※この作品はR-18です。

淫魔王のいる学園【完結】   作:ドン・ドナシアン

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 48話 新たな日常

 目が覚めた。

 温かいものが横にある。

 寝息をたてている真夫だった。

 かおりは、妙な幸福感に包まれた。

 

 この真夫を一昨日は憎い敵のような気持ちで、この部屋で待ち構えた。

 だが、いまにして思うと、なんでそんな感情を抱いてしまったのか、不思議で仕方がない。

 

 冷静に考えれば、真夫は誠実な男子だと思う。

 

 かおりを鬼畜に調教したり、恵と一緒にかおりを抱いたりと、ちょっとばかり常軌を逸するほどのスケベなところはあるが、それを含めて、女に対しては優しさのようなものを感じる。

 

 縛られたり、叩かれたり、侮辱的に扱われて、愛情を感じるというのは不可思議としかいえないが、事実、かおりはすでに、真夫に支配されることを悦んでいる。

 あの三人組に弱味を握られて、情けない思いをすることになったときは、人生の終わりのように感じていたが、真夫に支配されるのは悪くない。

 

 いや、全く悪くない。

 

 かおりは、少しのあいだうっとりと真夫の顔を眺めていた。

 

「……おはよう、かおり」

 

 寝台の横にある椅子から声がした。

 かおりは視線を向けた。

 

 恵だった。

 すでに、きちんと服を身につけている。

 かおりは寝台に備え付けられている時計を見た。

 六時前だ。

 夕べ寝るときは、恵もかおりと同じように素裸で真夫と寝たはずだから、随分早く起きたものだと思った。

 

「おはよう、恵……」

 

 かおりは言った。

 初めて会ったときには、かおりに対してスタンガンを使ったりして、どうしてやろうかと思ったが、結局のところ、この女子大生は、真夫のことしか考えていない変態マゾ女だった。

 かおりに乱暴したのも、かおりが真夫のことを冤罪に陥れたのが心底気に入らなかったからのようであり、そのくせ、真夫がかおりを受け入れ、プレイとして命じれば、かおりとのレズでも、かおりから責められることでも、なんでも受け入れる。

 

 完全な真夫の奴婢であり、真夫への傾倒ぶりは、かおりも呆れるほどだ。

 とにかく、真夫に調教されるのが嬉しくて仕方がないという感じであり、特に昨日丸一日の「雌犬プレイ」では、一緒に調教されたかおりも、たじろぎを覚えるような甘えぶりだった。

 

 いずれにしても、気がつけば、かおりは恵を受け入れていたし、恵もかおりを受け入れてくれていた。

 いまは、同じ男に仕える「同志」という気持ちだ。

 

「真夫ちゃんが許可したのは買っておいたわ。さすがに、今日から登校なのに、制服一枚しかないんじゃあ困るだろうしね。制服も簡単にしわを伸ばしておいたわよ。でも、ここって、本当に便利なところね。生徒しかいないのに、二十四時間開いている売店もあるなんて」

 

 恵が言った。

 かおりはびっくりした。

 確かに、寝台の横に準備された服掛けに、丁寧にアイロンがかけられている真夫の特別生徒用の紺と紫と白を基調とした男子用の制服と従者生徒用の灰色の女子用の制服が並んでいる。さらに下の籠には、制服以外のブラウスや下着もあった。

 

 かおりは、A級生徒から従者生徒に落とされるにあたって、あの理事長代理から、これまでの支給品と私物品を処分されてしまい、それこそ身に付けていた下着まで奪われて、制服一枚だけでここに来たのだ。

 従者生徒の持ち物は、全て「主人」生徒の許可を必要とする決まりだからだ。

 

 それだけでなく、ここの生徒は、売店でものを買うのに、各生徒の指紋による認証システムで購入し、代金は登録している口座などから引き落とされるシステムなのだが、奴婢生徒になったことで、かおりは許可なく売店でものを買えなくなった。

 奴婢生徒は、購入希望リストに主人にサインしてもらい、それを届け出ることで、やっとその品物を認証システムで受け取れるようにしてもらえるという仕組みなのだ。無論、代価は主人生徒の登録口座からの引き落としだ。

 

 真夫の奴婢になることを納得し、調教を受け入れることを条件に、必要とするものを買う許可はもらったが、まだ、売店棟に行く余裕もリストの届け出の時間もなかった。

 どうやら、恵はわざわざ早起きして、かおりのものを買ってきてくれたようだ。

 

「恵があたしのために?」

 

 かおりは目を丸くした。

 

「その代わり、真夫ちゃんのこと頼むわね。真夫ちゃんは、新しい学校のこと、なにもわからないんだから、助けてあげてよね。それと、誰かにいじめられたりしたら、必ずあたしに教えるのよ」

 

「はあ?」

 

 この真夫のことを守れとか、いじめられるとか冗談でも言っているのかと思ったら、その表情は真面目だ。

 かおりは、おかしくなった。

 

「大丈夫よ。夕べ、五人衆が真夫君のこと認めたでしょう。そもそも、真夫君自身が五人衆のひとりなんだから……。それに逆らって、手を出す生徒なんてないわよ。少なくとも表だってわね」

 

「五人衆?」

 

 恵が首を傾げた。

 

「五人衆というのは、この寮にいる特別待遇生徒、つまり、S級生徒のことなの。特に、加賀君と金城君に認められたのは大きかったわね。だから、大丈夫よ」

 

「でも、真夫ちゃんは孤児院出身なのよ。ただでさえ、真夫ちゃんは、大人しいから……」

 

「大人しい?」

 

 今度こそ呆れた。

 女子二人を奴婢として、平気でふたり並べてSMプレイするような男子を世間では「大人しい」とは言わない。

 そもそも、真夫はどう考えても、女に守ってもらうことを必要とするような大人しい感じでもない。

 

 それはともかく、さっきの恵の発言の中に、かおりも教えてもらいたいことがあった。

 真夫もまだ寝ているようだし、恵に訊いてみようと思った。

 

「ねえ、本当のところ、真夫君って何者なの? いきなり、この学園に、三年生で編入なんて聞いたことないわ。しかも、S級なんて、あり得ないわよ」

 

「だから、それは言ったでしょう。あんたのおかげだって……」

 

 恵が笑った。

 それについては、恵から昨日聞いた。

 かおりが真夫を冤罪にした償いを学園としてするために、真夫を恵ともども学園で引き取ったというのだ。

 しかし、恵はそんなことは、たわ言だと思っている。

 そんな馬鹿げた話があるわけがない。

 そう言った。

 すると、恵は声を顔をかおりにぐいと近づける。

 

「……だから、それも、こっそりと教えたでしょう……。あんたを調教して、エッチなことをするのが、この学園の理事長の趣味なのよ……。多分、昨日のエッチも隠しカメラで見られてるわよ。あんたも不本意だろうけど我慢してね。あたしも、真夫ちゃんも見られてるんだから……」

 

 その話も聞いた。

 だが、あまりにも、不自然な話だと思う。

 かおりは、三人組に脅されて、もっと人には見せられないような映像をたくさん撮影されている。

 それを入手したのであれば、わざわざ手の込んだことをしなくても、かおりはその相手の言いなりになるしかないだろう。

 だが、かおりに求められているのは、このSM趣味の奇妙な少年の女のひとりになることだ。

 かおりには、なんとなく、冤罪のことなど、真夫をこの学園に迎え入れる口実のように思えてならなかった。

 女子生徒の調教シーンの見物を代償に、一介の男子生徒を無料でこの学園のS級生徒に迎え入れるなど、この学園の理事長がどんなスケベ親父だとしても不自然だ。

 

「しっ、真夫ちゃんが起きるわ。あんた、上がいい? それとも、下?」

 

「はあ?」

 

 何を言っているかわからずに問い返した。

 しかし、恵はかおりの返事を待たずに、寝台にあがってくる。

 そして、自分の顔を真夫の顔に屈めた。

 

「あんた、まだ裸だから下ね。もうわかったと思うけど、真夫ちゃんは、とてもエッチよ。これから、しっかりと毎日頑張ろうね」

 

 恵が言った。

 そして、真夫が目を覚ました。

 

「おはよう、真夫ちゃん……。今日もよろしくね」

 

 すぐに、恵が甘えるような声を出しながら、真夫に抱きついてキスをし始めた。

 真夫はほんの少しぼんやりとしていたようだったが、すぐに、はっきりと目が覚めたみたいであり、恵の口の中に舌を差し入れて、舐め回し始める。

 

「ん、んん……」

 

 軽いキスではなく、口の中全体を舐め尽くすような濃厚な口づけだ。

 恵が我慢できなくなったように悶え始めた。

 

 この恵は、かおりも驚くほどに感じやすい。

 身体が敏感というよりは、真夫にいやらしいことをされると、まるで酔っぱらったように、くたくたになるのだ。

 その変化は、接していて面白い。

 

「あ、ああっ、真夫ちゃん──」

 

 恵が真夫の口から顔を離して、身体を大きくのけぞらせた。

 ふと見ると、いつの間にか、真夫の手が恵のスカートの中に入っている。

 

「ほら、俺があさひ姉ちゃんを悪戯するときは、いつも手は後ろだよ」

 

 真夫が笑いながら言った。

 その手は明らかに恵の下着の中でもそもそと動いている。

 この真夫はつくづくわからない。

 普段はむしろ物腰も口調も、柔らかすぎるくらいなのだが、エッチのときには人が変わったように、性癖全開の「オス」になる。

 

 まあ、それがいいのだが……。

 

「は、はい……」

 

 恵がよがりながら、両手を背中に回す。

 すると、真夫がちらりと、かおりに視線を向けた。

 

「なにやってんの、かおりちゃん。ここが空いてるよ」

 

 真夫が腰にまとわりついていた掛け毛布をはぐって、股間をあわらにした。

 恵が言った「上が恵で、下がかおり」というのは、こういうことかと思った。

 そこには、隆々と真夫の性器が勃起している。

 かおりは急いで、それを口に含む。

 

 フェラチオのやり方は、昨日、真夫に仕込まれた。

 昨日は、真夫からなかなか筋がいいと褒められもした。

 嬉しかった。

 かおりは、もう一度、真夫に褒められたくて、一心に舌を動かす。

 

「あ、ああっ、真夫ちゃん、真夫ちゃん……」

 

 一方で、かおりの声が激しくなった。

 相変わらず、真夫の指は恵の下着の中で無遠慮に動いている。

 多分、恵は、真夫から指を秘裂に挿し入られながら、クリを刺激されまくっている。

 真夫の手が入っている恵のミニスカートの中が、こっちの角度から丸見えなので、手の動きでわかるのだ。

 恵の下着の股の部分がどんどんと蜜で濡れてきていた。

 

「んああっ、ま、真夫ちゃん、真夫ちゃん……」

 

 恵の声がさらに大きくなった。

 おそらく、そろそろ達する。

 お互いに、昨日何度も目の前で絶頂し合ったから、相手がいきそうなときはわかる。

 

「ほら、さぼらない。キスだよ、あさひ姉ちゃん」

 

 真夫が笑った。

 恵が慌てて、真夫の口に唇を重ね直す。

 

 一方で、かおりもまた、真夫の一物を舐めながら、だんだんと全身が熱くなり、欲情している自分を感じていた。

 真夫の股間に触れている舌先がビリビリと痺れたようなり、そこから淫欲の疼きが身体中に拡がっていくのだ。

 それは、かおりの奉仕で、真夫の性器がさらにたくましくなり、亀頭の先から真夫の精液が滲み出るようなって、ますます顕著になった。

 これまで、かおりは男の精を好ましいものと感じたことなどなかった。

 でも、真夫が興奮してくれているのだと思うと、かおりもどんどんと興奮してくる。

 

「んあああっ」

 

 やがて、かおりが真夫から顔を離して、身体を弓なりにして果てた。

 

「可愛いね、あさひ姉ちゃん。下着を替えないとね……」

 

 真夫が恵のスカートからすっと下着を膝の上までおろした。

 

 奉仕をしながら、かおりはちらりと恵の下着を見た。

 その下着は股の部分がべっとりと蜜で濡れていた。

 

「う、うん……」

 

 恵が気だるそうに身体を起こして、真夫に半脱ぎにさせられて、膝の上に引っ掛かっている下着を手で触れようとした。

 

「いたっ」

 

 そのとき、パシリと小さな音がした。

 そんなに強い力じゃないが、真夫が恵の手を叩いたのだ。

 

「あっという間にいっちゃった罰だよ。しばらく、パンツをそのままですごすんだ」

 

 真夫が笑って言った。

 蜜で汚れたら下着を膝にかけたまますごすのは、ノーパンよりも恥ずかしいだろう。

 案の定、恵は顔を真っ赤にして、恥ずかしそうな表情になった。

 しかし、恵は、真夫にこんな風に辱しめられるのが大好きなのだ。

 同時に恵が、うっとりと欲情したような表情になる。

 かおりは、真夫の肉棒を舐めながら、なんだか吹き出しそうになった。

 

「……じゃあ、抜いてもらうのは、かおりちゃんにしてもらおう。俺を跨いで上になってよ。あさひ姉ちゃん、後ろからかおりちゃんを愛撫して」

 

 真夫が言った。

 かおりは、真夫の命令の通りに、仰向けになってる真夫の股間の真上に膝立ちになった。

 恵がのそのそと動いて、かおりの後ろから乳房と股間に手を這わせてくる。

 

「ん、んんっ……そ、そんなことしなくても……も、もう……ぬ、濡れてるよ……、ま、真夫君……、あ、ああっ……め、恵……」

 

 かおりはよがり声をあげた。

 だが、真夫はかおりに、両手を背中で組むように命令し、恵にはかおりの両手を革帯で巻くよう指示した。

 恵が枕元に備え付けてある拘束具類から革帯をとり、かおりの両腕に巻きつける。

 

「かおりちゃん、先っぽだけ挿していいよ。だけど、それ以上は駄目だ。もしも、勝手に腰を沈めたら罰だからね」

 

 真夫が言った。

 かおりは、言われたように、ちょっとだけ腰を沈めて、もうびしょびしょの膣をずぶりと真夫の勃起した怒張に埋める。

 だが、許されたのは亀頭の部分だけだ。

 中腰の体勢がちょっときついし、中途半端にしかさせてもらえないもどかしさていっぱいになる。

 

「あさひ姉ちゃん、かおりちゃんをいかせたらだめだよ。まだ、少し時間があるからね。しばらく寸止め責めをしようよ」

 

「わ、わかった、真夫ちゃん……。よかったね、かおり……。朝から真夫ちゃんに可愛がってもらえるね。寸止め好きでしょう」

 

 恵がかおりの後ろでくすくすと笑った。

 冗談じゃない。

 

 かおりは寸止め責めが嫌いだ。

 いけそうなのにいかせてもらえないもどかしさをいつまでも続けさせられるのだ。

 そんなのが好きなわけがない。

 昨日もとことん寸止め責めをされて、絶頂をねだって様々な恥態をさせられた。

 

 そして、奴婢の身体は、奴婢の身体でなく、主人の真夫の身体なのだということを徹底的にしつけられた。

 かおりの中にかすかに残る理性が、たった二日でこんなにも奴隷根性が染みついてしまったことを不思議がっていたが、それは真夫の奴隷になっている心地よさが、すぐに吹き飛ばしてしまう。

 

「じゃあ、あさひ姉ちゃんは、お尻と胸ね。俺は股を受け持つよ。かおりちゃんは、乳首をちょっと強めにこりこりと刺激されるのが好きだからね。代わる代わる左右とも可愛がってあげて」

 

「わかっているわ、真夫ちゃん……」

 

 真夫とかおりが、後ろからと下から、本格的にかおりを責め始める。

 ふたりには、週末の二日で、かおりの身体は知られ尽くした。

 そのふたりがかおりの胸とお尻とクリトリスを同時に愛撫するのだ。

 しかも、すでにかおりのヴァギナには、真夫の一物が先っぽだけだけとはいえ埋まっている。

 かおりはあっという間に達しそうになった。

 だが、ふたりはさっと愛撫をやめて、快感を逃がしてしまう。

 そして、ちょっと絶頂感が収まると、またもや激しいふたりがかりの愛撫を開始するのだ。

 

 それを四度繰り返された。

 

「あ、ああっ、もう許してよ──。もっと奥までごつごつしてえ──。お願い」

 

 五度目には、かおりは泣き叫んでしまった。

 

「いいけど、そんなことしたら、俺はかおりちゃんの中に射精しちゃうよ。避妊具なんて使ったことないし、そのまま、かおりちゃんの子宮にザーメン流し込むからね。かおりちゃんに意地悪して、避妊剤をあげないかも」

 

 真夫が笑った。

 昨日から、かおりは避妊剤をもらっており、一日一粒飲むように指示されている。身体には害はないということであり、恵も同じものを飲んでいる。

 真夫の物言いは、いまだけの意地悪だとはわかっているが、孕めと命じるのであれば、かおりは悦んで真夫の子を産んでもいいと思った。

 

「あ、あんたの子なら産む」

 

 かおりは愛撫を受けながら叫んだ。

 実家には烈火のごとく叱られるだろうが、面倒は看てもらえるだろう。

 真夫のことも、恵のことも喋らない自信はある。

 そんなことを瞬時に思考した。

 

「嘘だよ……。俺やあさひ姉ちゃんが親のない子を作るわけないよ。でも、ありがとう」

 

 真夫が笑って、奥まで入れていいと許可してくれた。

 かおりは腰をぐんとさげる。

 

「んふうっ」

 

 子宮近くに真夫の性器の先が届いて、それだけで軽く達した。

 しかし、休むことは許されない。

 お尻に指を挿している恵が、無理矢理にかおりの腰を上下に律動させる。

 

「あ、ああっ、あうううっ」

 

 すぐに、かおりは二度目の絶頂をした。

 

 真夫がかおりに精を放ったのは、連続で三度目の絶頂のときだ。

 頭が真っ白になった。

 全身が弛緩して、温かくて優しいものに包まれた気がした。

 

 そして、はっとした。

 かおりは、絶頂しながら失禁してしまっていたのだ。

 まだ、真夫に埋まっているところから尿が滴り続ける。

 

「ああっ、と、止まらない……。止まらない……。ごめんなさい……」

 

 かおりは狼狽えた。

 

「あらあら、朝エッチのときは、おしっこに注意しないとね」

 

「あさひ姉ちゃんもときどきするよね」

 

 ふたりが笑っている。

 なんだか、こうなるのを予測していた気配さえある。

 

「ううう、恥ずかしい……。ごめんなさい……」

 

 放尿が終わり、真夫から性器を抜いてもらうと、さらに恥ずかしさが倍増した。

 身体の下にいた真夫だけでなく、背後から愛撫していた恵の手足も、かおりのおしっこでびしゃびしゃだ。

 しかし、ふたりとも愉しそうに笑うばかりだ。

 

 三人揃って、シャワーを浴びた。

 後手の革帯を外してもらえないかおりは、前後から真夫と恵に身体を洗われて、またもや、いきそうになってしまった。

 

 シャワーが終わる。

 

 哀願したのに、革帯は外してもらえなかった。

 真夫がかおりの身体を拭き、恵が髪を乾かして整髪してくれる。

 奴婢になったはずなのに、まるでふたりに奉仕されているようで複雑な気持ちになった。

 

 食事になる。

 

 朝食は恵がパンとスープとサラダを仕度してくれていた。

 ただ、ガウンを着るのは真夫だけで、かおりと恵は素裸だ。

 それだけでも恥ずかしいのに、食事のときも、かおりだけ後手を外してもらえない。

 だから、かおりについては、左右の真夫と恵の差し出すものを口を伸ばして食べさせられた。

 

 そして、食事の前に、真夫から、かおりも恵もイチヂク浣腸をされた。

 一個だったので、すぐには効いてくることはなかったが、途中から激しく便意が込みあがってきて、恵とふたりで食事の途中から苦しい息をし合うことになった。

 

 排便は食事のあとだ。

 

 透明の和便器に跨がって、真夫の前で順番にする。

 真夫の目の前で排便し、真夫はそれをにこにこしながら眺め、さらに汚れたお尻をお湯で指で洗った。

 本当に変態だと思うが、その変態行為にうっとりしてしまうかおりも、もう変態の仲間だなあと、ちょっと思った。

 

 排便が終わって、やっと後手を外してもらった。

 

 そして、ようやく着衣だ。

 真夫の身支度は、かおりと恵がふたりでする。

 それから、女ふたりが服を着るのだが、真夫が自分で服を脱いだり着たりするのは禁止しようとか言い出して、ふたりで下着の着せ合いをさせられた。

 

 教材や文具を鞄に入れたりして、すべての登校の支度が終わった頃には、八時を回っていた。

 教場棟に向けて出発する時刻だ。

 

「じゃあ、いってきます」

「いってきます」

 

 起きたのは早かったが、三人でじゃれつく時間が多くて、すっかりと巡回バスのやって来る時刻になっていた。

 朝の登校時に限らず、この学園内には乗り降り自由の巡回バスが走り回ってる。

 学生も教師もほとんどは、それを利用する。

 S級生徒は、実費を支払えば、学園から運転手付きの専用車を手配してくれるが、真夫は断ったらしい。

 

「かおり、あなたのおしっこで濡れたシーツは、大学に行く前に、クリーニングに出しておくわ」

 

 恵がからかいの口調で言った。

 恵は真夫の編入準備に合わせて、通っている大学を休学していたが、今日から通うらしい。

 今日は真夫たちが出立してから一時間後に出て、昼過ぎには戻ると言っていた。

 移動手段は学園から支給された自動車だ。

 

 これひとつをとっても、真夫が特別扱いというのわかる。

 専用車は、S級生徒のみの特別措置であり、この学園では教師さえも、通学は学園の運行する部外シャトルバスで行い、私有車の乗り入れは認められていない。外に出るときも、申請が必要で、しかも、運転手は学園の者だ。

 自ら運転できる自動車で学園に出入り自由というのは、例外中の例外だ。

 

「ばあか……」

 

 かおりは口を尖らせた。

 すると、真夫と恵が声をあげて笑った。

 

 扉に向かう。

 

「真夫君、鞄を……」

 

 私室から共有リビングに出る直前に、真夫から鞄を取りあげた。

 怪訝な表情になる真夫に、奴婢生徒は主人生徒の荷物をすべて持つのが慣習だと説明した。

 

「おはよう、真夫」

 

 リビングには、真夫と同じように、巡回バスで登校する西園寺絹香と従者生徒の双子がいた。

 絹香に続いて、双子がぺこりと頭を下げた。

 ほかのS級生徒は、専用車で登校なのだろう。

 ここには、まだいないようだ。

 

「おはよう」

「おはよう」

 

 真夫に続いて、かおりも挨拶をする。

 絹香は真夫を見て、顔を赤らめて照れたような仕草をした。

 夕べ、絹香が真夫にいきなりキスをしたときには、かおりも驚愕したが、なんであんなことをしたのかをいくら訊ねても、わからないの一点張りだった。

 しかし、そのことで絹香は間違いなく真夫を意識している。

 いつも、冷静沈着な雰囲気を保っている絹香の、はにかんだような表情でそれは明らかだ。

 

「バスが来たぞ」

 

 そのとき、特別寮の新しい管理人だという時子という老婆が、表からやって来て、声をかけてきた。

 表に出る前に、真夫は少しだけ、管理人の時子と話をしていた。

 世間話という感じだが、とても親しそうな雰囲気だ。

 遠慮して距離をとっているかおりには、話の内容は聞こえないが、時折ちらちらと時子がかおりに視線を送ってきたような気がして、かおりは当惑した。

 

 とにかく、かおりの「奴婢生徒」としての新しい日常が始まったのだ。

 

 外に出た。

 特別寮前の停車場に先客がいた。

 

 「まさと」だ。

 姓は知らない。

 あの秀也が、そう呼んでいるので名を知っているだけだ。

 ものすごいイケメンであり、学園でも、かなり有名な存在だ。

 だが、同じS級生徒の木下秀也の従者であり、社会人なので、この時間に、教場棟に向かう巡回バスに乗るのは珍しい。

 

「ねえ、話があるんだけど……」

 

 バスに乗り込むと、絹香が真夫の手を引いて、自分の隣の席に導いた。

 特別寮と一般寮は場所が違うので、この時刻でも車内は空いている。

 従者生徒は、座席には座らないのが慣習であり、また、許可なく会話に加わるのも「無礼」とされている。

 かおりは真夫と少し離れたところに立って、手すりに掴まる。

 絹香の従者の双子も同じようにしている。

 

「よう……」

 

 まさとがかおりの立つすぐそばの座席に腰掛け、ほかには聞こえないように、かおりに声をかけてきた。

 

 それで、思い出した。

 本当にいまのいままで忘れていたが、このまさとに、あることをけしかけられていた。

 

 だが、それは、もういい。

 すでに、すっかりとその気はなくなってしまっている。

 

「あの話はなしよ……。わたし、本気で真夫君の奴婢生徒になること決めたから」

 

 かおりはあっさりと言った。

 それで、あの話は終わりだ。

 そのつもりだ。

 すると、まさとが舌打ちした。

 

「……やっぱり、しっかりとしつけられたか……。このビッチが……」

 

 まさとが、口汚く罵る小声がした。

 さすがに、むっとした。

 かおりは言い返そうとしたが、その前に、真夫に週末にあったことを告げることが先だと思った。

 かおりは、まさとを無視して、真夫に近づこうとした。

 それにしても、なんでいまのいままで、「あのこと」を忘れていたのだろう。

 この朝になって、突然に思い出したが、恵についての大切なことだった。

 まるで、記憶に蓋をされていたように、思い出さなかった。それが、まさとに話しかけられることで、突如としてよみがえった。

 

 とにかく、かおりは携帯電話も取りあげられているが、真夫は持っている。

 真夫から、恵に連絡してもらえばいいか……。

 

 “……身にしみてひたぶるにうら悲し。鐘の音に胸ふたぎ、色かえて涙ぐむ……”

 

 そのとき、まさとが急におかしな言葉を呟いた。

 フランス語の詩であり、かおりには意味がわかった。

 

 すると、かおりはなぜか、急に頭が真っ白になり、なにも考えられなくなった。

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