒会長殿の尻振りダンスを見せてもらうか」

 

 椅子に座っている秀也が手元にあるリモコンを押したのがわかった。

 

「ひいっ……う、ううっ……」

 

 次の瞬間、革の貞操帯の内側で蜜部に埋め込まれているバイブが淫らな蠕動を開始して、絹香は両手を吊られている身体をがくりとのけぞらせた。

 

「もうひとつだ」

 

 ショックを噛みしめる間もなく、尻穴を犯されているバイブもまた回転運動を始める。

 またもや、大きくのけ反り、絹香は両手を吊りあげている鎖をほとんど無意識に握りしめていた。

 制服の下で装着されている貞操帯には、二本のバイブがついていて、それは絹香の股間と菊穴にしっかりと埋まっていた。しかも、挿入する前に秀也によって、たっぷりと媚薬を塗られていて、それがいやらしい運動を始めると、絹香は秀也のからかいのとおりに、はしたない腰振りをしてしまう。

 

 「SS研究部」と称する文化部の部室の並ぶ棟の一室だった。

 SS研究部、すなわち、“Social Sciences”研究部は、一応は名目上は、人間社会におけるさまざまな面を科学的に探究することを目的とした文化部であり、人類学、考古学、経済、歴史、地理、あるいは集団行動心理などを総合的に体系化することを活動の趣旨としてたが、創始者の秀也は、“SM Split”の略だと称していて、実際には秀也の言葉のとおり、秀也が絹香や、あるいは、もうひとりの部員である前田明日香が秀也とSMプレイをするための場所だった。

 

 この秀也が一体全体、本当は何者であるかは知らないが、秀也は自分の性的な好奇心を満足させるための場所として、この文化部棟の一角を手に入れ、しかも、そこにほとんどの者に知られていない地下室を繋げて、そこに「プレイルーム」を作っているのだ。

 SS研は文化部棟の二階の端にあり、なんでもない文化部の体裁をとっている一室から隠し階段を下ると、この地下のプレイルームに辿り着けるようになっている。

 

 絹香は、今日久しぶりに生徒会室にやってきた秀也に連れられて、このSS研にやってきた。

 そこで、制服のまま両手に手錠をかけられて、その手錠を天井から伸びる鎖に繋がれたのだ。

 床に両足はついているものの、両手は引きあげられて立っている姿勢を崩せない。

 その状態で、秀也は絹香を眺める体勢で椅子に座り、絹香に装着させている貞操帯の内側の二本のバイブを操作し始めた。

 

「あ、ああっ、あううっ」

 

 皮一枚を隔てて、粘膜と粘膜がこれでもかとばかりに攪拌される。

 口からあられもない声が洩れ続ける。

 

「明日香に乳を揉ませて、レズプレイを見物したいところだがな。あいつは大会の前で忙しいんだとよ。片手だけ外してやる。その代わり、自分の手で制服の下に手を入れて乳房を揉め」

 

 秀也が別のリモコンを操作した。

 すると手錠の右手の部分の電子ロックが外れて、片手が自由になる。

 

「早く、モミモミしろよ、会長」

 

 秀也がにやにやと笑いながら言った。

 絹香は観念して、片手で制服の上着とその下のシャツのボタンを外してくつろげると、ブラジャーの下から手を入れた。

 絹香は、眼を閉じて、固く尖っている乳首を摘まんで転がす。

 

「んふう、ああっ」

 

 すぐに甘い声が吐息とともに口から洩れた。

 そのあいだも、膣肉とアナルではバイブがくねくねと卑猥な振動を続けている。

 秀也に躾けられ、すっかりと敏感な身体になった絹香は、たまらずに腰を揺すった。

 

「淫乱な会長さんだぜ。そういえば、前よりも後ろの穴が感じるんだったな。じゃあ、尻穴の回転をあげてやるぜ」

 

 秀也が小馬鹿にしたような口調でリモコンを操作した。

 その途端に、圧倒的に押し寄せる快楽の波動に耐えられずに、大きな声をあげた。

 

 どんなに声をあげても、この部屋の声はどこにも漏れないようになっている。

 この部屋で親友の前田明日香ともども、快楽に悶え狂う色情狂のような身体にされた。

 それがいつだったのか、あるいは、どういう経緯だったのか、なぜか覚えていないのだが、絹香はここで秀也に調教されて、どんな破廉恥な命令にも逆らうことのできない秀也の「性奴隷」にされていた。

 いまも、自分で乳房を揉めという命令に逆らうことができずに、はしたない恥態を秀也に晒している。

 

 峻烈な快美感が襲ってきた。

 絹香は自分で乳房を揉みしだきながら、競りあがった快感の槍に貫かれた身体をがくがくと震わせた。

 

「さっそく、絶頂したか。じゃあ、俺の精液をお前に注ぎ込んでやるぜ。そら、今度は鎖を緩めるから尻を出せ」

 

 秀也が立ちあがる。

 同時に片手を吊っていた鎖がからからと音を立てて緩んだ。

 そして、やって来た秀也が、絹香の右手をもう一度手錠に繋ぎ直した。

 

「ほら、尻だ。早く、しろよ」

 

 秀也がスカートのホックを外して、床に落とす。

 絹香は、両手を鎖にもたれかかるようにしつつ、背後に立った秀也に向かって、お尻を突き出すようにした。

 

「んはあっ」

 

 貞操帯が外され、張形が抜かれて、絹香は声をあげた。

 

「んふううっ」

 

 次いで、突き出している尻たぶの下から怒張が突き出された。

 いつの間に、ズボンを下ろしたのかもわからなかった。

 とにかく、秀也が絹香の腰を押さえながら、ゆっくりとヴァギナをこじ開けていく。

 そして、数回道を探るように前後したかと思うと、一転して一気に貫かれた。

 

「ひいいっ」

 

「ほらほら、好き者め。そんなに、男のチンポが気持ちいいか。女はどれも同じだな。犯されてよがることしか知らねえ。それでも学園の男子が憧れる美人生徒会長か。ほれっ、これがいいのか。これもいいのか」

 

 秀也が口汚く罵りながら、絹香を犯し続ける。

 小馬鹿にしたような口調と態度で女を犯すのは秀也の癖だ。

 おそらく、意図的にそうしているのではなく、秀也は心の底から女という生き物を蔑んでいる。

 それは、普段から接する態度から、絹香にもわかる。

 だが、それにも関わらず、秀也から与えられる快感は、抵抗することのできないものがある。

 自分のことを完全に蔑んでいる相手に冷笑されながら犯されることに恥辱はあるが、膣肉が怒張に擦れる感覚が気持ちよくて、絹香はもうなにも考えることができなかった。

 

「ううっ、ああっ、ああっ」

 

 秀也の律動が続く。

 巨大な快感が込みあがってきた。

 絹香はいつしか腰を自ら振って、快感をさらに引きあげるようにしていた。

 

「ここか? ここがいいのか、雌豚?」

 

 秀也が笑いながら、絹香の尻たぶに腰を叩きつけるように激しく犯す。

 絹香はよがり声とともに、身体をのけぞらせた。

 またもや、絶頂が襲ってきた。

 絹香は悲鳴のような声を迸らせて、全身を弓なりにさせた。

 

「そらっ、たっぷりと味わえ」

 

 秀也がぶるりと腰を震わせた気がした。

 股間に挿入されている肉棒が、心なしか熱を持ち、そして、膨らんだと思った。

 次の瞬間、子宮に向かって、白濁液が噴き出されるのがはっきりとわかった。

 悲鳴のような嗚咽をしぶかせ、絹香は膣に注がれる粘性物を陶酔の中で受け止めた。

 

「な、なに、なに? ああ、あああっ、ああ、な、なに? なに?──」

 

 しかし、絹香はすぐにパニックになった。

 大きな快感を覚えた身体が飛翔した場所から下がって来ないのだ。

 絶頂したまさにその瞬間のまま、快感が保持されて、固定されている。

 絹香は、あり得ない状況に陥り、混乱して絶叫した。

 

「い、いやあ、な、なにが起こったの? いやあ、ああっ、はあああっ」

 

 絹香は身体をあまりのことに暴れさせた。

 秀也が笑いながら怒張を抜く。

 しかし、引きあがった快感が下がらないという状況には変わりがない。

 絹香は絶頂したまさにその瞬間で、快感を固定されてしまったのだ。

 

「絹香、よく聞け。知っているとおり、明日の昼間、週末を利用して、坂本真夫という三年生が特別寮に入って来る。お前はなぜか、そいつに気に入られたくなる。不思議にも心を魅かれるんだ……。そして、抱かれろ……」

 

 秀也が耳元でささやいてきた。

 しかし、絹香にはその言葉の意味さえも、うまく知覚できない。

 絶頂したままの状況は、そのままだ。

 絹香はどうしていいかわからなかった。

 ただ、ひたすらに悲鳴をあげ続けた。

 

 壊れる──。

 助けて──。

 

 絹香は心の底から叫んでいた。

 その絹香に秀也が喋り続ける。

 

「……抱かれた途端に、お前は真夫に接している女たちが疎ましくて仕方がなくなる……。お前は頭のいい女だ。真夫に気づかれないように、真夫がいまの女たちから心変わりするように仕向けろ。真夫を奪え。真夫に女という生き物を幻滅させるんだ。それが、お前の仕事だ……」

 

 秀也がなにかを話している。

 わからない。

 だが、大きな楔のようなものが、心に突き刺さるのを感じる。

 それが膨らみ、全身を覆い尽す。

 

 真夫という転校生を好きになる……。

 その真夫に抱かれなければならない……。

 そして、真夫をほかの女から奪う……。

 真夫から女を幻滅させる……。

 

 その言葉が頭から繰り返されている。

 おかしくなりそうだった。

 そして、相変わらず、絶頂は継続している。

 絹香はひたすらに悲鳴をあげた。

 

「……そして、これは最後の命令だ。このお前はこの後、気を失うが、秀也という少年に関する記憶をほとんど失う……。繰り返し犯されたという記憶もないし……、調教されたという事実もない……。もちろん、擦り込まれた暗示が俺によるものという意識もない……。すべてはお前の自発的な意思によるものだ……」

 

 声が続く。

 もう、なにもわからない。

 

 絹香は全身を暴れさせて、固定された絶頂の苦しみに悲鳴をあげ続けた。

 

 


 

 

 目の前では、制服姿の絹香が両手を天井から繋がれたまま、絶叫をして身体を暴れさせていた。

 その横には、絹香の股間から外した貞操帯があるが、実際のところ、秀也がやった絹香に対する処置は、それだけだ。

 

 だが、絹香の心には、貞操帯で一度絶頂させられ、次いで、秀也自身に犯されて精を膣に注がれ、さらに、その絶頂から下りて来られない快感の苦しみを味わい続けているはずだ。

 そして、さっき秀也が絹香に吹き込んだ暗示の言葉を繰り返し、頭の中で反芻させているはずである。

 

 絶頂状態で快感を固定されるというのが、女にとってどれくらいの快感と苦しみを覚えるものかということは秀也は知らない。

 ただ、この状態を保持させると、女はほとんど頭が空っぽになってしまい、どんな暗示でも完璧に擦り込まれてしまうのだ。

 おそらく、次に意識を戻して、正常な状態になったとき、絹香はいまのことをまったく記憶してはいないが、秀也に刻まれた暗示だけは、しっかりと心の奥底に根付かせた状況になっているはずだ。

 

 部屋の中の呼び鈴が鳴った。

 地下道に通じる隠し扉の外に誰かがやって来たのだ。

 しかし、それが誰であるかはわかっている。

 このSS研の地下室と学園内に走っている地下道との通路を知っているのは、秀也以外ではひとりしかいない。

 秀也は通路解放を許可する信号を送った。

 

 ただの壁だった場所が開き、そこから時子が入ってきた。

 すでにかなりの高齢の老婆だが、その美貌は少しも衰えてはいないと秀也は思っている。

 時子は、部屋の真ん中で悲鳴をあげながら全身を激しく震わせている絹香を一瞥して、頬に苦笑を浮かべた。

 

「また、女生徒と遊んでいるのですか、秀也さん? あなたのことだから、操心術であり得ないような快感を与えているんでしょうね」

 

 時子が秀也の横に立って言った。

 その言葉使いは、目の前の絹香という女生徒を意識したものだろう。

 正気を保っているとは思えないが、念のためだと思う。

 

「直接犯すことは、龍蔵がうるさいからな。せめてもの道楽だ……。そして、いまは真夫への罠を操心術で仕込ませている。あの真夫が女に対して幻滅するような罠を仕掛けるように心に擦り込んだ。どうも、あの坊やの弱点は、女のようだからな。女に心を許すようじゃあ、まだまだ未熟者だ。その過ちをしっかりと教えてやるさ」

 

 秀也は言った。

 そのとき、絹香が甲高い声で咆哮した。

 身体が完全に脱力して、スカートの下から尿が滴り落ちてきた。

 どうやら、快感が絶頂状態で持続する感覚に耐えられずに、意識を失うとともに失禁をしたようだ。

 もっとも、すべては、絹香自身が作り上げている幻想によるものだ。

 

 時子が秀也の椅子の手すりからリモコンを取りあげて、絹香の両手を吊っている鎖を引き下ろした。気を失っている絹香の身体が地面に倒れていく。

 時子は絹香に近づくと、尿で汚れている床に直接身体が倒れないように、絹香の身体を動かして床に横たわらせた。

 

「あなたからすれば、あの坊やが女に優しすぎるようにように思えるんでしょうね」

 

 時子が絹香の手錠を外しながら言った。

 時子は戸棚から絹香の着替えのスカートと下着を取り出すと、小さな籠に入れて絹香の横に置く。

 さらに、絹香が汚した床を別の用具箱から取り出した雑巾で拭き始める。

 

「恵という女にしても、玲子にしても、真夫は大事にしすぎる。女など冷酷に道具として扱うだけの度量がなければ、豊藤の総帥は務まらねえよ」

 

 秀也は肩を竦めた。

 床の掃除が終わった時子が、汚れた雑巾を処分して戻ってくる。

 時子の顔には、秀也の言葉を可笑しがるような表情が浮かんでいた。

 

「なんだよ。なにか言いたいのか、時子?」

 

 秀也は肩を竦めてみせた。

 

「あたしも女ですよ。忘れたんじゃないでしょうね。女を使い捨ての道具のように言うのは聞き捨てならないわ」

 

「忘れちゃいねえさ。お前は女さ。歳をとったババアだがな」

 

 秀也は時子を引き寄せて、唇を重ねた。

 舌腹に唾液を乗せて流し込むと、時子はおいしそうにそれを飲み、秀也の舌に自分の舌を絡めてくる。秀也は、しばらくのあいだ、愛人頭の老婆とのディーブキスを愉しんだ。

 

「ほらな。俺の舌はうまいかい? 歳はとっても男に与えられるキスにはそうやって、鼻を鳴らして甘い声をあげてしまう。それが女だ」

 

 秀也は時子から口を離すと、からかうように言った。

 

「いまらさ、あなたに教え諭そうは思わないけどね。まあいいわ……。それにしても、あなたは、あの真夫を陥れたいのかしら? それとも、大切にしたいの? 判断に悩むところがあるわね。正人君をあのかおりという女生徒にけしかけさせましたね。映像で見ていたけど、特別寮に侍女としてやってきたかおりちゃんが入って、すぐに正人君が近づきましたよ。なにか、不穏なことを吹き込んでいたけど、あなたの差し金でしょう?」

 

 時子が訊ねた。

 正人は特別寮に入っていることになっている秀也の従者扱いだから普段は特別寮にいる。

 だから、真夫の奴婢としてやってきたかおりに近づき、早速、活動を始めたのだろう。正人に許したのは、真夫を陥れる罠を仕掛けることだが、操心術者の兆しも示している真夫が、それにどう対応するのか、秀也は興味があった。

 いずれにしても、正人のことにしても、絹香に与えた暗示にしても、その対応で真夫の素質は判断できると思っている。

 また、学園に隣接する龍蔵の屋敷となっている建物からでも、学園全体に仕掛けている隠しカメラの映像と音声を確認できる。

 時子は、それで観ていたに違いない。

 

「まあな。あいつを鍛えるというのは俺に与えられた使命だしな。俺もそう自由になる時間があるわけじゃない。真夫には厳しいかもしれんが、これも真夫の成長のためだ」

 

 秀也はにやりと時子に笑いかけた。

 

「そんなことを言って、真夫が本当に潰れてしまったらどうするのですか? 豊藤グループとしては大きな損失じゃないの? あの子が豊藤の正統な後継者の血を引いているのは確かなのでしょう?」

 

「正統な血を引いているとしても、能力にそぐわない地位を与えられれば、それはあの小僧の不幸になる。小僧に能力がなければ、それに相応しい者が豊藤が継げばいいことだ。いずれにしても、俺は、あの小僧を見捨てるつもりはねえよ。ただ、どの程度の器量なのか見極めたいだけさ」

 

 秀也はうそぶいた。

 今度は時子が肩を竦めた。

 

「まあいいです。それよりも、龍蔵がお呼びですよ。今日は決められた日のようだけど、夕方のいまになるまで、やってこないと龍蔵殿が文句を言っていてましたよ。それで、あたしが、あなたを探しにきたというわけです」

 

 時子は言った。

 秀也は、それで前に龍蔵のところに行ってから、今日が三日目だということを思い出した。

 龍蔵には、三日ごとに必ず龍蔵のところに顔を出すように命じられていた。

 定期的に秀也を確認する必要があるそうだ。秀也としては、もうどうでもいいと思っているが、従わないと、この時子も態度を豹変して、秀也に怒鳴るだろう。

 とにかく、それが、こうやって、学園側で好き勝手やることの条件なのだ。

 

「ふん、あのじじいには、金髪の玩具を与えてやっただろう。あいつは、結構、ああいう西洋人の白人を嗜虐するのが大好きなのさ。暇なら、俺なんかじゃなく、あの金髪と好きなだけ遊べといえよ。俺に構うなとな」

 

 秀也は言った。

 だが、時子の顔から笑みが消えて、秀也のことを睨んだ。

 秀也は嘆息した。

 

「わかったよ。そんな顔するな。だけど、三日ごとに行かなくても、そんなに変化なんかないさ。それに、高校生というのは案外に愉しくてね。ついつい、時間を忘れちまう」

 

「とにかく、行きましょう、秀也。龍蔵がお待ちかねです」

 

 時子が厳しい口調で言った。

 

「はいはい、お婆さん」

 

 秀也はお道化ながら立ちあがった。

 そして、まだ意識のない絹香に一瞥した。

 目が覚めたとき、この絹香は、なぜ、自分がここで横たわっているのか、うまく思い出せないことだろう。秀也のことも記憶にはあるが、自分が調教を受けていたという認識は欠落していると思う。

 それでいて、このSS研のことは、しっかりと頭に残っていて、自分がSS研という「SMルーム」の部長であることも知っている。

 その一員である絹香は、その入部に相応しい男子生徒を探し始め、頭に擦り込んだ真夫に対する好奇心と結びついて、やがて、真夫をSS研に誘うことになると思う。

 

 だが、絹香が真夫を気に入るとともに、恵や玲子に対する強烈な嫉妬心が絹香に襲い掛かることになる。

 この絹香のことだ。

 玲子はともかく、恵という世間知らずらしい娘くらいなら、その恵が真夫を裏切るように仕向ける罠に嵌めることは難しくないはずだ。

 

 真夫の弱点は恵だ──。

 

 正人の言い草じゃないが、秀也もそう思う。

 豊藤グループの総帥になろうという者に弱点などあってはならない。

 

 ましてや、それが女であるなど……。

 女など道具だ。

 

 容赦なく屈服し、洗脳し、そして、完全に支配すべき動物だ。

 それを真夫には思い知らせる必要がある。

 

 可哀想だとは思わない。

 

 秀也に残された時間は少ない。

 もはや、手段など選んでいる場合ではないことは、秀也自身が一番よくわかっている。

 

「じゃあ、行くか、時子」

 

 秀也はSS研から地下通路に向かう方向に足を向けた。

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