54話 封印のもや
「あ、ああ、気持ちいい、真夫ちゃん。気持ちいいよう」
真夫の怒張を濡れほぞった股間に挿入してあげると、あさひ姉ちゃんは叫びにも似た嬌声をあげて、狂ったように身体をよじらせた。
特別寮の地下だ。
真夫は、そこで連れ帰ったあさひ姉ちゃんを寝台で抱いていた。
まだ、昼間であり、教室では午後の授業をしている時分である。
しかし、真夫は理事長代理としての玲子さんから、処分が定まるまで、寮における謹慎を言い渡されたのだ。
もちろん、玲子さんとしては、あの場をそれで収めるしかなかったのだと思う。
なにしろ、真夫は大勢の生徒や教師の見ている前で、竜崎をほぼ半殺しの状態にしたのだ。
手下の五人も大怪我だ。
竜崎については、実際には頭に回復できない損傷を与えてやったので、治療不能のダメージということになる。
だらしなく涎を垂らして正気を失った竜崎の様子に、周りの者たちが恐怖の色を浮かべたのを覚えている。
ほかの者は、真夫に与えられた恐怖により、竜崎が頭を狂わせてしまったのだと思っているかもしれないが、真夫がやったのはもっと直接的なものだ。
竜崎の頭を意図的に壊してやったのだ。
おそらく、もう回復することはないと思う。
真夫とあさひ姉ちゃんに事情を訊ねるのは後ですると、玲子さんが宣言して、とにかく寮に戻ることを許された。
そして、戻ってきた。
本当は真夫自身の治療をするように勧められたのだが、真夫はあさひ姉ちゃんとともに、寮に戻ることを選んだ。
殴られた痛みは、もうそれほどでもない。
ちょっと、鈍くうずく程度だ。
鼻血ももう止まっている。
これからどうなるのかわからないし、そもそも、あの騒動がどうなったかもわからない。
真夫は竜崎というどこかの財閥の子弟に致命傷を負わせたのだ。
手下だって、そこそこの家柄の息子のはずだが、いずれも大怪我だ。
たとえ、向こうに非があっても、過剰防衛もいいところだと思う。
とにかく、真夫は、ただ玲子さんが手配した学園の車で、あさひ姉ちゃんとここに戻ってきただけだ。
ふたりで戻ると、真夫はすぐにあさひ姉ちゃんをここで抱き始めた。
ただ抱いただけじゃない。
あさひ姉ちゃんが受けた恥辱や恐怖の記憶……。
これを可能な限り小さなものにした。
他人の記憶や感情を操作する方法は、もう真夫は完全に習得している。
ただ、念じればいい。
それだけだ。
読もうとしなければ人の心などわからないが、逆に知ろうとすれば、ある程度のことまで相手の考えていることがわかる。
それだけじゃなく、操作さえもすることができるのだ。
竜崎にやったように、回復不能の損傷を心に与えることさえできるだろう……。
人の心を操る力──。
つまり、「操心術」だ。
「ああ、んふううっ、す、すごい、ま、真夫ちゃん、いく、いくうっ」
長い前戯の末にようやく挿入と律動運動を開始すると、あさひ姉ちゃんはさらに激しく悶え狂った。
普通に抱いているだけじゃなく、あさひ姉ちゃんの心にある真夫に対する慈愛の気持ちや、性交に対する快感線のようなものを可能な限り増幅してあげている。
いまのあさひ姉ちゃんは、まるで全身が敏感な性感帯になったかのように、どこをどう触っても悶え狂う。
また、実際にあさひ姉ちゃんは、竜崎たちに強い媚薬を皮膚注射されてもいる。
その影響ももちろんあるだろう。
いずれにしても、あさひ姉ちゃんの竜崎たちとの記憶は、この真夫との性交の記憶と置き換わるはずだ。
すでに起きたことをなかったことにするのは難しいが、思い出そうとしてもよく思い出せないくらいに忘却させることは簡単だ。
真夫は、あさひ姉ちゃんを抱きながら、あさひ姉ちゃんの中にある暴漢の記憶を懸命に封印していっている。
さらに……。
いまは他人の心を操作することができるようになった真夫は、あさひ姉ちゃんの心の根底にある真っ黒い闇のようなものも併せて、思い出すことが難しい記憶として蓋をしてあげた。
おそらく、それは幼いあさひ姉ちゃんを獣のように毎夜犯した父親の記憶だと思う。
しかし、もうあさひ姉ちゃんが、その記憶に苦しめられることはないはずだ。
真夫は、あさひ姉ちゃんを抱きながら思った。
もうあさひ姉ちゃんが、男性恐怖症に悩まされることもないと思う……。
「ね、ねえ、真夫ちゃん、いく、いってもいい?」
あさひ姉ちゃんが真夫の背中を抱き締めながら叫んだ。
真夫はくすくすと笑った。
「いいよ。その代わり、一度達したら、今度はここだよ」
真夫はあさひ姉ちゃんを犯しながら、人差し指で秘裂同様に蜜でびっしょりのアヌスを撫であげた。
しばらく、調教を続けていたあさひ姉ちゃんのお尻だが、そろそろ普通に真夫の一物を受け入れられるようになっている。
ちょうどいいから、今日をその日にしようと思った。
それで、あさひ姉ちゃんの今日の記憶は、竜崎たちに身体をなぶられたというものから、真夫からアナルを犯されて絶頂した日というものに変わるはずだ。
「んんんっ。は、はい……。あ、あたしは真夫ちゃんのもの……。奴隷なの──。真夫ちゃんの奴婢よ、あ、あああっ」
あさひ姉ちゃんは返事をするだけで、いっぱいいっぱいの感じだ。
それでも、真夫の奴隷だという言葉を酔ったように繰り返す。
可愛いあさひ姉ちゃんだ。
真夫は、激しくあさひ姉ちゃんの子宮を突く。
あさひ姉ちゃんは、絶叫して果てた。
「まだまだだよ」
脱力したあさひ姉ちゃんを裏返しにすると、今度は一気にあさひ姉ちゃんのお尻の穴に怒張を貫かせていく。
「んん、あああ、ひいい」
あさひ姉ちゃんが悲鳴をあげた。
だが、真夫の怒張は信じられないくらいの柔らかさで、あさひ姉ちゃんのアヌスに呑み込まれていく。
四つん這いに近い状態になっているあさひ姉ちゃんは、背中を大きく反り返して、乳房を激しく揺らしながら、びくびくと全身を痙攣させた。
「ほら、忘れるんだ、なにもかも──。次の絶頂であさひ姉ちゃんは気を失うけど、目が覚めたときにはとても愉快な気持ちになっているからね」
真夫は腰をゆっくりと前後させながら、あさひ姉ちゃんの快感を「操心の力」で活性化させる。
「んふううう」
途端にあさひ姉ちゃんの身体が真っ赤になり、その肢体が全身を弓なりになった。
「ま、また、いくうっ──。お、お尻が……お尻が気持ちいいのう──、真夫ちゃんにお尻を犯されて、気持ちいい──」
あさひ姉ちゃんが雄叫びをあげて、絶頂に達した。
身体が二度、三度と激しく震える。
そして、がっくりと脱力した。
真夫は、力を失っていくあさひ姉ちゃんのお尻に精を放った。
あさひ姉ちゃんが寝息をかきだしたのを確認して、真夫は怒張を抜いた。
仰向けにして、裸身に毛布を掛けてあげる。
あさひ姉ちゃんは、うっとりとした表情になって幸せそうに微笑んでいた。
地下の部屋にあさひ姉ちゃんを寝かせたまま、真夫は一階にあがった。
すでに、真夫は軽い部屋着に着替えている。
一階のリビングでは、果たして、玲子さんがしょんぼりとソファーに座っていた。
「あさひ姉ちゃんは眠っています。目が覚めても、この一件を思い出すことはありません。事情聴取はできませんよ」
真夫はそう言って、玲子さんと向かい合うようにソファに腰かけた。
玲子さんは怪訝な顔になったが、やっと真夫に寮で謹慎せよと命じたとき、事情聴取を後ですると告げたことを思い出したのだろう。
すぐに、合点がいった表情になる。
「さ、さっきは偉そうな態度をして申し訳ありませんでした。みんなの手前……」
玲子さんが申し訳なさそうな顔になった。
「いいんですよ」
真夫は笑った。
玲子さんはちょっとだけほっとしたように微笑んだ。
しかし、その笑みはすぐに消えて真顔になる。
「そ、それよりもお怪我は……? 恵さんとともに、医務室に行かれてはいかがでしょう……。それとも、ここに医療班を派遣しますか?」
そう言いながらも、玲子さんはすでに携帯電話を取り出して、どこかに電話をする素振りを示す。
真夫は笑って、もう大丈夫だと言った。
治療は後で行くからと安心もさせた。
玲子さんはとりあえず頷く。
「……それよりも、俺はどうなるんですかね? 転入したてで、さっそく退学ですか? なにしろ、竜崎というのも、それなりの家柄の出身なんでしょう? 面倒だったら、俺たちを見捨てて構いません。覚悟はできています。いまは、なにとだって戦ってみせます。あさひ姉ちゃんを連れて逃げます」
真夫は言った。
すると、玲子さんが傷ついたような顔になった。
「わたしが真夫様を見捨てると思うのですか──? 真夫様たちのことはわたしの命を懸けても救います。処分などありません。ただ、ちょっと関係部署の調整に手間取るかもしれません。でも、絶対に真夫様に迷惑はかけません。わたしに任せてください」
玲子さんははっきりと言った。
「そうですか……。すみません」
真夫は頭をさげた。
一瞬でも、玲子さんが真夫を見捨てる可能性を考えてしまい、悪いことをしたと思った。
玲子さんは、どんな代償を払ってでも、真夫たちのことを助けるだろう。
それは最初から信頼すべきことだった。
頭をさげた真夫に対して、玲子さんは困った様子を示した。
「と、とにかく頭をあげてください……。いずれにしても、竜崎の悪事は明らかです。加担した生徒たちは全員がすぐに自白しました。ただし、口を揃えて竜崎に命じられたと言っています。ただ、肝心の竜崎については……」
「頭が狂ってしまったんでしょう。俺も少しやりすぎたかもしれません。竜崎はただの道具です。道具にあんなことをしても仕方なかったかもしれませんね」
真夫は苦笑した。
だが、それは口だけだ。
いまでも、竜崎はあれだけの酬いに相応しいことをあさひ姉ちゃんにやったのだと思っている。
「あ、あのう……。ところで、あれは真夫様がやったのですか……?」
玲子さんがおそるおそるという口調で訊ねた。
竜崎の頭を真夫が発狂させたことを質問しているのだろう。
真夫は「そうです」と応じた。
玲子さんは驚いたように、眼を見開いた。
「驚くことはないでしょう。あの秀也にもできることです。どうやら、俺もその能力を使えるようになったみたいですね」
「秀也……?」
秀也の名を出されて、玲子さんは戸惑ったようになった。
真夫は、そのとき、玲子さんの心に黒いもやのようなものが浮かんだのがわかった。
やっぱりだ……。
おそらく、あれは封印されている知識や感情だと思う。
想像していたとおりに、玲子さんは、何者かの手によって、心に手を加えられたうえに、そこに鍵をされている。
さっき、真夫があさひ姉ちゃんにやったことと同じだ。
そして、その黒いもやは、竜崎にもあった。
あの乱闘のあいだ、真夫はしっかりとそれを竜崎の心に感じていた。
いまにして思えば、黒いもやを心に宿している者はほかにもいた。
生徒会長の西園寺絹香……。
そして、かおりちゃんにも……。
かおりにもあった異変に、真夫は事前に気がついてあげられなかった。
悪いことをしたと思っている。
電話口で真夫に謝罪をするかおりの苦しそうな口調……。
そのことを真夫は思い出した。
いずれにしても、記憶を失っているわけではないが、思い出すことや知覚することが難しいもの──。
そういうものとして、秀也に関することが玲子さんの心に刻まれているようだ。
もちろん、それをやったのは秀也だろう。
秀也は、真夫が覚醒をした能力と同様の「操心術」を遣える能力がある。
真夫はもやは、それを確信している。
そもそも、真夫が理事長室から飛び出したとき、玲子さんは秀也からなにかの連絡を電話で受けた感じだった。
それなにの、いまこうして話していても、玲子さんはそのときのことを語ろうとしていない。
少し前から感じている秀也に関する不思議な沈黙だ。
「ところで、かおりちゃんは?」
真夫は話題を変えた。
玲子さんは、はっとした顔になる。
「彼女をどうするのか真夫様の指示を受けようと思っています……。かおりは、すでに事情聴取を終えて、いまは生活指導室で待機させてます。恵さんが竜崎たちに襲わせるきっかけを作ったのは、あのかおりです。かおりがはっきりと自白しました。かおりは車を学園で走らせていた恵さんを途中で呼び止めて……」
「待ってください」
真夫は口を挟んだ。
玲子が口をつぐむ。
詳しいことはわからないが、予想はついている。
玲子さんは、かおりが裏切ったと考えていると思う。
スマホの電話でも、かおり自身がそう言っていた。
だが、竜崎が黒幕ではないように、かおりもまた加害者ではない。
かおりは利用されたのだ。
「かおりは俺の奴婢ですよ、ここに戻してください。これまで通りです」
「これまで通り? いいのですか? 竜崎はいずれにしても退学処分です。加わった竜崎の仲間も同様です。そして、かおりが竜崎に加担したのであれば、当然に……」
玲子さんは、かおりちゃんが真夫を裏切って、あさひ姉ちゃんを竜崎に襲わせたと知り、かおりちゃんも放校処分にするつもりなのだろう。
真夫は玲子の言葉を制した。
「かおりちゃんは利用されたんです。罪はありません。そう手配してください──。後は俺がやりますから」
強く言った。
玲子は面食らったような顔になる。
「わ、わかりました……。では、すぐに……」
玲子さんは携帯を取り出して、どこかに指示をしようとした。
真夫は手を伸ばして、その携帯をとりあげて、テーブルに置く。
「な、なにか?」
玲子さんが怪訝な表情を真夫に向ける。
「それよりも、玲子さん……。いまから、俺はあなたを事情聴取するつもりです。俺に隠してくることがありますよね。それを喋ってもらいますよ」
真夫は言った。
「わ、わたしは、真夫様に隠していることなど──」
玲子さんは憤慨したような顔になる。
しかし、真夫は素知らぬ口調で、玲子さんにその場に立つように命じた。
玲子さんはおずおずと立ちあがる。
「スカートをめくって」
真夫は言った。
玲子さんは当惑した感じだったが、大人しく両手でスカートの裾を持って、股間がはっきりと真夫に見えるまでたくし上げる。
そこには、真夫がはかせた革の貞操帯がしっかりと見えた。
玲子さんは突然にスカートをまくって股を露わにさせられて、恥ずかしそうにしている。
一方で、真夫が考えていたのは、どうやって秀也の封印を玲子さんから解くかだ。
だが、だいたいのやり方は思いついている。
まずは、玲子さんの心を真夫でいっぱいにするのだ。
そして、まずは身体……。
次に心を鷲掴みする……。
心の底から玲子さんが真夫のことだけでいっぱいになり、玲子さんが真夫に同化したようになれば、それがどんなに強い封印であろうとも、真夫はそれが自分の心を動かすように容易に解くことができるだろう。
玲子さんの心を捉えるのも簡単だ。
マゾの玲子さんだ。
思い切り苛めてあげればいい……。
「これを見てください、玲子さん……。花ですよね……。綺麗ですね。まるで玲子さんのヴァギナのようですよ……」
真夫はテーブルの上にあった花瓶の花に手を伸ばした。
いつの間にか飾ってあったものであり、誰かが毎朝交換をしているのか、いつも花がそこにある。なんの花か、真夫は詳しくないので知らないが、大きな花びらの薄桃色の花に触れた。
それをくるくると撫ぜるように擦る。
「あっ、なに?」
玲子さんががくりと膝を折った。
花びらを触っている刺激が、股間を弄られる刺激として伝わったのだ。
真夫の言葉で暗示にかかったに違いない。
「なにをしているんですか。勝手に姿勢を崩さないでください、玲子さん……。それよりも、この花瓶もつるつるして、玲子さんのお尻のようです。さしずめ、花瓶の口は玲子さんのお尻の穴ですね」
花瓶の表面を撫でながら、花が生けてある花瓶を縁を擦る。
「あ、ああっ」
玲子さんが顔を真っ赤にして腰をもじつかせる。
いま、玲子さんには、お尻を指で触られる感覚が玲子さんに伝わっているはずだ。
「ま、真夫様、あなたって……?」
そして、玲子さんがよがりながらも目を丸くした。
真夫が操心術をはっきりと駆使したことにびっくりしているのだろう。
「これからは気をつけてくださいね。俺がなにかの花を触っているのを見るたびに、この感覚が襲いかかりますからね……。じゃあ、クリトリスは俺の指にします。指が擦れるのを見てくださいよ」
真夫は玲子さんに見えるように右の親指を左手で擦る。
「んふううっ」
玲子さんは顔を真っ赤にしてがくりと膝を折る。
真夫はすかさずに自分のスマホを取り出して、「玲子さん調教ソフト」のアプリを出すと、今度は貞操帯の張形を振動させた。
「あ、ああっ、んはああ」
暗示による愛撫のほかに、本当に張形の振動の衝撃を受けた玲子さんは、呆気なくスカートをまくったまま昇天してしまった。
「じゃあ、今度は拍手です。俺が手を叩くと、五回目で性感が暴発して激しく達してしまいます」
真夫は玲子さんが息を整えるいとまを与えることなく、次の暗示を与えて手を叩き始める。
「一、二、三……四……五──」
「や、やああっ」
しっかりと五回目で、玲子さんはまたもや、立ったまま悶絶してしまった。