とり合えず、真夫は、公園の出口で、あさひ姉ちゃんと玲子さんの指錠は外してあげた。
その代わりに、さっきのようにふたりの手首を手錠で繋いでしまう。
スーツ姿の玲子さんと、Tシャツでミニスカートのあさひ姉ちゃんの組み合わせというのも奇妙なものだが、そのふたりがしっかりと両手を握りしめて歩いているというのは、よく見れば違和感のある光景に違いない。
それに、ふたりとも、美人でスタイルもよく、どうしても周りの視線を集めてしまう。
そのふたりがぴったりと寄り添うようにして身体を寄せてぎこちなく歩くのは、夜はいえ、行き交う人の興味を抱かせてしまうようだ。
公園から駅までは、五分ほどだ。
真夫は、数メートル離れた後ろから、ふたりの背を追っていた。
ふたりとも、かなり苦しそうであり、歩きがぎこちない。
無理もない。
公園での悪戯の後、真夫はふたりのお尻に大きめのイチジク浣腸を二個も抽入していた。それだけでなく、あの掻痒剤をクリトリスにもう一度塗り直してもいたのだ。
カラオケボックスで塗ってあげた薬剤は、公園でのセックスのときに汗と体液でほとんど効き目が小さくなっていた。
だから、公園の出口で指錠を外すとき、ふたりを物陰につれていき、ふたりにスカートを自分で捲らせ、一度吸盤バイブを外してから、真夫はクリスリスの皮を剥いて陰核にたっぷりと追加してあげた。
そのうえで、また、改めて吸盤バイブを被せたのだ。
ふたりとも作業のあいだは、呆けたように甘い息を出して悶えていたが、公園を出発させると、すぐに苦しみに襲われた姿を示しだした。
痒みの苦しさだけでなく、強い便意にも襲われだしたからだろう。
しかし、真夫は、すっかりと従順になったふたりの美人「奴婢」の痴態に、完全に気分が高揚している。
あさひ姉ちゃんにしても、玲子さんにしても、真夫にはもったいないほどの美人だ。
そのふたりが、まったく真夫の言いなりになり、こんなに破廉恥で鬼畜な仕打ちにも、唯々諾々と従って、懸命に責めに耐えてくれるのだ。
真夫の嗜虐欲は、ますます、膨れあがる。
駅に着くと真夫は、ふたりを待たせて切符を買った。
そのあいだ、ふたりが壁に隠れるようにして、身体を隠しながら、しきりに腿をもじつかせているのは、とても色ぽかった。
お互いに接する両手首が手錠で繋がれているとはいえ、反対側の片手は自由なのだから、この場で痒みを手で癒せないことはないのだが、さすがに、この人混みの中でスカートの中の股間を掻くわけにはいかないだろう。
だが、ふたりは壁に身体を向け、拳をスカートの前に置いて、もじもじと腰を微妙に動かしていた。
しっかりと掻いている……。
真夫は笑った。
かなりのいやらしい姿なのだが、もうふたりとも、理性を保つ余裕もないのかもしれない。
「こんなところで、自慰なんてしないでよね、ふたりとも……。さあ、切符だよ」
真夫は、ほかの者には聞こえないように小さな声でささやきながら、玲子さんとあさひ姉ちゃんに、一枚ずつ切符を手渡した。
ふたりが、はっとしたようにスカートの上から手をどける。
「ねえ、真夫ちゃん、お、おトイレに行かせて……」
すると、あさひ姉ちゃんが苦しそうにささやいてきた。
切符を買う前は、顔色は真っ赤だったのに、いまは真っ蒼だ。
かなり便意が苦しいものになっているのだろうと思う。
「五個目の駅で乗り換えだからね。そのとき、トイレに連れていってあげるよ。それまで漏らさないでね」
真夫はふたりを改札口に促した。
ふたりとも、便意と痒みの苦しみに顔をしかめながらついてくる。
自動改札を抜け、階段を下りてホームに出ると、すぐに電車が入線してきた。
通勤帰りのサラリーマンと同方向のコースであり、また週末ということもあってか、それなりに電車は混んでいた。
もちろん、座ることはできずに、三人でドアのそばに立っていた。
「あ、あのう……。が、学園のことで申しあげることが……」
すると、ずっと口を開くのもつらそうな顔をしていた玲子さんが、小さな声で真夫とあさひ姉ちゃんに語り始めた。
それは、明日から寮に入ることになる聖マグダレナ学園のことだった。
玲子さんによれば、どうやら、真夫は、あのお坊ちゃん、お嬢ちゃん学園の生徒には、あまり歓迎されていないようだということだった。
だから、最初は、真夫に居心地の悪い思いをさせるかもしれないとしきりに謝っていた。
だが、学園の理事長代理として、なんとか、状況の改善を図るように努力するから、少しのあいだは辛抱してくれとも言った。
真夫は一笑に付した。
「……そんなことまでしてもらう必要はありませんよ、玲子さん。俺も……そして、あさひ姉ちゃんも、生活する場所を提供してもらうだけで満足していますから……。俺たちのような立場の者は、なかなか、色眼鏡で見られることも多いですからね……。特に、あの学園のような金持ち学校では、簡単には受け入れてもらえないということは覚悟のうえです……。ねえ、あさひ姉ちゃん?」
真夫は言った。
「ま、真夫ちゃんには……、あ、あたしがついているから……」
あさひ姉ちゃんが、はあはあと荒い息をしながら言った。
本当に苦しそうだ。
玲子さんは、続いて語りだした。
学園には、五人の特別待遇生徒という存在があるのだそうだ。
真夫が、その特別待遇生徒という者のひとりだということは、ずっと以前から聞いていたが、玲子さんによれば、それは学園に対して多額の寄付をしているような特別な生徒のみに与えられる特権のような立場であり、その特別待遇生徒であるそれぞれの生徒を頂点として、学園には三個の大きな派閥があるとのことだった。
ひとつは、加賀豊という三年生の男子を頂点とするグループ──。
そして、金城光太郎という同じく三年男子の作るグループ──。
さらに、もうひとつが竜崎康弘という柔道部の主将の作るグループなのだそうだ。
ただ、真夫が特別待遇生徒になることで、その竜崎というのは、格下げになり、その逆恨みを真夫にぶつけるかもしれないと、玲子さんは申し訳なさそうに口にした。
五人が定員の特別待遇生徒なのだが、そのひとつをあの秀也が占めており、もうひとつは生徒会長である西園寺絹香という女生徒の枠なのだそうだ。
だから、真夫を入れるために、竜崎という生徒を玲子さんが外したのだという。
真夫はちょっと驚き、別に真夫は特別待遇生徒でなくてもいいからと言いそうになったが、すぐにそれを自重した。
そういえば、あさひ姉ちゃんと一緒に住めるのは、真夫が特別待遇生徒として入るからであり、真夫がそうでなくなれば、あさひ姉ちゃんは学園には入れない。
それは嫌だ。
それに、真夫をそんな立場にするのは、あの龍蔵こと、増応院という理事長の考えなのだろう。
まだ顔を見たことはないが、その理事長がただ者ではなく、なにかの理由があり、真夫やあさひ姉ちゃんを学園に引き取ったということはわかってきた。
学園の一女生徒が、真夫に冤罪をしかけただけで、あんな一流ホテルの特別室のようなものを与えられたり、玲子さんのような女性を「奴婢」としてあてがわれたりするわけがない。
ましてや、あさひ姉ちゃんのお父さんの一千万以上の借金まで肩代わりしてくれて……。
とにかく、真夫はもう達観している。
なるようになるだろうし、こうなったら、これから行くところがとんでもない場所であっても、あるいは、差し出されるものが毒のようなものであっても、すべてを真夫は受け入れるつもりだ。
もう、あさひ姉ちゃんを守るにはそれしかないし、玲子さんを秀也のような者に取り返されないためには、龍蔵の望むことを真夫がするしかない。
もう覚悟を決めているのだ。
話をしているあいだ、玲子はすっかりと蒼ざめた顔をしていた。
玲子さんにしても、あさひ姉ちゃんにしても、排泄感は断続的に襲ってくるらしく、口を開くこともできない時間と、比較的普通に話すことができる時間が交互にあるようだった。
そのとき、車内アナウンスが、電車に乗る前にふたりに伝えた五個目の駅であることを告げた。
「さあ、乗り換えだよ」
真夫はふたりを電車からおろした。
これから、次の電車に向かうために、階段をのぼって、再び、別のホームに降りなければならない。
便意もあるが、掻痒剤の痒みもある。
ふたりともかなり苦しそうだ。
「ねえ、真夫ちゃん……」
一度、階段を昇ったところで、あさひ姉ちゃんが音をあげたような声を出した。
さっき、乗り換えのときに、トイレに連れていくと言ったことを覚えていたのだろう。
真夫は、立ち止まって、にっこりとふたりに微笑んだ。
「忘れてないよ、あさひ姉ちゃん。こっちにおいで。改札口の近くにトイレがあって、そこに多目的トイレがあるから、そこが使っていなければ入るよ……。ただし、させてあげるとは、言っていないからね」
真夫の言葉に、あさひ姉ちゃんも玲子さんも、怪訝な表情になった。
とにかく、ふたりを改札口近くのトイレに連れていく。
幸いにも、トイレへの通路そのものに人影はない。目的の多目的トイレも空いている。
真夫は、ふたりを中に引き入れた。
「トイレに入っても、うんちを許さないなんて、鬼のようだと思うかもしれないけど、これもプレイの一環なんだ。さあ、ふたりとも、これをはいてもらうよ」
真夫が鞄から取り出したのは、準備をしていた大人用の紙おむつだ。
それをふたりに示すと、ふたりとも顔が引きつった。
「そ、そんなの嫌よ、真夫ちゃん──」
「わ、わたしも……それだけは……」
あさひ姉ちゃんも玲子さんも、びっくりしたように顔を激しく横に振った。
真夫は、無言で手錠の鍵を取り出すと、ふたりの手錠を外した。
ふたりとも、手錠を外されたことに、少しだけ驚いている。
「だったら、これでプレイは終わりだ。俺はもう、ふたりに、こんなに手酷い命令することなんてしない。多分ね……。俺はこういう変態だし、いまさら、それを隠すことはしないよ。この数日でわかったけど、おそらく、俺は、どうしようない鬼畜であり、これからも、もっともっと変態的なことがしたいんだと思う。その歯止めが効かなくなるような予感はある……」
「ま、真夫ちゃん……」
あさひ姉ちゃんが怪訝な表情で声をかけた。
玲子さんも困惑の顔を向けている。
また、ふたりとも、脂汗をかいていて苦しそうだ。
「ふたりとも、なんでも俺の言うことに従い、どんなことでも逆らわないけど、このまま放っておけば、俺はどうしようもない鬼畜になり、女にむごいことを強いて興奮するような意地悪な男になると思う……。だから、逃げるのも、引き返すのもいまだよ。いまなら、後戻りできる……。だけど、これ以上するなら、ふたりには、逃げさせないし、一生、ふたりを支配して、ふたりに耐えられないような仕打ちをする。それが俺の愛し方だ……」
「う、うん」
「は、はい……」
「ふたりが決めていい。こんなプレイは、二度とごめんだと思うんなら、ここで排泄をしていい。そして、ホテルに戻る──。だけど、これからも、ずっと俺の奴婢でありたいと考えて、命令に従うのなら、このおむつをはいて、次の電車に乗るんだ」
真夫は言った。
あさひ姉ちゃんも玲子さんも、一瞬呆然としている。
そして、泣きそうな顔になった。
「わ、わたしは、真夫様の奴婢です。どんな命令でも従います……。命令に背くようなことを口にしたことは申し訳ありません」
玲子さんが手を出して、おしめのひとつを手に取った。
そして、自らはき始める。
「ま、真夫ちゃん、狡い……。そんな言い方……。あたしが……あたしたちが、どんなことでも真夫ちゃんに逆らえないことを知っているくせに……」
あさひ姉ちゃんも、おしめを手に取った。
そんなこと知らないよ……。
真夫は、あさひ姉ちゃんの物言いに対して、口の中だけで呟いた。
結局、ふたりとも、ここで排泄をせずに、さらに真夫の責めを受け続けることを選んだ。
真夫は、彼女との約束を果たせたことに満足した。
多目的トイレを出る。
再び改札口から離れて、さっきとは別のホームに向かう階段を降りる。
排泄も痒みも癒されることがなかったふたりは、歩くのもつらそうに真夫についてきた。
ホームについたときには、ふたりとも脂汗をびっしょりとかいていた。
真夫は、電車を待つ列に立ったまま、ふたりだけに見えるように、リモコンの操作具をポケットから出した。
ふたりのクリトリスに被せている吸盤バイブの操作具だ。
あさひ姉ちゃんと玲子さんが気がついて、力なく首を横に振る。
だが、真夫は容赦なく、リモコンを使ってバイブの振動をさせた。
「んっ」
「はあっ」
ふたりが同時にがくりと膝を曲げる。
真夫の後ろに並んで立っているあさひ姉ちゃんと玲子さんが、真夫にもはっきりと聞こえるくらいの荒い息を続けた。
三十秒ほど、そのままにしてから、真夫はスイッチをオフにした。
ふたりが、ほっとしたように吐息をするのが聞こえた。
電車が入ってきた。
さっきの電車とは異なり、ベッドタウンではない郊外に向かう電車なので、中はがらがらだった。
真夫たち三人は、並んで座席に座った。
すぐに、真夫はポケットの中でバイブのスイッチを入れた。
「あんっ」
「んんんっ」
実は目的の駅までは、二駅しかないが、どれくらい我慢しなければならないのかわからない二人には、永遠とも思うような時間だろう。
それに、ふたりは激しい排泄感と掻痒感──。
電車の振動に、バイブの振動──。
さらに、なにも知らないほかの乗客の視線とも戦わなければならないのだ。
本当に地獄の時間に違いない。
真夫はにやにやとしながら、あさひ姉ちゃんと玲子さんの横顔を眺め続けた。
汗びっしょりのふたりが、思い切り顔をしかめたり、崩壊寸前になりながらも、なんとか波をやりすごしたりする表情は、なんとも艶めかしかった。
やがて、目的の駅に着いた。
真夫はとりあえず、リモコンを停止した。
ホームは一番ホームであり、電車を降りれば、階段を使うことなく、外に出れる。
目的の場所は、その駅前からすぐの場所にある。
ふたりがまるで病人のように、前に進んでいく。
真夫はそのふたりの後を指示をしながら歩いていたが、駅を出たところで、再びリモコンをオンにした。
「うう、うううっ、ううううっ」
あさひ姉ちゃんが立ち止まり、ぶるぶると身体を震わせた。
そして、両膝をがくりと曲げる。
「……ああ、だ、だめえ……」
か細いあさひ姉ちゃんの声がした。
次の瞬間、汚臭があさひ姉ちゃんから匂い出す。
ついに、我慢できなくて、おしめの中に脱糞をしてしまったのだ。
「う、ううっ」
すると、玲子さんも呻き声をあげて、身体をくの字に曲げた。
玲子さんもまた、最後までもたなかったようだ。
「電車の中でせずによかったですね、ふたりとも。さすがに、匂いますよ。いくらおしめをしていたとはいえ、大騒ぎになっていたかもしれません」
真夫はからかった。
しかし、あさひ姉ちゃんも玲子さんも、もやは生気を失ったかのようにがっくりと落ち込んだ様子だった。
真夫はそのふたりの手を取り、強引に歩かせる。
ふたりは、ほとんどすすり泣きのような声を出しながら進む。
だが、さすがに汚物をしたおしめをしたまま歩くのは気持ちが悪いのだろう。
歩き方は、とてもぎこちなかった。
目的の場所に到着した。
駅前のマンションだ。
真夫は、財布からあらかじめ渡されていたカードキーを取り出して、マンションの中に入った。
そのまま、エレベーターに乗り込む。
「……ここはどこですか? どこに向かっているのです、真夫様?」
エレベーターに乗り込む前に、玲子さんが我に返ったような口調で言った。
真夫は、すぐにわかりますとだけ言った。
十階まであるマンションの最上階で降りた。
目的の部屋はエレベーターの隣だ。
真夫は、表札のないその部屋の呼び鈴を鳴らした。
「ま、真夫ちゃん、ここ、どこ?」
あさひ姉ちゃんもやっと怪訝な顔をした。
玲子さんは、はっきりと訝しむ表情だ。
「ふたりを紹介すると約束してね」
真夫はそれだけを言った。
そのとき、扉が向こう側から開いた。
そして、そこにいた人物にふたりが驚いた声をあげる。あさひ姉ちゃんは、面識がないので、単純に誰かが出てきてたことにちょっと驚いただけのようだったが、玲子さんの声は悲鳴に近かった。
「と、時子さん──」
部屋にいたのは、時子婆ちゃんだ。
昼間、ホテルで面会したとき、真夫に責められるあさひ姉ちゃんと玲子さんの姿を一度見せるという約束だったので、こうやって連れてきたのだ。
「なるほどねえ……。おしめをして連れてきてみせると言っていたけど、あたしは、プライドの高いお前が、真夫坊の命令とはいえ、おしめをして外を歩くなんてことを承諾するとは思っていなかったよ。だけど、おしめをするどころか、大便までしてみせるとはね……。すっかりと、骨抜きに躾けられているようじゃないかい、玲子」
時子婆ちゃんが相好を崩した。
逆に、玲子さんは、横で「ひっ」と引きつった声をあげた。