真夫に命じられて、玲子と恵はテーブルを挟んで向かい合うように、両脚をM字開脚してソファの上に乗せさせられた。
その真夫は、向かい合う二個の長いソファではなく、その真ん中の小さな椅子に腰かけている。
玲子は、あまりの羞恥の恰好に身悶えした。
なにしろ、恵はまだ下着をはいているからいいが、玲子はすでに下着もスーツのスカートも真夫に取りあげられているのだ。
玲子の秘所は真夫の視線に露わになっている。
一方で向かい合う恵は、ブラウスのボタンが半分は外され、はだけられた襟から乳輪が垣間見えている。また、スカートはすでにホックが外されていて、M字に開脚することにより、ずり落ちて下着の横の紐が剥き出しだ。
玲子も恵も、ふたりで話し合って、真夫がいつでも脱がすことができるように、腰の横で紐を結ぶタイプの下着を身に着けるようにしていた。
はっきりと見える恵の下着の股の部分は、恵がかなりの興奮をしている証拠である丸い染みがくっきりとしている。
女の玲子から見ても、かなりの卑猥な姿だと思った。
もっとも、玲子も同じなのだろう。
恵も、正面に位置する玲子に視線をやりながらも、困惑したように真っ赤な顔を左右に向けたりしている。
「じゃあ、脱衣を賭けたじゃんけんゲームだよ……。とはいっても、ふたりとも後手に手錠をしているから、普通にはできないよね。だから、こんなものを準備したんだ」
真夫がにこにこしながら、テーブルの上におかしなものを並べ始めた。小さくて白いカップ状の平たい吸盤のようなかたちのものだ。
大きさは親指の先ほどであり、それが十個ほどある。
縁の部分には、金属の縁取りのようなものが見える。
これまでに見たことのないものだ。
ホテルのプレイルームには、そんなものはなかったはずだ。
玲子は不思議に思った。
しかし、玲子は次の真夫の動作を見て、ぎょっとした。
真夫はその吸盤を手に取ると、内側の引っ込んだ部分に、さっき見せた掻痒剤のクリームをたっぷりと盛ったのだ。
そして、玲子に近づき、ブラウスのボタンをふたつほど外すと、ブラに包まれた乳房を出し、さらに乳ブラの内側にさっきの吸盤を差し込んできた。
「ちょ、ちょっと、真夫様……」
玲子は狼狽の声をあげた。
だが、真夫のすることには、なぜ一切が逆らえないという気持ちをが沸き起こり、玲子の抵抗心を奪ってしまう。
真夫が吸盤を玲子の片側の乳首の上に被せた。
次の瞬間、吸盤がきゅっと搾りを加えた感じになり、玲子の乳首を強く包み込んだ。
「あっ」
玲子は声をあげた。
吸盤が乳首に強く密着したような感じが襲ったのだ。
しかも、内側に塗っているクリームの刺激が玲子の乳首をかっと熱くした。
瞬時に効果を及ぼすくらいの強力な媚薬なのだ。
玲子は思わず、身体を弾かせてしまったが、乳首に張り付いた吸盤はぴったりと玲子の肌に吸いついて離れない感じた。
しかも、びりびりという小さな刺激が襲っている。
おそらく、そういう淫具なのだと思う。
玲子は得体の知れない刺激に、後手の身体を悶えさせてしまった。
「へえ、本当に注文通りのものだね。新しい淫具なんだけど、内側の表面には人の肌に吸い付く微弱な帯電をしているんだって。その電流を解除しないと外れないはずだよ」
真夫が愉しそうに言って、別の吸盤を手に取り、さらに同じように内側に掻痒剤を塗りたくって、玲子の反対側の乳首に吸盤を貼りつける。
玲子はまたもやびくりと身体を跳ねさせた。
「……もうひとつですよ。動いちゃだめですからね、玲子さん……。命令です」
真夫がにこにこしながら、もうひとつの吸盤を取る。
やはり、掻痒クリームを内側に塗り、開いたままの玲子の股間に吸盤を近づけていく。
「ま、真夫様、それだけはお許しを……。こ、このカラオケ会社はグループ傘下の企業なんです……。へ、変なことをしているのを店員に知られると、これからのわたしの仕事に差し支えが……」
玲子は狼狽えて言った。
だが、身体は金縛りになったように、動かすことができない。
拘束されているのは手首だけで、M字に脚を開脚しているのは玲子の意思だ。
しかし、真夫が玲子に淫靡な悪戯をしようとしていると思うと、それを跳ねのけて逃げようという気になれないのだ。
いつ誰が来るかわからないカラオケルームで辱められるというのは、恥ずかしいし、こんなことはしてはならないとは思うのだが、どうしても真夫の与える責めに期待する自分がいて、それが玲子を動けなくしている。
そして、玲子の哀願に、真夫はせせら笑うような声をあげた。
「玲子さんの仕事は、もう学園の理事長でしょう。関係ないさ……。それに嫌なら逃げればいいよ。だけど、抵抗しないのなら、俺の好きなようにさせてもらいますよ。ほら、逃げなよ。逃げなければ、痒み剤のついたこの吸盤を玲子さんのクリに貼りつけるからね。一度貼りついたら、俺が別の機器で信号を送らないと、絶対に取れないよ……。だけど、玲子さんが逆らえば、俺はすごく失望すると思うよ……。残念だなあって……」
「そ、そんな……」
そんな物言いをされれば、玲子は逃げることなど不可能になる。
真夫は、抵抗をしない玲子の股間に、吸盤を持っていない側の指を触れさせた。
「んんっ、ああっ……」
玲子は椅子の上に脚を拡げたまま、身体をのけぞらせた。
電流を流されたような、強烈な刺激が襲った。
しばらく、真夫の指の刺激が続く。
真夫の指……。
だめ……。
快感が拡がる。
頭が白くなる……。
気持ちよさが、どんどんと大きくなり、なにも考えられなくなる。
だが、突然にそれがなくなった。
次の瞬間、クリトリスが強く絞られる小さな痛みと、ぴりっとした強い刺激が襲う。
股間を見ると、玲子の肉芽にも吸盤が貼りついていた。
これで、股間と両乳首の三箇所に吸盤が装着されたことになる。
「あ、あん……」
真夫の指が離れたことで、玲子の身体には中途半端な火照りが残った感じになり、それが玲子に小さな悶え声をあげさせた。
すると、真夫がそんな玲子の表情を笑うように、じっと微笑みを向けていることに気がついた。
玲子はかっと身体が熱くなってしまった。
「じゃあ、次はあさひ姉ちゃんだよ」
しかし、真夫はそれ以上は玲子には何もせずに、恵に向かっていく。
「あ、ああん、真夫ちゃん……」
恵も痴態を演じ始めた。
そして、恵もまた、玲子と同じように、両乳首と局部の三箇所に吸盤型の淫具を装着される。
「じゃあ、じゃんけんの仕方を説明するよ」
真夫は荷から手のひらの半分ほどの薄い電卓のようなものを二枚取り出した。
「……ええっと、こっちは玲子さん用のリモコンだね……。それで、こっちはあさひ姉ちゃんだ」
真夫がテーブルの上に、それぞれのリモコンだという板を置く。
玲子は訝しみながらそれに視線を向けた。
恵も不審な表情をしている。
一方で、玲子は早くも身体に襲ってきた感覚に歯を食い縛った。
真夫は吸盤の内側に塗ったクリームの刺激がだんだんと本格的なものになり始めてきたのだ。
痒みのような鈍痛がじわじわと込みあがって来る。
おそらく、もうすぐ、これが強烈な痒みそのものに変化するはずだ。
玲子は、思わず背中側の手をぐっと握った。
「……じゃあ、操作方法を教えるよ。説明が終われば、ふたりにそれぞれ、このリモコンを持たせてあげるからね。ボタンの位置と数字を覚えてよ。この板に三個のボタンがあるけど、これがそれぞれ、“グー”、“チョキ”、“パー”になるんだ。それぞれのボタンの上に“グー”は小さな突起が一個、“チョキ”は二個、“パー”は三個の突起があるから、後ろ手でもわかるはずだ……。“グー”を選べば……」
真夫がテーブルの上にある二枚の板の一個の突起の下のボタンを同時に押した。
「ああっ、んんんっ」
「あ、ああん、真夫ちゃん──」
身体に装着された吸盤のうち、クリトリスの吸盤が突如として振動を始めたのだ。
しかも、痒みが襲い始めてきた直後の強い刺激に、玲子は腰をくねらせて悶えた。
口からあられもない声が迸る。
だが、すぐにここがカラオケボックスであることを思い出して、玲子は慌てて口を閉じる。
カラオケボックスでは、大きな音でデモ演奏が流れているから、ある程度の悲鳴はかき消してくれると思うが、それでも外に洩れたのではないかという恐怖が玲子を襲った。
だが、真夫がそれを気にする様子はない。
ふと見ると、恵も顔をしかめて、必死で口を閉じていた。
「これはチョキ……」
そして、真夫が今度は真ん中のボタンを押した。
股間の振動は止まり、その代わりに両方の乳首の吸盤が振動する。
玲子と恵は乳房を左右に振って悲鳴をあげた。
「そして、パーだ」
今度は三個の吸盤が一斉に振動を始めた。
「ああっ」
「だ、だめえっ」
もう玲子には、ここがカラオケルームであることなど、一瞬吹き飛んでしまった。
M字開脚の姿勢のまま椅子から落ちそうになり、真ん中の椅子に座っている真夫に身体を支えられた。
「これで、ふたりとも仕掛けはわかったね?」
玲子の身体を戻した真夫が、別の機器を取り出して操作した。
すると、振動をしていた三個の吸盤がやっととまった。
玲子はがっくりと身体を脱力させた。
だが、すぐに吸盤の内側から痒みが襲い掛かる。
股間と乳首の蟻が這い回るような痒みに、玲子は恥ずかしさも忘れて腰をくねらせるしかなかった。
「あ、ああ……。ま、真夫ちゃん……。か、痒いよ……。痒い……」
恵も泣きべそのような声をあげている。
だが、真夫はにこにことしているだけだ。
「じゃあ、じゃんけんだよ。負けたら一枚服を脱ぐ。どっちか、脱ぐものがなくなった方に、この痒み剤を前後の穴にたっぷりと塗ってもらうからね。それだけじゃなく、革の貞操帯で股間を封鎖してしまうよ。そして、そのまま外に出て外を散歩だ……。それが嫌なら、じゃんけんに勝つことだね」
真夫が立ちあがって、ふたりの背中側に手をやって、さっきの操作具を持たせた。
「そ、そんな……」
「ま、真夫ちゃん……」
玲子と恵は同時に狼狽の声をあげたが、真夫は素知らぬ表情だ。
「さあ、早速、いくよ──。じゃんけん……」
そして、真夫が大きな声をあげた。
玲子は急いで操作具を握り直す。
確かに、見えなくても、どれがグーで、どれがチョキで、パーのボタンであるかはわかった。
だが、それを押せば、どうなるかも思い起こす。
「ま、待って、真夫ちゃん……。ま、まだ、握れない……」
向かいの恵が声を出した。
真夫が恵の背中に手を伸ばして、リモコンを持たせ直した。
そのあいだに、玲子は少しだが、考える時間を得ることができた。
そして、覚悟を決めた。
とにかく、こうなったら、真夫の遊びに付き合うしかない。
真夫は優しいが、調教には容赦はない。
勝負に負ければ、きっと痒みに襲わせたまま、夜の街に連れ出して、玲子を悶え苦しませるだろう。
玲子はとりあえず、最初のボタンは“グー”を選ぶことにした。
多分、恵はチョキを選ぶと思う。
乳首二箇所の刺激なら、まだ耐えられるだろうし、玲子も最初はチョキを選ぼうと思っていた。
さっきの三箇所同時の刺激は、それだけ強烈だった。
だから、裏をかいて、玲子は“グー”を出すことにしたのだ。
恵には悪いが、この勝負は負けたくない。
「じゃんけん、ポイっ──」
真夫の声とともに、玲子はボタンを押す。
股間で振動が起こる。
クリトリスの刺激を受けた玲子は、とても姿勢を保つことができずに、またもや崩れそうになった。
「はああっ」
だが、ひと際大きな嬌声が恵からした。
恵はM字開脚の身体を前後に揺らして、身体をくねらせていた。
どうやら、恵は“パー”を選んだようだ。
股間だけでなく、恵の乳房もまた、自然ではない振動でぶるぶると震えていた。
「玲子さんの負けだね。じゃあ、まずはブラかな」
真夫が笑いながら、鋏を出して服の下からブラを切断して取り去った。
「ね、ねえ、真夫ちゃん、こ、これ、どうやって止めるの──? し、振動がとまらないよう」
すると、向かい側の恵の必死の声がした。
同じことを玲子も思った。
振動をとめたいのだが、どうやっていいかわからない。
試しに、ほかのボタンを押してみたのだが、クリを刺激し続ける吸盤以外は静かなままだし、逆に股間の振動は延々を続くままだ。
操作できないのだ。
恵はパーを選んだはずだから、三箇所同時の振動に襲われているはずだ。
さすがに堪らないだろう。
「俺がこの操作具で、開始ボタンを押さないと、ふたりに渡したリモコンのボタンは無効になったままさ。ふたりが持っているのは、じゃんけん遊び用の操作具であって、本当の操作具はこれだしね……」
真夫は自分が持っている操作盤を見せた。
玲子は目を丸くした。
やっぱり、この淫具は玲子がこれまでに接したことのないものだった。
しかも、ただの淫具じゃない。
かなりの高い技術による精緻な仕掛けだ。
そこら辺にあるような大人の玩具とは物が違う……。
「本当に時子さんって、すごいものをくれるよね……。とにかく、じゃんけんだけじゃなく、振動に負けて絶頂しても、じゃんけんに負けたものとみなすからね……。一生懸命にいかないように頑張るんだよ」
真夫が言った。
しかし、玲子は真夫の言葉の内容よりも、口に出した名前に驚いてしまった。
「と、時子さんと言いましたか──? 時子さんとは、どの時子さんですか……?」
玲子は股間の振動に耐えて言った。
“時子”というのは、龍蔵の愛人であり、玲子の調教をした愛人頭の老婆である、あの時子だろうか?
あの時子だとすれば、時子が玲子を通さず、真夫に接触していたということになるが、それはちょっと信じがたいことだった。
「えっ、だって、玲子さんは、時子婆ちゃんを知っているんじゃないの? 少なくとも、時子婆ちゃんは、玲子さんをよく知っていると言っていましたよ」
すると、真夫が不思議そうな顔をした。